消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:149

心筋梗塞のNSAIDsに関連した上部消化管出血に対するPPIの役割(解説:上村 直実 氏)-449

日本とは異なり欧米では、心筋梗塞(MI)の再発予防のために抗血栓薬を内服している患者の中で、心血管リスクを伴うにもかかわらず、関節痛などの疼痛緩和目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用しているものが非常に多い。抗血栓薬とNSAIDsの併用は、消化管とくに上部消化管出血のリスクが増大することが知られており、消化管出血のハイリスク患者に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が推奨されているが、リスクが不明な通常患者に対するPPIの有用性は明らかになっていない。

カルシウムとビタミンDの摂取と大腸腺腫予防(解説:上村 直実 氏)-448

数多くの疫学的検討の結果、ビタミンDやカルシウム(Ca)の摂取量ないしは血中濃度が高いほど大腸腺腫や大腸がんのリスクが低く、両者併用による大腸腫瘍予防効果の可能性も指摘されていた。しかし、今回、実際にビタミンDおよびCa投与を用いた介入試験の結果、両者いずれの投与によっても統計学的に有意な腫瘍抑制効果は認められなかった。

緑茶やコーヒーで胆道がんリスクは減少するか

 緑茶やコーヒーの摂取が、数種類のがんリスクを減少させる可能性があるが、胆道がんについてはよくわかっていない。大阪大学の牧内 武氏らは、緑茶(緑茶全体、煎茶、番茶/玄米茶)およびコーヒーの摂取と、胆道がんおよびそのサブタイプのリスクとの関連を、日本における集団ベースの前向きコホート研究で検討した。その結果、緑茶摂取量が多いと胆道がんリスクが減少する可能性が示唆され、その効果は煎茶に起因する可能性があるという。また、コーヒー摂取とは関連がなかった。Cancer science誌オンライン版2015年11月4日号に掲載。

炎症性腸疾患、遺伝的には3分類が適切/Lancet

 英国・Wellcome Trust Sanger InstituteのIsabelle Cleynen氏らは、クローン病と潰瘍性大腸炎(UC)の遺伝的決定因子に関する大規模な遺伝子型関連研究を行った。その結果、現在、両者を炎症性腸疾患(IBD)に類するものとする定義付けを支持する結果が得られたものの、分類としては3群(回腸クローン病、大腸クローン病、UC)とするほうがより適切であることなどを報告した。現在、クローン病とUCは、IBDの2大疾患とされており、これまで同分類概念を基に治療戦略が確立されてきた。Lancet誌オンライン版2015年10月16日号掲載の報告。

心筋梗塞後の患者にPPIは有益か/BMJ

 心筋梗塞(MI)後で抗血栓薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受ける患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与は、消化管出血リスクの低下と関連することが示された。抗血栓薬、NSAIDs、PPIの種類にかかわらず関連がみられたという。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne-Marie Schjerning Olsen氏らが、同国入院患者データを分析し報告した。著者は今回の結果について、「観察非無作為化試験であり限定的である」としたうえで、MI後でNSAIDs服用を必要とする患者について、PPI投与はベネフィットをもたらす可能性があると述べている。BMJ誌オンライン版2015年10月19日号掲載の報告より。

大腸腺腫の再発予防にビタミンD、カルシウムは有効か/NEJM

 大腸腺腫の切除術後の再発予防に、ビタミンD3およびカルシウムの摂取は有効ではないことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJohn A Baron氏らの検討で示された。疫学データや前臨床データでは、ビタミンDの摂取量や血中濃度が高いほど、またカルシウムの摂取量が多いほど大腸新生物のリスクが低いことが示唆されている。また、これらを併用すると、相乗的な化学予防効果が得られる可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年10月15日号掲載の報告より。