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筋骨格系慢性疼痛へのウォーキングは有用?

 英国・クイーンズ大学ベルファストのSean R. O’Connor氏らは、筋骨格系慢性疼痛患者の疼痛や機能に対するウォーキングの効果を検討する目的でシステマティックレビューを行った。その結果、ウォーキングは対照と比較して疼痛や機能の有意な改善と関連していることを明らかにした。ただし、長期的な効果については不明であったとしている。著者は、「筋骨格系慢性疼痛に対する効果的な介入法としてウォーキングが推奨されるが、介入維持を目的とした戦略、ならびに健康に関連した効果に関するさらなる検討が必要」とまとめている。Archives of Physical Medicine and Rehabilitation誌オンライン版2014年12月18日号の掲載報告。 研究グループは、6つのデータベース(Medline、CINAHL、PsychINFO、PEDro、Sport Discus and the Cochrane Central Register of Controlled Trials)を用いて1980年~2014年3月までの論文を検索し、慢性腰痛、変形性関節症または線維筋痛症の成人患者を対象に、ウォーキングと非運動/非ウォーキングを比較した、ランダム化および準ランダム化試験26件(2,384例)を選択した。 データの方法論的質については、米国予防医学専門委員会(USPSTF)のシステムを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・17件がランダム効果モデルを用いたメタ解析の対象となった。・追跡期間別に解析した結果、ウォーキングは短期(無作為化後8週)、および中期(無作為化後2ヵ月超12ヵ月以内)の疼痛軽減(軽度~中等度改善)と関連した。それぞれ平均群間差(MD)は-5.31(95%信頼区間[CI]:-8.06~-2.56)、-7.92(同:-12.37~-3.48)であった。・機能については、短期(MD:-6.47、95%CI:-12.00~-0.95)、中期(同:-9.31、-14.00~-4.61)および長期(12ヵ月超)(同:-5.22、-7.21~-3.23)のいずれにおいても改善が認められた。

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ハワイの認知症入院患者、日系人高齢者が多い

 ハワイで認知症と診断され入院している患者を調べたところ、ネイティブ・ハワイアンと日系人の高齢者が多いことが、米国・ハワイ大学のTetine L. Sentell氏らによる調査の結果、明らかにされた。結果について著者は、「ネイティブ・ハワイアンと日系人高齢者集団に対する公衆衛生および臨床ケアにおいて、重要な意味がある」と指摘している。認知症入院患者はそうではない入院患者と比べて、コスト、入院期間、また死亡率が高いが、米国においてこれまでネイティブ・ハワイアンおよびアジア系サブグループの認知症に関するデータは限定的であった。Journal of the American Geriatrics Society誌2015年1月号(オンライン版2014年12月23日号)の掲載報告。 研究グループは、2006年12月~2010年12月にハワイで入院した全成人を対象に、認知症と診断された入院患者について、年齢階層別(18~59歳、60~69歳、70~79歳、80~89歳、90歳以上)にアジア系住民および太平洋諸島系の原住民(ネイティブ・ハワイアン、中国系、日系、フィリピン系)の割合を調べ、白人の割合と比較した。認知症診断はICD-9コードを用いて特定した。集団分母は、米国国勢調査を利用した。 主な結果は以下のとおり。・認知症診断歴のある入院患者1万3,465例を特定し分析した。・全年齢階層群で、ネイティブ・ハワイアンの認知症入院患者の割合(未補正)が最も高く、その他の人種よりも年齢は若い傾向がみられた。・補正後モデル(性別、居住地、加入保険)において、白人と比べてネイティブ・ハワイアンの認知症入院患者は90歳以上群を除き有意に高率であった。18~59歳群(aRR:1.50、95%信頼区間[CI]:0.84~2.69)、60~69歳群(同2.53、1.74~3.68)、70~79歳群(同2.19、1.78~2.69)、80~89歳群(同2.53、1.24~1.71)。・日系人では高齢者群で有意に高率であった。70~79歳群(aRR:1.30、95%CI:1.01~1.67)、80~89歳群(同1.29、1.05~1.57)、90歳以上群(同1.51、1.24~1.85)。・日系人の若い年齢群(18~59歳)は、白人よりも認知症患者は有意に少ないと思われた(aRR:0.40、95%CI:0.17~0.94)。関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 低緯度地域では発揚気質が増強される可能性あり:大分大学 冬季うつ病、注意が必要な地域は  担当者へのご意見箱はこちら

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漢字で記憶に残る指導法

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 休みになると、体重が増えてしまいます。医師 働かざる者・・・という言葉がありますね。患者 働かざる者 食うべからずですね。医師 そうです。働かざる者食うべからずです。これからにんべんをとると・・・。患者 にんべんをとる?医師 「動かざる者食うべからず」ということになります。画 いわみせいじ患者 なるほど!医師 「動いた時は食べる、動かない時は食べない」これが大切です。患者 私、逆になっていますね。平日はよく動いているのか、食べないのに、休みの日はゴロゴロして、何かつまんでばかりです。これから気をつけます。ポイント慣用句を用いて説明すれば、患者さんの理解度が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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骨巨細胞腫〔Giant cell tumor of bone〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨巨細胞腫は、病理組織学的に破骨細胞様多核巨細胞がみられる良性骨腫瘍であり、1818年にCooper氏により初めて報告された1)。2013年に改訂されたWHO分類(第4版)では2)、「OSTEOCLASTIC GIANT CELL RICH TUMOURS」の項にIntermediate (locally aggressive、rarely metastasizing) として分類されている。そして「A benign but locally aggressive primary bone neoplasm」と記載されているように、組織学的に良性であっても、局所再発や、まれに肺転移も来す腫瘍である。また、骨巨細胞腫に併存して、あるいは以前骨巨細胞腫が存在した部位に高悪性度肉腫が発生することがあり、これは2013年のWHO分類でmalignancy in GCTと総称されている。■ 疫学発生頻度は原発性骨腫瘍の約8.5%、原発性良性骨腫瘍の約12.3%であり3)、好発年齢は20~30代である。好発部位は、脛骨近位や大腿骨遠位、上腕骨近位、橈骨遠位などの長管骨骨端部であるが、比較的早期に発見された腫瘍は骨幹端に存在するものが多く、骨幹端に発生して速やかに骨端に広がる腫瘍と考えられる。しばしば、脊椎、骨盤などの体幹にも発生する。■ 病因骨巨細胞腫は、主に単核の単球細胞、多核巨細胞、紡錘形細胞で構成されており(図1)、腫瘍の本体は、間質に存在する紡錘形細胞と考えられている。そして、これらの細胞の起源については、単球細胞と多核巨細胞がマクロファージ由来、間質の紡錘形細胞が間葉系幹細胞由来と考えられている4)。本腫瘍に関するこれまでの分子生物学的研究から、間質の紡錘形細胞がRANKLを、多核巨細胞はその受容体であるRANKを高率に発現しており5)、このRANKL-RANKシグナルが骨巨細胞腫の病態形成に深く関わっていることが明らかとなっている。画像を拡大する■ 症状特異的な症状はなく、発生部位の腫脹、熱感、疼痛が主で、関節周囲に発生することから、荷重による疼痛や関節可動域制限を認めることが多い。また、腫瘍の増大が速く、これらの症状が発現してから進行するまでの期間が短く、病的骨折を生じて発見されることもある。■ 分類一般的にX線所見による病期分類6)を用いることが多く、再発などの予後と相関する。Grade1境界明瞭で薄い辺縁硬化を伴い骨皮質が正常Grade2境界明瞭だが辺縁硬化がなく骨皮質の菲薄化を認めるGrade3境界不明瞭で浸潤性および活動性を示し骨皮質の破壊と軟部組織への進展を認める■ 予後エアドリルを併用した病巣掻爬や電気メス、アルゴンビームなどの補助療法を追加する手術を行った場合、再発率は10~25%と報告されており、腫瘍を一塊として切除した場合の再発はこれより少ない。局所再発の多くは、術後2年以内であるが、長期経過後の再発も報告されている。また、約1~2%の例で肺転移を認めることがあり、非常にまれではあるが、肺転移巣の大きさや数、部位によっては死亡する例も存在する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査1)画像検査(1)単純X線腫瘍は長管骨の骨幹端から骨端にかけての骨溶解像として描出される(図2)。腫瘍は偏心性に存在することが多く辺縁硬化像を伴うことは少ない。腫瘍が進行した場合、皮質骨は菲薄化と膨隆を伴いシェル状となる。また、時に皮質骨が消失することもある。その他、特徴的な所見としては腫瘍内部の隔壁構造がsoap-bubble appearanceを呈する場合がある。画像を拡大する(2)CT菲薄化した皮質骨の評価に有用である。(3)MRI骨髄内や骨外への腫瘍進展を捉えるために有用である。一般的に、腫瘍はT1強調像で等~低信号、T2強調像で高信号を示し、ガドリニウム(Gd)によりよく造影される。しかし、進行した場合、病巣内に出血に伴うヘモジデリン沈着、嚢胞形成、壊死などの多彩な変化を生じる。出血に伴い2次性の動脈瘤様骨嚢腫に発展した場合は、液面形成像(fluid-fluid level)を呈することもある。2)病理検査破骨細胞類似の多核巨細胞と単核の間質細胞からなる組織像を示す。腫瘍の辺縁に反応性骨形成がみられることがあるが、腫瘍による骨形成は通常みられない(図1)。■ 鑑別診断画像上の鑑別診断としては、良性では単純性骨嚢腫、動脈瘤様骨嚢腫、軟骨芽細胞腫など、悪性では通常型骨肉腫、血管拡張型骨肉腫、未分化高悪性度多形肉腫、がんの骨転移などが挙げられる。骨巨細胞腫は、好発年齢・部位と特徴的な画像所見により、診断は可能だが、最終診断には生検による病理検査が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的治療他の良性骨腫瘍と同様に掻爬を行い、骨欠損部は骨移植や骨セメントで充填することが一般的である。ただし、鋭匙などによる単純な掻爬では再発率が高く、エアドリルの使用、掻爬後のフェノール処置、電気メスやアルゴンビームなどで焼灼など補助療法を追加した外科的治療を行うことが必要である7)。また、関節に浸潤し、軟骨下骨の温存が困難な例や、腫瘍により骨構築が破綻した場合は、切除を行い、骨欠損部を腫瘍用人工関節や人工骨頭で再建することもある。橈骨遠位端発生例では、腫瘍の活動性が高く、切除を行い関節固定で再建することが多い。■ 薬物療法骨転移による病的骨折などの骨関連事象を制御する目的で用いられているゾレドロン酸を切除困難な骨巨細胞腫に使用し、その有用性を述べた報告もある8)。筆者も使用経験があり、骨巨細胞腫に対する治療選択肢の1つと考えている。しかし、明らかな骨形成など明確な変化が得られることは少なく、また、保険適用外であることが問題である。骨巨細胞腫の治療上、革新的な変化が起きたのは、本疾患に対して抗RANKL抗体であるデノスマブの臨床試験が行われ、その結果を受けて2013年6月に米国食品医薬品局(FDA)が、骨巨細胞腫に対する適応を承認したことである。デノスマブは、すでに「多発性骨髄腫による骨病変および固形がん骨転移による骨病変」に対して2012年4月に保険収載され、現在多くの骨転移患者に用いられている。2013年3月には「骨粗鬆症」に対しても保険適用されている。骨巨細胞腫に関しては、FDAの承認後、わが国でも「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象として国内第II相臨床試験が行われ、2014年5月に骨巨細胞腫に対する追加承認を取得、骨巨細胞腫に対して用いることが可能となった。デノスマブは、RANKLを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤である。RANKL は、破骨細胞および破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合し、破骨細胞の形成、機能、生存に関わる分子であり、骨巨細胞腫の病態形成にも深く関与している5)。デノスマブによりRANKLが阻害されることにより、破骨細胞様多核巨細胞が消失し、腫瘍による骨破壊が抑制される。また、腫瘍内に骨形成が起こり、疼痛などの自覚症状も改善する。■ その他脊椎や骨盤など、解剖学的に切除が困難な部位に発生した場合には、腫瘍の進行を制御する目的で動脈塞栓術が試みられている。同じく切除不能例に対する放射線治療も行われてきたが、照射後の悪性化が問題となり、現在ではあまり行われていない。4 今後の展望骨巨細胞腫患者に対するデノスマブの有用性と安全性を明らかにする目的で、米国Amgen社により、骨巨細胞腫患者を対象とした臨床試験(20040215試験および20062004試験)が海外で実施された。いずれの試験においても、安全性と高い抗腫瘍効果が認められ9-11)、これら2試験の成績を基に、骨巨細胞腫に対する承認申請が米国Amgen社により行われ、米国では2013年6月に承認された。わが国においても、「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象に臨床試験が行われ、2013年6月にデノスマブが希少疾病用医薬品に指定され、「骨巨細胞腫」を効能・効果として、2014年5月に承認が得られている。筆者は、現時点での本疾患に対するデノスマブの適用を、「骨格の成熟した12歳以上の骨巨細胞腫患者で切除不可能な場合、もしくは切除に伴い重篤な機能障害を生じる場合」と限定して考えている。デノスマブの出現は、切除困難な骨巨細胞腫患者に大きな変化をもたらしたことは明らかである。しかし、エビデンスのある治療戦略はまだ明らかにされていない。術前投与と縮小手術の詳細や中長期の治療成績に関してもまだ不明である。今後、前向き多施設臨床試験などで、これらの問題を明らかにする必要があると考える。5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍相談コーナー(一般利用者向けのまとまった情報)特定非営利活動法人 骨軟部肉腫治療研究会(医療従事者向けのまとまった情報)1)Cooper A, et al. Surgical essays. 3rd ed. Cox & Son; 1818.2)World Health Organization Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. IARC Press; 2013.3)日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会 編. 全国骨腫瘍登録一覧表(平成23年度). 国立がん研究センター; 2011.4)Wulling M, et al, Hum Pathol. 2003; 34: 983-993.5)Morgan T, et al. Am J Pathol. 2005; 167: 117-128.6)Campanacci M, et al. J Bone Joint Surg Am. 1987; 69: 106-114.7)岩本幸英 編. 骨・軟部腫瘍外科の要点と盲点(整形外科Knack & Pitfalls). 文光堂; 2005. p.210-213.8)Balke M, et al. BMC Cancer. 2010; 10: 462.9)Thomas D, et al. Lancet Oncol. 2010; 11: 275-280.10)Branstetter DG, et al. Clin Cancer Res. 2012; 18: 4415-4424.11)Chawla S, et al. Lancet Oncol. 2013; 14: 901-908.

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境界性パーソナリティ障害+過食症女性の自殺リスクは

 神経性過食症(BN)を併発する境界性パーソナリティ障害(BPD)の女性患者では、自傷行為や自殺未遂との特異的かつ有意な関連がみられることが、Deborah L. Reas氏らによる検討の結果、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「治療期間中の自殺行為に対するさらなる警戒やモニタリングの重要性、定期的なBNスクリーニングが必要である」と指摘している。BPDにおいて、BNが自傷行為や自殺行為といった生命に関わる行為のリスクをもたらすかどうか、調査した研究はほとんどなかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2014年12月15日号の掲載報告。 検討は、DSMI-IV II軸パーソナリティ障害のための構造化臨床面接(SCID-II;First, Gibbon, Spitzer, Williams, & Benjamin, 1997; Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed.; APA, 1994)によりBPDと診断され、1996~2009年にNorwegian Network of Psychotherapeutic Day Hospitalsに入院した、治療を望む女性患者483例を対象として行われた。57例(11.8%)が、精神疾患簡易構造化面接法(M.I.N.I.; Sheehan et al., 1998)により、DSM-IVの BPD診断基準を満たし、BPDおよび他のAXIS I障害の女性と比較された。 主な結果は以下のとおり。・BPD治療中の女性において、BNの併発は特異的かつ有意に自殺行為リスクの増大と関連した。・BNの併発が、すでにハイリスクにある患者がさらに生命に関わる行為へと向かう(これは社会的重大問題である)有意なマーカーとなっていることが判明し、BPD治療中女性におけるBNの定期的なスクリーニングの重要性が強く示唆された。・BNを併発しているBPD患者では、摂食時における自殺念慮の報告(過去7日間における)、治療期間中における頻繁な自傷行為や自殺未遂の割合が有意に高かった。・気分、不安、物質関連障害で調整後のロジスティック回帰モデルにおいて、すべての二変数の相関関係は有意であった。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには パニック障害+境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは

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第30回 医療に絶対を求める裁判所の結論への疑問

■今回のテーマのポイント1.乳腺疾患で一番訴訟が多いのは乳がんである2.乳がんに関する訴訟では、診断、手術適応、説明義務違反が主として争われている3.本事例における病理診断に対する裁判所の過失判断の枠組みには問題があり、再考の必要がある■事件のサマリ原告患者X被告Y病院 Z医師(病理医)争点診断ミスによる債務不履行責任結果原告勝訴、1,645万円の損害賠償事件の概要45歳女性(X)。平成13年10月、市の乳がん検診を受診し、左乳腺腫瘤を指摘されたことから、近医を受診し、超音波検査を受けたところ、やはり、同部に腫瘤が認められました。Xは、同月23日に精査のためY病院を受診し、A医師により、触診、超音波検査、マンモグラフィーおよび吸引細胞診などが行われました。超音波検査の結果は、乳がんを疑うとされましたが、マンモグラフィーではがんは指摘されませんでした。Y病院の病理医のZ医師は、Xの吸引細胞診の検体を観察し、細胞診検査報告書に、「血性で汚い背景です。クロマチン増量、核小体腫大、核大小不同を示す不規則重積性のみられるatypical cell(異型細胞)がみられます。Papilo tubular Ca(乳頭腺管がん)を考えます。診断PAP ClassⅤ(パパニコロウ分類)」などと記載してA医師に報告しました。以上から、A医師は、Xに対し、検査の結果、左乳腺腫瘤はがんであったと伝え、11月7日に、左乳房の非定型乳房切除術を行いました。ところが、切除検体を用いた病理診断の結果は、「全体像を総合的に検討すると、病変は、増殖が強く、典型的とはいえないが、乳管内乳頭腫である可能性を第一に考える」と診断されました。これに対し、Xは、不必要な手術を受けた結果、左肩関節の可動域制限および乳房再建手術を受けることとなったなどとして、Y病院および、病理医のZ医師に対し、約2,720万円の損害賠償請求を行いました事件の判決細胞診の判定としては、従来より、パパニコロウ分類が用いられている。このパパニコロウ分類においては、細胞診所見において異型細胞をみないものがクラスI、異型細胞はあるが悪性細胞をみないものがクラスII、悪性を疑わせる細胞をみるが確診できないものがクラスIII、悪性の疑いが極めて濃厚な異型細胞を認める場合がクラスIV、悪性と診断可能な異型細胞を認める場合がクラスVとされている。このように、クラスVとの診断は、疑いを超えて確診に至ったものであるから、クラスVというためには、診断時の所見に照らし、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要であるというべきである。上記のとおり、本件では、術前の細胞診の結果、クラスVと診断されているにもかかわらず、術後の組織検査においては、被告病院を含む3つの医療機関において、いずれも良性である乳管内乳頭腫との診断がされており、術前の細胞診のプレパラートについても、他院において、クラスIIとの判定がされている。その上、本件当時被告病院に勤務していた細胞検査技師は、他施設の検査技師も悪性を疑うという意見であったこと及び被告病院で再度検討した結果としてもがんの可能性がないとは言い切れないとの判断であったことを陳述しているところ、これらの判断を上記分類に当てはめた結果については何ら言及されていないが、悪性を確診するとか、これを強く疑うとの記載がないことからすると、せいぜいクラスIIIに分類すべきとの判断と理解でき、この陳述からしても、被告Z医師の判定は誤りであったとうかがわれるところである。・・・・(判決文中略)・・・・上記で認定説示した事実と弁論の全趣旨によると、被告Z医師には、細胞診の検体からは良性の可能性も否定できず、さらに生検等によってこの点を精査すべきであったにもかかわらず(この点は、仮に、判定がクラスIVであっても同様である)、良性の可能性を疑う余地がないかのような判定をした点において、細胞診の診断を誤った過失があると認められる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁)ポイント解説■乳腺疾患の訴訟の現状今回は乳腺疾患です。乳腺疾患で最も訴訟が多いのは乳がんであり、疾患全体の中でその多くを占めています。乳がんに関する訴訟の原告勝訴率は、55.6%と高いのですが、平均認容額は、約1,387万円とそれほど高額とはなっていません(表1)。これは、乳がんに関する訴訟では、悪性疾患であるにもかかわらず、生存患者からの訴訟が多く、かつ、がん自体が根治していてもなお訴訟に到っていることが原因となっています。参考までに肝細胞がんに関する訴訟(20件)では、患者転帰が生存である率は4.8%しかなく、膵がんに関する訴訟(4件)では0%です。一方、乳がんに関する訴訟では、55.6%と高率であり、かつ、乳がん自体は根治している事例が3件(33.3%)もあります(表2)。乳がんに関する訴訟は大きく分けて3つの類型があります。1つは、本件で取り扱ったような誤診事例であり、もう1つは、不必要に拡大手術を行ったとして争われる事例であり、最後の1つが、説明義務違反の事例です。悪性疾患であることからか、不必要な拡大手術を行ったとして争われている事例では、原告勝訴事例はありません。しかし、良性の腫瘍を誤って悪性と診断し、切除した場合(誤診事例)には、原告が勝訴しています。やはり、結果が(後になってからではありますが)明らかである分、裁判所の判断が厳しくなるものと思われます。■病理医が訴えられ敗訴本件の判決で大きな問題といえるのは、病院とともに、病理医が個人として訴えられており、かつ、敗訴している点です(約1,645万円の損害賠償)。本判決の判断枠組みは非常にシンプルで、「ClassVは、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要」であるところ、「他の病理医がClassIIと診断している」したがって、「良性の可能性を疑う余地があるのにClassVとしたのは過失」というものです(図)。しかし、この判断枠組みに従うと、後に他の病理医が良性と診断すると、過失と認定されることとなってしまいます。ご存じのとおり、病理診断には診断基準はあるものの、経験に基づく総合判断によることから、病理医により診断が分かれることがしばしばあります。そのような場合、結果として誤って悪性度を高く判断をしたら、過失と認定されるとなると、病理医は、ClassVと診断できなくなってしまいます。誰がみても明らかなものでない限り、Class Vと書けなくなってしまうとなると、Class IIIやIVとして要再検査とする病理診断が跋扈することとなり、患者は無駄な検査の負担を負うこととなりますし、場合によっては、治療の時期が遅れて生命に関わることもありえます(もし、仮に結果として悪性であったのに萎縮診断によりClass IIIと書いたため治療が遅れたとして訴訟された場合には、同一の判断枠組みを用いて過失はないと判断するのでしょうか)。もちろん、誰がみても明らかな水準の誤診であった場合には、病理医に責任があるとされることは止むを得ません。本事例がどちらであったかは判断できませんが、すくなくとも、本判決における判断の枠組みは、病理医に対し強い萎縮効果を持たせることは明白であり、その結果、過剰な検査などによる負担を負うのは患者です。現在は、だいぶ改善していますが、福島大野病院事件以前の判決では、このような現場を無視した過剰かつ、過酷な判決がしばしば見受けられました。司法と医療の相互理解を深め、萎縮効果を生むような判決が示されないよう努力していく必要があります。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁

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脱毛症の人はあのリスクが上昇

 脱毛症は、冠状動脈性心疾患のリスク上昇と関連し、脱毛症の重症度が高いほど、冠状動脈性心疾患のリスクも上昇する可能性があることが、オーストラリア・シドニー大学のNelson Trieu氏らによる研究で明らかになった。また、脱毛症は高血圧、高インスリン血症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームのリスク上昇、血清総コレステロール値・トリグリセリド値の上昇とも関連が認められた。International journal of cardiology誌2014年10月20日号の報告。 脱毛症は、冠状動脈性心疾患リスクの上昇との関連が認められており、高インスリン血症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、高血圧といった循環器疾患のリスク因子でもある。本研究では、脱毛症患者における冠状動脈性心疾患リスクとリスク因子を定量的に評価するために、データベースで文献を検索し、メタ解析を行った。プールされたオッズ比と95%信頼区間は、ランダム効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・31試験、2万9,254人の脱毛症患者について解析した。・脱毛症は、下記のリスク上昇と関連が認められた。 冠状動脈性心疾患(オッズ比1.22、95%CI:1.07~1.39) 高インスリン血症(オッズ比1.97、95%CI:1.20~3.21) インスリン抵抗性(オッズ比 4.88、 95%CI:2.05~11.64) メタボリックシンドローム(オッズ比 4.49、95%CI:2.36~8.53)・脱毛症患者は、脱毛症でない患者と比べて下記の値が高かった。 血清コレステロール(オッズ比 1.60、95%CI:1.17~2.21) 血清トリグリセリド(オッズ比 2.07、95%CI:1.32~3.25) 収縮期血圧(オッズ比 1.73、95%CI:1.29~2.33) 拡張期血圧(オッズ比 1.59、95%CI:1.16~2.18)

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抗うつ薬の新たな可能性、あけび主要成分

 中国・南方医科大学のBao-Fang Liang氏らは、ヘデラゲニン(hederagenin)の抗うつ様効果におけるノルエピネフリンとセロトニンシステムの関与を、予測不可慢性軽度ストレス誘発性(UCMS)うつ病のラットモデルで調べた。その結果、同モデルでの抗うつ効果を確認し、モノアミン神経伝達物質とセロトニン・トランスポーター(5-HTT)mRNA発現を伴う可能性がみられたことを報告した。Pharmaceutical Biology誌オンライン版2014年12月4日号の掲載報告。 研究グループは先行研究のラボ試験にて、あけび(Fructus Akebiae)エキスの急性および亜慢性投与が、動物実験で抗うつ様効果を示すことを報告していた。あけびは、主要化学成分としてヘデラゲニンを約70%含む。 本検討では、マウス試験にて、あけびとヘデラゲニンの抗うつ効果を比較し、UCMSうつ病ラットモデルでヘデラゲニンの抗うつ様効果と潜在的機序を調べた。マウスに、胃内投与(i.g.)であけび(50mg/kg)またはヘデラゲニン(20mg/kg)を1日1回3週間投与した。抗不安および抗うつ活性を、高架式十字迷路検査や、尾懸垂試験法、強制水泳試験などを行い比較した。また、ヘデラゲニン(5mg/kg)の抗うつ効果を、UCMSうつラットモデルを用いて評価。さらに、UCMSラットの海馬におけるモノアミン神経伝達物質レベルと遺伝子発現を、高性能リキッドクロマトグラフィとリアルタイムPCR法を用いて確認した。 主な結果は以下のとおり。・尾懸垂試験法および強制水泳試験のいずれにおいても、ヘデラゲニン(20mg/kg)は有意に不動性を減じたが、あけび(50mg/kg)はそうではなかった。・しかし、ヘデラゲニン群とあけび群で有意差は示されなかった。・ヘデラゲニンの慢性投与は、高架式十字迷路検査における移所行動量や立ち上がり行動、open armにおける滞在時間やclosed armへの進入回数について、増大傾向はみられたものの有意に改善しなかった。しかし、ヘデラゲニンはショ糖嗜好検査で嗜好行動を有意に増大し、強制水泳試験の不動性を有意に減じた。・ヘデラゲニン群では、ノルエピネフリンとセロトニン値の有意な増大が示された。5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)1A受容体mRNAの発現が増加し、5-HTTのmRNA発現が有意に減少する傾向が示された。・しかしながら、脳由来神経栄養因子の発現における有意差はみられなかった。関連医療ニュース うつ病治療の新展開、ミトコンドリア生体エネルギー 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは  担当者へのご意見箱はこちら

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1型糖尿病への強化治療、長期死亡を低減/JAMA

 1型糖尿病への血糖コントロール強化治療は、長期的な全死因死亡の低下に結び付くことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTrevor J. Orchard氏らDCCT/EDIC研究グループが、同試験で平均6.5年間強化治療を行った被験者1,441例を、平均27年間追跡した結果、ハザード比(HR)0.67と死亡発生の低下が認められたという。また、血糖値と死亡との有意な関連も判明した。これまで、1型糖尿病への強化治療が死亡に影響するかどうかは明らかにされていなかった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告より。6.5年間強化治療をした患者を27年間追跡、従来治療群と死亡を比較 研究グループは、DCCT(Diabetes Control and Complications Trial)コホートを長期に追跡し、強化治療群と従来治療群とで死亡率が異なるかを調べた。 DCCTは1983~1993年に行われ、その後被験者は複数施設(米国とカナダの大学医療センター27ヵ所)で観察研究(Epidemiology of Diabetes Control and Complications[EDIC])により2012年12月31日までフォローアップを受けた。 被験者は、糖尿病を有するが健康なボランティア1,441例で、ベースライン時の年齢が13~39歳であった。罹病期間は1~15年で、微小血管合併症はなく、高血圧症、心血管疾患、その他致死的疾患は有していなかった。 DCCTの間に被験者は、強化治療(血糖値が非糖尿病域となるよう)を受ける群(711例)または従来治療群(730例)に無作為に割り付けられる介入を受けた。平均6.5年間のDCCT終了後、強化治療は全被験者に教授・推奨され、糖尿病治療は各医師に移行された。 主要評価項目は、全死亡および特異的死亡で、毎年の家族・友人とのコンタクトで評価された。またその記録は平均追跡期間27年にわたって記録された。強化治療群のハザード比0.67、さらにHbA1c値と死亡との関連が有意 被験者のうち1,429例(99.2%)について情報を追跡できた。 全体では107例の死亡が報告され、従来治療群64例、強化治療群は43例であった。絶対リスク差は、10万人当たり-109例(95%信頼区間[CI]:-218~-1)で、全死因死亡リスクは強化治療群で低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.46~0.99、p=0.045)。 主な死亡要因は、心血管疾患(24例、22.4%)、がん(21例、19.6%)、急性糖尿病合併症(19例、17.8%)、そして事故または自殺(18例、16.8%)であった。 また、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値と、全死因死亡との有意な関連が認められた(HbA1cが相対値で10%増加するごとのHR:1.56、95%CI:1.35~1.81、p<0.001)。同様に、蛋白尿の発症も有意であった(同:2.20、1.46~3.31、p<0.001)。

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米J&Jがエボラワクチンの第I相臨床試験開始を発表

 米国のジョンソン・エンド・ジョンソン社(以下、J&J社)は1月20日、同社の医薬品部門である米国ヤンセンファーマシューティカル社(以下、ヤンセン社)で開発中のエボラ出血熱予防ワクチンの第I相ヒト初回投与試験の開始を発表した。 エボラワクチン製剤の第I相ヒト初回試験では、被験者が4つのグループに登録され、実薬またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられる。実薬投与群は、登録された4つのグループごとの投与計画に従い、1日目に初回接種(プライム)後、1ヵ月または2ヵ月の間隔をあけて追加接種(ブースト)を受ける。この試験の分析結果は、最適なワクチンの予防効果や効果持続期間を確認するために今後実施する試験における、2つのワクチンの投与順序や間隔などの判断に有益な情報となるという。試験の詳細はClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/)に掲載されている。 試験はオックスフォード大学小児科のオックスフォードワクチングループが進めている。現在被験者の登録が進行中で、最初の被験者に対する初回のワクチンが投与されたという。登録は1月末までに完了予定とのこと。 またJ&J社は、ヤンセン社がBavarian Nordic社との提携により、2015年4月までに大規模臨床試験で使用する40万回分以上のプライムブーストワクチンを生産したことも発表した。今後2015年中に合計200万回分のワクチンが提供可能となり、また必要に応じて12~18ヵ月間で最大500万回分までの迅速な増産が可能となるという。今回、同社らが発表した増産の見通しは、2015年末までに100万回分以上を生産し、そのうち25万回分を2015年5月までに臨床試験で幅広く活用する予定としていた以前の発表に代わる最新情報となる。詳細はヤンセンファーマ株式会社のプレスリリースへ

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心血管リスクと関係があるのはHDL-C濃度ではなくその引き抜き能(解説:興梠 貴英 氏)-303

 疫学研究から得られたデータでは、血清HDL-C濃度と心血管系リスクとの間には負の相関があることが示されている。しかし近年ナイアシンやCETP阻害薬を用いてHDL-Cを上昇させたほとんどの臨床試験において、心血管イベントの減少効果が認められていない。 元々、HDL-Cが心血管系リスクと関連があるのは、HDL-Cを構成するアポリポ蛋白Apo-AIが末梢組織からコレステロールを引き抜いて、コレステロールの逆輸送系において重要な役割を果たすからと考えられている。実際、細胞からApo-AIにコレステロールを引き渡すうえで重要な役割を持つABCA1遺伝子に変異を有するTangier病患者では、心血管疾患のリスクの上昇が報告されている1) 。 さて、HDL-Cが末梢組織からコレステロールを引き抜く能力(引き抜き能/流出能)には遺伝的要因による差があることがわかっている。ただ、従来引き抜き能の測定にはアイソトープラベルが必要で大量の検体の処理が難しかったところ、2011年に蛍光ラベルを用いた簡便法が開発された2)。 RohatagiらはDallas Heart Studyの被験者2,924人を対象に、HDL-C濃度、HDL粒子濃度に加えて、上記の新手法によるHDL-C(より正確には非apoB分画)のコレステロール引き抜き能などを測定し、中央値9.4年の追跡期間中の心血管系イベント(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建、心血管死の複合)との関係を調べた。 その結果、HDL-C濃度は従来の心血管危険因子と関係していたが、引き抜き能はそうした危険因子とほとんど相関しなかった。また、他の危険因子で調整した場合にHDL-C濃度は心血管イベントリスクと有意に関連していなかったが、引き抜き能が高いことは有意に心血管イベントリスクの低下と関係していた(全体を4群に分けたときの最も高い群と最も低い群を比較したときに67%の低下)。 つまり一般人口のコホートにおいて、新しいバイオマーカーであるコレステロール引き抜き能が、心血管イベントの発生率を低下させることを示すことができた。

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統合失調症患者のEPSと認知機能の関連は

 カナダ・トロント大学のGagan Fervaha氏らは、統合失調症患者における錐体外路症状(EPS)と、認知障害との関連を調べた。結果、EPSの重症度と認知テストの低スコアとが強く結び付いていることを実証した。EPSは統合失調症における最も一般的な運動障害である。同患者の運動障害は、抗精神病薬を服用していない患者でも認められるが、認知といった疾患のその他の特性との関連については十分に解明されていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年12月1日号の掲載報告。 検討は、統合失調症患者で、あらゆる抗精神病薬または抗コリン薬の投与を受けていない325例を対象に行われた。被験者は、Clinical Antipsychotic Treatment of Intervention Effectiveness試験のベースライン訪問に関与していた患者であった。EPSの評価には、Simpson-Angus尺度が用いられ、認知の評価は、総合的な神経心理学的テストにて行われた。EPSと認知テスト結果との関連性について、数的および分類学的両面から評価した。 主な結果は以下のとおり。・EPSの重症度がより大きいと、複合スコア評価による認知テストの結果は、より悪化するという有意な関連が認められた。・86例の患者はパーキンソン症候群を有していることが特定された。これらの患者は非パーキンソン症候群患者と比べて認知テストの結果は悪かった。・同所見は、精神病理、鎮静、アカシジア、ジスキネジアなどの重症度といった変数で補正後も有意なままであった。・これらの結果は、神経筋および神経認知の障害の基礎を成す病態生理が共通していることを示す。ただし、パーキンソン症候群がテストを受ける能力を障害している可能性もある。・いずれにせよ機序に関係なく、認知障害に関する推論は、EPSの存在を考慮すべきであることを示唆するものであり、認知試験の所見を媒介するその他の変数と同様の示唆を与えるものと思われた。関連医療ニュース 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

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前糖尿病の生活改善で膵がん予防の可能性/BMJ

 前糖尿病状態を早期に発見し生活様式を改善することで、膵がんの発症が抑制される可能性があることが、国立台湾大学医学院のWei-Chih Liao氏らの検討で示された。膵がんは、最も致死性の高いがんであり、2型糖尿病はその確立されたリスク因子である。2型糖尿病の前駆病態である前糖尿病は、膵がんのリスク因子である可能性があり、生活様式の変更によって改善することから、膵がんの予防戦略として関心を集めている。BMJ誌2015年1月2日号掲載の報告。量-反応関係を前向き研究のメタ解析で評価 研究グループは、血糖値と膵がんリスクの量-反応(dose-response)関係の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(National Science Council in Taiwanなどの助成による)。 2013年11月30日までに発表された文献を検索し、血糖値と膵がんの関連を検討したプロスペクティブ研究を選出した。逆因果関係を回避するためにレトロスペクティブ研究や断面研究は除外した。 2人の研究者が別個に、選定された文献から関連情報を抽出し、研究の質はNewcastle-Ottawaスケールで評価した。線形および非線形モデルによる量-反応関係を評価するために、ランダム効果を用いてメタ解析を行った。10mg/dL上昇ごとに膵がんが14%増加 9試験(日本の1試験、日本も参加したアジア・オセアニアの1試験を含む)に登録された膵がん患者2,408例が解析の対象となった。 線形モデルによる解析では、空腹時血糖値と膵がんの発症率には、前糖尿病状態から糖尿病患者まで、強い量-反応関係が認められたが、非線形モデルでは有意な関連はみられなかった。 空腹時血糖値が4.1~10.6mmol/L(73.8~190.7mg/dL)の患者に関する率比の統合解析では、空腹時血糖値が0.56mmol/L(10mg/dL)上昇するごとに、膵がんの発症率が14%増加し(率比:1.14、95%信頼区間[CI]:1.06~1.22、p<0.001)、有意な異質性は認めなかった。 また、糖尿病のカテゴリーに相当する血糖値(>7.0mmol/L[126mg/dL])の患者を除外した感度分析でも同様の結果が示された。すなわち、0.56mmol/L(10mg/dL)の上昇ごとに膵がんは15%増加した(率比:1.15、95%CI:1.05~1.27、p=0.003)。これにより、前糖尿病と膵がんの強い関連が示唆された。 なお、女性では空腹時血糖値と膵がん発症率に有意な関連を認めたものの、男性においては有意ではなかった(0.56mmol/L[10mg/dL]上昇ごとの膵がん発症の率比、女性:1.17、95%CI:1.07~1.29、p=0.001、男性:1.05、0.99~1.12、p=0.13)。 著者は、「前糖尿病状態は生活様式の改善により治癒する可能性があるため、早期発見と生活様式の改善に向けた介入が、膵がんの発症増加を抑制する実効性のある戦略となる可能性がある」と指摘している。

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エボラ、マールブルグウイルスワクチンの安全性と免疫原性(解説:吉田 敦 氏)-302

 西アフリカ3国でのエボラウイルス感染症の急激な増加により、エボラウイルスによるアウトブレイクはかつてない規模に達している。高い致死率と確実に治療できる薬剤がない中で、ワクチンの開発が模索されてきたが、今回エボラウイルス、マールブルグウイルスそれぞれのDNAワクチンが開発され、ウガンダ人で安全性と免疫原性が評価された。Lancet誌オンライン版2014年12月23日号の発表より。DNAワクチンの開発と試験 供試されたリコンビナントワクチンは、スーダンエボラウイルスとザイールエボラウイルスの糖蛋白をコードするDNAを用いたエボラウイルスワクチンと、マールブルグウイルスの糖蛋白をコードするDNAを含有するマールブルグウイルスワクチンである。すでに霊長類を対象とした先行研究で忍容性と免疫原性が確認されたものであり、今回の検討では2つ両方、あるいは単独で接種が行われた。 なお、エボラウイルスの同一の遺伝子領域を用いた、より強力なワクチンがすでに開発されており(リコンビナント・チンパンジー・アデノウイルス3型・エボラワクチン:cAd3-EBO、cAd3-EBOZ)、一部は2014年9月から臨床試験に入っていることから、本試験結果は今後のワクチン開発にとって非常に重要な意味を持つ。第I相試験としての免疫原性・安全性の比較 ウガンダ人108人を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験が行われた。試験施行期間は2009年から2010年であり、エボラウイルスワクチン単独接種、マールブルグウイルスワクチン単独接種、両者の同時接種、プラセボの4群に分けられ、ほとんどの例で3回接種が行われた。 結果として、同時接種と単独接種で抗体上昇やT細胞の反応には差がなく、ザイールエボラウイルス糖蛋白に対しては47~57%の例で、スーダンエボラウイルス糖蛋白には50%の例で抗体上昇が認められた。マールブルグウイルス糖蛋白に対する抗体上昇は23~30%であった。スーダンエボラウイルス糖蛋白、マールブルグウイルス糖蛋白へのT細胞の反応はそれぞれ33~43%、43~52%で証明できた。注射局所の反応はいずれも軽度であることが多く、頭痛や筋痛、関節痛、吐き気といった症状も4群で差はなかった。今後のワクチン開発への展望 本試験は、アフリカで初めて行われたエボラ・マールブルグウイルスワクチンの治験であり、ヒトで同時接種を行っても忍容性・免疫原性が確認できたことから、今後の多価ワクチンの開発がさらに加速することが予想される。同じ糖蛋白遺伝子を用いるcAd3-EBO、cAd3-EBOZの安全性、免疫原性にも期待が持てるかもしれない。最近、cAd3-EBOの第1相試験の結果が公表されたが、それでは1回接種を行ったのみで4週間後には良好な免疫反応が得られていたという。一方、DNAワクチンで得られる免疫は非常に強いものとはいえず、アウトブレイクでの使用や、曝露リスクの高い人にあらかじめ接種する場合の効果については懸念がある。 エボラウイルスワクチンとしてはほかに、VSV(Vesicular stomatitis virus)にザイールエボラウイルス糖蛋白遺伝子を挿入したVSVΔG-EBOV-GPが開発され、cAd3-EBOVと共に有望視されている。cAd3-EBOVについては間もなくアフリカでの臨床試験が開始される予定で、医療従事者も対象に加えられるとされているが、今後の治験にあたり、無作為化比較試験が難しい場合には、ワクチン接種群の間で接種時期をずらして評価していく手法(stepped-wedge)も検討されている1)。これらの基礎には、国際間協力を前提とした効率的かつ実際的な研究遂行への努力が欠かせないことは言うまでもない。

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4価HPVワクチン接種、多発性硬化症と関連なし/JAMA

 4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種は、多発性硬化症などの中枢神経系の脱髄疾患の発症とは関連がないことが、デンマーク・Statens Serum研究所のNikolai Madrid Scheller氏らの調査で示された。2006年に4価、その後2価ワクチンが登場して以降、HPVワクチンは世界で1億7,500万回以上接種されているが、多発性硬化症のほか視神経炎、横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎などの脱髄疾患との関連を示唆する症例が報告されている。ワクチンが免疫疾患を誘発する可能性のある機序として、分子相同性や自己反応性T細胞活性化が指摘されているが、HPVワクチンが多発性硬化症のリスクを真に増大させるか否かは不明であった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告。2国の10~44歳の全女性のデータを解析 研究グループは、2006~2013年のデンマークおよびスウェーデンの10~44歳の全女性における4価HPVワクチンの接種状況および多発性硬化症などの中枢神経系の脱髄疾患の発症に関するデータを用い、これらの関連を検証した(Swedish Foundation for Strategic Research、Novo Nordisk Foundation、Danish Medical Research Council funded the studyの助成による)。 ポアソン回帰モデルを用いて、ワクチン接種者・非接種者に関するコホート解析および自己対照ケースシリーズ(self-controlled case-series)解析を行った。接種後2年(730日)のリスク期間におけるイベント発生率を比較し、発症の率比を推算した。 398万3,824人(デンマーク:156万5,964人、スウェーデン:241万7,860人)の女性が解析の対象となった。そのうち78万9,082人が合計192万7,581回の4価HPVワクチン接種を受けた。接種回数は、1回が78万9,082人、2回が67万687人、3回が46万7,812人であった。2つの解析はともに有意差なし 全体のフォローアップ期間は2,133万2,622人年であった。接種時の平均年齢は17.3歳であり、デンマークの18.5歳に比べスウェーデンは15.3歳と約3歳年少だった。フォローアップ期間中に多発性硬化症が4,322例、その他の脱髄疾患は3,300例に認められ、そのうち2年のリスク期間内の発症はそれぞれ73例、90例であった。 コホート解析では、多発性硬化症、その他の脱髄疾患の双方で、4価HPVワクチン接種に関連するリスクの増加は認めなかった。すなわち、多発性硬化症の粗発症率は、ワクチン接種群が10万人年当たり6.12件(95%信頼区間[CI]:4.86~7.69)、非接種群は21.54件(95%CI:20.90~22.20)であり、補正後の率比は0.90(95%CI:0.70~1.15)と有意な差はなかった。また、その他の脱髄疾患の粗発症率は、それぞれ7.54件(95%CI:6.13~9.27)、16.14件(95%CI:15.58~16.71件)、補正率比は1.00(95%CI:0.80~1.26)であり、やはり有意差は認めなかった。 同様に、自己対照ケースシリーズ解析による多発性硬化症の発症率は1.05(95%CI:0.79~1.38)、その他の脱髄疾患の発症率は1.14(95%CI:0.88~1.47)であり、いずれも有意な差はみられなかった。また、年齢別(10~29歳、30~44歳)、国別、リスク期間別(0~179日、180~364日、365~729日、730日以降)の解析でも、有意な差は認めなかった。 著者は、「4価HPVワクチンは多発性硬化症や他の脱髄疾患の発症とは関連がない。本試験の知見はこれらの因果関係への懸念を支持しない」と結論している。

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がん検診、過剰診断の回避に向けた第一歩/BMJ

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJamie L Carter氏らは、がん検診の過剰診断を定量化・モニタリングする最適な方法についてシステマティックレビューにより検討した。その結果、複数設定に基づく実行性が良好な生態学的およびコホート試験が、最も適した手法であることを報告した。さらなる検討により国際標準指標を確立すること、および公平な多国籍の研究者チームによる分析の継続が必要であるとまとめている。これまで行われたがん検診の過剰診断に関する研究は、さまざまな手法が用いられ、非常にばらつきのある結果が示されている。それら相反する結果を解釈するために各方法論をどのように評価すればよいのか、またより良い試験方法について明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。過剰診断について定量化した試験をシステマティックレビュー レビューは、2014年2月28日時点でPubMed、Embaseを介して行われ、9種(前立腺、乳、肺、大腸、黒色腫、膀胱、腎臓、甲状腺、子宮)のがん検診の過剰診断について定量化したあらゆるデザインの試験を検討対象とした。 個々の試験を批評的に評価する明確な基準を用いて、各試験デザインのエビデンスの強さを評価し(二重盲検レビュー)、過剰診断の定量化とモニタリングの正確さについて各試験デザインを評価した。各種試験の方法論の問題点が明らかに 検索により、52試験が包含基準を満たした。研究グループはそれらを4つの方法論の違いによるカテゴリーに分類し分析した。 1群は、デザインが良好な無作為化対照試験でフォローアップしたもので3試験が該当した。これらは、バイアスリスクが低いが標準化がなされておらず、モニタリングには適していなかった。 2群は、病理もしくは画像診断試験で8試験が該当した。過剰診断について、がんの生物学的特徴を調べることで結論を導き出している。デザインはシンプルだが、測定した特徴が疾患進行と高度に相関しているという仮定が不確かであり限定的であった。 3群は、モデル試験で21試験が該当した。短期間に行うことができるが、スクリーニングで検出したがん(基本的には未知なるもの)の経過をシミュレーションするのに複雑な方程式を必要とする。 4群は、生態学的およびコホート試験で20試験が該当した。継続的なモニタリングに適しているが、標準指標がないこと、データの質が可変的であること、フォローアップ期間が不十分、また集団レベルの交絡の可能性において限定的であった。しかしながら、生態学的およびコホート試験は、これらの潜在的な弱点に焦点を当てる合理的な手法を有していた。 以上の分析結果から著者は、「複数設定で実行した良好な生物学的およびコホート試験が、がん検診プログラムの過剰診断を定量化・モニタリングする方法として最も適していることが示された」とまとめている。

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若白髪のリスク因子

 30歳以下の男性を対象に行われた研究の結果、若白髪は、喫煙、若白髪の家族歴、肥満と関連することが、韓国・東国大学一山病院のHyoseung Shin氏らにより明らかにされた。さらに、若白髪の家族歴と肥満は、若白髪の重症度と相関するという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年12月4日号の報告。 多くの研究者が、全身疾患と白髪の関連性に関心を寄せているが、両者の関連の一般的な要因は解明されていない。 そのため、著者らは若白髪のリスク因子を特定するために、30歳以下の男性6,390人を対象にアンケートを行い、白髪の状態とさまざまな社会臨床的特性についての横断調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の年齢は、平均20.2±1.3歳であった。・6,390人の参加者のうち、1,618人(25.3%)に若白髪が認められた。・若白髪と有意な関連が認められたのは、若白髪の家族歴(オッズ比[OR] 12.82)、肥満(OR 2.61)、5pack-yearsを超える喫煙歴(OR 1.61)であった。・多変量解析の結果、若白髪の家族歴(OR 2.63)と肥満(OR 2.22)は、若白髪の重症度との相関が認められた。※アンケートを用いたため、想起バイアスの可能性が存在する。※本研究では、女性は評価しなかった。

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双極性障害、ベンゾジアゼピン系薬の使用実態は

 米国・メイヨークリニックのWilliam V. Bobo氏らは、双極性障害研究「Bipolar CHOICE」の結果から、双極I型またはII型障害の外来患者について、疾患の複雑さとベンゾジアゼピン系薬使用について調べた。ベンゾジアゼピン系薬は双極性障害患者に広く処方されているが、同薬使用に最も関与する患者の双極性サブタイプや双極性の疾患面についてはほとんど明らかにされていなかった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年2月号の掲載報告。 研究グループは、Bipolar CHOICE研究に登録された双極I型またはII型障害患者482例について、ベンゾジアゼピン系薬使用の割合や関連する因子を調べた。 ステップワイズ法によるロジスティック回帰分析にて、ベースラインでのベンゾジアゼピン系薬使用vs. 未使用モデルを評価した。 主な結果は以下のとおり。・482例のうち81例が、試験登録時にベンゾジアゼピン系薬の処方を受けていた。これらをベンゾジアゼピン系薬使用者とみなした。・二変量分析の結果、ベンゾジアゼピン系薬使用者は同薬未使用者との比較において、その他向精神薬の処方数が有意に多かった。また、ラモトリギンまたは抗うつ薬の処方が多い傾向がみられた。・ベンゾジアゼピン系薬使用者は傾向として、双極I型障害と診断され、不安障害を有している人が多いが、アルコールや薬物使用の障害は有していなかった。・また、同薬非使用者よりも、不安や抑うつ症状の経験が多く、自殺傾向がみられるが、焦燥感や躁症状の経験は多くなかった。・多変量モデルにおいて、ベンゾジアゼピン系薬使用の予測因子は、不安症状のレベル(診断に関係なく)、ラモトリギンの使用、併用する向精神薬の数、大学教育、世帯収入が高いことであった。・双極性障害におけるベンゾジアゼピン系薬使用は、不安障害の共存の診断とは関係なく、疾患の複雑さ(併用する向精神薬の多さ、不安症状の負荷が高いことで示される)がより大きいことと関連していた。・人口統計学的因子も、ベンゾジアゼピン系薬使用の重要な決定要因であった。同因子は、ベンゾジアゼピン系薬への処方アクセスや保険によるカバーと関連しているためと思われた。関連医療ニュース 双極性障害に対する非定型抗精神病薬比較 双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか

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胃食道逆流症とは?

胃食道逆流症ってどんな病気?胃食道逆流症とは、胃と食道の境界部がいろいろな原因でゆるみ、胃酸などの胃の内容物が食道内へ逆流し、食道に傷をつけたり、胸やけなどの不快な症状を起こす病気です。食道胃食道逆流症には食道に傷がみつかる「逆流性食道炎」と傷がみつからない「非びらん性胃食道逆流症」があります。胃酸の逆流胃ガード●胃食道逆流症は「GERD」とも呼ばれます。Gastro-esophageal reflux disease胃食道の逆流病気監修:島根大学医学部第2内科 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.木下 芳一氏

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