内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:326

腎交感神経除神経術は心房細動アブレーション治療のオプションか?(解説:冨山博史氏)-1172

本試験は、高血圧合併発作性心房細動症例に対して、発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション単独治療と、アブレーション治療に腎交感神経除神経術を加えた併用治療のいずれが介入後の発作性心房細動再発抑制に有用であるかを検証したmulticenter、single-blind、randomized clinical trialである。主評価項目は、介入後12ヵ月の心房性頻脈再発率と降圧度である。登録された302例中、283例にて試験が遂行された。12ヵ月後に心房性頻脈を認めない症例数は、アブレーション治療単独では148例中84例(56.5%)、アブレーション治療+腎交感神経除神経術併用では154例中111例(72.1%)であった(ハザード比0.57、p<0.01)。さらに降圧の度合いも併用群で有意に大きかった(両群の収縮期血圧降圧の差13mmHg)。

治療方針が明確に、「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」

 2019年12月、日本皮膚科学会は「皮膚真菌症診療ガイドライン」を10年ぶりに改訂した。日本において、真菌感染症のなかでも、足白癬の有病率は人口の約21.6%、爪白癬では10.0%と推計される。この10年間に外用剤(クリーム、液剤、スプレー)や新たな内服薬が発売され、治療状況も変化しつつあるため、改訂した皮膚真菌症診療ガイドラインのポイントを紹介する。  皮膚真菌症診療ガイドライン2019によれば、“保険診療上認められていない治療法や治療薬であっても、すでに本邦や海外において医学的根拠のある場合には取り上げ、推奨度も書き加えた。保険適用外使用についても記載した”と記され、各疾患の治療についてはClinical question(CQ)が設定されている。

高齢患者に対するスボレキサントの安全性と有効性~使用成績調査のサブ解析

 スボレキサントの第III相国際共同試験において、高齢患者と非高齢患者との間で、スボレキサントの安全性および有効性プロファイルに明らかな変化は認められなかった。しかし、日常診療でみられる併存疾患を有する高齢患者に対して、スボレキサントの臨床プロファイルは評価されていなかった。MSD株式会社の竹内 裕子氏らは、日常診療での高齢不眠症患者に対するスボレキサントの安全性および有効性プロファイルをより明らかにするため、市販後の使用成績調査のサブグループ解析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2019年12月20日号の報告。

新型コロナウイルスから医療現場を守るために/日本医師会

 相次ぐ新型コロナウイルス感染の報告を受け、厚生労働省は、国内でもヒト-ヒト感染が確認されたと発表した。日本医師会は、横倉 義武氏(会長)を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、対応している。  新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症」(二類感染症相当)と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が閣議決定され、診療可能な医療機関として、第2種感染症指定医療機関(348施設)、第1種感染症指定医療機関(55施設)、特定感染症指定医療機関(4施設)が指定されている。

新型コロナウイルスはどうヒト-ヒト感染するのか、親子感染の症例/NEJM

 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(2019-nCoV)が、世界を巻き込んだ健康懸念になっている。ヒト-ヒト感染の事例も次々と明らかになっている中、ベトナム・ホーチミン市パスツール研究所のLan T. Phan氏らの研究グループが、ベトナムを訪れていた中国人家族1例について、親子間の感染に関する経緯と臨床転帰を報告した。NEJM誌2020年1月28日号オンライン版に掲載。  報告症例は、武漢市から旅行でホーチミン市を訪れていた中国人男性(65歳)とその家族について。男性は、高血圧や2型糖尿病、心血管疾患の持病があった。男性は妻と共に13日からベトナムに入り、飛行機や電車、タクシーなどを利用しながら4都市を旅行した後、同国で暮らす息子(27歳)と合流し、ホテルの同室で3日間共に過ごしたが、17日の時点で発熱があったという。

アルツハイマー病へのスタチンの効果~RCTのメタ解析

 アルツハイマー病の治療としてのスタチンの使用について広く議論されている。中国・Anhui Medical UniversityのKun Xuan氏らは、アルツハイマー病治療におけるスタチンの効果について無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、短期間(12ヵ月以内)のスタチン投与がMMSEスコアに有益な効果をもたらすことが示された。また、スタチンはアルツハイマー病患者の神経精神症状の悪化を遅らせ、日常生活能力を有意に改善した。一方、ADAS-Cogスコアの変化において効果はみられなかった。Neurological Sciences誌オンライン版2020年1月13日号に掲載。

新型肺炎で緊張高まる中、感染症予防連携プロジェクトが始動

 東京オリンピック・パラリンピックを迎える年となる2020年1月、日本感染症学会・日本環境感染学会は感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU(ふせぐ)2020」を発足、発表会を行った。年頭から中国での新型コロナウイルス感染がニュースとなり、図らずとも感染症への一般の関心が高まる中でのスタートとなった。  挨拶に立った日本感染症学会理事長の舘田 一博氏は、本プロジェクトの意義を「オリンピックイヤーを迎え、マスギャザリング(一定期間、限定された地域において同一目的で多人数が集まること)に向けた注意喚起が重要。既に各学会・団体がさまざまな取り組みをしているがそれを連携させ、産官学が協働して一般市民を巻き込んで情報提供をしていく必要がある」と述べた。

地政学時代のメンタルヘルス(解説:岡村毅氏)-1171

現代は地政学の時代などともいわれるが、香港の動乱において住民のメンタルヘルスが悪化しているという報告である。はじめに私の立場を申し上げると、科学に関していろいろ述べるが、政治に対しては一切述べるつもりはない。なお前提として本論文も政治的には中立で抑制がきいていると思われる。さて、本論文は住民の長期縦断研究の解析であるが、2014年の反政府デモ(雨傘運動/オキュパイセントラル運動)、2019年の「民主化デモ」と動乱が続き、depressionが5倍に増え、PTSDが戦時にも匹敵するレベルであることが報告されている。また、世界のその他の大都市でも動乱が起きる中で(たとえばパリの黄色いベスト運動)、この研究の科学的価値があるとしている。

新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が、急速に拡大している。中国・金銀潭医院のChaolin Huang氏らは、2020年1月2日までに新型コロナウイルスの感染が確認された入院患者について、現段階で判明している疫学的特徴と臨床転帰について前向きに調査、分析した。Lancet誌オンライン版1月24日号掲載の報告。  調査対象は、新型コロナウイルス感染が疑われ、武漢市内の指定病院に入院した患者のうち、RT-PCR法および次世代シーケンシングによって同症と特定された41例について、国際重症急性呼吸器・新興感染症協会(ISARIC)のデータを基に分析を行った。