消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

RAS変異陽性既治療膵管腺がん、daraxonrasibが有効か/NEJM

 RAS遺伝子変異を有する既治療膵管腺がん(PDAC)患者において、daraxonrasib(RMC-6236、GTP結合型変異および野生型RASを標的とする経口のRAS(ON)マルチ選択的阻害薬)は、300mg用量の投与により抗腫瘍活性が示され、Grade3以上の治療関連有害事象は約3割で認められた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のBrian M. Wolpin氏らRMC-6236-001 Investigatorsが、同国の16施設で実施した第I/II相試験「RMC-6236-001試験」の結果を報告した。PDACに対する現行治療法は有効性が限定的である。PDACの90%以上で活性化RAS遺伝子変異が認められることから、これを治療標的とした新たな治療法が期待されていた。NEJM誌2026年5月7日号掲載の報告。

「MASLD診療ガイドライン」改訂、脂肪肝を全身疾患として再定義/日本消化器病学会

 2026年4月、「MASLD診療ガイドライン」が改訂された。2020年に発刊した前版の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」から6年ぶりの改訂で、第3版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、改訂ポイントを解説するパネルディスカッションが開催された。  今改訂の最大のトピックスは、疾患名の変更とその定義だ。従来、脂肪性肝疾患に用いられてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」の疾患名は国際的コンセンサスに基づき、2023年に「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」に変更された。

医療者向けChatGPT登場!米国在住の医師が特別レポート

多くのAIツールを医療者が使うようになり、医療者の情報検索に特化したOpenEvidenceなどの専門AIツールも急速に普及するなか、4月末に汎用型AIツール・ChatGPTが医療者向けのChatGPT for Cliniciansをリリース。現時点では使用は米国在住の医師に限られるものの、医療AIの「本命」となるのかが注目される。CareNet.comで「タイパ時代のAI英語革命」「医療者のためのAI活用術」などを連載する原田 洸氏(米国・マウントサイナイ医科大学病院)が使用感を特別レポート。

週末の大量飲酒で肝線維化リスクが約3倍に

 多くの人は、平日はほとんど飲酒せずに過ごしていれば、土曜日の夜に多少飲み過ぎても問題ないと考えがちである。しかし、普段の飲酒量が控えめであっても、週末などにまとめて大量飲酒すること(一時多量飲酒)は、肝不全につながる危険な瘢痕化である肝線維化のリスクを3倍に高める可能性が、新たな研究で示された。米南カリフォルニア大学ケック医学校のBrian Lee氏らによるこの研究は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月2日掲載された。  この研究結果は、「どのくらい飲むか」だけでなく「どのように飲むか」も同様に重要であることを示している。

「消化性潰瘍診療ガイドライン」改訂、ポストピロリ時代に対応/日本消化器病学会

 2026年4月、「消化性潰瘍診療ガイドライン」が改訂された。2021年から5年ぶりの改訂で、第4版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、「日常臨床の現場に残された消化性潰瘍の解決すべき課題 ポストピロリ時代におけるガイドラインの改訂」と題したパネルディスカッションが行われ、各セクションを担当したガイドライン作成委員会委員から、改訂のポイントが紹介された。  冒頭では、ガイドライン作成委員会委員長を務めた鎌田 智有氏(川崎医科大学)が基調講演を行った。

糞便微生物移植で重症C. difficile感染症の生存率が改善か

 生命を脅かすClostridioides difficile感染症(C. difficile感染症)の患者では、糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation;FMT)を迅速に行うことで生存率が改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。FMTは、健康なドナーの腸内細菌を患者の消化管に移植し、腸内細菌叢のバランス回復を目指す治療法である。米ミネソタ大学医学部マイクロバイオータ治療プログラムディレクターのAlexander Khoruts氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月6日掲載された。

在宅化学療法は安全に実施できる

 がん患者に対する化学療法は、病院や治療施設で長時間をかけて、点滴で薬剤を静脈に投与するのが通常である。しかし、米メイヨー・クリニック総合がんセンターのRoxana Dronca氏らによる新たな研究で、一部の患者では、自宅でも化学療法を安全に実施でき、患者の負担や煩わしさを大幅に軽減できる可能性が示された。この研究結果は、「NEJM Catalyst」4月号に掲載された。  Dronca氏は、「がん治療は従来、患者が長時間にわたり点滴センターで過ごすことを必要としてきた。しかも多くの場合、その場所は自宅から遠く離れている。

肝硬変患者の肝性脳症リスク、フレイル評価で予測可能か

 肝硬変では、肝臓の機能低下に伴い意識障害や認知機能低下を来す「肝性脳症」が生じ、患者の生活の質や予後に大きく影響することが知られている。今回、肝硬変患者を対象とした研究で、簡便なフレイル評価指標であるClinical Frailty Scale(CFS)が、不顕性および顕性肝性脳症の発症リスクの層別化に有用である可能性が示された。研究は、岐阜大学医学部附属病院消化器内科の宇野女慎二氏、三輪貴生氏らによるもので、詳細は2月26日付で「JGH Open」に掲載された。  不顕性肝性脳症(CHE)は肝硬変患者の約40%に認められ、転倒や事故、死亡リスクの増加などと関連することが知られている。

腺腫あり高齢者の定期大腸内視鏡検査、優先順位を下げてよい/JAMA

 75歳以上の高齢者において、75歳前に大腸内視鏡検査で腺腫が認められた人は腺腫が認められなかった人と比べ、その後10年間の大腸がん発症および大腸がん死の発生率は高かったものの、その累積リスクは大腸がん以外の要因による死亡リスクよりはるかに低かった。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSamir Gupta氏らが、同国の退役軍人を対象とした後ろ向きコホート研究の結果で報告した。これまで、腺腫が認められた高齢者の大腸がんのリスクは不明であった。著者は、「高齢者では、他の健康上の懸念事項を優先し、経過観察のための大腸内視鏡検査の優先順位を下げることを検討してよいだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年4月9日号掲載の報告。

医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。