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アトピー性皮膚炎の自己免疫疾患リスク、喫煙と関連か

 成人アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患に罹患しやすく、とくに喫煙者で認められることが、デンマーク・コペンハーゲン大学のYuki M F Andersen氏らによる全国健康登録データの検証の結果、示された。これまでに、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性について指摘はされているが、データはほとんどなく、一貫性が認められなかった。著者は、「今回のデータで因果関係について結論することはできないが、アトピー性皮膚炎患者において自己免疫疾患が増大しているとの認識を正当化できるものと思われる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年10月11日号掲載の報告。喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患発症率が顕著に高かった 研究グループは、アトピー性皮膚炎を有する成人患者において、選択した自己免疫疾患について、罹患の共通性が認められるかを調べた。全国健康登録データを用い、1997~2012年に、国内の病院でアトピー性皮膚炎と診断された成人(症例群)と、その適合成人(対照群)を選び、両群で自己免疫疾患の発症について比較した。 ロジスティック回帰法を用いて、オッズ比を算出し評価した。 アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性を評価した主な結果は以下のとおり。・ケース群は8,112例、対照群は4万560例であった。・22の自己免疫疾患について調べた結果、11についてアトピー性皮膚炎との有意な関連が認められた。・さらに、アトピー性皮膚炎は多発性の自己免疫疾患と関連することも示された。・喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は、非喫煙患者と比較して、自己免疫疾患発症率が顕著に高かった。・今回の試験はアトピー性皮膚炎成人患者に限定したものであり、またアトピー性皮膚炎の重症度や喫煙量に関する情報は入手できていない。また、病院での診断歴のある患者を対象とした検討の結果で、一般化できないといった点で限定的なものである。

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地中海食、加齢黄斑変性の進行予防に効果あり

 地中海食のアドヒアランスと加齢黄斑変性(AMD)の有病率は関連しているかについて、英国・Queen's University BelfastのRuth E. Hogg氏らが、南北欧州の地域住民をベースにした横断疫学研究を行った。その結果、地中海食のアドヒアランスが後期AMDを予防する効果があることが示唆された。ただし、先行研究で報告されていたAMDと遺伝的感受性との関連を支持する結果は示されなかった。著者は、「地中海食の導入を促す介入を開発するとともに、こうした行動変化を達成し維持できる方法を調べなければならない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年11月5日号掲載の報告。 研究グループは、欧州(ノルウェー、エストニア、英国、フランス、イタリア、ギリシャ、スペイン)の研究センター7施設において、無作為に抽出した65歳以上の高齢者5,060例を対象に検討した。眼科検査とデジタル網膜カラー写真撮影を行うとともに、過去12ヵ月間の食事摂取量について半定量的な食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。 検査画像は単一施設において、International Classification System for age-related maculopathyに従ってグレード付けし、Rotterdam staging systemを用いて5段階(AMD:0~4)に分類した。AMDステージ4は、新生血管AMD(nvAMD)および地図状萎縮(GA)を含む。ドルーゼン(drusen)については、直径125μm以上をlarge drusenとした。地中海食のアドヒアランスは、FFQに基づき地中海食スコア(MDS)で評価し、MDSスコアとAMDの関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象5,060例中、食事に関して完全なデータが得られたのは4,753例であった(平均73.2±5.6歳、女性55%)。・MDSの増加は、未補正および交絡因子補正解析においてnvAMDのオッズ比低下と関連しており、MDSアドヒアランスが最高群(MDSスコア>6)は最低群(MDSスコア≦4)と比較して、nvAMDのリスクが有意に低下した(オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.27~1.04、傾向p=0.01)。・MDSとの関連は、Y204Hリスクアレルで違いは認められなかった(p=0.89)。・早期AMD(グレード1~3)は、MDSとの関連はなかった(傾向p=0.9)。・MDSとlarge drusenとの間には弱い関連傾向(p=0.1)がみられ、MDS最高群は最低群と比較してオッズ比が20%低下した(p=0.05)。

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CAD-Man試験:冠動脈CT(CTCA)は虚血性心疾患診療適正化のゲートキーパーになれるか?(解説:中野 明彦 氏)-614

【はじめに】 CTCAは冠動脈狭窄の評価に加え、positive remodelingに隠されたプラークの検出(内腔のみを判定する冠動脈造影[CAG]では冠動脈硬化症の重症度が過小評価になってしまう)、胸痛を呈する非冠動脈疾患(肺梗塞・大動脈解離・心膜炎・肺炎胸膜炎・食道裂肛ヘルニアなど)の鑑別を非侵襲的に行える利点を有する。有意狭窄判定の感度・特異度は報告によりばらつきがあるが、陰性適中率については100%近い精度を示し虚血性心疾患のルールアウトに有用というのが共通認識となっている。これらの利点により、CTCAはすでに日本の津々浦々の循環器専門病院やクリニックで導入されているが、臨床現場でどう使っていくかについてのスタンスは施設ごとにまちまちであり、これからの課題と考えられる。 その指標となる本邦での直近の指針「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン(JCS 2009)1)」を整理してみると、以下のようになる。(UAP;不安定狭心症、NSTEMI;非 ST上昇型急性心筋梗塞、STEMI;ST上昇型急性心筋梗塞) *:安定狭心症のリスク層別化は検査前有病予測を意味し、胸痛の性状や臨床所見から推測する急性冠症候群の短期リスク評価とは異なる。胸痛の特徴(1.胸骨後部に手のひらで押されたような圧迫感,重苦しさ、2.労作に伴って出現、3.安静により治まる)を満たす項目数により典型的狭心症・非典型的狭心症・非狭心症性胸痛に分類し、年齢・性別を加味して層別化するが、非典型的狭心症の大半と非狭心症性胸痛で男性(>40歳)/高齢女性(>60歳)が中リスク群に分類される2)。検査前有病予測ではDuke clinical score2)がよく知られている。 【CAD-Man試験について】 ドイツから報告された CAD-Man(Coronary Artery Disease Management)試験は、特定のクリニカルシナリオ(30歳以上の非典型的狭心症および非狭心症性胸痛;2つ以上の負荷試験陽性例を除く)を対象としたCTCAとCAGとの無作為比較試験である。中リスクが多い対象群であり、上記「IIa 安定狭心症」に重なる。 詳細は、別項(本ページ上部:オリジナルニュース)に譲るが、要約すると、CTCAを選択しても放射線被曝量・3年間の心血管イベントの発生頻度は変わらず、QOL(入院期間・満足度)が高かった。CTCA群で最終診断ツールであるCAGが実施された割合は14%であり、当然のことながらその正診率(75%)は高く、CAG群の5倍だった。さらに、一連の検査・治療による大合併症(1次エンドポイント)は不変、小合併症は有意に抑制された。 わずか329例、single centerでの研究がBMJ誌に掲載されたことに驚かされたが、これまでCTCAとCAGとの直接比較が少なかったことや、特定のシナリオを設定しその有用性を示した点が評価されたのだろう。 本研究への疑問点・課題をいくつか提示しておきたい。 まずは、有病率の低さ(CTCA群11%、CAG群15%)である。トロポニンI/T値や心電図変化を対象外とせず、したがって急性冠症候群(UAP/NSTEMI)を許容する一方、全症例の平均年齢は60歳、半数が女性で糖尿病合併率は20%未満、虚血性心疾患の既往症例は除外された。さらに非典型的狭心症も半数以下だったことから、実際にはCTCA・CAGの適応とならない低リスク群が多数含まれていたと推察される。Duke clinical scoreから34.3%と予測した筆者らにとっても誤算だったであろうが、対象症例の有病率の低さは、検査に伴う合併症や長期予後の点に関してCTCA群に有利に働いた可能性があるし、被曝の観点からも問題である。 次に、血行再建術適応基準が示されていない点が挙げられる。CTCA群のみMRIでの当該領域心筋バイアビリティー≧50%が次のステップ(CAG)に進む条件となっているが、血行再建術の適応はCAG所見のみで決定されている。負荷試験の洗礼を受けない対象症例達は生理的・機能的評価なしに解剖学的要件のみで“虚血”と判断されたことになり、一部overindicationになっている可能性がある。 さらに、研究施設の日常臨床の延長線上で行われた本研究では、CTCAはすべて入院下で施行された。この点は、外来で施行されることが多い本邦の現状とは異なる。同様の試験を日本で行えば、入院期間やコスト面で、CTCA群での有効性にさらなる上積みが期待される。【冠動脈診療の適正化とCTCA】 高齢化社会の到来や天井知らずに膨らみ続ける医療経済的観点から、諸外国では医療の標準化・適正化(appropriateness)が叫ばれて久しい。虚血性心疾患診療の分野でも、治療のみならず診断の段階から appropriateness criteriaが提示されている3)。翻って、日本はどうだろうか。循環器疾患診療実態調査報告書(2015年度実施・公表) 4)から2010年と2014年のデータを比較すると、CTCAが34.6万件から42.4万件へと増加しているのに対し、CAGはいずれも49.8万件であった。待機的PCI数やCABG数があまり変化していないことを考え合わせれば、CTCAを有効かつ適正には活用できていないことになる。 CAD-Man試験は、CTCAが“不要な”CAGを減少させる可能性を示し、また反面教師として、 症例選択の重要性も示唆した。一方、血行再建症例の適応基準が課題として残っている。 多少横道にそれるが、新時代を切り開く技術としてFFRCTが注目されている。FFRCT法は CTCAのボリュームデータを使い、数値流体力学に基づいて血行動態をシミュレーションし FFRを推定する方法で、解剖学的判定と生理的・機能的評価を非侵襲的に行うことができる理想的なモダリティーである。実臨床に普及するには多くのハードルがあるが、昨年Duke大学から報告された「FFRCT版CAD-Man試験」ともいうべきPLATFORM試験5)6)では、臨床転帰を変えることなくCAGの正診率向上やコスト低減・QOL改善効果が示された。  日本でもappropriatenessの議論が始まっていると聞くが、CAD-Man試験が示したように現在のCTCAにはまだまだ課題が多い。適切な症例選択とFFRCT、これが融合すればCTCAが真のゲートキーパーとなる、と確信する。参考文献1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007―2008年度合同研究班報告)―冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン(PDF)2)Pryor DB, et al. Ann Intern Med. 1993;118:81-90.3)Hendel RC, et al. J Am Coll Cardiol. 2006;48:1475-1497.4)循環器疾患診療実態調査報告書 (2015年度実施・公表)(PDF)5)Douglas PS, et al. Eur Heart J. 2015;36:3359-3367.6)Douglas PS, et al. J Am Coll Cardiol. 2016;68:435-445.

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アルツハイマー病に関する臨床試験、その進行状況は

 現在、アルツハイマー病(AD)に対する薬理学的推奨薬は、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA型受容体アンタゴニストであるメマンチンがある。これらの薬剤は、AD症状を管理するだけで、Aβプラークや神経原線維変化を標的としていない。そのため、AD病変を直接的に標的とし、AD進行経過を変化させる効果的かつ安全な治療法を開発する必要がある。カナダ・トロント大学のMyuri Ruthirakuhan氏らは、AD治療薬について進行中の第II/III相の臨床試験を評価した。Expert opinion on pharmacotherapy誌2016年12月号の報告。 本レビューでは、過去5年間に完了または公表された試験を含む、進行中の第II/III相の臨床試験を評価した。レビュー研究は、clinicaltrials.gov、alzforum.org/therapeutics、PubMedより抽出した。キーワードおよび選択基準は、アルツハイマー病、軽度認知障害に関する第II/III相の試験、アミロイドβ、タウとした。なお、ADに対する免疫療法を、本レビューの範囲外とした。 主な結果は以下のとおり。・アミロイドβ、タウを標的とした試験数が多かった。・しかし、これらの試験の多くは、治療期間が比較的短く、バイオマーカーと臨床アウトカムの総合評価が含まれていなかった。・今後の調査では、疾患の緩和効果を確立するために最低限の治療期間である18ヵ月にわたり、バイオマーカーの評価と臨床転帰を含んだ試験が推奨される。関連医療ニュース 世界的に今後の認知症研究はどう進んでいくか 認知症の世界的トレンドはどうなっているか 認知症のための学部医療教育強化

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リバーロキサバン、PCI施行心房細動患者の出血減らす:バイエル

 Bayer AGは2016年11月14日、第III相試験PIONEER AF-PCIの結果から、経口Xa阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の2つの治療戦略が、冠動脈ステントを留置した心房細動患者の出血リスクを、ビタミンK拮抗薬(以下、VKA:Vitamin K Antagonist)に比べ有意に減少させたと発表した。とくに、リバーロキサバン15mg/日と抗血小板薬剤の併用は、VKAと抗血小板2剤療法(以下、DAPT:Dual AntiPlatelet Therapy)の併用に比べ、臨床上著明な出血を41%減少させた。また、リバーロキサバン2.5mg×2/日とDAPTの併用は、VKAとDAPTの併用に比べ、臨床的に著明な出血を37%減少させた。これらの結果は、いずれも統計学的に有意であった。同様の結果が効果評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症)でもみられたが、この試験は統計学的に有意を示すにはパワー不足であった。 この米国で初めてのNOACとVKAとの無作為化比較試験であるPIONEER AF-PCIの結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションで発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。PIONEER AF-PCI試験について PCIによる冠動脈ステント留置を行った非弁膜症性心房細動患者2,124例を対象に、リバーロキサバンとVKAの効果と安全性を評価した世界26ヵ国による非盲検無作為化比較試験。主要評価項目は臨床的に著明な出血(TIMI major bleeding)。被験者は以下の3群に割り付けられた。・リバーロキサバン15mg/日+クロピドグレル(またはプラスグレル、チカグレロル)12ヵ月投与・リバーロキサバン2.5mg×2/日+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、リバーロキサバン15mg/日+低用量アスピリン投与、計12ヵ月・VKA+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、VKA+低用量アスピリン投与、計12ヵ月(ケアネット 細田 雅之)参考バイエル社(ドイツ):ニュースリリースPIONEER AF-PCI試験(ClinicalTrials.gov)原著論文Gibson CM, et al. N Engl J Med. 2016 Nov 14.[Epub ahead of print]

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うつ病患者への外来ケアサービスの試み

 うつ病入院患者は、退院後、外来ケアの非継続や有害事象のリスクが高い。米国・ミシガン大学のPaul N Pfeiffer氏らは、病院のモニタリングとうつ病のために強化された支援プログラムについてパイロット研究を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2016年10月25日号の報告。 うつ病に関連した入院後のVeterans Affairs Medical Centerの患者48例は、家族・友人(19例)または認定ピアサポートスペシャリスト(29例)のいずれかを選択し、毎週の訪問または電話を6ヵ月間受けた。対象者は、抑うつ症状と抗うつ薬の服薬アドヒアランスを評価するため週1回の自動電話モニタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・90%以上の患者が、本ケアサービスに満足していた。・うつ症状のベースラインから6ヵ月の平均変化量は、家族・友人によるサポートを受けた患者では、患者の健康に関するアンケートで-7.9(p<0.05)、BDI-IIベック抑うつ質問票で-11.2(p<0.05)であった。ピアスペシャリストのサポートを受けた患者では、それぞれ-3.5(p<0.05)、-1.7(p>0.10)であった。 著者らは「精神科入院後の自動電話モニタリングと連携し、選択したサポートメンバーによるコンタクトの増加は、うつ病患者に受け入れられるサービスである。とくに家族・友人によるサポートを受けた患者では、うつ症状の減少が認められた」としている。関連医療ニュース 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 うつ病再発予防へ、インターネット介入の可能性は 近未来のうつ病治療に、会話システム「Help4Mood」

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うつ病治療歴があると早期乳がんの予後が悪い?

 デンマークの全国登録ベースのコホート研究より、うつ病治療歴のある初発早期乳がん女性では、ガイドラインで推奨されるアジュバント治療を受けないリスクがあり、それが全生存率および乳がん特異的生存率の低下につながっている可能性があることをデンマークがん協会研究センターのNis P. Suppli氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年11月14日号に掲載。 本研究は、1998~2011年にデンマークで早期乳がんと診断された女性4万5,325例を調査した。そのうち、744例(2%)は病院でのうつ病治療歴(入院もしくは外来)があり、6,068例(13%)は病院での治療歴はないが抗うつ薬による治療歴があった。著者らは、うつ病治療歴と、ガイドラインによるがん治療を受けないリスクとの関連を多変量ロジスティック回帰分析で評価し、全生存率・乳がん特異的生存率・自殺リスクについて乳がん発症前のうつ病治療の有無別に多変量Cox回帰分析で比較した。 主な結果は以下のとおり。・腫瘍のStageからは、うつ病治療歴のある女性における乳がん診断の遅れは示されなかった。・乳がん発症前に病院での治療歴がないが抗うつ薬による治療歴のある女性は、ガイドラインによるがん治療を受けないリスクが有意に増加し(オッズ比:1.14、95%CI:1.03~1.27)、全生存率(ハザード比:1.21、95%CI:1.14~1.28)と乳がん特異的生存率(ハザード比:1.11、95%CI:1.03~1.20)が有意に悪化した。病院でのうつ病治療歴のある女性においても、これらのリスクが有意ではないが増加した。・サブグループ解析では、必要とされるアジュバント療法を受けなかった女性で、とくにうつ病と生存率低下の関連が強かった。

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虚血コンディショニングの臨床的アウトカムへの影響は?/BMJ

 侵襲的手術に伴い施行する虚血コンディショニングは、総じて死亡リスクには影響しないことが、オーストラリア・シドニー大学のLouisa Sukkar氏らが、無作為化試験の被験者データを臨床設定を問わずに包含して評価したシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。また、脳卒中と急性腎障害(AKI)への影響については、発生を低下する可能性が示唆されたが、エビデンスの質が低かった。虚血コンディショニングの役割については多くの臨床試験で検討されているが、アウトカムに及ぼす影響については不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「虚血コンディショニングの採用は、質が高く統計的検出力が良好なエビデンスの下で有益性があることが示されない限り、ルーティンに用いることは推奨できない」と述べている。BMJ誌2016年11月7日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で検討 検討は、Medline、Embase、Cochrane databases、International Clinical Trials Registryを検索(発行開始~2015年10月時点まで)して行われた。虚血コンディショニングの臨床的アウトカムへの影響を比較検討していたすべての無作為化試験を適格とし、2人の論文執筆研究者がそれぞれ、各試験報告からデータ(被験者のベースライン特性、試験特性、アウトカム)を抽出した。複数介入の報告は、それぞれ異なる試験とみなした。 ランダム効果モデルを用いて、全死因死亡とその他の事前規定の特異的臨床的アウトカム(心筋梗塞・脳卒中・心血管死の複合など複合心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、新規の不整脈、AKIなど)の発生率を算出。全死因死亡と副次的アウトカム(p<0.1)について、GRADE評価ツールを用いて試験の質を調べ、事前規定の被験者特性をメタ回帰法とCochran C検定法にて調べ、Copenhagen Trial Unit法にて試験の逐次解析を行った。全死因死亡への影響は認められず、脳卒中とAKIについては抑制効果あり? 検索の結果、85本の報告、無作為化試験89件、被験者1万3,800例のデータが特定できた。被験者の年齢中央値は80歳(四分位範囲:60~149)、フォローアップの計画期間は1ヵ月(範囲:1日~72ヵ月)であった。 結果、虚血コンディショニングは、臨床設定や被験者介入関連の特性を問わず全死因死亡への影響は認められなかった(68比較、424イベント、被験者1万1,619例、リスク比[RR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.80~1.16、p=0.68、エビデンスの質中程度)。 一方、副次的アウトカムのうち、脳卒中(18試験、5,995例、149イベント、RR:0.72、95%CI:0.52~1.00、p=0.048、エビデンスの質は非常に低い)、AKI(36試験、8,493例、1,443イベント、RR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.02)については、虚血コンディショニングによって発生が有意に減少する可能性が示唆された。しかし、そのベネフィットは、非外科的な設定に限定され、AKIについては軽度のエピソードに限られるようであった。

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登録に手間取ったEXCEL試験からLMT病変の治療戦略を深読みする(解説:中川 義久 氏)-612

 左冠動脈主幹部(LMT)疾患と3枝疾患の治療おいては、冠動脈バイパス術(CABG)が標準的治療として推奨されてきた。冠動脈インターベンション(PCI)とCABGの2つの血行再建法を適切に使い分けるために、欧米を中心に多くの臨床研究が実施されてきた。 この領域でエポックメーキングであったのは、SYNTAX試験である1)。LMT疾患および3枝疾患を、心臓外科医とPCI施行医がどちらの治療法でも施行可能と判断すれば、PCIかCABGにランダマイズし比較した歴史的な研究である。この試験でPCIは、第1世代のパクリタクセル溶出性ステントであるTAXUS を用いている。この主論文の結果は、「再血行再建も含めた主要エンドポイントについてTAXUSを用いたPCIは、CABGに対して非劣性を達成することができなかった」である。この公式見解とは別にサブ解析ではあるが、従来はCABGの牙城とされていたLMT疾患の中でも、PCIで治療可能な領域が存在することを示した点では画期的な研究であった。 ランダマイズ試験の弱点の1つは、研究の計画から結果を得るまでに時間を要することである。結果を得たときには陳腐なものとなってしまう。SYNTAX試験で用いられたTAXUSステントは、すでに日常臨床のアリーナから退場している。より成績の勝る新世代の薬物溶出性ステントが席巻している。優れた治療成績を示すエベロリムス溶出性ステント(EES)を用いるPCIとCABGを比較するEXCEL試験の結果が待たれていた。SYNTAXスコアが≦32、つまり冠動脈病変複雑性が中程度までのLMT疾患において、最先端の血行再建手技で比較を試みたのがEXCEL試験である。EES使用だけでなく、PCI群の77.2%はIVUSガイドであり、CABG群では29.4%はオフポンプ手術であった。EXCEL試験の主要エンドポイントは、全死亡・脳卒中・心筋梗塞の複合エンドポイントである。3年時点で主要エンドポイント発生率は、PCI群15.4%、CABG群14.7%で両群差は0.7%(非劣性p=0.02)で、PCI群の非劣性が示されたという結論である。 このEXCEL試験の結果は、ワシントンで開催されたTCT2016で報告され同日にNEJM誌に結果が掲載された。その論文内にも記載されているが、この臨床試験では進行に遅れが生じた。当初の計画では、PCI群とCABG群各1,300例ずつ計2,600例のランダマイズ登録を予定していたが、登録が進捗しないことから研究のパワーを90%から80%に低下させることを受容して、計1,900例のランダマイズ研究にサイズダウンしたのである。経過をもう少し詳しく紹介する。ランダマイズ患者の登録は、最初が2010年9月で、最終は2014年3月となっている。2013年時点のEXCEL試験の進捗状況の報告では2,600例の登録を目指すとしている。このころから登録のスピードに陰りが生じ、2014年に1,905例で閉じることになったのである。自分は、試験の終盤になり登録が進捗しなくなった点に強いメッセージを察知する。PCIとCABGの両治療法共に施行可能と判断される患者を、ランダマイズ研究に登録することに困難が増した理由は何であろうか?…患者本人が試験参加ではなくPCIによる治療を希望する場合か、研究者本人も両治療が可能な患者をランダマイズに委ねることを躊躇したのか、と深読みしてしまうのである。 データ解析の結果を公式に解釈するならばPCIの非劣性だが、この登録の遅れという情報を勘案すれば、SYNTAXスコア≦32までのLMT疾患治療においてPCIは選択肢として現場で容認されている可能性がある。 FFRなどの機能的指標を用いてPCIの適応を判断することによって予後を改善させる可能性が報告されている。このEXCEL試験のPCI群のFFR評価実施は9.0%にとどまっている。その面では、EXCEL試験の結果も陳腐なものであろうか。

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NOBLE試験ではLM病変に対するPCI治療はCABG治療に対して劣性であった(解説:許 俊鋭 氏)-611

【概要】背景 冠動脈バイパス術(CABG)は、左主冠動脈疾患(LM)に対する標準的な治療法と考えられてきたが、近年、LM病変に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療が増加している。本研究は、PCIとCABGのLM疾患治療における有効性を比較することを目的とした。方法 北欧の36心臓センターが参加し、LM症例を対象としてCABG群とPCI群を1:1に割り付けた前向き無作為、非盲検、非劣性試験を実施した。試験参加適格症例は、安定狭心症、不安定狭心症または非ST上昇心筋梗塞症例とした。除外基準は、24時間以内のST上昇型心筋梗塞、CABGやPCIのリスクが高すぎる症例、または1年の生命予後が期待できない症例とした。 主要評価項目は主要な有害心臓および脳血管イベント(MACCE)の複合(全死因死亡、心筋梗塞、冠動脈に対する再血行再建術、および脳卒中)とした。CABG群に対するPCI群の非劣性は、5年間の経過観察で1.35のハザード比(HR)を超えないことを必要条件とした。結果 2008年12月9日~2015年1月21日の間に、1,201例のLM症例を無作為にPCI群598例とCABG群603例に割り付け、各グループ592例を分析対象とした。 5年間カプランマイヤーカーブのMACCE推定値は、PCI群29%(121イベント)、CABG群19%(81イベント)で、HR:1.48でPCIが劣性の結果であった。CABG群の治療成績は、PCI群に対して有意に良好であった(p=0.0066)。5年間のMACCEの発症推定値をPCI群 vs.CABG群で比較すると、全死因死亡率は12% vs.9%(p=0.77)、心筋梗塞は7% vs.2%(p=0.0040)、再血行再建術は16% vs.10%(p=0.032)、脳卒中は5% vs.2%(p=0.073)で有意水準まで到達していない項目もあるがいずれもCABG群のほうが成績良好であった。コメント これまでのPCIに適したLM病変に対してPCIを推奨するとしたガイドラインは主に、SYNTAX試験結果に基づき作成されてきた。また、ガイドラインは無作為化試験であるLE MANS試験、PRECOMBAT試験、Boudriot試験などの結果も参照しているが、患者サンプル数が少ないため、PCIをunprotected LM病変の最良の治療法と決定するためにはエビデンスとしては弱いと考えられていた。 今回のNOBLE試験は、unprotected LM治療でCABG群と比較してPCI群は非劣性の臨床結果をもたらすと仮定して実施されたが、結果は逆にPCI群はCABG群に対して劣性であった。本研究の結果は、LM治療においてCABGの治療成績がPCIよりも優れている可能性を示唆している。

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卒煙したい患者への応援メッセージ

禁煙にチャレンジするあなたに贈る5つのメッセージ楽々卒煙 あいうえお「あかるくやめよう」卒煙すれば元気になり、肌もきれいになり、お金もたまり、楽しいことばかり!タバコ代が浮いた分増える楽しみの選択肢あれこれ…「楽々卒煙あいうえお」は、タバコフリー京都で活躍した故・繁田正子先生が遺した標語です。NPO法人京都禁煙推進研究会 タバコフリー京都http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zensyou/社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.禁煙にチャレンジするあなた贈るに5つのメッセージ楽々卒煙 あいうえお「いっきにやめよう」中途半端に減らしても、ニコチン血中濃度は減りません。″減煙“ではなく、思い切って一気に″禁煙”してしまいましょう!「楽々卒煙あいうえお」は、タバコフリー京都で活躍した故・繁田正子先生が遺した標語です。NPO法人京都禁煙推進研究会 タバコフリー京都http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zensyou/社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.禁煙にチャレンジするあなたに贈る5つのメッセージ楽々卒煙 あいうえお「うごいてやめよう」じっとしていると、タバコのことばかり考えがちです。ストレッチやウオーキングなどで体を動かして、気分をうまく切り替えて乗り越えましょう。「楽々卒煙あいうえお」は、タバコフリー京都で活躍した故・繁田正子先生が遺した標語です。NPO法人京都禁煙推進研究会 タバコフリー京都http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zensyou/社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.禁煙にチャレンジするあなたに贈る5つのメッセージ楽々卒煙 あいうえお「えん(縁)を結んでやめよう」1人で、意志の力でやめるのは大変です。意志だけに頼らず、医師の力も借りて、科学的に禁煙しましょう!みんなで、あなたを応援していますよ!「楽々卒煙あいうえお」は、タバコフリー京都で活躍した故・繁田正子先生が遺した標語です。NPO法人京都禁煙推進研究会 タバコフリー京都http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zensyou/社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.禁煙にチャレンジするあなたに贈る5つのメッセージ楽々卒煙 あいうえお「おきあがりこぼしでやめよう」一度で禁煙できなくて当たり前。そこで諦めずにできるまで何度でもチャレンジしてみましょう!やめようと頑張ってはみたんですが、飲み会の席で1本どう?って勧められちゃってそれでつい…ゴニョゴニョでは、次は勧められてもキッパリ断れるようになりましょうね!「楽々卒煙あいうえお」は、タバコフリー京都で活躍した故・繁田正子先生が遺した標語です。NPO法人京都禁煙推進研究会 タバコフリー京都http://web.kyoto-inet.or.jp/people/zensyou/社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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血清ナトリウム192mEq/Lの食塩中毒【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第79回

血清ナトリウム192mEq/Lの食塩中毒 >FREEIMAGESより使用 食塩を大量に摂取するのは至難の業です。もちろん、あまりにしょっぱくて随意的にできるものではないからです。久々に日本の文献を紹介したいと思います。 泉谷義人ほか. 食塩過剰摂取により食塩中毒を来した1例 日救急医会誌. 2016;27:251-255. この症例報告は、統合失調症の患者さんが食塩約200gを5~6時間かけてゆっくり摂取し、自宅で嘔吐しているところを家族に発見されたのが始まりです。救急搬送時、血液検査で血清ナトリウム値192mEq/L、血漿浸透圧385mOsm/Lと、とんでもないデータを示していました。通常高ナトリウム血症の場合、ゆるやかにナトリウム値を下げるのが望ましいとされていますが、本症例では補正速度を 2mEq/L/時間以内に調整しました。入院してから10時間後血清ナトリウム値は170mEq/Lと救急搬送時よりは20mEq/L以上の低下がみられたものの、自発呼吸は消失し、瞳孔は散大し、著明な脳浮腫がみられたそうです。賢明な治療が続けられましたが、入院30日目の時点で脳機能停止と判断され、その1週間後に亡くなりました。過去の症例報告では、Carlbergらが1クォート(約1リットル)のしょうゆを飲用し、血清ナトリウム値が190mEq/L以上に陥った19歳男性の事例がよく知られています1)。この症例は、30分で6リットルもの点滴が行われ、希釈によるナトリウム降下治療によって救命できたそうです。本症例報告の考察によれば、脳細胞は浸透圧性物質を細胞内に産生することで浸透圧較差を是正し、脳浮腫に対する防御機構が数時間~2日間で成立するとされています。防御機構が成立した後に急激なナトリウム補正を行うと、再び細胞内外の浸透圧較差が生じて脳浮腫を来すとされています。そのため、数時間~2日以内であれば急激な補正は理論上可能ということになり、致死的な食塩中毒では防御機構が成立する前に早期に血清ナトリウム値を正常範囲内に戻すことが需要であると書かれています。参考資料1)Carlberg DJ, et al. J Emerg Med. 2013;45:228-231.インデックスページへ戻る

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ABSORB臨床試験プログラムのグローバルリーダーGregg W. Stone氏

Investigators InterviewABSORB臨床試験プログラムのグローバルリーダーGregg W. Stone氏生体吸収性スキャフォールド(BRS:bioresorbable scaffold)の先駆的臨床試験であるABSORB臨床試験プログラム。その最高責任者であり、数多くのBRSの臨床試験に携わるGregg W. Stone氏にケアネットが単独インタビュー。本邦でも近々の承認が予想されるAbsorb BVSをはじめとしたBRSについて、Stone氏はどう考えるのか。ゲスト:Gregg W. Stone氏    Columbia大学 メディカルセンター Cardiovascular Research Foundation後編はこちらから生体吸収性スキャフォールド(BRS)の開発目的について教えてください。PCI患者の慢性期の結果を良好にすることが開発の目的です。なぜ生体吸収なのか?たとえば骨折の治療を考えてみてください。骨折したらギプスをして治癒を促進し、治ったらギブスを取り除きます。その後もつけたままだと害になるだけです。心臓も同じです。ステントとしての機能は最初の半年間、薬剤溶出も最初の3~4ヵ月で十分です。それ以上冠動脈にステントがあると、長期間の炎症、拍動の制限、血管の伸展など、血管にストレスを与えることになります。またステントの残存が、将来的な血管の狭小化、不安定プラークの発生、ステントフラクチャーによる血栓症の原因になることもあり得ます。ステントは、その機能を果たしたら血管からなくなるほうが、患者さんの長期的なアウトカムを改善する可能性があるのです。スキャフォールドが吸収された後の組織はどうなるのですか?スキャフォールドがあった部分には、まずプロテオグリカンなどが入り込んでいきます。その後、細胞が入り込み、心臓の収縮や弛緩に合わせて動く機能性を持った組織に置き換わり、運動性のある血管に戻っていきます。BRSでは血管運動性、内腔拡大といった生体吸収後のアドバンテージが期待されていますが、それは臨床でも確認されているのでしょうか?これはABSORBコホートB試験で多く報告されています。1年以降からの血管運動性の回復、晩期内腔拡大がLancetなどの著名な医学誌で発表されています。また、ABSORB II試験では、主要評価項目として3年後の血管運動性と最小血管径の変化を見ています。この試験の3年目の中間報告はTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)2016で発表されます。ABSORB Japanの2年の試験結果が発表されました。標的病変不全(TLF)や血栓症発症などが1年の間に上昇し、有意ではないもののXIENCEとの差が開いています。この結果についてどのようにお考えですか?どのような試験でもそうですが、小規模試験の結果を見る時は、その試験のLimitationおよびその試験が実臨床を反映しているか、を見ることが重要だと思います。ABSORB Japan試験は400例の小規模試験であり、この結果を見る時には注意が必要です。考えなければならないのは、ABSORB Japanでは日本の実臨床とは異なる手技で行われたという点だと思います。これを顕著に表しているのは、この試験でのイメージングの使用率です。日本の実臨床では、およそ9割でIVUS(血管内超音波検査)やOCT(光干渉断層撮影)が使われていますが、本試験での使用率は2割未満でした。日本のPCIの試験結果は世界的に最も優れているのが通常ですが、今回ABSORB Japanの結果は、海外の一連のABSORB試験と比べても最も悪いものだといえるでしょう。これはBVS群だけでなくXIENCE群でも同様でした、このことから、通常とは違う手技を強いられたことが結果に影響している可能性があると考えられます。実臨床での使用が始まり、イメージングがより多く使用されれば結果は変わってくると思います。個人的には、ABSORB Japan試験から得られた最も重要な知見は、イメージングのフォローアップから1年以降の超遅発性スキャフォールド血栓症に関するものだと思います。初期段階で良好な結果を得るためには、最初の留置の段階でしっかり圧着させて、きちんと被覆される状態を作り上げることの重要性が再度確認されました。BRSにおける被覆不全と血栓症はどのように関係するのですか?Absorb BVSのような大きなストラットが血管内に留置される場合、最初にうまく圧着されないと、その後、組織で十分に被覆されないことがあります。スキャフォールドは分解過程でもろい状態になりますが、その時に被覆されていないと、ストラットが血管内腔に落ちてしまいます。いわゆるISDL(inter luminal scaffold dismantling)と呼ばれる現象ですが、それが血栓を誘発することがあります。通常、血管壁に圧着されたストラットは被覆され、分解は組織内で起こる為に問題にはなりませんが、まれにこのようなケースがあるのです。イベント発生には拡張不足も関与していると思いますが、BRSの拡張不足の原因としては十分な圧力をかけていないことが主なものでしょうか?BRSの拡張については、圧力ではなくサイズが合っていないことで問題が起こります。サイズさえ合っていれば、高い圧力をかけても問題は起きないのです。たとえば3mmのスキャフォールドを3mm~3.5mmのNCバルーンで拡張する場合は100atmかけても問題は起きません。しかし、過拡張は問題となります。3mmのスキャフォールドを4mmのバルーンで拡張する場合、低圧でもリスクがあります。BRSは素材的にメタルステントに比べ拡張能力が少ないのです。過拡張を恐れるあまり十分な圧力をかけられなかった、これがイベント発症の大きな原因の1つである可能性があります。今までの一連のABSORB試験を振り返って得られたBRSのベネフィットは?そもそも1年で本来のベネフィットが出てくることは期待していません。現在最高レベルのDESであるXIENCEに対して1~2年で非劣性を示していることは、良好な結果だと言えるでしょう。ABSORB II、III、Japan、Chinaの4つの試験からは、直径2.5mm以下の小血管は避けたほうが良いという点、留置手技については、イメージングを活用すること、後拡張はより確実に行うことが非常に重要だという貴重な知見を得られたと思います。今後のABSORB試験について現在、TLFを主要評価項目とした3,000例登録予定の大規模試験であるABSORB IV試験が進行中で、現時点で2,400名が登録されています。初年度の登録後1年目の結果が発表されます。さらに、ABSORB IVとIIIを合わせた5,000例の大規模分析も予定しています。BRSのアドバンテージの仮説が検証できるのは、デバイスが完全になくなってからですので、10年かかるかもしれません。それもあり、ABSORB III試験は1年のデータが発表されましたが、これから5年まではブラインドです。ABSORB IVも1年のデータ以降は5年目までブラインドです。また、どちらの試験も7年のフォローアップが可能なデザインになっています。デバイスがなくなった血管とメタルフレームが残った血管を、10年、20年という長い年月が経過した多くの患者さんで比較した時に、初めて結果がわかるのだと思います。BRSはどういう患者さんに適しているとお考えですか?すべてのBRSに言えることですが、最も恩恵を受けるのは、デバイス吸収後も長期間生きる患者さん、たとえば75歳以下の患者さんだと思います。第1世代であるAbsorb BVSの場合、非複雑病変、重度石灰化がない病変、太い血管、位置としては近位から中間部の病変が、その特性から適していると思います。現在の実臨床を考えると、およそ3分の1の患者さんに適用できると考えています。ACS(急性冠症候群)病変については適していると思いますか?証明するエビデンスは揃っていませんが、肯定的な仮説はいくつかあります。ACSでは第1世代のメタルステントでは治癒が十分進まず、ストラットがむき出しのままの状態がよく見られます。第2世代では改善されたものの、まだ十分とは言えません。治癒が遅延するような病変では、完全になくなるデバイスのほうが、より良好な治癒を促進する可能性が考えられます。また、ACSでは責任病変が大きい血管で、プラークはソフトな性状であることが多く、より拡張しやすいこともBRSに有利です。実際に、STEMI(ST上昇心筋梗塞)症例でAbsorb BVSと第2世代DESを比較したTROFI II試験では、第2世代DESよりも有意にhealing scoreが改善しています。Absorb BVSが初のBRSとして登場したわけですが、このほかにはどのようなBRSが開発されていますか?ストラットの厚さを改良したデバイスが開発されています。Absorb BVSは厚さが150μmでしたが、同社の次世代のデバイスもそれ以外のメーカーの新しいBRS もほとんどが100μm程以下になっています。それにより、デリバリー性能が向上し、小血管への留置も可能となるでしょう。拡張能力も向上し、メタルステントのように+1mm、+1.5㎜の拡張も可能となっています。また、従来のBRSの欠点であった視認性の改善のため、ポリマーにヨウ素を入れ、造影で確認できる製品も開発されています。さらに、Radial Strengthを高めて内腔保持機能を向上させるために、マグネシウムのような金属を採用している製品もあります。そのほか、自己拡張機能のある製品など、進化したデバイスが数多く開発されています。BRSについて本邦の臨床医へのメッセージ※この動画はTCT2016開催前に収録したものです。講師紹介

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カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

 東京都医学総合研究所の宮下 光弘氏らのこれまでの研究では、カルボニルストレスが統合失調症と密接に関連していることが示唆されていた。内因性分泌型終末糖化物質受容体(esRAGE)は、AGER遺伝子のスプライス変異であり、RAGEの可溶性形態の1つである。esRAGEは、終末糖化産物(AGE)閉じ込めることにより、カルボニルストレスの負担を軽減するための重要な物質であると考えられている。本研究では、AGERに焦点を当て、遺伝子関連解析を行った。Biochemical and biophysical research communications誌2016年10月21日号の報告。 統合失調症患者群212例と対照群214例の比較を行った。また、患者群104例と対照群89例でのesRAGEレベルを比較し、さらに、患者群25例と対照群49例の全循環可溶性RAGE(sRAGE)の測定を行った。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子関連研究では決定的な結果が得られなかったが、重回帰分析では、特定のハプロタイプは、完全な連鎖不平衡(r2=1)であるrs17846798、rs2071288、63bpの欠損が示された。また、rs2070600(Gly82Ser)は、血清esRAGEレベルの著しい減少と有意に関連していた。・統合失調症患者は、対照群と比較して、esRAGEレベル(p=0.007)とsRAGEレベル(p=0.03)が有意に低かった。・これは、血清esRAGEレベルが、AGERで新規に同定された特定のハプロタイプにより調整され、統合失調症患者が、カルボニルストレスに対して脆弱であることが示された最初の研究である。関連医療ニュース 統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学

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皮下植込み型ICDの長期成績―経静脈植込み型ICDとの比較

 経静脈植込み型除細動器(TV-ICD)は、心臓突然死のリスクがある患者の予後を改善するが、合併症の問題が残っている。一方、皮下植込み型除細動器(S-ICD)は、リードに関連した合併症を克服するために開発された。これら2つのICDをめぐっては、それぞれの患者特性が異なるため、これまでの研究では臨床成績の比較が難しかった。そこで、オランダの2施設の研究グループが、プロペンシティスコアによるマッチングによって、S-ICDとTV-ICDの長期臨床成績を後ろ向きに比較検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2016年11月号に掲載。プロペンシティスコアにより両群それぞれ140例を解析 筆者らは、オランダにおいてICDの植込みを多数実施している2施設で、S-ICDもしくはTV-ICDを植込まれた1,160例について分析した。プロペンシティスコアを用いたマッチングは、病名を含めた16項目のベースライン特性に基づいて行われ、特性が一致した両群それぞれ140例(平均年齢の中央値:41歳、四分位範囲:30~52歳、40%が女性)をペアにして比較を行った。結果の評価は、外科的処置を必要としたデバイス関連合併症、適切もしくは不適切なICDによる治療を対象として行い、5年間のKaplan Meier生存率予測が用いられた。 合併症の発症率は、S-ICDの13.7%に対して、TV-ICDでは18.0%であった(p=0.80)。感染症の発症率は、S-ICDが4.1%だったのに対し、TV-ICDでは3.6%であった(p=0.36)。リードに関連した合併症は、S-ICDがTV-ICDに比べて有意に少なかった(0.8% vs.11.5%、p=0.03)。一方、リードに関連しない合併症は、S-ICDがTV-ICDより多かった(9.9% vs.2.2%、p=0.047)。 抗頻拍に対するペーシング、もしくは除細動の両方を含めた適切なICDの作動については、TV-ICDで頻度が高かった(ハザード比[HR]:2.42、p=0.01)。適切な除細動(TV-ICDのHR:1.46、p=0.36)および不適切な除細動(TV-ICDのHR:0.85、p=0.64)は両群で同等であった。合併症の頻度は両群で同等、ただし合併症の種類が異なる S-ICDはリード関連の合併症を有意に減らす一方で、リードに関連しない合併症が増加した。適切および不適切な除細動は両群で同等であった。しかし、合併症の種類が異なっていた。この研究で解析された患者は比較的若く、ほかの疾患をあまり有しておらず、この結果をICDが植込まれる一般的な患者に当てはめるのは難しいと思われる。さらに、プロペンシティスコアによるマッチングでは、解析に含まれていないベースライン特性の交絡を除外することは難しい。S-ICDとTV-ICDそれぞれの長所/短所を調べるには、より大規模で多様な特性を持つ患者を含む多施設のランダム化試験が必要だとしている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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エボロクマブのプラーク退縮、AHAで発表:アムジェン

 アムジェン社は2016年11月15日、冠動脈疾患(CAD)患者に対して最適用量のスタチン療法にエボロクマブ(商品名:レパーサ)を上乗せした結果、統計学的に有意なアテローム性動脈硬化の退縮が確認されたことを発表した。この第III相プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(GLAGOV試験)の結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会での発表と同時に、Journal of the American Medical Association(JAMA)誌にも掲載された。 GLAGOV試験では、サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤エボロクマブの、最適用量のスタチン療法を受けている患者に対する冠動脈のアテローム性プラーク進展への影響をベースラインおよび78週目の血管内超音波(IVUS)測定により検証した。 この試験は主要評価項目を達成し、エボロクマブの治療が、動脈血管内に占めるプラークの割合であるアテローム体積率(PAV:Percent Atheroma Volume)をベースライン時から統計学的に有意に減少することを明らかにした。 最適用量スタチン+エボロクマブ(エボロクマブ群)ではPAVがベースラインに対し0.95%の減少が認められたが、最適用量スタチン+プラセボ群では0.05%の増加が認められた(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.78)。投与群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。さらに、エボロクマブ群ではプラセボ(プラセボ群)と比較し、より多くの患者でPAVの退縮が認められた(エボロクマブ群:64.3%、プラセボ群:47.3%、p<0.0001)。 プラーク量測定のもう1つの基準である標準化した総アテローム体積(TAV:Total Atheroma Volume)の減少ついては、エボロクマブ群で平均5.8mm3、プラセボ群では0.9mm3で(エボロクマブ群:p<0.0001、プラセボ群:p=0.45)、2群間で統計的に有意な差が認められた(p<0.0001)。 ベースラインでは、いずれの群でも患者の平均LDL-C値は92.5mg/dLであり、両群で98%の患者が高用量から中用量のスタチン療法を受けていた。78週間の治療期間中、エボロクマブ群のLDL-C値の時間加重平均は36.6mg/dLで、プラセボ群の93.0mg/dLと比較し59.8%の低下が認められた。78週目において、エボロクマブ群の平均LDL-C値は29mg/dLで、プラセボ群が90mg/dLを示したのに対し、ベースラインから68.0%低下を認めた。  この試験では、安全性に関する新たな所見は認められなかった。治療中の有害事象の発現率は両群で同等であった(エボロクマブ群:67.9%、プラセボ群:79.8%)。本試験で検討された臨床的に重要な有害事象は筋肉痛(エボロクマブ群:7.0%、プラセボ群:5.8%)、新たに診断された糖尿病(エボロクマブ群:3.6%、プラセボ群:3.7%)、神経認知機能関連の事象(エボロクマブ群:1.4%、プラセボ群:1.2%)、注射部位反応(エボロクマブ群:0.4%、プラセボ群:0.0%)であった。 GLAGOV試験では結合抗体はほとんど認められず(エボロクマブ群:0.2%[1例])、中和抗体は検出されなかった。 また、心血管イベントへの影響を評価する目的では設計されていないものの、明確に主要心血管イベントと判定された事象の発現率はエボロクマブ群で12.2%、プラセボ群で15.3%であった。判定された事象の多くは、冠動脈血行再生術(エボロクマブ群:10.3%、プラセボ群:13.6%)、心筋梗塞(エボロクマブ群:2.1%、プラセボ群:2.9%)、その他の判定された心血管イベントの発現率はいずれの治療群でも0.8%以下であった。GLAGOV試験について GLAGOV(GLobal Assessment of Plaque ReGression with a PCSK9 AntibOdy as Measured by IntraVascular Ultrasound)試験は、臨床的に冠動脈造影が必要とされている最適用量のスタチン治療中の患者968例を対象に、冠動脈疾患における動脈硬化(プラーク)に対するエボロクマブの効果を評価するため設計された。患者は、最低4週間継続して定用量のスタチン療法を受けており、LDL-C80mg/dL以上か、60~80mg/dL の場合は、1件の重要な心血管リスク要因(冠動脈以外のアテローム性血管疾患、直前2年間における心筋梗塞または不安定狭心症による入院、もしくは2型糖尿病と定義)または3件の軽微な心血管リスク要因(現在喫煙している者、高血圧、HDLコレステロール低値、若年性冠動脈疾患の家族歴、2mg/dL以上の高感度C反応性タンパク質、50歳以上の男性、55歳以上の女性)があることが要件であった。被験者は、エボロクマブ420mg月1回またはプラセボに1:1で割り付けられた。最適用量のスタチン療法の定義は、20mg/日以上相当のアトルバスタチンを投与し、ガイドラインに沿ってLDL-Cを低下させられる投与用量とした。主要評価項目は、IVUS測定による、プラセボと比較した78週目におけるPAVのベースラインからの変化率。副次的評価項目は、PAVの減少(ベースラインからのすべての減少)、78週目におけるTAVのベースラインからの変化、およびTAVの減少(ベースラインからのすべての減少)であった。(ケアネット 細田 雅之)原著論文はこちらNicholls SJ, et al.JAMA. 2016 Nov 15. [Epub ahead of print]参考アムジェン社(米国):ニュースリリースGLAGOV試験(ClinicalTrials.gov)

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ピロリ感染に対する1次除菌治療におけるビスマス4剤併用療法、非ビスマス4剤併用療法および3剤併用療法の有用性―非盲検無作為化試験(解説:上村 直実 氏)-610

 ピロリ菌に対する除菌治療において、標準的レジメとして使用されている3剤(プロトンポンプ阻害薬:PPI+アモキシシリン:AMPC+クラリスロマイシン:CAM)併用療法(PAC療法)の除菌率が、著明に低下していることが世界的に問題となっている。 今回の台湾からの報告では、ピロリ感染者に対する1次除菌治療として、標準的なPAC療法14日間、ビスマス併用4剤療法(ビスマス+PPI+メトロニダゾール:MNZ+テトラサイクリン:TC)および非ビスマス4剤療法(PPI+AMPC+CAM+MNZ)の3群で無作為化比較試験を行った結果、ビスマス併用4剤療法の除菌率がPAC療法に比べて有意に高いことが示されている。 除菌治療の有効性ないしは除菌率は、地域のCAMおよびMNZに対する耐性菌率により大きな影響を受ける。わが国の保険診療では、ピロリ感染に対する1次除菌治療としてPAC療法が承認されており、この1次治療における除菌失敗例に対する2次除菌治療として、CAMをMNZに置換したPAM療法が承認・使用されている。本邦でもCAM耐性率が30%を超え、PAC療法の除菌率が60%台に低下しているが、2次治療法であるPAM療法の除菌成功率が意外にも90%以上に保たれている。さらに、新たなPPIを用いたレジメの1次除菌率が90%以上であると報告されており、医療保険でカバーされない3次除菌治療を必要とする症例は非常に少ないのが現状である。したがって、CAM耐性による影響が世界中で危惧されているものの、わが国の臨床現場における新たな1次除菌法や2次除菌法の除菌成功率は90%以上と満足すべきものであり、さらにビスマスやTCを除菌治療に使用することは薬事承認されていない日本の医療現場に、今回の台湾からの研究結果が影響を与えることはないと思われる。

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世界的に今後の認知症研究はどう進んでいくか

 2015年3月、WHO加盟国80ヵ国と4つの国連機関を含む160人の代表が集まり、認知症に対する世界的アクションに関する第1回WHO大臣級会合が開かれた。そのなかで、さらなる研究に向けて総力結集を後押しし、認知症の世界的な負担を軽減するためのアクションの呼びかけ(Call for Action)が発表された。米国・コロンビア大学のHiral Shah氏らは、この取り組みを促進するために、Child Health and Nutrition Research Initiative法の改良バージョンを用いて、世界の代表的研究の優先順位付けを行った。The Lancet Neurology誌2016年11月号の報告。 201人の参加者から863件の研究質問を収集し、59テーマの研究手段に統合した。39ヵ国、162人の研究者、利害関係者により、5つの基準に従って匿名により採点した。 主な結果は以下のとおり。・トップ10の研究優先順位のうち6件は予防に重点が置かれていた。その他、鑑別、認知症リスク低下、デリバリー、認知症者と介護者のためのケア品質であった。・診断に関する他の優先順位は、バイオマーカー、治療法の開発、疾患メカニズムの基礎研究、一般市民の意識、認知症への理解であった。・このシステマティックな国際法により識別された研究の優先順位は、世界的な認知症研究状況との重要なギャップを特定するためにマッピングする必要がある。そのうえで、通知し、政策立案者や資金提供者に動機を与え、研究者をサポートし、認知症の世界的な負担を軽減するための研究を行う必要がある。・Global Dementia Observatoryなどの国際プラットホームを介した継続的な研究への投資と進捗状況の監理するために、WHO、WHO加盟国、一般市民社会といったすべてのステークホルダーの努力が必要である。関連医療ニュース 認知症のための学部医療教育強化 認知症の世界的トレンドはどうなっているか 認知症に進行しやすい体型は

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セリチニブALK陽性肺がんのPFS延長:ESMO 2016

 クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)治療歴のあるALK変異陽性非小細胞肺がん(非小細胞肺がん以下、NSCLC)患者において、ALK阻害薬セリチニブ(商品名:ジカディア)が化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)を延長した。ASCEND-5試験の結果として欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)で発表された。 ASCEND-5試験は非盲検無作為化試験。クリゾチニブ治療歴のある患者231例が、セリチニブ群または化学療法群(ペメトレキセドあるいはドセタキセル)に1:1に割り付けられた。病勢進行(PD)により化学療法が中止となった患者は、セリチニブへのクロスオーバーが許可された。 結果、PFS中央値はセリチニブ群で化学療法群に比べ有意に改善された(5.4ヵ月 vs.1.6ヵ月、p<0.001)。客観的奏効率(ORR)も、セリチニブ群で化学療法群に比べ高かった(39.1% vs.6.9%)。また、PDとなり化学療法が中止となった患者のうち、75例がセリチニブにクロスオーバーした。 セリチニブ投与患者の有害事象は第I、II相試験と同様であった。頻度が高かったGrade3/4の有害事象は悪心(7.8%)、嘔吐 (7.8%)、下痢(4.3%)であった。化学療法では好中球減少(15.0%)、疲労感(4.4%)、悪心(1.8%)であった。また、セリチニブ群では肺がん特異的症状および全般的健康状態などの患者報告アウトカムを有意に改善した(p<0.05)。※患者背景:年齢中央値 54歳、治療期間(セリチニブ群 30.3週、化学療法群 6.3週)、追跡期間中央値 16.5ヵ月(ケアネット 細田 雅之)参考ESMO:プレスリリースASCEND-5試験(ClinicalTrials.gov)

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第33回

第33回:アルコール使用障害のある患者への薬物療法監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 タバコの害は国民全員が知るようになりつつありますが、アルコールの害は日本文化の中で過小評価されている印象があります。ニコチン依存症が1,800万人1) 、アルコール使用障害が593万人2) 、ギャンブル依存症が536万人3) と推定されています。 嗜好に対する行き過ぎた行為にどのように関わるか、人々の日常生活にも密接に関わっている医師にとっても大きな課題だと考えます。最近の枠組みの変化として、DSM5ではアルコール乱用とアルコール依存の区別をなくしてアルコール使用障害として統合を行い、軽度、中等度、重度という表現に変更しています4) (日本でのアルコール医療はICD-10を主に用いており、飲酒量や心身の有害性に応じて危険な飲酒、有害な飲酒、アルコール依存症の診断に分かれています)。 問診でアルコール量が多いなと感じた患者には、積極的にAUDIT(The Alcohol Use Disorders Identification Test)やCAGE(Cut down,Annoyed,Guilty feeling,Eye-opener)を用いていきたいですね。 以下、American Family Physician 3月 15 日号より5) よりUSPSTF(The U.S. Preventive Services Task Force)は、すべての成人に対してアルコール使用障害のスクリーニングと、リスクの高い人や危険な飲み方をする人に対して、アルコール摂取を減らすための簡単なカウンセリングをすることを勧めている。しかし現状は、ハイリスクなアルコール使用障害の一部の大人しか治療を受けていない。FDAに認可を受けた3つの薬は、アルコール使用障害を改善することが証明された:アカンプロサート(商品名:レグテクト:通常用量 333mg6錠分3)、ナルトレキソン(国内未承認)、ジスルフィラム(同:ノックビン:通常用量0.1~0.5g分1~3、アルコールを含む食品を含め併用禁忌)である。アカンプロサートとナルトレキソンはアルコールの消費量を減らして、断酒率を上げるが、効果は中等度である。またジスルフィラムは数十年来販売されているが、効果を裏付けるエビデンスは十分でない。ほかにアルコール使用障害を改善するのに有効かもしれない薬もある。トピラマート(同:トピラ)やガバペンチン(同:ガバペン)などの抗てんかん薬もアルコール摂取を減らすが、長期の研究がない。気分障害がある場合は抗うつ薬もよく、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)やフルオキセチン(日本未承認)はうつ病患者のアルコール消費量を減らすかもしれない。オンダンセトロン(同:ゾフラン)は一部の人にとっては、アルコールの消費を減らすかもしれない。さらに、遺伝子を標的とした治療や、必要に応じてすぐ受けられる治療法に対する研究も進められている。※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 厚生労働省研究費補助金・第3次対がん総合戦略事業 2) Osaki Y, et al. Alcohol Alcohol. 2016; 51: 465-473. 3) 厚生労働省の研究班(研究代表者=樋口進・久里浜医療センター院長) 4) DMS-5 Substance Related and Addictive Disorders(物質関連および嗜癖の障害) 5) Winslow BT, et al. Am Fam Physician. 2016;93:457-465.

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