消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

ピロリ除菌療法は慢性蕁麻疹患者に有益?

 ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori:HP)が慢性特発性蕁麻疹(CSU)の発生および症状の持続と関連する可能性を示唆する知見が、韓国・高麗大学校医科大学のHyun Jung Kim氏らによるメタ解析の結果、示された。CSU症状を抑制するうえでHP除菌療法の影響が重要な意味を持つ一方、CSU寛解は除菌の成功とは関連しないことなどが明らかになったという。結果を踏まえて著者は「HPとCSUの関連メカニズムを評価するためには、さらなる研究が推奨される」とまとめている。これまでHP感染症がCSUの病因に関与していると考えられてはいたが、CSU症状改善に関するHP除菌療法の効果は明らかにされていなかった。Helicobacter誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。

EMA承認の新規がん治療薬、重要研究の半数が高バイアスリスク/BMJ

 2014~16年の期間に欧州医薬品庁(EMA)によって承認された新規がん治療薬に関して、その承認の基盤を形成する重要研究の多くは無作為化対照比較試験であったが、約半数は試験デザインや解析法に基づくバイアスのリスクが高いことが、米国・ハーバード大学医学大学院のHuseyin Naci氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年9月18日号に掲載された。EMAによって承認された新規がん治療薬の多くは無作為化対照比較試験による検討が行われ、治療効果の評価で“gold standard”と見なされているが、その試験デザインの特性やバイアスのリスク、報告の適切性の評価は十分には行われていないという。

中等症~重症潰瘍性大腸炎、ベドリズマブvs.アダリムマブ/NEJM

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の治療において、ベドリズマブはアダリムマブに比べ、臨床的寛解および内視鏡的改善の達成に関して優れた効果を発揮するが、副腎皮質ステロイドなしの臨床的寛解には差がないことが、米国・マウントサイナイ医科大学のBruce E. Sands氏らが行ったVARSITY試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年9月26日号に掲載された。生物学的製剤はUCの治療に広く使用されているが、炎症性腸疾患(IBD)患者でこれらの製剤を直接比較した試験は少ないという。ベドリズマブは、腸管選択的に作用し、α4β7インテグリンに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体である。

加齢や疲労による臭い、短鎖脂肪酸が有効

 2019年9月11日、「大腸劣化」対策委員会が主催するメディアセミナーが開催され、松井 輝明氏(帝京平成大学健康メディカル学部 教授)が「『大腸劣化』を防ぐ短鎖脂肪酸のパワーについて」講演を行った。セミナー後半では沢井 悠氏(株式会社サイキンソー)、関根 嘉香氏(東海大学理学部化学科 教授)2名の専門家がそれぞれの視点から腸内細菌叢の重要性を語った。  大腸劣化とは、『大腸に多く存在する腸内フローラが、偏った食生活やストレス・睡眠不足などによって老廃物や有害物質が作られることで正常な機能が保てなくなり、最終的には大腸がんなどの大腸疾患のみならず全身の健康リスクにまで発展すること』を意味する。

免疫チェックポイント阻害薬の効果、抗菌薬投与で減弱?

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を左右する興味深い知見が発表された。広域抗菌薬(ATB)療法によって引き起こされるディスバイオシスが、ICIの効果を減弱する可能性があるという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドン、ハマースミス病院のDavid J. Pinato氏らが、実臨床でICI治療を受ける患者を対象に前向き多施設コホート研究を行い、ICI投与前のATB投与により、全生存期間(OS)および奏効率が悪化したことを示した。著者は「ICI治療予後不良の決定要因として、ATBを介した腸内細菌叢の変化の解明が喫緊の課題である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月12日号掲載の報告。

潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法にウステキヌマブが有効/NEJM

 中等症~重症の潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法および維持療法として、分子標的薬ウステキヌマブ(インターロイキン12/23のp40サブユニットに対するモノクローナル抗体)がプラセボとの比較において有効であることが明らかにされた。米国・マウントサイナイ医科大学のBruce E. Sands氏らが、国際共同第III相臨床試験「UNIFI試験」の結果を報告した。潰瘍性大腸炎は慢性の炎症性腸疾患(IBD)で、日本では指定難病とされている。現行の推奨療法は臨床効果に乏しく、感染症やがん罹患のリスクが高いことが知られている。ウステキヌマブは、同じくIBDに分類されるクローン病において、既存治療で効果不十分な活動期症例における有効性が確認されていたが、潰瘍性大腸炎における寛解導入療法および維持療法としての有効性は不明であった。NEJM誌2019年9月26日号掲載の報告。

大腸がん、末梢神経障害を考えるならCAPOX3ヵ月療法

 これまでに、大腸がんに対するFOLFOX療法およびCAPOX療法の3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性は報告されているが、オキサリプラチン併用化学療法は、末梢性感覚ニューロパチー(PSN)と関連することが知られている。国立がん研究センター東病院の吉野孝之氏らは、StageIII大腸がん患者を対象とした無作為化非盲検第III相臨床試験「ACHIEVE試験」において、長期持続性PSNの発生率は6ヵ月投与法より3ヵ月投与法で、またmFOLFOX6療法よりもCAPOX療法で、有意に低いことを明らかにした。

FGFR阻害薬pemigatinibが胆管がんで高い奏効率(FIGHT-202)/ESMO2019

 独・ハノーヴァー医科大学のVogel.A氏は、既治療で線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体2(FGFR2)融合/再構成遺伝子を有する進行胆管がんに対する分子標的治療薬pemigatinib投与は有用との第II相試験結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。pemigatinibはインサイト社が開発中のFGFR1、FGFR2、FGFR3の選択的チロシンキナーゼ阻害薬。FGFR2融合遺伝子は、胆管がんの10~16%に発現するとされる。

福井大、臨床実習を「見える化」するシステムを開発・販売

 2019年9月、福井大学はICTを使った臨床実習の管理システムを開発、発売すると発表した。医学部の5、6年生が病院に出向いて行う臨床実習は、いまだに紙で管理されているケースが多い。結果として、電子カルテとの連携が限られる、管理や評価が煩雑、双方向コミュニケーションに限界がある、など多くの問題点が生じていた。  今回発表した「F.CESS(エフ・セス)」は福井大学が学内ベンチャーと共同で開発。実習スケジュール管理、実習用カルテの記載、評価、学生と教員のコミュニケーション、他科連携など、従来さまざまな手段で行われてきた臨床実習周りの機能を一元的に管理できるようにした。

オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。  近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。