内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:140

世界初・日本発、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」治療薬で患者QOLの早期改善に期待/マルホ

 2022年9月15日、マルホ主催によるプレスセミナーが開催され、同年8月に発売されたアトピー性皮膚炎(AD)のかゆみの治療薬、抗IL-31受容体A抗体ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)について、京都大学医学研究科の椛島 健治氏が講演を行った。かゆみは、AD患者の生活の質(Quality of Life:QOL)を著しく低下させる。椛島氏は、「これまでADのかゆみを有効に抑えることが困難だった。かゆみを改善し、ADを早期に良くしていくことが本剤の狙いであり、画期的ではないか」と述べた。  ADは、増悪・寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を特徴とする慢性の皮膚疾患である。その病態は、皮膚バリア機能異常、アレルギー炎症、かゆみの3要素が互いに連動し、形成される(三位一体病態論)。国内には推計約600万人のAD患者がおり、年々増加傾向にある。このように身近な疾患であるADは、治療法も確立されているかのように見える。しかし、AD患者の悩みは深刻だ。

コロナ陽性判定後の鼻洗浄で重症化リスクが1/8に!?

 新型コロナウイルスの陽性判定後であっても、1日2回の鼻洗浄によって入院や死亡のリスクが低減することが、米国・Augusta UniversityのAmy L Baxter氏らにより報告された。新型コロナウイルスはACE2受容体に結合して細胞内に侵入することが知られているが、ACE2受容体にまだ結合していないウイルスを洗い流すことで、重症化を防ぐことができる可能性がある。Ear, Nose & Throat誌オンライン版2022年8月25日掲載の報告。  解析対象は、2020年9月24日~12月21日に実施された新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となり、24時間以内に登録された55歳以上のハイリスク患者79例。平均年齢63.7±8.34歳、女性が36例(45.6%)、非ヒスパニック系白人が56例(70.9%)、平均BMIが30.3±6.75であった。

「朝食をたくさん、夕食は少なく」は本当に効果的?

朝食は多く食べ、その分、夕食は控えめにするという食事スタイルが減量につながると考えている人を失望させるデータが報告された。英アバディーン大学ローウェット研究所のAlexandra Johnstone氏らの研究によるもので、詳細は「Cell Metabolism」に9月9日掲載された。同氏は、夕食よりも朝食にたくさん食べた方が良いという考え方が、多くの人に支持されていることを認めている。しかし一方で、「そうであっても『時間栄養学』、つまり栄養を摂取する時間帯と健康への影響の研究は、比較的新しい科学である」と述べ、まだエビデンスが十分ではないことに注意が必要だとしている。  Johnstone氏らは、BMI27~40と過体重から肥満で、慢性疾患のない18~75歳の成人30人(平均年齢50.9±2.1歳、男性が16人)を対象とする、無作為化クロスオーバー試験を実施。研究参加者を2群に分け、1群には最初に朝食をたくさん食べる食事スタイル(ML条件)を実践してもらい、他の1群はたくさん夕食を食べる食事スタイル(EL条件)を実践してもらった。その4週間後に1週間のウォッシュアウト期間をおいて、前半とは異なる条件の食事スタイルを4週間続けてもらった。

うつ病発症に影響を及ぼす活動パターン

 オランダ・マーストリヒト大学のVincenza Gianfredi氏らは、抑うつ症状の有無と、加速度計で測定した毎日の身体活動(physical activity:PA)および座りがちな行動のパターンとの関係を比較検討するため、「マーストリヒト研究」を実施した。その結果、うつ病の有無によるPAおよび座りがちな行動のパターンには同様の差異が確認され、その差異はより小さいものであった。著者らは、本研究により全体として特定の時間帯での影響が認められなかったことから、うつ病予防に対しては、1日の時間帯に関係なく、座りがちな時間の減少とより強度なPAが有用であることを報告した。Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports誌オンライン版2022年9月16日号の報告。  5,582人(59.9±8.6歳、女性の割合:50.3%)を対象に、ベースライン時における座位時間、光を浴びて行うPA(LiPA)、中程度から強度のPA(MVPA)、座位から立位への移行に関する毎日のパターンを収集するため、activPAL3アクティビティモニターを用いて測定した。抑うつ症状は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて、ベースライン時および年1回測定した(フォローアップ期間中央値:5.1年)。うつ症状の有無によるPAおよび座りがちな行動のパターンを比較するため、一般化線形モデルを用いた。

遺族にNGな声かけとは…「遺族ケアガイドライン」発刊

 2022年6月、日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会の合同編集により「遺族ケアガイドライン」が発刊された。本ガイドラインには“がん等の身体疾患によって重要他者を失った遺族が経験する精神心理的苦痛の診療とケアに関するガイドライン”とあるが、がんにかかわらず死別を経験した誰もが必要とするケアについて書かれているため、ぜひ医療者も自身の経験を照らし合わせながら、自分ごととして読んでほしい一冊である。  だが、本邦初となるこのガイドラインをどのように読み解けばいいのか、非専門医にとっては難しい。そこで、なぜこのガイドラインが必要なのか、とくに読んでおくべき項目や臨床での実践の仕方などを伺うため、日本サイコオンコロジー学会ガイドライン策定委員会の遺族ケア小委員会委員長を務めた松岡 弘道氏(国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科/支持療法開発センター)を取材した。

新型コロナワクチンの効果、減弱してもブースター接種で再び回復

 米国では現在、オミクロン株が標的に含まれる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の改良型ワクチンのブースター接種(追加接種)が行われている。こうした中、この接種のタイミングが適切であることを示した研究結果を、米オハイオ州立大学のShan-Lu Liu氏らが、「The New England Journal of Medicine」に9月7日報告した。  米食品医薬品局(FDA)は8月下旬、モデルナ社製とファイザー社製の新たな新型コロナウイルスワクチン(オミクロン株対応2価ワクチン)をブースター接種に使用することを承認した。これを受け、米国ではこれらのワクチンを9月から接種できるようになった。新たなブースター接種用ワクチンは、従来型の新型コロナウイルスに加えてオミクロン株に対しても防御効果を発揮するように設計されている。

インフルエンザワクチンの接種で脳卒中のリスクも低下?

 インフルエンザシーズンが近づく中、インフルエンザワクチンの接種は、脳卒中リスクの低下という追加のメリットをもたらす可能性のあることが、スペインの研究で示された。約8万6,000人の中高年の男女を対象としたこの研究では、季節性インフルエンザのワクチンを接種した人は虚血性脳卒中を発症するリスクの低いことが示されたという。アルカラ大学(スペイン)のFrancisco Jose de Abajo氏らによる研究で、「Neurology」に9月7日発表された。  脳卒中の大部分を占めている虚血性脳卒中は、血栓による脳への血流低下が原因で起こる。今回の研究は、スペインのプライマリケアの2001年から2015年のデータベースに含まれる40~99歳の住民375万7,621人の医療記録に基づくもの。このうち1万4,322人が14年間の追跡期間中に初発虚血性脳卒中を発症していた。研究グループは、これらの虚血性脳卒中を発症した患者と、年齢と性別が同じだが脳卒中を発症していない患者(7万1,610人)を対照とした。脳卒中の発症から14日以上前に(対照でも同じ期間内に)インフルエンザワクチンを接種していたのは、虚血性脳卒中を発症した患者で41.1%、発症していない患者で40.5%であった。

どんなスポーツでも高齢者の早期死亡リスクを下げる

 長生きしたいのなら、年齢にかかわらず、何でも良いのでスポーツを始めるべきかもしれない。高齢者を12年間追跡したところ、ラケットスポーツをしている人は16%、ランニングをしている人は15%、その他のスポーツでも、行っている人は死亡リスクが有意に低いことが報告された。米国立がん研究所のEleanor Watts氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に8月24日掲載された。  Watts氏は、「始めるのに遅すぎるということはなく、あまり活動的でない生活を続けてきたまま高齢期に入った人でも、運動量を増やすことで多くのメリットを得られる」と話す。同氏によると、運動には体脂肪減少、血圧降下、炎症抑制などの作用があり、それらの恩恵を受けることができるか否かは、単に運動を始めるか否かの違いに過ぎないとのことだ。そして、「高強度でなくても構わないので、好きなレクリエーション活動を見つけてほしい。1日20分のウォーキングでも効果を期待できる」とアドバイスしている。

ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチン、6ヵ月~4歳用1価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は10月5日、ファイザーのオミクロン株BA.4/5に対応した追加接種用の新型コロナウイルス2価ワクチンについて承認事項の一部変更の特例承認をしたこと、および同社の生後6ヵ月~4歳用の新型コロナウイルス1価ワクチンを特例承認したことを発表した。  接種対象者が12歳以上であるオミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンの販売名は「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」となる。

コロナ診断1週目のリスク、心筋梗塞17倍・脳梗塞23倍/Circulation

 英国・国民保健サービス(National Health Service:NHS)のデータに基づき、ブリストル大学のRochelle Knight氏ら多施設共同による、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、およびその他の血管イベントの長期的な発生リスクについて大規模な後ろ向きコホート研究が実施された。その結果、COVID-19の既往がある人は既往がない人と比較して、COVID-19診断から1週目の動脈血栓塞栓症の発症リスクは21.7倍、静脈血栓塞栓症の発症リスクは33.2倍と非常に高く、27〜49週目でも、それぞれ1.34倍、1.80倍のリスクがあることが判明した。とくに患者数の多かった急性心筋梗塞と虚血性脳卒中では、COVID-19診断後1週目に、それぞれ17.2倍、23.0倍リスクが増加していた。Circulation誌2022年9月20日号掲載の報告。