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解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?

 バイエル薬品株式会社は7月6日に都内にて、リアルワールド・エビデンスに関するプレスセミナーシリーズの第2回を開催し、慶應義塾大学医学部循環器内科特任講師の香坂 俊氏と東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野主任教授 池田 隆徳氏が登壇した。(第1回:リアルワールドの成績はどう読み解くべき?)リアルワールド・エビデンスはなぜ必要か? リアルワールド・エビデンスとは、臨床研究のうちコホート研究、データベース研究、症例対照研究と呼ばれるものから得られるエビデンスのことである。香坂氏は、開発段階の無作為化対照試験(RCT)の問題点が明らかになった事例として、心不全の標準治療に抗アルドステロン薬を追加することの有効性を示したRALES試験を紹介した。同試験の発表後、カナダ・オンタリオ州では高カリウム血症による入院が顕著に増加したという。その原因として、リアルワールドでは臨床試験で除外されていた腎機能障害例などにも同療法が使用されたことや、実臨床では臨床試験ほど厳格な管理が行われない点などが考えられている。これらのことから、薬自体の有効性はRCTから確認できるが、治療法を適応できる人やその恩恵を享受できる人を見極めるために、リアルワールド・エビデンスが重要であることを同氏は説明した。 そのうえで、「RCTが可能性を示し、診療ガイドラインがルールを設定し、それに沿って実践した結果であるリアルワールド・エビデンスが、さらにフィードバックをかけるという循環が機能することが、現在の医療においてあるべき体制である」と述べた。解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?  続いて池田氏が講演し、臨床試験の結果とリアルワールド・エビデンスにおいて、一貫性が得られるかどうかを検証する必要があると述べた。また、欧米と日本では用量設定が異なることから、日本におけるリアルワールド・エビデンスが重要であることを強調し、同氏が委員を務める、平均観察期間392日、9,011例を解析対象としたリバーロキサバン市販後特定使用成績調査XAPASSの第3回中間集計結果(2015年9月15日時点)を発表した。 同調査では、重大な出血事象1.31%/年、脳卒中・非中枢神経系塞栓症・心筋梗塞の複合イベントの発現1.42%/年であり、第III相臨床試験であるJ-ROCKET AF試験と比較して、予測し得ない頻度の出血関連イベントや複合イベントは確認されていないとのことである。この結果を受けて、同氏は、リアルワールドにおける有効性と安全性はこれまでのところ、きわめて良好なバランスであるとの見解を示した。今後、用量ごとのアウトカム、ならびに服薬アドヒアランスとの関係についても、より詳しく調査していく予定であると述べた。本解析結果の詳細は、8月に開催される2016年欧州心臓病学会(ESC)のLate Braking Science Sessionで発表される予定だ。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第30回

第30回:造影CT検査を適正に行うために監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 CT(Computed Tomography)検査は物体を透過したX線の量をデータとして集めてコンピュータ処理し、物体の断面画像を得る検査です。現在、多くの施設で実用化されている装置はマルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を撮影することができるうえ、立体的な画像(3D画像)を容易に撮像できるようになり、今日の日常診療で欠かせない検査となっています1) 。 今回の記事では造影CT検査撮像の適応、造影剤の副作用などを中心に、適正な使用について今一度整理をしてみます。 以下、American Family Physician 2013年 9月1日号2) より造影CT検査を適切に行うためには造影剤の種類・リスク・禁忌・造影剤使用が適切な臨床状況を知っておくことが必要である。<製剤の種類と投与経路>最もよく使用される造影剤はバリウムやヨード製剤があり、投与経路は経口・直腸・静脈・くも膜下投与が挙げられる。経口製剤は一般的に腸の病変が疑われる場合や、腹部・骨盤CTで使用される。直腸投与は直腸穿孔が疑われるときに適応となる。静脈製剤は血管組織や腹部・骨盤の固形臓器の評価の際に適応となる。くも膜下でのヨード製剤投与は脊髄造影で、脊髄・基底槽病変や脳脊髄液漏出の評価に用いられる。<造影剤の副作用>ヨードの濃度で高浸透圧か低浸透圧に分類され、ほとんどの施設は非ヨード性製剤(低浸透圧製剤)を使用する。重篤な副反応にはアナフィラキシー症状が挙げられ、頻度は1/170,000とされている。非ヨード製剤のほうが副反応は少ないとされている。造影剤の副作用のリスクとしては、薬剤アレルギーと気管支喘息が挙げられる。また腎障害も造影剤使用の際には注意が必要である。腎機能のスクリーニングとして、検査1ヵ月前にクレアチニンが測定され、一般的にクレアチニン1.5~2.0mg/dL以上、または増加傾向のときに他の投与方法を検討しなければならない。造影剤による腎症を起こすリスク因子は、慢性腎臓病・糖尿病・心不全・高齢・貧血・左室機能障害・大量の造影剤使用が挙げられる。<造影剤使用の注意点>静注製剤が忌避を検討すべきときは、造影剤への過敏性の既往・妊娠・甲状腺疾患に対するヨード製剤使用・メトホルミン製剤使用・腎不全が挙げられる。過敏反応はその重症度を評価し、それが小さな反応であれば前投薬(ジフェンヒドラミンとコルチコステロイド)でリスクが減る可能性がある。【アナフィラキシー反応の既往がある患者】緊急時以外は造影剤使用を控えるべきである。【妊婦】造影剤が胎盤を通過するため注意が必要である。アメリカ放射線学会では妊婦に対する造影剤使用の推奨があり、母体と胎児のケアに影響がある情報が造影剤使用でないと得られず、撮像指示医が妊娠後まで待てないと判断した場合に推奨される。【ヨード製剤で加療中の甲状腺疾患の患者】ヨード系造影剤使用で甲状腺へのI-131の取り込みが減弱し、治療効果が落ちるので使用を避けるべきである。【メトホルミン使用の患者】腎機能を変化させメトホルミン排泄を障害する可能性があり、代謝性アシドーシスのリスクが上がる (頻度はまれだが、腎機能障害の患者で相対的に多い)。アメリカ放射線学会の推奨では、腎機能正常時・合併症がないときはメトホルミン使用継続・クレアチニンの測定不要で、それ以外ではメトホルミン内服制限・クレアチニン測定が推奨される。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本放射線技術学会. CT検査. http://www.jsrt.or.jp/data/citizen/housya/ct-01/ (2016.6.30参照). 2) James V,et al. Am Fam Phisician.2013;88(5):312-316

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重症外傷患者への即時全身CTは有用か/Lancet

 重症外傷患者に対する即時の全身CTスキャン診断は、標準放射線精密検査を行った場合と比較して、院内死亡の低下には結び付かないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJoanne C Sierink氏らによる無作為化試験の結果、示された。先行研究において、外傷患者の初期評価における、全身CTスキャンの生存へのベネフィットが示唆されていた。ただし、レベル1のエビデンス報告はなかった。Lancet誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。標準精密検査との比較で院内死亡の差を評価 検討は、オランダの4病院とスイスの1病院で行われた。被験者は、18歳以上、易感染性バイタルパラメーターを有し、臨床的に生命の危険が伴うまたは重症の外傷患者であった。被験者を、即時全身CTスキャンを行う群と標準精密検査を行う群(従来画像診断のうえで選択的CTスキャンを施行)に、1対1の割合でALEA法を用いて無作為に割り付けた。割り付けについて医師も患者もマスキングはされなかった。 主要エンドポイントは、院内死亡率で、intention-to-treat集団での解析、およびサブグループ解析として多発性外傷患者群と外傷性脳損傷(TBI)群について分析した。死亡率の差はχ2検定で評価した。有意差なし、サブグループの多発性外傷群やTBI群の解析でも 2011年4月22日~2014年1月1日の間に、5,475例が試験適格の評価を受け、1,403例が無作為化を受けた(即時全身CTスキャン群702例、標準精密検査群701例)。 主要解析には、即時全身CTスキャン群541例、標準精密検査群542例が組み込まれた。解析の結果、院内死亡は、即時全身CTスキャン群86例(16%)、標準精密検査群85例(16%)で群間差はみられなかった(p=0.92)。 サブグループ解析の結果も同様だった。多発性外傷患者群(解析対象はそれぞれ362例、331例)については、81例(22%) vs.82例(25%)で有意差はみられず(p=0.46)、TBI群(178例、151例)についても、68例(38%) vs.66例(44%)で有意差はみられなかった(p=0.31)。 重篤有害事象は、即時全身CTスキャン群3例(1%)、標準精密検査群1例(<1%)の報告であった(p=0.37)。そのほかに無作為化後に除外された被験者1例でも報告されている。死亡は全体で5例であった。 著者は、「即時全身CTスキャン診断を受けた患者の院内死亡は、標準放射線精密検査を受けた患者と比較して抑制されない」と結論し、「放射線照射量の増大を考慮し、さらなる検討は患者を絞り込んで、即時全身CTによるベネフィットがあるかを調べるべきであろう」とまとめている。

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日本のTAVIリアルワールドを示す「OCEAN-TAVIレジストリ」

Investigators Interview日本のTAVIリアルワールドを示す「OCEAN-TAVIレジストリ」TAVIは、デバイスの進化、知見の集積、技術の向上により大きく発展している。日本でも2013年に保険償還され現在その施行数は増加している。今回は、日本で初めてTAVIのリアルワールドの実態を示した「OCEAN-TAVIレジストリ」について、同レジストリのLead principal investigatorであり日本初のTAVI指導医である慶應義塾大学 循環器内科 林田健太郎氏に研究の背景とその結果について聞いた。講師紹介

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抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。 著者らは、うつ病患者におけるZ薬の無作為化プラセボ/抗うつ薬単独対照試験を抽出した。有効性と安全性の主要評価項目は、それぞれ寛解率と全原因による中止とした。副次評価項目は、反応率、HAMD合計スコアの改善、無効および有害事象による中止、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、NNT/NNH、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・6件が抽出された。 SSRI+ベンラファキシン(平均期間:10.5週、平均年齢:44.4±11.8歳):2,089例 エスゾピクロン+抗うつ薬:642例 プラセボ+抗うつ薬:930例 抗うつ薬単独:112例 ゾルピデム+抗うつ薬:405例・寛解率について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬よりも優れていた(RR:0.85、NNT:10)。・HAMDスコアの改善について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独よりも優れていたものの(SMD:-0.23)、反応率、無効による中止率に有意な群間差はみられなかった。・全原因による中止率に群間差はみられなかった。・有害事象による中止率に群間差はみられなかったが、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、1件以上の有害事象発生(RR:1.09、NNH:20)、めまい(RR:1.76、NNH:25)の発生率の高さとの関連が認められた。 著者らは「Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、うつ病治療の有効性の改善が期待できるが、有害事象、とくにめまいへの密なモニタリングが必要である」としている。関連医療ニュース 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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スタチンを中断する患者、7割以上が再開/BMJ

 スタチン治療患者の中断率および再開率を調べた結果、1次予防目的での服用開始患者の中断率は47%、うち再開率は72%であり、2次予防患者ではそれぞれ41%、75%であったという。英国・パーク大学のYana Vinogradova氏らが、同国プライマリケア・データベースを用いた前向きオープンコホート試験の結果、報告した。スタチン治療については先行試験で、中断率が高く、アドヒアランスが低いことが示されている。また傾向として、若年層または高年齢層、女性、マイノリティ、喫煙者、BMI低値、非高血圧または非糖尿病の患者でアドヒアランスが低いことが示されていた。しかし、大半の試験が一般市民の代表を対象としたものではなく、試験デザイン、曝露やアウトカムの定義がまちまちであった。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。英国プライマリケア・データベースで、中断率、再開率および患者特性を調査 研究グループが活用したのは、英国のClinical Practice Research Datalinkで、664人の一般医(GP)が関与していた。2014年10月時点でデータを抽出し、スタチン治療の中断率および再開率を調べ、それぞれの患者の特性を調べた。 対象被験者は、2002年1月~2013年9月の間にスタチン治療を開始した25~84歳。研究グループは、被験者を1次予防群と、2次予防群(心血管疾患の診断歴のある患者)の2群に分類した。試験登録前の12ヵ月間にスタチン処方を受けていた患者は除外した。 主要アウトカムは、スタチン治療中断率(最終処方日と推定される日から90日の間がある)、および中断者における再開率(再開の定義は、中断以降の試験終了までのあらゆる処方)とした。中断-再開の詳細な患者傾向が判明 1次予防群は43万1,023例。追跡期間中央値137週において、中断率は47%(20万4,622例)であり、うち再開率は72%(14万7,305例)であった。2次予防群は13万9,314例。追跡期間中央値182週において、中断率は41%(5万7,791例)であり、うち再開率は75%(4万3,211例)であった。 患者特性を調べた結果、若年層(50歳以下)、高年齢層(75歳以上)、女性、慢性肝疾患の患者は、中断率が高く、再開率が低い傾向が認められた。一方で、マイノリティ、現在喫煙、1型糖尿病の患者は、中断率は高いが再開率も高い傾向がみられた。一方で、高血圧、2型糖尿病の患者は、中断率が低く、たとえ中断しても再開する割合が高い傾向が認められた。 これらの結果は、1次予防群と2次予防群でほとんど変わらなかった。 著者は、「スタチン使用者のうち中断する人は多いが、そのほとんどで再開がみられた。“中断”が想定される大多数の患者にとって、スタチン治療の中断は、幅広く存在する低率アドヒアランス問題の一部にすぎないのだろう」と述べ、「どの患者が中断群または中断-再開群となるかを識別することは、患者および医師にとってポジティブな意味があり、さらなる検討領域であることが示唆される」とまとめている。

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ATACH-2とINTERACT2:脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきか?(解説:有馬 久富 氏)-563

 急性期脳出血に対する、積極的降圧療法の効果を検討したATACH-2試験の結果が、N Engl J Med誌に掲載された。ATACH-2は、無作為化オープン比較試験である。発症4.5時間以内で、収縮期血圧180mmHg以上の脳出血患者が、収縮期血圧110~139mmHgを目標とする積極的降圧療法群と、140~179mmHgを目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。当初のサンプルサイズは、1,280例であったが、中間解析で「治療効果なし」と判定され、1,000例の段階で早期終了となった。その結果、3ヵ月間後の高度身体機能障害あるいは死亡(modified Rankin Scale 4-6)の頻度に、割付群間で差を認めなかった(積極的降圧療法群38.7% vs.通常治療群37.7%、相対危険1.04、p=0.72)。 ATACH-2の結果は、私がシドニー大学在職中に従事したINTERACT2試験1)の結果と異なるものであった。INTERACT2も無作為化オープン比較試験であり、発症6時間以内で、収縮期血圧150~220mmHgの脳出血患者2,839例が、収縮期血圧140mmHg未満を目標とする積極的降圧療法群と、180mmHg未満を目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。その結果、積極的降圧療法により3ヵ月後の高度身体機能障害あるいは死亡(modified Rankin Scale 3-6)の頻度は約4%減少した(相対危険0.87、p=0.06)。 なぜ、ATACH-2試験とINTERACT2試験で異なる結果が得られたのであろうか?理由の1つとして、対象者の治療開始前の収縮期血圧の違いがあるかもしれない。ATACH-2試験では収縮期血圧の上限がなかった(平均約200mmHg)のに対し、INTERACT2試験では収縮期血圧の上限を220mmHgに設定していた(平均約179mmHg)。来院時の収縮期血圧が220mmHg以上と非常に高い脳出血患者では、慎重な降圧が必要なのかもしれない。別の理由として、治療開始後の降圧レベルの差もあるかもしれない。ATACH-2試験の積極的降圧療法群では、収縮期血圧110~139mmHgが目標とされ、治療中の収縮期血圧平均値は120mmHg程度であった。一方、INTERACT2試験の積極的降圧療法群では、収縮期血圧130mmHg未満で治療を一時中断するプロトコルだったため、実質的には収縮期血圧130~139mmHgが目標とされており、治療中の収縮期血圧の平均値も140mmHg程度であった。INTERACT2試験のサブ解析において、予後の最も良い至適降圧レベルは130mmHg付近であり、それ以下では、高度身体機能障害/死亡が増加する傾向にあった2)ことを考えると、過度な降圧は避けたほうがよいのかもしれない。 現時点のエビデンスに基づいた場合、脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきであろうか? INTERACT2試験で積極的降圧療法が予後を改善する傾向にあったこと、ATACH-2試験で少なくとも死亡や身体機能障害を増悪させることはなかったことを考えると、今後も積極的降圧療法を行っていくべきであろう。ただし、来院時の収縮期血圧が非常に高い(220mmHg以上)場合には、慎重な降圧が必要かもしれない。また、ATACH-2試験およびINTERACT2試験サブ解析の結果から、過度の降圧を避け、収縮期血圧130~139mmHgを降圧目標とすることが望ましいであろう。

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マスコミ報道がスタチン服用中止率に影響/BMJ

 マスコミがスタチンのリスクとベネフィットについて広く報道し世間で激しい議論が繰り広げられた後、患者のスタチン服用中止率は一時的に上昇した。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのAnthony Matthews氏らが、同国のプライマリケアのデータを用いて分割時系列分析を行い、報告した。著者は、「これは、一般のマスコミで広く扱われる健康に関する記事が、ヘルスケア関連行動に影響する可能性があることを強調している」と述べている。これまでにも、デンマーク、オーストラリア、トルコ、フランスの研究で、マスコミの否定的な報道がスタチンの中止率や処方率に影響を及ぼすことが示唆されている。英国では2013年10月、スタチンに関して物議を醸す論文2報が発表され、その後、スタチンのリスクとベネフィットについてマスコミで議論が繰り広げられていた。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。マスコミ報道後のスタチンの開始・中止についてプライマリケアのデータを分析 研究グループは、英国のプライマリケアの診療記録が登録されたClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用い、2011年1月~2015年3月の各月に、心血管疾患(CVD)の1次予防または2次予防でスタチンを新規または継続で服用している40歳超の患者を対象に、前向きに収集された電子データの分割時系列分析を行った。 主要評価項目は、マスコミ報道の過熱(2013年10月~2014年3月)後のスタチン服用の開始および中止に関する補正オッズ比であった。なお、この期間は、スタチンに関する論文がBMJで発表された日を開始日とし、終了日はGoogleにおける「スタチン副作用」の検索回数を分析し設定した。スタチン開始は変化なし、中止は1次予防で11%、2次予防で12%それぞれ増加 スタチンの開始については、マスコミ報道の過熱が関連したというエビデンスは、CVDリスクが高い患者(1次予防)またはCVDイベントの最近の既往のある患者(2次予防)のいずれにおいても確認されなかった(それぞれのオッズ比[OR]は、0.99[95%信頼区間[CI]:0.87~1.13、p=0.92]、1.04[95%CI:0.92~1.18、p=0.54])。 一方、スタチンをすでに服用している患者については、マスコミ報道の過熱後、1次予防または2次予防のいずれも服用を中止する傾向が有意にみられた(それぞれORは1.11[95%CI:1.05~1.18、p<0.001]、1.12[95%CI:1.04~1.21、p=0.003])。 層別解析では、高齢者および長期服用者がマスコミ報道過熱後にスタチンの服用を中止する傾向が認められた。また、事後解析の結果、服用中止率の増加は最初の6ヵ月間に限定されていたことも示された。 なお、結果について著者は、スタチンの開始・中止は処方記録に基づいており、実際に処方されたかあるいは患者が服用したかどうかは不明であることや、低用量スタチン(OTC)の使用は含まれていないなどの点で研究には限界があるとしている。

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未成年に抗うつ薬は処方すべきか~長い論争の果てに(解説:岡村 毅 氏)-562

 若年者のうつに対して抗うつ薬を使用すべきかどうかという、長い長い論争(と膨大な文献)における、最新の報告である。端的には、fluoxetine以外の抗うつ薬は、有効性を明確に示せなかったということが報告されているが、論争は続くだろう。 fluoxetineのみが有効性を示した事に関してであるが、言うまでもなく、そもそも本邦では承認されていない。加えて、性格を明るくするハッピードラッグなどと言われたり、“Prozac Nation”などという有名な本もあり、米国文明批評をする言説の標的となっている感もあり、なんともコメントしづらい。いや、臨床医としては、自分が処方したことがない以上、この薬剤についてコメントしてはならないだろう。 なお、fluoxetineは、FDAが未成年への使用を承認した唯一の抗うつ薬であり、したがって、本論文でも圧倒的に多くの報告が組み込まれている。このことは、結果にどのような影響を与えているのだろうか。 誤解のないように付記するが、もともと若年者には抗うつ薬が初めから処方されることはなく、2004年のFDA警告(子供の自殺リスクを増やす可能性、ただし、いまだに論争あり)を踏まえれば、むしろ処方しないに越したことはなく、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトでも、まず心理療法(認知行動療法や対人関係療法)がなされるべきだと明記している。しかし、それでも症状が改善しない場合にどうするか。未成年においてもさまざまな報告がある以上、本論文のようなメタアナリシスの重要性を否定するつもりはないが、社会的要因(恵まれた家庭の子息では抗うつ薬よりも心理療法が効果的)を示す報告(ref※)もあり、十把一絡げの解析を盲目的に信じるのも抵抗がある。 最後に、高齢者を専門とする臨床医として感想を一言述べたい。高齢者においては「うつ病エピソード」はさまざまな理由で起こりうるが、表面的な現象であることも多い。外来に「うつです」と来院される年配の方は多いが、初期のアルツハイマー型認知症のために仕事の失敗が増えて、当然の反応として抑うつ的になっている方や、レビー小体型認知症(DLB)の一症状としてのうつという方も多い。中枢神経の変性疾患の方に、抗うつ薬を処方すると有害事象が生じやすく、とくにDLBでは非常に危険なのである。また、高齢期はさまざまな環境変化(多くは別れと喪失)の時期でもあり、抗うつ薬で治るようなものではない。結果的に、私はほとんど抗うつ薬は処方しないが、しばしば純粋なうつ病の方には処方し、著効する。しかし、世間では、認知症なのに表面的な操作診断に基づいて抗うつ薬を処方されている方は多いようだ。児童思春期・高齢期は、心の成長期・収穫期という違いはあるが、安定した成人期の前・後という点では共通点も多いように感じている。エビデンスは重要だが、この論争にはなかなか決着はつかないのではないか、と思う次第である。参照文献※ Curry J, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2006;45:1427-1439. 

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感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!? 感染対策

第1回 感染対策総論 第2回 多剤耐性菌って何? 第3回 感染対策の基本はMRSA 第4回 どうする?多剤耐性菌の感染対策 第5回 最も大変!インフルエンザの感染対策 第6回 感染力が強いノロウイルス 第7回 命にかかわる!カテーテル関連血流感染症 第8回 入院中の患者が下痢!クロストリジウム ディフィシル感染症 第9回 ワクチン接種が自分自身と患者を守る 感染対策の理想を言うことは簡単です。でも、実際の医療の現場において、理想的な対策をとることは非常に困難です。また、どんなに感染対策を講じても、感染を“ゼロ”にすることはできません。感染が起こったときに問われることは「どこまでの対策をやったか」ということ。アウトブレイクを防ぐためにも、また、医療訴訟に負けないためにも、理想論ではなく、置かれている医療機関の現状を踏まえ、実際にやるべき感染対策について、感染症コンサルタント岸田が明確にお教えします。第1回 感染対策総論 感染対策の理想をいうことは簡単です。でも、実際の現場において、理想的な対策をとることはできません。そのなかで、置かれている医療機関の現状を踏まえ、本当に何をどこまでやれば良いのか。そのGOALは意外に明確です。第2回 多剤耐性菌って何? MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌すなわちメチシリンに耐性であるということが明確ですが、多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクターなどの多剤耐性菌の“多剤”とはどのようなを示すのかご存知ですか?複数の抗菌薬に耐性があることなのでしょうか?これからさまざまな微生物の感染対策に進む前に、定義を確認しおきましょう。対策のためにもちろんですが、「国や自治体への報告の義務」にも関わってくるので、しっかりとして理解が必要です。第3回 感染対策の基本はMRSA なんといっても感染対策の基本はMRSAです。最近ではMRSAに関する報道もなく、MRSAに慣れっこになっていませんか?でも実は日本の医療機関で検出される黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合はなんと50%!まだまだ高いのが現状です。そのMRSAを抑えることができれば、院内感染を“ゼロ”に近づけていくことも可能です。MRSAの感染対策について理想論を語るのではなく、理想と現実のギャップを理解した上で、実際にどうすべきかをお教えします。MRSAを制するものは感染対策を制する!第4回 どうする?多剤耐性菌の感染対策 感染対策の一番の基本である、MRSAの次の微生物といえば多剤耐性緑膿菌(MDRP)です。多剤(薬剤)耐性緑膿菌の定義は覚えていますか?IMP (イミペネム)、AMK (アミカシン)、CPFX (シプロフロキサシン) の3剤に耐性を持つ緑膿菌です。でも、こうなってしまうと、治療の選択肢がなくなってしまうのです。そうなる前に手をうつことが重要です。そうなる前とはどういったことか?そして何をすればいいのか?臨床現場でやるべきことについて詳しく解説します。もちろん緑膿菌だけでなくアシネトバクター、セラチアなどの多剤(薬剤)耐性菌の感染対策についても見ていきます。第5回 最も大変!インフルエンザの感染対策 インフルエンザの感染対策について見ていきましょう。感染対策を考える上で重要なことは、感染経路と感染性のある期間についてキチンと知っておくことです。また対策は、患者さんだけではありません。医療者が発症した場合についても考えておく必要があります。どこで線を引くのか、現実的な対策について、一緒に考えていきましょう。第6回 感染力が強いノロウイルス ノロウイルスは10~100個程度の少量のウイルスで感染が成立、僅かな糞便や吐物から空気を介して経口感染するなど、非常に感染力が強いウイルスです。しかも、手指衛生の基本であるアルコールも無効で感染対策は一筋縄ではいきません。その為、医療者も病院も、そして一般の人たちもノロウイルスの感染対策は重要だと思っているかと思います。でも、ノロウイルスだけが重要なのでしょうか。冬季下痢症の原因はノロウイルスだけではありません。ロタウイルスやアデノウイルスなどさまざまです。それぞれのウイルスに対しての対策を講じるのか?感染症コンサルタントがお答えします。第7回 命にかかわる!カテーテル関連血流感染症 医療関連感染症の中でも、急激な経過をたどることが多い重篤な感染症 カテーテル関連血流感染症(CRBSI:catheter-related bloodstream infection)についてみていきます。CRBSIを疑うと、カテーテルを抜去しないといけないのでしょうか?CRBSIの診断に重要なことは何なのか!予防のためにできることは?そして予防するための特効薬は?実例やエビデンス、そしてコンサルタント岸田の経験を提示しながら、詳しく解説します。第8回 入院中の患者が下痢!クロストリジウム ディフィシル感染症 今回のテーマはクロストリジウム・ディフィシル感染症です。クロストリジウム・ディフィシル(CD)の感染対策については、診断・治療などの臨床の側面を押さえておくことが重要です。入院中の患者さんが突然下痢に!さあ、あなたならどう対応しますか?抗菌薬が入っている、それならばCDIだと、治療と感染対策を進めますか?抗菌薬が入っているからCDIだろうと疑ってかかるのは大きな間違いです!どのように診断をすすめ。治療はどうするか?そして感染対策は?感染症コンサルタントが事例を提示しながら詳しくお教えします。第9回 ワクチン接種が自分自身と患者を守る 受けていますか?ワクチン接種。既に御存知の通り、ワクチン接種は、病気からあなた自身を守ります。もちろん患者さんにもワクチン接種を進めましょう。ですが、医療者として忘れてはならないのは、あなた自身の接種が患者さんを守るということです。医療者がワクチンを接種していないことで起こった実際の事例を取り上げ、やるべき対策とそれを実現するための道筋をお教えします。

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先送りのすすめ【Dr. 中島の 新・徒然草】(126)

百二十六の段 先送りのすすめ大昔のこと。その日の仕事は必ずその日のうちに済ませてしまう、という同僚がいました。今考えても凄い人です。「その日の仕事」というのを具体的に挙げると、診断書の作成やメールの返事、送るべきファックスなどです。どんなに遅くなってもこれらを先延ばしにせず、必ず片付けてしまってから帰るわけですから、誰が見ても偉大な人といわざるをえません。とはいえ、忙しい時に限ってさらにいろいろな事が重なるのが世の常というもの。そろそろ帰ろうかと思ってから新しい案件が降ってきたり、片づいたはずの宿題に抜けが見つかったりすることは珍しくありません。もうヤケクソになって何もかも放り出して帰ってしまったことも一再ならずありました。ところが、翌朝4時頃に起き出して続きを始めるとアラ不思議! あっと言う間に片付いてしまうではありませんか。夜なら2時間かかる仕事が朝なら30分。体感的にはそんな感じです。一仕事終えてシャワーを浴びてもまだ6時。ちょっと早いけど出勤するか~と思いつつ、何だか得した気分で家を出るわけです。朝は脳内前向き物質のようなものが分泌されているのかもしれません。Never leave that till tomorrow which you can do today.(今日できることは明日に延ばすな)とは、かのベンジャミン・フランクリンの名言ですが、事によっては翌日に持ち越すのも悪くないのでは、と思います。もちろん、朝4時に起きるというのが前提です。起き損なった時の悲惨な結末は想像したくないですね。最後に1句先送り 翌朝起きて さあやるぞ

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統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

 ドパミン仮説に従って、ドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子についていくつかの研究が行われている。しかし、利用できるDRD2のトライトバイオマーカーはない。愛媛大学の吉野 祐太氏らは、白血球におけるDRD2上流領域におけるメチル化率について、統合失調症患者と対照健常者で異なっているかを検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月6日号の報告。 著者らは、主要な転写因子を結合することができるDRD2上流領域における7CpGサイトを選択した。薬物治療中の統合失調症患者50例と非薬物療法統合失調症患者18例のメチル化率を、年齢をマッチさせた対照健常者と比較した。 主な結果は以下のとおり。・薬物治療中の統合失調症患者のメチル化率は、有意に低かった[CpG2(p<0.0001)、CpG4(p=0.013)、CpG7(p<0.0001)、平均:12.9±1.8 vs.14.1±2.2(p=0.005)]。・非薬物療法統合失調症患者のメチル化率も、有意に低かった[CpG1(p=0.006)、CpG2(p=0.001)、CpG3(p=0.001)、CpG5(p=0.02)、CpG6(p=0.015)、CpG7(p=0.027)、平均:9.86±0.9 vs.11.2±1.3(p=0.002)]。・白血球におけるDRD2の低メチル化率は、統合失調症のトライトバイオマーカーとなりうることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー 統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

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急性呼吸不全のICU入院患者に早期リハビリは有効?/JAMA

 急性呼吸不全で人工呼吸器を要するICU入室患者に対し、早期からリハビリ療法を行っても、ICU通常治療を行った場合に比べ、入院期間の短縮にはつながらなかった。米国・ケンタッキー大学のPeter E. Morris氏らが、300例を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。JAMA誌2016年6月28日号掲載の報告。人工呼吸器使用日数やICU入院日数、SPPBスコアなども比較 研究グループは2009年10月~2014年5月にかけて、単施設(ノースカロライナ州にあるウェイクフォレスト・バプティスト医療センター)にて、急性呼吸不全で人工呼吸器を要する患者300例を対象に無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方には標準化したリハビリ療法(SRT)を毎日実施。もう一方の対照群には通常のICUにおける治療を行い、臨床チームから要請があった場合にのみ平日に理学療法を行った。SRT群には、受動的関節可動域訓練(実施日数中央値:8.0日)、理学療法(同:5.0日)、筋力増強訓練(同:3.0日)を行った。対照群の理学療法実施日数中央値は、1.0日だった。 主要評価項目は、入院期間だった。副次的評価項目は、人工呼吸器使用日数やICU入室日数、身体能力を評価するSPPB(Short Physical Performance Battery、簡易身体能力バッテリー)スコア、健康関連QOLの尺度であるSF-36(36-item Short-Form Health Surveys)スコア、日常生活難易度を評価するFPI(Functional Performance Inventory)スコア、認知機能を評価するMMSE(Mini-Mental State Examination)スコア、握力・ハンドヘルド・ダイナモメーター測定力だった。  両群ともICU退室時および退院時、2、4、6ヵ月時に、評価者盲検テストを受けた。6ヵ月後のSPPB・SF-36身体機能スコアではSRT群が高値 被験者の平均年齢は58歳、うち女性は55%だった。入院日数の中央値は、対照群が10日(四分位範囲:7~16)に対し、SRT群も10日(同:6~17)と同等だった(p=0.41)。人工呼吸器使用日数やICU入院日数についても、両群で有意差はなかった。 6ヵ月後の握力(p=0.23)やハンドヘルド・ダイナモメーター測定力(p=0.82)、SF-36身体スコア(p=0.05)、SF-36メンタルヘルススコア(p=0.19)、MMSEスコア(p=0.17)のいずれについても、両群で同等だった。 一方で、6ヵ月後のSPPBスコアは、SRT群が対照群より有意に高かった(群間差:1.1、p=0.04)。SF-36身体機能スコア(群間差:12.2、p=0.001)、FPIスコア(群間較差:0.2、p=0.02)についても、SRT群が対照群より有意に高かった。

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重症下肢虚血に対するEVTの今後

Investigators Interview重症下肢虚血に対するEVTの今後末梢動脈疾患(PAD)に対する治療は、末梢血管インターベンション(EVT:endovascular treatment)の進歩により大きく発展しているが、重症下肢虚血(CLI)に対するエビデンスは十分とはいえない。CLIに対するEVTはどのように展開していくのか?宮崎市郡医師会病院 循環器内科 仲間達也氏に聞いた。TASC(Transatrantic intersociety consensus)ⅡNorgren L, et al. Inter-Society Consensus for the Management of Peripheral Arterial Disease (TASC II). J Vasc Surg. 2007;45: S5-67.講師紹介

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133)上手な筋トレの指導法【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師血圧のために、運動はどんなことをされていますか? 患者週に3回は歩くように心がけています。けど、天気の悪い日は歩けなくて…筋トレは血圧が上がりそうだし…。 医師そんなことはありせんよ。上手にやれば、筋トレもいい運動になりますよ。 患者そうなんですか!(興味津々) 医師ポイントは呼吸を止めずに、筋トレをすることです。 患者なるほど。 医師1、2、3…と声を出しながら、息を止めずにゆっくり丁寧にすると、上手に筋トレができます。 患者早速、やってみます(嬉しそうな顔)。●ポイント筋トレも上手にやれば、降圧効果が上がることを具体的に説明します文献1)Cornelissen VA,et al.Hypertension.2011;58:950-958.2)Battagin AM,et al.Arq Bras Cardiol.2010;95:405-411.3)Moraes MR,et al.J Hum Hypertens.2012;26:533-539.

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東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大

 東日本大震災、とくに福島第一原子力発電所の事故は、住民だけでなく救援労働者にも深刻な心理的影響を与えている。公務員はストレスの高い状況で長期的な救済に非常に有用な役割を担っているが、彼らの精神医学的な特徴については明らかになっていない。福島県立医科大学の前田 正治氏らは、診断インタビューを用い、被災地で働く公務員のうつ病やPTSDの有病率を調査し、彼らの精神状態に影響を及ぼす心理社会的要因を推測した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年6月9日号の報告。 福島県の海沿いにある2つの町に勤務する公務員168人を対象に、診断インタビューと自己記入式のアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・公務員における現在の有病率は、うつ病で17.9%と高く、対照的にPTSDは4.8%と比較的低かった。・自己記入式アンケートと診断インタビューの結果から、住民からの強い苦情や怒りへの頻繁な曝露や職務への葛藤が、うつ病の高い有病率の原因と考えられる。 結果を踏まえ、著者らは「本検討により、福島で働く公務員の深刻な精神状態が明らかとなった。適切な精神医学的介入を行うために、効率的なケアネットワークの確立が急務である」としている。関連医療ニュース 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会” アジアの救急隊員はPTSD発症リスクが高い

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乳房生検の診断精度、セカンド・オピニオンで改善/BMJ

 セカンド・オピニオンにより、乳房の病理組織の診断精度が統計学的に有意に改善することが、米国・ワシントン大学のJoann G Elmore氏らの検討で示され、BMJ誌オンライン版2016年6月22日号に掲載された。病理医による乳房生検組織の解釈には大きなばらつきがみられ、患者に害が及ぶ懸念があるとされる。乳房生検の2回目の評価では、統計学的に有意な初回診断からの変更が、患者の10%以上にみられることが報告されているが、誤判別を防止するアプローチとしてのセカンド・オピニオン戦略を系統的に比較した研究はこれまでないという。115人の病理医で12の戦略を評価するシミュレーション研究 研究グループは、セカンド・オピニオン戦略が乳房の病理組織の診断精度の改善に及ぼす影響を検討するシミュレーション研究を行った(米国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象となった12のセカンド・オピニオン戦略は以下のとおりであった。(1)すべての生検標本でセカンド・オピニオンを実施、(2)初回診断に基づいて実施(異型/非浸潤性乳管がん[DCIS]/浸潤性、境界型/解釈が困難、病理医の希望/方針が求める要件)(8戦略)、(3)病理医の乳房生検の臨床経験(経験豊富:平均10標本/週以上、経験が乏しい:平均10標本/週未満)に基づき2~3回の判定を実施(3戦略)。 115人の病理医が240個の乳房生検標本(各標本につき1つのスライド)の判定を行い、専門医の合意による標準的な診断(レファレンス)と比較した。個々の病理医および12のシミュレートされたセカンド・オピニオン戦略において、過大解釈(over-interpretation)、過小解釈(under-interpretation)、誤判別(misclassification)の評価を行った。 240個の生検標本には、異型を伴う良性病変が30%(非増殖性10%、増殖性20%)、異型が30%、DCISが30%、浸潤性が10%含まれた。浸潤性の場合のみ行う戦略を除く11の戦略で正診率が改善 115人のうち、乳房組織生検の経験が豊富な病理医は75人、乏しい病理医は40人であった。女性医師が46人(40%)含まれた。 乳房組織の病理検査の経験年数は、0~4年が19%、5~9年が20%、10~19年が30%、20年以上が31%であり、全診療業務に占める乳房組織の解釈の割合は、0~9%が51%、10~24%が39%、25~49%が7%、50%以上は3%だった。 セカンド・オピニオンを行わない単回判定の誤判別率は24.7%であった。これに比べ、全例および初回診断に基づく9つのセカンド・オピニオン戦略による2回目の判定の誤判別率は、浸潤性乳がんに限定した戦略を除く8つの戦略で有意に改善した(18.1~21.9%、いずれもp<0.001)。このうち、全例にセカンド・オピニオンを行う戦略の誤判別率は18.1%であり、最も良好であった。 一方、病理医の経験に基づく3つの戦略では、初回およびセカンド・オピニオン(2~3回目)の双方の判定を経験豊富な病理医が行った場合の誤判別率が14.3%と最も低かった。これは、経験豊富な病理医による単回判定の誤判別率(21.5%)を有意に改善するものであった(p<0.001)。 また、単回判定で良性病変を過大に解釈した割合は12.9%であった。これに対し、初回判定が異型、DCIS、浸潤性の場合にのみセカンド・オピニオンを行う戦略では、異型を伴わない良性病変を過大解釈した割合は6.0%と半減した。 単回判定で最も誤判別率が高かったのは異型病変(52.2%)であり、12のセカンド・オピニオン戦略の異型病変の誤判別率も34.1~51.9%と高率であった。 著者は、「セカンド・オピニオンにより、病理医の経験や診断の信頼性とは無関係に正診率が改善した。診断のばらつきも改善したが、完全に消失することはなく、とくに乳房組織が異型の場合に診断が困難であった」とし、「実臨床での実行可能性や費用については、さらなる検討を要する」と指摘している。

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世界における一過性脳虚血発作(TIA)の実態(解説:有馬 久富 氏)-558

 一過性脳虚血発作(TIA)の大規模国際共同登録研究であるTIAregistry.orgより、1年追跡調査の結果がNew Engl J Med誌に掲載された。世界21ヵ国61施設から登録された4,789例のTIA患者を1年間追跡したところ、脳卒中の累積発症率は5.1%であり、その半数以上がTIA発症30日以内に発症していた。また、ABCD2スコア高値、頭部画像における複数の急性虚血病変、アテローム血栓性の機序によるTIAなどが脳卒中発症の有意な危険因子であった。 本研究は、非常に大規模な国際共同研究であり、世界における近年のTIAの実態を明らかにしたことにより、今後のTIA治療戦略を構築するうえで重要な情報をもたらしてくれた。 本研究のLimitationとしては、参加施設が大規模な脳卒中センターに限定されていることが挙げられる。そのような施設では、高度なTIA管理が提供されていると推測されるので、リアルワールドにおけるTIA後の脳卒中発症率はもっと高いかもしれない。また、本研究の対象者は中~高所得の21ヵ国から登録されているので、国ごとにTIAの管理や脳卒中発症率にばらつきがあったのではないかと推測される。TIA管理や脳卒中発症率にどの程度ばらつきがあったかについては、今後の報告を期待したい。

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OCTAVIA試験:深部静脈血栓症後のストッキング圧迫療法は1年か、2年か?(解説:中澤 達 氏)-559

 オランダの多施設単盲検非劣性無作為化試験OCTAVIAで、近位深部静脈血栓症(DVT)患者に対する弾性ストッキングによる圧迫療法(ECS)の継続期間を、1年と2年で比較検討した。 主要アウトカムは、DVT診断後24ヵ月間の血栓後症候群(PTS)の発生率で、標準化されたVillaltaスケールで評価(intention-to-treat解析)した。 両群の発生率の絶対差は6.9%(95%CI上限値12.3%)であり、1年治療群の2年治療群に対する非劣性は認められなかった。副次アウトカムのQOLについては、両群間で有意差は認められなかった。 現行ガイドラインでは、ECS を24ヵ月間施行することになっているが、最近はより短期間とする提案がなされていた。この試験結果は、ガイドラインが追認されたことになる。しかし、この試験では、ECS治療に応じ1年後にPTSを呈していなかった適格患者518例を、DVT診断後継続群(262例)と中止群(256例)に無作為に割り付けている。 つまり、ストッキング着用ができる症例で、かつ1年間PTSを生じなかった軽症例のみエントリーされた可能性が高い。DVT診断3,603例中518例である14%の予後しか反映されていないのである。実臨床に適応する場合には、その点に注意が必要だ。 ちなみに、本邦のガイドラインでも欧米の論文を根拠に2年のECSを推奨している。

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Wii Sportsは脳卒中のリハビリになりうるか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第70回

Wii Sportsは脳卒中のリハビリになりうるか? >Wii(Wikipediaより使用) 長らく任天堂のゲーム機として君臨してきたWii Uですが、2018年3月期に生産を終える可能性があるとされています。次はNXという新しいハードウェアを発売するようです。 Adie K, et al. Does the use of Nintendo Wii SportsTM improve arm function? Trial of WiiTM in Stroke: A randomized controlled trial and economics analysis. Clin Rehabil. 2016 Mar 14. [Epub ahead of print] この研究の目的は、任天堂Wiiのソフト「Wii Sports」が、脳卒中後の上肢の機能のリハビリテーションになりうるかどうかを検討した、多施設共同ランダム化比較試験です。脳卒中後リハビリテーションは在宅ベースで実施され、Wiiも自宅でやってもらいました。参加したのは、24~90歳の脳卒中後に上肢の脱力がみられた240人の患者さんです。彼らを、自宅で毎日Wiiをやってもらう群、あるいは上肢エクササイズをやってもらう群にランダムに割り付けました。プライマリアウトカムは、ランダム化から6週間目の上肢機能としました(ARAT:アクションリサーチアームテスト)。また、QOLや6ヵ月後の上肢機能なども調べました。209人(87.1%)がこの試験を完遂しました。さて、結果はどうだったでしょうか。残念ながら、Wiiは上肢エクササイズには勝てませんでした。プライマリアウトカムに有意差はみられなかったのです(ARAT平均差-1.7、95%信頼区間-3.9~0.5、 p=0.12)。QOLや長期上肢機能にも有意差はありませんでした。Wii Sportsは上肢エクササイズと同等の効果があるものの、コストがかかるという結論になってしまいました。うーむ、ザンネン…。インデックスページへ戻る

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