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2000年のHib感染による5歳未満死亡児、世界で推定37万1,000人

2000年にヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib)への感染が原因で死亡した5歳未満児は、全世界で推定37万1,000人にも上ることがわかった。米国Johns Hopkins大学のJames P Watt氏らの調べで明らかになったもので、Lancet誌2009年9月12日号で発表した。Hibは小児の細菌性髄膜炎や肺炎などの大きな原因となっているが、予防接種でそのほとんどが予防できる。小児へのHibワクチン接種実施の徹底が急務のようだ。Hib罹患率や致死率を文献調査、HIV罹患率などで補正Watt氏らは、Hibの罹患率や致死率、年齢層、Hibワクチンの効果などについて、徹底した文献調査を行った。また、ワクチン試験データから、Hib感染による肺炎発症率や肺炎死亡率を得た。そのデータと、WHO(世界保健機関)の国別肺炎罹患率や肺炎死亡率を用いて、Hibによる肺炎発症・死亡率を推定した。また、髄膜炎などの重症例については、これまでのサーベランス結果などを元に推定を行った。推定結果については、HIV罹患率や医療ケア整備の程度について補正を行った。Hib感染重症例は813万児その結果、2000年に5歳未満児でHib感染による重症疾患を発症したのは、世界で推定813万人(不確定範囲:733~1,320万)に上った。そのうち月齢1~59ヵ月児で死亡したのは、37万1,000人(同:24万7,000~52万7,000)、うちHIV陽性だったのは8,100人(同:5,600~1万)、HIV陰性だったのは36万3,000人(同:24万2,000~51万7,000)だった。同研究グループは、世界的なHibによる被害は大きく、Hibワクチンの接種促進によって子供の肺炎や髄膜炎、死亡率を減らすことができると結論づけた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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急性冠症候群に対するticagrelor対クロピドグレル

新規抗血小板剤ticagrelorは、アデノシン二リン酸レセプター(ADP)のP2Y12を選択的に阻害する経口薬として、クロピドグレルよりも、すみやかな作用と顕著な血小板抑制作用があるとされる。本論は、急性冠症候群患者を対象とした、両剤の効果と有害イベント発生率を比較する第III相臨床試験PLATO試験の報告。NEJM誌2009年9月10日号(オンライン版2009年8月30日号)で掲載された。ticagrelor群、1年後の心血管イベントが有意に減少多施設共同二重盲検無作為化試験としてデザインされた本試験は、急性冠症候群で入院中の18,624例の患者(ST上昇の有無にかかわらず)を対象とし、ticagrelor投与群(初期量180mg、その後1日2回90mg)と、クロピドグレル投与群(初期量300~600mg、その後1日1回75mg)との、心血管イベント防止効果を比較した。結果、12ヵ月後の主要エンドポイント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合)を比較したところ、クロピドグレル投与群では11.7%がエンドポイントに達したのに比べ、ticagrelor投与群は9.8%にとどまった(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.77~0.92、P

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多発性硬化症のnatalizumab療法後に発症した進行性多巣性白質脳症

本報告は、多発性硬化症でnatalizumab療法を受けていた患者が発症した、進行性多巣性白質脳症についての短信。natalizumabの排出を促すため血漿交換療法を行った3週間後、免疫再構築症候群が発現し、神経症状が悪化したが、ステロイドパルス療法により数週間後に改善した。報告は、ドイツ・ルール大学のWerner Wenning氏らの研究グループによる。NEJM誌2009年9月10日号より。重篤な免疫再構築症候群はステロイドパルス療法で改善研究グループは、natalizumab療法施行後12ヵ月時点で、進行性多巣性白質脳症(Progressive Multifocal Leukoencephalopathy:PML)を発病した52歳多発性硬化症患者の臨床知見、および治療の流れについて解説している。患者は、神経・精神医学的な症状が出現した2ヵ月後に入院、血漿交換と免疫吸着によってnatalizumabを除去する治療を受けた。短期改善の後、患者は明らかな免疫再構築症候群を発症し非常に重篤となった。ステロイド大量静注パルス療法によって、患者の状況は臨床的に有意に回復し安定した。 この症例により、迅速な診断と治療が、natalizumab療法を受け重度PMLを発症した患者の、転帰改善の可能性があることを示したと述べている。natalizumabが脳の免疫監視機構に影響かnatalizumabは、VLA-4のα4鎖に対するモノクローナル抗体で、高度に活動的な再発性多発性硬化症の単独治療薬として、アメリカ食品医薬品局と欧州医薬品庁に承認された。2008年6月現在、40,000人以上の患者が臨床試験に参加した。そのうち、約14,000例は12ヵ月間服用し、少なくとも6,600例が18ヵ月間服用していた。本剤の認可直後、natalizumab療法に起因するPML患者が3例報告された。そのうち2例がインターフェロンβ-1aとの併用投与、1例は事前免疫抑制療法を受けたクローン病患者だった。第III相試験中に2例の患者が死亡、1例には持続性の重度神経障害が残ったことが報告されている。PMLは、JCウイルス(一般に高度な易感染患者に起こるポリオーマウイルス)によって引き起こされる中枢神経系のまれな脱髄疾患であり、しばしば致死的転帰を伴う。natalizumab療法と関連したPMLの素因的メカニズムは依然として不明だが、現在の仮説では、脳の免疫監視機構の易感染化、またはJCウイルスを運ぶ骨髄細胞のnatalizumabによる流動化が含まれると説明している。(医療ライター:朝田哲明)

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膵臓がんにおけるafliberceptの第III相試験を中止

サノフィ・アベンティス株式会社は17日、仏サノフィ・アベンティス社と米Regeneron社が、独立データモニタリング委員会(IDMC:Independent Data Monitoring Committee)の勧告に基づき、膵臓がんにおける第一選択薬としてのaflibercept(VEGF Trap)とゲムシタビンの併用をプラセボと比較評価する第III相試験(VANILLAスタディ)の中止を発表したと報告した。予定されていた有効性に関する中間解析の一環として、独立データモニタリング委員会は、同スタディでゲムシタビンにafliberceptを追加しても、主要評価項目である全生存期間に関し、プラセボとゲムシタビンの併用と比較して統計的有意な改善は得られないと判断。Aflibercept併用群で報告された副作用の種類と頻度は、おおむね予測どおりだったという。試験の終了に伴い、有効性と安全性の結果に関する詳細な解析が両社によって行われる予定。この結果は、今後の医学会で発表される。なお、以下の3件の第III相試験は継続され、現時点でそれぞれ70%以上の登録が達成されている。●VELOURスタディ:転移性結腸直腸がんの第二選択薬(フルオロウラシル・ロイコボリン・イリノテカン(FOLFIRI)との併用)●VITALスタディ:非小細胞肺がんの第二選択薬(ドセタキセルとの併用)●VENICEスタディ:ホルモン治療抵抗性転移性前立腺がんの第一選択薬(ドセタキセルおよびプレドニゾンとの併用)詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/059895E7-B551-4376-BAF8-391F4C12FC33.pdf

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全国規模の24時間血圧のデータバンクを構築 ―自治医科大学―

自治医科大学の循環器科教授 苅尾七臣先生は、今年1月より開始した「日本人における自由行動下血圧追跡研究(Japan Ambulatory blood Pressure Prospective Study : JAMP研究)」についてその意義と抱負をケアネット取材陣に語った。これまで24時間血圧モニタリング(ABPM)を用いた疫学研究は、比較的小規模で特定地域に限られていたため、日常診療においてABPMをどのような集団にどの指標を用いて評価すべきか、明確に示されていない。JAMP研究とは…本研究では、心血管疾患の高リスク患者を対象にABPMデータバンクを作成して、全国の血圧コントロール状況を把握するとともに、24時間血圧の構成成分が、どの心血管疾患の発症予測に重要であるかを明らかにすることを目的としている。調査予定症例数は10,000例。エントリーは2015年3月まで。その後5年間、心血管イベントの発症率を追跡する。どの24時間血圧指標が臨床上有用か?ABPM からは24時間血圧、夜間血圧、早朝血圧、モーニングサージなど種々の情報を入手することができるが、これらのうちどの構成成分が心血管イベントに寄与しているのか検証したいと述べている。地域差はあるか?また、苅尾先生はこれらに地域差が認められるかについても注視していると言う。例えば、塩分摂取量の多い地域。そのような地域では食塩感受性が高い方が多く、non-dipper型が多い。苅尾先生らの研究グループも既に報告しているようにnon-dipper型がdipper型より心血管イベントの発症率が高いことを考えると、地域差が生じる可能性も窺うことができる。本研究は、日常診療で実施したABPMデータを登録するだけで、薬剤の変更や追加検査は一切必要ない、実に実施しやすい観察研究である。2008年4月に自由行動下血圧計が保険適応となったが、どのような集団にどの指標を用いて評価すべきかが明らかにされれば、非常に有用な臨床情報を得ることができる。現在、JAMP研究グループでは、本研究に参加いただける先生を募集している。(藤原 健次)連絡先自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門内 JAMP研究事務局TEL 0285-44-2130、FAX 0285-44-2132E-mail abpm@jichi.ac.jp関連リンクJAMP研究に用いるABPMの機器について

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GARDASIL FDAが男性への使用承認を推奨

Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A. は、米国食品医薬品局(FDA)ワクチンおよび関連生物製剤諮問委員会が、少年・成人男性に対するGARDASILの使用承認を推奨したと発表した。子会社である万有製薬株式会社が16日に報告した。同社は、2008年12月に、HPV 6,11,16,18型に起因する9~26歳の少年・成人男性の尖圭コンジローマ(性器疣贅)予防を目的としたGARDASILの使用について、生物製剤認可追加申請(sBLA:supplemental Biologics License Application)をFDAに提出している。今回の諮問委員会の推奨は、米国での男性への適応拡大に向けて大きく前進したものと言えるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_0916.html

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導出品 QVA149 第II相臨床試験結果を発表

そーせいグループ株式会社は16日、同社およびベクチュラ・グループ・ピーエルシー(英国)の共同開発・導出品QVA149(適応:慢性閉塞性肺疾患、以下「COPD」)について、有効性評価試験、安全性および忍容性試験の2つの第II相臨床試験の結果を、ウィーン(オーストリア)で開催中の欧州呼吸器学会(EuropeanRespiratory Society)において発表したと報告した。QVA149は、同社とベクチュラ社が共同開発しノバルティスに導出したNVA237(臭化グリコピロニウム、長時間作用型ムスカリン拮抗薬:LAMA)と、ノバルティスが独自に開発したQAB149(インダカテロール、長時間作用型β2刺激薬:LABA)とを配合した、1日1回吸入による新規の気管支拡張薬で、COPD治療薬としてノバルティスにより開発されている。同臨床試験での結果は、2つの強力な気管支拡張薬を併用し、利便性の高い1日1回投与とすることの利点を、有効性と安全性の両観点から支持しているという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sosei.com/jp/press/pdf/090916-j_press.pdf

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外来患者向け、待合時間PHSレンタルサービスを提供開始

株式会社ウィルコムと株式会社富士通ビー・エス・シーは14日、ウィルコムのPHSを利用した「外来患者呼び出しシステム」を共同開発し、全国の医療機関向けに販売を開始したと発表した。同システムは、医療機関などの外来受付で患者にPHSを渡し、診察順がくれば呼び出す仕組みを提供することで受付の混雑を緩和。呼び出しにウィルコムのPHSを採用したため、病院の内外を問わず運用が可能。スタッフは、バーコードリーダーでPHSと患者バーコードを順に読ませるだけで、オペレーションが容易などの特徴がある。詳細はプレスリリースへhttp://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2009/09/14/index.html

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新規第Xa因子阻害薬otamixaban、非ST上昇急性冠症候群の虚血イベントを抑制

新規の直接作用型選択的第Xa因子阻害薬otamixabanの静注投与は、従来法に比べ非ST上昇急性冠症候群(ACS)における虚血イベントを抑制することが、アメリカHarvard大学医学部循環器内科TIMI studyグループのMarc S Sabatine氏らが実施した第II相試験(SEPIA-ACS1 TIMI 42試験)で明らかとなった。これまで、非ST上昇ACS患者の抗凝固療法には未分画ヘパリンが使用されてきたが、その作用は非直接的で非選択的であり、血栓結合トロンビンを抑制できない、血小板減少の誘導、PK活性が予測不能などの問題点があった。Lancet誌2009年9月5日号(オンライン版2009年8月30日号)掲載の報告。5つの用量と対照を比較する二重盲検無作為化第II相試験SEPIA-ACS1 TIMI 42試験の研究グループは、非ST上昇ACSにおけるotamixabanの有効性と安全性を評価し、第III相試験でのさらなる検討に向けて最適な用量範囲を同定するための二重盲検第II相試験を実施した。2006年6月~2008年11月までに、36ヵ国196施設から3,241例の非ST上昇ACS患者が登録され、otamixaban 0.08mg/kgを静脈内ボーラス投与後に5種類の用量を静注する群[0.035mg/kg/時(125例)、0.070mg/kg/時(676例)、0.105mg/kg/時(662例)、0.140mg/kg/時(658例)、0.175 mg/kg/時(671例)]あるいは対照として未分画ヘパリンと糖蛋白IIb/IIIa阻害薬eptifibatideを投与する群(449例)に無作為に割り付けられた。治療の割り付けに関する情報は、研究者および患者のいずれにも知らされなかった。データ監視委員会の勧告により最低用量群への登録は早期に中止された。有効性に関する主要評価項目は、7日目までの心筋梗塞、緊急血行再建術、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の救済的投与の複合エンドポイントとした。安全性に関する主要評価項目は、冠動脈バイパス移植術(CABG)とは関連しない大出血あるいは小出血(TIMI出血基準)とした。有効性についてはintention to treat解析を行い、安全性の解析では実際に治療を受けた患者を対象とした。0.100~0.140mg/kg/時で虚血性イベントを抑制、安全性は同等有効性の複合エンドポイントの発現率は、0.035群7.2%、0.070群4.6%、0.105群3.8%、0.140群3.6%、0.175群4.3%であった(傾向性に関するp値=0.34)。対照群の複合エンドポイントの発現率は6.2%であり、実薬群に対する相対リスクはそれぞれ1.16、0.74、0.61、0.58、0.69であった。安全性の1次エンドポイントの発現率は、実薬群がそれぞれ1.6%、1.6%、3.1%、3.4%、5.4%であり(傾向性に関するp値=0.0001)、対照群は2.7%であった。著者は、「非ST上昇ACS患者に対する抗血栓療法としてのotamixaban静注投与では、0.100~0.140mg/kg/時の用量で虚血性イベントが抑制される可能性があり、その安全性は未分画ヘパリン+eptifibatideの併用投与と同等であることが示唆される。第III相試験によるさらなる検討が正当化される」と結論している。また、「prasugrelやticagrelorなどの経口抗血小板薬の臨床適用が進むに従って、otamixabanとこれらの薬剤との併用療法の評価や、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の最適な投与のタイミングの再検討が必要となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「フルバスタチン徐放製剤」血管手術後の心疾患転帰を改善

スイス・ノバルティス社は3日、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)」に掲載されたDECREASE (Dutch Echocardiographic Cardiac Risk Evaluation Applying Stress Echocardiography)III試験の結果によると、周術期にフルバスタチン徐放製剤(海外での製品名:Lescol XL)を投与し血管手術を行った患者において、術後30日以内の術後心疾患の転帰がプラセボ群に比べ有意に改善したことが示されたと発表した。エラスムスメディカルセンター(オランダ・ロッテルダム)で実施されたこの試験では、フルバスタチンを投与すると、総コレステロール値、LDLコレステロール(LDL-C)値が有意に低下し、高感度CRP値とインターロイキン-6濃度の低下によって反映される炎症の低下も有意に認められたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090911.html#fn1

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抗生物質テラバンシン、米国で承認取得

アステラス製薬株式会社は14日、米国テラバンス社より導入し、同社が米国において申請していた抗生物質「VIBATIV(一般名:テラバンシン)」に関し、9月11日(現地時間)に「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」の適応症について米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。同剤については、2006年12月にテラバンス社がFDAに申請していた。また、本剤の追加適応の院内肺炎については、現在FDAにおいて審査中とのこと。VIBATIVの販売は、同社の米国子会社アステラス ファーマ US, Inc.より、2009年中に開始される予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/vibativtm.html

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周術期スタチン療法は血管手術患者の術後心血管系イベントを有意に減少

非心臓血管手術を受けるアテローム動脈硬化症患者は、心血管系に起因する心筋梗塞や死亡といった術後の心イベントリスクが高い。一方、術後30日のアウトカムにおけるスタチンの効果を評価するプラセボ対照試験は公表されていなかった。DECREASE IIIは、オランダ・エラスムス医療センターのOlaf Schouten氏らの研究グループによる、周術期スタチン療法が待機的血管手術患者で有害な心イベントの術後出現率を低下させるとの仮説を立証することを目的に行われたプラセボ対照試験。その結果が、NEJM誌2009年9月3日号に掲載された。徐放性フルバスタチンとプラセボを二重盲検二重盲検プラセボ対照臨床試験では、これまでスタチンの投与を受けたことのない患者を、ベータ受容体遮断薬に加えて、徐放性フルバスタチン(extended-release fluvastatin)80mgまたはプラセボのどちらかを、血管手術を受ける前に1日1回投与されるようランダムに割り付けた。そして脂質濃度、インターロイキン6濃度、C反応性蛋白(CRP)濃度が、ランダム化の際と手術前に測定された。主要エンドポイントは、術後30日以内の一過性の心電図異常、トロポニンTの放出、またはその両方で定義される心筋虚血の発生とした。副次エンドポイントは、心血管系と心筋梗塞の複合による死亡。計250例の患者がフルバスタチン、247例がプラセボに割り付けられた(中央値で血管手術37日前に投与)。心血管系の有害イベントが有意に減少総コレステロール、低比重リポ蛋白コレステロール、インターロイキン6、CRP濃度はフルバスタチン群で有意に低下したが、プラセボ群では変わらなかった。術後心筋虚血は、フルバスタチン群で27例(10.8%)、プラセボ群は47例(19.0%)で起こった(ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.34~0.88、P=0.01)。心血管系に起因する死亡または心筋梗塞は、フルバスタチン群が12例(4.8%)、プラセボ群が25例(10.1%)で起こった(同:0.47、0.24~0.94)、P=0.03)。フルバスタチン治療による有害事象の発生率に有意な増加はみられなかった。これらの結果から研究グループは、血管手術を受ける患者に対する周術期フルバスタチン療法は、術後心疾患転帰改善との関連が確認できたと述べている。(医療ライター:朝田哲明)

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代表的医学雑誌で発表のRCT、適切に登録していたのは半数以下

国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)では2005年より、研究結果掲載の条件として、試験開始以前の登録を義務付けているが、主な3分野の各10雑誌に発表された無作為化対照試験について調べたところ、適切な登録をしていたのは半数以下に過ぎなかった。その中で、事前に設定したアウトカムと、実際に発表したアウトカムに食い違いがあった研究は、3割強に上っていたという。フランスParis Diderot大学のSylvain Mathieu氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年9月2日号で発表した。登録なし28%、事後登録14%Mathieu氏らは、心臓病、リウマチ病、胃腸病の3分野の、それぞれ引用頻度が高く影響の大きい10雑誌に発表された無作為化対照試験(RCT)、あわせて323件について調査を行った。そのうち、試験終了前に登録を済ませ、また主要アウトカムも明確だったのは、45.5%にあたる147件に留まった。全く登録をしていなかったのは89件(27.6%)、また試験終了後に登録したのは45件(13.9%)だった。更に、登録時に主要アウトカムについての記述が欠けていたり不明確だったのは39件(12.1%)、試験終了後に登録し、主要アウトカムが欠けていたり不明確だったのは3件(0.9%)だった。適切登録試験のうち、31%が登録アウトカムと発表アウトカムが不一致適切な登録を行った147試験のうち、登録したアウトカムと発表したアウトカムが一致していなかったのは、31%の46件にも上った。その原因を23試験について調べてみると、事前に設定したアウトカムではなく、統計的有意性の見られたアウトカムを発表している場合が19件(82.6%)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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排尿障害改善薬ユリーフが韓国で発売 製品名はTHRUPAS

 キッセイ薬品工業株式会社は9日、同社が創製し、Choongwae Pharma Corporation(株式会社チョンウェ製薬:韓国)に技術導出した前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬「シロドシン」(日本製品名:ユリーフ)について、チョンウェ製薬は 9月1日に韓国にて発売したと発表した。 キッセイ薬品は、2004年にシロドシンの韓国における独占的開発・販売権をチョンウェ製薬に供与する技術導出契約を同社と締結していた。その後、チョンウェ製薬は韓国において臨床試験を実施して昨年承認を取得し、本年8月に薬価収載され、この度、製品名「THRUPAS(スルーパス)」として新発売された。 シロドシンは、キッセイ薬品が創製した選択的α1A受容体遮断薬であり、主に前立腺に存在するα1A受容体を遮断することにより、前立腺の緊張を緩和して尿道抵抗を改善し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する。既存薬に比べ効果の発現が早く、尿が出にくいなどの排尿症状と、頻尿や尿が我慢できないなどの蓄尿症状の両症状を改善する特長がある。 詳細はプレスリリースへhttp://www.kissei.co.jp/news/press2009/seg090909.html

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携帯でインフルエンザ予報をチェック

ジョルダン株式会社は、携帯電話向け経路検索&総合お出かけ情報サービス「乗換案内NEXT」のお天気情報コーナー「天気の時間」において、地震・台風情報、インフルエンザ予報の提供を開始した。インフルエンザ予報では、気温や湿度などの気象条件からインフルエンザ(新型・季節性)感染の警戒度を5段階で知らせてくれる。同サービスは、情報料月額210円(税込)(※通信料除く)。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.jorudan.co.jp/company/data/pdf_pr/20090909_tenki.pdf

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重症咽頭痛、ステロイド投与で症状を有意に改善?:メタ解析

英国オックスフォード大学プライマリ・ヘルスケア部門のGail Hayward氏らは、咽頭痛にステロイドが有効かどうかについて、システマティックレビューとメタ解析を行った。重症例や滲出性扁桃炎では、抗生物質投与に加えて投与することで症状改善が見られたと報告している。BMJ誌2009年8月29日号(オンライン版2009年8月6日号)掲載より。24、48時間時点での完治した患者の割合などを調査レビューと解析は、Cochrane Central、Medline、Embase、DARE(Database of Reviews of Effectiveness)、NHS Health Economics Databaseと文献目録を用いて行われた。転帰尺度は、24、48時間時点での完治した患者の割合、鎮痛開始までの平均時間、症状完治までの平均時間、仕事や学校を休んだ日数、再発、有害事象とした。抗生物質との併用で24時間時点では、有意に症状改善解析例は、8つの試験、被験者計743例(小児369例、成人374例)。そのうち348例(47%)は滲出性扁桃炎を有し、330例(44%)はA群β溶血性レンサ球菌陽性だった。抗生物質と鎮痛剤を投与した群で、ステロイド投与群は疼痛完治の尤度を有意に増加した。24時間時点では約3倍の開きがあった(4試験で、相対リスク:3.2、95%信頼区間:2.0~5.1)。48時間時点では、そこまで大きな開きはなかった(3試験で、同:1.7、1.3~2.1)。鎮痛開始までの平均時間は6時間以上(95%信頼区間:3.4~9.3、P

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吸入ブデソニドはCOPD患者の肺炎リスクを増大させない

吸入ブデソニド(商品名:パルミコート)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺炎リスクを増大させないことが、カナダBritish Columbia大学St Paul’s病院のDon D Sin氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。ブデソニドはCOPDの増悪を抑制しQOLを改善するが、肺炎のリスクを増大させる可能性が指摘されている。また、吸入ステロイド薬は肺炎リスクを約50%も増大させることを示す大規模臨床試験の結果もあるという。Lancet誌2009年8月29日号掲載の報告。7つの大規模臨床試験のプール解析研究グループは、COPD患者の肺炎リスクに及ぼすブデソニド吸入薬の影響について評価した。安定期COPD患者を対象に、吸入ブデソニド 320~1,280μg/日を投与する群(β刺激薬formoterolを併用あるいは非併用)と対照群(プラセボあるいはformoterol単独)を比較し、少なくとも6ヵ月以上のフォローアップを行った7つの大規模臨床試験の患者データをプールした。試験期間中あるいは終了後15日間における「有害事象」および「重篤な有害事象」としての肺炎のリスクついて両群間の比較を行った。intention-to-treatデータの解析にはCox比例ハザード回帰分析を用いた。有害事象としての肺炎:ブデソニド群3% vs. 対照群3%、重篤な有害事象としての肺炎:1% vs. 2%解析の対象となったのは7,042例で、ブデソニド群が3,801例、対照群は3,241例であった。有害事象としての肺炎の発症率は、ブデソニド群が3%(122例)、対照群も3%(103例)と両群で同等であった(補正ハザード比:1.05)。重篤な有害事象としての肺炎の頻度は、ブデソニド群が1%(53例)、対照群は2%(50例)であり、両群で同等であった(補正オッズ比:0.92)。有害事象あるいは重篤な有害事象としての肺炎発症までの期間は、いずれも両群間に差を認めなかった。著者は、「COPD患者に対する吸入ブデソニドの12ヵ月投与は、投与期間中の肺炎リスクを増大させないため、安全に使用できる」と結論したうえで、「加齢および肺機能低下は重篤な有害事象としての肺炎を有意に増加させることに留意すべき。性別、喫煙、BMIは有意なリスク因子ではない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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新規抗血小板剤Ticagrelorがクロピドグレルとの比較試験で心血管死と心筋梗塞を抑制する

アストラゼネカ株式会社は3日、米国アストラゼネカ社が行った、急性冠症候群患者を対象とした第III相並行群間比較試験であるPLATO試験(A Study of Platelet Inhibition and Patient Outcomes)において、Ticagrelorがクロピドグレルと比較して大出血リスクを増加させることなく(Ticagrelor 11.6% vs. クロピドグレル11.2%、p=0.43)、主要評価項目である心血管イベント発症リスク(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を有意に抑制したと発表した(Ticagrelor 9.8% vs. クロピドグレル11.7%〔12ヵ月経過時点〕、相対リスク減少率16%、95%信頼区間 0.77~0.92、p

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リバロキサバンの第III相臨床試験の患者登録完了

バイエル薬品株式会社の3日の発表によると、バイエル・シエーリング・ファーマ社は、ROCKET AF 試験と呼ばれる、心房細動患者における脳卒中及び非中枢神経系塞栓症の予防についてリバロキサバンの1日1回経口投与とビタミンK拮抗剤であるワルファリンの効果を比較する第III相臨床試験の患者登録が完了したと公表した。ROCKET AF 試験は、新規経口第Xa因子阻害剤リバロキサバン20mg の1日1回投与と、現在、標準治療薬として使用されているビタミンK拮抗剤ワルファリンの、心房細動(AF)患者における脳卒中及び非中枢神経系塞栓症の発症抑制効果と安全性を評価する試験。世界45ヶ国、1,100を超える医療施設から 14,269 名の患者が参加するプロスペクティブな試験で、無作為化、二重盲検、ダブルダミー試験が実施される。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-09-03.html#top

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インフルエンザだけじゃない!―赤ちゃんを脅かす秋冬の感染症

 8月27日、大手町ファーストスクエアにて開催された「周産期医療最前線 ―インフルエンザより早く来る!ママの知らないRSウイルス感染症」セミナーの第2報をお届けする。福島県立医科大学の細矢光亮氏は、RSウイルス(RSV)感染症の特徴や疫学、治療について述べ、罹患しやすい2歳未満の乳幼児の状況に加え、後年に及ぼす影響に関しても言及した。 RSVは、チンパンジーの鼻炎例から初めて分離され、その後呼吸器疾患の患児からも同様のウイルスとして分離された。細胞変性効果としてsyncytiumが特徴的に見られることから、Respiratory Syncytial Virusと命名されている。 感染経路は接触および飛沫であり、生体外でも長時間感染力を保つ(カウンターで6時間後でもウイルス分離可能)。通常は鼻炎などの上気道炎の原因となるが、乳児や高齢者では、細気管支や肺胞で増殖して下気道炎を起こすことが問題となっている。 2歳までにほぼ100%が初感染するRSVであるが、およそ30%が下気道炎を起こし、3%が重症化して入院加療を要する。細矢氏によれば、1歳までの患児の月齢別分布は、3~6ヵ月齢が比較的多いものの大きな差はなく、母親からの移行抗体で完全には防御できないとのことである。さらに、在胎32週未満の早産児では移行抗体が少ないため、重症化のリスクが高い。 また、3ヵ月齢未満と3ヵ月齢以上を比較すると、主な症状の出現率はほぼ同等であったが、陥没呼吸や喘鳴などの持続期間は3ヵ月齢未満で有意に延長しており、呼吸管理や入院加療を必要とした例も有意に多かった。 ワクチンや有効な治療法がないRSV感染症の重篤化を抑制する唯一の薬剤として、RSVのF蛋白特異的な中和抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)がある。第1報でも触れたように、早産児など高リスクのRSV感染症における入院率が、パリビズマブによって非投与群の半分以下に減少したと報告されている。 ここで、RSV感染による細気管支炎と、後年の喘鳴・喘息の発症の有意な関連性がこれまでの複数の調査結果で示された。細矢氏は、免疫学的な見地から、その機序について述べた。 まず、新生児~乳幼児では相対的にTh-2優位である。その上で、細矢氏は、RSV感染児におけるTh-2/Th-1バランスを非感染群と比較すると、有意にTh-2優位となっているデータを示した。さらに、RSV感染症の回復期には、他のインフルエンザ感染症などと異なり、好酸球数が有意に増加し、アレルギー性炎症に関与するケモカインであるRANTESも有意に濃度上昇するとのことである。すなわち、もともとアレルギーリスクの高い新生児期にRSV感染すると、リスクはさらに増大すると考えられる。 一方、乳児期のRSV感染と、81ヵ月後までの喘鳴および91ヵ月後の喘息の有意な関連が報告されている。細矢氏は、RSV感染によってTh-2優位となり、気道過敏状態が持続することで、反復性喘鳴を呈すると述べた。 そこで、パリビズマブによる喘息発症予防を検討した、WOO-353 Studyが紹介された。その結果であるが、パリビズマブ投与群における反復性喘鳴の発症率は、非投与群の半分程度と有意に減少した。 細矢氏は、パリビズマブによって、3歳までの早期喘鳴の罹患率を減らせるだけでなく、5歳ごろをピークとする後年の非アトピー性反復性喘鳴の罹患率も減ずることができるであろうとし、講演を締めくくった。

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