消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

逆流性食道炎へのボノプラザン、5年間の安全性は?(VISION研究)

 逆流性食道炎は再発や再燃を繰り返しやすく、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)による維持療法が長期に及ぶことがある。P-CABのボノプラザンは、PPIより強力かつ持続的な酸分泌抑制を示すが、長期使用による高ガストリン血症を介した胃粘膜の変化や、腫瘍性変化のリスクが懸念されていた。  CareNet.comでは、P-CABとPPIの安全性に関するシステマティックレビューおよびメタ解析結果を報告した論文(Jang Y, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2026;41:28-40.)について、記事「P-CABとPPI、ガストリン値への影響の違いは?」を公開している。

肝腫瘍の「深さ」が手術成績を左右する?ロボット手術が有利となる2.5cmの境界線

 肝臓の腫瘍手術では、腫瘍の大きさや位置が成績を左右することが知られている。なかでも「どれだけ深い場所にあるか」は、手術の難易度に直結する重要な要素だ。今回の研究では、肝腫瘍までの深さに着目し腹腔鏡手術とロボット手術を比較した結果、深さ2.5cmを超える肝部分切除ではロボット手術が有利となる可能性が示された。研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤智和氏、高木弘誠氏、藤原俊義氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Langenbeck's Archives of Surgery」に掲載された。

食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか

 国内における食道がんの初回標準治療は術前化学療法+手術である。近年、切除不能進行再発例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、放射線療法との併用に関する有用性のエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブと放射線療法の併用の有用性を検討するNOBEL試験が行われ、完全奏効(CR)率や1年全生存(OS)率などで有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる本研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。

zanidatamab、HER2陽性胃がん1次治療の新たな選択肢となるか(HERIZON-GEA-01)

 BeOne(旧:BeiGene)は2026年1月6日にプレスリリースを出し、同社が開発する抗HER2二重特異性抗体zanidatamabとPD-1阻害薬チスレリズマブに化学療法を加えた併用療法が、HER2陽性胃がんの1次治療として有用な結果を示したと発表した。HER2陽性胃がん1次治療は長くトラスツズマブ+化学療法が標準治療だったが、新たな選択肢となる可能性がある。日本も参加するこのHERIZON-GEA-01試験の中間解析結果は、2026年1月8~10日に開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)でも報告されている。 ・試験デザイン:国際共同非盲検第III相試験

「全国がん登録」での初の5年生存率発表、小児/成人・性別・進展度・都道府県ごとに集計/厚労省

 厚生労働省は、2026年1月14日に「2016年全国がん登録生存率報告」の結果を公開した。この「全国がん登録」は、すべての病院と都道府県が指定する診療所に対し、がん患者の情報の登録を義務付けた制度であり、2016年から登録が開始され、今回、初めて5年生存率が公表された。

胃癌学会の認定施設、術後死亡率リスクを有意に低下

 2023年に日本胃癌学会は胃がん診療の質を担保するため、関連する専門医の在籍数、手術数を主な認定基準とした「機関認定制度」をスタートさせた。2026年1月現在、最高水準の「認定施設A」が149、それに次ぐ「認定施設B」が299ある。一方で、この制度が実際の診療の質向上につながるのかは明らかでなかった。鳥取大学の松永 知之氏による研究チームは、2020〜22年に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を対象に、認定施設と非認定施設の術後短期成績を比較する後ろ向きコホート研究を実施した。  全国臨床データベース(NCD)登録例を用い、2020年1月~2022年12月に実施された遠位胃切除術および胃全摘術を受けた患者を対象とした。

15分で判定可能なC型肝炎ウイルス迅速PCR検査を開発

 米ノースウェスタン大学が開発した迅速検査のおかげで、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかを15分以内に判定できるようになった。この検査により、医師は診察中に感染症を診断し、その場で治療を開始できるようになる。ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部グローバルヘルス研究所・グローバル感染症および新興感染症センターのClaudia Hawkins氏らが開発したこの検査に関する詳細は、「The Journal of Infectious Diseases」に12月10日掲載された。  Hawkins氏は、「この検査は、診断を劇的に改善し、治療の普及を加速させ、より多くの人に対するより早期の治癒を可能にすることで、米国および世界のHCV治療に革命をもたらす可能性がある」とニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「遅延を減らし、検査に至るまでの流れを簡素化することで、未治療のHCVによる壊滅的な肝臓関連の合併症から何百万人もの命を救う可能性がある」と付け加えている。

MASLD患者における死亡リスクを最も高める3つの心血管代謝リスク因子を特定

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の患者では、高血圧、耐糖能異常、低HDLコレステロール(HDL-C)といった心血管代謝のリスク因子(CMRF)が最も死亡リスクを高めるという研究結果が、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に9月17日掲載された。  米南カリフォルニア大学ケック医学部のMatthew Dukewich氏らは、MASLDを有する米国成人における個々のCMRFと全死亡率との関連を調査した。本研究では、脂肪肝指数(Fatty Liver Index;FLI)が60を超え、かつ少なくとも1つのCMRFを有する20歳以上の成人2万1,872人が対象となった。

P-CABとPPI、ガストリン値への影響の違いは?

 胃食道逆流症(GERD)および消化性潰瘍患者において、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)と比較して、全体的な有害事象プロファイルは同様であるが、血清ガストリン値の上昇が有意に大きいことが示された。韓国・亜洲大学校のYewon Jang氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果をJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2025年12月2日号で報告した。  研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryのデータベースを用いて、2024年6月3日までに公開された文献を検索した。対象は、GERDまたは消化性潰瘍(胃潰瘍または十二指腸潰瘍)患者において、P-CABとPPIの安全性を比較した無作為化比較試験(RCT)および観察研究とした。なお、Helicobacter pylori除菌療法での使用は除外した。主な評価項目は有害事象および重篤な有害事象の発現割合とし、血清ガストリン値の変化についても解析した。最終的に11件の研究(RCT 10件、観察研究1件)が抽出され、合計5,896例(P-CAB群3,483例、PPI群2,413例)が解析に含まれた。

『がん患者におけるせん妄ガイドライン』改訂、抗精神病薬+ベンゾジアゼピン系薬など現場で多い処方を新規CQに 

 2025年9月、『がん患者におけるせん妄ガイドライン 2025年版』(日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会編、金原出版)が刊行された。2019年の初版から改訂を重ね、今回で第3版となる。日本サイコオンコロジー学会 ガイドライン策定委員会 せん妄小委員会委員長を務めた松田 能宣氏(国立病院機構近畿中央呼吸器センター心療内科/支持・緩和療法チーム)に改訂のポイントを聞いた。 ――「がん患者におけるせん妄」には、その他の臨床状況におけるせん妄とは異なる特徴がある。がん治療にはオピオイド、ステロイドなどの薬剤が多用されるが、それらが直接因子となったせん妄が多くみられる。さらに、近年では免疫チェックポイント阻害薬に代表されるがん免疫療法の普及に伴い、この副作用としてせん妄を発症する患者も増えている。また高カルシウム血症や脳転移など、がんに伴う身体的問題を背景としてせん妄を発症することもある。進行がん患者におけるせん妄は、その原因が複合的であることが多い。さらに、終末期におけるせん妄では身体的要因の改善が困難であり、治療目標をせん妄の回復からせん妄による苦痛の緩和に変更し、それに合わせてケアを組み立てていく必要もある。