消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:138

胆汁性胆管炎の皮膚そう痒、画期的新薬が有望/Lancet

 原発性胆汁性胆管炎では、患者の最大70%に皮膚そう痒が発現する。開発中の回腸型胆汁酸トランスポータ(IBAT)阻害薬GSK2330672は、皮膚そう痒の重症度を軽減し、重篤な有害事象の発現もなく耐用可能との研究結果が、Lancet誌オンライン版2017年2月7日号に掲載された。報告を行った英国・ニューカッスル大学のVinod S Hegade氏らの研究グループは、「本薬は原発性胆汁性胆管炎患者の皮膚そう痒の治療における画期的新薬(first-in-class)であり、新たな重要な進歩となる可能性があるが、下痢の頻度が高いため、長期投与には限界があるかもしれない」と指摘している。

アスピリン使用と膵がんリスク低下の関連性

 喫煙や肥満を避けること以外に、膵がんを予防するための方法はほとんど明らかになっていない。また、アスピリン使用と膵がんリスクとの関連性について、これまでの研究では一致した結果が得られていない。米国・イェール大学公衆衛生大学院のHarvey A. Risch氏らの研究で、アスピリンの定期的使用が膵がんリスクを低下させる可能性が示唆された。Cancer Epidemiology,Biomarkers&Prevention誌2017年1月号掲載の報告。

精神的苦痛は発がんリスクを増大/BMJ

 精神的苦痛(うつ、不安の症状)が重くなるほど、大腸がんや前立腺がんのリスクが高まり、精神的苦痛は発がんの予測因子となる可能性があることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG David Batty氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月25日号に掲載された。精神的苦痛とがんとの関連については、(1)精神的苦痛に繰り返し曝されるとナチュラルキラー細胞の機能が喪失して腫瘍細胞の増殖を招く、(2)うつ症状は視床下部-下垂体-副腎系の異常をもたらし、とくにホルモン関連がんの防御過程に不良な影響を及ぼす、(3)苦痛の症状は、喫煙、運動不足、食事の乱れ、肥満などの生活様式関連のリスク因子への好ましくない影響を介して、間接的に発がんの可能性を高めるなどの機序が提唱されている。

PPIは認知症リスクになるのか~系統的レビュー

 最近の研究で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)服用者における認知障害や認知症リスクの増加が示唆されている。オーストラリア・モナッシュ大学のRiley Batchelor氏らが、これらの関連を系統的レビューにより検討したところ、PPI使用と認知症および急性の認知障害に正の相関が認められた。著者らは、今回の系統的レビューには方法論的な問題と相反する結果があるため、さらなる縦断研究が必要としている。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2017年1月27日号に掲載。

C.difficile感染症、bezlotoxumabで再発リスク低下/NEJM

 クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)に初感染または再発し経口抗菌薬を投与された成人患者に対し、bezlotoxumabを投与することで、12週以内の再発リスクが10%以上有意に低下したことが示された。英国・Leeds General InfirmaryのMark H. Wilcox氏らが、2,655例を対象に行った第III相臨床試験の結果で、NEJM誌2017年1月26日号で発表した。安全性プロファイルはプラセボと類似していたこと、bezlotoxumabにアクトクスマブを併用投与しても、その低減効果は変わらなかったことも報告されている。

LG入りヨーグルトがアスピリン誘発小腸傷害を軽減

 アスピリン誘発小腸傷害に対するプロバイオティクスの効果はまだ十分に検討されていない。今回、東海大学の鈴木孝良氏らが実施したプラセボ対照二重盲検比較試験で、ラクトバチルスガセリOLL2716(LG)が、アスピリン誘発小腸傷害の軽減および消化管症状の緩和に有用であることが示された。Digestion誌2017年1月号に掲載。

軟性S状結腸鏡検査、60歳以上の女性では効果なし?/BMJ

 軟性S状結腸鏡検査による大腸がんスクリーニングは、大腸がん発症リスクを男性では24%、女性では17%の減少効果があったものの、年齢別にみると60歳以上の女性については同スクリーニングによる大腸がん発症リスクの抑制効果は認められなかった。ノルウェー・Sorlandet Hospital KristiansandのOyvind Holme氏らが、被験者総数約29万例を対象に行ったプール解析で明らかにしたもので、BMJ誌2017年1月13日号で発表した。軟性S状結腸鏡検査スクリーニングは、無作為化試験で、大腸がんへの有用性が示されているが、年齢および性別にみたスクリーニング効果は不明であった。