内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:138

うつ病や不安症における人生の目的が果たす役割

 人生の目的は、自身の活動に関しての意味と目的の感覚、そして人生には意味があるという全体的な感覚により構成されている。オーストラリア・ニューイングランド大学のIan D. Boreham氏らは、人生の目的とうつ病や不安症との関連を、包括的に評価した。その結果、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが低いことが報告された。Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2023年8月12日号の報告。  人生の目的とうつ病や不安症との関連を調査するため、メタ解析を実施した。メタ解析には、99の研究、6万6,468例を含めた。

SGLT2阻害薬の使用が痛風リスク低下と関連

 SGLT2阻害薬(SGLT2i)の使用が痛風リスクの低下と関連していることを示すデータが報告された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)のNatalie McCormick氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月25日掲載された。DPP-4阻害薬(DPP-4i)を使用した場合と比較した結果であり、痛風以外に心筋梗塞についてもリスクに有意差が見られたという。  SGLT2iは血糖低下作用とともに尿酸値を低下させる作用のあることが知られている。この作用が痛風患者の発作リスク抑制につながる可能性があるが、そのような視点での研究はまだ十分でない。McCormick氏らはこの点について、2014年1月~2022年6月の医療データを用いて検討した。

ワクチン2回以下、発熱・倦怠感が現れやすい―札幌市での調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種回数が多いほど感染時に全身症状が現れにくい一方で、咽頭痛や鼻汁などの上気道症状が現れやすいことなどが明らかになった。北海道大学医学研究院呼吸器内科の中久保祥氏らが、札幌市のCOVID-19療養判定システムなどのデータを解析した結果であり、詳細は「The Lancet Infectious Diseases」に6月30日掲載された。オミクロン株BA.2とBA.5の症状の特徴や、高齢者と非高齢者の違いも示されている。  この研究に用いられた札幌市のCOVID-19療養判定システムは2022年4月にスタートし、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性判定を受けた同市市民が登録して症状などを記録している。記録されている情報は、発症日、食事摂取状況、12種類(発熱、咳、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、頭痛、倦怠感、関節や筋肉の痛み、下痢、味覚・嗅覚異常など)の症状、年齢、性別、基礎疾患など。これらの情報と、感染者等情報把握・管理支援システム、ワクチン接種記録システムのデータを統合して解析が行われた。

血尿診断で内科医も知っておきたい4つのこと―血尿診断ガイドライン改訂

 『血尿診断ガイドライン』が10年ぶりに改訂された。改訂第3版となる本ガイドラインは、各専門医はもちろんのこと、一般内科医や研修医にもわかりやすいように原因疾患診断のための手順を詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示した。また、コロナ禍での作成ということもあり、最終章では「新型コロナワクチンと血尿」について触れている。今回、本ガイドライン改訂委員会の事務局を務めた小路 直氏(東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学)に、内科医が血尿時の問診や専門医への紹介を行ううえで注意すべきポイントなどを聞いた。

女性での長寿の鍵は60歳以降の体重の維持?

 女性では、60歳以降に体重を一定に保つことで、90歳、95歳、あるいは100歳という長寿を望める可能性の高まることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity ScienceのAladdin Shadyab氏らによる研究で明らかにされた。体重が安定している年配女性は、体重が5%以上減少した女性よりも1.2倍から2倍の確率で90〜100歳という長寿を得ていることが示されたという。この研究の詳細は、「Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences」に8月29日掲載された。  この研究では、Women’s Health Initiativeのデータを用いて、女性での60歳以降の体重変動と、90・95・100歳までの生存との関連が検討された。対象者は、1932年2月19日以前に生まれ、試験登録時(ベースライン)とその3年後、および10年後に測定した体重データがそろう61〜81歳の5万4,783人で、2022年2月19日まで追跡された。対象者は体重の増減に基づき、体重減少群(ベースラインから5%以上の減少)、体重増加群(ベースラインから5%以上の増加)、体重維持群(ベースラインからの体重の増減が5%未満)の3群に分類された。体重減少については、それが意図的なものであるかどうかが、ベースラインから3年後の調査時に確認されていた。この3年後の調査から1年以内に死亡した346人を除外した5万4,437人が最終的な解析対象とされた。

日本人NAFLD患者のCVDリスクはBMI23未満/以上で有意差なし

 痩せている非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の心血管疾患(CVD)リスクは、痩せていないNAFLD患者と同程度に高いことが明らかになった。武蔵野赤十字病院の玉城信治氏、黒崎雅之氏、泉並木氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Gastroenterology」に6月17日掲載された。  NAFLDはメタボリックシンドローム(MetS)の肝臓における表現型と位置付けられており、世界人口の25%が該当するとされる主要な健康問題の一つ。NAFLD患者の多くは肥満だが、一部の患者は痩せているにもかかわらずNAFLDを発症する。欧米ではBMI25未満、アジアでは23未満のNAFLDが「痩せ型NAFLD」と定義されている。肥満併発NAFLDはCVDリスクが高いことは知られているが、痩せ型NAFLDもCVDハイリスクなのか否かは、これまでのところ十分明らかになっていない。黒崎氏らは同院の健診データを用いて、この点に関する後方視的研究を行った。

新型コロナEG.5.1、伝播力と免疫回避能が増強/東大医科研

 現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株は、アジアや欧州、北米を中心に、オミクロン株EG.5系統(エリス)の感染が急増し、主流となっている。XBB系統(XBB.1.9.2)の子孫株であるEG.5系統は、世界保健機関(WHO)により、XBB.1.5、XBB.1.16と共に注目すべき変異株(VOI)に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、EG.5系統のEG.5.1のウイルス学的特徴を解析したところ、XBB.1.5に比べて1.2倍高い伝播力を示し、BBの中和抗体に対して1.4倍高い抵抗性を示したことを、調査により明らかにした。本結果はThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。

食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。  20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。

糖分を多く含む食品は腎臓結石をできやすくする可能性

 糖分の多い食品を避けるべき理由は多々あるが、腎臓結石のリスクを避けることも、そうすべき理由の一つかもしれない。3万人近い米国成人を対象とした研究から、添加糖の摂取量の多寡で腎臓結石のリスクに39%の差が生じる可能性が明らかになった。川北医学院付属病院(中国)のShan Yin氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Nutrition」に8月4日掲載された。  食品への砂糖の添加はさまざまな健康リスクと関連しているが、腎臓結石との関連はこれまでのところ明らかにされていない。Yin氏らは、2007~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析してこの点を検討した。

犬は新型コロナウイルスのにおいをかぎ分けられる

 犬は、医療機関でのRT-PCR検査や自宅で行う抗原検査などの現代のテクノロジーよりも迅速で的確、かつ安価に新型コロナウイルス感染を検出し得ることが、過去2年ほどの間に犬による新型コロナウイルス検出に関して相次いで報告された研究論文のレビューで明らかにされた。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地理学名誉教授のTommy Dickey氏と米BioScent社のHeather Junqueira氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Osteopathic Medicine」に7月17日掲載された。  Dickey氏らは、2019年12月から2023年4月の間に発表された、新型コロナウイルスのにおいをかぎ分ける訓練を受けた犬に関する29本の査読済み論文を体系的に収集して、その有用性や安全性、実用性に関する評価を行った。対象論文では、32カ国の400人以上の科学者が、147頭の犬の嗅覚による新型コロナウイルスの検出能力を、3万1,000点以上のにおいのサンプルや直接人間のにおいをかがせることで検討していた。なお、Dickey氏らは、2021年8月にも同じテーマでレビューを実施したが、その際の対象論文はわずか4本であったという。