サイト内検索|page:290

検索結果 合計:11861件 表示位置:5781 - 5800

5781.

認知症の攻撃性および興奮に対する介入比較~メタ解析

 認知症患者の精神症状の治療には、薬理学的介入と非薬理学的介入の両方が用いられる。カナダ・St. Michael's HospitalのJennifer A. Watt氏らは、認知症の攻撃性および興奮に対する薬理学的介入および非薬理学的介入の有効性比較を行った。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2019年10月15日号の報告。 対象研究は、認知症の攻撃性および興奮に対する治療介入を比較したランダム化比較試験。データは、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、PsycINFOより検索し、2019年5月28日までの灰色文献および選択した研究やシステマティック・レビューから抽出したリファレンスを用いた。研究の選択、データの抽出、バイアスリスクの評価は、独立した2人1組のレビューアにより実施された。 主な結果は以下のとおり。・攻撃性と興奮をターゲットとした介入148件(2万1,686例)の分析では、通常ケアと比較し、以下の治療介入が臨床的に有用であった。 ●学際的ケア(標準化平均差[SMD]:-0.5、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.01) ●マッサージおよびタッチ療法(SMD:-0.75、95%CI:-1.12~-0.38) ●マッサージおよびタッチ療法と音楽療法の併用(SMD:-0.91、95%CI:-1.75~-0.07)・レクリエーション療法は、統計学的に有意ではあったが(SMD:-0.29、95%CI:-0.57~-0.01)、臨床的には通常ケアよりも効果的とはいえなかった。・本研究の限界として、研究の46%において、アウトカムデータが欠落しており、バイアスリスクが高かった。また、治療介入の有害性およびコストは評価されていなかった。 著者らは「認知症の攻撃性および興奮を軽減するための非薬理学的介入は、薬理学的介入よりも効果的であると考えられる」としている。

5782.

骨パジェット病〔Paget disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨パジェット病は、1877年、英国のSir James Pagetが変形性骨炎(osteitis deformans)として初めて詳細に報告した。限局した骨の局所で、異常に亢進した骨吸収と、それに続く過剰な骨形成が生じる結果、骨の微細構造の変化と疼痛を伴い、骨の肥大や弯曲などの変形が徐々に進行し、同時に罹患局所の骨強度が低下する疾患である。1ヵ所(単骨性)の骨が罹患する場合と複数ヵ所(多骨性)の場合がある。■ 疫学発症年齢は大半が40歳以降で、年齢とともに頻度が上昇する。発症頻度に明らかな人種差があり、欧米などは比較的頻度が高い(0.1~5%の有病率)が、アジアやアフリカ地域では、有病率がきわめて低い。わが国の有病率は100万人に2.8人ときわめて低い。わが国の患者の平均年齢は64.7歳で、90%以上が45歳以上であり、55歳以上では有病率が人口10万人あたり0.41人と上昇する。高齢者に多いこの年齢分布様式は欧米と大差がない。家族集積性に関しては日本では6.3%と、ほとんどの骨パジェット病の患者が散発性発症であり、欧米での15~40%程度と比較して少ない。また、多数の無症状例潜在の可能性がある。■ 病因骨パジェット病の病因は不明で、ウイルス説、遺伝子異常が考えられている。1970年代に、破骨細胞核内にウイルスのnucleocapsidに似た封入体が発見され、免疫組織学的にも麻疹、RS (respiratory syncytial)ウイルスの抗原物質が証明され、遅延性ウイルス感染説が考えられたが、明確な結論に至っていない。一方、破骨細胞の誘導や機能促進に関与するいくつかの遺伝子異常が、高齢者発症の通常型、早期発症家族性、またはミオパチーと認知症を伴う症候性の骨パジェット病患者に確認されている。好発罹患部位は体幹部と大腿骨であり、これらで75~80%を占める(骨盤30~75%、脊椎30~74%、頭蓋骨25~65%、大腿骨25~35%)。単骨性と多骨性について、わが国では、ほぼ同程度の頻度である。ほかに、脛骨、肋骨、鎖骨、踵骨、顎骨、手指、上腕骨、前腕骨など、いずれの部位も罹患骨となりうる。この分布は欧米と差はない。■ 症状1)無症状X線検査や血液検査で偶然発見される場合も多い。欧米では無症候性のものが多く、有症状の患者は、多い報告でも約30%程度だが、わが国の調査では75%が有症候性であった。2)疼痛最も多い症状は疼痛であり、罹患骨由来の軽度~中等度の持続的骨痛がみられ、夜間に増強する傾向がある。下肢骨では歩行で増強する傾向がみられる。疼痛部位は腰痛、股関節痛、殿部痛、膝関節痛の順に頻度が高い。3)変形疼痛の次に多い症状は、外観上の骨格変形であり、サイズの増大(例:頭)や弯曲変形(例:大腿骨、亀背)がみられ、頭蓋骨、顎骨、鎖骨など目立つ部位の腫脹、肥大や大腿骨の弯曲をみる。顎骨変形に伴い、噛み合わせ異常や開口障害といった歯科的障害を伴うこともある。4)関節障害・骨折・神経障害関節近傍の変形では、二次性の変形性関節症を生じる。長管骨罹患の場合、凸側ではfissure fractureと呼ばれる長軸に垂直な骨折線が全径に広がり、chalkを折ったような横骨折を起こすことがある。わが国の調査では、大腿骨罹患患者の約2割強に骨折が生じている。これは、欧米の骨折率に比して著しく高い。また、変形に伴い、神経障害(例:頭蓋骨肥厚で脳神経圧迫、圧迫骨折で脊髄圧迫)がみられ、難聴、視力障害や脊柱管狭窄症などがみられることがある。5)循環器症状循環器症状は、病変骨の血流増加や動静脈シャントによる動悸、息切れ、全身倦怠感を来し、広範囲罹患例では高送血性心不全がみられる。■ 予後まれだが、罹患骨で骨肉腫や骨原発悪性線維性組織球腫など悪性腫瘍の発生がある。その頻度は欧米で0.1~5%、わが国の調査では1.8%である。したがって、経過中に罹患部位の疼痛増強を来した場合や血清学的な悪化を来した場合には、常に悪性腫瘍の可能性を考えておく必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)基本的に単純X線像で診断可能な疾患である(図)。X線像は骨吸収と硬化像の混在、骨皮質の粗な肥厚が一般的であるが、初期病変の骨吸収の著明な亢進があり、まだ骨形成が生じていない時期には、長管骨ではV字状骨吸収(割れたガラス片先端のような骨透過像)と、頭蓋骨ではosteoporosis circumscripta (境界明瞭なパッチ状の吸収像)が特徴的である。その後、骨梁の粗造化と呼ばれる、大きく太い海綿骨の出現や皮質骨の肥厚、骨硬化像がみられ、骨吸収像の部位と混在して存在するようになり、骨の横径や前後径が増加し骨輪郭が拡大する。頭蓋骨では斑点状の骨硬化像と骨吸収像の混在がみられ、綿帽子状(cotton wool appearance)を呈する。これらの多くの変化の中で、診断上、役立つのは骨吸収像ではなく、旺盛な骨形成による骨幅の拡大という形態上の変化であり、特徴的な所見である。骨シンチグラフィーは、病変部に病勢を反映する強い集積像を示す。画像により鑑別すべき疾患は、前立腺がん、乳がんの骨転移や骨硬化をもたらす骨系統疾患である。生化学的には血清アルカリフォスファターゼ(ALP)値とオステオカルシン上昇(骨新生)、尿中ヒドロキシプロリン(HP)値の上昇(骨吸収)が疾患の分布と活動性によりみられる(活動度は尿中HP値が血清ALP値より敏感)。また、骨形成指標の骨型ALP (BAP)と骨吸収マーカーの尿中N-telopeptide of human type collagen (NTX)、C-telopeptide of human type I collagen (CTX)、デオキシピリジノリン(DPD)値は高値を示す。病変が小さい場合は、ALP値が正常範囲のこともあり、わが国の調査で10.4%、欧米でも15%の患者がALP正常である。病理組織像では、多数の破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞の増生による骨形成が混在し、骨梁は層板が不規則になりcement lineを無秩序に形成し、モザイクパターンを示す。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療は疼痛や、破骨細胞を標的とした薬物療法、変形に対する装具療法、変形や骨折に対する手術療法が考えられる。■ 薬物療法疼痛には消炎鎮痛薬を使用する。最初の病態は破骨細胞による骨吸収亢進であり、破骨細胞の機能を抑制する、カルシトニン、ビスホスホネートなどの薬剤があるが、カルシトニンを第1選択に使用することはない。ビスホスホネートは日本では第一世代のエチドロン酸ナトリウム(商品名:ダイドロネル)の使用が認められ、最初に広く用いた治療薬だが、現在、第1選択薬に使用することはない。欧米では第二、第三世代のビスホスホネート製剤を主に治療に使用している。わが国では2008年7月に、リセドロン酸ナトリウム(同:ベネットなど) 17.5mg/日の56日連続投与が認可され、ようやく骨パジェット病患者の十分な治療ができるようになったが、現在、保険適用されている第二世代以降のビスホスホネート製剤は、リセドロン酸ナトリウムのみであり、他のビスホスホネートは適用されていない。しかし、リセドロン酸ナトリウムに対して低反応性の症例に、他のビスホスホネートで奏効した報告や、抗RANKL抗体のデノスマブ(同:ランマーク)の方がビスホスホネートより優れている報告もあり、抗RANKL抗体ではないがRANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)のrecombinant体を若年性多骨性の骨パジェット病に投与した報告もある。■ 手術療法長管骨の骨折、二次性変形性関節症、脊柱管狭窄症などに手術を行うこともある。4 今後の展望骨パジェット病のほか、骨粗鬆症やがんの骨転移にも破骨細胞が関与している。これらの疾患では、破骨細胞の活動が亢進しており、それによって、それぞれの疾患がつくり上げられている。現在、破骨細胞の活動を抑制する薬剤には、ビスホスホネートと抗RANKL抗体であるデノスマブ(商品名:ランマーク※)、抗RANKL抗体ではないが、RANKL-RANK経路を抑制するosteoprotegerin(OPG)などがあり、これら薬剤の骨パジェット病に対する有効例の報告がある。今後、治療法の選択肢を増やす意味でも治験の実施、保険の適応などに期待したい。※ 骨パジェット病には未承認5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 骨パジェット病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)橋本淳ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:241-245.2)高田信二郎ほか. Osteoporosis Japan. 2007;15:246-249.3)Takata S, et al. J Bone Miner Metab. 2006;24: 359-367.4)平尾眞. CLINICAL CALCIUM. 2011;21:1231-1238.公開履歴初回2013年02月28日更新2019年11月12日

5783.

統合失調症に対する抗炎症薬の有用性~メタ解析

 統合失調症では、脳の炎症誘発性状態の傾向が重要な役割を担っているとのエビデンスが蓄積されつつある。この傾向を代償するうえで、抗炎症薬は有用である可能性がある。オランダ・Academic Medical CenterのN. Cakici氏らは、統合失調症に対するいくつかの抗炎症作用を有する薬剤の有効性に関するランダム化比較試験(RCT)の最新情報について、メタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2019年10月号の報告。 PubMed、Embase、the National Institutes of Health website、the Cochrane Database of Systematic Reviewsより、臨床結果を調査したRCTをシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・症状の重症度に関連する、次の薬剤の有効性を検討した研究は56件であった(アスピリン、ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、エストロゲン、脂肪酸、メラトニン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン、ピオグリタゾン、ピラセタム、プレグネノロン、スタチン、バレニクリン、withania somnifera extract)。・2つ以上の研究によるメタ解析で有意であった薬剤は以下のとおりであった。 ●アスピリン(平均加重エフェクトサイズ[ES]:0.30、270例、95%信頼区間[CI]:0.06~0.54) ●エストロゲン(ES:0.78、723例、95%CI:0.36~1.19) ●ミノサイクリン(ES:0.40、946例、95%CI:0.11~0.68) ●N-アセチルシステイン(ES:1.00、442例、95%CI:0.60~1.41)・サブグループ解析では、初回エピソード精神病および早期統合失調症の研究において、より肯定的な結果が得られた。・ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、脂肪酸、プレグネノロン、スタチン、バレニクリンでは有意な効果は認められなかった。 著者らは「すべてではないが、抗炎症作用を有するいくつかの薬剤(アスピリン、エストロゲン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン)において有効性が示唆された。初回エピソード精神病や早期統合失調症患者の症状重症度に関して、より有益な効果が観察された」としている。

5784.

診察室血圧および24時間自由行動下血圧モニタリングにおける夜間血圧と予後-なぜ夜間血圧の予後予測能がいいのか?-(解説:石川讓治氏)-1131

 自由行動下血圧モニタリング(ABPM)は、15~30分間隔で連続して血圧測定を行い、診察室以外での自由行動下および睡眠中の血圧測定が可能である。疫学的研究において、24時間平均自由行動下血圧、とくに夜間血圧が、診察室血圧よりも優れた高血圧性臓器障害や予後予測指標であることが報告されてきた。International Database on Ambulatory Blood Pressure in Relation to Cardiovascular Outcomes(IDACO)研究は、ABPMを用いた世界中の多数の疫学研究データを統合し、これらの研究結果をグローバル化させることを行ってきた。本研究の結果、24時間平均自由行動下血圧、とくに夜間血圧が、診察室血圧よりも優れた予後予測指標であったことが再確認された。 診察室血圧は、測定条件の不正確性や白衣効果の存在のため測定精度が劣ることが多く、自由行動下血圧のほうがより「真の血圧」に近いとして、日常臨床でも広く使用されるようになってきている。このIDACO研究における解析では、さまざまな診察室血圧および自由行動下血圧をモデルに投入し、ハザード比を比較して、とくに夜間血圧の予後予測能が優れていたと報告している。ハザード比は単位依存性であり、高齢者では診察室血圧が24時間平均自由行動下血圧や夜間血圧よりも高いことが多いため、診察室血圧の20/10mmHg上昇と夜間血圧の20/10mmHg上昇を同じモデルで同様に比較することに多少疑問を覚える。診察室血圧の予後予測のreceiver operating characteristic curveにおけるarea under the curve(AUC)は、死亡で0.83、複合心血管イベントで0.84であったにもかかわらず、夜間血圧をモデルに加えたAUCの増加は、死亡で0.0013~0.0027、複合心血管イベントで、0.0031~0.0075に過ぎなかった。そのため、診察室血圧に夜間血圧を加えることによる予後予測能の増加は、有意ではあるが非常に小さい。 さらに24時間平均自由行動下血圧および夜間血圧が、診察室血圧よりも予後予測能が優れる理由が不明である。仮面高血圧の存在(診察室血圧が正常範囲にもかかわらず、自由行動下血圧や夜間血圧が高値)が予後予測能の増加の理由の1つと考えられているが、多くの疫学研究では夜間血圧や自由行動下血圧は、診察室血圧よりも低いことが多い。それにもかかわらず夜間血圧の予後予測能が優れる理由について、著者らは身体活動や降圧薬の影響が少ない安定した条件で繰り返し測定されるbasal blood pressureであることの影響が強いのではないかとディスカッションにおいて述べている。 また、本論文では示されていないが、ABPMを指標に降圧治療したほうが診察室血圧を指標に治療するより死亡や複合心血管イベント発症が減少することを示した報告はない。降圧治療は診察室血圧と自由行動下血圧の両方を、治療開始前のレベルに応じて一定の割合で低下させる(regression to mean effect)ことに留意しておく必要がある。今後の研究の成果が期待される。

5785.

第19回 カプランマイヤー生存曲線がクロス、Cox比例ハザードモデルは使える?【統計のそこが知りたい!】

第19回 カプランマイヤー生存曲線がクロス、Cox比例ハザードモデルは使える?生存曲線全体を1つの効果にまとめた指標が「ハザード比(Hazard Ratio:HR)」です。これは2群間のハザード(瞬間死亡率)の比をとったものです。統計では2群間の生存曲線の要約指標として、ハザード比を使いたいわけですが、比の値が時間を通じて一定であるとは限りません。死亡率の比の値が、時間を通じて一定であるためには、2群間で死亡率推移のパターンが似ていることが前提となります。つまり、死亡率の比の値が時間を通じて一定の時は、比例ハザード性があるので、その一定値をハザード比と呼び、2群の生存曲線の要約指標として使うことができるのです。以下、図と一緒にみていきましょう。図1と図2は生存曲線のパターンは異なるものの、それぞれの2群間で試験初期も試験後期も死亡率比が同じように見受けられます。このようなデータであれば、2群間で、死亡率の推移のパターンが似ていることからCox比例ハザードモデルが使えそうです。図1 Cox比例ハザードモデルが使えそうなデータ図2 Cox比例ハザードモデルが使えそうなデータ図3は、試験初期は2群間の死亡率は同じですが、試験後期では明らかに2群間の死亡率が異なっていると考えられます。このように、2群間で死亡率の推移のパターンが似ていない場合、Cox比例ハザードモデルは使えないことが多いのですが、実際にはグラフの形状からだけで判断することが難しいことも多いです。Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を算出した結果、ハザード比が明らかにとても大きな数値になった場合などは、Cox比例ハザードモデルが使えないデータだったということになります。図3 Cox比例ハザードモデルが使えないデータでは、図4をみてみましょう。このデータは2群間で死亡率の推移がクロスしてしまっています。このような場合は2群間のパターンがまったく異なるので、このようなデータはハザード比を算出するまでもなく、Cox比例ハザードモデルを使うことはできません。図4 Cox比例ハザードモデルが使えないデータ■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決!一問一答質問8 Cox比例ハザードモデルとは?(その1)質問8(続き) Cox比例ハザードモデルとは?(その2)統計のそこが知りたい!第14回 Cox比例ハザードモデルってどんなモデル?

5786.

乳がん術後トラスツズマブ、心毒性の影響は?

 乳がん治療に用いられる分子標的薬トラスツズマブの心毒性の発生頻度や機序などが、ベルギー・ブリュッセル自由大学のEvandro de Azambuja氏らにより明らかにされた。トラスツズマブ関連心毒性の発生率、発生時期、治療完了への影響およびリスク因子について、トラスツズマブ術後補助療法の臨床試験3件のプール解析を行った結果、1年間のトラスツズマブ投与は心イベントのリスクを高めるが、ほとんどは無症候性または軽度の左室駆出率(LVEF)低下であり、トラスツズマブによる術後補助療法は多くの患者にとって心毒性の点で安全な治療と考えるべきであることが示されたという。トラスツズマブ関連心毒性は、HER2陽性乳がん患者においてなお議論の余地があるが、今回の結果を踏まえて著者は、「トラスツズマブ関連心毒性は投与中止の主な原因であることから、さらなる研究を行い、予防と管理の個別化が必要である」とまとめている。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2019年10月11日号掲載の報告。 研究グループは、大規模臨床試験のHERA、NSBAP B-31およびNCCTG 9831(Alliance 試験)の個々の患者データについてプール解析を行った。 心イベントの定義は、個々の試験に従った。 主な結果は以下のとおり。・3件の臨床試験に登録された計7,445例(トラスツズマブ群4,017例、対照群3,428例)が解析対象となった。・追跡期間中央値は、10年(119.2~137.2ヵ月)を超えた。・トラスツズマブ群のほぼ全例(97.4%)がアントラサイクリン併用化学療法を受けた。 ・トラスツズマブ群で452例(11.3%)に心イベントが発生した。その多く(351例、8.7%)が軽度症候性または無症候性のLVEF低下であった。・重度うっ血性心不全は、対照群(0.8%)よりトラスツズマブ群(2.3%)で高頻度であった。・ほとんどの心イベントはトラスツズマブ治療中に発生し(78.1%)、心イベントは治療中止の主な原因であったが(10.0%)、多くの患者はトラスツズマブ治療を完了した(76.2%)。・心イベント発生と有意に関連したベースラインのリスク因子は、ベースラインLVEF<60%、高血圧症、BMI>25、年齢≧60、および非白人であった。

5787.

睡眠時間と認知症リスク~メタ解析

 睡眠時間と認知症リスクとの関連について、一貫性のない結果が疫学研究で報告されている。この関連性を明らかにするため、中国・Chinese PLA General HospitalのLi Fan氏らが、プロスペクティブコホート研究のシステマティックレビューとメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2019年10月8日号の報告。 対象者には、コミュニティまたは臨床環境における認知症またはアルツハイマー病(AD)の患者と一般集団を含めた。睡眠時間とすべての原因による認知症またはADとの関連を調査したプロスペクティブコホート研究を、PubMed、EMBASE、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。睡眠時間(短時間または長時間vs.正常)とすべての原因による認知症またはADとの関連について、ランダム効果モデルと組み合わせた逆分散法を用いて検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・特定された研究は、すべての原因による認知症で7件、ADで6件であった。・プール解析では、長時間睡眠は、すべての原因による認知症リスクを77%(ハザード比[HR]:1.77、95%信頼区間[CI]:1.32~2.37)、ADリスクを63%(HR:1.63、95%CI:1.24~2.13)増加させることが示唆された。・短時間睡眠は、すべての原因による認知症(HR:1.20、95%CI:0.91~1.59)またはAD(HR:1.18、95%CI:0.91~1.54)のリスク増加との有意な関連は認められなかった。 著者らは「長時間睡眠のみが、認知症およびADリスク増加と有意な関連が認められた。この関連の根底にあるメカニズムをより理解するためにも、今後の研究が必要である」としている。

5788.

80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症、レボチロキシンの効果は?/JAMA

 80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症患者の治療において、レボチロキシンはプラセボに比べ、関連症状や疲労を改善しないことが、オランダ・ライデン大学医療センターのSimon P. Mooijaart氏らが行った2つの臨床試験の統合解析で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019年10月30日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症(サイロトロピン[甲状腺刺激ホルモン:TSH]上昇、遊離サイロキシン[FT4]正常範囲)は、便秘、精神機能低下、疲労、うつ症状などがみられ、心血管疾患リスクの上昇との関連が指摘されている。また、加齢に伴い併存疾患やフレイルが増加するため、80歳以上の患者は、疾患管理による有益性と有害性が、若年患者とは異なる可能性がある。一方、現時点で高齢患者のエビデンスはなく、プライマリケア医による治療においてばらつきの原因となっている可能性があるという。2つの無作為化プラセボ対照比較試験の統合解析 研究グループは、80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症患者において、レボチロキシン治療が甲状腺関連QOLに及ぼす効果を評価する目的で、2つの二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験の統合解析を行った。 Institute for Evidence-Based Medicine in Old Age(IEMO)試験は、80歳以上の患者を対象に、2014年5月~2017年5月の期間にオランダとスイスの施設で患者登録が行われた。また、Thyroid Hormone Replacement for Untreated Older Adults With Subclinical Hypothyroidism Trial(TRUST)試験は、65歳以上の患者を対象に、2013年4月~2015年5月の期間にオランダ、スイス、アイルランド、英国の施設で患者登録が行われた。 解析には、TRUST試験の80歳以上のサブグループと、IEMO試験のデータが用いられた(対象はサイロトロピン値4.6~19.9mIU/Lの患者)。 主要アウトカムは2つで、1年後の甲状腺関連QOL患者報告アウトカム(ThyPRO)質問票の「甲状腺機能低下症状」および「疲労」のスコア(0~100点、スコアが高いほどQOLが不良、臨床的に意義のある最小変化量は9点)とした。サイロトロピンは有意に低下、BMIは有意に増加 251例(平均年齢84.6[SD 3.6]歳、118例[47%]が女性)が登録され、レボチロキシン群に112例、プラセボ群には139例が割り付けられた。212例(84%)が試験を完遂した。ベースラインの虚血性心疾患が、レボチロキシン群(20.5%)に比べプラセボ群(27.3%)で多かった。 平均サイロトロピン値は、レボチロキシン群ではベースラインの6.50(SD 1.80)mIU/Lから12ヵ月後には3.69(1.81)mIU/Lへと低下し、プラセボ群の6.20(1.48)mIU/Lから5.49(2.21)mIU/Lへの低下と比較して、低下の幅が有意に大きかった(推定平均群間差:-1.9mIU/L、95%信頼区間[CI]:-2.49~-1.45、p<0.001)。 甲状腺機能低下症状スコアは、レボチロキシン群ではベースラインの21.7点から12ヵ月後には19.3点に低下したのに対し、プラセボ群では19.8点から17.4点に低下し、低下の幅に関して両群間に有意な差は認められなかった(補正後の群間差:1.3点、95%CI:-2.7~5.2、p=0.53)。 疲労スコアは、レボチロキシン群ではベースラインの25.5点から12ヵ月後には28.2点へと増加し、プラセボ群では25.1点から28.7点へと増加しており、有意差はみられなかった(補正後の群間差:-0.1点、95%CI:-4.5~4.3、p=0.96)。 EuroQol-5D indexによるQOL評価(補正後の群間差:-0.012、95%CI:-0.063~0.039、p=0.64)および握力による身体機能評価(-0.27kg、-1.79~1.25、p=0.73)にも、両群間に差はなかった。一方、BMI(0.38、0.08~0.68、p=0.01)およびウエスト周囲長(1.52cm、0.09~2.95、p=0.04)は、プラセボ群に比べレボチロキシン群で有意に増加した。 致死的/非致死的心血管イベント(補正前ハザード比[HR]:0.61、95%CI:0.24~1.50)および全死因死亡(1.39、0.37~5.19)には、両群間に差は認められなかった。73例(レボチロキシン群33例[29.5%]、プラセボ群40例[28.8%])で、1件以上の重篤な有害事象が認められた。 著者は「これらの知見は、80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症患者の治療におけるレボチロキシンのルーチンの使用を支持しない」としている。

5789.

ありそうでなかった市中肺炎の教科書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第24回

【第24回】ありそうでなかった市中肺炎の教科書呼吸器内科医が毎日のように出合う疾患が、市中肺炎。もちろん、かぜ症候群もコモンかつ大事な疾患ですが、両者の大きく違うところは、市中肺炎には適切な抗菌薬が必要であるという点です。病院では抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)活動がさかんになって、不適切な処方をしていると第三者からの指摘が入る時代になりました。外来市中肺炎にとりあえずレスピラトリーキノロンを処方していたら、「ちょww、おまww」と言われます。『亀田流 市中肺炎診療レクチャー 感染症医と呼吸器内科医の視点から』黒田 浩一/著. 中外医学社. 2019市中肺炎については、研修医~若手医師向けに多大なニーズがあるにも関わらず、これに特化した医学書ってほとんどありません。どういう患者さんに市中肺炎を疑い、診断した後どのように重症度を評価し、そしてどの抗菌薬を使うか。全部きれいにまとまっているのがこの本です。私は、自身の著書で結構“チャラさ”を出してしまう性格なのですが、本書筆者の黒田浩一先生はロジカル&インテレクチュアル&トラストワージーです。私よりも3学年若い新進気鋭の感染症科医で、呼吸器内科医もやっておられるというから、親近感爆発尊敬マックス。この本が出版された直後、アメリカ胸部学会(ATS)/アメリカ感染症学会(IDSA)の市中肺炎ガイドライン1)が刊行されたのですが、黒田先生は近年のエビデンスもしっかり拾われているため、最新のガイドラインとほぼ相違ない内容になっていたのには驚かされました。ちなみに、くだんのガイドラインには「外来の市中肺炎でイチイチGram染色なんてやらなくてもいいよ」と書いてあるのですが、ちょっと暴論かなぁと思っています。みなさん、やりますよね?この本の帯には、ちょっと面白いことが書かれています。「呼吸器内科医は『画像』に強いが『微生物』に弱い?感染症医は『微生物』に強いが『画像』に弱い?」。これってまさにその通りで、私たち呼吸器内科医はあまりGram染色の向こう側にある微生物のキャラクターには注目せず、画像所見に重きを置いて重症度を判断してしまいがちです。反面、感染症医は、相手にしている微生物がどういうヤツらなのか、その顔色や見た目を観察することに没入してしまう。もちろん、両者の長所を融合させてこそ、適切な市中肺炎診療と言えるわけですが、2職種を経験している黒田先生だからこそ、バランスのとれた本書が完成したのだと確信しています。エビデンスベースドの市中肺炎診療をてっとり早く学びたい人には、オススメの一冊。『亀田流 市中肺炎診療レクチャー 感染症医と呼吸器内科医の視点から』黒田 浩一/著出版社名中外医学社定価本体3,600円+税サイズA5判刊行年2019年1)Metlay JP, et al. Diagnosis and Treatment of Adults with Community-acquired Pneumonia. An Official Clinical Practice Guideline of the American Thoracic Society and Infectious Diseases Society of America Am J Respir Crit Care Med. 2019 Oct 1;200(7):e45-e67.

5790.

ESMO2019レポート 肺がん

レポーター紹介ESMO(European Society for Medical Oncology)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月27日~10月1日の期間に行われた。今年は9月初めに世界肺がん学会がESMOとまったく同じ会場であるスペインのバルセロナで行われていたが、昨年のESMOと比べると、肺がんの分野においても注目演題が複数個存在した。とくに、Presidential Symposiumにおいて、肺がんからFLAURAとCheckMate-227の2演題が報告されており、各試験への関心の高さがうかがわれた。また、約30,000人が参加し、多くの演題が報告された。肺がん領域ではこの2つの演題を中心に、いくつか紹介する。分子標的治療のトピックFLAURA試験学会開催前から、全生存期間(OS)において統計学的有意差が出ていることが報告されており、どのような生存曲線が描かれ、その差がどれくらいなのか、全生存中央期間がどれくらいなのかと、注目されていたFLAURA試験のOSが報告された。FLAURA試験は、30ヵ国556例を対象に行われた。EGFRのcommon変異(Del19/L858R)を有する進行NSCLCを、オシメルチニブ群(279例)と標準療法群:ゲフィチニブもしくはエルロチニブ(277例)に1対1の割合で割り付けて行われた。脳転移がある患者も神経学的に安定している患者は参加可能とされ、標準療法群で増悪となり中央判定でT790Mが同定された場合にはオシメルチニブへのクロスオーバーが可能であった。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、有意差をもって、オシメルチニブ群が標準治療群より延長することが示されていた。今回のOSの結果は、OS中央値はオシメルチニブ群が38.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:34.5~41.8)、標準療法群が31.8ヵ月(95%CI:26.6~36.0)で、ハザード比(HR)は0.799(95%CI:0.641~0.997)、p=0.0462であり、有意にオシメルチニブ群でOSが延長していた。また、OSのサブグループ解析では、アジア人のHRと遺伝子変異がL858RのグループのHRがそれぞれ0.995および0.996と、ほぼ1に近い数字であった。とくに、アジア人におけるOSのカプランマイヤー曲線は38ヵ月頃で交差しており議論の余地を残す結果になっている。一方、非アジア人は9ヵ月頃から曲線の差が開き始め、その後、差は広くなっており、アジアと非アジアではやや異なる結果となった。PD後の後治療をみると、各群ともに約30%が次治療を受けておらず、日本の実臨床に合わない印象があった。さらに、標準療法群の85例(次治療に移行した群の47%)がオシメルチニブにクロスオーバーされていた。今後は、日本人のOSサブグループ解析がどのような結果になっているのかが注目されるところである。S.S. Ramalingam, et al. LBA5免疫療法のトピックCheckMate-227試験CheckMate-227 Part 1試験は、非扁平上皮がん、扁平上皮がんの組織型を含む未治療の進行NSCLC患者を対象にした非盲検フェーズ3試験。Part 1a、Part 1bから構成されている。Part 1aは、PD-L1陽性患者(1%以上)1,189例を、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群、ニボルマブ単剤療法群、化学療法群に1対1対1の割合で割り付け、Part 1bは、PD-L1陰性患者550例を、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群、ニボルマブと化学療法併用群、化学療法群に1対1対1の割合で割り付けて評価した。この試験も、学会前より、OSにおいてPart 1aで有意差を認め、Part 1bでは有意差を認めないことが報告されており、その詳細な結果が注目されていた。Part 1には2つの主要評価項目が設定されていた。1つはPart 1aに組み入れられた患者で評価するPD-L1発現陽性患者におけるOSの評価。もう1つは、Part 1aと1bに組み入れられた患者で評価した腫瘍遺伝子変異量(TMB)10mut/Mb以上の患者における盲検下独立中央判定によるPFSの評価。TMB10mut/Mb以上の患者において、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群が化学療法群よりも有意にPFSを延長することはすでに報告されている。今回のOSの評価では、PD-L1陽性患者(Part 1a)におけるニボルマブとイピリムマブ併用療法群(396例)のOS中央値は17.1ヵ月、化学療法群(397例)は14.9ヵ月、HR:0.79(97.72%CI:0.65~0.96)、p=0.007で有意にニボルマブとイピリムマブ併用療法群で延長していた。なお、ニボルマブ単剤療法群(396例)のOS中央値は15.7ヵ月であった。1年OS率はニボルマブとイピリムマブ併用療法群が63%、化学療法群が56%、ニボルマブ単剤療法群が57%、2年OS率はニボルマブとイピリムマブ併用療法群が40%、化学療法群が33%、ニボルマブ単剤療法群が36%となっており、併用群は化学療法やニボルマブ単剤療法群よりtail効果が高い所に出ている可能性があり、今後の長期予後調査が楽しみな結果であった。また、PD-L1発現が50%以上の患者に限定すると、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群(205例)のOS中央値は21.2ヵ月、化学療法群(192例)は14.0ヵ月で、HRは0.70(95%CI:0.55~0.90)となった。ニボルマブ単剤療法群(214例)のOS中央値は18.1ヵ月、化学療法群に対するHRは0.79(95%CI:0.63~1.01)で、免疫チェックポイント阻害薬が含まれる群の効果が高まった。奏効率、PFS、DORも同様だった。一方、PD-L1陰性患者(Part 1b)におけるニボルマブとイピリムマブ併用療法群(187例)のOS中央値は17.2ヵ月、化学療法群(186例)は12.2ヵ月で、HRは0.62(95%CI:0.48~0.78)と探索的研究ではあるが、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群で有意に延長していた。PD-L1の発現にかかわらず、全患者におけるOS中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群(583例)は17.1ヵ月、化学療法群(583例)は13.9ヵ月、HRは0.73(95%CI:0.64~0.84)であり、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群で有意にOSが延長していた。また、OSのサブグループ解析において、TMBの高低にかかわらず、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群は化学療法群と比べOSの延長が示唆されており、以前に発表されたPFSとは異なる結果となり、今後の展開が期待される。S. Peters, eta la. LBA4IMpower110試験IMpower110試験は、PD-L1発現がTCまたはICで1%以上の未治療非小細胞肺がん(NSCLC)患者で、アテゾリズマブ単剤療法とプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を比較する、フェーズ3、非盲検ランダム化比較試験である。主要評価項目は、EGFRおよび/またはALKの遺伝子変異陽性を有する患者を除外した患者群におけるOSである。OSの検証は、PD-L1のサブグループにより、TC3またはIC3、TC2/3またはIC2/3、TC1/2/3またはIC1/2/3の順に段階的に行われ、これら3つの患者群すべてでOSがポジティブな結果となった場合、PFSの正式な検証を行うこととされた。本研究では、TC3またはIC3群では、アテゾリズマブ群20.2ヵ月(95%CI:16.5~NE)、化学療法群13.1ヵ月(95%CI:7.4~16.5)、HR:0.59(95%CI:0.40~0.89、p=0.0106)となり、PD-L1高発現(TC3またはIC3-野生型)の患者に対する1次治療として、アテゾリズマブ単剤療法は、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法と比べてOSを有意に延長することが示された。TC2/3またはIC2/3の患者では、アテゾリズマブ群18.2ヵ月(95%CI:13.3~NE)、化学療法群14.9ヵ月(95%CI:10.8~16.6)、HR:0.72(95%CI:0.52~0.99、p=0.0416)となった。ただし、この解析では事前に定めた境界を超えなかったため、TC1/2/3またはIC1/2/3-野生型の患者におけるOSの解析は正式な検証とならなかった。結果的には、まだ検証は続くものの、ペムブロリズマブのPD-L1高発現(50%以上)に追随するような結果であった。D.Spigel, et al. LBA78その他のトピック個人的には、宮本先生がLC-SCRUMの変遷を発表され、その発表の中でラグビー日本代表がアイルランド代表に勝ったことを話されたときに聴衆から大きな拍手が起こったことが一番印象に残っている。REMORA試験REMORA試験は、プラチナ製剤を含む化学療法を受けている既治療胸腺がんに対して、マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるレンバチニブの有効性をみる単群フェーズ2試験である。胸腺がんは、化学療法のレジメンが限られており、治療法の開発が切望される分野である。今回、レンバチニブは胸腺がんに対して、PFS中央値9.3ヵ月、OS中央値未到達、奏効率38.1%、病勢制御率95.2%と単群試験ではあるが非常に有用な試験結果が報告された。今後の開発が楽しみである。S. Itoh, et al. 1844O

5791.

「日本版敗血症治療ガイドライン2020」の改訂ポイントを公開

 2019年10月2~4日に行われた第47回日本救急医学会総会・学術集会において、2020年夏に向け2回目の改訂作業が進む「日本版敗血症治療ガイドライン2020(J-SSCG2020)」の編集方針と改訂ポイントをテーマにしたパネルディスカッションが行われた。日本版敗血症治療ガイドライン2020改訂のポイント 冒頭に、2016年の日本版敗血症治療ガイドライン(J-SSCG2016)の作成委員会委員長を務めた藤田医科大学教授の西田 修氏が前回改訂を振り返った。「敗血症のガイドラインとしては『敗血症診療国際ガイドライン(SSCG)』があり、2004年に初版が刊行され、2020年には4回目の改訂が予定される同ガイドラインは国際的評価も高い。作成当初はこれを訳せばいいのでは、という声も多かった」と振り返った。敢えて日本版敗血症治療ガイドラインを作成した意義については、「日本独自の視点も大切にしながら、国際ガイドラインに劣らない質を追求し、それを人材育成につなげることを目指した」と述べた。日本版敗血症治療ガイドラインは当初は日本集中治療医学会が作成し、1回目の改訂にあたる日本版敗血症治療ガイドライン2016からは、同学会と日本救急医学会の合同作成となっている。 続いて、日本版敗血症治療ガイドライン2020作成委員会共同委員長を務める大阪大学准教授の小倉 裕司氏が、今回の改訂のポイントを述べた。「J-SSCG2016から委員は4割が入れ替わり、一般臨床の場で役立つ、SSCGにはない斬新な内容を取り入れる、時間的要素を取り入れ見せ方を工夫する、若手医師の積極的な参加を促して次世代育成を目指す、という4点を重視した」と述べた。 日本版敗血症治療ガイドライン2020の作成における特徴は以下のとおり。日本版敗血症治療ガイドライン2016から引き継がれた点も多い。・広い普及を目指す…一般の臨床家に使いやすく、質の高いガイドラインとする・適切な判断をサポート…臨床上必要なクリニカルクエスチョン(CQ)であれば、質の高いエビデンスの有無にかかわらず、すべてを取り上げる・質の担保/透明性の向上…若手メンバー中心に各領域を横断してサポートや査読を行う独立組織「アカデミックガイドライン推進班」を設置/パブリックコメントを複数回募集敗血症治療ガイドライン日本版独自の内容 日本版敗血症治療ガイドライン2020から新たに加わった内容・変更点は以下のとおり。・CQが89→117(予定)と約1.5倍に・神経集中治療・ストレス潰瘍・Patient-and family-centered care・Sepsis Treatment Systemの4領域を新たに追加・8領域の作成に多職種のワーキング・グループが参加・CQを24のバックグラウンドクエスチョン(BQ)と92のフォアグラウンドクエスチョン(FQ)に分け、FQはさらにエビデンスの強固さによって3つのグレードに分類 体温管理・ICU-AW、PICS、小児、神経集中治療の領域は、敗血症診療国際ガイドラインに含まれない日本版独自の内容となる。改訂ごとに増える内容を臨床の現場で有効に使ってもらうため、ダイジェスト版・電子版の発行とあわせ、今回新たにアプリ開発を進めるなど、多様な手段で新ガイドラインを提供する計画だ。また、ガイドライン策定にあたってのシステマティックレビューから複数の論文が生まれる、診療報酬改定に影響を与えるなど、副次的な効果も出ているという。また、敗血症に世間の関心が高まる中、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本感染症学会の3学会合同で一般向け情報サイト「敗血症.com」を設置・運営し、積極的な情報提供も行っている。 日本版敗血症治療ガイドライン2020は2020年春の公開、夏の刊行が予定されており、ダイジェスト版、英語版も続いて出版される。

5792.

喫煙と認知症リスクの関連、禁煙後何年で消失?

 喫煙は認知症の危険因子として知られているが、禁煙によってリスクは減少するのだろうか。米国・ジョンズホプキンス大学School of Public HealthのJennifer A. Deal氏らが、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究で調べたところ、禁煙は認知症リスク減少に有益ではあるものの、禁煙期間に依存することがわかった。本研究では、禁煙後9年以上経過した場合に認知症発症との関連が消失し、認知症リスクを減らすためには中年早期に禁煙する重要性が示唆された。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2019年11月1日号に掲載。 ARIC研究は、1987~89年に始められた米国の4つのコミュニティーでの前向きコホート研究で、52〜75歳の1万3,002人の男女(25%がアフリカ系アメリカ人)が参加。認知症(すべての原因を含む)は、縦断的認知データ、代理報告書、病院および死亡証明書における認知症のコードを組み込んだ標準化アルゴリズムを用いて定義した。認知機能低下は、2つの時点(1996~98年および2011~13年)で測定された3つのテストによる複合認知スコアを用いて測定した。喫煙と禁煙は、1987~89年および1996~98年のデータを用いた自己申告によって定義した。認知症発症リスクと喫煙有無による認知機能低下の違いは、それぞれCox比例ハザードモデルと線形回帰モデルで推定した。 主な結果は以下のとおり。・非喫煙者、元喫煙者、現在喫煙者の割合は、44%、41%、14%であった。・元喫煙者の79%は、ベースライン時点で9年以上禁煙していた。・1,347人の参加者が認知症を発症した。・非喫煙者に対する現在喫煙者の認知症の調整ハザード比は1.33(95%信頼区間[CI] :1.12~1.59)、ベースライン時に禁煙から9年未満の元喫煙者は1.24(95%CI:1.01~1.52)であった。・ベースライン時に9年以上禁煙していた場合、認知症との関連はなかった。・認知機能低下率について喫煙の有無による差は認められなかった。

5793.

精神疾患が死亡率と平均余命に影響/Lancet

 精神障害は若年死と関連していることが、デンマーク・オーフス大学のOleguer Plane-Ripoll氏らによる、デンマークの全国登録を用いたコホート研究の結果、示された。精神障害の発症年齢を加味した生存年損失(life-years lost:LYL)で評価すると、精神障害は死亡率の増加と平均余命の減少の両方と関連していたという。これまでシステマティックレビューにより、精神障害を有する人は若年死のリスクが増加することが一貫して示されてきたが、このエビデンスは平均余命減少の相対リスクまたは粗推定値に基づいていた。著者は、「今回の新しい方法は、若年死のより正確な推定値を提供するとともに、競合リスクや特定の死因に関連する、これまで正当に評価されていない特性を明らかにした。精神障害を有する人々の全身状態のケアも最大限に高める必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2019年10月24日号掲載の報告。精神障害と死亡関連指標を包括的に解析 研究グループは、1995年1月1日~2015年12月31日までのある時点でデンマークに居住していた95歳未満の736万9,926人を対象に解析した。 精神障害に関する情報はDanish Psychiatric Central Research Registerを用い、死亡日および死因についてのデータはDanish Register of Causes of Deathを用いて入手した。 精神障害は10グループ、死因は11グループに分類し、死因はさらに自然死(疾患および健康状態による死亡)および外因死(自殺、殺人、事故)に層別化。精神障害別にポアソン回帰モデルを用いて性別、年齢、暦時間で補正した死亡率比(MRR)を推定するとともに、全死因死亡および死因別の超過LYL(精神障害を有する人と一般集団とのLYLの差異)を推定した。すべての精神障害が、死亡率の増加および平均余命の減少と関連 死亡率(/1,000人年)は、精神障害の診断を受けた人が一般集団より高いことが認められた(28.70[95%信頼区間[CI]:28.57~28.82]vs.12.95[95%CI:12.93~12.98])。 すべての種類の精神障害が死亡率の増加と関連しており、MRRは気分障害の1.92(95%CI:1.91~1.94)から物質使用障害(substance use disorder:SUD)の3.91(3.87~3.94)の範囲にわたっていた。また、すべての種類の精神障害が平均余命の減少と関連しており、超過LYLは女性における器質性障害の5.42年(95%CI:5.36~5.48)から男性における物質使用障害の14.84年(14.70~14.99)の範囲にわたっていた。 死因別に検討した結果、あらゆる種類の精神障害を有する男性は、がん死亡率が高かったものの、一般集団と比較してがん関連死による損失年は少ないことが認められた。

5794.

アルドステロン拮抗薬の死角を制する!(解説:石上友章氏)-1130

 腎ネフロンは、高度に分化した組織であり、ヒトの水・電解質の恒常性の維持に重要な働きをしている。ナトリウムの出納についての恒常性の維持機構が発達しており、尿細管の各セグメントごとに、特徴的なナトリウムトランスポーターが発現している。ナトリウムイオンは、原尿中にろ過されたのち、各セグメントのナトリウムトランスポーターにより再吸収される。NHE1(Sodiumu-Hydrogen-Exchanger)は、近位尿細管のapical membrane(頂端側)に発現し、Naイオンと、Hイオンの交換に関与している。ヘンレのループ(loop of Henle)には、NKCC:Na+-Cl--K+共輸送体が発現しており、ループ利尿薬であるフロセミドが特異的な阻害薬である。遠位尿細管の近位部(proximal DCT)には、サイアザイド感受性NCCT:Na+-Cl-共輸送体が、そして遠位部では、上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)が、ナトリウムイオンの再吸収を行っている。 ENaCの局在する、遠位尿細管遠位部(distal DCT)~結合尿細管(CNT)~皮質集合管(CCD)は、アルドステロンの核内受容体であるMR(mineralocorticoid receptor)と、コルチゾールの代謝酵素である11βHSD2が発現している。MRは、コルチゾールに強い親和性があり、11βHSD2のない上皮細胞では、アルドステロンと結合することができない。ENaCが発現している腎尿細管を、ASDN(aldosterone-sensitive distal nephron)と総称し、アルドステロンはASDNに働いて、さまざまな遺伝子の発現を調整している(AIP:aldosterone-inducible protein)。ENaCはAIPの代表的なタンパク質であるが、アルドステロンはROMK(renal outer medullary potassium channel)というカリウムチャネルの発現も制御している。 アルドステロン拮抗薬を投与するとENaCを抑制することで、ナトリウム再吸収量を抑制し、降圧を得ることができるが、ROMKをも抑制してしまうために、カリウムイオンの分泌も抑制されてしまう。これが、アルドステロン拮抗薬による、高カリウム血症の機序であると考えられている。高カリウム血症は、致死的な不整脈の誘因になることから、アルドステロン拮抗薬の内服には、細心の注意が必要である。いわばアルドステロン拮抗薬の死角ともいえる副作用である。 米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、こうした背景のもとに計画された。CKDを合併した治療抵抗性高血圧症に、アルドステロン拮抗薬と共に、ナトリウムを含まない陽イオン結合非吸着性ポリマーであるpatiromerを併用し、服薬継続率を比較検討した。 結果は、patiromer併用群で、期待どおりに服薬継続率が高率であった。アルドステロン拮抗薬の降圧作用は、ENaCの抑制だけではないが、ENaCを直接制御する薬物による降圧治療が可能であれば、このような変則的な薬物治療も必要ないのかもしれない。

5795.

抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の軌跡

 現代の精神医学において、うつ病診断は診断基準を用いて行われるが、治療により各症状がどのように推移するかはよくわかっていなかった。京都大学の田近 亜蘭氏らは、抗うつ薬治療によるうつ病患者の症状の推移について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年10月16日号の報告。 未治療のうつ病患者に対するセルトラリンおよび/またはミルタザピンによる25週間の実用的ランダム化比較試験の参加者2,011例を対象に、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて、9つの診断基準症状を反復評価した。反復測定による混合効果モデルを用いて、ベースラインからの変化を推定した。各症状の消失時間は、カプランマイヤー生存分析を用いてモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・PHQ-9合計スコアは、ベースライン時で18.5(SD:3.9、2,011例)であったが、1週目には15.3(SD:5.2、2,011例)、3週目には11.5(SD:5.9、1,953例)、9週目には7.8(SD:6.0、1,927例)、25週目には6.0(SD:5.9、1,910例)まで減少した。・自殺念慮と精神運動症状は、急速な改善が認められた。気力低下や睡眠障害についても、ゆっくりではあったが改善が認められた。・生存分析では、主要分析結果が確認された。 著者らは「新規うつ病患者では、抗うつ薬治療開始後、自殺念慮や精神運動症状は早期に消失するが、睡眠障害や気力低下の消失には時間を要する」としている。■「抗うつ薬比較」関連記事抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

5796.

双極性障害患者のパーキンソン病発症リスク~メタ解析

 パーキンソン病では運動症状および非運動症状を呈するが、その10年以上前から気分障害が先行して起こる可能性がある。また、双極性障害は、うつおよび躁エピソードが周期的に出現する疾患であり、病態生理にドパミンが関連している可能性が示唆されている。ポルトガル・リスボン大学のPatricia R. Faustino氏らは、双極性障害とその後の特発性パーキンソン病との関連について評価を行った。JAMA Neurology誌オンライン版2019年10月14日号の報告。双極性障害患者はパーキンソン病の発症リスクが有意に高い可能性 2019年5月までのパーキンソン病、双極性障害、躁病に関連するエビデンスを、Cochrane Controlled Register of Trials、MEDLINE、Embase、PsycINFOより検索した。対象研究は、双極性障害の有無によるパーキンソン病発症の可能性に関して報告している研究とした。2人の独立したレビュアーが研究を選択し、データを抽出した。変量効果モデルを用いてデータをプールし、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、I2を算出した。主要アウトカムは、パーキンソン病のORとした。 双極性障害とパーキンソン病発症との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・対象研究は7件(437万4,211例)であった。・双極性障害の診断歴は、その後の特発性パーキンソン病診断の割合を増加させた(OR:3.35、95%CI:2.00~5.60、I2=92%)。・バイアスリスクの高い研究を削除し感度分析を行ったところ、双極性障害患者ではパーキンソン病リスクの増加が認められた(OR:3.21、95%CI:1.89~5.45、I2=94%)。・研究デザインと診断の確実性に基づき事前に計画したサブグループ解析では、有意な影響は認められなかった。 著者らは「双極性障害患者では、一般集団と比較し、パーキンソン病の発症リスクが有意に高い可能性がある。しかし、サブグループ解析では、この関連性を過大評価している可能性が示唆された。このことから、双極性障害がその後のパーキンソン病発症と関連していることを考慮し、双極性障害患者のパーキンソニズムの特徴を鑑別診断することが重要である」としている。

5797.

ストレス関連障害、重症感染症発症と関連/BMJ

 ストレス関連障害は、その後の命に関わる感染症のリスクと関連することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによるスウェーデンの住民を対象とした同胞・適合対照コホート研究で明らかにされた。関連性は家族的背景や身体的・精神的並存疾患を調整後に確認されている。精神的ストレスは、免疫力を低下し感染症への罹病性を増す可能性があり、ヒトおよびその他の動物における一連の実験的研究で、精神的ストレスと急性呼吸器感染症との関連性が示唆されている。しかしながら、髄膜炎や敗血症のような命に関わる重症感染症との関連についてはデータが限定的であった。BMJ誌2019年10月23日号掲載の報告。敗血症、心内膜炎、髄膜炎など死亡率が高い感染症のリスクを検証 検討はスウェーデン住民を対象に、1987~2013年にストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、その他のストレス反応)を有した14万4,919例を特定し、ストレス関連障害と診断されていない同胞18万4,612例および一般住民からの適合対照144万9,190例と比較した。 主要評価項目は、高死亡率の重症感染症(敗血症、心内膜炎、髄膜炎またはその他の中枢神経系感染症など)であった初発入院または外来受診の1次診断(Swedish National Patient Registerで確認)、およびそれらの感染症またはあらゆる原因の感染症による死亡(Cause of Death Registerで確認)とした。 複合交絡因子について調整後、Coxモデルを用いてこれら命に関わる感染症のハザード比を推算した。発生増大リスクは同胞ベース解析で1.47倍、住民ベース解析で1.58倍 ストレス関連障害診断時の平均年齢は37歳(5万5,541例、男性38.3%)であった。 平均追跡期間8年の間に、命に関わる感染症の発生(1,000人当たり)は、ストレス関連障害群2.9、同診断のない同胞群1.7、同診断のない適合対照群1.3であった。 同診断のない同胞群と比較して、ストレス関連障害群は命に関わる感染症リスクの増大が認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.47(95%信頼区間[CI]:1.37~1.58)、PTSDは1.92(1.46~2.52)であった。 同様の増大リスクは、住民ベースの適合対照との比較でも認められた。ハザード比は、あらゆるストレス関連障害については1.58(95%CI:1.51~1.65、同胞ベース解析における増大リスクとの差に関するp=0.09)、PTSDは1.95(1.66~2.28、p=0.92)。 ストレス関連障害は、検証したすべての重症感染症と関連していた。最も相対リスクが高かったのは髄膜炎(同胞ベース解析で1.63[95%CI:1.23~2.16])、次いで心内膜炎(1.57[1.08~2.30])であった。また、「ストレス関連障害診断時の年齢が若い」および「精神科合併障害の併存」、とくに「薬物使用障害」においてハザード比が高かった。一方で、ストレス関連障害の診断後最初の年にSSRI薬を使用していた場合は、ハザード比が減弱されていた。

5798.

乾癬患者、全がんリスクが高い

 乾癬患者の発がんリスクおよびがん死リスクが明らかになった。英国・マンチェスター大学のAlex M. Trafford氏らによるメタ解析の結果、乾癬患者はいずれのリスクとも高く、さまざまな部位のがんと関連していることが認められたという。著者は、「さらなる研究を行い、特定の生活様式の因子や治療、乾癬の炎症プロセスを調べ、がんリスク増大のメカニズムを明らかにする必要がある」と述べている。乾癬患者の発がんリスクについては、重症度によるリスクの違いも不明であり、少なからぬ懸念が生じていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月16日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者の発がんおよびがん死のリスクに関する観察研究を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。6つの電子データベース(MEDLINE、Embase、MEDLINE in Process、Cochrane Central Register、Web of Science、LILACS)を用いて創刊~2017年11月15日までを検索し、乾癬と発がんリスクおよびがん死リスクを推算していたコホート試験およびケースコントロール試験を特定した。 試験デザイン、試験集団、推定リスクのデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いて試験別の相対リスク(RR)を統合。不均一性はI2統計量を用いて定量化し、2018年4月9日~2019年2月22日に解析を行った。 主要評価項目は、乾癬患者コホートと非乾癬患者コホートを比較した、がん発症およびがん死亡に関するプール解析をしたRR推定値であった。 主な結果は以下のとおり。・特徴を持つ計58試験(がんリスク試験50、がん死リスク試験15[両方を報告する7試験を含む])を包含。試験の質にはばらつきがあった。・重症乾癬(RR:1.22、95%信頼区間[CI]:1.08~1.39[9試験])、すべての重症度の乾癬(1.18、1.06~1.31[7試験])で、がん(全がん)リスク増大との関連が認められた。・また、さまざまな部位のがんとの関連が明らかになった。結腸(colon)(RR:1.18[95%CI:1.03~1.35])、大腸(colorectal)(1.34[1.06~1.70])、腎臓(1.58[1.11~2.24])、喉頭(1.79[1.06~3.01])、肝臓(1.83[1.28~2.61])、リンパ腫(1.40[1.24~1.57])、非ホジキンリンパ腫(1.28[1.15~1.43])、ケラチノサイトがん(1.71[1.08~2.71])、食道(2.05[1.04~4.07])、口腔(2.80[1.99~3.93])、膵臓(1.41[1.16~1.73])。・全がん死亡リスクは、重症乾癬患者でより高率であった(RR:1.22、95%CI:1.08~1.38[4試験])。・具体的には、肝臓(RR:1.43[95%CI:1.09~1.88])、食道(2.53[1.87~3.41])、膵臓(1.31[1.02~1.69])で重症乾癬患者のがん死リスク増大が認められた。・層別化をしたにもかかわらず、推定値の不均一性は非常に高かった。・喫煙、アルコール摂取、肥満を補正して推定した試験では、リスクの明らかな減弱が認められた。

5799.

第14回 高齢糖尿病患者の動脈硬化、介入や治療強化のタイミングは?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第14回 高齢糖尿病患者の動脈硬化、介入や治療強化のタイミングは?Q1 ABIだけで十分? それとも他の検査も行うべき?頸動脈エコーや足関節上腕血圧比(ABI)は簡便であり、後述の通り冠動脈スクリーニングの意味もあるので、糖尿病の患者であれば一度は行っておくとよいと思います。頸動脈狭窄やABI低下はいずれも冠動脈疾患とよく合併します1)。頸動脈内膜剥離術(CEA)を行った頸動脈狭窄症例での冠動脈疾患合併は約40%みられるとの報告があります2)。ABI低下がなくても無症候頸動脈狭窄と冠動脈狭窄を呈する症例もあるので、やはり頸動脈エコーは行っておくべきでしょう。また頸動脈エコーを行うとQ2で述べる不安定プラークの有無を知ることができるので有意義です。Q2 頚動脈エコーの結果と治療法選択の判断について教えてくださいIMT肥厚がその後の心血管疾患の発症予測に使えることが知られていますが、軽度のIMT肥厚は糖尿病患者では高頻度で認められるため、これらの患者においては一般的な動脈硬化のリスク因子の介入を行っています。すなわち、禁煙の他、適切な血糖・血圧・脂質のコントロールです。この段階での抗血小板薬の投与は行いません。高度の肥厚があるものについては、冠動脈病変をスクリーニングしています(後述)。無症候頸動脈狭窄の患者への抗血小板薬の投与で、脳梗塞一次予防の介入エビデンスはありません。しかし観察研究では、≧50%あるいは≧70%狭窄のある患者で抗血小板薬投与が同側の脳卒中発症抑制に関連したという報告があり、2015年の脳卒中ガイドラインでも、中等度以上の無症候頸動脈狭窄では他の心血管疾患の併存や出血性合併症のリスクなどを総合的に評価した上で、必要に応じて抗血小板療法を考慮してよいとしています3)。われわれもこれに準じ、通常50%以上(NASCET法)の狭窄例では抗血小板薬を投与していることが多いです。一方、無症候頸動脈狭窄や高度のIMT肥厚は冠動脈疾患を合併していることが多いので、これらの症例では通常の12誘導心電図だけでなく、一度循環器内科を紹介し、心エコーの他、冠動脈CTや心筋シンチグラムなどを考慮しています(高齢者ではトレッドミルテストが困難なことが多いため)。2型糖尿病患者で冠動脈インターベンションやバイパス術を必要とするような、高度な冠動脈病変を伴う患者を検出するために適正なIMT最大値(Max IMT)のカットオフ値としては2.45mmという報告があり、参考になると思います4)。冠動脈病変が疑われれば、抗血小板薬(アスピリンやクロピドグレル)を投与する意義はさらに大きくなります。抗血小板薬による消化管出血リスクは年齢リスクとともに増加し、日本人では海外の報告より高いといわれます。胃十二指腸潰瘍の既往があるものや、NSAIDs投与中の患者ではとくに消化管出血に注意を払わなければなりません。冠動脈疾患をともなわない無症候頸動脈狭窄でとくに出血リスクが高いと考えられる症例には、患者に説明のうえ投与を行わないこともあります。あるいは出血リスクが低いといわれているシロスタゾールに変更することもありますが、頭痛や頻脈などの副作用がありえます。とくに頻脈には注意が必要で、うっ血性心不全患者には禁忌であり、冠動脈狭窄のある患者にも狭心症を起こすリスクがあることから慎重投与となっています。このため必ず冠動脈病変の評価を行ってから投与すべきと考えます。なお、すでに他の疾患で抗凝固薬を投与されているものでは、頸動脈狭窄に対しての抗血小板薬の投与は控えています。なお、無症候性の頸動脈狭窄が認知機能低下5)やフレイル6) に関連するという報告もみられます。これらの患者では認知機能やフレイルの評価を行っておくことが望ましいと考えられます。頚動脈エコー所見で低輝度のプラークは、粥腫に富んだ不安定プラークであり脳梗塞のリスクとなります7)。潰瘍形成や可動性のあるものもリスクが高いプラークです。このような不安定プラークが観察されれば、プラーク安定化作用のあるスタチンを積極的に投与しています。糖尿病治療薬については、頸動脈狭窄症のある患者に対し、とくに有効だというエビデンスをもつものはありません。SGLT2阻害薬は最近心血管イベントリスクを低下させるという報告がありますが、高齢者では脱水をきたすリスクがあるので、明らかな頸動脈狭窄症例には慎重に投与すべきと考えます。Q3 専門医への紹介のタイミングについて教えてください脳卒中ガイドラインでは高度無症候性狭窄の場合、CEAやその代替療法としての頸動脈ステント留置術(CAS)を考慮してよいとされています3)。脳神経外科に紹介し、手術になることは高齢者では少ないように思いますが、内科治療を十分行っていても狭窄が進展したり、不安定プラークが残存したりする症例などはCASを行うことが多くなっています。また、TIAなどの有症状症例で50%以上狭窄の症例では紹介しています。手術は高齢者のCEAやCASに熟練した施設で行うことが望まれます。最近、CEAやCASを行った症例において認知機能の改善が認められたという報告がみられており、エビデンスの蓄積が期待されます8)。末梢動脈疾患では跛行や安静時痛のある患者や、ABIの低下があり下肢造影CTを撮影して狭窄が疑われる場合に血管外科に紹介しています。腎機能が悪い患者については下肢動脈エコーや非造影MRAで代用することが多いですが、エコーは検査者の技量に左右されることが多く、またいずれの検査も造影CTよりは精度が劣ると考えられます。最近炭酸ガスを用い、造影剤を使用しない血管造影がありますが9) 、施行している施設は限られます。このような施設で検査を受けるか、透析導入のリスクを説明のうえ造影剤検査を行うか、しばらく内科治療で様子をみるかは、外科医と患者さんで相談のうえ、決めていただいています。 Q4 頚動脈エコー検査の頻度は? 何歳まで検査を行うべき?頚動脈エコーのフォロー間隔についてのエビデンスはありませんが、われわれは通常1年に1回フォローしています。無症候の頸動脈狭窄や不安定プラークが出現した場合、内科治療の強化や冠動脈のスクリーニングの検討が必要と考えますので、80~90代でも冠動脈インターベンションを行う今日では、このような高齢の方でも評価を行っています。IMTは年齢とともに健常者でも肥厚しますが、平均IMTは90歳代でも1mmを超えないという報告もあり10)、高度の肥厚は異常と考えます。また上述のように、無症候頸動脈狭窄に対して内科治療を十分行っていても病変が進展した際には、外科医に紹介する判断の一助となります。一方、頸動脈狭窄あるいは冠動脈CTで石灰化がある方でも、すでにしっかり内科的治療が行われており、かつ冠動脈検査やインターベンションの希望がない場合は検査の頻度は減らしてもよいかもしれません。 1)Kawarada O. et al. Circ J .2003;67; 1003-1006. 2)Shimada T et al. J Neurosurg. 2005;103: 593-596.3)日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017対応].pp88-89.協和企画;2017.4)Irie Y, et al. Diabetes Care. 2013;36: 1327-1334.5)Dutra AP. Dement Neuropsychol. 2012;6:127-130.6)Newman AB, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56: M158–166.7)Polak JF, et al. Radiology. 1998;208: 649-654.8)Watanabe J, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2017;26:1297-1305.9)Merz CN, et al. Angiology. 2016;67:875-881.10)Homma S, et al. Stroke. 2001; 32: 830-335, 2001.

5800.

承認された新薬と公的資金支援の関係は?/BMJ

 過去10年間に米国で承認された新薬の少なくとも4つに1つは、公的支援を受けた研究が開発の後期段階において重要な役割を果たしており、そのうちの4分の3が直接的に公的資金の支援を受けた研究を起源とし、残りの4分1は公的研究機関からのスピンオフ企業によって創製されたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul K. Nayak氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2019年10月23日号に掲載された。新薬開発の多くは、公的支援を受けた調査が、基礎科学研究において実質的な役割を担っている。1990~2007年に米国で承認された新規分子化合物の約14%は、開発の後期段階において、特許の取得が可能な研究の資金を公的部門の研究機関から得ているという。公的資金支援への依存度を調査するコホート研究 研究グループは、新薬開発が公的資金による支援にどの程度依拠しているかを調査する目的で、コホート研究を行った(Arnold Venturesなどの助成による)。 2008年1月~2017年12月の期間に、新薬承認申請の過程を経て米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た、1つ以上の新規分子化合物を含有するすべての新薬を対象とした。 公的部門の研究機関やスピンオフ企業による後期段階の研究への寄与、および個々の薬剤の規制当局による承認の過程や画期的医薬品(first-in-class)の指定を体系的に記録した、特許または医薬品開発の関連文書を解析した。迅速審査や画期的医薬品の指定を受ける確率が高い 10年間に、FDAよって1つ以上の新規分子化合物を含有する薬剤248種(253種の新規分子化合物を含む)が承認を受けていた。これらの薬剤のうち48種(19%)が公的支援を受けた研究開発を起源とし、14種(6%)は公的支援を受けた研究計画からスピンオフした企業により創製されていた。 これら公的支援を受けた研究を発端とする薬剤は、それ以外の薬剤と比較して、FDAにより迅速な審査の指定(expedited designation)を1回以上受ける確率(68% vs.47%、p=0.005)や、画期的医薬品の指定を受ける確率(45% vs.26%、p=0.007)が高く、治療上の重要性が高い可能性が示された。 著者は「この調査で得られた知見は、施策の立案者とって、これらの製剤の適正価格や収益の算定において意義のあるものとなる可能性がある」としている。

検索結果 合計:11861件 表示位置:5781 - 5800