消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

胃がん周術期、デュルバルマブ+FLOTでOS改善(MATTERHORN最終解析)/Lancet

 米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らMATTERHORN investigatorsは、切除可能な胃または胃食道接合部腺がん患者を対象とした「MATTERHORN試験」の全生存期間(OS)に関する最終解析結果を報告し、周術期デュルバルマブ+FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)療法により、プラセボ+FLOT療法と比較しOSの有意な改善が認められたことを示した。周術期FLOT療法とデュルバルマブの併用は、切除可能な胃または胃食道接合部腺がん患者において無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効率を改善することが報告されていた。Lancet誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告。

重度腹膜転移を伴う進行胃がん、mFOLFOX6は選択肢か

腹腔全体に及ぶ大量腹水や輸液補助を要する経口摂取不良を伴う重度腹膜転移を有する進行胃がん患者は、主要な臨床試験から除外されてきた。そこで、愛知県がんセンター薬物療法部の舛石 俊樹氏らは、重度腹膜転移を有するHER2陰性・化学療法未治療の進行胃がん患者を対象に、mFOLFOX6療法を評価する第II相試験「WJOG10517G」を実施した。その結果、mFOLFOX6療法は忍容可能で、治療選択肢となりうることが示された。本研究結果は、Gastric Cancer誌オンライン版2026年8月27日号に掲載された。

T-DXd関連ILD、日本人の胃がん・乳がん患者で死亡例に多い所見は?

トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関連する間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎は、治療継続や生命予後に関わる重要な有害事象である。そこで、愛知県がんセンター呼吸器内科の藤原 豊氏らは、日本人の乳がんおよび胃がん患者を対象とした市販後全例調査のデータを用いて、独立したILD判定委員会により判定されたT-DXd関連ILDの臨床的・画像的特徴を検討した。その結果、多くは軽度~中等度で副腎皮質ステロイドに反応した一方、びまん性肺胞傷害(DAD)パターンは死亡例に多くみられた。本研究結果は、The Oncologist誌オンライン版2026年9月7日号に掲載された。

MASHへのセマグルチド、日本人でも有効性示す/ESSENCE試験サブグループ解析

代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)では、肝線維化の進展抑制や脂肪肝炎の改善を目指した薬物治療の確立が課題となっている。そこで、国際医療福祉大学 消化器内科統括教授の中島 淳氏らは、第III相ESSENCE試験のサブグループ解析として、MASHを有する日本人参加者におけるセマグルチドの有効性と安全性を検討した。その結果、日本人集団において、セマグルチドは肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失などの達成割合をプラセボより高め、全体集団と方向性が一致した有効性と安全性を示した。本研究結果は、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年8月28日号に掲載された。

ピロリ菌感染、胆道がんや膵がんリスクとの関連は/愛知県がんセンターほか

胃がんの確立したリスク因子であるHelicobacter pylori(H. pylori)感染は、胆道がん(BTC)や膵がん(PC)にも関与する可能性が指摘されているが、これまでのエビデンスは一貫していない。また、生殖細胞系列病的バリアントがH. pylori感染と胃がんリスクとの関連を修飾する可能性がある一方、BTCやPCでの役割は明らかではない。そこで、愛知県がんセンター研究所の山本 清花氏らは、日本人集団を対象に、遺伝的感受性や生活習慣因子を考慮してH. pylori感染とBTCおよびPCリスクとの関連を検討した。その結果、BTCリスクとの有意な関連は認められなかったが、PCではH. pylori感染指標とリスクの関連が、発生部位によって異なる可能性が示された。本研究結果は、International Journal of Cancer誌オンライン版2026年7月14日号に掲載された。

胃がん前がん病変、サブタイプ別の進行率~メタ解析

胃の腸上皮化生(IM)および異形成は胃がんの前がん病変とされるが、サブタイプ別の有病率や胃がんへの進行リスクについては十分に整理されていない。そこで、米国・Weill Cornell Medical College of Cornell UniversityのYende Grell氏らは、IMおよび異形成のサブタイプ別の有病率や胃がんへの進行リスクを、世界的なデータを用いてシステマティックレビューおよびメタ解析で検討した。その結果、不完全型IMおよび高異型度異形成(HGD)では、対応するほかのサブタイプと比べて胃がんへの進行率が高かった。本研究結果は、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2026年9月1日号に掲載された。

骨盤リンパ節郭清のAI支援、医師の認識能を向上/国立がん研究センター、Jmees

 骨盤リンパ節郭清においてAIによる支援は外科医の重要な解剖学的構造の認識を向上させることがわかった。  骨盤リンパ節郭清は、大腸がんや子宮頸がん、前立腺がん、膀胱がんなどの手術において、がんのリンパ節転移の確認とともに、転移のあるリンパ節を切除し再発を防ぐ重要な手術手技である。しかし、骨盤内には血管、神経、尿管などの重要な臓器および組織が存在しており、これらを損傷すると重大な合併症につながる可能性がある。そのため、手術には高度な解剖学的知識と技術が求められる。

「消化性潰瘍診療GL2026」、ボノプラザンの位置付けを強化/J Gastroenterol

消化性潰瘍では、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)使用が主要因である一方、除菌治療の普及や強力な酸分泌抑制薬の登場により、有病率や死亡率は低下している。しかし、特発性潰瘍や非H. pylori性ヘリコバクター(NHPH)感染による潰瘍の増加傾向が注目されている。日本消化器病学会(JSGE)は2026年4月に「消化性潰瘍診療ガイドライン2026(第4版)」を改訂、治療アルゴリズムの骨格は大きく変えず、H. pylori除菌治療について状況に応じた選択肢を整理するとともに、薬物療法ではボノプラザンの位置付けを強化した。本改訂内容は、ガイドライン作成・評価委員会の杉本 光繁氏らより論文化され、Journal of Gastroenterology誌オンライン版2026年8月24日号に掲載された。

IBD患者の大腸がん発生、家族歴でどこまで増える?

炎症性腸疾患(IBD)では大腸がん(CRC)リスクが高いことが知られており、CRC家族歴も重要なリスク因子とされる。一方、IBD患者においてCRC家族歴がCRC発生に及ぼす影響を検討した研究は少ない。そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAsa H. Everhov氏らは、IBD患者とマッチさせた一般人口対照を対象に、CRC家族歴別のCRC発生率と発生率差、およびIBDとCRC家族歴の相互作用を検討した。その結果、CRC家族歴はIBD患者と一般人口対照のいずれにおいても絶対尺度では同程度にCRC発生を増加させ、増加幅はCRC罹患者が複数いる場合に最も大きかった。本研究結果は、Gastroenterology誌オンライン版2026年9月3日号に掲載された。

進行肝細胞がん、アテゾリズマブ+ベバシズマブ後の肝切除追加でTTF延長/Lancet

 未治療の大血管浸潤を伴う局所進行肝細胞がん(HCC)患者において、アテゾリズマブ+ベバシズマブによる治療後に肝切除術を行って術後に同療法を再開することは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を継続する場合と比較して、治療成功期間(TTF)を有意に延長させたことが、中国・復旦大学のHui-Chuan Sun氏らによる多施設共同非盲検無作為化第III相試験「TALENTOP試験」の結果で示された。進行HCC患者に対して全身療法後に肝切除術を行うことは、さらなる治療効果をもたらす可能性が示されているが、この治療方針を支持する質の高いエビデンスが不十分である。そこで、研究グループは全身療法で病勢コントロールが得られた進行HCC患者において、肝切除術の追加の有効性と安全性を検討した。Lancet誌2026年8月22日号掲載の報告。