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うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは

 自殺企図は主な気分障害と関連しており、成人における自殺企図のリスクは、うつ病よりも双極性障害で高いといわれている。この関係は、若者でも同様かもしれないが、システマティックかつ定量的に検討したエビデンスはない。イタリア・Catholic University of the Sacred HeartのFranco De Crescenzo氏らは、小児または青年の双極性障害およびうつ病患者の自殺企図について、ランダム効果メタ解析を実施した。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌2017年10月号の報告。 双極性障害またはうつ病と診断された小児または青年における、自殺企図の割合を比較した研究報告を検索し、ランダム効果メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1995~2017年までの研究報告は6件であった。・対象は、米国および韓国の気分障害と診断された2,303例(3~18歳)。・自殺企図の割合は診断により有意に異なっており、双極性障害(31.5%)>うつ病(20.5%)>軽躁または躁病のみ(8.49%)であった。・メタ解析では、双極性障害>うつ病で自殺企図のリスクは有意に異なっており(OR:1.71、CI:1.33~2.20、p<0.0001)、自殺企図と自殺念慮を有する研究を除外した場合でも同様であった(OR:1.64、CI:1.26~2.15、p<0.0001)。 著者らは「若年気分障害患者における自殺企図のリスクは、双極性障害>うつ病>>軽躁または躁病のみ>>一般の若年集団であった」としている。■関連記事双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か

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慢性期統合失調症、陰性症状の予測因子は:県立広島大

 県立広島大学の藤巻 康一郎氏らは、統合失調症患者の長期入院に対する、陰性症状と主要な指標との関連を調査した。また、陰性症状の臨床的決定要因の解明についても検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年9月24日号の報告。 指標因子には、年齢、罹病期間、入院期間、発症年齢、教育年数、喫煙状態、BMI、血清トリグリセリド濃度、総コレステロール、尿酸、心電図によるQTc間隔持続時間、抗精神病薬および抗コリン作用薬の等価換算量、神経認知機能、薬物誘発性錐体外路症状、不随意運動、精神症状を用いた。これらの因子と陰性症状との関連を調査するため、スピアマンの順位相関係数を算出し、回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・陽性症状は、BPRSで評価した陰性症状と正の相関が認められた。・発症年齢は、陰性症状と負の相関が認められた。・重回帰分析では、非定型抗精神病薬の等価換算量と陽性症状が、陰性症状を予測することが示された。 著者らは「陰性症状の重症度の主要な指標であるこれらの予測因子に対して理解を深めることは、慢性期統合失調症の治療プログラム再考に役立つであろう」としている。■関連記事陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

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自傷行為を行った10代、自殺リスクは17.5倍/BMJ

 2001~14年の間に、英国に住む13~16歳の女子で自傷行為が68%増加していたことが明らかとなった。英国・マンチェスター大学のCatharine Morgan氏らが、地域住民を対象に、10代の若者における性別および年齢別の自傷行為発生率の経時的傾向、臨床管理パターン、自傷行為エピソード後の死因別死亡リスクを調査したコホート研究の結果を発表した。近年、小児および青年で自殺率が上昇していることや、精神的苦痛を訴える若年者の急増が報告されているが、非致死的な自傷行為の発生率については国のデータ源がなく定量化が困難であった。著者は今回の結果を踏まえ、「自傷行為増加の原因となるメカニズムをよく理解し、苦しんでいる子供たちへの支援に取り組むことが、公的機関にとって喫緊の課題である」とまとめている。BMJ誌2017年10月18日号掲載の報告。自傷行為の発生率とその後の死亡率を調査 研究グループは、英国のプライマリケア674施設における440万例超の患者記録を含むデータベースClinical Practice Research Datalink(CPRD)、病院データ(Hospital Episode Statistics:HES)、国家統計局(Office for National Statistics:ONS)の死亡記録と、社会経済的貧困の度合いについてはIndex of Multiple Deprivationを用いて検討を行った。 記述的分析として、2001~14年の間に自傷行為を行った10~19歳の患者1万6,912例のデータを調査した。また、このうちHESとONSに該当した8,638例について、年齢・性別・施設をマッチングさせた対照計17万274例とともに、自傷行為後の死因別死亡率について解析した。 主要評価項目は、第1に性別および年齢別の自傷行為年間発生頻度の経時的傾向、第2にメンタルヘルスサービスへの紹介や向精神薬の処方等の臨床管理、第3に全死因死亡・不慮の死(自殺や事故死など)・致死的急性アルコールまたは薬物中毒の相対リスクであった。自傷行為は女子に多く、とくに13~16歳の女子で発生率が急増 自傷行為の年間発生頻度(/1万人)は、男子が12.3に対し女子で37.4と高く、とくに13~16歳の女子では2011年の45.9から2014年の77.0へと68%増加した。 社会経済的貧困度が高い地域でプライマリケア施設に登録された若年患者の自傷行為発生頻度は非常に高かったが、自傷行為エピソード発生後12ヵ月以内のメンタルヘルスサービスへの紹介率は、社会経済的貧困度が最も低い地域の患者と比較して23%低い傾向がみられた。 自傷行為を行った小児および青年は、追跡期間中に不慮の死を遂げるリスクが約9倍高く、とくに自殺(社会経済的貧困を補正したハザード比[HR]:17.5、95%信頼区間[CI]:7.6~40.5)、致死的急性アルコールまたは薬物中毒(34.3、10.2~115.7)のリスクの顕著な上昇が認められた。

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卵円孔開存は問題か?(解説:後藤信哉氏)-753

 胎児循環では心房中隔の一部としての卵円孔は開存している。出生とともに閉じるのが一般的である。剖検例を詳細に検討すると、20%程度の症例には機能的卵円孔開存を認めるとの報告もある。経食道心エコーでは心房の血流の詳細な検討が可能である。バブルを用いたコントラスト法により機能的卵円孔開存の診断精度も向上した。原因不明の脳梗塞の一部は、静脈血栓が開存した卵円孔を介して左房・左室と移動した血栓が原因と考えられた。とくに、出産時、潜水時などに比較的若いヒトに起こる脳塞栓には卵円孔開存を原因とするものが多いと想定された。 卵円孔が開存しても心負荷は増えない。将来の心不全を防ぐために卵円孔を閉鎖する必要はない。自分の患者が心房中隔欠損症の高齢出産のときには緊張する。1次予防は難しいとはわかっていても、入院時にできた静脈血栓が、腹圧増加時に欠損した心房中隔を介して重篤な脳卒中になるのが心配だからだ。卵円孔開存でも腹圧亢進時などには右・左シャントが起こりうる。1次予防は無理としても、卵円孔開存が明らかで、右・左シャントを介した脳梗塞を発症した後でも、われわれは診療に当たる必要がある。過去に抗血小板薬、抗凝固薬などの有効性が検証されたが明確な結論は得られなかった。卵円孔開存はまれではないが、原因不明の脳卒中を合併するリスクは少ないので、再発予防であってもランダム化比較試験を計画することは困難であった。今回はこの困難な領域において、複数のランダム化比較試験の結果が報告された。 Masらのフランスのグループは抗凝固療法よりも、抗血小板療法よりも、経カテーテル的卵円孔閉鎖と抗血小板薬の併用の予防効果が高いとした(Mas JL, et al. N Engl J Med. 2017;377:1011-1021.)。しかし、経カテーテル的卵円孔閉鎖時の合併症を考えると今後の標準治療に転換するほどのインパクトはない。難しいランダム化比較試験を完遂した努力は賞賛したい。Sondergaardらも同様のランダム化比較試験を行い、同様の結果をNEJM誌に発表した(Sondergaard L, et al. N Engl J Med. 2017;377:1033-1042.)。Saverらの結果も同様であった(Saver JL, et al. N Engl J Med. 2017;377:1022-1032.)。単独の試験の結果と比較して、複数の試験が同時に発表されれば、結果の信頼性は高い。しかし、SaverらはSt. Jude Medical社、SondergaardらはW.L. Gore & Associates社の助成研究である。自社のデバイスをうまく使える技術のある施設を選定したバイアスは否定できない。Masらの公的グラントによる研究も同様の成果を示しているので、技術の上手な術者であれば2次予防にはデバイスを考えてもよいのかもしれない。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第40回

第40回:失神の鑑別診断監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 失神は日常診療で遭遇する病態の1つであるが、ほとんどの場合は神経調節性失神などの良性疾患である。しかし心原性失神など入院精査を要する場合もあり、的確な診断と必要に応じた適切な治療が求められる。国内のガイドラインとしては日本循環器学会などが合同で作成した「失神の診断・治療ガイドライン2012年改訂版」があり1)、「診断へのアプローチ」や「救急での対応」という項目で具体的対応についても記載されている。なお、米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、米国不整脈学会(HRS)が合同で、失神の評価・管理に関するガイドラインを2017年3月9日にオンライン公開しており、こちらも参考になる2)。 以下、American family physician 2017年3月1日号3)より失神とは、脳血流の低下によって招かれる突然の一過性の意識消失である。救急外来患者の1~1.5%を占めており、入院率が高く、医療費への影響も大きい。失神は神経調節性失神、心原性失神、起立性低血圧に分類される。このうち、神経調節性失神はもっとも頻度が多く、予後良好である一方、心原性失神は死亡へ繋がることもある。前失神を伴うものは失神と同様の転帰を辿るため、失神と同じように評価を行うべきである。標準化されたアプローチで失神を評価することは、入院や医療費を抑えつつ、診断精度を高めることができる。すべての失神患者に対して、詳細な病歴、身体診察、心電図を最初に行うことにより、半数を診断することができ、またリスク分類を図ることもできる。血液検査や頭部画像検査はあまり診断へ寄与しないため、臨床的に適応がある場合に限定すべきである。短期予後や入院の必要性を判断するために有用な臨床判断ツールが幾つかある。San Francisco Syncope Rule, Evaluation of Guidelines in Syncope Study, Osservatorio Epidemiologico sulla Sincope nel Lazioは妥当性確認がされているツールである。過去に失神歴がない低リスク群では、追加検査を必要としないことが多い。心血管疾患や不整脈の既往、心電図異常所見、重度の合併症をもつ高リスク群(表1)では、入院精査すべきである。原因不明の失神では、誘発試験、長時間心電図モニタリングを行うこと。神経調節性失神と起立性低血圧の多くは保存的に管理するが、重篤な場合は薬物治療を必要とすることもある。心原性失神はICD埋め込みやアブレーションを必要とすることがある。<推奨事項>前失神症状を呈する患者は、失神患者と同様に評価すること(推奨レベル:C)。うっ血性心不全や器質的心疾患、心電図異常所見、突然死の家族歴のいずれかを伴う失神では、入院精査を緊急で要する(推奨レベル:C)。失神患者では起立試験と12誘導心電図を行うこと(推奨レベル:C)。病歴と身体所見から臨床的に適応あるときのみ、血液検査と画像検査を行うこと(推奨レベル:C)。心原性失神が疑われる場合や原因が分からない失神では、植込み型ループ式心電計が診断に有用であり、コストパフォーマンスも高い(推奨レベル:C)。神経調節性失神または起立性低血圧による失神で、心疾患の既往がなく、突然死の家族歴もなく、心電図正常の場合は、追加検査をせず経過観察する(推奨レベル:C)。※推奨レベルはSORT evidence rating systemに基づくA:一貫した、質の高いエビデンスB:不整合、または限定したエビデンスC:直接的なエビデンスを欠く<リスク分類(表1)>高リスク群:下記項目のいずれかに該当する場合は、入院精査を推奨病歴から不整脈による失神が疑われる場合(例:労作時失神、動悸、前駆症状を伴わない失神)併存疾患を伴う場合(例:高度貧血、電解質以上)心電図で失神を起こしうる不整脈を認める(例:2度ブロック、HR

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留学体験その4【Dr. 中島の 新・徒然草】(193)

百九十三の段 留学体験その4今回は留学中に最も苦労した英語の壁について述べたいと思います。まず、聴く、読む、話す、書くという4技能のうち、1番苦労したのは聴くということでした。在米中、色々な「攻撃」に悩まされました。 会話が速すぎるスピード攻撃音が連結して別の音になるリエゾン攻撃(例)"アネン" は and then語彙の少なさを思い知らされるボキャブラリー攻撃(例)makeshift は「その場しのぎ」。ニュースにはしばしば出てくる聞いたことのない言い回しのスラング攻撃(例)10 bucks は「10ドル」のこと音そのものが聴き取れない/区別できないRL攻撃強烈な訛りに手も足も出ないアクセント攻撃(例)オーストラリア人が "ダイターバイス" と言ったら data base、ニュージーランド人が "フッシュンチュプス" と言ったら fish and chips のこと 1つだけ原因があるというより、大小の違いはあれど毎回これらが束になって攻撃してくるので歯が立たない、というのが現実でした。また、実生活での英語の聴き取りレベルにもいくつかの段階がありました。入門レベル:ラボの非アメリカ人との対面の会話。相手の語彙も限られているしスピードも速くないので、さほど苦労はしない。ラボのアメリカ人やイギリス人との対面の会話も、こちらのレベルに合わせてしゃべってくれるので何とかなる。中級レベル:電話対応。ホテルの予約で電話するのは定型文なのでさほど難しくない。しかし、ラボにかかってきた電話に対応するのは、恐怖以外の何物でもない。相手の顔が見えないし、会話の行き先の予想もつかない。上級レベル:アメリカ人同士の会話についていく。これは無茶苦茶難しい。超高速の上にスラング満載なので、何が何やらさっぱり分からない。なぜかヨーロッパやアジアの出身者がその会話に参加して一緒に盛り上がっているので、こちらの能力のなさを思い知らされる。で、どう対策していたのか? (1)しゃべっている相手の口元を見る。3割ほど聴き取り能力が上がる気がする。(2)カタカナで聴こえる音で覚える。「カロミター」と聴こえたら kilometer、「カナマジン」と聴こえたら can imagine、「コノミー」と聴こえたら economy。(3)地道な努力を繰り返す。スクリプトのある英会話やニュースを聴いて、聴き取れなかった部分を後でチェックする。そして「あっ、そうだったのか!」を繰り返す。 聴き取りさえできれば、こちらは yes, no, thank you くらいを言っておけば最低限のコミュニケーションは成立します。帰国してからも英語の勉強は続けていますが、私にとっては永遠の課題です。現在、心掛けていることを挙げておきましょう。 自分のレベルに合った教材を選んで勉強する。難しすぎるものに挑戦すると心が折れてしまう聴き取れない部分をカタカナで書きとり、スクリプトでチェックする出くわした知らない単語を覚えるスクリプトを何度も音読する1つの教材に飽きたら迷わず新しいものに移るインド英語やシンガポール英語などの聴き取りにも挑戦する「聴き取れないフレーズは有限である」と信じる 私にとってはあまり近道はないようで、これらの手順をひたすら繰り返しています。そのせいか、以前よりは少し聴き取りがマシになりました。私の経験した苦労が読者の皆様の参考になれば幸いです。最後に1句できるはず 努力次第で リスニング

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うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は

 魚類の消費やイコサペント酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルがうつ病のリスク低下と関連していることが、観察研究のシステマティックレビューにより明らかとなっている。また、n-3PUFAの逆J字型効果が示唆されている。しかし、魚類の消費量の多い集団からのエビデンスは限られており、うつ病の標準的な精神医学的ベースの診断を用いた研究はない。国立がん研究センターの松岡 豊氏らは、日本人における魚類、n-3PUFA、n-6PUFAの消費とうつ病リスクとの関連を、集団ベースのプロスペクティブ研究にて調査を行った。Translational psychiatry誌2017年9月26日号の報告。 長野県佐久地域住民1万2,219例(1990年)を対象に、1995、2000年に食物摂取頻度調査を完了し、2014~15年にメンタルヘルス検査を受けた63~82歳の参加者1,181例を抽出した。魚類の摂取量およびPUFAの四分位に基づき、うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・95例が現在うつ病と診断されていた。・うつ病リスクが低下していたのは、魚類の摂取量の第3四分位(111.1g/日、OR:0.44、95%CI:0.23~0.84)、EPAの第2四分位(307.7mg/日、OR:0.54、95%CI:0.30~0.99)、ドコサペンタエン酸(DPA)の第3四分位(123.1mg/日、OR:0.42、95%CI:0.22~0.85)であった。・がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病で調整後のORは、魚類およびDPA摂取において有意なままであった。 著者らは「高齢者のうつ病予防に対し、中程度量の魚類の摂取が推奨される」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能魚を食べると認知症は予防できるのか統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大

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lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第II相試験の主要な結果について発表した。 この第II相試験(NCT 01970865)は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われている。ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は前治療歴に応じてEXP1~5で評価され、ROS1陽性NSCLCは前治療歴にかかわらずEXP6で評価された。今回の発表は、EXP6を含む全コホートの解析である。同試験の主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)。副次評価項目は、安全性と忍容性、患者報告アウトカム(PRO)などであった。 全体で275例の患者が登録され、ベースライン時に165例が脳転移を有していた。コホート別、またクリゾチニブとその他のTKIによる前治療歴ごとに解析されたORR、IC ORRは以下の通り。・ALK陽性、未治療(EXP1):ORR 90%、IC ORR 75%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ±化学療法(EXP2+EXP3A):ORR 69%、IC ORR 68%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKI±化学療法(EXP3B):ORR 33%、IC ORR 42%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKIを2~3ライン±化学療法(EXP4+EXP5):ORR 39%、IC ORR 48%・ROS1陽性(EXP6):ORR 36%、IC ORR 56% なお、EXP2~5で19例がG1202R変異を有しており、11 例(58%)で応答が確認された。 全コホートの治療関連有害事象(AE)発現率は、95%。Grade3/4のAEは41%の患者で発現した。AEによる投与延期は30%、減量は22%、治療中止は7例(3%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(81%)、高トリグリセライド血症(60%)であった。 現在、ALK陽性NSCLC の1次治療での有効性をクリゾチニブと比較する、第III相試験(NCT 03052608)が進行中である。■参考NCT 01970865(Clinical Trials.gov)NCT 03052608(Clinical Trials.gov)■関連記事第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017 第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017 次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析

 双極性障害(BD)に対するアリピプラゾールによる治療については多くの研究が行われている。台湾・高雄医学大学のDian-Jeng Li氏らは、BD治療におけるアリピプラゾールの有効性および安全性プロファイルを調査するため、総合的なメタ解析を実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。 著者2名により2017年5月14日までのBD患者を対象としたアリピプラゾールのランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、ScienceDirectを用いてシステマティックに検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたRCTは20件であった。その内訳は、ハロペリドールとの有効性比較2件(アリピプラゾール群:340例、ハロペリドール群:337例)、リチウムとの有効性比較3件(アリピプラゾール群:208例、リチウム群:212例)、プラセボとの複合比較15件(アリピプラゾール群:1,923例、プラセボ群:1,499例)であった。・アリピプラゾール群はプラセボ群と比較し、急性躁状態における急性躁症状(Hedges' g:-0.299、p=0.001)および精神症状(Hedges' g:-0.296、p<0.001)の改善が認められたが、急性うつ状態におけるうつ症状(Hedges' g:-0.127、p=0.054)の改善は認められなかった。・維持療法においてアリピプラゾールを併用した場合、プラセボ群と比較し、双極性躁症状の再発率の低さとの関連が認められた(OR:0.522、p<0.029)。・アリピプラゾール群は、プラセボや他の薬物療法群(ハロペリドール群、リチウム群)と比較し、維持期における高比重リポ蛋白(HDL)高値や、脱落率の低さと関連が認められたが、錐体外路症状に差は認められなかった。 著者らは「アリピプラゾールは、双極性障害の躁症状の治療において有効かつ安全であることが示唆された。有効性、忍容性に関して、他の薬剤と比較評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事アリピプラゾールは急性躁病治療のファーストラインになりうるか日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果はアリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

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BRCA1レベルに基づくNSCLCアジュバントは生存率を上昇させたか(SCAT)/WCLC2017

 Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)切除患者では、プラチナベースの術後補助化学療法が標準治療である。しかし、他レジメンとの直接比較研究はない。一方、BRCA1は、二本鎖DNA切断を修復する作用を有し、またその発現レベルにより予後および効果予測因子ともなる。SCAT研究は、BRCA1発現レベルに基づき個別化した術後補助化学療法が上記患者の生存率を改善するかを評価したSpanish Lung Cancer Cooperative Groupの試験。横浜市で開催された第18回世界肺癌会議(WCLC)において、スペイン・Alicante University HospitalのBartomeu Massuti氏が結果を発表した。 BRCA1低発現ではシスプラチン感受性を示し、BRCA1高発現ではシスプラチン耐性、タキサン感受性を示すといわれる。この研究では、完全切除したStage II~IIIAのNSCLC患者500例を、コントロール群(108例)と試験群(392例)に、無作為に割り付けた。コントロール群には標準治療のシスプラチン+ドセタキセル治療を、試験群はBRCA1発現レベルにより異なる化学療法治療を行った。BRCA1低発現患者にはシスプラチン+ゲムシタビン、BRCA1中程度発現患者にはシスプラチン+ドセタキセル、高BRCA1高発現患者にはドセタキセル単独治療を行った。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無病生存期間、毒性などであった。 追跡期間中央値53ヵ月後のコントロール群のOSは69.3ヵ月、試験群では82.4ヵ月(HR:0.946)、5年OSは54%と56%と両群で同等であった。両群のBRCA1発現によるサブ解析の結果、BRCA1低発現群において、シスプラチン+ゲムシタビンのOSは74ヵ月、シスプラチン+ドセタキセルは40.1ヵ月と、シスプラチン+ゲムシタビンで有意に良好(HR:0.622、p=0.005)であった。一方、BRCA1高発現において、ドセタキセル単独のOSは80.2ヵ月、シスプラチン+ドセタキセルは未到達(HR:1.289、p=0.436)と、レジメンによる差は示されなかった。 結果として、BRAC1発現レベルに基づいた化学療法による生存率の上昇は示されなかったものの、BRCA1はコントロール群における唯一の予後因子であった。また、ドセタキセル単独療法は他の療法と比べ、コンプライアンスが良好で(p<0.001)、減量も少なく(p<0.01)、がんによる死亡発生率も同等であった。Massuti氏は最後に、高BRCA1患者において、プラチナを用いないタキサン単独による術後補助療法は、プラチナの短期・長期毒性を回避できる可能性があると述べた。■参考SCAT試験(Clinical Trials.gov)WCLC2017プレスリリース

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既存の抗アレルギー薬が多発性硬化症の慢性脱髄病変を回復させるかもしれない(解説:森本悟氏)-752

 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は若年成人に発症し、重篤な神経障害を来す中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。何らかの機序を介した炎症により脱髄が起こり、軸索変性が進行する。急性炎症による脱髄病変には一部再髄鞘化が起こるが、再髄鞘化がうまくいかないと慢性的な脱髄病変となり、不可逆的な障害につながる。現在MSの治療は急性炎症の抑制、病態進行抑制が中心であり、慢性脱髄病変を回復させる治療はない。これまでの研究で、第一世代の抗ヒスタミン薬であるクレマスチンフマル酸(clemastine fumarate:CF)が、前駆細胞(oligodendrocyte precursor cell:OPC)からオリゴデンドロサイトへの分化促進、髄鞘膜の伸展、マイクロピラーの被覆、を介した再髄鞘化効果を有することが、疾患動物モデルにより証明されている1,2) 。 本研究は、CFがMSの慢性脱髄病変を回復させる可能性を示した初めての臨床報告である。単施設でのdouble-blind、randomized、placebo-controlled、crossover trialであり、MS患者50例(平均罹病期間約5年、平均年齢40歳)を25例ずつ2群に分け、CFまたはプラセボを3ヵ月間投与し、その後入れ替えて2ヵ月間投与した。主要評価項目には、視覚誘発電位(VEP)における遠位潜時を用いている。VEP検査は網膜から後頭葉の視覚野にかけての視覚経路における神経伝達を評価する検査であり、一般的にP100(一次視覚野由来の波形)の潜時が延長していると、その経路に脱髄をはじめとした障害があることが示唆される。本研究では、P100潜時の延長のある症例のみ登録され、その短縮効果を評価している。 結果、CF投与期間にはプラセボ投与期間に比べ、VEPのP100潜時が平均1.7ms短縮し、さらに6ms以上改善した例もプラセボ投与期間に比べてCF投与期間で有意に多かった。しかし、臨床的な神経症状の改善効果やMRIにおける病変の変化は証明できなかった。有害事象としては疲労感の増悪が報告されたのみであった。 本研究では、MRIによる視覚路病変の詳細な質的評価を行っていないこと、主要評価項目であるVEPの改善効果が小さく、臨床症状やMRI画像所見の改善が証明できなかったことから、脱髄病変が回復したと結論付けるには慎重を要する。さらに、MS患者における総合障害度の評価基準であるExpanded Disability Status Scale(EDSS[0:無症状~10:死亡])は、対象患者で2程度と障害の比較的軽度な患者が対象となっている点は、治療反応性の観点から(残存するOPCやオリゴデンドロサイト、神経軸索の数などが治療反応性の因子として推測されるが)留意すべきと思われる。また、CFは日本においても抗ヒスタミン薬として臨床的に使用されており、その用量は2mg/日である。しかしながら、本研究での投与量は10.72mg/日と約5倍量を使用しており、長期的に投与した場合の副作用や他の薬剤との相互作用が懸念される。 考慮すべき点は残るものの、in vitro/in vivoモデルにおいてしっかりとした有効性が確認された薬剤であり、慢性の脱髄病変が回復する可能性が見いだされた重要な臨床試験報告であるため、今後の研究が期待される。 余談だが、MSの亜型と言われ、視神経に病変が強調される視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD:neuromyelitis optica spectrum disorder)という概念が存在する。これらは、病変の首座がオリゴデンドロサイトではなくアストロサイトにあるとされているが、二次的な脱髄を伴うため、NMOSDに対してのCFの応用なども興味深い点である。

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HTLV-1関連脊髄症〔HAM:HTLV-1-associated myelopathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)は、成人T細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)の原因ウイルスであるヒトTリンパ球向性ウイルス1型(human T-lymphotropic virus type 1:HTLV-1)の感染者の一部に発症する、進行性の脊髄障害を特徴とする炎症性神経疾患である。有効な治療法に乏しく、きわめて深刻な難治性希少疾病であり、国の指定難病に認定されている。■ 疫学HTLV-1の感染者は全国で約100万人存在する。多くの感染者は生涯にわたり無症候で過ごすが(無症候性キャリア)、感染者の約5%は生命予後不良のATLを発症し、約0.3%はHAMを発症する。HAMの患者数は国内で約3,000人と推定されており、近年は関東などの大都市圏で患者数が増加している。発症は中年以降(40代)が多いが、10代など若年発症もあり、男女比は1:3と女性に多い。HTLV-1の感染経路は、母乳を介する母子感染と、輸血、臓器移植、性交渉による水平感染が知られているが、1986年より献血時の抗HTLV-1抗体のスクリーニングが開始され、以後、輸血後感染による発症はない。臓器移植で感染すると高率にHAMを発症する。■ 病因HAMは、HTLV-1感染T細胞が脊髄に遊走し、そこで感染T細胞に対して惹起された炎症が慢性持続的に脊髄を傷害し、脊髄麻痺を引き起こすと考えられており、近年、病態の詳細が徐々に明らかになっている。HAM患者では健常キャリアに比べ、末梢血液中のプロウイルス量、すなわちHTLV-1感染細胞数が優位に多く、また感染細胞に反応するHTLV-1特異的細胞傷害性T細胞や抗体の量も異常に増加しており、ウイルスに対する免疫応答が過剰に亢進している1)。さらに、脊髄病変局所で一部の炎症性サイトカインやケモカインの産生が非常に高まっており2)、とくにHAM患者髄液で高値を示すCXCL10というケモカインが脊髄炎症の慢性化に重要な役割を果たしており3)、脊髄炎症のバイオマーカーとしても注目されている。■ 症状臨床症状の中核は進行性の痙性対麻痺で、両下肢の痙性と筋力低下による歩行障害を示す。初期症状は、歩行の違和感、足のしびれ、つっぱり感、転びやすいなどであるが、多くは進行し、杖歩行、さらには車椅子が必要となり、重症例では下肢の完全麻痺や体幹の筋力低下により寝たきりになる場合もある。下半身の触覚や温痛覚の低下、しびれ、疼痛などの感覚障害は約6割に認められる4)。自律神経症状は高率にみられ、とくに排尿困難、頻尿、便秘などの膀胱直腸障害は病初期より出現し、初めに泌尿器科を受診するケースもある。また、起立性低血圧や下半身の発汗障害、インポテンツがしばしばみられる4)。神経学的診察では、両下肢の深部腱反射の亢進や、バビンスキー徴候などの病的反射がみられる4)。■ 分類HAMは病気の進行の程度により、大きく3つの病型に分類される(図)。1)急速進行例発症早期に歩行障害が進行し、発症から2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。納の運動障害重症度(表)のレベルが数ヵ月単位、時には数週間単位で悪化する。急速進行例では、髄液検査で細胞数や蛋白濃度が高いことが多く、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度もきわめて高い。とくに発症早期の急速進行例は予後不良例が多い。2)緩徐進行例症状が緩徐に進行する症例は、HAM患者の約7~8割を占める。一般的に納の運動障害重症度のレベルが1段階悪化するのに数年を要するので、臨床的に症状の進行具合を把握するのは容易ではなく、疾患活動性を評価するうえで髄液検査の有用性は高い。髄液検査では、細胞数は正常から軽度増加を示し、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度は中等度増加を示す。3)進行停滞例HAMは、発症後長期にわたり症状が進行しないケースや、ある程度の障害レベルに到達した後、症状がほとんど進行しないケースがある。このような症例では、髄液検査でも細胞数は正常範囲で、ネオプテリン濃度、CXCL10濃度も低値~正常範囲である。■ 予後一般的にHAMの経過や予後は、病型により大きく異なる。全国HAM患者登録レジストリ(HAMねっと)による疫学的解析では、歩行障害の進行速度の中央値は、発症から片手杖歩行まで8年、両手杖歩行まで12.5年、歩行不能まで18年であり5)、HAM患者の約7~8割はこのような経過をたどる。また、発症後急速に進行し2年以内に片手杖歩行レベル以上に悪化する患者(急速進行例)は全体の約2割弱存在し、長期予後は明らかに悪い。一方、発症後20年以上経過しても、杖なしで歩行可能な症例もまれであるが存在する(進行停滞例)。また、HAMにはATLの合併例があり、生命予後に大きく影響する。6)2 診断 (検査・鑑別診断も含む)HAMの可能性が考えられる場合、まず血清中の抗HTLV-1抗体の有無についてスクリーニング検査(EIA法またはPA法)を行う。抗体が陽性の場合、必ず確認検査(ラインブロット法:LIA法)で確認し、感染を確定する。感染が確認されたら髄液検査を施行し、髄液の抗HTLV-1抗体が陽性、かつ他のミエロパチーを来す脊髄圧迫病変、脊髄腫瘍、多発性硬化症、視神経脊髄炎などを鑑別したうえで、HAMと確定診断する。髄液検査では細胞数増加(単核球優位)を約3割弱に認めるが、HAMの炎症を把握するには感度が低い。一方、髄液のネオプテリンやCXCL10は多くの患者で増加しており、脊髄炎症レベルおよび疾患活動性を把握するうえで感度が高く有益な検査である7)。血液検査では、HTLV-1プロウイルス量がキャリアに比して高値のことが多い。また、血清中の可溶性IL-2受容体濃度が高いことが多く、末梢レベルでの感染細胞の活性化や免疫応答の亢進を非特異的に反映している。また、白血球の血液像において異常リンパ球を認める場合があり、5%以上認める場合はATLの合併の可能性を考える。MRIでは、発症早期の急速進行性の症例にT2強調で髄内強信号が認められる場合があり、高い疾患活動性を示唆する。慢性期には胸髄の萎縮がしばしば認められる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)疾患活動性に即した治療HAMは、できるだけ発症早期に疾患活動性を判定し、疾患活動性に応じた治療内容を実施することが求められる。現在、HAMの治療はステロイドとインターフェロン(IFN)αが主に使用されているが、治療対象となる基準、投与量、投与期間などに関する指針を集約した「HAM診療ガイドライン2019」が参考となる(日本神経学会のサイトで入手できる)。(1)急速進行例(疾患活動性が高い)発症早期に歩行障害が進行し、2年以内に片手杖歩行レベルとなる症例は、明らかに進行が早く疾患活動性が高い。治療は、メチルプレドニゾロン・パルス療法後にプレドニゾロン内服維持療法が一般的である。とくに発症早期の急速進行例は治療のwindow of opportunityが存在すると考えられ、早期発見・早期治療が強く求められる。(2)緩徐進行例(疾患活動性が中等度)緩徐進行例に対しては、プレドニゾロン内服かIFNαが有効な場合がある。プレドニゾロン3~10mg/日の継続投与で効果を示すことが多いが、疾患活動性の個人差は幅広く、投与量は個別に慎重に判断する。治療前に髄液検査(ネオプテリンやCXCL10)でステロイド治療を検討すべき炎症の存在について確認し、有効性の評価についても髄液検査での把握が望まれる。ステロイドの長期内服に関しては、常に副作用を念頭に置き、症状や髄液所見を参考に、できるだけ減量を検討する。IFNαは、300万単位を28日間連日投与し、その後に週2回の間欠投与が行われるのが一般的である。(3)進行停滞例(疾患活動性が低い)発症後長期にわたり症状が進行しないケースでは、ステロイド治療やIFNα治療の適応に乏しい。リハビリを含めた対症療法が中心となる。2)対症療法いずれの症例においても、継続的なリハビリや排尿・排便障害、疼痛、痙性などへの対症療法はADL維持のために非常に重要であり、他科と連携しながらきめ細かな治療を行う。4 今後の展望HAMの治療は、その病態から(1)感染細胞の制御、(2)脊髄炎症の鎮静化、(3)傷害された脊髄の再生、それぞれに対する治療法開発が必要である。1)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)HAMに対するロボットスーツHAL(医療用)のランダム化比較試験を多施設共同で実施し、良好な結果が得られている。本試験により、HAMに対する保険承認申請がなされている。2)感染細胞や過剰な免疫応答を標的とした新薬開発HAMは、病因である感染細胞の根絶が根本的な治療となり得るがまだ実現していない。HAMにおいて、感染細胞は特徴的な変化を来しており、その特徴を標的とした治療薬の候補が複数存在する。また神経障害を標的とした治療薬の開発も重要である。治験が予定されている薬剤もあり、今後の結果が期待される。3)患者登録レジストリHAMは希少疾病であるため、患者の実態把握や治験などに必要な症例の確保が困難であり、それが病態解明や治療法開発が進展しない大きな要因になっている。患者会の協力を得て、2012年3月からHAM患者登録レジストリ(HAMねっと)を構築し、2022年2月時点で、約630名の患者が登録している。これにより、HAMの自然史や患者を取り巻く社会的・医療的環境が明らかになると同時に、治験患者のリクルートにも役立っている。また、髄液ネオプテリン、CXCL10、プロウイルス量定量の検査は保険未承認であるがHAMねっと登録医療機関で測定ができる。HAMねっとでは患者向けの情報発信も行っているため、未登録のHAM患者がいたら是非登録を勧めていただきたい。5 主たる診療科脳神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター HTLV-1関連脊髄症(HAM)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HAMねっと(HAM患者登録サイト)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)HTLV-1情報サービス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する情報」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)JSPFAD HTLV-1感染者コホート共同研究班(医療従事者向けのまとまった情報)日本HTLV-1学会(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報NPO法人「スマイルリボン」(患者とその家族および支援者の会)1)Jacobson S. J Infect Dis. 2002;186:S187-192.2)Umehara F, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1994;53:72-77.3)Ando H, et al. Brain. 2013;136:2876-2887.4)Nakagawa M, et al. J Neurovirol. 1995;1:50-61.5)Coler-Reilly AL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2016;11:69.6)Nagasaka M, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020;117:11685-11691.7)Sato T, et al. Front Microbiol. 2018;9:1651.8)Yamano Y, et al. PLoS One. 2009;4:e6517.9)Araya N, et al. J Clin Invest. 2014;124:3431-3442.公開履歴初回2017年10月24日更新2022年2月16日

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ドネペジル+コーヒーで治療効果が高まる可能性

 アルツハイマー型認知症(AD)に一般的に用いられる塩酸ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、認知機能を高める。ヒドロキシケイ皮酸のカフェイン酸(Caffeic acid)成分は、ヒトの食生活に広く存在する。ナイジェリア・Federal University of TechnologyのOdunayo Michael Agunloye氏らは、ドネペジルのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ阻害活性に及ぼすカフェイン酸の影響についてin vitroでの検討を行った。Journal of complementary & integrative medicine誌オンライン版2017年9月22日号の報告。 ドネペジル5mgを50mLの蒸留水に溶解し、カフェイン酸10mgを100mLの蒸留水に溶解した。サンプルの混合物はA2(ドネペジル0.075mg/mL+カフェイン酸0.025mg/mL)、A3(ドネペジル0.050mg/mL+カフェイン酸0.050mg/mL)、A4(ドネペジル0.025mg/mL+カフェイン酸0.075mg/mL)に調整した。分析のために、すべてのサンプルは4℃で冷蔵庫に保存した。 主な結果は以下のとおり。・すべてのサンプルにおいて、in vitroのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、A4において、最も高い阻害作用を示した(p<0.05)。・すべてのサンプルにおいて、ラットの脳ホモジネート中のプロオキシダント(FeSO4、ニトロプルシドナトリウム[SNP])誘発性脂質過酸化を防ぐことができ、A3およびA4は、FeSO4、SNP誘発性脂質過酸化に対して最も高い阻害作用を示した。・すべてのサンプルは、鉄(II)イオン(Fe2+)のキレート能、ヒドロキシルラジカル(OH・)ラジカル消去能、第二鉄還元力(FRAP)に代表される、抗酸化特性を示した。 著者らは「ドネペジルとカフェイン酸との組み合わせは、ドネペジルの抗酸化特性を高め、副作用が少なく、AD管理における治療補助となる可能性がある。ドネペジル0.025mg/mL+カフェイン酸0.075mg/mLの組み合わせは有望である」としている。■関連記事ドネペジルの治療反応、投与前に予測可能かなぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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総コレステロールは晩年に低下する~10万人のコホート研究

 疫学研究では、総コレステロール(TC)が低いほど死亡率が高いことが示唆されている。今回、英国・ロンドン大学のJudith Charlton氏らが、80歳超のTCと死亡率との関連について死亡前のTCの低下で説明できるかを約10万人のコホート研究で検討したところ、TCは晩年に終末期の衰退を示すことがわかった。著者らは「逆の因果関係が、非無作為化研究での低TCと高死亡率の関連をもたらしているかもしれない」と考察している。The Journals of Gerontology誌オンライン版2017年9月27日号に掲載。 本研究は、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)における80~105歳の9万9,758人について、プライマリケア電子健康記録を用いたコホート研究。全死亡のハザード比(HR)は、年齢、性別、フレイル、合併症、血圧、喫煙で調整した。fractional polynomialモデルを用いて、死亡前または研究終了前のTCの縦断的傾向を評価した。調整オッズ比は一般化推定方程式を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は女性6万3,630人、男性3万6,128人で、平均年齢86歳、死亡人数は2万9,200人であった。エントリー時に4万1,164人がスタチンで治療されていた。・TCが3.0mmol/L未満の人は4,5~5.4mmol/Lの人と比較して、死亡率が高かった。  スタチン治療者-HR:1.53、95%信頼区間:1.43~1.64、p<0.001  無治療者-HR:1.41、95%信頼区間:1.29~1.54、p<0.001・TCの経年的低下は、死亡前の2年間で速まった。・フォローアップ終了前3ヵ月間での、生存者と比較した、死亡者におけるTC 3.0mmol/L未満の調整オッズ比は、無治療者では3.33(2.84~3.91、p<0.001)、スタチン治療者では1.88(1.68~2.11、p<0.001)であった。

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5~19歳のBMI値の世界的動向は?/Lancet

 1975~2016年の未成年者(5~19歳)のBMI値の世界的な動向について、成人の動向と比較分析した結果、多くの高所得国では高止まりの傾向がみられるが、アジアの一部で高値ではないが加速度的な上昇がみられ、成人の動向とは相関していないことなどが明らかになった。世界200ヵ国の非感染性疾患(NCD)について調査を行っている科学者ネットワーク「NCD Risk Factor Collaboration」(NCD-RisC)が、住民ベース試験2,416件のデータをプール解析し、Lancet誌オンライン版2017年10月10日号で発表した。約1億3,000万例のデータをプール解析 未成年者の低体重、過体重、肥満は生涯にわたって健康を損なう結果を招くとされる。研究グループは、未成年者の平均BMI値と低体重から肥満をカバーするBMIカテゴリーの統合セットで、世界的な動向を推定し、また成人の同値動向との比較を行った。 参加者が5歳以上で身長と体重の測定が行われていた2,416件の住民ベース試験をプール(被験者1億2,890万例、うち5~19歳は3,150万例)。階層ベイズモデルを用いて、200ヵ国における5~19歳の1975~2016年の平均BMI値と、BMIカテゴリー分類―WHOの示す発育参照中央値より、「-2 SD未満(将来的に中等度~重度の低体重)「-2 SD~-1 SD未満(軽度の低体重)」「-1 SD~1 SD(健常体重)」「1 SD超~2 SD(肥満ではないが過体重)」「2 SD超(肥満)」―での有病率の傾向を推定した。東および南アジアでは男子女子ともにBMI値が上昇の傾向 1975~2016年の、女子の年齢標準化平均BMI値の各地における動向をみると、東ヨーロッパでは実質的に変化がみられなかった(-0.01kg/m2/10年、95%信用区間[CrI]:-0.42~0.39、観察された正確な減少の事後確率[posterior probability:PP]=0.5098)。一方で、中南米の中央地方では1.00kg/m2/10年(0.69~1.35、PP>0.9999)の上昇が、ポリネシアおよびミクロネシアでは0.95 kg/m2/10年(0.64~1.25、PP>0.9999)の上昇がみられた。 男子の動向は、東ヨーロッパで有意ではないが0.09kg/m2/10年(-0.33~0.49、PP=0.6926)の上昇がみられたものから、ポリネシアおよびミクロネシアの0.77kg/m2/10年(0.50~1.06、PP>0.9999)の上昇にわたっていた。 平均BMI値の傾向は、直近の北西ヨーロッパおよび高所得の英語圏、アジア太平洋地域では男子女子ともに安定的に推移しており、南西ヨーロッパの男子、中南米の中央およびアンデス地方では女子について安定的な推移が認められた。対照的に、東および南アジアでは男子女子ともにBMI値の上昇がみられ、東南アジアでは男子についてBMI値の上昇がみられた。 世界の肥満の年齢標準化有病率は、女子は1975年の0.7%(0.4~1.2)から2016年5.6%(4.8~6.5)に上昇し、男子は同0.9%(0.5~1.3)から7.8%(6.7~9.1)に上昇した。中等度~重度の低体重の有病率は、女子は同9.2%(6.0~12.9)から8.4%(6.8~10.1)に減少し、男子は同14.8%(10.4~19.5)から12.4%(10.3~14.5)に減少した。 2016年の中等度~重度の低体重の有病率はインドで最も高く、女子22.7%(16.7~29.6)、男子30.7%(23.5~38.0)であった。また、女子の肥満の有病率が30%超であったのは、ナウル、クック諸島、パラオで、男子ではクック諸島、ナウル、パラオ、ニウエ、米国領サモアであった。 2016年現在、世界で中等度~重度の低体重の女子は7,500万例(4,400万~1億1,700万)、男子は1億1,700万例(7,000万~1億7,800万)であり、肥満の女子は5,000万例(2,400万~8,900万)、男子は7,400万例(3,900万~1億2,500万)と推定された。

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血小板機能検査に基づく抗血小板療法の調節は意味がない?(解説:上田恭敬氏)-751

 本試験(TROPICAL-ACS)は、急性冠症候群(ACS)に対してPCIを施行した症例(2,610症例)を対象として、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の2剤目の薬剤を、プラスグレル(添付文書およびガイドラインに従って10mgまたは5mg/日)12ヵ月間とする対照群(control group)と、プラスグレル1週間、その後クロピドグレル(75mg/日)1週間、さらにその後は血小板機能検査の結果に基づいてプラスグレルかクロピドグレルを選択する調節群(PFT-guided de-escalation group)に無作為に割り付け、12ヵ月間の心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中、BARC分類class 2以上の出血を主要評価項目として比較して、調節群の非劣性を検討している多施設試験である。 血小板機能検査としては、Multiplate analyser(ロシュ・ダイアグノスティックス社、スイス)によって、抗血小板効果不十分を意味するhigh on­treatment platelet reactivity(HPR)であるかどうかを判定し、HPRであればクロピドグレルからプラスグレルへ戻すとしている。実際、調節群の39%の症例でHPRを認め、その99%の症例でプラスグレルに戻されている。また、プラスグレルの投与量については、FDAの添付文書では体重60kg未満では5mgを考慮することと記載されている。 結果は、群間にイベントの有意な差はなく、非劣性が証明されている。著者らは、統計的な差はないものの、調節群でイベントがやや少なく見えることも考慮して、血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を減弱させることは、通常のDAPTに対して代替的治療手段となりうると結論している。 確かに、理論的には、血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を調節することがイベントを減少させる可能性はあると思われるが、これまでの各種試験では、その有用性は証明されておらず、本試験でもその有用性は示されなかった。労力をかけて調節しても、決まった量を投与しても、アウトカムに影響しないのであれば、調節する意味はないという結論になる。 本試験で抗血小板療法を調節することの優位性が示されなかった1つの理由として、クロピドグレルへ変更(減弱)したままの症例が調節群の60%程度しかなかったことが挙げられているが、抗血小板効果が強過ぎるものも弱過ぎるものも、血小板機能検査に基づいて適切に調節するようなプロトコールであれば優位性が示されたのかもしれない。また、クロピドグレルの効果が常にプラスグレルよりも弱いわけでもなく、各薬剤の投与量が抗血小板効果に影響することは言うまでもない。各群で抗血小板効果が、実際どの程度に調節されていたかの比較も必要であろう。そもそも日本ではプラスグレルの標準投与量が日本人向けに設定されているため、本試験のデザインも結果も日本人には当てはまらない。「血小板機能検査に基づいて抗血小板療法を調節すること」の有用性を証明して、各個人に最適な治療を届けるという夢は、まだ夢のままである。

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メラノーマ画像診断、皮膚科医 vs.ディープラーニング

 ディープラーニング・コンピュータ画像認識システムは、メラノーマのダーモスコピー画像を正確に分類し、すべてではないが皮膚科医の精度を上回ることが、ISIC(International Skin Imaging Collaboration)主催の国際コンテスト「ISBI(International Symposium on Biomedical Imaging)チャレンジ2016」で示された。ただし著者は、「今回の研究デザインで得られた結果は、臨床診療に外挿することはできない限定的なものである」としている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年9月29日号掲載の報告。 研究グループは、ダーモスコピー画像によるメラノーマの診断精度をコンピュータアルゴリズムと皮膚科医とで比較する目的で、25チームの個々のアルゴリズムの結果と、international computer vision melanoma challengeのデータセットからランダムに選択したダーモスコピー画像100例(メラノーマ50例、母斑44例、黒子6例)を用いて検討した。 個々の自動予測を5つの方法(非学習および機械学習)を用いて「融合」アルゴリズムに統合し、また、8人の皮膚科医が100例の画像について病変の良性・悪性を分類した。 主な結果は以下のとおり。・皮膚科医による分類の平均感度は82%、特異度は59%であった。・分類感度82%における皮膚科医の特異度は、チャレンジアルゴリズムのトップと同程度であり(59% vs.62%、p=0.68)、最良パフォーマンスの融合アルゴリズムよりは低かった(59% vs.76%、p=0.02)。・ROC面積を比較すると、最良融合アルゴリズムのほうが皮膚科医よりも大きかった(0.86 vs.0.71、p=0.001)。・今回の研究では、データセットに臨床診療で遭遇する皮膚病変、とくにびまん性病変が含まれていなかった。また、読影者とアルゴリズムに臨床データ(年齢、既往歴、症状など)が提供されていなかった。

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抗精神病薬の早期治療反応は、長期治療効果を予測可能か

 抗精神病薬による最初の2~3週間での早期治療反応は、数ヵ月後の短期アウトカムを予測可能である。カナダ・マックマスター大学のSean A. Rasmussen氏らは、抗精神病薬の早期治療反応の予測値が、数年間の長期治療において持続するか検討を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2017年9月26日号の報告。 本観察研究では、抗精神病薬での治療開始から平均25ヵ月経過した初回エピソード統合失調症患者64例を対象に、フォローアップ評価を行った。対象患者は、治療開始時にハロペリドール投与またはオランザピン投与に無作為化され、急性期入院後には自由な治療に移行した。治療開始2週または3週目のBPRS(Brief Psychiatric Rating Scale)での早期改善効果が、フォローアップ時の長期改善効果を予測するかどうか、回帰分析を用いて評価した。2次解析として、フォローアップ時の錐体外路系副作用を早期に予測できるかについて検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・2週目でのハロペリドールに対する早期治療反応は、長期フォローアップにおけるBPRS改善を予測した(p=0.002)。・2週または3週目のオランザピンに対する早期治療反応は、長期改善を予測しなかった(それぞれ、p=0.726、p=0.541)。・錐体外路系副作用の割合は、両群間で差は認められず、早期治療反応では予測できなかった。 著者らは「ハロペリドール早期治療反応は長期治療予後を予測するが、オランザピン早期治療反応は予測しない可能性がある」としている。■関連記事精神疾患患者の激越症状に対する新旧治療戦略統合失調症の再発率比較、併用療法 vs.単独療法 vs.LAI安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか

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朝食抜きの人は動脈硬化リスクが高い

 朝食を抜く習慣が、一般的な心血管疾患(CV)リスク因子とは関係なく、非冠動脈性および全身性のアテローム性動脈硬化症のリスク増加と関連することが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIのIrina Uzhova氏らの前向きコホート研究で示された。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。 著者らは、CVリスク因子および無症候性アテローム性動脈硬化症の存在・分布・進展と、朝食パターンとの関係を調べた。本研究は、ベースライン時にCVイベントのなかった40~54歳の成人の前向きコホート研究であるPESA (Progression of Early Subclinical Atherosclerosis)研究における横断分析。4,052人の参加者から、生活習慣、複数の血管内イメージングデータ、臨床共変量を収集した。朝食パターンは以下の3つで検討した。・高エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の20%超(全体の27%)・低エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の5~20%(全体の70%)・朝食抜き:朝食が1日の総エネルギー摂取量の5%未満(全体の3%) 多変量ロジスティック回帰モデルによる分析の結果、朝食抜きは高エネルギー朝食と比べて、従来の食事性CVリスク因子の存在とは関係なく、非冠動脈性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:1.55、95%CI:0.97~2.46)および全身性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:2.57、95%CI:1.54~4.31)の高い有病率と関連していた。■関連記事朝食抜きがアテローム性動脈硬化症の増加と関連

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若年1型糖尿病にポンプ療法 vs.注射療法、安全なのは?/JAMA

 平均年齢14.1歳の1型糖尿病患者3万579例を対象とした検討において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法と比べて、重症低血糖症、糖尿病性ケトアシドーシスの発現リスクは低く、直近の血糖コントロールもより良好であることが示された。ドイツ・アーヘン工科大学のBeate Karges氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、著者は「示された結果は、1型糖尿病の小児、青少年、若年成人において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法と比べて、臨床的アウトカムの改善と関係するとのエビデンスを提示するものである」とまとめている。インスリンポンプ療法は、若い1型糖尿病患者の代謝コントロールを改善することが示唆される一方で、短期的な糖尿病性合併症との関連が明らかになっていなかった。JAMA誌2017年10月10日号掲載の報告。ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクで20歳未満患者を対象に検討 研究グループは2011年1月~2015年12月に、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクの糖尿病センター446施設で参加者を募ったDiabetes Prospective Follow-up Initiativeを行い、小児、青少年、若年成人の1型糖尿病患者において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法よりも、重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度が低いかどうかを調べた。 対象は、20歳未満で罹病期間が1年以上、インスリンポンプ療法またはインスリン注射療法(1日4回以上投与)を受ける1型糖尿病患者。年齢、性別、糖尿病罹病期間、患者の出生地(ドイツまたはオーストリア以外の生まれ)、BMI値、糖化ヘモグロビン値を共変量とし、傾向スコア適合法と治療の逆確率重み付け法(inverse probability of treatment weighting:IPTW)を用いて解析した。 主要アウトカムは、直近の治療年間の重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度とした。副次アウトカムは、糖化ヘモグロビン値、インスリン投与量、BMI値などであった。重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度、ポンプ療法が有意に低い 被験者3万579例(平均年齢14.1歳[SD 4.0]、男子53%)のうち、1万4,119例がポンプ療法を(期間中央値3.7年)、1万6,460例が注射療法(同3.6年)を受けていた。ポンプ療法群の患者9,814例を注射療法群の患者9,814例と適合して解析した。 ポンプ療法群は注射療法群と比べて、重症低血糖症(9.55 vs.13.97/100患者年、差:-4.42[95%信頼区間[CI]:-6.15~-2.69]、p<0.001)、糖尿病性ケトアシドーシス(3.64 vs.4.26/100患者年、差:-0.63[95%CI:-1.24~-0.02]、p=0.04)ともに発現頻度が有意に低かった。 糖化ヘモグロビン値も、ポンプ療法群が注射療法群よりも有意に低値であった(8.04% vs.8.22%、差:-0.18[95%CI:-0.22~-0.13]、p<0.001)。また、1日インスリン投与量も、ポンプ療法群が注射療法群よりも有意に少なかった(0.84U/kg vs.0.98U/kg、差:-0.14[95%CI:-0.15~-0.13]、p<0.001)。 BMI値は、両療法群間で有意差はみられなかった。 同様の結果は、全コホートで傾向スコア・治療の逆確率重み付け法で解析後も得られた。

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