内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:155

BA.2.75の免疫回避能、BA.5より低い?/Lancet Microbe

 2021年11月に新型コロナウイルス亜種のオミクロン株が出現後、BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.2.75(別名:ケンタウロス)、BA.4、BA.5などが世界中で流行している。BA.2.75は2022年6月にインドと日本で確認された新しい変異株で、そのスパイクタンパク質にはBA.2にはない9つの変異がある。今回、シンガポール・Duke-NUS Medical SchoolのChee-Wah Tan氏らが、ヒト血清でBA.5とBA.2.75の免疫回避の程度を調べたところ、BA.2.75とBA.5はワクチン接種やBA.1/BA.2への感染で誘導された免疫を回避すること、BA.2.75の免疫回避能はBA.5より低いことが示唆された。Lancet Microbe誌オンライン版2022年8月10日号に掲載。

運動後のサウナで健康メリットがさらに拡大

 次に運動するときからは、心臓の健康へのメリットのために、運動後に15分間、サウナに入ると良いかもしれない。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のEarric Lee氏らが行った研究から、運動のみでも心血管系の健康上のメリットを得られるが、サウナに入るとさらに効果が上乗せされることが分かった。詳細は「American Journal of Physiology―Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に7月4日掲載された。  この研究では、サウナが心血管系の健康をどのように高めるのかというメカニズムは調査されていないが、サウナに確かにメリットがあることはこれまでの研究で明らかになっている。Lee氏は、「サウナ入浴に伴う急性の心血管反応は、少なくとも中強度の運動に匹敵することが示されている」と解説。また、「サウナはフィンランド文化の不可欠な要素であり、フィンランドでは車の台数よりもサウナの方が多い」と語っている。  Lee氏らの研究は、運動時間が週に30分未満で座業中心の生活を送っている、30〜64歳の成人ボランティア47人を対象に実施された。参加者の主な特徴は、平均年齢49±9歳、女性87%、BMI31.3±4.1、最大酸素摂取量(VO2max)28.3±5.6mL/kg/分で、全員が何らかの心血管疾患リスク因子(高コレステロール血症、高血圧、肥満、喫煙、冠動脈性心疾患の家族歴など)を有していた。

サル痘を疑う閾値を低くする必要も、多様な症状/Lancet

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのEloy Jose Tarin-Vicente氏らは、同国サル痘患者について臨床およびウイルス学的特性を明らかにする前向き観察コホート研究を行い、サル痘は性器、肛門周囲および口腔の病変と直腸炎や扁桃炎などの合併症を引き起こしており、病変部でウイルス量が多いことを示した。著者は、「症状はさまざまであり、臨床医はサル痘を疑う閾値を低くする必要がある」と述べている。また、「罹患者の性的接触歴や病変の分布から、現在起きている集団発生は濃厚接触が主要な感染経路と考えられる」とも報告した。サル痘は、2022年5月に欧州の複数の国で発症例が報告されて以降、急速に世界中に広がったが、初期の報告では非定型的な症状が示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年8月8日号掲載の報告。

診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。  全体で、取得数2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。  診療科別にみた取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。

長生きしたければ運動を

 座っている時間を減らして毎日散歩をするだけで、何年間も寿命を延ばせるかもしれない。米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院のDong Hoon Lee氏らが、中年期の成人11万人以上を30年間追跡した研究からその可能性が示された。研究の詳細は、「Circulation」に7月25日掲載された。  米国の身体活動に関するガイドラインでは、ウォーキングなどの中強度の運動を週に150〜300分行うか、ジョギングなどの高強度運動を週に75〜150分行うことを推奨している。Lee氏らの研究では、これらの目標を達成した人は、向こう30年間で死亡する確率が20%前後低いことが分かった。また、ガイドライン推奨量の2〜4倍の運動を続けている人は、死亡リスクがさらに数ポイント低かった。Lee氏は、「軽度の運動でも全く運動をしないより健康に良い。重要なことは習慣的に体を動かすことであり、それによって大半の人は大きなメリットを得られる。ただし、効果の最大化のために、さらに運動時間を増やして長寿を目指すのも良いだろう」と述べている。

コロナ罹患後症状、約13%は90~150日も持続/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の持続する全身症状(いわゆる後遺症)としての呼吸困難、呼吸時の痛み、筋肉痛、嗅覚消失・嗅覚障害などの長期(90~150日)発生率は12.7%と推定されることが、オランダで約7万6,000例を対象に行われた観察コホート試験で示された。オランダ・フローニンゲン大学のAranka V. Ballering氏らが、同国北部在住者を対象にした、学際的前向き住民ベース観察コホート試験で、健康状態や健康に関連する生活習慣などを評価するLifelines試験のデータを基に、COVID-19診断前の状態や、SARS-CoV-2非感染者のマッチングコントロールで補正し、COVID-19に起因する罹患後症状の発生率を明らかにした。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

心筋炎リスクを天秤にかけても新型コロナワクチンは接種したほうがよいようだ(解説:甲斐久史氏)

感染力は強いものの重症化率が低いとされるオミクロン株が主流となったことで、正常な社会経済活動と新型コロナウイルスが共存するWithコロナ時代が本格的到来かと思われた。しかし、オミクロン株BA.5による感染拡大第7波は、8月に入ってもピークアウトすることなく、3年ぶりの行動制限のない夏休み・お盆休みを迎えた。感染者も小児〜若年者中心から後期高齢者も含めた全年齢層に拡大し、重症者数・死亡者数も着実に増加している。加えて、多くの医療従事者が感染者あるいは濃厚接触者となることで出勤停止となり、その結果、コロナ診療のみならず一般医療・救急医療はこれまでにない逼迫した状況に直面している。そのような中、60歳以上の高齢者に加えて、急遽、医療従事者および高齢者施設等の従事者への新型コロナワクチン第4回目接種が進められることとなった。わが国における3回目接種率は60歳以上では80%以上であるのに対して、12〜19歳では36%、20〜30歳代では50%前後にとどまっている。若者ほどワクチン接種後の高熱や倦怠感といった副反応が強いことに加え、若者には実感しにくい重症化予防効果はさておき、目に見える感染予防効果がオミクロン株において低下していることもその背景にあろう。

COVID-19パンデミック中の長期抑うつ症状の予測因子

 COVID-19パンデミックは、それ以前と比較し、精神疾患の増加を引き起こしている。しかし、成人うつ病の長期的軌跡に対するパンデミックの影響は十分に検討されていない。英国・サウサンプトン大学のLara Rosa氏らは、COVID-19パンデミックの初期段階以降での抑うつ症状の軌跡と予測因子を明らかにするため、潜在成長曲線モデルを用いて検討を行った。その結果、COVID-19パンデミックによる孤独感は、すべての年齢層において抑うつ症状の長期的軌跡に多大なる影響を及ぼすことが示唆されたが、ソーシャルディスタンスの順守が抑うつ症状増加の予測因子ではないことから、著者らは、孤独を感じないようにつながりを育んでいくことが重要であると報告している。Evidence-Based Mental Health誌オンライン版2022年7月28日号の報告。

日本人高齢者は「高めの普通体重」が最適の可能性―説明可能なAIの分析

 「説明可能な人工知能(AI)」を用いた分析の結果、日本人高齢者では、body mass index (BMI)が標準体重の範囲内でやや高めの場合に、最も死亡リスクが低い可能性があるとする研究結果が報告された。日本女子大学家政学部食物学科臨床医学・代謝内科学研究室(研究時点の所属は神奈川県立保健福祉大学)の中島啓氏らの研究によるもので、詳細は「Geriatrics」に6月16日掲載された。  一般的にはBMIが18.5~25.0kg/m2未満の「普通体重」が最も健康的とされているが近年、高齢者や慢性疾患患者では、BMI25kg/m2以上の肥満者の方がむしろ長寿であることを示唆する研究結果が報告されるようになった。このような「肥満パラドックス」とも呼ばれる現象のメカニズムはよく分かっていないが、それらの研究対象が健康な一般住民ではなく、何らかの疾患のある人を対象とした研究が多いことが、理由の一つと考えられている。そこで中島氏らは、神奈川県大和市の地域在住高齢者の健診データを用いて、BMIと死亡リスクとの関係を検討した。

うつ病の急性単剤治療反応、プラセボと比較/BMJ

 米国食品医薬品局(FDA)のMarc B. Stone氏らは、同局に提出された無作為化プラセボ対照試験におけるうつ病の急性単剤治療に対する反応を、試験参加者レベルの個別データを基に解析した。その結果、実薬およびプラセボとも大幅な改善をもたらす可能性があるが、同様に認められた三峰性の反応分布から、臨床試験でプラセボ効果を上回る実質的な抗うつ効果を有する被験者は約15%であることが示唆された。著者らは、薬物治療に特異的な意味のある反応を示す予測因子の必要性が明らかになったことを報告している。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。  研究グループは、1979~2016年に米国FDAに提出された無作為化プラセボ対照試験における、うつ病の急性単剤治療に対する被験者個人レベルの反応分布を特徴付けるデータ解析を行った。  解析には、抗うつ薬の有効性研究の包含基準を満たした232の無作為化二重盲検プラセボ対照試験から、成人および子供の被験者7万3,388例が含まれた。