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蜂窩織炎、ST合剤追加は必要か/JAMA

 単純性蜂窩織炎の抗菌薬治療では、セファレキシンにスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合薬(ST合剤)を併用しても、臨床的治癒率は改善しないことが、米国・オリーブ・ビューUCLA医療センターのGregory J. Moran氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月23日号に掲載された。米国では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現に伴い、皮膚感染症による救急診療部への受診が増加しているという。排膿がみられない蜂窩織炎は、β溶血性レンサ球菌が主な病原菌と推定されるが、in vitroでMRSA活性を有する抗菌薬レジメンが、MRSA活性のない治療に比べ転帰の改善をもたらすかは不明とされる。ST合剤の上乗せ効果をプラセボ対照試験で評価 研究グループは、セファレキシン+ST合剤による治療が、セファレキシン単剤に比べ単純性蜂窩織炎の臨床的治癒率を改善するかを検討する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した(米国国立アレルギー感染病研究所[NIAID]の助成による)。 対象は、年齢12歳以上で、単純性蜂窩織炎(膿瘍、排膿、創傷を伴わない紅斑[erythema]がみられ、感染性の病因が確認されている)と診断された患者であった。登録時に軟部組織の超音波検査が行われ、膿瘍を有する患者は除外された。 被験者は、セファレキシン(500mg、1日4回)+ST合剤(1,600/320mg、1日2回)またはセファレキシン+プラセボを投与する群にランダムに割り付けられ、7日間の治療が行われた。 主要評価項目は、per-protocol(PP)集団における臨床的治癒率とした。臨床的治癒は、フォローアップの受診時に以下の臨床的治療不成功の判定基準を満たさない場合と定義した。(1)第3~4日:発熱(感染症に起因すると考えられる)または紅斑の増大(>25%)、腫脹、圧痛の増悪、(2)第8~10日:発熱または紅斑、腫脹、圧痛の軽減がみられない、(3)第14~21日:発熱または紅斑、腫脹、圧痛が最低限度を超える。95%信頼区間(CI)の下限値が10%を超える場合に、併用群に優越性ありと判定することとした。 2009年4月~2012年6月に、米国の5つの救急診療部に500例が登録され、496例(99%)が修正intention-to-treat(mITT)解析、411例(82.2%)がPP解析の対象となった。PP解析で有意差なし、mITT解析では良好な傾向 PP集団(併用群:218例、プラセボ群:193例)の年齢中央値は40歳(範囲:15~78)、男性が58.4%で、糖尿病が10.9%、MRSA感染の既往が3.9%、登録の前の週の発熱の既往が19.7%にみられた。紅斑の長さと幅の中央値は13.0cm、10.0cmだった。 PP解析では、併用群の臨床的治癒率は83.5%(182/218例)であり、プラセボ群の85.5%(165/193例)と比較して有意な差を認めなかった(群間差:-2.0%、95%CI:-9.7~5.7、p=0.50)。 mITT解析による臨床的治癒率は、併用群が76.2%(189/248例)、プラセボ群は69.0%(171/248例)と、やはり両群間に有意差はみられなかったが、95%CIの範囲内に臨床的に重要な最小限の差(10%)が含まれた(群間差:7.3%、95%CI:-1.0~15.5、p=0.07)。 有害事象および副次評価項目(1泊入院、皮膚感染症の再発、家族との接触による同様の感染症の発症など)にも有意な差はなかった。 著者は、「mITT解析の知見には、併用群の臨床的治癒率が良好な傾向を示す、臨床的に重要な差を含む不正確性がみられたため、さらなる研究を要する可能性がある」と指摘している。

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収縮性心不全への鉄補充、経口投与での効果は?/JAMA

 鉄欠乏を伴う左室駆出率(LVEF)が低下した収縮性心不全(HFrEF)患者では、経口高用量鉄補充療法を行っても運動耐容能は改善しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のGregory D. Lewis氏らが行ったIRONOUT HF試験で示された。鉄欠乏は、HFrEF患者の約半数にみられ、生活機能の低下や死亡の独立の予測因子とされる。静脈内投与による鉄補充の良好な結果が報告されているが、高価で外来患者にとっては定期的な受診が負担となるのに対し、経口鉄補充は安価で容易に行えるが、心不全に対する効果は明らかではない。JAMA誌2017年5月16日号掲載の報告。米国の225例で最大酸素摂取量の変化を評価 研究グループは、鉄欠乏を伴うHFrEF患者において、経口鉄補充療法による運動耐容能の改善効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成による)。HFrEFはLVEF<40%の心不全とし、鉄欠乏は血清フェリチン値15~100ng/mLまたはトランスフェリン飽和度<20%の場合は101~299ng/mLと定義した。2014年9月~2015年11月に、米国の23施設に225例が登録された。経口鉄補充群(鉄多糖類150mg、1日2回)に111例、プラセボ群には114例が割り付けられ、16週の治療が行われた。 主要評価項目は、ベースラインから16週までの最大酸素摂取量(peak VO2)の変化とした。副次評価項目には、6分間歩行距離、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値、健康状態(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire[KCCQ]:0~100点、スコアが高いほどQOLが良好)が含まれた。投与ルートの違いで効果に差がある可能性 ベースラインの全体の年齢中央値は63歳(IQR:55~70)、36%が女性であった。心不全の罹患期間中央値は5.7年(IQR:1.9~10.0)、HFrEFの病因の78%が虚血性心疾患であり、LVEF中央値は25%(20~34)であった。また、peak 2中央値は1,172mL/分(IQR:887~1,449)、6分間歩行距離中央値は363m(292~428)、NT-proBNP中央値は1,111pg/mL(453~2,412)、KCCQ臨床スコア中央値は75.5点(61.5~88.5)だった。 ベースラインから16週時のpeak VO2値の変化は、経口鉄補充群が23mL/分であり、プラセボ群の-2mL/分との間に有意な差を認めなかった(差:21mL/分、95%信頼区間[CI]:-34~76、p=0.46)。 同様に、ベースラインから16週時の6分間歩行距離の変化(差:-13m、95%CI:-32~6、p=0.19)、NT-proBNP値の変化(159pg/mL、-280~599、p=0.48)、KCCQ臨床スコアの変化(1.0点、-2.4~4.4、p=0.57)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 有害事象(経口鉄補充群:35% vs.プラセボ群:39%、p=0.50)、重篤な有害事象(10 vs.9%、p=0.77)、永続的な投与中止(14 vs.15%、p=0.76)、死亡または心血管疾患による再入院(13 vs.11%、p=0.64)の頻度は両群で同等であり、初回有害事象の発現までの期間(経口鉄補充群のハザード比:0.85、95%CI:0.56~1.31、p=0.47)にも差はなかった。 著者は、「経口鉄補充による鉄貯蔵の改善効果も最小限であったことを含め、これらの結果は、類似の患者集団を対象とする静脈内投与による鉄補充の試験とは対照的であった。したがって、本試験でベネフィットが得られなかったのは、鉄補充戦略というよりも、投与ルートの問題である可能性が示唆される」と指摘している。

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アテゾリズマブ、白金化学療法不適格の尿路上皮がん1次治療に承認:FDA

 ロシュ社は2017年4月18日、米国食品医薬品局(FDA)がプラチナベース化学療法不適格の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの投与について、迅速承認したことを発表した。 アテゾリズマブは、プラチナベース化学療法歴のある局所進行または転移性尿路上皮がん患者への投与について、既に承認を取得していたが、今回はプラチナベース化学療法不適格に対する1次治療での承認。 この適応症は、第II相臨床試験であるIMvigor 210試験の成績(奏効率および奏効期間)に基づき迅速承認された。承認の継続には、検証試験での臨床的有用性の証明が必要となる。■参考中外製薬ニュースリリースロシュ社ニュースリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■関連記事テゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者にアテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。 著者らは、International Lung Cancer Consortium(ILCCO)とSYNERGY Consortiumにおける、北米・欧州・アジアでの22件の症例対照研究とコホート研究(生涯非喫煙の肺がん患者2,548人と生涯非喫煙者のコントロール9,362人を含む)を調査した。肺がんの組織分類ごとに分析し、またアルコールの種類(ワイン、ビール、蒸留酒)による関連も調査した。 主な結果は以下のとおり。・飲酒量は肺がんリスクと負の相関を示し、軽~中程度の飲酒者では非飲酒者に比べてリスクが低いことが示唆された。  >0~ 4.9g/日:OR=0.80、95%CI:0.70~0.90  5~ 9.9g/日:OR=0.82、95%CI:0.69~0.99  10~19.9g/日:OR=0.79、95%CI:0.65~0.96・ワインと蒸留酒では負の相関がみられたが、ビールではみられなかった。 なお著者らは、この結果に喫煙による交絡の影響はないが、他の因子による交絡は排除できないとしている。

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アテゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者に

 スイスRoche社は2017年1月9日、FDA(米国食品医薬品局)がアテゾリズマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)と優先審査を受理したことを発表した。対象はシスプラチンによる化学療法の適用がない局所進行または転移性尿路上皮がんで、前治療歴なし(1次治療)、あるいは術前・術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者。 このアテゾリズマブに関するsBLAの提出はIMvigor210試験を基にしており、FDAは2017年4月30日までに結論を出す予定。 IMvigor210試験は単群の第II相試験で、局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの安全性と効果をBD-L1発現にかかわらず評価している。対象患者はコホート1と2の2つのコホートに登録された。今回の申請の基となったのは、シスプラチン適用のない未治療(1次治療)または術前術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者を対象としたコホート1。 アテゾリズマブは2016年5月、FDAにより、既治療の進行膀胱がんに対して30年ぶりに認められた。尿路上皮がんは、腎盂、尿管、尿路にみられ、膀胱がんの90%を占めている。■参考Roche社:プレスリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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クリスマスイルミネーションの飾り付けにはご注意を【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第80回

クリスマスイルミネーションの飾り付けにはご注意を FREEIMAGESより使用 この論文は、クリスマスイルミネーションの飾り付けの際、転落・転倒事故で搬送された患者さんを解析したカナダの報告です。論文のタイトルも、クリスマスソング「Let it snow」の歌詞を引用していますね。 Driedger MR, et al."Oh the weather outside is frightful": Severe injury secondary to falls while installing residential Christmas lights.Injury. 2016;47:277-279.2002~12年の間に、クリスマスイルミネーションの飾り付けに起因する、重度の外傷で搬送された40人を後ろ向きに検討しました。飾り付けをするのはやはりパパ。全体の95%が男性で、平均年齢は55歳。家の屋根に上ってイルミネーションを付けるには、ちょっと不安な年齢ですね。外傷の内訳は、神経学的(68%)、胸郭(68%)、脊髄(43%)、四肢(40%)が多く、はしごからの落下が65%と半数以上を占めました。また、屋根からの落下も30%いたそうです。挿管され、集中治療室に搬送されたのは全体の20%、手術を受けたのは30%でした。入院日数の中央値は15.6日(範囲:2~165日)でした。そして、死亡したのは全体の5%という結果でした。この検討はカルガリーの外傷センターで実施されたもので、北アイルランドでも同様に、落下による外傷が多かったという報告があります1)。違う時期やもう少し暖かい国ならば違った結果になるかもしれません。たとえば、オーストラリアではクリスマスの時期にはマリンスポーツ関連の外傷が増えるとされています2)。凍ったはしごは滑りやすいので、皆さんも家にイルミネーションの飾り付けをする際は注意してください。1)Gordon R, et al. lster Med J. 2013;82:192.2)Garg H, et al. Med J Aust. 2011;195:704-705.インデックスページへ戻る

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うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか

 ビタミンDの欠乏や不足がうつ病と関連しているのか、また、ビタミンD補充がうつ病の有効な治療法であるのかを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のGordon B Parker氏らが検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年10月11日号の報告。うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割 3つの検索エンジンとオンラインデータベース(PubMed、Google Scholar、コクランデータベース)を用いて、近年出版された経験的研究を抽出した。検索キーワードは、ビタミンD、うつ病、治療とし、ビタミンD欠乏/不足とうつ病との関連、うつ病治療薬としてビタミンDサプリメントやビタミンDを使用した文献を選択した。本レビューは、以前の研究も考慮したものの、2011年以降の最近の研究に比重を置いた。 主な結果は以下のとおり。・経験的研究では、ビタミンD欠乏とうつ病の関連、ビタミンD不足のうつ病患者に対するビタミンDサプリメントやビタミンD増強に関するエビデンスが増加していた。・多くの研究に関連する方法論的限界が述べられていた。・研究は、英語論文に限られており、出版バイアスは、肯定的な所見を持つ研究が多い可能性がある。・うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割を明らかにし、現在示唆されている関連が臨床的に適合されるのかを証明するために、横断的デザインを超え、無作為化された縦断研究を実施する必要がある。

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レゴラフェニブの肝細胞がん2次治療、日米欧で承認申請:バイエル

 ドイツ・バイエル社は2016年11月7日、経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブについて、適応を切除不能な肝細胞がんに対する2次治療の承認申請を米国、日本、欧州で行ったことを発表した。 本承認申請は、国際共同、多施設、プラセボ対照第III相臨床試験RESORCE(REgorafenib after SORafenib in patients with hepatoCEllular carcinoma)から得られたデータを根拠資料としている。 第III相臨床試験RESORCE(REgorafenib after SORafenib in patients with hepatoCEllular carcinoma)は、ソラフェニブ治療後に病勢進行が認められた573例を、レゴラフェニブとベストサポーティブケアの併用群(レゴラフェニブ群)またはプラセボとベストサポーティブケアの併用群(プラセボ群)に2対1に無作為に割付け実施された。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪期間、無増悪生存期間、奏効率および病勢コントロール率。HRQoLは、「FACT-Hep」と「EQ-5D」の質問票を用いて評価し、安全性と忍容性も継続的に観察された。本試験の結果、全生存期間の中央値は、レゴラフェニブ群で10.6ヵ月、プラセボ群で7.8ヵ月であり、レゴラフェニブ群で有意に延長した(HR:0.63、 95%CI:0.50~0.79、p<0.001)。安全性と忍容性はレゴラフェニブの既知プロファイルとおおむね一致し、健康関連QOL(HRQoL)の評価では、レゴラフェニブ群とプラセボ群との間に臨床的に意味のある差は認められなかった。バイエル薬品株式会社のニュースリリースはこちら(PDF)

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低体温療法、院内心停止例に有用か/JAMA

 院内心停止蘇生後患者に対する低体温療法の施行は、通常ケアと比較して生存退院率および良好な神経学的予後について、いずれも低い可能性が、米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのPaul S. Chan氏らによるコホート研究の結果、示唆された。低体温療法は、院外および院内の心停止蘇生後患者に対して施行されるが、院内心停止患者に関する無作為化試験は行われておらず、有効性に関するデータは限定的である。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。全米355病院2万6,183例の院内心停止後蘇生例について適合傾向スコア分析 コホート試験は、2002年3月1日~2014年12月31日に全米Get With the Guidelines-Resuscitationレジストリに登録された、院内心停止後に蘇生に成功した患者2万6,183例を対象に行われた。患者の入院先は全米355病院、低体温治療の有無は問わず特定され、2015年2月4日時点まで追跡を受けた。 主要アウトカムは生存退院率。副次アウトカムは、良好な神経学的予後で、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category)スコア1または2(重症の神経障害なし)で定義した。比較は、適合傾向スコア分析を用い、すべての心停止および非ショック性(心静止[asystole]、無脈性電気活動[PEA])またはショック性(心室細動[VF]、無脈性心室頻拍[VT])に分けての評価を行った。非施行例と比べて、生存退院率、良好な神経学的予後例の割合は低い 院内心停止患者全体2万6,183例のうち、1,568例(6.0%)が低体温療法を受けていた。このうち1,524例について(平均年齢61.6[SD 16.2]歳、男性58.5%)、傾向スコアで適合した低体温療法を受けなかった3,714例(62.2[17.5]歳、57.1%)と比較検討した。 補正後、低体温療法は生存退院率との関連が低く(27.4 vs.29.2%/相対リスク[RR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.97/リスク差:-3.6%、95%CI:-6.3~-0.9、p=0.01)、同関連について非ショック性、ショック性で違いはみられなかった(交互作用p=0.74)。生存退院率は非ショック性症例では22.2 vs.24.5%(RR:0.87、95%CI:0.76~0.99/リスク差:-3.2%、95%CI:-6.2~-0.3)、ショック性症例では41.3 vs.44.1%(RR:0.90、0.77~1.05/リスク差:-4.6%、-10.9~1.7)であった。 また、低体温療法は、良好な神経学的予後との関連も低かった。神経学的予後が良好であったのは、低体温療法群17.0%(246/1,443例) vs.非低体温療法群20.5%(725/3,529例)であった(RR:0.79、95%CI:0.69~0.90/リスク差:-4.4%、95%CI:-6.8~-2.0、p<0.001)。非ショック性、ショック性で違いがみられなかった(交互作用p=0.88)。 著者は、「今回観察された所見は、無作為化試験実施の根拠となるものであった」と述べている。

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敗血症性ショックへのバソプレシンの腎不全改善効果は?/JAMA

 敗血症性ショック患者に対する昇圧薬の1次治療では、バソプレシンの腎不全の改善効果はノルエピネフリンを上回らないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C Gordon氏らが実施したVANISH試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月2日号に掲載された。敗血症性ショックには感染症治療に加え輸液および昇圧薬の投与が行われる。米国では昇圧薬の1次治療はノルエピネフリンが推奨されているが、バソプレシンは糸球体濾過量の維持や、クレアチニンクリアランスの改善の効果がより高いことが示唆されている。腎不全への効果を無作為化要因(2×2)試験で評価 VANISH試験は、敗血症性ショック患者において、バソプレシンとノルエピネフリンの早期投与による腎不全への有効性を比較する二重盲検無作為化要因(2×2)試験(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 対象は、年齢16歳以上、発症後6時間以内に初期蘇生輸液を行ったものの昇圧薬の投与を要する病態を呈する敗血症性ショックの患者であった。 被験者は、バソプレシン(最大0.06U/分まで漸増)+ヒドロコルチゾン、バソプレシン+プラセボ、ノルエピネフリン(最大12μg/分まで漸増)+ヒドロコルチゾン、ノルエピネフリン+プラセボを投与する4つの群に無作為に割り付けられた。目標平均動脈圧(MAP)は65~75mmHgが推奨された。 主要評価項目は、割り付け後28日間の腎不全(AKIN基準ステージ3)のない日とし、(1)腎不全が発現しない患者の割合、および(2)死亡、腎不全あるいはその双方が発現した患者の生存または腎不全のない日数(中央値)の評価を行った。より大規模な試験で検証を 2013年2月~2015年5月までに、英国の18の集中治療室(ICU)に409例が登録された。全体の年齢中央値は66歳、男性が58.2%を占め、ショックの診断から昇圧薬の投与までの期間中央値は3.5時間だった。 腎不全がみられない生存者の割合は、バソプレシン群が57.0%(94/165例)ノルエピネフリン群は59.2%(93/157例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:-2.3%、95%信頼区間[CI]:-13.0~8.5%)。 死亡、腎不全あるいはその双方が発現した患者における腎不全のない日数中央値は、バソプレシン群が9日(IQR:1~24)、ノルエピネフリン群は13日(IQR:1~25)であり、有意な差はみられなかった(群間差:-4日、95%CI:-11~5日)。 腎代替療法の導入率は、バソプレシン群が25.4%と、ノルエピネフリン群の35.3%に比べ有意に低かった(群間差:-9.9%、95%CI:-19.3~−0.6%)。 28日死亡率は、バソプレシン群が30.9%(63/204例)、ノルエピネフリン群は27.5(56/204例)であり、有意な差はなかった(群間差:3.4%、95%CI:-5.4~12.3%)。 また、重篤な有害事象の発現率は、バソプレシン群が10.7%(22/205例)、ノルエピネフリン群は8.3%(17/204例)であり、有意差はなかった(群間差:2.5%、95%CI:-3.3~8.2%)。 著者は、「これらの知見は、ノルエピネフリンの代替としてバソプレシンを使用することを支持しないが、95%CIの範囲はバソプレシンが臨床的に意味のあるベネフィットをもたらす可能性を含んでおり、より大規模な試験での検証を要すると考えられる」と指摘している。

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感情変動は食事にどの程度影響するのか

 感情のシグナルに反応しての食物摂取は、不健康な食事の摂取と関連しているといわれている。米国・セント・ボナベンチャー大学のGregory J Privitera氏らは、肥満やうつ病において、低/高カロリー食品を選択できるビュッフェスタイルを利用した場合に、食物摂取に差を生じるかを検討した。Journal of health psychology誌オンライン版2016年5月20日号の報告。 カウンターバランス・デザインを用いて、参加者154人をうつ病と肥満のカテゴリにグループ化した。そのうえで、1日目に悲しい話(vignette)を、日を改めてニュートラルな話を読ませ、満腹になるまでビュッフェで食事を行った。食物摂取量(グラム、カロリー)と食物選択(高/低カロリー食品の選択数)を記録した。 主な結果は以下のとおり。・肥満やうつ病の参加者は、楽しい話と比較して悲しい話の際に、エネルギー摂取量が有意に多く、これは高カロリー食品の摂取量増加によるところが大きかった。・本結果は、感情的な食行動に関する最近の理論を裏付けており、ビュッフェスタイルにおけるこのような影響の生物学的妥当性を拡大させるものと考えられる。関連医療ニュース うつ病患者で重要な食事指導のポイント 抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

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全般性不安症でよく見られる不眠、その関連因子は

 睡眠障害は、全般性不安症(GAD)の重要な診断基準の1つである。不眠症の有病率に関連する因子および不眠関連因子がQOLに及ぼす影響について、スペイン・Hospital General Universitario Gregorio MaranonのF Ferre Navarrete氏らは、多施設共同前向き横断観察研究にて検討を行った。Behavioral sleep medicine誌オンライン版2016年5月11日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・多変量解析の結果、不眠症(ISI 8以上)と最も関連する要因は、GADの重症度(OR:9.253[for severe GAD]、95%CI:1.914~44.730、p=0.006)、痛みの干渉(OR:1.018、95%CI:1.003~1.033、p=0.016)、うつ症状(OR:1.059、95%CI:1.019~1.101、p=0.004)であった。・不眠は、QOLとの関連が認められなかった。 本検討により、GAD患者において、不眠症は一般的によく見られる健康状態であり、不安の重症度やうつ症状、痛みの干渉と関連することが示唆された。関連医療ニュース 社交不安症に対するエスシタロプラムの効果は うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感! 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは

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良性胆管狭窄へのステント治療、金属 vs.プラスチック/JAMA

 胆管径6mm以上の良性胆管狭窄で留置する金属ステントが胆嚢管に重なる可能性がない患者に対し、フルカバー自己拡張型金属ステント(fully covered self-expandable metallic stents:cSEMS)留置のプラスチックステント留置に対する、治療12ヵ月時点の開存達成の非劣性が示された。米国・サウスカロライナ医科大学のGregory A. Cote氏らが、非盲検多施設共同無作為化試験の結果、報告した。良性胆管狭窄に対しては内視鏡的治療が第1選択で、これまではプラスチックステント留置による治療が行われてきたが、複数本留置を要する症例がほとんどで、複数回の内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を必要とする。近年、cSEMSが用いられるようになり、ERCPの必要数が減少する可能性が示唆されていた。JAMA誌2016年3月22・29日号掲載の報告より。cSEMSとプラスチックステントを比較する無作為化非劣性試験を実施 研究グループは、米・英国の内視鏡治療専門施設8施設において、同所性肝移植(73例)、慢性膵炎(35例)および術後外傷(4例)による未治療の良性胆管狭窄患者(計112例)を対象に、非盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。 患者は2011年4月~14年9月に登録され、15年10月まで追跡調査が行われた。総胆管の直径が6mm未満、および留置するcSEMSが胆嚢管に重なる可能性のある患者は除外された。 対象患者を狭窄の原因で層別化し、プラスチックステント複数留置術群(プラスチック群)とcSEMS 1本留置術群(cSEMS群)に無作為化し、ステント留置後12ヵ月間、プラスチック群は3ヵ月ごと、cSEMS群は6ヵ月ごとに内視鏡的に開存を再評価した。 主要評価項目は、内視鏡的治療後12ヵ月時点での開存達成の割合とした。開存達成はcSEMS群92.6%、プラスチックステント群85.4%で、非劣性が証明 プラスチック群は55例(年齢[平均±SD]57±11歳、女性17例:31%)、cSEMS群57例(年齢55±10歳、女性19例:33%)であった。 開存達成を認めたのは、プラスチック群85.4%(41/48例)、cSEMS群92.6%(50/54例)で、群間差は7.2%であった(片側95%信頼区間[CI]:-3.0%~∞、p<0.001)。事前に定めた非劣性マージンは片側95%CIの下限が-15%以上であり、cSEMS群のプラスチック群に対する非劣性が認められた。 開存達成に至るまでのERCP平均回数は、cSEMS群がプラスチック群より有意に少なかった(2.14 vs.3.24、群間差:1.10、95%CI:0.74~1.46、p<0.001)。 著者は、「治療後12ヵ月という追跡調査期間は、狭窄再発を評価するには不十分であり、今後さらなる検討が必要である」と指摘したうえで、「金属ステントは良性胆管狭窄患者に対する治療選択肢の1つと考えられるべきである」とまとめている。

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妊娠とメトホルミン-本当に「禁忌」なのか?-(解説:住谷 哲 氏)-492

 肥満人口の増加とともに、耐糖能異常を合併した妊婦の数も増加している。耐糖能異常合併妊娠は、妊娠前糖尿病(pregestational diabetes)、overt diabetes in pregnancy、妊娠糖尿病(gestational diabetes:GDM)に分類されるが、その管理目標は母児の周産期合併症を予防することにある。妊娠中の血糖管理の基礎は食事療法であるが、血糖降下薬を必要とする場合は少なくない。ある薬剤が妊娠中に使用できるかどうかについては、わが国には明確な基準がなく、米国FDAのpregnancy category(薬剤胎児危険度分類基準)を参考にすることが多い。妊娠中に使用できる血糖降下薬はインスリンのみで、他の血糖降下薬は「禁忌」と一般的に考えられているが、本論文で使用されたメトホルミンはカテゴリーBに分類され、実は妊婦に対して使用可能である(ただし、わが国の添付文書には妊婦への投与は禁忌と記載されている)。 GDMに対するメトホルミン投与の有用性が広く知られるようになったのは、2008年に報告されたMiG(Metformin versus Insulin for the Treatment of Gestational Diabetes)試験が契機である1)。この試験では、751例のGDM患者を、メトホルミン2,500mg投与群とインスリン投与群に分け、本論文とほとんど同様のアウトカムを評価した。その結果、主要評価項目では両群に有意差を認めず、胎児に対する有害事象の発症率も両群で有意差を認めなかった。しかし、試験で割り振られた治療を再度選択したいと答えた患者がメトホルミン群で有意に多かった。さらに、この試験で誕生した新生児の満2歳時の体格および体組成を比較した結果が報告されているが、メトホルミン投与群の母親から誕生した子供は、インスリン投与群に比較して、より皮下脂肪が多く内臓脂肪が少ないことが示された(MiG TOFU)2)。その後も、GDMに対するメトホルミンの有用性を検討した試験が行われ、それらを統合したsystematic reviewにおいては、インスリンに対するメトホルミンの優越性が結論されている3)。 以上述べたように、GDMに対するメトホルミンの有用性はすでに確立している。そこで、本論文においてはさらに一歩進んで、耐糖能異常を合併しない肥満合併妊婦に対するメトホルミンの有用性が検討された。対象患者は、高リスクの妊婦を選択する目的でBMI>35とされた。また、メトホルミン投与量不足の可能性を最小にするため、投与量は3,000mg/日とされた。その結果は、主要評価項目である新生児出生体重Zスコア中央値は両群間に有意差を認めなかったが、妊娠高血圧腎症(妊娠中毒症)の発症率は、メトホルミン投与群でオッズ比0.24 (95%信頼区間:0.10~0.61、p=0.001)に減少した。さらに、新生児の有害アウトカムの発症率も両群に差はなかった。 本試験およびMiG試験の結果からいえることは、その有用性に加えて、妊婦に対するメトホルミンの安全性であろう。当然ながら両試験において、乳酸アシドーシスは1例も発生していない。もちろん、今後も引き続きメトホルミン投与群の妊婦から誕生した新生児に対する長期的な観察が必要であることは言うまでもない。しかし、耐糖能異常合併妊娠のみならず、肥満合併妊娠も増加しているわが国においても、妊娠におけるメトホルミンの位置付けを再考する必要があると考えられる。

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小児がんサバイバーの晩期死亡率の改善、治療曝露量の減量が寄与/NEJM

 5年生存を達成した小児がん患者の晩期死亡率を低減する治療戦略として、治療曝露量の減量が有効であることが、米国・聖ジュード小児研究病院のGregory T. Armstrong氏らの調査で明らかとなった。米国で1970~80年代に小児がんと診断され、5年生存を達成した患者の18%が、その後の25年以内に死亡している。そのため、最近の小児がん治療の目標は、晩発性の生命を脅かす作用をいかに減じるかに置かれているという。NEJM誌オンライン版2016年1月13日号掲載の報告より。約3万4,000例で晩期死亡を治療開始年代別に検討 研究グループは、小児がんサバイバーを長期にフォローアップする病院ベースのレトロスペクティブな多施設共同コホート試験(Childhood Cancer Survivor Study[CCSS])を実施した(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、21歳以前にがんと診断され、1970~99年に治療を開始し、5年以上生存した患者であり、北米の31施設に3万4,033例が登録された。これは、試験期間中の小児がんサバイバーの約20%に相当した。 フォローアップ期間中央値は21年(範囲:5~38)であった。人口統計学的因子および健康関連死因による死亡に影響を及ぼす疾患の因子の評価を行った。疾患因子には、原発がんの再発や進行は含まないが、がん治療による晩発性の作用が含まれた。 3万4,033例の内訳は、男性が1万8,983例、女性が1万5,050例で、治療開始時期は1970年代が9,416例、80年代が1万3,181例、90年代が1万1,436例であり、診断時年齢は0~4歳が1万3,463例、5~9歳が7,826例、10~14歳が7,144例、15~20歳は5,600例であった。 診断名は、白血病(1万0,199例)、ホジキンリンパ腫(4,332例)、非ホジキンリンパ腫(2,837例)、中枢神経系腫瘍(6,369例)、ウィルムス腫瘍(3,055例)、神経芽細胞腫(2,632)、横紋筋肉腫(1,679例)、骨腫瘍(2,930例)だった。晩発性作用の早期検出や対処法の改善も寄与 サバイバーの最終フォローアップ時の年齢中央値は28.5歳(範囲:5.5~58.5)で、30~39歳が全体の30%、40歳以上が15%であった。 試験期間中に3,958例(11.6%)が死亡した(原発がんの再発、進行による死亡2,002例、外的要因による死亡338例を含む)。このうち1,618例(41%)が健康関連死因による死亡であり、2次がんが746例、心臓が241例、肺が137例、その他が494例であった。 15年死亡率は、全死因死亡が1970年代の10.7%から、80年代は7.9%、90年代には5.8%へ有意に低下した(傾向のp<0.001)。健康関連死因死亡も、3.1%から、2.4%、1.9%へと有意に減少した(傾向のp<0.001)。また、原発がんの再発、進行による死亡も、7.1%、4.9%、3.4%と有意に抑制されていた(傾向のp<0.001)。 このような死亡率の改善には、2次がん(p<0.001)、心臓(p=0.001)、肺(p=0.04)に関連する死亡率の有意な低下が反映していると考えられた。 年代別の治療の変遷としては、(1)急性リンパ性白血病に対する頭蓋内放射線照射の施行率が、70年代の85%から80年代には51%、90年代は19%に低下、(2)ウィルムス腫瘍への腹部放射線照射がそれぞれ78%、53%、43%へ、(3)ホジキンリンパ腫に対する胸部放射線照射が87%、79%、61%へと減少した。 急性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、ウィルムス腫瘍、星状細胞腫では、アンスラサイクリン系薬剤の投与量も経時的に減少していた。これら4疾患は、治療曝露量が経時的に減量された後に、健康関連死因による15年死亡率が経時的に低下していた。 著者は、「小児がんサバイバーの晩期死亡率の改善には、治療の曝露量の低減が影響しており、治療の晩発性の作用のリスクや重症度が軽減するようにデザインされた治療レジメンの有効性が確認された」とまとめ、「晩発性作用を早期に検出する戦略の促進や対処法の改善とともに、治療レジメンを修正して放射線療法や化学療法の曝露量を低減することで、多くの小児がんサバイバーの余命が延長したことを示す定量的なエビデンスが得られた」としている。

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クローン病への早期複合免疫療法は有用か/Lancet

 クローン病の薬物治療について、早期の抗TNF受容体拮抗薬および代謝拮抗薬による複合免疫療法(ECI)は、従来療法(症状や重症度に合わせて経時的に投与)と比べて、寛解維持などの症状コントロールについて有意な効果は示されなかった。しかし、重大有害アウトカムのリスクを有意に低下することが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のReena Khanna氏らが、非盲検クラスター無作為化試験REACTの結果、報告した。著者は、「後者の所見はさらなる試験の検証仮説となりうるものである」と述べ、「ECIは、重篤な薬物関連有害事象や死亡のリスク増大とは関連していなかった」と強調し本報告をまとめている。Lancet誌オンライン版2015年9月2日号掲載の報告より。クラスター無作為化試験で、12ヵ月時点のステロイド未治療寛解率を評価 クローン病の薬物治療は、症状や炎症の程度によって、ステロイド薬、代謝拮抗薬、抗TNF-α受容体拮抗薬と段階的に使用していくのが特色である。一方で先行研究において、すでにECIの未治療患者に対する優越性などが報告されているが、感染症や、多剤レジメンの複雑さ、コストや地域医療への普及などへの懸念から、なお従来療法が標準療法とされている。これらの現状を踏まえて研究グループは今回、地域医療をベースにECIの有効性、安全性を検討するREACT試験(Randomised Evaluation of an Algorithm for Crohn's Treatment)を行った。 試験への全面的な協力に同意しクローン病患者60例のデータを提供することに応じた、ベルギーとカナダにある消化器診療所を選択し、無作為にECI群と従来療法群に割り付けた。割り付けはコンピュータで、地域性と診療所サイズを最小化して行われた。 各診療所では、18歳以上、クローン病、英語、フランス語もしくはドイツを話し、電話連絡が可能であり、インフォームド・コンセントの書面提供が可能であった最大60例の連続成人患者について2年間フォローアップを行った。 主要アウトカムは、12ヵ月時点で、診療所レベルで評価したステロイド未治療で寛解を維持(Harvey-Bradshaw Index[HBI]スコア4以下)していた患者の割合とした。寛解率に有意差はないが、重大有害アウトカムが有意に減少 試験は、2010年3月15日~2013年10月1日に行われた。60診療所がスクリーニングを受け、41診療所がECI群(22ヵ所)と従来治療群(19ヵ所)に無作為に割り付けられたが、2診療所(各群1ヵ所)が連続患者の情報提供ができない、診療所が閉鎖などを理由に中途で脱落。intention-to-treat解析は39診療所、1,982例を包含して行われた。 12ヵ月間のフォローアップ完了者は、ECI群921/1,084例(85%)、従来療法群806/898例(90%)であった。 12ヵ月時点の診療所レベル分析での寛解率は、ECI群66.0%(SD 14.0%) vs.従来療法群61.9%(同16.9%)で、同等であった(補正後差:2.5%、95%信頼区間[CI]:-5.2%~10.2%、p=0.5169)。 24ヵ月時点の患者レベル分析における重大有害アウトカム(外科的手術、入院、重篤な疾患関連合併症の複合)の発生率は、ECI群が有意に低かった(27.7% vs. 35.1%、絶対差[AD]:7.3%、ハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.62~0.86、p=0.0003)。重篤な薬物関連有害事象の発生に差はみられなかった(1%[10/1,084例] vs.1%[10/898例])。

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小児の院内心停止、アドレナリン投与早いほど転帰良好/JAMA

 小児院内心停止に対するエピネフリン(アドレナリン)の早期投与は、生存退院率や自己心拍再開率など、アウトカムを有意に改善することが示された。米国のベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのLars W. Andersen氏らが、約1,600例の小児患者について行った試験の結果、明らかにした。これまでの検討では、成人患者について、院内心停止患者に対するエピネフリン投与の遅延が生存率低下に関与していることは知られていたが、小児患者については不明であった。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。パルス消失からエピネフリン初回投与までの時間とアウトカムを分析 研究グループは、米国の「Get With the Guidelines–Resuscitation」レジストリを基に、院内心停止の18歳未満小児患者で、初期ショック非適応で、1用量以上のエピネフリン投与を受けた患者について、パルス消失が認められてからエピネフリン初回投与までの時間とアウトカムについて分析を行った。 主要アウトカムは、生存退院率で、副次アウトカムは、自己心拍再開、24時間時点の生存、神経学的アウトカムなどだった。神経学的アウトカムはPediatric Cerebral Performance Category尺度で評価し、スコア1~2を転帰良好と定義した。 最終解析に組み込んだ被験者数は1,558例で、年齢(月齢)の中央値は9ヵ月(四分位範囲[IQR]:生後13日~5歳)だった。24時間生存率や神経症状アウトカムも改善 全被験者のうち、生存退院したのは487例(31.3%)だった。エピネフリン初回投与までの経過時間中央値は1分(IQR:0~4分)で、平均値は2.6分(標準偏差:3.4)だった。 多変量解析の結果、エピネフリン初回投与までの経過時間が長いほど、生存退院率は低かった(同経過時間が毎1分遅れることによる生存退院に関する補正後リスク比:0.95、95%信頼区間:0.93~0.98)。 また、エピネフリン初回投与までの経過時間が長くなるにつれて、自己心拍再開率(同補正後リスク比:0.97、95%CI:0.96~0.99)、24時間生存率(同:0.97、0.95~0.99)、神経症状の良好なアウトカム達成率(同:0.95、0.91~0.99)のいずれも減少した。 エピネフリン初回投与までの経過時間が5分超のグループの生存退院率は21.0%(233例中49例)に対し、5分以下のグループでは33.1%(1,325例中438例)と、有意に低率だった(補正後リスク比:0.75、95%CI:0.60~0.93、p=0.01)。

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小児へのデング熱ワクチン、効果あるも年齢差/NEJM

 2~16歳児を接種対象とした長期サーベイランス中のデング熱ワクチン(遺伝子組み換え型生減弱4価タイプ:CYD-TDV)について、3年時点の中間解析結果が発表された。同期間中の全被験者リスクは、ワクチン接種群が対照群よりも低下したが、9歳未満児で原因不明の入院リスクの上昇がみられたという。インドネシア大学のSri Rezeki Hadinegoro氏らCYD-TDVデング熱ワクチンワーキンググループが、アジア太平洋およびラテンアメリカでそれぞれ行われている3件の無作為化試験の結果を統合分析して報告した。NEJM誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告。2~16歳児3万5,000例超を対象にサーベイランス進行中 デング熱ワクチンは現在、両地域の2~16歳児3万5,000例超を対象とした3件の臨床試験が行われている。2件は第III相無作為化試験で、アジア太平洋地域で2~14歳児を(CYD14試験)、ラテンアメリカで9~16歳児を(CYD15試験)対象とし、計3万1,000例超が参加。ワクチンの接種は3回(0、6ヵ月、12ヵ月)で、25ヵ月間(接種完了後13ヵ月)の有効性サーベイランスフェーズの評価後、長期フォローアップフェーズ(接種後3~6年)に移行し、安全性の評価(ウイルス学的に確認されたデング熱による入院発生をエンドポイント)が行われている。 もう1件はタイ共和国の1施設で行われている第IIb相の試験で、方法は同様に4~11歳4,002例が参加し(CYD23試験)、その後4年間のフォローアップフェーズでの安全性評価が行われている(CYD57)。 研究グループは、25ヵ月時点のプールデータから、ワクチンの有効性について分析した。入院発生の相対リスク、9歳以上0.50に対して9歳未満は1.58、全年齢は0.84と低下 分析データは、CYD14試験の被験者1万275例中1万165例(99%)、CYD15試験は2万869例中1万9,898例(95%)、およびCYD23試験(4,002例)からCYD57試験に組み込まれた3,203例(80%)について入手できた。 統合解析の結果、ウイルス学的入院が確認できたデング熱症例は、ワクチン接種群2万2,177例中65例、対照群1万1,089例中39例であった。対照群との比較による接種群のプール相対リスクは、全被験者では0.84(95%信頼区間[CI]:0.56~1.24)だった。ただし9歳未満では1.58(同:0.83~3.02)、9歳以上では0.50(同:0.29~0.86)で9歳未満での発生が高率だった。 また、独立モニタリング委員会の定義による重症のデング熱入院例は、3年間でワクチン接種群2万2,177例中18例、対照群1万1,089例中6例であった。 25ヵ月間の症候性デング熱に対するワクチンのプール有効率は、全被験者60.3%(95%CI:55.7~64.5)、9歳以上では65.6%(同:60.7~69.9)、9歳未満は44.6%(同:31.6~55.0)であった。 著者は、「2~16歳児のリスクは、対照群よりも接種群で低下が認められた。しかし、原因は不明だが9歳未満において3年間のデング熱入院発生率が高く、長期フォローアップでの注意深い観察が必要である」とまとめている。

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第2世代抗精神病薬の評価試験実施は不十分

 米国・ペンシルベニア大学のGregory Kruse氏らは、医療技術評価(HTA)機関を支援するため、統合失調症患者に対し第2世代抗精神病薬の有用性を検討した試験のシステマティックレビューを行った。その結果、試験のタイプ、試験方法、アウトカムに大きなばらつきがあるうえ、HTAが好ましいとする試験のタイプは少なく、かつそれら試験は実施されていたとしてもバイアスリスクが高いことを報告した。PharmacoEconomics誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。 HTA機関を支援するための効果比較の試みは、統合失調症治療に対する抗精神病薬の選択において重要な事項である。研究グループは、HTA機関の支援に向け、新規抗精神病薬の効果比較に関する疑問に対処するため、公表文献に報告されている試験方法とアウトカムの評価、ならびにエビデンスの妥当性と可能性を評価した。 2009年1月1日~2013年9月30日までのPubMed databaseを用いて系統的検索を行い、新規非定型抗精神病薬の効果比較について報告している研究を特定した。統合失調症患者を対象とした研究で、少なくとも2種類以上の薬剤の比較が行われており、少なくとも1群は第2世代抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、パリペリドン、アセナピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピンのいずれか)が投与されている試験についてシステマティックレビューを行った。また、陽性陰性症状評価尺度(PANSS)のスコア、体重増加、資源活用あるいはコストといった有効性、安全性、経済的アウトカムが含まれていることも試験の選択基準とした。 2人のレビュワーが独立して組み入れ基準を評価。意見が一致しなかった場合は、原著を検索してコンセンサスを得たうえで解決した。各試験から方法とアウトカムに関する情報を収集し、試験には薬剤の直接比較、患者集団、試験方法、統計解析法、アウトカムの報告、試験のサポート、掲載誌の種類などが記載されていることとした。 主な結果は以下のとおり。 ・電子検索により、合計198件の試験が特定された。・最も多かった試験のタイプは無作為化対照試験(RCT、73件、36.9%)で、その多くは規定のエンドポイントで直接比較されていた。・HTAが要望するコホート研究(53件、26.8%)、メタ解析(32件、16.2%)、経済性の研究(14件、7.1%)、および横断研究(13件、6.6%)は少数であった。・HTAが選択した直接比較の薬剤はオランザピンとリスペリドンが大勢を占め、それぞれ149試験(75.3%)、119試験(60.1%)であった。・規制当局に提出される資料として主要な試験のタイプであるRCTにおいて、バイアスはみられなかったが、HTAが要望した試験は同じようにして(バイアスがない状態で)実施されなかった。・コホート研究には、比較群における選択バイアスの問題、交絡因子の調整の欠如、脱落率の相違などの問題がみられた。・横断研究のグループではバイアススコアが十分に得られず、代表的なサンプルを特定できなかった。 ・経済性の研究では高い変数バイアスがみられ、有効性データ、妥当性が検証されていない仮説モデル、感度解析の欠如といった点においてバイアスがみられた。・なお本システマティックレビューは、2009~2013年までの研究のみを対象としたものであり、第1世代抗精神病薬の検討を含む初期の比較研究を除外したレビューという点で限界があった。関連医療ニュース 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか 第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学 プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。 対象は、1985年にHaboに住んでいた男性(757人)のうち、1985~1987年に健康診断を受けた男性652人。健康プロファイルを調査・測定し、健康に関する看護師との対話を実施、さらに高リスク群には医師との対話と検査を実施した。介入プログラムは、プライマリケア医療機関および地元関連機関の協力の下、実施した。心血管疾患およびがんの罹患はスウェーデン保健福祉庁のデータから、糖尿病については薬局での医薬品販売データから評価した。健康プロファイルより、生活習慣(喫煙、身体活動、飲酒)と生物学的リスクマーカー(BMI、血圧、血清コレステロール)に関する項目を選び、そのリスクポイントの合計で参加者を3群に分け比較した。 主な結果は以下のとおり。・リスクポイントの合計が最も低い群は、最も高い群と比較して、心血管疾患およびがんのリスクが有意に低かった。・生活習慣に関するリスクポイントが最も低い群は、最も高い群に比べて、心血管疾患リスクが有意に低く、生物学的リスクマーカーに関するリスクが最も低い群は、心血管疾患およびがんの両方のリスクが有意に低かった。喫煙と血清コレステロールは、最も重要なリスク因子であった。・糖尿病においては、BMIと喫煙が最も重要なリスク因子であった。

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