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5901.

Immunoscore、大腸がん再発リスクを高精度に予測/Lancet

 腫瘍浸潤T細胞の評価により得られる「Immunoscore」は、大腸がん再発リスクの推定において信頼性が高いことが示唆された。フランス・パリ第5大学のFranck Pages氏らが、Stage I~IIIの大腸がん患者を対象とした同スコアの予後予測精度の検証結果を報告した。大腸がんの再発リスクの評価は改善が望まれており、免疫パラメータの導入には、強固な免疫スコアの定量化が必要とされていた。著者は、「今回の結果は、ImmunoscoreをTNM分類の新たな構成要素とすることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年5月10日号掲載の報告。腫瘍浸潤T細胞の密度に基づきスコアを開発 米のがん免疫学会(Society for Immunotherapy of Cancer:SITC)が主導する13ヵ国14施設から成る国際コンソーシアムは、TNM分類Stage I~IIIの大腸がん患者においてImmunoscoreを評価した。まず、患者を学習セット、内部検証セット、外部検証セットに無作為に割り付け、各患者から採取した腫瘍部および浸潤断端部のパラフィン切片の免疫組織化学染色を行い、それぞれのCD3+T細胞および細胞傷害性CD8+T細胞の密度を、デジタルパソロジーを用いて定量化し、4つの密度をそれぞれパーセンタイルに変換して、その平均値からImmunoscoreに分類した(0~25%:低スコア、25~70%:中スコア、70~100%:高スコア)。 主要評価項目は、再発までの期間(手術から疾病再発までの期間と定義)のImmunoscoreの予後値であった。層別化Coxモデルを用い、潜在的な交絡因子で補正したImmunoscoreと転帰との関連性を解析するとともに、その性能をHarrellのC統計量を用いて評価した。5年再発リスク、高スコア分類群が最も低い 計3,539例の組織標本が免疫染色され、品質管理後に2,681例が解析に組み込まれた(学習セット700例、内部検証セット636例、外部検証セット1,345例)。 学習セットにおいて、Immunoscoreの高スコア群で5年再発リスクが最も低かった。高スコア群14例(8%)、中スコア群65例(19%)、低スコア群51例(32%)で、高スコア群vs.低スコア群のハザード比(HR)は0.20(95%信頼区間[CI]:0.10~0.38、p<0.0001)で有意差が認められた。 この結果は、内部・外部の2つの検証セットでも確認された。層別化Coxモデルによる多変量解析の結果、Immunoscoreと再発までの期間との関連性は、患者の年齢・性別・Tステージ・Nステージ・マイクロサテライト不安定性・既知の予後因子から独立していた(p<0.0001)。Stage IIの大腸がん患者1,434例では、5年再発リスクに有意差が認められた(高スコアvs.低スコアのHR:0.33、95%CI:0.21~0.52、p<0.0001)。 Immunoscoreは、米国がん合同委員会(AJCC)および国際対がん連合(UICC)のTNM分類を含むすべての臨床パラメータに関して、リスクへの相対的寄与が最も高かった。

5902.

電気痙攣療法によるうつ病患者の脳体積への影響に関するメタ解析

 デンマーク・Mental Health Centre GlostrupのK. Gbyl氏らは、脳構造に対する電気痙攣療法(ECT)の影響に関する文献レビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年4月29日号の報告。 MRIを用いたECTで治療されたうつ病患者の縦断研究のシステマティック文献レビューおよび海馬体積の対するECTの影響に関するメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・32研究より、患者群467例、対照群285例が抽出された。・MRI研究では、ECTと脳のダメージとの関連を示すエビデンスは見つからなかった。・新しいMRIによる体積測定試験の1つを除き、特定の脳領域(多くの場合、海馬)におけるECT誘発性体積増加は、認められなかった。・海馬体積に対するECTの影響に関するメタ解析では、プールされた効果量は、右海馬でg=0.39(95%CI:0.18~0.61)、左海馬でg=0.31(95%CI:0.09~0.53)であった。・DTI研究では、前頭葉および側頭葉における白質経路の完全性におけるECT誘発性増加が示唆された。・体積増加と治療効果との間の相関結果は、一貫していなかった。 著者らは「MRI研究では、ECTが脳のダメージを引き起こすとの仮説を支持せず、むしろ治療により、前辺縁領域の体積増加を誘発する。今後、これらの体積増加、治療効果、認知的副作用との関連を研究すべきである」としている。■関連記事うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能かうつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法

5903.

内視鏡による進行腺腫あり vs.なし、大腸がんリスクに有意差/JAMA

 軟性S状結腸鏡検査(FSG)が陽性で大腸内視鏡検査を受けた結果、進行腺腫が認められた人は、腺腫が認められなかった人に比べて、その後の大腸がんリスクが有意に高かった。一方で非進行腺腫の有無と同リスク増大には関連は認められない可能性が示されたという。米国・ピッツバーグ大学のBenjamin Click氏らが、FSGの結果が陽性だった1万5,935例を対象にした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年5月15日号で発表した。腺腫ポリープがある人は大腸がんを予防するために、定期的な大腸内視鏡検査を受けるよう勧められる。しかし、検査受診時の腺腫有無と、長期の大腸がん発症との関連は明らかになっていなかった。大腸内視鏡検査で腺腫ありvs.なしの15年以内の大腸がんリスクを評価 研究グループは、前立腺・肺・大腸・卵巣がんに関する多施設共同前向きコホート無作為化試験「PLCO(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian)Cancer試験」を行った。全米各地で1993年にFSGスクリーニングを開始し、2013年まで大腸がん発症の追跡を行った。試験には、男女55~74歳の15万4,900例が登録され、無作為に2群に分けられ、一方はFSGによる追跡を、もう一方には通常ケアを行った。 初回FSGスクリーニングで陽性だった1万5,935例には、大腸内視鏡検査が行われ、腺腫の有無と状態の別で分類された。 主要評価項目は、ベースラインの大腸内視鏡検査から15年以内の大腸がん発症率。副次的評価項目は、大腸がん死亡率だった。進行腺腫あり、なしに比べて大腸がん死亡リスク2.6倍 大腸内視鏡検査を行った被験者1万5,935例の平均年齢は64歳、男性の割合は59.7%だった。初回大腸内視鏡検査の結果、進行腺腫が認められたのは2,882例(18.1%)、非進行腺腫は5,068人(31.8%)、腺腫がまったく認められなかったのは7,985例(50.1%)だった。大腸がん罹患率の追跡期間中央値は、12.9年だった。 大腸がんの罹患率は、腺腫が認められなかった群で7.5例/1万人年、非進行腺腫群は9.1例/1万人年だったのに対し、進行腺腫群では20.0例/1万人年と、進行腺腫群は無腺腫群に比べ有意に増大した(リスク比[RR]:2.7、95%信頼区間[CI]:1.9~3.7、p<0.001)。非進行腺腫群と無腺腫群では、有意差はなかった。 また、大腸がん死亡リスクについても、進行腺腫群の有意な増大が認められたが(RR:2.6、95%CI:1.2~5.7、p=0.01)、非進行腺腫群の同リスクに有意差はみられなかった(RR:1.2、95%CI:0.5~2.7、p=0.68)。

5904.

腎デナベーションは、降圧薬に代わりうるか/Lancet

 降圧薬服用を中止した軽度~中等度の収縮期/拡張期高血圧が認められる患者に対し、腎デナベーションを行うことで、2ヵ月後の収縮期血圧がシャム群に比べて有意に低下したことが示された。フランス・パリ第5大学のMichel Azizi氏らが行った「RADIANCE-HTN SOLO試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年5月23日号で発表された。初期の試験では、高周波腎デナベーションが、中等度の高血圧患者の血圧を低下することが示されている。研究グループは、腎デナベーションが、降圧薬服用を中止した外来高血圧患者の血圧を下げる代替治療技術となるのかを検討した。米国・欧州の39ヵ所でシャム対照試験 RADIANCE-HTN SOLO試験では、2016年3月28日~2017年12月28日にかけて、収縮期/拡張期高血圧の患者を対象に、米国21ヵ所、欧州18ヵ所の医療機関を通じて、無作為化シャム(擬似手術)対照単盲検比較試験が行われた。 被験者は、2種以下の降圧薬を中止してから4週間時点の収縮期/拡張期血圧値が135/85~170/105mmHgで、正常な腎動脈構造が認められた18~75歳の患者だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはParadiseカテーテル(ReCor Medical)を使用した腎デナベーションを、もう一方には腎血管造影のみ(シャム)を施行した。 有効性の主要エンドポイントは、ITT解析による2ヵ月時点における日中自由行動下収縮期血圧(SBP)の変化だった。被験者は、事前規定した血圧基準を超えない限りは、追跡2ヵ月間は降圧薬の服用をしなかった。 主要有害イベントは、全死因死亡、腎不全、末端器官障害を伴う塞栓症、30日以内の高血圧クリーゼによる入院などだった。施術2ヵ月後の日中自由行動下SBPは8.5mmHg低下 803例がスクリーニングを受け、試験適格だった146例(腎デナベーション群74例、シャム群72例)が対象となり試験を受けた。 日中自由行動下SBPの変化値は、シャム群-2.2mmHgに対し、腎デナベーション群は-8.5mmHgと有意に低下幅が大きかった(ベースライン補正後の群間差:-6.3 mmHg、95%信頼区間:-9.4~-3.1、p=0.0001)。 主要有害イベントは、両群ともに報告がなかった。

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降圧薬が皮膚がんのリスク増加に関連

 米国・マサチューセッツ総合病院のK.A. Su氏らによる調査の結果、光感作性のある降圧薬(AD)による治療を受けた患者では、皮膚の扁平上皮がん(cSCC)のリスクが軽度に増加することが明らかになった。多くのADは光感作性があり、皮膚の日光に対する反応性を高くする。先行の研究では、光感作性ADは口唇がんとの関連性が示唆されているが、cSCCの発症リスクに影響するかどうかは不明であった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2018年5月3日号掲載の報告。 研究グループは、北カリフォルニア州の包括的で統合的なhealthcare delivery systemに登録され、高血圧症に罹患した非ヒスパニック系白人のコホート研究において、ADの使用とcSCCリスクとの関連を調べた。ADの使用については電子データを用いて分析。ADは、公表論文に基づいて、光感作性(α2刺激薬、利尿薬[ループ系、カリウム保持性、サイアザイド系および配合剤])、非光感作性(α遮断薬、β遮断薬、中枢性交感神経抑制薬およびARB)または光感作性不明(ACE阻害薬、Ca拮抗薬、血管拡張薬およびその他の配合剤)に分類された。 Coxモデルを用いて補正ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。共変量は、年齢、性別、喫煙、合併症、cSCCおよび日光角化症の既往歴、調査年、医療制度の利用、医療保険会員の期間、光感作性ADの使用歴とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に、cSCCを3,010例が発症した。・AD不使用群と比較し、cSCCのリスクは、光感作性AD使用歴ありの群(aHR:1.17、95%CI:1.07~1.28)、光感作性不明AD使用歴ありの群(aHR:1.11、95%CI:1.02~1.20)で増加したが、非光感作性AD使用歴ありの群では関連は認められなかった(aHR:0.99、95%CI:0.91~1.07)。・光感作性ADの処方数の増加に伴い、cSCCのリスクが軽度に増加した。1~7剤(aHR:1.12[95%CI:1.02~1.24])、8~15剤(同:1.19[1.06~1.34])、16剤以上(同:1.41[1.20~1.67])。

5906.

軽~中等度認知症への運動介入、進行遅延効果はなし?/BMJ

 軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示された。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかったという。認知症者の認知低下の遅延に果たす運動の役割について、これまで臨床に反映できる十分な規模と方法論に基づく無作為化試験は行われていなかった。BMJ誌2018年5月16日号掲載の報告。通常ケアと比較、12ヵ月時点の認知障害の進行について評価 研究グループは、研究者盲険下で多施設共同のプラグマティック無作為化対照試験で、中等度認知症者の認知障害およびその他のアウトカムに与える、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの影響を調べた。被験者は、イングランドの15地域から集めた、NHSプライマリケアの患者、大学のコミュニティ&メモリサービス利用者、認知症研究登録者、ボランティアであった。 494例が集まり、2対1の割合で329例が運動介入群に、165例が通常ケア群に無作為に割り付けられた。運動介入群は、通常ケアに加えて監督下で行う運動を4ヵ月間、その後は継続的に運動に関するサポートを受けた。運動の介入は、地域のジム施設およびNHSの施設で行われた。 主要アウトカムは、アルツハイマー病評価スケール下位項目(ADAS-cog)の12ヵ月時点のスコアであった。副次アウトカムは、ADL、神経学的症状、健康関連QOL、要介護度などであった。運動介入群では介入期間中に体力測定(6分間歩行テストなど)が行われた。差は小さいが、運動介入群のほうが認知障害が進行、体力は改善 被験者494例は、平均年齢77歳(SD 7.9)、男性301/494例(61%)であった。 12ヵ月時点のADAS-cogスコアは、運動介入群25.2(SD 12.3)、通常ケア群23.8(SD 10.4)であった(補正後群間差:-1.4、95%信頼区間[CI]:-2.6~-0.2、p=0.03)。平均差は小さく、臨床的意義は不明であったが、運動介入群のほうが、認知障害が進んでいることが示唆された。 副次アウトカムや、認知症のタイプ(アルツハイマー病、その他)、認知障害の程度、性別、疾患別による事前に計画されたサブグループ解析について、有意差は認められなかった。 運動介入群のコンプライアンスは良好で、スケジュールセッションの4分の3以上に参加した被験者は65%(214/329例)を占めた。運動介入群の6分間歩行テストの結果は、6週間にわたって改善が認められた(平均変化:18.1m、95%CI:11.6~24.6)。

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男女の排尿時間はどちらが長いか?~日本抗加齢医学会総会

 「あなたは自分が何秒間おしっこしているか知っていますか?」 男女別の排尿時間という、これまで泌尿器科、婦人科の世界できちんと検証されてこなかったシンプルな疑問を明らかにしたのは、旭川医科大学病院臨床研究支援センターの松本 成史氏。5月25日~27日に大阪で開催された日本抗加齢医学会のシンポジウム中でその研究成果を発表した。男女とも排尿時間は加齢とともに有意に延長 ヒトの排尿に関する数値としては、1回20~30秒、1回200~400mL、1日1,000~1,500mL、1日5~7回などが標準とされている。しかし、「ヒトの本当の1回の排尿時間を実際に測定して分析した研究報告はこれまでなかった」(松本氏)。一方で、すべての哺乳類の平均排尿時間は、体の大きさに関係なく、21±13秒と結論付けられており、この研究論文は2015年のイグ・ノーベル賞を受賞している(Yang PJ, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014;111:11932-11937.)。 松本氏は、これら排尿に関する数値を日本人で実証すべく、本研究を行った。 排尿時間の調査対象は、NHKの番組企画に協力してくれた20歳以上の3,719人(男性2,373人、女性1,336人)。「通常の尿意」の際の排尿時間(尿が実際に出始め、出終わるまでの時間)を自己計測し、高血圧、糖尿病、腎機能障害の有無、過活動膀胱症状スコア、国際前立腺症状スコアとQOLスコア(男性のみ)などとともに自己申告で記載してもらった。 その結果、平均排尿時間は、男性(平均63.36±11.72歳)で29.00±20.62秒、女性(平均52.63±13.05歳)で18.05±12.48秒と、男性のほうが10秒以上上回った。排尿時間は、尿道が長い男性のほうが女性より長いと一般的に考えられており、それを裏付ける結果となった。 年齢との関係を見ると、男女とも排尿時間は加齢とともに有意に延長。自己申告に基づく高血圧、腎機能障害等の有病者と健常者の比較では、有病者グループのほうが男女とも有意に長かった。 排尿時間の哺乳類標準である「21秒」との乖離について松本氏は、「(排尿時間を延長させる)前立腺肥大の影響がないと考えられる20~50歳に限ると、男性の平均は21.98±17.87秒である」とし、先行研究と矛盾しない結果だと説明する。それも踏まえ、「排尿時間は自己測定が容易であり、アンチエイジング、疾病早期発見の1つの指標になりえる。とくに男性については、[21秒]はわかりやすい数値だ」と話している。

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durvalumab、切除不能StageIII NSCLCのOSを有意に改善(PACIFIC)

 AstraZenecaとMedImmuneは2018年5月25日、durvalumabの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験PACIFICにおいて、化学放射線同時併用療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者の全生存期間(OS)の評価項目を達成したと発表。 独立データモニタリング委員会が実施した中間解析では、プラセボと比べ、durvalumab群で、臨床的に意味のある改善が認められ、統計的に有意なOSベネフィットを示した。これにより、durvalumabは、この試験において、無増悪生存期間(PFS)に続き、2つの主要評価項目を達成したことになる。durvalumabの安全性および耐容性プロファイルは、無増悪生存期間(PFS)分析の時点で報告されたものと一致していた。AstraZenecaは、このPACIFIC試験の結果を今後の医学会議で発表する予定。  PACIFIC試験は、化学放射線療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者に対するdurvalumabの無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験。26ヵ国235施設から713例の患者が参加している。主要評価項目はPFSとOS、副次評価項目はランドマークPFSとOS、奏効率、奏効期間など。■参考AstraZeneca社プレスリリース■関連記事durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

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ミルクチョコ vs.ダークチョコ、視力に良いのは?

 ダークチョコレートは、短期間の血流改善や、気分および認知機能を改善するが、視機能に対する影響はほとんど知られていない。米国・University of the Incarnate Word Rosenberg School of OptometryのJeff C. Rabin氏らは、無作為化クロスオーバー単盲検試験の結果、ダークチョコレートはミルクチョコレートと比較し、摂取2時間後のコントラスト感度と視力を有意に改善したことを報告した。著者は「これらの効果の持続期間や日常臨床での影響については、さらなる検討が待たれる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年4月26日号掲載の報告。 研究グループは、視力ならびに大きい文字と小さい文字のコントラスト感度に対する短期効果をダークチョコレートとミルクチョコレートの摂取で比較する目的で、2017年6月25日~8月15日に、Rosenberg School of Optometryにて無作為化クロスオーバー単盲検試験を行った。 病理学的な眼疾患のない30例(男性9例、女性21例、年齢[平均±SD]26±5歳)に、ダークチョコレートとミルクチョコレートを別個に食べてもらい、1.75時間後に視力および大きい文字と小さい文字のコントラスト感度をそれぞれ測定し、比較した。 主な結果は以下のとおり。・小さい文字のコントラスト感度(平均±SE, logCS)は、ダークチョコレート摂取後1.45±0.04、ミルクチョコレート摂取後1.30±0.05で、ダークチョコレート摂取後のほうが有意に高かった(平均差:0.15、95%信頼区間[CI]:0.08~0.22、p<0.001)。・大きい文字のコントラスト感度(同上)は、ダークチョコレート摂取後2.05±0.02、ミルクチョコレート摂取後2.00±0.02で、ダークチョコレート摂取後のほうがわずかに高かった(平均差:0.05、95%CI:0.00~0.10、p=0.07)。・視力(平均±SE, logMAR)も、ダークチョコレート摂取後-0.22±0.01(約20/12)、ミルクチョコレート摂取後-0.18±0.01(約20/15)で、ダークチョコレート摂取後わずかに改善した(平均差:0.04、95%CI:0.02~0.06、p=0.05)。・すべての検査結果を合わせた複合スコア(logU)は、ダークチョコレート摂取後のほうが、ミルクチョコレート摂取後より有意な改善を示した(平均差:0.20、95%CI:0.10~0.30、p<0.001)。

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会員医師の投資希望は「安全で、低利」

 ケアネットでは、「医師のためのお金の話」の評価と会員医師の「資産形成」についてのアンケートを実施した。今回、その結果がまとまったので、概要をお伝えする。 調査は、2018年5月11日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は324名。その内訳は、20~30代:18%、40代:30%、50代:35%、60代:15%、70代以上:2%、所属別では勤務医師:77%、開業医師:23%だった。聞きたい情報は「国内株式投資」 設問1で「『医師のためのお金の話』で今後取り上げてほしい資産形成の内容」(複数回答)について質問したところ、「国内株式投資」「円建て預貯金」「生命保険」の順で多く、低リスクの金融商品への関心が高く、「FX(外国為替保証金取引)」「不動産」「ビットコイン(仮想通貨)」など比較的リスクの高い商品、資金を大量に必要とする商品への関心は低かった。多くの会員医師は金融商品の情報に興味がない 設問2で「資産形成のため実行している情報収集法」(複数回答)について質問したところ、「とくに情報は集めていない」が一番多く、金融資産への関心の低さをうかがわせた。次いで「専門WEBサイトやブログの閲覧」「新聞、雑誌などの紙媒体」の順となり、情報収集法では新聞、雑誌、専門書などの紙媒体よりもWEBからのほうが多く、簡単に集めて閲覧・視聴できる媒体に人気が集まった。 最後に設問3で「資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマ」について自由記入方式で質問したところ、「株式」「不動産」「税金」の順でコメントが多く、「株式」では株式投資の基礎や投資信託、株主優待などに関するコメントのほか、「不動産」ではタワーマンションへの投資、国内の不動産動向などへのコメントが寄せられた。 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントは、CareNet.comに掲載中。

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複合型ADHD児における運動能力がADHD症状と睡眠問題に及ぼす影響

 複合型注意欠如多動症(ADHD-Combined Type:ADHD-CT)の小児は、睡眠や運動に関する問題を有する割合が高いといわれている。オーストラリア・ディーキン大学のNicole Papadopoulos氏らは、小児においてADHD-CTの有無にかかわらず、運動能力がADHD症状と睡眠問題との関係を緩和するか、この緩和によりADHD診断に違いがあるかについて検討を行った。Behavioral sleep medicine誌オンライン版2018年3月12日号の報告。 対象は、8~15歳の初等教育男児70例。その内訳は、ADHD-CT群38例(平均年齢:10歳2ヵ月[SD:1歳6ヵ月])、対照(典型的な発達)群32例(平均年齢:9歳6ヵ月[1歳5ヵ月])。運動能力の評価はMovement Assessment Battery for Children第2版(MABC-2)、ADHD症状の評価はConners' Parent Rating Scale(CPRS)、親より報告された睡眠問題の評価はChildren's Sleep Habits Questionnaire(CSHQ)を用いて、それぞれ測定した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状スコアが高く、運動能力スコアが低い小児において、睡眠問題がより多く報告された。・緩和効果は、ADHD-CT群で認められたが、対照群では認められなかった。 著者らは「本知見は、運動能力の低下したADHD症状がより重症な小児では、睡眠問題リスクが高くなる可能性があることを示唆している。睡眠介入を含むADHD-CT児の睡眠問題のリスクファクターを検討する際には、運動能力を考慮することの重要性も示唆している」としている。■関連記事ADHD発症しやすい家庭の傾向日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学ADHDの小児および青年における意図しない怪我のリスクとADHD薬の影響

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TIA/脳梗塞患者、長期の心血管リスクは?/NEJM

 一過性脳虚血発作(TIA)および軽度虚血性脳卒中を発症後の心血管イベントの長期的なリスクは知られていない。フランス・パリ第7大学のPierre Amarenco氏らは、21ヵ国のレジストリデータを解析し、TIA/軽度虚血性脳卒中の発症から1年後の心血管イベントのリスクが、5年後も持続していることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月16日号に掲載された。脳卒中後の新たなイベントのリスクは、発症後10日間は増大し、その後は発症後1年まで比較的安定するとされるが、1年以降の脳卒中のリスクを評価した研究は少なく、再発リスクを検討した試験の多くは単施設で行われたものだという。5年フォローアップした3,847例のデータを解析 本研究(TIAregistry.orgプロジェクト)では、2009~11年にTIAおよび軽度虚血性脳卒中患者4,789例を登録した21ヵ国のレジストリデータを解析し、2016年に1年時のアウトカムの結果を報告しており、今回は5年時の長期的なアウトカムの報告が行われた(AstraZeneca社など3社の助成による)。 レジストリへの登録前7日以内にTIA/軽度虚血性脳卒中を発症した患者を対象とした。1年時のアウトカム研究に参加した61施設のうち、5年時に登録患者の50%以上のフォローアップデータを有していた42施設を選出した。 主要アウトカムは、非致死的脳卒中、非致死的急性冠症候群、心血管死のうち最初に発生したイベントの複合であった。 5年フォローアップには3,847例(80.3%)が含まれた。各施設の5年フォローアップ患者の割合の中央値は92.3%(IQR:83.4~97.8)だった。心血管イベント発生率、1年時が6.4%、2〜5年時も6.4% 対象の平均年齢は66.4±13.2歳で、59.8%が男性であった。1年コホートのうち5年解析に含まれなかった患者は、5年解析に含まれた患者に比べ、高血圧、脂質異常症、喫煙者が少なく、修正Rankinスケール、NIH脳卒中スケール、ABCD2のスコアが低かった。 5年時の主要アウトカムのイベント発生は469例(心血管死:96例、非致死的脳卒中:297例、非致死的急性冠症候群:76例)に認められ、推定累積イベント発生率は12.9%(95%信頼区間[CI]:11.8~14.1)であった。このうち、235例(50.1%)は2~5年の期間に発症した。絶対イベント発生率は、1年時が6.4%であり、2~5年の期間でも6.4%だった。 5年時までに、脳卒中は345例が発症し、推定累積イベント発生率は9.5%(95%CI:8.5~10.5)であった。このうち、149例(43.2%)が2~5年の期間に発症した。心筋梗塞は、5年時までに39例が発症した。 全死因死亡は373例(推定5年累積イベント発生率:10.6%)、心血管死は96例(2.7%)、脳卒中またはTIAの再発は621例(16.8%)、急性冠症候群は84例(2.4%)に認められ、大出血は53例(1.5%)、頭蓋内出血は39例(1.1%)にみられた。 多変量解析では、同側大動脈のアテローム性動脈硬化(p=0.001)、心原性脳塞栓症(p=0.007)、ベースラインのABCD2スコア(0~7点、点数が高いほど脳卒中のリスクが高い)≧4点(4〜5点:p=0.01、6〜7点:p=0.04)が、2~5年の期間の脳卒中再発リスクの独立した予測因子であったが、神経画像上の脳病変はリスクの上昇とは関連しなかった。 著者は、「TIAおよび軽度虚血性脳卒中の患者では、心血管イベントのリスクが5年にわたり持続しており、イベントの半数は2〜5年の期間に発生していた」とまとめ、「継続的な2次予防策が、脳卒中の再発を抑制する可能性がある」と指摘している。

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ドクターXを探せ?(解説:今中和人氏)-858

 この論文はさまざまな科の20術式について、非待期的(入院後3日以内)に手術が行われた症例の手術死亡率(在院死亡+30日以内の死亡)と術者の年齢・性別との関連を検討している。対象は4年間の全米のMedicare受給者の89万例で、49%が整形外科手術、38%が一般外科手術、12%が心臓血管外科手術、1%がその他の手術だった。 世の中には、脳外科・形成外科などの顕微鏡下手術、泌尿器科の経尿道手術、大動脈ステントグラフトなど、もっぱら術者1人で行う術式もあるが、多くの手術はチームで行われ、術者だけでなく誰が助手かが非常に重要である。思い返せば私も駆け出しの頃、術者を務めれば自分が手術したつもりでいたが、実際には助手に回って下さったメンター頼みだったし、勘所だけは彼らが処置してくれたこともあった。独り立ち早々の時期、心得不足の助手と厳しい症例を手術したことはまれであった。丁寧に縫合しても、助手が糸をたるませればひどい出血に見舞われるのだ。手術は個人力以上にチーム力である。このことはどんなに強調しても、し足りない。だから管理職は組み合わせを考えて担当を指名するし、当番表にも一定の配慮を求める。チーム力を最大にするため、私は夜中に出ていって緊急手術の助手に回ることはザラにあり、結果に対しては自分が責任を負う。さらに各人のモチベーションやとくに欧米では報酬も大きな要因だ。高リスク手術の術者指名は、そんな甘い話や単純な話でないと知れば、本論文の20の術式にもっぱら1人で行う手術は1つもないのに、術者のみのプロファイルで成績を論じるのは見識不足であることは自明であろう(類似論文も同じ)。 さらに再認識すべきなのは、アウトカム=術前状態+手術+術後管理 の公式。術前状態は手術に負けず劣らず重要で、事実、本論文の腹部大動脈瘤手術は、たぶんほとんどが破裂なので死亡率12%、大腸直腸切除も多くは穿孔なので11%と、術者の年齢なんてどこ吹く風の高さだ。そして状態が悪い症例ほど待てないので、夜間や休日は厳しい症例が多くなるが、40歳以下の外科医も60歳以上の外科医も平等にオンコールを割り振られるわけがなく、重症例はオンコールが多い若めの外科医に偏るのだ。また、たとえば冠動脈3枝バイパスは、ICDコードが同じでも非待期手術でも、electrical stormやショック状態の症例と、「明日やりましょうか」という不安定狭心症の症例ではおよそ別もの。そして非待期例ほどバリエーションだらけで、リスク補正と言うは易いが行うは難く、「同じICDコードだから」と死亡率を直接比較するのはかなり無理がある。 なお、一部の例外を除き、外科医も夜間や休日に働きたいわけではなく、嬉々としているように見えるのは前向きに取り組むべく士気を高めているだけなので、是非、麻酔科や内科系の先生の温かいご理解をお願いしたい。 4万5,000人もの執刀医について詳細に検討されたこの論文で興味深かった知見は、平均年齢が50.5歳と意外に高いこと。女性外科医は全体の10%を占めるが、残念ながら心臓血管外科手術の執刀は2%、整形外科は3%とひどく不人気な一方、一般外科は10%超、婦人科(子宮切除)は30%と、専門科選択の格差が国際的であること。さらに、40歳未満の外科医の手術件数のうち女性の執刀は20%だが、60歳以上では3%にまで低下し、年齢が高いと女医の人数が少ないのは時代背景の反映だろうだが、1人あたりの執刀数も6割に減る。一方、男性外科医の手術件数はあまり減っていない。つまり、いくつになっても非待期的な手術も手掛けているのは圧倒的に男性で、後期高齢者もチラホラ。良く言えば、男性外科医は現役への情熱を持ち続けている、リスクと職責を担い続けている、とも言えるが、悪く言えば老害。うがった見方をすれば、高額な養育費や若い夫人との生活費やローンが見え隠れするし、「引退しても家庭に居場所がない」なんて話も、日本では大声でささやかれている。 本論文は多数の手術症例と外科医についてさまざまに解析した労作ではあるが、しばしば執刀医しか見えていない一般人に向けて、現場から乖離した認識で、「若い外科医は成績がイマイチだ」という、芳しからぬ波紋を発信してしまった。失礼ながら予想どおり、主要著者らの所属は内科と公衆衛生で、筆頭著者は(ドクターXのファンかどうかはともかく)日本人のようだ。少数の共著者の外科医は何をどの程度commitしたのか不明だが、「事件は会議室じゃない、現場で起こってるんだ!」という古の名ゼリフを思い出す。繰り返すが、手術はチーム力。机上を離れてしばらく現場に在籍なさるとよろしいように思われる。

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「医師のためのお金の話」の評価と先生の「資産形成」についてのアンケート結果

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に、連載中のコンテンツ「医師のためのお金の話」と金融資産への認識に関するアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので、報告いたします。2018年5月11日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は324名でした。結果概要設問1で「『医師のためのお金の話』で今後取り上げてほしい資産形成の内容」(複数回答)について質問したところ、「国内株式投資」「円建て預貯金」「生命保険」の順で多く、リターンは低いものの、リスクも低い金融商品への人気がうかがわれました。設問2で「資産形成のため実行している情報収集法」(複数回答)について質問したところ、「とくに情報は集めていない」が一番多く、会員医師の多数が積極的に金融・投資情報などを集めていないことがわかりました。次いで「専門WEBサイトやブログの閲覧」「新聞、雑誌などの紙媒体」の順となり、参考としている情報はネット上のほうが多く、手軽に参考にできる媒体から集めていることが推測されました。設問3で「資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマ」について自由記入方式で質問したところ、「株式」「不動産」「税金」「相続」「FX/仮想通貨」の順でコメントが多く寄せられ、現在の投資トレンドや各年代特有の悩みに関するものが多数を占めました。なお、今後、新たな試みとして会員の資産形成診断を「医師のためのお金の話」上で掲載する予定です。どうぞご期待ください。■設問1 今後「医師のためのお金の話」で取り上げてほしい資産形成内容についてご教示ください。(複数回答)1) 円建て預貯金2) 外貨建て預貯金3) FX4) 国内株式投資5) 海外株式投資6) 国債/債権投資7) 投資信託8) 生命保険9) 金などの実物資産への投資10) ビットコインなどの仮想通貨への投資11) 不動産投資12) その他画像を拡大する■設問2 資産形成のため実行されている情報収集法は何ですか。ご教示ください。(複数回答)1) 専門書籍の購入2) 専門WEBサイトやブログの閲覧3) 金融機関、証券会社への相談、  セミナーへの出席4) 身近なファイナンシャルプランナー、  税理士に相談関5) 新聞、雑誌などの紙媒体6) テレビなどの媒体の視聴7) 口コミ8) とくに情報は集めていない9) その他画像を拡大する■設問3 救資産形成に関する話題で、今後取り上げてほしいテーマについてお寄せください。(自由記入)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)税・節税関係節税の方法について固有資産税などの税金について控除の賢い方法について節税対策について相続関係遺産相続について親からの相続の処理方法について相続の話について相続税対策について年金関係個人年金の将来性について年金の問題について年金の基本的な内容について老後の資金対策について不動産関係タワーマンションへの投資の可能性について国内不動産の資産動向について不動産投資、国内株式投資、医師の副業全般について不動産投資のメリット・デメリット、レバレッジを効かせた場合などについて貯金、貯蓄関係安全な外貨の選択法について円建て預金でいいのかどうかについて外貨の獲得について外貨預金のリスク最も安全で金利の高い預貯金について昔ながらの預貯金について積立投資について貯金の利息と分散法について資産形成の全般AIによる信託投資の可能性についてローリターンで原本割れしない資産形成法について金融機関の選択法についてリスク管理・分散の方法についてリタイア後を見据えた資産形成の方法について資産のリバランスの方法について安全な資産形成と運用の方法について海外投資の方法について開業医のための資産運用のやり方について勤務医に適した資産形成について資産形成の方法/実例/必要度について出口戦略について詳しく知りたい初期の投資入門、素人が始めるに当たって勉強すべきこと誰にでもわかる資産形成について低リスクで始めやすい資産形成についてクリニックの法人化について有望な金融商品について アンケート概要内容「医師のためのお金の話」の評価と会員医師の「資産形成」について実施日2018年5月11日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師324名属性アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。

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統合失調症の超長期的アウトカム

 統合失調症および統合失調症スペクトラム障害の超長期的アウトカムに関する最近のデータについて、チェコ・カレル大学のJan Volavka氏らが検討を行い、治療介入を含むアウトカムに影響を及ぼす要因について調査した。International journal of clinical practice誌オンライン版2018年4月24日号の報告。 2008~17年に発表された、統合失調症または統合失調症スペクトラム障害を対象とし、5年以上のフォローアップ期間を設け、適切なアウトカムの情報を有するプロスペクティブコホート研究を、PubMedおよびScopusデータベースより検索した。参考文献リストおよび著者の参照ライブラリを追加文献に含んだ。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ時に症状寛解を有する患者の割合は、抗精神病薬による計画的な治療の患者で37.5%、未治療患者で16.4%であった。・フォローアップ時の良好なアウトカムは、低用量の抗精神病薬で治療を行っていた患者および薬物治療開始時に薬理学的な治療を行っていなかった患者において観察された。・初回エピソード時の早期発見および集中的な治療とともに、継続的な心理社会的治療、その後の継続的なサポートが、より良いアウトカムと関連していた。 著者らは「統合失調症の長期的アウトカムは、メンタルヘルスケアへのアクセス、精神症状の早期発見、薬理学的治療により、非常に多様であった。最近のデータは、一部の患者における長期的な低用量の抗精神病薬による治療の有効性を裏付けるものであった。初回エピソードの統合失調症患者のうち20%程度は、長期的な抗精神病薬の維持治療を必要としないと考えられる。その割合は、統合失調症スペクトラム障害において、より高い可能性がある。しかし、これらの患者が長期的な治療を必要としない理由は明白ではない。このサブグループを予測する方法は、個々の患者において臨床応用するには、まだ不十分である」としている。■関連記事初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか

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アジアの小児自閉スペクトラム症の過敏性に対するアリピプラゾールのオープンラベル試験

 アジアの小児および青年(6~17歳)の自閉スペクトラム症の過敏性に対する、アリピプラゾールの有効性および忍容性を調査するため、韓国・蔚山大学校のHyo-Won Kim氏らは、12週間の多国籍多施設オープンラベル試験を実施した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年4月24日号の報告。 小児および青年の自閉スペクトラム症患者67例(10.0±3.1歳、男子:52例)を対象に、アリピプラゾールをフレキシブルドーズ(平均投与量:5.1±2.5mg、範囲:2~15mg)で12週間投与を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、異常行動チェックリストのサブスケールにおいて、過敏性、無気力/引きこもり、常同行動、多動性、不適切な話し方の介護者評価スコアの平均値を、ベースラインから12週目までに有意に減少させた(各々、p<0.001)。・臨床全般印象・重症度スコア(Clinical Global Impression Severity of Illness scale score)も、ベースラインから12週目までに改善した(p<0.001)。・最も多く認められた有害事象は、体重増加であった。また、アリピプラゾールでの治療に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「本結果より、アジアの小児自閉スペクトラム症の過敏性に対する治療で、アリピプラゾールは、有効かつ忍容性のあることが示唆された。今後は、より大規模なサンプルサイズ、より長期間の研究が求められる」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

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コーヒー豆は浅煎りを選んでがん予防

 コーヒーは世界で最も広く飲まれている飲料の1つであり、健康に有益な多くの植物性化合物を含んでいる。これまでに、浅いローストレベル(焙煎度)の豆が、高い抗酸化活性を持つという報告1)があるが、抗がん作用との関わりは明確にされていなかった。今回、米国・カリフォルニア州立大学のBenigno E. Mojica氏らの研究結果より、浅めに焙煎されたコーヒー豆が、口腔および結腸がんのような、特定のがん予防に寄与する可能性が示唆された。Journal of food science誌2018年4月号に掲載。 本研究では、コーヒー豆が、ヒト結腸腺がん細胞(HT-29)およびヒト舌扁平上皮がん細胞(SCC-25)株にもたらす増殖抑制効果を、焙煎度ごとに比較した。選択された焙煎度合いは、焙煎前(生豆)、シナモンロースト、シティロースト、フルシティロースト、フルシティローストプラス。がん細胞をそれぞれのコーヒー抽出液で72時間処理を行い、細胞生存率を、MTT(thiazolyl blue tetrazolium bromide)アッセイを用いて定量した。 主な結果は以下のとおり。・より浅い焙煎豆の抽出液(とくにシナモンロースト)が、深い焙煎豆の抽出液よりも細胞増殖を抑制した。・シナモンローストの抽出液が、最大の総フェノール含量および抗酸化活性を有していた。・生理活性のある植物化合物として広く認識されている没食子酸とコーヒー酸(フェノール酸の一種)、およびクロロゲン酸の、抽出液中の相対量を比較すると、シナモンロースト抽出液が、没食子酸とコーヒー酸を最も多く含んでいた。

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SGLT2阻害薬は死亡率、心血管イベントの低減に最も有用(解説:吉岡成人氏)-856

2型糖尿病の治療薬の選択 糖尿病の治療薬の選択に対して、日本糖尿病学会では患者の病態に応じて薬剤を選択することを推奨しているが、米国糖尿病学会ではメトホルミンを第一選択薬とし、心血管疾患の既往がある患者では、SGLT2阻害薬ないしはGLP-1受容体阻害薬を併用することを推奨している。その背景には、EMPA-REG OUTCOME試験、CANVASプログラム、LEADER試験、SUSUTAIN-6などの臨床試験によって、これらの薬剤が心血管イベントに対して一定の抑制効果を示したことが挙げられる。 それでは、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体阻害薬との比較ではどうなのか、日本で最も使用されているDPP-4阻害薬と比較した場合はどうなのだろうかという疑問に答える論文が報告された。ネットワークメタ解析での比較 通常のメタ解析では治療介入を行ったランダム化比較試験(RCT)を統合して介入の効果を検証するが、3種類以上の介入の効果を比較検討することはできない。Zheng SLらはネットワークメタ解析の手法を用いて、実際のhead-to-headの試験を行うことなく、多数のRCTの結果を統計学的に併合して直接的、間接的な比較を行った結果を報告している。本論文では各薬剤を使用して12ヵ月間以上観察された236件のRCTを抽出し、各薬剤とコントロール群、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害、GLP-1受容体阻害薬とSGLT2阻害の各群において、全死亡を主要アウトカム、心血管死、心不全、心筋梗塞と不安定狭心症、脳卒中を二次アウトカムとして薬剤間の有用性を検証している(Zheng SL, et al. JAMA. 2018 Apr 17;319: 1580-1591. )。SGLT2阻害の有用性が明らかに 各群における対象患者の平均年齢は50代前半から後半までと比較的若く、HbA1cも8.2%前後で、罹病期間が長く血糖コントロールが不良な患者は多く含まれてはいない。しかし、全死亡については、GLP-1受容体阻害薬とSGLT2阻害薬はコントロール群、およびDPP-4阻害薬投与群に比較して有意に減少させており、GLP-1受容体作動薬投与群とSGLT2阻害薬投与群との間には有意差はなかった。この傾向は心血管死亡率についても同様であった。一方、心不全イベントについては、SGLT2阻害の有用性が最も高く、コントロール群、DPP-4阻害薬投与群に対してのみならず、GLP-1受容体投与群に対しても有意に心不全イベントの抑制効果を示していた。 欧米では、2型糖尿病の治療に対して、低血糖や体重増加を来しにくい薬剤が推奨されており、メトホルミンが第一選択薬となっている。今回の結果は、心血管イベントによる死亡が多い欧米人にあっては、SGLT2阻害が第二選択薬としてのポジションをより強固なものにした印象を与える。日本でも、虚血性心疾患のハイリスク患者、心不全患者、糖尿病腎症の患者などでは積極的に、SGLT2阻害薬が使用されつつある。しかし日本人の糖尿病患者では欧米に比較して心血管イベントは少なく、65歳以上の高齢者が多く、インスリン分泌も低い。これらの点を考慮すると、現在広く用いられているDPP-4阻害が重用される現状はしばらく続くのかもしれない。

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第2回 意識障害 その2 意識障害の具体的なアプローチ 10’s rule【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+意識障害のアプローチ意識障害は非常にコモンな症候であり、救急外来ではもちろんのこと、その他一般の外来であってもしばしば遭遇します。発熱や腹痛など他の症候で来院した患者であっても、意識障害を認める場合には必ずプロブレムリストに挙げて鑑別をする癖をもちましょう。意識はバイタルサインの中でも呼吸数と並んで非常に重要なバイタルサインであるばかりでなく、軽視されがちなバイタルサインの1つです。何となくおかしいというのも立派な意識障害でしたね。救急の現場では、人材や検査などの資源が限られるだけでなく、早期に判断することが必要です。じっくり考えている時間がないのです。そのため、意識障害、意識消失、ショックなどの頻度や緊急性が高い症候に関しては、症候ごとの軸となるアプローチ法を身に付けておく必要があります。もちろん、経験を重ね、最短距離でベストなアプローチをとることができれば良いですが、さまざまな制約がある場面では難しいものです。みなさんも意識障害患者を診る際に手順はあると思うのですが、まだアプローチ方法が確立していない、もしくは自身のアプローチ方法に自信がない方は参考にしてみてください。アプローチ方法の確立:10’s Rule1)私は表1の様な手順で意識障害患者に対応しています。坂本originalなものではありません。ごく当たり前のアプローチです。ですが、この当たり前のアプローチが意外と確立されておらず、しばしば診断が遅れてしまっている事例が少なくありません。「低血糖を否定する前に頭部CTを撮影」「髄膜炎を見逃してしまった」「飲酒患者の原因をアルコール中毒以外に考えなかった」などなど、みなさんも経験があるのではないでしょうか。画像を拡大する●Rule1 ABCの安定が最優先!意識障害であろうとなかろうと、バイタルサインの異常は早期に察知し、介入する必要があります。原因がわかっても救命できなければ意味がありません。バイタルサインでは、血圧や脈拍も重要ですが、呼吸数を意識する癖を持つと重症患者のトリアージに有効です。頻呼吸や徐呼吸、死戦期呼吸は要注意です。心停止患者に対するアプローチにおいても、反応を確認した後にさらに確認するバイタルサインは呼吸です。反応がなく、呼吸が正常でなければ胸骨圧迫開始でしたね。今後取り上げる予定の敗血症の診断基準に用いる「quick SOFA(qSOFA)」にも、意識、呼吸が含まれています。「意識障害患者ではまず『呼吸』に着目」、これを意識しておきましょう。気管挿管の適応血圧が低ければ輸液、場合によっては輸血、昇圧剤や止血処置が必要です。C(Circulation)の異常は、血圧や脈拍など、モニターに表示される数値で把握できるため、誰もが異変に気付き、対応することは難しくありません。それに対して、A(Airway)、B(Breathing)に対しては、SpO2のみで判断しがちですが、そうではありません。SpO2が95%と保たれていても、前述のとおり、呼吸回数が多い場合、換気が不十分な場合(CO2の貯留が認められる場合)、重度の意識障害を認める場合、ショックの場合には、確実な気道確保のために気管挿管が必要です。消化管出血に伴う出血性ショックでは、緊急上部内視鏡を行うこともありますが、その際にはCの改善に従事できるように、気管挿管を行い、AとBは安定させて内視鏡処置に専念する必要性を考える癖を持つようにしましょう。緊急内視鏡症例全例に気管挿管を行うわけではありませんが、SpO2が保たれているからといって内視鏡を行い、再吐血や不穏による誤嚥などによってAとBの異常が起こりうることは知っておきましょう。●Rule2 Vital signs、病歴、身体所見が超重要! 外傷検索、AMPLE聴取も忘れずに!症例の患者は、突然発症の右上下肢麻痺であり、誰もが脳卒中を考えるでしょう。それではvital signsは脳卒中に矛盾ないでしょうか。脳卒中に代表される頭蓋内疾患による意識障害では、通常血圧は高くなります(表2)2)。これは、脳卒中に伴う脳圧の亢進に対して、体血圧を上昇させ脳血流を維持しようとする生体の反応によるものです。つまり、脳卒中様症状を認めた場合に、血圧が高ければ「脳卒中らしい」ということです。さらに瞳孔の左右差や共同偏視を認めれば、より疑いは強くなります。画像を拡大する頸部の診察を忘れずに!意識障害患者は、「路上で倒れていた」「卒倒した」などの病歴から外傷を伴うことが少なくありません。その際、頭部外傷は気にすることはできても、頸部の病変を見逃してしまうことがあります。頸椎損傷など、頸の外傷は不用意な頸部の観察で症状を悪化させてしまうこともあるため、後頸部の圧痛は必ず確認すること、また意識障害のために評価が困難な場合には否定されるまで頸を保護するようにしましょう。画像を拡大する意識障害の鑑別では、既往歴や内服薬は大きく影響します。糖尿病治療中であれば低血糖や高血糖、心房細動の既往があれば心原性脳塞栓症、肝硬変を認めれば肝性脳症などなど。また、内服薬の影響は常に考え、お薬手帳を確認するだけでなく、漢方やサプリメント、家族や友人の薬を内服していないかまで確認しましょう3)。●Rule3 鑑別疾患の基本をmasterせよ!救急外来など初診時には、(1)緊急性、(2)簡便性、(3)検査前確率の3点に意識して鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因はAIUEOTIPS(表4)です。表4はCarpenterの分類に大動脈解離(Aortic Dissection)、ビタミン欠乏(Supplement)を追加しています。頭に入れておきましょう。画像を拡大する●Rule4 意識障害と意識消失を明確に区別せよ!意識障害ではなく意識消失(失神や痙攣)の場合には、鑑別診断が異なるためアプローチが異なります。これは、今後のシリーズで詳細を述べる予定です。ここでは1つだけおさえておきましょう。それは、意識状態は「普段と比較する」ということです。高齢者が多いわが国では、認知症や脳卒中後の影響で普段から意思疎通が困難な場合も少なくありません。必ず普段の意識状態を知る人からの情報を確認し、意識障害の有無を把握しましょう。前述の「Rule4つ」は順番というよりも同時に確認していきます。かかりつけの患者さんであれば、来院前に内服薬や既往を確認しつつ、病歴から◯◯らしいかを意識しておきましょう。ここで、実際に前掲の症例を考えてみましょう。突然発症の右上下肢麻痺であり、3/JCSと明らかな意識障害を認めます(普段は見当識障害など特記異常はないことを確認)。血圧が普段と比較し高く、脈拍も心房細動を示唆する不整を認めます。ここまでの情報がそろえば、この患者さんの診断は脳卒中、とくに左大脳半球領域の脳梗塞で間違いなしですね?!実際にこの症例では、頭部CT、MRIとMRAを撮影したところ左中大脳動脈領域の急性期心原性脳塞栓症でした。診断は容易に思えるかもしれませんが、迅速かつ正確な診断を限られた時間の中で行うことは決して簡単ではありません。次回は、10’s Ruleの後半を、陥りやすいpitfallsを交えながら解説します。お楽しみに!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中. 中外医学社;2015.2)Ikeda M, et al. BMJ. 2002;325:800.3)坂本壮ほか. 月刊薬事. 2017;59:148-156.コラム(2) 相談できるか否か、それが問題だ!「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」が大事! この単語はみなさん聞いたことがあると思います。何か困ったことやトラブルに巻き込まれそうになったときは、自身で抱え込まずに、上司や同僚などに声をかけ、対応するのが良いことは誰もが納得するところです。それでは、この3つのうち最も大切なのはどれでしょうか。すべて大事なのですが、とくに「相談」は大事です。報告や連絡は事後であることが多いのに対して、相談はまさに困っているときにできるからです。言われてみると当たり前ですが、学年が上がるにつれて、また忙しくなるにつれて相談せずに自己解決し、後で後悔してしまうことが多いのではないでしょうか。「こんなことで相談したら情けないか…」「まぁ大丈夫だろう」「あの先生に前に相談したときに怒られたし…」など理由は多々あるかもしれませんが、医師の役目は患者さんの症状の改善であって、自分の評価を上げることではありません。原因検索や対応に悩んだら相談すること、指導医など相談される立場の医師は、相談されやすい環境作り、振る舞いを意識しましょう(私もこの部分は実践できているとは言えず、書きながら反省しています)。(次回は6月27日の予定)

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若年者の無症候性WPW症候群における致死的なイベントリスクは?【Dr.河田pick up】

 WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群を持つ若年者は突然死のリスクがあり、無症候の若年WPW症候群患者のマネージメントについては長い間議論されてきた。 この研究では、WPW症候群を持つ若年者のリスクの特性を調べるために、致死的なイベントを経験した患者とそうでない患者を比較している。米国・ユタ大学のSusan P. Etheridge氏らによる国際多施設共同研究で、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年4月号に掲載。 この後ろ向きの多施設共同研究では、21歳以下のWPW症候群患者でEPS(電気生理学的検査)が行われた912人を同定した。症例群は致死的なイベント(LTE)を有した患者で、LTEは突然死、回避された突然死、そして心房細動中の最も短いRR間隔 (shortest pre-excited RR interval in atrial fibrillation:SPERRI)が250ms以下、もしくは心房細動中に血行動態が保てなくなったもの、と定義されている。対照群はそれらのイベントのない患者であり、両群の臨床的な特徴とEPSのデータを比較した。致死的なイベントが起きた患者では、65%でLTEが初発症状 症例群(96例)は年齢が高く、症状や頻拍の既往が少ない傾向にあった。LTEが起きた際の平均年齢は14.1±3.9歳であった。LTEが初発症状であったのが65%であり、そのうち早期興奮を伴った心房細動が49%、回避された突然死が45%、そして突然死が6%であった。EPSで同定された3つのリスクは最も短いRR間隔、副伝導路の有効不応期 (accessory pathway effective refractory period:APERP) 、そして心房ペーシング中の早期興奮が見られる最短のペーシング間隔 (shortest paced cycle length with pre-excitation during atrial pacing:SPPCL) であり、これら3つはいずれも症例群で、対照群より短かった。致死的なイベントが起きた患者でも、37%でEPSのハイリスクな特徴を示さず 多変量解析の結果、致死的なイベントのリスク因子は、男性、Ebstein奇形、早い順行伝導が可能な副伝導路(APERP、SPERRI、あるいはSPPCL≤250ms)、複数の副伝導路、心房細動が誘発されることであった。症例群の86例中60例(69%)がEPSの際に少なくとも2つ以上のリスク項目の評価を受けた。そして、そのうち22例(37%)がEPSでのハイリスクな特徴を示さず、15例(25%)ではリスクが高い副伝導路およびAVRT(房室回帰性頻拍)のいずれも有していなかった。無症候の若年WPW患者でも突然死を起こす可能性有 本研究では、若年WPW患者は症状やハイリスクな特徴を有さずとも、突然死を起こす可能性があると結論付けている。WPW症候群のマネージメントは有症候、無症候に分けて行われてきたが、このマネージメントが必ずしも適切とは言えないかもしれない。EPSは症状よりもリスク評価において正確であるが、完璧なツールではない。また、EPSと同時にアブレーションを行うのが一般的であり、EPS後に無作為化した前向き研究を行うことは現実的ではない(副伝導路をEPSのみ行い放置するのは、一般的に極めてまれである)。アブレーションのリスクは一般的に高くはないが、若年者の場合は全身麻酔等も必要で、心臓が成長することも考慮しなければならず、症例ごとに評価、家族との話し合いのうえで管理していくことが必要と考えられる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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