内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:272

インド製コロナワクチン、有効率77.8%で忍容性良好/Lancet

 インドで開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBBV152は、成人においてウイルス学的に確認された症候性COVID-19の発症予防に対し高い有効性を示し、忍容性は良好で安全性に関する懸念はない。インド・バーラト・バイオテック社のRaches Ella氏らが、インドの25施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の中間解析結果を報告した。BBV152ワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)NIV-2020-770株をβ-プロピオラクトンで不活化し、ウイルス抗原6μgを、ミョウバン(Algel)にtoll様受容体7/8アゴニスト分子(イミダゾキノリン:IMDG)を吸着させたAlgel-IMDGと共に製剤化した不活化全ウイルスワクチンで、保存温度は2~8度であることから、輸送・保管システムの必要条件を緩和できる可能性が示されている。Lancet誌オンライン版2021年11月11日号掲載の報告。

3回目接種開始に伴う追記など、新型コロナ予防接種の手引き改訂/厚労省

 厚生労働省は、11月30日付でホームページ上に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(5.0版)」を公開した。今回は、今月より新型コロナワクチンの追加(3回目)接種が開始することに伴う追記(予診票、請求事務の変更など)が主な改訂ポイントとなる。  最新版手引きによると、追加接種は、「2回目接種から原則8ヵ月以上経過した者に対して1回行うこと」としている。そのため、追加接種についても2回目接種までの時期が早かった医療従事者などから順次開始する。初回接種(1、2回目接種)で使用したワクチン接種の種類にかかわらず、現時点で追加接種において使用できるワクチンは、ファイザー社製ワクチン(コミナティ)のみで、接種対象者は18 歳以上。今後の薬事承認等の状況を踏まえ、使用できるワクチンが追加される可能性がある。

認知症診断に関する日米間の比較

 認知症は、日米で共通の問題であるが、医療システムの異なる両国における認知症診断に関するプライマリケア医の診療および今後の展望について、浜松医科大学の阿部 路子氏らが、調査を行った。BMC Geriatrics誌2021年10月11日号の報告。  日本全国および米国中西部ミシガン州におけるプライマリケア環境において、半構造化面接および主題分析を用いて、定性的研究を実施した。参加者は、日米それぞれ24人のプライマリケア医(合計48人)。両群ともに地理的因子(地方/都市部)、性別、年齢、プライマリケア医としての経験年数が混在していた。

マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。  本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。

反復性片頭痛に対するスマホベース音楽介入

 片頭痛は、世界中で多くの患者が苦しんでいる疾患の1つである。従来の予防薬や行動に基づく介入は、片頭痛発作の予防的治療として用いられてきた。しかし、原発性頭痛障害患者に対する代替介入のベネフィットについては、十分に調査されていなかった。フランス・CHU La Reunion-GHSRのGuilhem Parlongue氏らは、反復性片頭痛に対する患者の自己管理による音楽介入の影響について調査するため、パイロット研究を実施した。Complementary Therapies in Medicine誌オンライン版2021年9月30日号の報告。

妊娠高血圧腎症pre-eclampsiaとメトホルミン(解説:住谷哲氏)

筆者は内科医で産科は専門外なのではじめに用語を整理したい。2018年に発表された日本産科婦人科学会の「妊娠高血圧症候群の定義分類」によると、「妊娠時に高血圧を認めた場合、妊娠高血圧症候群とする。妊娠高血圧症候群は妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠に分類される」とあり、病型分類から子癇eclampsiaを除外し、高血圧に母体の臓器障害や子宮胎盤機能不全を認める場合は蛋白尿がなくても妊娠高血圧腎症とする、とされている。妊娠高血圧腎症が以前の妊娠中毒症であり、本論文のpre-eclampsiaと同一概念である。HELLP(Hemolysis, Elevated Liver enzymes, and Low Platelet count)症候群のような腎症を伴わない病態を妊娠高血圧腎症の訳語に含めるのは何となく違和感があるが、本稿でもpre-eclampsiaの訳語として妊娠高血圧腎症を使用する。 妊娠高血圧腎症の病態は現在も明らかではないが、何らかの胎盤機能異常が存在するとされている。胎盤機能異常があるので、最も確実な治療法は分娩または中絶による妊娠終了であるが現実的には妊娠継続を選択する場合がほとんどである。妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦に対する低用量アスピリン投与が発症予防に有効であるとのエビデンスがあるが、発症した妊娠高血圧腎症に対する治療薬は現在存在しない。そこでこれまで、drug-repurposingの観点から、プラバスタチン、プロトンポンプ阻害薬、それとメトホルミンなどの投与が試みられてきた。本論文はメトホルミンの有効性を検証するためのproof-of-concept trialである。

エアロゾル感染への対応、ワクチン後の対応などを改訂/医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版

 ⽇本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版」を2021年11月22日に公開した。第3版からの主な改訂項目は、エアロゾル(微⼩⾶沫)による感染への対応、新型コロナウイルスのワクチン接種後の対応、積極的な検査の導⼊を含めた対応、である。  本ガイドの第1版は2020年2⽉12 ⽇に公開され、その後の状況の変化に応じて改訂し、2020年5月8日に第3版を公開していた。

エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、11月25日付でSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)錠10mgについて、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性心不全に対する効能・効果および用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。SGLT2阻害薬の慢性心不全への適応拡大では2剤目となる。  今回の製造販売承認(一部変更)は、エンパグリフロジンが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示した“EMPEROR-Reduced試験”の結果に基づく。  本試験の主要評価項目に関する結果では、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示した。また、試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させると共に、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様だった。

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。  岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。

2型DMの新規発症リスクを低下・増加させる降圧薬は?/Lancet

 降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であるが、その効果は降圧薬のクラスにより異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが、英国・オックスフォード大学のMilad Nazarzadeh氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタ解析で示された。降圧治療は、糖尿病の細小血管および大血管合併症を予防する戦略として確立されているが、糖尿病そのものの予防に寄与するかは不明であった。著者は、「降圧薬のクラスによる差はおそらくオフターゲット作用の違いによるものと考えられる。今回のエビデンスは、糖尿病発症予防のために降圧薬のクラスを選択する必要があることを支持するものであり、個々の臨床的な糖尿病リスクに応じた薬剤選択の改善に結び付くだろう」と述べている。Lancet誌2021年11月13日号掲載の報告。