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抗精神病薬誘発性傾眠、薬剤間の違いは

 傾眠は、抗精神病薬の一般的な副作用の1つである。中国・Shanghai Hongkou District Mental Health CenterのFang Fang氏らは、統合失調症、躁病、双極性うつ病、双極性障害に対し抗精神病薬を処方された成人患者を対象としたプラセボまたは実薬対照無作為化二重盲検試験についてMEDLINE検索を行い、傾眠の副作用発現率を評価した。CNS drugs誌オンライン版2016年7月2日号の報告。 元文献より、傾眠の発現率を抽出し、精神状態別に各抗精神病薬の投与量に基づきプールした。その後、絶対リスクの増加(ARI)、抗精神病薬の相対的なNNHを推定し、精神状態別にプラセボまたは実薬(対照薬)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。●急性の統合失調症、双極性躁病、双極性うつ病における傾眠のARIは、以下に分類できた。・重度:クロザピン・中等度:オランザピン、ペルフェナジン、クエチアピン、リスペリドン、ziprasidone・軽度:アリピプラゾール、アセナピン、ハロペリドール、ルラシドン、パリペリドン、cariprazine●ブロナンセリン、brexpiprazole、クロルプロマジン、iloperidone、sertindole、ゾテピンによる傾眠リスクは、今後の調査が必要である。●傾眠の発現率は、いくつかの抗精神病薬において用量および投与期間と正の相関が認められた。●抗精神病薬自体を含む多くの要因(傾眠を測定する方法、患者集団、研究デザイン、投与スケジュール)が、抗精神病薬誘発性傾眠の発現率に影響を与える可能性がある。●抗精神病薬誘発性傾眠のメカニズムには、複数の要因がある可能性があり、ヒスタミン1受容体、α1受容体の遮断が重要な役割を担っていると考えられる。●抗精神病薬誘発性傾眠の管理のために、以下を行う必要がある。・睡眠衛生教育を行う・傾眠リスクの低い抗精神病薬を選択する・精神医学的診断に基づき低用量から開始し、ゆっくりと増量する・必要な場合、投与量を調整する・傾眠が起きやすい薬剤の併用を最小限とする●ほとんどの場合、傾眠は軽度~中等度であるため、抗精神病薬を中止する前に最低でも4週間は継続することが合理的である。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

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がん脊椎転移、手術が不適な患者とは

 治療の進歩により転移性がん患者の生存期間が延長したことから、症候性脊椎転移が増加している。脊椎の病的骨折や脊髄圧迫を有する患者には、手術で痛みを軽減しQOLを改善することができるが、通常、生存期間が3ヵ月未満と推測される場合には手術は不適と考えられている。今回、手術が不適な患者への手術回避を目的として、日本を含む国際多施設共同研究により、術後3ヵ月または2年以内に死亡した患者のデータを分析し、生存期間に関連する術前因子を検討した。その結果、生存期間は全身の術前状態に依存し、とくに術前に「Karnofsky performance score(KPS)が低い」ことが3ヵ月未満の死亡に有意に関連し、「転移脊椎数が少ない」「原発腫瘍が予後良好な組織型」ことが長期生存に有意に関連していたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJorrit-Jan Verlaan氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年7月11日号に掲載。 著者らは、切迫病的骨折と神経障害の両方もしくはどちらかに対する手術を受けた1,266例をプロスペクティブに観察し、腫瘍の特徴、術前状態(米国麻酔学会[ASA])、神経学的状態(フランケル分類)、performance score(KPS)、QOL(EuroQol five-dimensions questionnaire [EQ-5D])などを調査した。アウトカムは、術後3ヵ月および2年における生存とし、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、短期および長期生存に関連する術前因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・単変量解析において、年齢、緊急手術、KPS、EQ-5D、ASA、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・多変量解析において、KPS(オッズ比[OR]:1.36、95%CI:1.15~1.62)と年齢(OR:1.14、95%CI:1.02~1.27)が短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・単変量解析において、年齢、手術に含まれる脊椎レベルの数、KPS、EQ-5D、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、長期(2年超)の生存に関連していた。・多変量解析において、手術に含まれる脊椎レベルの数(OR:1.21、95%CI:1.06~1.38)と原発巣が、長期(2年超)の生存と有意に関連していた。

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急性呼吸不全のICU入院患者に標準化した多面的リハビリテーションの早期介入を行うと入院期間を短縮できるのか?(解説:山本 寛 氏)-572

 急性呼吸不全の患者の予後は不良であり、もし生存しても身体機能の低下が待っている。こうした患者の身体機能を維持するためには、患者ごとに異なるアプローチが必要なことも多い。これまでにも、ICU入院患者に対する身体リハが入院期間を短縮したり、身体機能を改善させたりといった効果が報告されてはいるが、異論もあるところである。標準化された多面的なリハビリテーションによる早期介入が、ICUに入室した急性呼吸不全の患者の転帰を改善させるかもしれないと考えた著者らは、急性呼吸不全患者に対して、標準化された多面的なリハビリテーション(Standardized rehabilitation therapy;SRT)で早期介入を行った場合と、通常のICUケアを行った場合とを比較検討した。 試験デザインは、単施設(Wake Forest Baptist Medical Center, NC)、ランダム化比較試験である。ICUで機械的人工換気を要する急性呼吸不全の患者300例(平均58歳、うち女性が55%)をSRT群(n=150)と通常ケアを受ける群(n=150)とにランダムに割り付けた。試験期間は2009年10月から2014年5月までで、6ヵ月の観察期間が設定されている。 SRT群の患者には、退院までの毎日、他動的関節可動域訓練、理学療法、漸増抵抗訓練を行った。通常ケア群の患者には、平日のみ、とくに臨床チームから依頼があった場合のみ理学療法を行った。SRT群では、中央値で8.0日(IQR;5.0~14.0)の他動的関節可動域訓練、5.0日(IQR;3.0~8.0)の理学療法、3.0日(IQR;1.0~5.0)の漸増抵抗訓練が行われた。通常ケア群に対する理学療法施行日数の中央値は、1.0日(IQR;0.0~8.0)であった。 ICU在室中、退院後2、4、6ヵ月後の各ポイントで、評価者盲検で各種のテストが行われた。主要評価項目は、入院期間(hospital length of stay;LOS)に設定された。副次的評価項目は人工呼吸器装着期間、ICU入室日数、簡易身体能力バッテリー(Short Physical Performance Battery;SPPB)スコア、健康関連QOL(36-item Short-Form Health Survey;SF-36)、日常生活の困難さを評価する指標となるFunctional Performance Inventory(FPI)スコア、認知機能を評価するMini-Mental State Examination(MMSE)、握力、ハンドヘルド・ダイナモメーターで測定した筋力であった。 結果であるが、SRT群のLOSは10日(IQR;6~17)、通常ケア群のLOSも10日(IQR;7~16)であり、両群間で有意差を認めなかった(median difference 0 [95%CI:−1.5~3]、p=0.41)。人工呼吸器装着期間やICU入室期間にも差がなかった。6ヵ月後の握力にも差はなく(difference 2.0kg [95%CI:−1.3~5.4]、p=0.23)、ハンドヘルド・ダイナモメーターで測定した筋力も有意な差を認めなかった(difference 0.4lb [95%CI:−2.9~3.7]、p=0.82)。SF-36でみたphysical health(difference 3.4 [95%CI:−0.02~7.0]、p=0.05)、mental health(difference 2.4 [95%CI:−1.2~6.0]、p=0.19)、さらにMMSEでみた認知機能についても有意差を認めなかった(difference 0.6 [95%CI:−0.2~1.4]、p=0.17)。一方、SPPBスコア(difference 1.1 [95%CI:0.04~2.1]、p=0.04)、SF-36の身体機能スケール(difference 12.2 [95%CI:3.8~20.7]、p=0.001)、FPIスコア(difference 0.2 [95%CI:0.04~0.4]、p=0.02)のいずれも、6ヵ月後のフォローアップ時点で比べるとSRT群のほうが有意に良好な結果であった。 以上から著者らは、急性呼吸不全で入院した患者に対しては、標準化した多面的リハビリテーションによる早期介入を行っても入院期間の短縮にはつながらないと結論している。 通常ケア群では、入院期間のわずか12%の日数しか身体リハビリを行っておらず、漸増抵抗訓練に至ってはまったく行っていない。しかも、SRT群と違って平日しかリハビリの介入がなされていない。にもかかわらず、SRTを行っても入院期間を短縮できなかったのはなぜなのか? 6ヵ月後のフォローで、副次的評価項目のSPPBスコア、SF-36(physical)、FPIスコアのいずれも良好だったことから、critical care領域での効果を探る際に、その長期効果を主要評価項目に設定した臨床試験を計画する価値は、今後ありそうである。 また、著者らも指摘していることだが、フォローアップ期間の脱落者が24%もいることは問題である。試験開始に当たり、脱落率を10%と予想してサンプル数を設定しているのだから、結果の解釈には当然バイアスを与えてしまう。脱落の理由は論文上で明確に記載すべきである。単施設で行われた研究である点も、本研究の限界といえる。著者らは“no clinical difference”としているが、SRT群では基礎肺疾患を有する患者がやや多い点も気になるところである(SRT群34.0%、通常ケア群30.7%)。著者らが示したSupplement dataによると、 長期フォローができなかった、基礎肺疾患のある患者の割合はSRT群で36.4%、通常ケア群で17.4%と、SRT群で多いようにみえる。基礎肺疾患のある患者がSRT群に多かったことがnegative studyとなった一因かもしれないし、またそうした患者の長期フォローができなかったことで、結果的にSRT群の長期フォローアップ後の結果を良好にみえるのかもしれない。また、ICU入院中の鎮静プロトコルがまちまちであった。人工呼吸器装着中の鎮静は必要だが、早期リハビリテーションの介入効果に影響を与える可能性がある。最近、通販などで話題になっているEMSのような手法が有効かどうかについても、今後検討されるかもしれない。

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LAIを適切に使用するための5つのポイント

 最近のパリペリドンパルミチン酸エステルで治療された患者における心臓突然死(SCD)は、長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)の使用について議論を引き起こした。しかし、LAIとSCDとの関連は、十分に研究されていない。いしい記念病院の長嶺 敬彦氏は、LAIを適切に使用するために、LAIの市販直後調査結果のレビューを行った。International Medical Journal誌2016年6月号の報告。 LAIに関する市販直後調査の結果を確認し、D2受容体占有率を推定した。主な結果は以下のとおり。・2つの所見が確認された。 1)身体的リスクを有する患者へのLAI投与は、SCDを増加させる可能性が高い。 2)パリペリドンパルミチン酸エステルで治療された患者における4例のSCDは、心室性不整脈に起因することが疑われる。・パリペリドンパルミチン酸エステル150mg単回投与による推定D2受容体占有率は80%以上であった。・症状が不安定な患者に対しより高用量で投与した場合、重篤な身体的合併症のない患者でも、パリペリドンパルミチン酸エステルは、心室性不整脈のリスクを増加させる可能性がある。 結果を踏まえ著者は、臨床診療では以下の5点に注意し、LAIを使用することが重要であるとしている。 1)身体的合併症を有する患者では、非常に慎重に使用すること。 2)不必要な高用量での使用は避け、多剤併用患者に対しては非常に慎重に使用すること。 3)急性精神症状を有する患者へのLAI使用は避けること。 4)代謝機能不全や心血管疾患リスクの低い患者にLAIを選択すること。 5)定期的に体調をモニタリングし、ライフスタイルを向上させること。関連医療ニュース パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果 アリピプラゾール持続性注射剤を使いこなすために 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは

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喫煙が日本人HTLV-1キャリアのATLL発症に関連

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)キャリアにおいて、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の発症を予防する有効な方法はまだ同定されていない。今回、長崎大学原爆後障害医療研究所 近藤 久義氏らの研究により、わが国のHTLV-1キャリアにおいて、喫煙がATLL発症に影響を与える可能性が示唆された。Cancer causes & control誌オンライン版2016年7月13日号に掲載。 ATLLは、HTLV-1によって引き起こされる高悪性度の血液腫瘍である。本研究では、日本人のHTLV-1キャリアにおいて喫煙とATLL発症リスクとの関連を調べた。 著者らは、わが国の2つの異なるHTLV-1流行地域における、ベースラインでATLLを発症していなかった日本人HTLV-1キャリア1,332例(40~69歳)のコホートで、喫煙とATLL発症との関連を調査した。ATLL発症における喫煙の影響を推定するに当たっては、Cox比例ハザードモデル(性別、地域、ベースライン時の年齢、飲酒について調整)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・1993~2012年に、これらのキャリアから新たにATLL 25例を診断した。・ATLLの全体の粗発症率は、HTLV-1キャリアにおいて1,000人年当たり1.08で、男性キャリアのほうが女性キャリアより高かった(2.21 vs.0.74)。・ATLL発症リスクは、1日当たりの喫煙本数の増加に伴って、有意に増加した。20本増加ごとのハザード比(95%CI)は、全体で2.03(1.13~3.66)、男性キャリアで2.07(1.13~3.73)であった。

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転倒しやすい場所を覚える

【骨粗鬆症】【転倒防止対策】転びやすい場所、注意する場所を教えてください●家の内外の転びやすい場所とその特徴を覚えましょう!●特に床が濡れている(例.お風呂場、雨上りのマンホールなど)階段や段差(例.駐車場の車止め、部屋の仕切りなど)地面が不安定(例.路上のデコボコなど)こうした場所は特に注意してください。監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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抗精神病薬の過量投与は減少しているのか

 薬物中毒の罹患率や死亡率は、30年間減少している。これは、より安全な薬が開発され、過量投与に対するより良いアウトカムが得られたことによる。オーストラリア・Calvary Mater NewcastleのIngrid Berling氏らは、26年間にわたり抗精神病薬の処方変更と過量投与の変化との関連を検討した。British journal of clinical pharmacology誌2016年7月号の報告。 1987~2012年のtertiary referral toxicology unitが発表したすべての抗精神病薬中毒を検討した。人口統計、薬物摂取情報、臨床効果、合併症、治療に関するデータをプロスペクティブに収集した。オーストラリアにおける抗精神病薬の使用率は、1990~2011年のオーストラリア政府出版物から収集し、郵便番号で過量投与入院とリンクさせた。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の過量投与は3,180件(第1世代抗精神病薬1,235件、第2世代[非定型]抗精神病薬1,695件、リチウム250件)であった。・26年間で、抗精神病薬の過量投与は1.8倍に増加した。第1世代抗精神病薬はピーク時より5分の1に減少し(80件/年~16件/年)、第2世代抗精神病薬は2倍に増加した(160件/年)。そのうち、オランザピンとクエチアピンが78%を占めていた。・すべての抗精神病薬過量投与において、ICU滞在時間中央値18.6時間、ICU入院15.7%、人工呼吸10.4%、院内死亡0.13%であり、第1世代、第2世代抗精神病薬ともに同様であった。・同期間の抗精神病薬処方は2.3倍に増加していた。第1世代抗精神病薬が減少する一方、第2世代抗精神病薬は急激に上昇した(主にオランザピン、クエチアピン、リスペリドンで79%)。 結果を踏まえ、著者らは「26年にわたる抗精神病薬処方の増加は、過量投与の増加と関連付けられる。抗精神病薬の種類は変更されているが、過量投与は増加しており、罹患率や死亡率は同じままである」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は 統合失調症入院高齢患者、アジアでの多剤併用率は50%以上

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SU薬とメトホルミン、単独服用時の低血糖リスクを比較/BMJ

 血糖降下薬SU薬単独服用者は、メトホルミン単独服用者と比べて、低血糖発症リスクが約2.5倍と有意に高く、同リスクは、グリベンクラミド服用者や、腎機能が低下している人では、さらなる増大が認められた。オランダ・マーストリヒト大学のJudith van Dalem氏らが、12万例超を対象に行ったコホート試験の結果、明らかにした。低血糖リスクの増大は、すべてのSU薬服用者で観察されたという。現行のガイドラインの中には、低血糖リスクがより低いとして、SU薬の中でもグリクラジドを第1選択薬とするものがあるが、今回の試験結果は相反するものとなった。そのため著者は、「さらなる検討が必要である」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月13日号掲載の報告。1,100万人超の患者データベースを基に試験 研究グループは、英国内674ヵ所の医療機関からの1,100万例超の診療録データを包含する「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を基に、2004~12年に非インスリン抗糖尿病薬の処方を受けた18歳以上の患者12万803例を対象に、コホート試験を行った。 SU薬の服用量や、腎障害、SU薬のタイプと低血糖症リスクについて、Cox比例ハザードモデルで解析を行った。年齢や性別、ライフスタイル、併存疾患、使用薬剤については補正を行った。低血糖症リスク、グリベンクラミドはメトホルミンに比べ7.48倍 その結果、低血糖症の発症リスクは、メトホルミンのみを服用している人に比べ、SU薬のみを服用している人では約2.5倍の有意な増大が認められた(補正後ハザード比[HR]:2.50、95%信頼区間[CI]:2.23~2.82)。グリクラジド服用患者の同ハザード比も2.50(同:2.21~2.83)だった。 SU薬単独服用者の中でも、糸球体濾過量(GFR)が30mL/分/1.73m2未満の人で、低血糖症リスクはさらに増大した(同:4.96、同:3.76~6.55)。また、SU薬服用量が多い人(グリベンクラミド10mg同等量超)や、グリベンクラミド服用患者では、よりリスクの増大がみられた。それぞれの補正後HRは、3.12(95%CI:2.68~3.62)、7.48(同:4.89~11.44)だった。なお、SU薬の第1選択薬であるグリクラジドの補正後HRは2.50(同:2.21~2.83)で、その他のSU薬(グリメピリド:1.97[1.35~2.87]、glipizide:2.11[1.24~3.58]、トルブタミド:1.24[0.40~3.87])も同程度だった。

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ICU患者家族への緩和ケア医の介入、逆効果の場合も/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室し長期間の人工呼吸器装着が必要となったクリティカルな患者の家族に対して、緩和ケア専門医による面談などの介入は、ICUスタッフによるルーチンの面談などと比べて、不安やうつを軽減せず、むしろ外傷後ストレス障害(PTSD)症状を増す可能性があることが、米国・ノースカロライナ大学のShannon S. Carson氏らが行った多施設共同無作為化試験の結果、示された。JAMA誌2016年7月5日号掲載の報告。ルーチンのICUスタッフによる介入と比較 研究グループは、クリティカルな患者家族への緩和ケア専門医による情報提供やエモーショナルサポートが、家族の不安やうつ症状を改善するかを検討した。2010年10月~2014年11月に、米国内4つのICUで、7日間以上の人工呼吸器装着が必要となった成人(21歳以上)患者を適格とし、介入群と対照群の2群に無作為化。代理意思決定を担う患者家族を試験に登録し、割り付けを知らせず主要アウトカムについて評価を行った。 介入群(患者130人、患者家族184人)には、緩和ケア専門医による2回以上の構造化家族面談と小冊子を提供、対照群(126人、181人)には、小冊子提供とICUチームによるルーチンの家族面談が行われた。 主要アウトカムは、3ヵ月のフォローアップインタビューで評価した患者家族のHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)症状スコア(範囲0[最も良好]~42[最も不良])で、臨床的に意義のある最小スコア差は1.5と定義した。副次アウトカムは、Impact of Events Scale-Revised(IES-R)スコア(範囲0[最も良好]~88[最も不良])で評価した家族のPTSD症状、また、患者の意向についての話し合い、入院期間、90日生存率などであった。不安・うつを軽減せず、むしろPTSD症状を有意に増大 患者家族(両群計365人、平均年齢51歳、女性が71%)のうち、試験を完了(3ヵ月のフォローアップインタビュー)したのは312人(介入群163人、対照群149人)であった。 3ヵ月時点で、患者家族の不安およびうつ症状について両群間で有意差は認められなかった(介入群 vs.対照群の補正後平均HADSスコア;12.2 vs.11.4、群間差:0.8、95%信頼区間[CI]:-0.9~2.6、p=0.34)。 一方、PTSD症状スコアは、対照群が有意に高かった(補正後平均IES-Rスコア;25.9 vs.21.3、群間差:4.60、95%CI:0.01~9.10、p=0.0495)。 患者意向の話し合いについて有意差はみられなかった(75% vs.83%、オッズ比[OR]:0.63、95%CI:0.34~1.16、p=0.14)。また、入院期間中央値(19日 vs.23日、両群差:-4日、95%CI:-6~3日、p=0.51)、90日生存率(HR:0.95、95%CI:0.65~1.38、p=0.96)も、有意な差はなかった。 著者は、「結果は、長期のクリティカルケアが必要となったすべての患者家族に対して、緩和ケア専門医によるケアのゴールについての話し合いをルーチンまたは必須なものとして行うことを支持しないものであった」とまとめている。

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【JSMO2016見どころ】肺がん

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、肺がんについては里内 美弥子氏(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科部長)が登壇した。以下、里内氏のコメントを紹介する。【里内 美弥子氏コメント】 肺がんは、がんの個別化治療や分子標的薬の開発が最も進んだ領域であり、昨年末には免疫チェックポイント阻害剤も実地医療に導入され、治療効果を上げてきている。今年はさらに分子標的治療薬の耐性に効果を示す薬剤などが臨床導入されており、今後も新薬導入が続く見通しとなっており、大きな治療の変遷の只中にある。 これらの進展を背景に本学会では、免疫療法の臨床成績、EGFR変異・ALK融合遺伝子陽性肺がんの最新治療、抗がん剤耐性の克服、これら薬剤のバイオマーカー診断に関するトピックス、本邦で行われている全国規模の肺がん遺伝子解析(LC-SCRUM)の現状と、この解析で判明したドライバー変異を持った肺がんの新薬での治療成績など最新の話題が数多く発表される。海外の第一線で活躍する多くの研究者を招聘しており、これらのホットな話題に世界レベルの活発かつ意義深い討論が期待される。【注目演題】 本学会で、里内氏が肺がん関連の注目演題として挙げたのは、以下のとおり。一般口演「EGFR遺伝子変異陽性肺がん」日時:7月29日(金)16:00~17:00場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん EGFR・VEGFR」日時:7月29日(金)8:30~9:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん バイオマーカー」日時:7月29日(金)9:30~10:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「肺がん ALK、ROS、RET」日時:7月29日(金)10:30~11:30場所:Room3(神戸国際展示場2号館2F 2A会議室)「分子・遺伝子診断」日時:7月28日(木)14:30~15:30場所:Room10(神戸国際会議場4F401・402会議室)International Symposium「ALK inhibitors and other targeted therapies」日時:7月28日(木)9:00~11:00場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A)「Resistance of cancer molecular targeted drug and new insights of overcoming therapy」日時:7月28日(木)12:30~14:30場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)「Immune Check Point Inhibitor;Paradigm Shift of Cancer Treatment」日時:7月28日(木)13:15~14:45場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「Resistance of cancer molecular targeted drug and new insights of overcoming therapy」日時:7月28日(木)12:30~14:30場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)Panel Discussion「免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理」日時:7月30日(土)13:30~15:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)ESMO/JSMO Joint Symposium「Evolving molecular targeting treatment for lung cancer」日時:7月28日(木)12:50~14:50場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A)ASCO/JSMO Joint Symposium「Cancer Immunotherapy」日時:7月30日(土)8:50~11:50場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)Encore Session日時:7月29日(金)15:40~17:00場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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統合失調症患者、そもそもプロラクチン値が高い

 ドパミン受容体遮断の副作用である高プロラクチン血症は、統合失調症や他の精神病性障害患者において一般的であり、無月経、乳汁漏出、性腺機能低下、低受胎、骨粗鬆症につながる可能性がある。ギリシャ・イオアニナ大学のPetros Petrikis氏らは、統合失調症および他の精神病性患者において、抗精神病薬治療開始前に高プロラクチン血症が発症するかを検討した。International journal of psychiatry in clinical practice誌2016年9月号(オンライン版2016年6月23日号)の報告。 対象は、新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者群40例と年齢性別をマッチさせた健康成人群40例。血清プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン(T3)フリーテトラヨードサイロニン(FT4)、コルチゾールレベルが測定された。 主な結果は以下のとおり。・中央プロラクチン値は、患者群で12.5ng/ml(範囲:2~38 ng/ml)、健康成人群で8.6ng/ml(範囲:4~17.6 ng/ml)であった(p=0.011)。・患者群(平均:1.08ng/ml、SD:0.16)は、健康成人群(平均:1.18ng/ml、SD:0.18)と比較しT3レベルが低かった(p=0.008)。・血清TSH、FT4、コルチゾールレベルは、両群間で差はなかった。・重回帰分析によると、血清プロラクチン値の差は、甲状腺機能(TSH、FT4、T3)や血清コルチゾールレベルと関連していないことが明らかとなった。 ・新規に統合失調症および他の精神病性障害と診断された薬物治療未実施の患者において、健康成人と比較し、抗精神病薬開始前でも高血清プロラクチンレベルが認められた。関連医療ニュース 各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較 抗精神病薬ナイーブ統合失調症患者におけるプロラクチンレベルは リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法

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転移性前立腺がん、DNA修復遺伝子変異の発現頻度が判明/NEJM

 前立腺がんにおける遺伝性DNA修復遺伝子の発現について、転移性前立腺がんの患者では11.8%にみられ、限局性前立腺がん患者に比べて有意に高率であることが明らかにされた。米国・フレッド・ハッチンソンがん研究センターのC.C. Pritchard氏らが米国および英国の複数施設から被験者が参加した7つのケースシリーズに包含されていた合計692例の患者について調べ報告した。BRCA2などのDNA修復遺伝子は、致死率の高い前立腺がんリスクの増大と関連していることが知られる。これまで転移性前立腺がん患者の同遺伝子の発現については明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2016年7月6日号掲載の報告。692例を対象に、20のDNA修復遺伝子について調査 研究グループは、診断時のがん家族歴や年齢および遺伝的背景に関して調整をしていない、転移性前立腺がん患者692例を集めた。生殖細胞DNA(germline DNA)を分離し、マルチシーケンス法を用いて、20個のDNA修復遺伝子の変異を調べ、常染色体優性遺伝性がん素質症候群との関連を調べた。限局性前立腺がんよりも発現頻度が有意に高率 結果、被験者82例(11.8%)で、合計84個の有害と推定されたgermline DNA修復遺伝子の変異が確認された。変異は16の遺伝子で見つかり、BRCA2が37例(5.3%)、ATMが11例(1.6%)、CHEK2が10例(534例中、1.9%)、BRCA1は6例(0.9%)、RAD51Dは3例(0.4%)、PALB2は3例(0.4%)などであった。なお、変異の頻度は、前立腺がん家族歴の有無や診断時の年齢で差はみられなかった(それぞれp=1.0、p=0.90)。 全体に、DNA修復遺伝子のgermline変異は、限局性前立腺がん患者(その多くで疾患リスクが進行)では4.6%(499例中)であり、また、がんが未診断5万3,105例を包含するExome Aggregation Consortiumにおける同変異の発現は2.7%であり、転移性前立腺がん患者のほうが有意に高率であった(いずれもp<0.001)。

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【JSMO2016見どころ】免疫療法

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、がん免疫療法については西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所/先端医療開発センター 腫瘍免疫学担当/免疫TR分野)が登壇した。以下、西川氏のコメントを紹介する。【西川 博嘉氏コメント】 免疫チェックポイント阻害剤(とくに抗PD-1抗体)が悪性黒色腫、非小細胞肺がんに臨床導入され、がんに対する免疫応答を人為的に操作することで、がん治療が可能であることが示された。これに続いて腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、一部の大腸がんで従来の治療に対する優位性が示され、臨床応用が期待されている。また膀胱がんに対しては、抗PD-L1抗体がFDAに承認され、さまざまな免疫チェックポイント阻害剤の臨床導入が加速している。加えて、これらのがん免疫療法では、臨床効果が20~30%程度の患者でしかみられないことから、レスポンダーの層別化、ノンレスポンダーへの新規がん免疫療法開発の検討も急速に進んでいる。一方、レスポンダーでの投与継続の必要性、従来の抗がん剤ではみられない副作用など、解決すべき課題も多い。本学会では、世界初の免疫チェックポイント阻害剤、抗CTLA-4抗体の開発者であるJames Allison博士をはじめとする国内外の研究者を集め、現在のがん免疫療法が抱える課題について討論し、今後の展開を考える。【注目演題】 本学会では、免疫チェックポイント阻害薬企画特集として、以下7つの演題が用意されている。特別講演「がん免疫療法の進歩」日時:7月29日(金)11:00~12:00場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南) 教育講演「免疫チェックポイント阻害剤~過去、現在、今後の展望~」日時:7月28日(木)9:00~9:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)International Symposium「免疫チェックポイント阻害薬の新展開」日時:7月28日(木)13:15~14:45場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬の期待」日時:7月28日(木)14:55~16:55場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)「免疫チェックポイント阻害薬に対するバイオマーカー研究の最前線」日時:7月29日(金)8:30~10:10場所:Room5(神戸国際展示場1号館2F展示室A) Panel Discussion「免疫チェックポイント阻害薬の副作用管理」日時:7月30日(土)13:30~15:30場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)JSMO/ASCO Joint Symposium「Cancer Immunotherapy」日時:7月30日(土)8:50~11:50場所:Room1(神戸国際展示場2号館1Fコンベンションホール南)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇

 アルツハイマー型認知症における抗精神病薬の累積投与量が、既知の危険因子で調整後の全死亡率に対して及ぼす影響について、デンマーク・オールボー大学病院のR E Nielsen氏らが検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2016年6月30日号の報告。 全国集団ベース後ろ向きコホート研究により、アルツハイマー型認知症と診断された患者における死亡率をアウトカムとしてを調査した。 主な結果は以下のとおり。・4万5,894例を対象として、追跡期間(380万3,996人年)における死亡数は2万7,894例であった。・重症度と身体的および精神的併存疾患のマーカーで調整後、抗精神病薬累積曝露は、死亡率を増加させた。 1日投与量0~90未満(HR:2.20、95%CI:2.14~2.27、p<0.001) 1日投与量90~365未満(HR:1.81、95%CI:1.74~1.89、p<0.001) 1日投与量365~730未満(HR:1.38、95%CI:1.428~1.49、p<0.001) 1日投与量730以上(HR:1.06、95%CI:0.95~1.18、p=0.322)関連医療ニュース 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか 非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

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転倒防止、靴選びは慎重に

【骨粗鬆症】【転倒防止対策】転ばないために、注意することを教えてください靴がブカブカかかとがない足の裏が平らでない●転ばないように、靴は慎重に選びましょう!足の大きさに合わない(サイズ違い)つまずきやすい(つっかけ、草履など)バランスを崩しやすい(ハイヒールなど)これらの靴やサンダル、はき物はダメ!!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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くしゃみの速度は時速何km?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第71回

くしゃみの速度は時速何km? 「くしゃみの速度は新幹線よりも速いんだ」と書いてある雑誌を子供の頃に読んだことがあり、それ以来私はくしゃみとはとてつもない速度で飛び出すという固定観念を抱いていました。 しかし、近年の研究によってくしゃみの速度がだいたいわかってきました。どうやら新幹線というのは言い過ぎのようですね。 Nishimura H, et al. A new methodology for studying dynamics of aerosol particles in sneeze and cough using a digital high-vision, high-speed video system and vector analyses. PLoS One. 2013 Nov 27;8:e80244. デジタルハイビジョン・ハイスピードビデオシステムを用いて、くしゃみの速度を計測した研究です。これはくしゃみに特化した研究ではないのですが、その中からくしゃみに関する部分だけを取り出してみます。被験者は身長180cmの20代前半の男性で、ティッシュで作ったこよりを使ってくしゃみを誘発しました。速度は、6m/秒以上の部分はありますが、どうやら10m/秒を超える粒子はなさそうです。最大速度を7m/秒とした場合、時速は25.2kmです。あれ? 新幹線どころか、ノロノロ運転の軽トラックに近い数値ですね。この被験者のくしゃみの飛距離は85cmあたりです。 画像を拡大する 図. くしゃみの飛距離と速度(文献より引用) Tang JW, et al. Airflow dynamics of human jets: sneezing and breathing - potential sources of infectious aerosols. PLoS One. 2013;8:e59970. 同じ雑誌のこの論文。今度は被験者6人です(男性4人、女性2人、平均年齢は20代後半)。飛距離は60cm程度と1つ目の論文ほど伸びていません。そのため、速度は最大で4.5m/秒程度、時速に換算すると16.2kmです。成人男性が普通に走ったらこのくらいの速度は出せるんじゃないでしょうか。 画像を拡大する 図. くしゃみの飛距離と速度2(文献より引用)時速がとてつもなく速いというのは、Wells氏らの報告により時速360kmと推定されたためです1)。しかし、これは今から60年以上前の報告であり、水滴Rayleigh formulationのCastleman adaptation※に基づいた推定値とされています。他にもいろいろ文献はありそうですが、くしゃみの速度は、少なくとも新幹線のような高速の乗り物に匹敵するということはなさそうで、せいぜい成人~ウサイン・ボルトが走る程度の速度しかないと考えてよさそうです。※おそらく物理学に精通している方にはわかるのでしょうが、私にはさっぱり意味がわかりません(笑)。参考文献1)Wells WF. Airborne Contagion and Air Hygiene: an Ecological Study of Droplet Infection. Cambridge, MA:Harvard University Press;1995. p.423.インデックスページへ戻る

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その症状、夏風邪ではなく肺炎かもしれない

 「夏風邪は長引く」と慣用句的に言われるが、診察室に来た高齢の患者が長引く発熱や咳の症状を訴えた時、急性上気道炎と決めてかかるのは危険かもしれない。6月30日、都内でファイザー株式会社がプレスセミナー「夏風邪かと思っていたら肺炎に!? 高齢者が注意すべき夏の呼吸器疾患の最新対策」を開催した。講演に登壇した杉山 温人氏(国立国際医療研究センター病院 呼吸器内科診療科長)は、「肺炎はワクチンで予防できる呼吸器疾患だが、当事者である高齢患者たちはワクチン接種の必要性を感じておらず、接種を勧めたい医療者の認識との間に大きな乖離がある」と述べた。急性上気道炎(感冒)との鑑別が紛らわしい肺炎 いまや肺炎は、がん、心疾患に続く日本人の死因第3位となっている。また、肺炎はその死亡の96.9%を高齢者が占めている。高齢者の肺炎は、若年者や中高年者の肺炎と異なり、罹患がADLの低下や心身の機能低下へと連鎖し、寝たきりや、認知症の進行といった悪循環に陥りやすいという特徴がある。 杉山氏によると、夏風邪と紛らわしい肺炎の鑑別にはとくに注意が必要だという。問診時に聞き取るポイントとして、発熱期間(風邪が数日~1週間程度であるのに対し、肺炎は1週間以上続く)や痰の色(肺炎の場合は黄~緑色、鉄さび色)などが挙げられる。しかし、高齢者の場合には、無熱性の場合があることも鑑別を難しくしており、意識障害のみで搬送され、肺炎と診断されたケースもあるという。肺炎への危機感が希薄な高齢者 肺炎の主な原因菌は何なのか。65歳以上の市中肺炎で入院したケースをみると、インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌などと比べても、肺炎球菌が圧倒的に多い。大学病院における医療・介護関連肺炎(NHCAP)についても同様に、肺炎球菌が最も多いことが過去の調査から明らかになっている。 2014(平成26)年10月から、65歳以上の高齢者を対象に肺炎球菌ワクチンが定期接種化(65歳より5歳刻み)されたが、ファイザーが同年11月に行ったインターネット調査によると、65~70歳の男女600人のうち、肺炎球菌ワクチンを接種したことがある人は、70歳で14%、65歳ではわずか3%にとどまった。さらに、肺炎にかかる可能性を感じているかと尋ねたところ、「感じている」と答えた人は70歳では10%、65歳では5%にとどまり、危機感がきわめて希薄である実情も浮き彫りになった。複雑なワクチン接種フローが課題 国内で承認されている肺炎球菌ワクチンは、13価結合型ワクチン(商品名:プレベナー)と、23価多糖体ワクチン(同:ニューモバックス)の2種類があるが、65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種で公費対象となっているのは23価ワクチンのみである。一方、13価ワクチンは小児(生後2ヵ月~6歳未満)の定期接種で使用されており、優れた免疫応答と長期的な免疫記憶の獲得が特徴である。 杉山氏は「作用機序が異なるプレベナーとニューモバックス、2種類をうまく組み合わせて肺炎球菌に対する抵抗力を維持することが肝要である」と強調。さらに、定期接種はニューモバックスのみでプレベナーは任意接種であるために、ワクチン接種のフローが複雑になっている課題を指摘し、「現場の運用はシンプルであるべき。ニューモバックスだけでなく、プレベナーについても定期接種化を望みたい」と述べた。

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新医療機器―早期の解禁と安全面の担保、どちらを優先しますか?(解説:折笠 秀樹 氏)-566

 EU・米国で認可された医療機器の安全性に関する報告があった。EU・米国で認可された309件の医療機器を調査した。EUで先に認可された機器に安全面の問題が多かった、という結論である。安全面の報告レベルには、安全性警告(Safety Alert)・回収(Recall)・撤収(Withdrawal)の3種類が知られる。この順に厳しくなっている。本研究では、安全性警告・回収の割合をEU・米国で比較した。EU先行認可の機器では27%(=62/232件)、米国先行認可の機器では14%(=11/77件)であり、EUで先に認可された医療機器に安全面の懸念がうかがわれた。 では、どうしてだろうか?それはたぶん、EUと米国で医療機器の認可制度が異なるためだろう。米国ではClass IIIというハイリスク医療機器の多くには、臨床試験を課している。いわゆるPMA制度で承認されなければならない。本研究でも、PMA対象の機器でEUより3年も認可が遅れていた。一方、510(k)という届出で済む機器では遅れはみられなかった。PMA対象の物には心臓関係の機器が多く、しかも、ピカ新といわれる機器が多い。そうした機器では、米国ではより慎重に審査をしてから認可しているが、EUでは少し甘いように思われる。いち早く利用できることと安全面の担保、あなたならどちらを重視しますか? 米国FDAでは医療機器の安全性については、MedWatchというデータベースが公開されている。どのような安全性警告が出ているかを確認できるので、一度開いてみてほしい1)。食品・医薬品・化粧品などの安全性情報も載っている。医療機器ではそうでもないが、医薬品では膨大な警告リストが挙がっている。

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日本人うつ病患者、抗うつ薬維持量に影響する因子:静岡県立大

 うつ病の再発を防ぐためには、急性期の抑うつ症状を効果的に抑制する用量の抗うつ薬で、6ヵ月以上治療を継続するのが理想的である。しかし、治療反応を得たり維持するための抗うつ薬の用量は、個人間で異なる。静岡県立大学の井上 和幸氏らは、日本人うつ病患者を対象に維持期の抗うつ薬投与量における遺伝子多型を含む臨床的特徴の役割を調査した。Biological & pharmaceutical bulletin誌オンライン版2016年6月17日号の報告。 対象は、日本人うつ病患者82例。抗うつ薬の用量はイミプラミン換算を用いて計算し、併用した抗不安薬や催眠薬の用量はジアゼパム換算を用いて計算した。対象患者82例は、イミプラミン換算の中央値に基づき2群に割り付け、抗うつ薬の維持用量における患者特性の影響、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子多型(rs6265)およびCREB1遺伝子多型(rs2253306、rs4675690、rs769963)の存在について調べた。 主な結果は以下のとおり。・多変量ロジスティック回帰分析では、併用薬のジアゼパム換算量とCREB1 rs4675690は、抗うつ薬の維持量と有意に関連していることが示された。・日本人うつ病患者の維持期における抗うつ薬投与量に対し、これらの要因が影響を与えると考えられるが、さらなる大規模コホート研究が必要とされる。関連医療ニュース 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

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トリプルネガティブ乳がん、veliparib+CBDCA併用の術前化学療法でpCR向上/NEJM

 トリプルネガティブの乳がん患者では、術前補助化学療法として標準療法に加え、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬veliparib+カルボプラチンを併用することで、病理学的完全奏効率が向上することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らが、多施設共同の適応的無作為化第II相試験「I-SPY2」で明らかにしたもので、NEJM誌2016年7月7日号で発表した。乳がんは、遺伝的・臨床的不均一性から有効な治療の特定が困難になっている。研究グループは、実験的試験で効果のあるがんサブタイプを見つけることを目的とした。被験者を10種のバイオマーカー標識に分類 試験は、腫瘍が直径2.5cm以上でステージIIまたはIIIの乳がんの女性を対象に、実験的レジメンにより治療アウトカムが向上する乳がんサブタイプについて調べるもので、現在も継続中である。 具体的には、乳がんをヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)、ホルモン受容体、70の遺伝子アッセイにより8つのバイオマーカー・サブタイプに分類。そのうえで、あらかじめ定義したバイオマーカーの組み合わせで10種のバイオマーカー標識を作成し、標準治療と実験的レジメンを比較することとした。被験者は、標準療法よりも良好な成績のレジメンを受けられるよう、バイオマーカー・サブタイプ内で適応的無作為化を行った。 今回報告されている標準療法にveliparibとカルボプラチンを併用するレジメンは、HER2陰性腫瘍について検討され、3標識について評価が行われた。 主要評価項目は、病理学的な完全奏効で、治療中にMRIで腫瘍体積を測定して完全奏効を予測する形で評価。また、ベイズ確率で第III相試験での成功予測が高いと示されたレジメンについて、第II相から第III相へ進めると判定することとした。標準療法にveliparib+カルボプラチンで病理学的完全奏効が51% veliparib+カルボプラチンを投与した被験者は72例、対照群は44例だった。トリプルネガティブ(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2が陰性など)の患者において、化学療法終了時点で病理学的完全奏効が予測された人の割合は、veliparib+カルボプラチン群が51%(95%ベイズ確率区間:36~66)だったのに対し、対照群では26%(同:9~43)だった。 また、トリプルネガティブ乳がんに関して、veliparib+カルボプラチンレジメン治療が第III相で成功する確率は88%だった。 なお、veliparib+カルボプラチン群の毒性は、対照群より高かった。

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