消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

ドンペリドン、葛根湯などに重大な副作用追加/厚労省

 2026年8月25日、厚生労働省は添付文書の改訂指示を発出し、ドンペリドンおよびメトクロプラミド、葛根湯、一部の免疫チェックポイント阻害薬などにおいて「重大な副作用」が追記された。  ドンペリドン(商品名:ナウゼリン錠ほか)、メトクロプラミド(同:プリンペラン錠ほか)および塩酸メトクロプラミド(同:プリンペラン注射液)に対し、国内外の疫学調査において致死性不整脈および心突然死のリスク増加が示唆されたことから、「重大な副作用」に「重篤な不整脈」が追加された。

便潜血検査免疫法キットの郵送により、人種/民族を問わず大腸がんスクリーニング受診率が上昇

 便潜血検査免疫法(FIT)キットの郵送により、人種/民族を問わず大腸がん(CRC)スクリーニング受診率を有意に上昇させることができるという研究結果が、「Annals of Family Medicine」5/6月号に掲載された。  米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のAnisha P. Ganguly氏らは、人種/民族別に、CRCスクリーニング介入の効果を比較した。この介入は、スクリーニング対象患者へのFITキットの郵送と、FITの結果が陽性であった患者に対する患者ナビゲーションで構成された。解析対象は、米国連邦認定保健センターで診療を受けていた患者3,734人であった。

食道がんに腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン」発売――岡山大学発の研究を実用化

 富士フイルム富山化学は8月21日、腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン注」(一般名:スラタデノツレブ)を発売した。根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がんが対象。2026年6月8日に製造販売承認を取得し、8月13日に薬価収載された。製造販売元はオンコリスバイオファーマ、販売元は富士フイルム富山化学で、国産の腫瘍溶解ウイルスを用いた新たな治療選択肢となる。  テロメライシンは、ヒトアデノウイルス5型を遺伝子改変し、腫瘍細胞で選択的に増殖するよう設計した製剤。

大腸がん検診60%目標、2028年達成は困難か

日本では大腸がん検診の受診率向上が公衆衛生上の課題であり、2028年までに受診率60%を達成する目標が掲げられている。一方で、都道府県や性別による受診率の差が目標達成に及ぼす影響は十分に定量化されていない。そこで、一橋大学のHasan Jamil氏らは、2013~22年の全国データを用いて、2028年に大腸がん検診受診率が60%目標に到達する可能性を都道府県別に予測した。その結果、全国の受診率は2028年時点で60%に届かず、多くの都道府県で目標達成確率が低いと推定された。本研究結果は、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月27日号に掲載された。

胃がんに初の周術期治療、D-FLOTレジメン承認/AZ

 2026年6月、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が「胃癌における術前・術後補助療法」の適応追加で国内承認された。これまで手術と術後補助化学療法を中心としてきた日本の胃がん治療に、デュルバルマブとFLOT療法を組み合わせた周術期治療の選択肢が加わることとなる。8月4日に開催されたアストラゼネカのメディアセミナーでは、山梨大学医学部外科学講座第1教室教授の市川 大輔氏が「胃がん治療のアンメットメディカルニーズとMATTERHORN試験がもたらすPractice Change」と題して講演を行った。

AST・ALTが高くなる季節は?

 MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)の評価では、ASTやALTなどの肝機能値が広く用いられている。今回、日本人の2型糖尿病患者約6,000人を対象とした研究で、AST・ALTは晩秋から初冬にかけて高く、夏に低い季節変動を示すことが分かった。さらに、この変動はMASLDスクリーニングの判定に影響する可能性も示された。ALTがスクリーニングの判定境界に近かった患者では、約9人に1人で測定季節によって判定が異なったという。研究は、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の土岐了大氏、国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也氏らによるもので、詳細は6月19日付の「Liver International」に掲載された。

転移大腸がん1次治療への高用量ビタミンD3上乗せ、PFSを延長せず/JAMA

未治療の転移を有する大腸がん(mCRC)の1次治療において、高用量ビタミンD3の補充は標準用量のビタミンD3の補充と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長しないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らによる第III相「SOLARIS(Alliance A021703)試験」の結果で示された。前臨床研究および疫学研究により、大腸がんにおけるビタミンDの抗悪性腫瘍薬としての役割が示され、第II相SUNSHINE試験では、標準用量と比較して高用量ビタミンD3の補充はPFSを改善する可能性が示唆されていた(13ヵ月vs.11ヵ月、多変量補正後ハザード比[HR]:0.64、片側95%信頼区間[CI]:0~0.90、p=0.02)。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年8月3日号に掲載された。

GLP-1受容体作動薬、自己免疫疾患患者の死亡・血栓リスク低下と関連

 肥満を伴う関節リウマチ、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の患者の中で、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が処方されている人は、死亡リスクや血栓症のリスクが低いという研究結果が報告された。米フロリダ大学のAmy Sheer氏らが、フロリダ州などの3州にある14の医療機関の電子カルテ情報を用いて検討したもので、詳細は6月6日付で「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。  GLP-1RAは、2型糖尿病の血糖管理のほかに減量目的でも用いられている。肥満では、全身性の慢性炎症や血管内皮機能の低下により血栓が形成されやすいことが知られていて、また自己免疫疾患も炎症反応を強めるために、肥満を伴う自己免疫疾患患者では、心血管イベントや血栓イベントのリスクが高いと考えられている。

ロボット支援手術導入初期の執刀機会、女性外科医で伸び悩み/日本消化器外科学会

 ロボット支援手術の普及が進む中、新規術式導入期における執刀機会に男女差が存在する可能性が明らかになった。日本消化器外科学会はNational Clinical Database(NCD)のデータを用いた全国規模解析を実施、大阪医科薬科大学の河野 恵美子氏、東京大学の野村 幸世氏らの研究グループは、男性外科医では経験年数に応じてロボット支援手術の執刀数が増加する一方、女性外科医では同様の増加傾向が認められなかったことを報告した。研究成果はSurgery誌オンライン版2026年8月4日号に掲載された。

PPI長期使用、即時中止vs.漸減中止

 長期投与中のプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、症状改善後も漫然と継続されることが少なくない。一方、中止後の症状再燃への懸念から、減量しながら中止すべきか、あるいは即時中止でも問題ないかについては十分なエビデンスがなかった。今回、多施設ランダム化比較試験により、臨床的に安定した胃食道逆流症(GERD)患者において、PPI(P-CABを含む)の即時中止と漸減中止の有効性を比較した結果、両群の中止成功率に有意差は認められなかった。順天堂大学消化器内科の北條 麻理子氏らによる本研究はJournal of Gastroenterology誌2026年8月号に掲載された。