消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

「がんサバイバーの心臓をまもる」市民公開講座を開催/日本腫瘍循環器学会【ご案内】

 日本腫瘍循環器学会は、同学術集会(JOCS2026)開催期間中の2026年9月6日(日)、市民公開講座「がんサバイバーの心臓をまもる―がん罹患後の循環器疾患に対応するプライマリケア医を探せ―」を開催する。  近年、がん治療の進歩により多くのがんサバイバーの長期生存が可能になった一方で、治療後には心不全、不整脈、高血圧、血栓症といった循環器疾患に直面するケースも少なくない。本講座では、乳がんや血液がんなどの小児・AYA世代のがん経験者やその家族にとって関心の高いテーマである、「がん治療後に起こりうる心臓・血管の問題」「体調変化を感じたときの相談先」「かかりつけ医や地域医療との連携」などについて、医師、薬剤師、患者アドボケイトが共に考える内容となっている。

便秘や下痢は大腸がんの危険因子なのか

 大腸がんの危険因子として慢性便秘や下痢などの排便習慣の異常が提唱されているが、大規模な前向き研究やメタアナリシスでは便秘・下痢と大腸がんの明確な因果関係は確認されていない。今回、ドイツ・University Hospital of the Ruhr University BochumのErnst W. Kolbe氏らがリアルワールドのプライマリケアデータを用いた大規模傾向スコアマッチング症例対照研究を実施した結果、大腸がんの診断直前の数ヵ月間においてのみ、便秘と下痢がその後の大腸がん診断と関連しており、因果関係というより逆因果関係が示唆された。BMJ Open Gastroenterology誌2026年7月6日号に掲載。

PPI、P-CABなどに「低マグネシウム血症」の重大な副作用追加/厚労省

 2026年7月14日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、PPIやP-CABなどの消化性潰瘍治療薬の「重大な副作用」および「重要な基本的注意」の項に、「低マグネシウム血症」に関する注意が追加された。  各製剤における低マグネシウム血症関連事象を評価した結果、PPI含有製剤と低マグネシウム血症との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。ただし、PPI単剤で因果関係の否定できない症例が複数確認できるため、一部のパック剤および配合剤についての集積状況は確認されていない。

ピロリ除菌後の胃がん、喫煙が独立したリスク因子

 Helicobacter pylori(H. pylori)除菌に成功した後も胃がんが発症するリスクは残存し、喫煙が独立したリスク因子であることが、日本の全国規模コホート研究で示された。現在喫煙者における毎日の飲酒は、非喫煙・非飲酒者と比較して胃がんリスクのさらなる上昇と関連していた。朝日生命成人病研究所 附属病院の新井 絢也氏らによる本研究はHelicobacter誌2026年5・6月号に掲載された。

コーヒーはなぜ脂肪肝を抑制するのか

 コーヒーは脂肪肝などの代謝性疾患リスクを減らすことがメタ解析で示唆されている。遊離脂肪酸や炭水化物を豊富に含む門脈血は脂肪肝の一因となるが、コーヒー摂取により上腸間膜動脈(SMA)とそれに続く門脈の血流が減少することが脂肪肝リスク抑制の一因となっている可能性がある。しかしながら、これまでコーヒー摂取でこれらの血流が減少するかどうか成人で検討した研究は見当たらない。今回、杏林大学の研究グループが若年男性の腹部血流を超音波検査で調べた結果、コーヒー摂取でSMAおよび門脈の血流が減少したことがわかった。Pharmacology research & perspectives誌2026年8月号に掲載。

日本初のMASH治療薬、MASLD/MASH診療は新たな局面に/ノボ

 代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)および代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の診療は、近年病名変更や非侵襲的診断法(NIT)の進歩によって様変わりした。一方で、肝線維化の進展を抑制する薬物療法は長らく存在せず、生活習慣改善が治療の中心であった。そのような中、2026年6月、すでに肥満症治療薬として広く用いられているGLP-1受容体作動薬セマグルチド(商品名:ウゴービ)が、日本で初めてMASHを適応症とする追加承認を取得し、国内のMASLD/MASH診療は新たな局面を迎えた。

革新的B型肝炎治療薬bepirovirsenの第III相試験結果―bepirovirsenはB型肝炎の臨床的治癒を促進する(解説:相澤良夫氏)

B型肝炎治療は核酸アナログ製剤の登場を契機に驚異的な進歩を遂げ、血中HBV-DNAは著減し肝炎の活動性はほぼ完全に制御される時代となっている。しかしながら、ひとたび肝臓に感染したB型肝炎ウイルスは肝細胞核内に潜伏し、この潜在化したHBV-DNAを完全に排除することは現在のところ不可能とされている。 したがって、B型肝炎の最終的な治療目標は臨床的な治癒(機能的治癒:すなわち血中HBV-DNAの陰性化とHBs抗原の消失)を達成することである。しかし、現行の核酸アナログ製剤の治療ではHBs抗原の減少はきわめて遅々としたもので、インターフェロン治療を組み合わせても臨床的治癒の達成は困難である。そのため、臨床的治癒という最終目標達成には事実上核酸アナログ製剤を半永久的に服用する必要があった。この終わりの見えない治療に終止符を打つ可能性のあるbepirovirsenは、従来の核酸アナログ製剤が逆転写酵素によるHBV-DNAの伸長反応を阻害して治療効果を発揮するのとは異なり、HBVのRNAに結合してその作用を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオシドの注射薬で、核酸アナログ製剤との併用によりわずか6ヵ月の治療で約1/5の症例に臨床的治癒がもたらされることが示された。

PPI中止後のGERD再燃、プロバイオティクスが抑制

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)にプロバイオティクスを併用することで、胃食道逆流症(GERD)患者におけるPPI中止後の症状再燃が抑制され、その効果が腸内細菌叢および代謝物のリモデリングを介して維持される可能性が報告された。中国・南昌大学のLi Yingmeng氏らによる研究成果はmSystems誌オンライン版2026年1月29日号に掲載された。  GERDに対する標準治療であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は高い有効性の一方、長期使用による腸内細菌叢の乱れや中止後の症状再燃が課題となっている。研究者らは、多菌種プロバイオティクス製剤をPPIに併用することで、PPI中止後も症状改善効果が持続するかを検証した無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。

症状モニタリングアプリが進行がん患者のQOL維持に有効

 緩和ケアを受けている進行がん患者の症状への対処や健康関連QOLの維持に、スマートフォンのアプリによる症状モニタリングが役立つ可能性があることが、新たな研究で示された。香港大学(中国)臨床腫瘍学准教授のWendy Wing-lok Chan氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026、5月29日~6月2日、米シカゴ)で発表されるとともに、「JAMA Network Open」に6月1日掲載された。  今回の研究では、さらなる全身性抗がん治療を受けないことを決めた進行固形がん患者1,214人(年齢中央値78歳、男性50.8%)を対象に、症状モニタリングアプリを活用した緩和ケアの有効性をランダム化比較試験で検討した。

GLP-1受容体作動薬、肥満関連がんの進行を抑制か

 新たな研究により、GLP-1受容体作動薬が一部の肥満関連がんの転移進行リスクを抑制する可能性が示された。GLP-1受容体作動薬はもともと糖尿病治療薬として開発されたが、現在は肥満症や心血管疾患の治療にも広く用いられている。米Taussig Cancer InstituteのMark David Orland氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2026、5月29~6月2日、米シカゴ)で発表された。  米フォックス・チェイスがんセンターで支持療法腫瘍学・緩和ケアプログラム責任者を務めるMarcin Chwistek氏は、「GLP-1受容体作動薬は、これまでも単なる血糖降下薬ではなかった。その抗炎症作用および免疫調節作用から、以前より幅広い作用を持つことが示唆されている」と述べている。