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稀少疾患デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(イデベノン)の臨床第3相試験開始

 武田薬品工業株式会社は3日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy、以下「DMD」)治療薬としてSanthera Pharmaceuticals Ltd(本社:スイス、以下「Santhera社」)と欧米にて共同開発を実施中の同社創製品イデベノン(一般名、開発コード:SNT-MC17)について、臨床第3相試験を開始したと発表した。 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは神経筋疾患の中でも、最も発症頻度が高い病型であり、米国、欧州、日本の合計で約3万人の患者がいるとされ、ほとんど男児のみに発症する。X染色体に存在するジストロフィンが欠損しているために発症する遺伝性疾患で、カルシウム調節機能が損なわれ、筋肉細胞の酸化が亢進し、筋肉が劣化する。進行が早く、3~5歳で発症し、10歳代になると歩行能力を失う。合併症として、骨格奇形や呼吸困難、心不全を併発することが多く、患者の平均寿命は30~35歳と言われている。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_35109.html

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フェマーラの5年投与が術後療法としてタモキシフェンよりも優れる

 スイス・ノバルティス社は、閉経後早期乳がん(ホルモン感受性)の患者に対する術後の「フェマーラ(一般名:レトロゾール)」の5年投与は、タモキシフェンに比べ至適な治療法であることを立証するデータがThe New England Journal of Medicine誌に掲載されたと発表した。ノバルティス ファーマ株式会社が28日に報告した。 このデータは、国際乳がん研究グループ(International Breast Cancer Study Group: IBCSG)が実施したBIG 1-98試験の最新の解析結果。手術後にフェマーラとタモキシフェンを順次切り替えて合計5年間投与するシークエンシャル治療が、フェマーラ5年間の単剤投与より優れているかを検討したシークエンシャル治療解析(Sequential Treatment Analysis: STA)の結果と、フェマーラまたはタモキシフェンの5年間単剤治療の有効性を検討した単剤治療群解析(Monotherapy Arms Analysis: MAA)の最新の結果も含まれているという。 STA解析の結果、乳がんの手術後に5年間、タモキシフェンとフェマーラを順次切り替えて投与するシークエンシャル治療は、術後5年間のフェマーラ単剤治療と比べ、無病生存の改善が認められなかったと結論付けられた。試験開始後10年の時点で実施したMAA解析によると、フェマーラの単剤治療は、タモキシフェンの単剤治療に比べ、長期にわたる無病生存の有意な改善(P=0.03)と遠隔転移リスクの有意な減少(P=0.05)が明らかになり、フェマーラの単剤治療を受けた患者では、タモキシフェンに比べ、死亡リスクが相対的に13%減少した(P=0.08)。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090828.html

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進行がん患者への緩和ケア、QOLと患者の心的状態を改善

進行がん患者に対し、心理教育的な緩和ケアを提供することで、患者の生活の質(QOL)や心的状態を改善する効果があることが、無作為化試験の結果明らかになった。一方で、症状の程度や入院期間などに対する効果は、認められなかった。進行がん患者に対する、緩和ケアの効果について行った無作為化試験は珍しいという。米国Dartmouth Hitchcock Medical CenterのMarie Bakitas氏らが、300人超の進行がん患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。専門の看護師主導で、当初4回、その後毎月電話でフォローアップBakitas氏らは、2003~2008年にかけて、進行がんの診断を受けて間もない322人の患者を無作為に2群に分け、一方には緩和ケアと通常の治療を、もう一方には通常の治療のみを行った。被験者の内訳は、消化器がん41%、肺がん36%、尿路性器がん12%、乳がん10%となっており、緩和ケア群、対照群に均等に割り付けられた。緩和ケアは、訓練を受けた看護師主導で行われ、患者の活動や自己管理、啓発を促す教育セッションを、当初は4回、その後毎月1回電話によるフォローアップを行った。QOLとうつ状態のスコアが有意に改善緩和ケア群のスコアから対照群のスコアを引いた、治療効果について見てみると、QOLは平均4.6(標準偏差:2、p=0.02)、うつ状態は平均-1.8(同:0.81、p=0.02)と、ともに有意に改善していた。一方、症状の程度は平均-27.8(同:15、p=0.06)と有意差は見られなかった。また、入院や集中治療室(ICU)の滞在日数、病院の救急治療部への診察回数などは、両群で有意差がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国で急性気道感染症への抗生物質投与率、過去10年間も継続的に減少

米国で、過去10年間の急性気道感染症への抗生物質投与率が低下してきていることがわかった。米国Vanderbilt大学のCarlos G. Grijalva氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。同投与率は、1990年代に減少傾向にあったが、その後も同傾向が続いていることが確認された。抗生物質耐性菌の感染症による死亡率が増加する中では朗報と言える。ARTIへの年間抗生物質投与率、5歳未満で36%、5歳以上で18%減少Grijalva氏らは、米国の外来治療に関するデータベース、「National Ambulatory Medical Care Survey」と「National Hospital Ambulatory Medical Care Survey」(1995~2006)をもとに調査を行った。その結果、5歳未満の中耳炎を含む急性気道感染症(acute respiratory tract infection;ARTI)による年間受診率は、1995~1996年と2005~2006年との比較で、人口1,000人当たり1,883件から同1,560件へと、17%(95%信頼区間:9~24)減少していた。これは、中耳炎による診察率が33%(同:22~43)減少したことが主な原因だった。それに伴い、ARTIへの年間抗生物質投与率は前述比較期間で、人口1,000人当たり1,216件から同779件へと、36%(同:26~45)減少した。年齢5歳以上については、ARTIによる年間受診率の減少は見られなかったものの、ARTIへの年間抗生物質投与率は同期間比較で、人口1,000人当たり178件から同146件へと、18%(同:6~29)減少した。アジスロマイシンがARTIと中耳炎の最も一般的処方薬になり投与率増加なかでも、抗生物質投与の適応が稀な、中耳炎以外のARTIに対する抗生物質投与率については、5歳未満では41%(同:22~55)減少し、5歳以上でも24%(同:10~37)減少した。また、抗生物質の種類についてみてみると、ペニシリン、セファロスポリン、サルファ薬やテトロサイクリンの投与率が減少した。一方で、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)はARTIと中耳炎の際の最も一般的な処方薬となり、処方率は増加した。成人投与の中では、キノロン系の処方率も増加していた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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統合失調症治療剤「ルラシドン」の第III相試験(PEARL2試験)の結果が発表される

 大日本住友製薬株式会社は26日、自社開発中の統合失調症治療剤「ルラシドン」の2本目の第III相試験(PEARL2試験)の結果を発表した。この試験は急性期の統合失調症患者を対象とした6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験であり、ルラシドン40mg/日および120mg/日の両投与群は、主要評価項目および主な副次評価項目において、プラセボ投与群に比べ有意に高い有効性を示したという。また、ルラシドン投与群はプラセボ投与群と同程度の中止脱落率であり、良好な忍容性を示し、体重や脂質への影響もプラセボ投与群と同程度だったとのこと。 PEARL2試験は、統合失調症治療におけるルラシドンの有効性と安全性を評価するため、全世界規模で2,000人以上の患者が参加しているPEARL(Program to Evaluate the Antipsychotic Response to Lurasidone)と同社が名づけた第III相試験プログラムの一つ。PEARL2試験では、急性期の統合失調症の入院患者478人を、ルラシドン40mg/日、120mg/日、オランザピン15mg/日の固定用量とプラセボ群に分けて6週間投与した。オランザピンは、分析感度を確認するための参照薬として用いられた。ルラシドン40mg/日投与群と120mg/日投与群(いずれも1日1回投与)は、試験終了点における有効性の主要評価項目のPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)の2総合点で、投与前と比べた試験終了時の変化量が、プラセボ投与群の-16.0 に対し、40mg/日投与群で-25.7、120mg/日投与群で-23.6 であり、プラセボ投与群に比較して有意に高い有効性を示したという。投与前後のPANSSの総合点で30%以上の改善が認められた患者の割合は、ルラシドン40mg/日投与群では53%、120mg/日投与群では47%、プラセボ投与群では38%だった。 また、主な副次評価項目のCGI-S(Clinical Global Impressions Severity scale)においても、プラセボ投与群に比較して有意に高い有効性を示しました。投与前後における変化量ではプラセボ投与群の-1.1 に対し、40mg/日投与群で-1.5、120mg/日投与群で-1.4であった。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090826.pdf

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ファイザーとアステラス製薬「カデュエット配合錠」のコ・プロモーション契約締結

ファイザー株式会社とアステラス製薬株式会社は26日、持続性Ca拮抗薬/HMG-CoA還元酵素阻害剤「カデュエット配合錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合剤)に関し、日本国内におけるコ・プロモーション(共同販促)契約を締結したと発表した。カデュエット配合錠は、ファイザーが販売する高血圧症・狭心症治療薬「ノルバスク錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)とファイザーとアステラス製薬で共同販促する高コレステロール血症治療剤「リピトール錠」(一般名:アトルバスタチンカルシウム水和物)の有効成分を配合した経口治療剤。現在、70以上の国と地域で承認され、日本ではファイザーが2009年7月7日に製造販売承認を取得した。本契約に基づき、ファイザーはカデュエット配合錠の製造と販売を行い、アステラス製薬と共にプロモーション活動を実施する。なお、カデュエット配合錠は、薬価収載後に発売する予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_08_26.html(ファイザー)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-63.html(アステラス製薬)

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Avastinと化学療法の併用で、進行性乳がんの治療歴のある女性において無増悪生存期間が延長する

スイス・ロシュ社は、治療歴のあるHER2陰性の進行性乳がん女性を対象としたAvastinとさまざまな化学療法の併用を検討した第III相臨床試験(RIBBON-2試験)において、Avastinと化学療法の併用群では化学療法単独に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間の延長が認められたことを発表した。中外製薬株式会社が26日に報告した。RIBBON-2試験は、多国籍多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験であり、転移性HER2陰性乳がんの治療歴のある684名の患者が登録された。試験では、主治医が選択した化学療法とAvastinまたはプラセボの併用を評価しました。「Taxanes:paclitaxel、protein-bound paclitaxelまたはdocetaxel」「Gemcitabine」「Capecitabine」「Vinorelbine」の化学療法レジメンが試験で使用された。試験では、主治医がAvastinとの併用で使用される化学療法を選択し、化学療法は主要評価項目の分析とともに評価され、Avastinの新たな安全性シグナルは観察されなかったという。試験成績は近く開催される医学会で発表される予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=TT0SVX2NBNHM2CSSUIHSFEQ?documentId=doc_15426〈=ja

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非糖尿病高血圧患者の血圧コントロールも、より厳しく130mmHg未満を目標に:Cardio-Sis

非糖尿病高血圧患者の理想的な降圧目標レベルはまだわかっていない。イタリアHospital S Maria della MisericordiaのPaolo Verdecchia氏らの研究グループは、目標とすべき収縮期血圧値が、一般的な目標値と比較してより厳しいほうが、それら患者にとって有益であるとの仮説を検証する非盲検無作為化試験Cardio-Sisを行った。Lancet誌2009年8月15日号より。目標血圧を140mmHg未満群と130mmHg未満群に無作為化し検討Cardio-Sis(Studio Italiano Sugli Eff etti CARDIOvascolari del Controllo della Pressione Arteriosa SIStolica)試験は、イタリア国内にある44の施設で行われた。収縮期血圧が150mmHg以上の1,111例の非糖尿病高血圧患者を、目標収縮期血圧140mmHg未満の通常コントロール群(n=553)または130mmHg未満のタイトコントロール群(n=558)に無作為に、コンピュータのランダム化機能を利用し割り付けた。評価者は無作為化について知らされないまま心電図を読み、イベントを判定した。降圧薬はオープンラベルとし、無作為化されたそれぞれの目標値を達成するために投与された。主要エンドポイントは、無作為化2年後に心電図に現れた左心室肥大の割合とした。心血管複合イベント発生率に有意差追跡期間中央値2.0年(IQR:1.93~2.03)では、収縮期/拡張期血圧の平均値は、140mmHg群は23.5/8.9mmHg(SD:10.6/7.0)、130mmHg群は27.3/10.4mmHg(11.0/7.5)低下した。群間差は、収縮期血圧3.8mmHg(95%信頼区間:2.4~5.2、p

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新型インフル、感染防止対策はまず若年層に集中するべき

本論は、米国NIHのGerardo Chowell氏らによる、NEJM誌オンライン版2009年6月29日に発表された論文。2009年春、メキシコから重症肺炎の集団発生が報告された同時期に、新型インフルエンザのウイルス株分離の報告がされたことを踏まえ、ウイルスがもたらす重症疾患のリスク因子に関する情報や、感染管理を見通す方法を得るため、メキシコ発の重症肺炎について解析を行ったもの。本誌では2009年8月13日号にて掲載された。死亡例、重症肺炎例は5~59歳に集中2009年3月24日から4月29日にかけて、メキシコ保健省には合計2,155例の重症肺炎患者(入院821例、死亡100例を含む)が報告された。同時期、国立Epidemiological Reference Laboratoryに提出された8,817件の鼻咽頭標本のうち、2,582件がブタ由来の新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(S-OIV)陽性が報告された。Chowell氏らは、これら重症肺炎患者の死亡率と罹患率における年齢分布の偏りを、これまで報告されたインフルエンザ流行時の患者の年齢分布とで比較した。その結果、5~59歳の死亡率は87%、重症肺炎罹患率は71%だったのに対し、同じ年齢層の対照期間(報告例が寄せられた春季)の死亡率、罹患率はそれぞれ17%と32%だった。また、今回の新型インフルエンザに関して、過去における新型インフルエンザウイルスの伝播と同様、第一波が季節外れの時期に、かつ若年層を襲ったという点で類似していたという。過去のパンデミックと類似点が多いChowell氏らは、「今回の新型インフルエンザ・パンデミックは、初期の段階で、重症肺炎の割合が急増し、さらにこれら疾患患者の年齢分布に顕著な偏りがあったことから、過去のパンデミックとの類似性を想起させた。さらに、1957年のパンデミック以前に生まれ、幼児期にH1N1株に曝されていた中高年者は、若年者と比べて相対的に免疫作用をもつことが示唆された」と報告。これら所見から「医療資源やワクチンの供給に限りがある場合、感染予防をより若い世代に集中させることが妥当性である」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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地中海式ダイエット食が、アルツハイマー型認知症リスクを低減する?

米国ニューヨークTaub Institute for Research in Alzheimer’s Disease and the Aging BrainのNikolaos Scarmeas氏らは、地中海式ダイエット食および運動は、いずれもアルツハイマー型認知症の発症リスクを有意に低減すると報告している。地中海式ダイエット食が少ない人と比べると、多い人は同リスクが約4割減少、また運動をよくする人はしない人に比べると、同リスクが約3割強減少するという。JAMA誌2009年8月12日号で発表した。高齢者1,880人について、平均5.4年追跡研究グループは、1992~2006年にかけて、ニューヨーク在住の高齢者合わせて1,880人について、前向きに追跡調査を行った。被験者の地中海式ダイエット食の摂取程度と、運動量について、およそ1.5年ごとに調査を行った。試験開始時点の平均年齢は77.2歳、追跡期間の平均は5.4年(SD 3.3)だった。結果は、年齢、性別、人種、うつ病の有無、余暇の過ごし方などで、補正を行った上で解析された。AD発症リスクは、地中海式ダイエット食で0.60倍、運動で0.67倍まで減少追跡期間中、282人のアルツハイマー型認知症(AD)が発症した。地中海式ダイエット食とAD発症率について見てみると、同ダイエットの程度を3段階(低・中・高)に分けた際の低レベル群との比較で、中レベル群のAD発症に関するハザード比は0.98(95%信頼区間:0.72~1.33)、高レベル群は同0.60(同:0.42~0.87、傾向性p=0.008)だった。一方、運動量とAD発症率については、運動量を3段階(しない・中・高)に分けた際の運動をしない群との比較で、中レベル群のハザード比は0.75(同:0.54~1.04)、高レベル群の同比は0.67(同:0.47~0.95、傾向性p=0.03)だった。また、地中海式ダイエット食と運動量を併せて見てみると、同ダイエット食の低レベル群で運動をしない人の、AD発症に関する絶対リスクは19%だったのに対し、同ダイエットと運動量ともに高レベル群の人の絶対リスクは12%だった(ハザード比:0.65、95%信頼区間:0.44~0.96、傾向性p=0.03)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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地中海式ダイエット食、認知症とは無関係? 認知機能低下は抑制する?

フランスUniversite Victor Segalen Bordeaux 2のCatherine Feart氏らは、地中海式ダイエット食を摂っている高齢者に、認知能力試験の1つ、ミニメンタル・ステート試験(MMSE)スコアの低下が認められたが、その他の認知能力試験の結果には、関連は見られなかったことを報告した。併せて、地中海式ダイエット食と認知症の発症リスクとには関連が認められなかったとも報告している。1,400人超のフランス人高齢者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月12日号で発表した。1,410人を対象に4種の認知能力試験を実施、最低5年毎に追跡Feart氏らは、2001~2002年にかけて、合わせて1,410人の65歳以上について、前向きコホート試験を開始し、最低5年毎に再調査を行った。認知度を測る4種の試験、MMSE試験、Isaacs Set Test(IST)、ベントン視覚記銘検査(Benton Visual Retention Test;BVRT)、Free and Cued Selective Reminding Test(ヒントがある場合とない場合の選択的想起試験、FCSRT)を行った。MMSEスコアの低下は減速、他3種試験のスコアでは関連なし年齢や性別、学歴、運動量、アポリポ蛋白E遺伝子型などについて補正を行った後、地中海式ダイエット食のスコアが高いほど、MMSE試験での間違いが少ない傾向があることが認められた(MMSEスコア1ポイント増加によるβ=-0.006、95%信頼区間:-0.01~-0.0003、p=0.04)。しかし、IST、BVRT、FCSRTのスコアの変化については、地中海式ダイエット食のスコアとの関連は見られなかった。また、5年の間に認知症の症状が見られなかった人について調べてみると、地中海式ダイエット食のスコアが最も高かった群は、最も低かった群に比べ、MMSEの間違いが少なく、FCSRTスコアも高かった(MMSEのβ=-0.03、95%信頼区間:-0.05~-0.001、p=0.04、FCSRTのβ=0.21、95%信頼区間:0.008~0.41、p=0.04)。一方、地中海式ダイエット食と認知症発症リスクの間には、関連性は見られなかった(ハザード比:1.12、同:0.60~2.10、p=0.72)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HPV 16の短期的持続感染は、数年後の子宮頸がん初期病変を強く予測する

登録時と1年後の遺伝子検査で2回とも発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)が検出(短期的持続感染)された女性は、数年後に子宮頸がんの初期病変としての子宮頸部上皮内がん(CIN)を発現する可能性が有意に高いことが、アメリカ国立がん研究所疫学・遺伝学部門のPhilip E Castle氏らがコスタリカで実施したコホート研究で判明した。発がん性HPVの持続感染は子宮頸部異常のリスクを増大させることがわかっており、スクリーニング法としてHPVの発がん性の遺伝子型に関するDNA検査の導入が進んでいる。HPV遺伝子検査は高い信頼性を持つが、従来の細胞診に比べ感受性は高いものの特異度が劣るという。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。コスタリカ人女性を対象に40以上のHPVの遺伝子型を解析研究グループは、発がん性HPVの短期的な持続感染の検出と、CIN grade II+、III+の累積発現率の関連について検討するために地域住民ベースのコホート研究を実施した。対象は、コスタリカのグアナカステ州在住の性的活動期にある女性2,282人。受診時に採取した試料を用いて40以上のHPVの遺伝子型について解析した。特に発がん性の高い遺伝子型として、HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、73、82が考慮された。主要評価項目は、組織学的に確定されたCIN grade II+の3年および5年の累積発現率とした。陽性/陽性例の3年累積発現率は17.0%、2回ともHPV 16だと40.8%登録時と約1年後(9~21ヵ月)の遺伝子検査の双方で発がん性HPVが陽性であった女性(陽性/陽性例)におけるCIN grade II+の3年累積発現率は17.0%であった。これに対し、登録時陰性で1年後陽性の女性(陰性/陽性例)における3年累積発現率は3.4%、陽性/陰性例は1.2%、陰性/陰性例は0.5%であり、いずれも発現リスクは有意に低減した。陽性/陽性例のうち、検出された遺伝子型が2回の検査で同じ場合と違う場合を合わせたCIN grade II+の累積発現率が17.0%であり、遺伝子型が2回とも同じ場合に限ると21.3%であったが、両者に大きな差は認めなかった。HPV 16の短期的持続感染によるCIN grade II+の3年累積発現率は40.8%と、高い予測値が確認された。これらと同様のパターンが、CIN grade II+の5年累積発現率およびCIN grade III+の3年、5年累積発現率にも観察された。著者は、「発がん性HPV、なかでもHPV 16の短期的持続感染が検出される場合は、数年後のCIN grade II+の発現が強く予測される」と結論し、「HPV 16、18など最もリスクの高い遺伝子型を集中的にモニターして、他の発がん性の遺伝子型はまとめて評価する方法が実践的である。HPV 16、18の検出に発がんリスクに関する高い信頼性を置き、これと引き替えにそれ以外の遺伝子型が繰り返し検出されてもHPV持続感染とはみなさないというトレードオフの考え方は許容できるものであり、さらなる検討を進めるべき」としている。(菅野守:医学ライター)

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新型インフルエンザ感染妊婦は迅速に治療を

汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスに感染した妊婦は重症化しやすく、合併症をきたして入院に至る可能性が高いため、確定例のみならず可能性例を含め迅速に治療を開始すべきことが、アメリカ国立慢性疾患予防・健康増進センターのDenise J Jamieson氏らが実施した調査で明らかとなった。アメリカを含む世界規模で広範に発生した発熱性呼吸器感染症の原因として、汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスが同定された。症状は軽度~重度までさまざまだが、妊婦への影響に関する報告はほとんどないという。Lancet誌2009年8月8日号(オンライン版2009年7月29日号)掲載の報告。CDCによる強化サーベイランスの一環として調査研究グループは、今回の発生から1ヵ月以内にアメリカ国内の妊婦におけるH1N1ウイルスの感染状況および発生後2ヵ月以内の感染死亡例について解析を行った。妊婦感染の初回報告後、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は強化サーベイランス(enhanced surveillance)の一環として、汎発性H1N1ウイルス感染妊婦の病態および死亡について系統的な情報収集を開始した。急性呼吸器感染症の症状を呈し、リアルタイムRT-PCR法あるいはウイルス培養にて汎発性H1N1ウイルスが確認された場合を「確定例(confirmed case)」と定義した。発熱をともなう急性呼吸器感染症の症状がみられ、インフルエンザA型は陽性だがH1およびH3が陰性の場合を「可能性例(probable case)」とした。感染妊婦は合併症発現リスクが増大、日頃から妊婦へ情報提供を2009年4月15日~5月18日までに、13州から34人の妊婦が確定例および可能性例としてCDCに報告された。入院例は11例(32%)であった。発生1ヵ月以内におけるH1N1ウイルス感染者の推定入院者数(10万人当たり)は、一般人口の0.076人に対し妊婦は0.32人と高率であった。4月15~6月16日までに、CDCには6人の感染妊婦の死亡が報告されたが、いずれも肺炎を発症し機械的人工換気を要する急性呼吸促迫症候群を呈してした。著者は、「妊婦は汎発性H1N1ウイルス感染による合併症の発現リスクが増大している可能性がある。これらのデータは、H1N1ウイルス感染妊婦には迅速に抗インフルエンザ薬による治療を行うべきとする現行の勧告を支持するものである」と結論し、「妊婦には、H1N1ウイルスや他の新たな病原体について、どのような公衆衛生上の対策があるかの情報を伝えることが重要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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2型糖尿病治療薬エキセナチドを日本で承認申請

日本イーライリリー株式会社は17日、8月12日付で2型糖尿病治療薬として、エキセナチド(一般名、米国製品名:Byetta)の承認申請を行ったことを発表した。エキセナチドは、世界初のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストの2型糖尿病治療薬として2005年に米国で発売されて以来、現在までに世界60ヵ国以上で、100万人以上の患者の治療に用いられている。エキセナチドは体内の血糖値に応じて作用し、高血糖の時にのみ膵臓からのインスリン分泌を促進するため、インスリン治療に比べて低血糖発現率が低くなる。エキセナチドは、1日2回投与で、経口糖尿病治療薬との併用で使用され、持続的な血糖コントロールと低い低血糖症発現率を達成し、体重減少をもたらすことが確認されているという。GLP-1は、ヒトの体内に存在する消化管ホルモンで、膵臓の他に胃、肝臓、脳に対しても作用して食後の血糖値を調整する。エキセナチドは、体内に存在するGLP-1と同様に、GLP-1受容体に結合することでGLP-1作用を発揮するため、「GLP-1受容体アゴニスト」と称されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2009_22.cfm

9855.

世界の医療用メンブレン(分離膜)装置市場は2014年に25億米ドルへ

米国の調査会社BCC Researchが発行した技術市場調査報告書「MEDICAL MEMBRANE DEVICES: MARKET AND TECHNOLOGIES」によると、世界の医療用メンブレン装置市場は2009年に20億米ドルとなる予測であることがわかった。また、今後5年間は年複利成長率(CAGR)の4.6%で成長し、2014年には25億米ドルに達する見込みだという。株式会社グローバル インフォメーションが発表し、販売を開始した。報告書によると、透析器、血液酸素発生器およびIVフィルターの売上が市場主導型となっているのに対し、血液/血液成分分離フィルターおよび診断装置の売上は、技術主導型となっているという。市場主導型装置の総売上額はCAGR2.5%の7億1400万米ドルとなっているとのこと。同報告書は、医療用メンブレン装置産業について分析し、著しい発展と予測、重要な動向、多様な市場セクターの定量化、これらの分野における企業活動のプロファイルを調査したもの。詳細はプレスリリースへhttp://www.infoshop-japan.com/press/bc94133.shtml

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脳卒中患者へのリハビリは、管理介入し続けないと効果はない?

脳卒中患者の身体活動度は、たとえいったんはリハビリでアップできても、その後自主性に任せるような方法では維持できないことが、デンマーク、コペンハーゲン大学附属Bispebjerg病院神経内科のGudrun Boysen氏らによって報告された。BMJ誌2009年8月1日号(オンライン版2009年7月22日号)より。言葉によるトレーニング教授の介入が、身体活動度を持続的に増大するのか試験身体活動と脳卒中については、リスクを軽減することが観察研究で知られているが、脳卒中を起こした患者にとって身体活動が、再発や他の心血管イベントを予防するのに効果があるのかは明らかにされていない。また、いくつかの小規模な研究で、脳卒中患者への集団指導で、運動・歩行能力が3~6ヵ月間は改善されたとの報告はある。Boysen氏らは、反復奨励と言葉による運動解説が、脳卒中患者の身体活動度を持続的に増大することができるのか、「ExStroke Pilot Trial」を行い評価を行った。介入による、身体活動、死亡率、再発率、心筋梗塞、転倒、骨折への有意な影響見られずExStroke Pilot Trialは、結果をマスキング評価して行う多国籍多施設共同無作為化臨床試験で、評価はPASE(physical activity scale for the elderly)の指標を用いて行われた。試験には、デンマーク、中国、ポーランド、エストニアから、40歳以上で歩行可能だった脳卒中患者314例が参加し、介入群(157例、平均年齢69.7歳)と対照群(157例、同69.4歳)に無作為化された。介入群の患者には、退院前に詳細なトレーニング方法が教授され、退院後24ヵ月の間に5回、外来受診してもらい追跡調査をした。対照群の患者にも同じ頻度で外来受診してもらい追跡調査をしたが、身体活動の指導は行われなかった。主要評価項目は、各回受診時のPASE評価の結果、副次評価項目は、臨床イベントとされた。結果、介入群のPASEスコアは69.1、対照群は64.1で、差は5.0(95%信頼区間:-5.8~15.9、P=0.36)。介入は身体活動の、有意な増加にはつながっていなかった。また、死亡率、再発率、心筋梗塞、転倒、骨折にも、有意な影響を与えていることは見受けられなかった。Boysen氏は、「虚血性脳卒中患者の身体活動を促進するには、もっと強い戦略が必要のようだ」と結論した。

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がん抑制遺伝子がiPS細胞の形成を阻害―英国科学誌 Natureに発表―

アステラス製薬株式会社は10日、京都大学(生命科学系キャリアパス形成ユニット)の川村晃久特定助教 と 同社研究本部分子医学研究所の鈴木丈太郎主任研究員らは、米国ソーク研究所(Salk Institute for Biological Studies)のGene Expression Laboratory(Juan Carlos Izpisúa Belmonte(教授)およびGeoffrey M. Wahl(教授))のグループと共に、p53と呼ばれるがん抑制遺伝子がiPS細胞の形成を阻害していることを見出し、同日のNatureオンライン版に掲載されたと発表した。p53は、腫瘍の発生を抑える働きのある重要ながん抑制遺伝子で「ゲノムの守護神(guardian of the genome)」との異名をもち、本遺伝子の異常は、がん細胞において高率に発見されているという。2006年に山中伸弥教授(京都大学)らは、3~4つの遺伝子によって体細胞からiPS細胞という人工的な多能性幹細胞(万能細胞)を作り出すことに成功。このiPS細胞の作成の過程は「再プログラミング(初期化)」と呼ばれるが、実際に体細胞が初期化されiPS細胞になる確率は非常に低いとのこと。今回の研究成果により、この「再プログラミング」をp53が抑制していたことが明らかになったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/ips-nature.html

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白血病患者の造血幹細胞移植後の再発メカニズム

一部分だけが適合するファミリードナーからの提供で行う造血幹細胞移植は、再発のリスクが高い血液がんを有する患者にとって、有望な治療法である。ドナーT細胞輸注によって、移植後免疫再構成が促され、疾患をコントロールすることができるからである。ただ再発リスクも高く、またなぜ再発するのかメカニズムはとらえきれていない。イタリアSan Raffaele-Telethon病院遺伝子治療研究所のLuca Vago氏らは、再発メカニズムを解明すべく、移植後調査を行った。NEJM誌2009年7月30日号より。診断時白血球細胞と、再発時の白血球細胞を解析調査は、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群を発症し、ハプロタイプ一致造血幹細胞移植およびドナーT細胞の輸注が行われた患者43例を対象とした。実施した調査は、骨髄の形態的な検査、縦列型反復配列解析を用いた造血キメラ化の評価、HLAタイピング。変異白血病細胞のゲノム再配列を、ゲノムHLAタイピング、マイクロサテライトマッピング、SNP(一塩基多型)アレイを用い検討した。そして、診断時に採取したオリジナル白血球細胞と変異白血病細胞の、移植後免疫応答をリンパ球の混合培養液を用いて解析した。ミスマッチHLAハプロタイプを消失させる現象が再発をリード白血病を再発したのは17例だった。そのうち5例で、最初の白血病の細胞の変異型が確認された。この変異白血病細胞では、ドナーのハプロタイプとは異なるHLAハプロタイプの消失が確認された。染色体6pにおける後天性片親性ダイソミーのためとみられた。また、ドナーT細胞および移植後患者T細胞では、変異白血病細胞が確認されなかったのに、診断時に採取されたオリジナル白血病細胞には効率的に確認・殺滅された。Vago氏は、「ハプロタイプ一致造血幹細胞移植後およびドナーT細胞輸注後、白血病細胞はミスマッチHLAハプロタイプを消失させる。これによりドナーの抗白血病性T細胞から逃れられるが、この現象が、結局は再発をリードすることになっているようだ」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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虚血性心疾患と血漿CRP濃度との関連

C反応性蛋白(CRP)の血漿中濃度は、虚血性心疾患のリスクと独立して関連している。しかしこのCRP値が、虚血性心疾患そのものと関連しているのか、あるいはまた単に疾患の根底にあるアテローム硬化症のマーカーなのかは不明である。ロンドン王立大学疫学公衆部門環境・健康センターのPaul Elliott氏ら研究グループは、CRP濃度、遺伝子座位と、虚血性心疾患リスクとの関連について調査を行った。JAMA誌2009年7月1日号より。CRP濃度と虚血性心疾患との関連を遺伝子レベルで調査Elliott氏らははじめに、血漿CRP濃度と関連する遺伝子座位を同定するために、ゲノムワイド関連研究(n=17,967例)と再現性のための確認試験(replication study、n=13,615例)を実行した。データは1989~2008年に収集され、遺伝子タイピングは2003~2008年に行われた。そして虚血性心疾患とCRP異型を含む遺伝子レベルでの関連を調査するために、CRP座位に関して最も密接に関連する一塩基多型(SNP)でメンデルランダム化試験を行った。この試験には、CRP異型に関する公表されたデータを収集し、合計28,112例のケース群と100,823例の対照群が含まれた。その結果と、CRP濃度と虚血性心疾患リスクとの関連に関する観察研究のメタ解析から得られた知見とを比較した。検討では、最も密接するSNP、ケース群14,365例と対照群32,069例を選択し行われた。主要評価項目は、虚血性心疾患のリスク。CRP座位と虚血性疾患との関連は認められず結果、5つの遺伝子座位の遺伝子多型で、強い関連(CRP濃度の減少と関連)が確認された。1つは、LEPR座位の「SNP rs6700896」で、CRP濃度減少は-14.8%[95%信頼区間:-17.6%~-12.0%、P=6.2×10(-22)]。IL6R座位の「rs4537545」は-11.5%[同:-14.4%~-8.5%、P=1.3×10(-12)]。CRP座位の「rs7553007」は-20.7%[同:-23.4%~-17.9%、P=1.3×10(-38)]だった。HNF1A座位の「rs1183910」は-13.8%[同:-16.6%~-10.9%、P=1.9×10(-18)]。APOE-CI-CII座位の「rs4420638」は-21.8%[同:-25.3%~-18.1%、P=8.1×10(-26)]だった。CRP座位の「rs7553007」と虚血性心疾患との関連は、CRP濃度20%低下につきオッズ比0.98(95%信頼区間: 0.94~1.01)。CRP濃度と虚血性心疾患の観察研究のメタ解析から予測できたオッズ比は0.94(同:0.94~0.95)だったが、Elliott氏らのメンデルランダム化試験からは、CRP座位と虚血性疾患との関連は認められなかった(オッズ比:1.0、95%信頼区間:0.97~1.02)(zスコア:-3.45、P<0.001)。一方、LEPR座位の「SNPs rs6700896」(オッズ比:1.06、95%信頼区間:1.02~1.09)、IL6R座位の「rs4537545」(同:0.94、0.91~0.97)、APOE-CI-CII座位の「rs4420638」(同:1.16、1.12~1.21)では、虚血性心疾患との関連が認められた。HNF1A座位の「rs1183910」は認められていない。以上の結果についてElliott氏は、「虚血性心疾患リスクに関してCRP遺伝子型とCRP濃度とは一致が見られなかった。CRPと虚血性心疾患とには因果関係がないことが立証されたといえる」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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脊椎固定手術時のBMP製品使用の実態(使用率、合併症、入院費)

脊椎固定手術時のBMP製品(骨形成タンパク質:bone-morphogenetic proteins)の使用に関する調査結果が、ブリガム&ウィメンズ病院神経外科部門のKevin S. Cahill氏らによって発表された。JAMA誌2009年7月1日号より。これまで同データに関する全米調査などは行われていなかったという。2002~2006年の脊椎固定手術を受けた患者328,468例について調査Cahill氏らが調査したのは、BMP使用パターン、および使用率と入院費について、全米のコミュニティ病院の約20%からサンプリングされている全国入院患者標本データベース(Nationwide Inpatient Sample database)から、2002~2006年の脊椎固定手術を受けた患者328,468例を対象とし後向きに調査が行われた。主要評価項目は、手術を受けた患者におけるBMP使用率と合併症、入院期間、そしてBMPと入院費との関連。2006年の使用率25%、入院費増大をもたらしているBMPは全米的に使用が増大していて、2002年は脊椎固定手術のうち0.69%の使用割合だったが、2006年には24.89%となっていた。使用率は、性、人種、加入保険によって違いが見られた。女性、メディケア加入者では使用率が高く、白人以外の人における使用率は低かった。女性では、使用56.26% vs. 非使用53.35%(オッズ比:1.12)、メディケア加入患者では、使用29.62% vs. 非使用27.16%(同:1.43)、白人以外の人では、使用8.69% vs. 非使用10.23%(同:0.80)だった。術後直後の合併症による入院に関しては、手術部位(腰部、胸部、後頸部)による違いは見られなかった。ただし単変量解析および多変量補正後、前頸部でのBMP使用は、高い合併症の発生と関連が認められた(使用7.09% vs. 非使用4.68%、オッズ比:1.43)。主な合併症は、損傷関連(使用1.22% vs. 非使用0.65%、オッズ比:1.67)、嚥下障害または嗄声(使用4.35% vs. 非使用2.45%、オッズ比:1.63)。また、BMP使用は、部位を問わず脊椎固定手術全体で、入院費増大と関連していた。増大率は11~41%で、最も増大率が高かったのは、前頸部の手術においてだった。Cahill氏は、「今回の調査で、2006年時点の脊椎固定手術におけるBMP使用は25%に上ること、また前頸部での合併症頻度が高いこと、全部位に関して入院費の増大をもたらしていることが明らかになった」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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