内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:315

ドンペリドン、胎児の奇形リスクなし/国内大規模データベース

 制吐薬ドンペリドンは動物実験で催奇形性が示されたことから、従来、妊婦禁忌とされてきた。しかし、つわりと知らずに服用し妊娠が判明した後に気付いて妊娠継続に悩む女性が少なくない。一方で、本剤は米国で発売されていないことから疫学研究も少なく、安全性の根拠に乏しい面もあった。今回、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」と虎の門病院は、両施設が保有する1万3,599例もの妊娠中の薬剤曝露症例のデータベースを用いて、ドンペリドンの催奇形性を解析。その結果、妊娠初期に本剤を服用した例と、リスクがないことが明らかな薬のみを服用した例では、奇形発生率に有意な差は見られなかった。The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research誌オンライン版2021年2月25日号に掲載。

新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。

オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。

片頭痛へのガルカネズマブ承認、既存薬との使い分けは

 「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果として、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体薬ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)が1月22日に製造販売承認を取得した。2月25日にオンラインメディアセミナーが開催され(主催:日本イーライリリー)、平田 幸一氏(獨協医科大学 副学長)、坂井 文彦氏(埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長)が登壇。同薬の片頭痛治療における位置づけと臨床試験結果について講演した。  現在、片頭痛の発生メカニズムとしては「三叉神経血管説」が広く受け入れられている。ストレス・ホルモン等の内因性の刺激、あるいは天候・匂いや光といった外因性の刺激を受けることによって三叉神経終末からCGRPなどの神経ペプチドが放出される。神経ペプチド放出により血管拡張、血漿タンパクの漏出、肥満細胞の脱顆粒などの神経原性炎症が発生し、疼痛シグナルが中枢へと伝達して大脳皮質で痛みとして知覚される。

新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。  COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。

新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。  対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。

「新型コロナワクチン接種に伴う重度の過敏症の管理・診断・治療」を公開/日本アレルギー学会

 新型コロナウイルスワクチンが特例承認され、2月から医療関係者を対象とした接種が始まっている。現時点でアナフィラキシー発症頻度が従来のワクチンよりも高いことが報告されているが、いずれも適切な対処により回復している。ワクチン接種に際してはその益と害のバランスを考えることが必要であり、副反応に対する過度な懸念や対応は社会に大きな損失と負担をもたらす。日本アレルギー学会では、新型コロナウイルスワクチン接種に伴う副反応のうち、とくに重度の過敏反応(アナフィラキシー等)を起こし得る危険因子、管理、診断および治療について現時点の情報を整理し、適切にワクチン接種を行うための指針として、「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」を作成し、3月1日学会ホームページに公開した。3月12日に改訂版が公開されている。

肥満2型DMへのセマグルチド、68週後の体重減少は約10%/Lancet

 過体重/肥満の2型糖尿病成人患者において、GLP-1アナログ製剤のセマグルチド2.4mg週1回投与は臨床的に意義のある体重減少を達成し、プラセボに対する優越性が示された。英国・レスター大学のMelanie Davies氏らが、体重管理を目的としたセマグルチド2.4mg週1回皮下投与の有効性と安全性を同1.0mg(糖尿病治療として承認された投与量)およびプラセボと比較する、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Semaglutide Treatment Effect in People With Obesity 2:STEP 2試験」の結果を報告した。2型糖尿病患者において、セマグルチド1.0mg投与は体重減少効果があることが示されており、体重管理のための高用量2.4mg投与の有効性が検討されていた。Lancet誌オンライン版2021年3月2日号掲載の報告。

コロナ対策、二重マスクの効果は正しく着けた不織布マスク1枚と同等/理研

 新型コロナウイルス対策に加え、この時期は花粉症に悩まされる人も多い中、われわれの暮らしの必需品となったマスクの使い方には、人によってさまざまな工夫が見られる。理化学研究所などの研究チームが3月4日、マスクによる感染予防について、スーパーコンピューター「富岳」を使った行った検証結果を公表した。それによると、いわゆる「二重マスク」は、ある程度の性能向上が期待できるものの、その効果は不織布マスク1枚を正しく装着した場合と大きく変わらないことがわかった。

片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性・安全性

 抗CGRP受容体モノクローナル抗体erenumabは、3~12ヵ月の研究において片頭痛の頻度やQOLの有意な改善が認められているが、それ以上の長期治療成績については、よくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは、片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性および安全性の評価を行った。European Journal of Neurology誌オンライン版2021年1月5日号の報告。  本研究は、反復性片頭痛の成人患者を対象として実施された12週間の二重盲検プラセボ対照試験終了後に行われた5年間の治療期間におけるオープンラベル試験である。オープンラベル試験開始時に、erenumab 70mgを投与した。なお、プロトコール改定後、140mgへ増量した。有効性については、毎月の片頭痛日数、毎月の急性頭痛薬の使用、健康関連QOLのベースラインからの変化を評価した。