消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:109

バイオシミラーはインフリキシマブと同等の効果を有するのか?(解説:上村直実氏)-1042

クローン病(CD)は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国の患者数は現在約4万人で、医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。CDに対する薬物療法は、症状や炎症の程度によって、寛解導入と寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬と段階的にステップアップする薬物療法および栄養療法が行われていたが、治療抵抗性を示すケースが多かった。近年開発された抗TNF-α抗体をはじめとする生物学的製剤の登場は、治療の選択肢を大幅に広げ、CD治療の目的である活動性のコントロールとQOL向上に大きな有用性を発揮している。

がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。  2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。

局所進行胃がん周術期療法、FLOT vs.ECF/ECX/Lancet

 切除可能な局所進行胃・胃食道接合部腺がんの治療において、ドセタキセルベースの3剤併用レジメンによる術前後の化学療法は標準レジメンと比較して、全生存期間(OS)を1年以上延長することが、ドイツ・UCT-University Cancer Center FrankfurtのSalah-Eddin Al-Batran氏らが行ったFLOT4-AIO試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年4月11日号に掲載された。術前後のエピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル(ECF)の有用性を示した大規模臨床試験(MAGIC試験)以降、いくつかのレジメンが検討されたが、いずれも不成功に終わっている。ドセタキセルベースの化学療法では、転移を有する胃・胃食道接合部腺がんにおける有効性が報告されている。

英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ

 2017年3月、英国政府は、食品製造および小売業界との協働で、シリアルや菓子類など特定の食品群の砂糖含有量を2020年までに20%削減する計画を発表した。イングランド公衆衛生庁(Public Health England)は、砂糖摂取目標を1日摂取カロリーの5%までとすることで摂取カロリーを11%削減し、これによって年間砂糖関連死を4,700件減らし、医療費を年間5億7,600万ポンド抑制するとのモデルを打ち出した。今回、同国オックスフォード大学のBen Amies-Cull氏らは、砂糖減量計画の潜在的な健康上の有益性について予測評価を行い、BMJ誌2019年4月17日号で報告した。

週1本のワインによるがん生涯リスクはタバコ何本に相当?

 適度のアルコールもやはりリスクなのか。英国・サウサンプトン大学病院 NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らが英国のデータを解析し、ワインを1週間に1本飲む女性は、アルコール関連がんの生涯絶対リスクが増加し、この増大をもたらしているのは、乳がんであることを明らかにした。女性では、週1本のワインは週10本の喫煙に相当するという。著者は、「今回の結果は、女性にとって適度な飲酒は公衆衛生上の重大なリスクであることを知ってもらうのに役立つだろう。

女性化乳房のPPIによる発症リスクを調査

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)による女性化乳房の症例報告は多いが、大規模な疫学研究はなかった。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のBonnie He氏らが大規模な後ろ向きコホート研究を実施し、男性患者におけるPPIによる女性化乳房リスクを調べた。その結果、PPI使用による女性化乳房発症リスクはアモキシシリン使用に比べ、50歳超で1.5倍であった。Pharmacotherapy誌オンライン版2019年3月13日号に掲載。

大腸がん治療へのビタミンD補充、高用量 vs.標準用量/JAMA

 切除不能大腸がんの治療における標準化学療法へのビタミンD3補充療法の併用では、高用量は標準用量と比較して無増悪生存を改善しないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らが行ったSUNSHINE試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月9日号に掲載された。転移を有する大腸がんの前向き観察研究により、血漿25ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値が高いほうが、生存は良好と報告されている。この知見を確証するための無作為化試験の実施が求められていた。

消化管がんの2次予防にビタミンD補充は有効か/JAMA

 消化管がんの2次予防において、ビタミンD補充はプラセボと比較して、5年無再発生存率を改善しないことが、東京慈恵会医科大学の浦島 充佳氏らが実施したAMATERASU試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月9日号に掲載された。消化管がんの2次予防では、ビタミンD補充の有用性を示唆する観察研究の報告があり、無作為化試験の実施が求められていた。  本研究は、消化管がんにおける術後ビタミンD3補充療法の有用性の評価を目的に、単施設(国際医療福祉大学病院)で行われた二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(国際医療福祉大学病院と東京慈恵会医科大学の助成による)。

がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。

小児の潰瘍性大腸炎、ステロイドフリー寛解予測因子とは/Lancet

 新たに潰瘍性大腸炎(UC)と診断された小児患者において、52週時のステロイドフリー(メサラジン単独療法)寛解の予測に、初期の臨床的活動性および4週までの治療反応が有用であることが、米国・コネチカット小児医療センターのJeffrey S. Hyams氏らによる検討の結果、明らかにされた。新たに診断された小児UCについては、エビデンスベースのアウトカムデータの不足が、作成された治療計画に不確実性をもたらしている、として問題視されていた。