産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

肥満妊婦と新生児の過体重、因果関係が明らかに?/JAMA

 遺伝的にBMIや血糖値が高い母親の子供は出生時体重が重く、これらの関連には因果関係がある可能性が、英国・エクセター大学医療センターのJessica Tyrrell氏らEarly Growth Genetics(EGG)Consortiumの検討で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2016年3月15日号に掲載された。過体重で出生した新生児や肥満女性は出産時の合併症のリスクが高いとされる。観察研究では、母親の肥満関連の遺伝形質が出生時体重と関連することが報告されているが、その因果関係はよく知られていないという。

妊娠高血圧の心筋症リスク、周産期以降も長期に及ぶ/JAMA

 妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorder of pregnancy:HDP)を合併した妊婦は、合併しなかった妊婦と比べ、出産後5ヵ月以降に心筋症を発症するリスクが、わずかであるが統計学的に有意に高いことが示された。デンマーク・Statens Serum Institut社のIda Behrens氏らによる、デンマークの全国レジストリを用いたコホート研究の結果、明らかになった。これまでにHDP、とくに妊娠高血圧腎症の妊婦では、出産前1ヵ月~出産後5ヵ月以内の周産期心筋症のリスクが増加することが報告されていたが、HDPが出産後5ヵ月以降の心筋症とも関連するかどうかについては不明であった。JAMA誌オンライン版2016年3月8日号掲載の報告。

35歳以上の妊婦に分娩誘発は有害か/NEJM

 高年齢妊婦では帝王切開の頻度が高いが、35歳以上の初産妊婦に対し妊娠39週での分娩誘発は、待機的管理と比べて、帝王切開率へ有意な影響をもたらすことはなく、また母体および新生児への短期的有害作用も及ぼさないことが明らかにされた。英国・ノッティンガム大学のKate F. Walker氏らが無作為化試験の結果、報告した。35歳以上の妊婦では、より若い妊婦の場合と比べて正期産における死産リスクが高い。一方で、分娩誘発によりそのリスクは低下可能だが、帝王切開リスクが上昇する可能性が示唆されていた。NEJM誌2016年3月3日号掲載の報告。

妊婦の体重増加に関する国際基準が完成/BMJ

 英国・オックスフォード大学のLeila Cheikh Ismail氏らは、INTERGROWTH-21stプロジェクト「胎児発育追跡研究(Fetal Growth Longitudinal Study:FGLS)」のデータを用い、妊娠中の体重増加量について国際基準を作成した。現在利用されている妊娠中の体重増加のガイドラインやチャートは、特定の国の研究から得られたもので、研究方法などに違いがあるため適正な体重増加量にも差があり、コンセンサスが得られていなかった。BMJ誌オンライン版2016年2月29日号掲載の報告。

卵巣がんへの週1回パクリタキセル、生存期間を延長するか/NEJM

 進行卵巣がんに対するパクリタキセル+カルボプラチン併用療法では、投与間隔を1週ごとに短縮した投与法(dose-dense療法)を行っても、通常の3週ごとの投与法に比べ予後は改善しないことが、米国・Sutterがん研究所のJohn K Chan氏らが行ったGOG-0262試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年2月25日号に掲載された。投与の間隔を狭めて頻度を高めたdose-dense療法は、血管新生を阻害し、アポトーシスを促進するため、薬剤の抗腫瘍効果を増強する可能性があるという。パクリタキセルの毎週投与法は乳がん患者の生存期間を延長することが示され、卵巣がんでは日本の研究(JGOG 3016試験)でdose-dense療法の有望な結果が報告されている。

妊娠とメトホルミン-本当に「禁忌」なのか?-(解説:住谷 哲 氏)-492

肥満人口の増加とともに、耐糖能異常を合併した妊婦の数も増加している。耐糖能異常合併妊娠は、妊娠前糖尿病、妊娠糖尿病に分類されるが、その管理目標は母児の周産期合併症を予防することにある。妊娠中の血糖管理の基礎は食事療法であるが、血糖降下薬を必要とする場合は少なくない。

中絶胎児で小頭症を確認、脳内からジカウイルス検出/NEJM

 ブラジルで妊娠初期にジカウイルスに感染したと考えられる25歳の欧州女性が、妊娠32週で人工中絶。その胎児解剖の結果、小頭症が認められ、脳内からはジカウイルスが検出された。スロベニア共和国・リュブリャナ大学のJernej Mlakar氏らによる症例報告で、NEJM誌オンライン版2016年2月10日号で発表した。中南米とカリブ地域では2015年、ジカウイルス感染症の流行が報告され、同ウイルスに感染した母親から生まれた新生児の小頭症が増加していることが重大な懸念として持ち上がっている。

非糖尿病の肥満妊婦にメトホルミンは有用?/NEJM

 BMI35超で非糖尿病の妊婦に対する周産期におけるメトホルミン投与は、新生児の出生体重を減少せず、一方で母親の妊娠中の体重増を抑制し、妊娠高血圧腎症罹患率は低下した。英国・キングス・カレッジ病院のArgyro Syngelaki氏らが、450例の妊婦を対象に行った試験の結果、示された。肥満は有害妊娠アウトカムのリスク増大との関連が知られている。しかし、これまでに行われた生活習慣介入試験では、転帰の改善は認められていない。メトホルミンは、妊娠糖尿病を有する妊婦への投与で、非投与の妊婦と比べて体重増加量が少なかったことが報告されていた。NEJM誌2016年2月4日号掲載の報告。

妊娠後期のビタミンD補給で子供の喘鳴を予防できるか/JAMA

 母親が妊娠後半(妊娠7ヵ月以降)にビタミンD3を補給しても、生まれた子の持続性喘鳴のリスクは低下しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学のBo L. Chawes氏らが行った単一施設での二重盲検無作為化比較試験で明らかとなった。この試験は、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010 :COPSAC2010)の一環として行われたもの。これまで、観察研究において妊娠中のビタミンD摂取量増加により子の喘鳴を予防できる可能性が示唆されていたが、妊婦へのビタミンD投与による予防効果について検証はされていなかった。JAMA誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。

妊娠中のビタミンD補充は子供の喘息予防に有効か/JAMA

 出生後の子供の喘息リスクが高い妊婦では、ビタミンDの補充により妊娠後期のビタミンD値が有意に上昇したが、子供が3歳までに喘息または再発喘鳴を来すリスクは低下傾向を認めたものの有意ではなかったとの研究成果を、米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAugusto A Litonjua氏らが、JAMA誌2016年1月26日号で報告した。喘鳴は出生から数週で始まり、その発生に関与する出生前の決定因子の存在が示唆されている。ビタミンDは、胎児期~出生後早期の肺および免疫系の発育に影響を及ぼし、妊娠期のビタミンDの欠乏は早期の喘息や喘鳴の発症に重要な役割を果たしている可能性があるという。