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よくわかる老年腫瘍学

これからの高齢者がん診療のスタンダード!高齢がん患者の「特徴(疫学、症状、社会経済的背景)」、機能評価の方法や治療法の選択、悪化を防ぐアプローチなどの「主治医として知っておきたいポイント」、「QOL・QOD(quality of death)」、老年腫瘍学の「教育」、高齢者を対象とした「臨床研究」など、“高齢者のがん”にまつわるトピックを網羅しています。症例提示では、医療現場での実際のアプローチが理解できるように解説しています。本書は、老年腫瘍学を学ぼうとするすべての学生・医療者のためのテキストを目指し、老年医学・臨床腫瘍学・支持医療のエキスパートが協力して編集、執筆、原稿チェックを行いました。高齢者のがん診療に携わる医療関係者必読の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    よくわかる老年腫瘍学定価6,600円(税込)判型B5判頁数336頁発行2023年3月編集日本がんサポーティブケア学会電子版でご購入の場合はこちら

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看護施設スタッフの検査強化で、入所者のコロナ関連死減少/NEJM

 米国の高度看護施設(skilled nursing facilities)において、職員に対する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)サーベイランス検査の強化は、とくにワクチン承認前において、入所者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症および関連死の、臨床的に意味のある減少と関連していた。米国・ロチェスター大学のBrian E. McGarry氏らが、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。高度看護施設の職員へのCOVID-19サーベイランス検査は広く行われているが、施設入所者のアウトカムとの関連性についてのエビデンスは限定的であった。NEJM誌2023年3月23日号掲載の報告。高度看護施設1万3,424施設について、77週間調査 研究グループは、CMSのCOVID-19 Nursing Home Databaseにおける2020年11月22日~2022年5月15日のデータを用い、ワクチン承認前、B.1.1.529(オミクロン)株優勢前、オミクロン株優勢中の3つの期間における、高度看護施設1万3,424施設の職員のSARS-CoV-2検査と入所者のCOVID-19について後ろ向きコホート研究を行った。同データベースは、高度看護施設が米国疾病予防管理センター(CDC)の医療安全ネットワーク(NHSN:National Healthcare Safety Network)に週単位で提出するデータを含んでいる。 主要アウトカムは2つで、潜在的アウトブレイク(COVID-19症例が2週間なかった後にCOVID-19が発生と定義)時におけるCOVID-19発症およびCOVID-19関連死の週間累積例数(潜在的アウトブレイク100件当たりの件数として報告)で、検査回数の多い施設(検査数の90パーセンタイル)と少ない施設(10パーセンタイル)で比較した。スタッフ検査回数が多い施設で、少ない施設よりCOVID-19発症/関連死が減少 77週間の調査期間において、潜在的アウトブレイク100件当たりのCOVID-19症例は、スタッフへの検査回数が多い施設が519.7例に対し、少ない施設は591.2例であった(補正後群間差:-71.5、95%信頼区間[CI]:-91.3~-51.6)。また、潜在的アウトブレイク100件当たりのCOVID-19関連死は、多い施設42.7例に対し、少ない施設49.8例であった(-7.1、-11.0~-3.2)。 ワクチン承認前においては、潜在的アウトブレイク100件当たりのCOVID-19症例は、スタッフへの検査回数が多い施設759.9例、少ない施設1,060.2例(補正後群間差:-300.3、95%CI:-377.1~-223.5)、COVID-19関連死はそれぞれ125.2例、166.8例(-41.6、-57.8~-25.5)であった。 オミクロン株優勢前は、スタッフへの検査回数が多い施設と少ない施設でCOVID-19症例数、COVID-19関連死数のいずれも同程度であった。オミクロン株優勢中は、多い施設でCOVID-19症例数が減少した。しかし死亡数は両群で同程度であった。

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ICIの継続判断にも有用、日本初のOnco-cardiologyガイドライン発刊

 本邦初となる『Onco-cardiologyガイドライン』が第87回日本循環器学会学術集会の開催に合わせて3月10日に発刊された。これまで欧州ではESC(European Society of Cardiology、欧州心臓病学会)などがガイドラインを作成・改訂しており、国内でもガイドライン発刊が切望されていたことから、日本臨床腫瘍学会と日本腫瘍循環器学会が協働しMindsに準拠したものを作成した。今回、学術集会の会長企画シンポジウム6「OncoCardiology:診断と治療Up-to-Date」において、Onco-cardiologyガイドラインのポイントについて発表された。Onco-cardiologyガイドラインは重要臨床課題10項目を選定 Onco-cardiologyガイドラインの目的は、(1)がん診療において心機能を正確に評価し、心血管疾患を適切に管理すること、(2)がん治療を中断することなく可能な限り継続することで、本ガイドラインの利用によってがん患者の全生存率とQOL改善が期待される。 Onco-cardiologyガイドラインは重要臨床課題を以下のように10項目を選定し、がん患者が薬物治療を行う過程からその後のがん治療関連心血管毒性(静脈血栓塞栓症、肺高血圧症、心不全)発現時の対応方法に関するquestionが盛り込まれている(p.9 総説1-9参照)。<重要臨床課題>1)がん薬物療法中の心機能のモニター2)心血管イベントを発症した患者に対する薬物療法の選択3)トラスツズマブのマネジメント4)血管新生阻害薬のマネジメント5)プロテアソーム阻害薬のマネジメント6)免疫チェックポイント阻害薬のマネジメント7)がん薬物療法における静脈血栓塞栓症のマネジメント8)がん薬物療法における肺高血圧症のマネジメント9)心毒性を有するがん薬物療法のマネジメント10)がん薬物療法における心血管イベントの予防 上記の2)を担当した矢野 真吾氏(東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科 診療部長/教授)は、「がん薬物療法中の心血管イベントを理由にがん薬物療法を中止することは再発率の増加や全生存期間の短縮につながることから、『Background question(BQ)2:がん薬物療法中に心血管イベントを発症した患者に対して、がん薬物療法を継続することは推奨されるか?』を設定した」とコメント。また、「欧米のガイドラインと比較して、Onco-cardiologyガイドラインはエビデンスのあるquestionはシステマティックレビューを行いCQとしたが、エビデンスのないquestionはBQまたはfuture research question(FRQ)にした点に注目してほしい」と述べ、「がん薬物療法が有効でかつ治療継続が可能と判断できる場合は、モニタリングと対症療法を行いながらがん治療の継続を検討する。治療継続が困難な場合は代替療法について検討することをこのBQのステートメントにした」と説明した。Onco-cardiologyガイドラインにICIと心筋炎の関係性 Onco-cardiologyガイドラインで、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と心筋炎の関係性について解説した庄司 正昭氏(国立がん研究センター中央病院総合内科・循環器内科)は、「ICIによる心筋炎は直接的なものと間接的なものがあるが、いずれもスクリーニングにはトロポニンや心電図などが重要」と話し、「トロポニンはICI心筋炎患者の94%で上昇を認めたが、トロポニンが上昇しても臨床的な心筋障害を認めないケースも報告されている。また、心電図異常はICI心筋炎患者の89%で認められた1)」と述べた(FRQ6-1:ICI投与中の心筋障害診断のスクリーニングは有用か?)。 さらに、心筋障害発生時のステロイドの使用(BQ6-2:ICIによる心筋障害発生時、その治療としてステロイド療法は有用か?)について、「使用すべき種類・投与経路・用量は定まっていないが有用な可能性があるため、ステロイドを選択しない手はない」とコメントし、座長ならびに演者を務めた阿部 純一氏(MDアンダーソンがんセンター 教授)からの“ICIで発症リスクの高い虚血性心疾患との鑑別”に関する問い対して、同氏は「虚血性心疾患では胸痛などの症状が見られることから、それらの患者の訴えにしっかり耳を傾けることがスクリーニング検査とともに重要」と回答した。Onco-cardiologyガイドラインにがん患者の高血圧治療 高血圧の視点からOnco-cardiologyについて解説した赤澤 宏氏(東京大学医学部付属病院 循環器内科)によると、がん患者における高血圧の管理や治療に関するエビデンスがほとんどない状況だという。実際に、高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)では『第7章:他疾患を合併する高血圧』にも項目立てられておらず、『第13章:二次性高血圧-薬剤誘発性高血圧 4)その他』の1つとして、がん分子標的薬、主として血管新生阻害薬(抗VEGF抗体医薬あるいは複数のキナーゼに対する阻害薬など)により高血圧が誘発される。発症率については薬剤、腫瘍の種類などにより異なるが、これらの薬剤使用時には血圧変化に注意する。通常の降圧薬を用いた治療を行うと、ESCのポジションペーパー同様の記載がなされている。このような現状を踏まえ、「JSH2025年改訂版には腫瘍循環器としてのCQを提案していきたい」と意気込んだ。なお、Onco-cardiologyガイドラインでは、『BQ4:血管新生阻害薬投与中の患者に対し、血圧管理が必要か?』が設定されており、血管新生阻害薬投与中の患者においても、非がん患者と同等の血圧コントロールをすることが望ましく、「がん患者における高血圧治療のエビデンスは乏しく、降圧治療の適応や強度は、がんの治療内容や予後、パフォーマンスステイタス、年齢や併存疾患、臓器障害、脳心血管リスクなどのさまざまな背景を考慮して、個別に対応する必要がある」と強く訴えた。

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地中海食が悪性黒色腫の免疫療法への反応を改善か

 オランダ・フローニンゲン大学のLaura A. Bolte氏らは、食事習慣と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療反応の関連を調べるコホート研究「PRIMM研究」を行い、地中海食(全粒穀物、魚、ナッツ、豆、果物、野菜が豊富)とICI治療反応に正の関連があることを明らかにした。著者は、今回のコホート登録者がオランダと英国の進行悪性黒色腫患者91例であったことを踏まえて、「今回の結果の再現性を確認し、ICIによる治療における食事の役割を解明するためには、さまざまな国や地域での大規模な前向き研究が必要である」としつつ、「習慣的な食事がICIへの反応を改善する役割を果たす可能性があることが示唆された」と述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。 ICIは、進行悪性黒色腫の生存率を改善し、治療レジメンにもよるが40~60%の患者で持続的な奏効が観察される。しかし依然として、治療への反応には大きなばらつきがあり、また患者はさまざまな重症度の免疫関連有害事象を経験している。研究グループは、「栄養は免疫系および腸内微生物叢と関連している。ICIの有効性および忍容性を改善する可能性のあるターゲットとして魅力的ではあるが、これまで十分な調査はされていない」として、今回の検討を行った。 PRIMM研究はオランダと英国のがんセンターで行われた。ICI未治療の進行悪性黒色腫患者91例を対象に、2018~21年にICIが投与された。対象患者は、抗PD-1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬の単独または併用療法を受け、また、治療開始前に食物摂取頻度調査により食事量の評価を受けていた。評価項目は、奏効率(ORR)、12ヵ月時点の無増悪生存率(PFS-12)、Grade2以上の免疫関連有害事象(irAE)であった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者91例は、44例がオランダ人(平均年齢±標準偏差[SD]:59.43±12.74歳、女性22例[50%])、47例が英国人(平均年齢±SD:66.21±16.63歳、女性15例[32%])であった。・食事および臨床データは、2018~21年に全91例の患者から前向きに収集された。・ORR、PFS-12、irAEとの関連が最も大きかったのは、地中海食であった(それぞれexplained devianceは51%、54%、24%)。・一般化加法ロジスティックモデルによる評価で、地中海食とORR、PFS-12に正の関連が認められた。・ORRについて、確率(probability)は0.77(p=0.02)、偽陽性率(false discovery rate:FDR)は0.032、有効自由度(effective degrees of freedom)は0.83であった。PFS-12については、それぞれ0.74(p=0.01)、0.021、1.54であった。・各コホートの食事パターンを特徴付けるために行った解析で、果物摂取の多い特徴があったオランダ人コホートで、ORRおよびPFS-12と有意な放射線状の関連が認められた。英国人コホートでは有意な関連はみられなかった。

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英語で「情報を確認し合う」は?【1分★医療英語】第73回

第73回 英語で「情報を確認し合う」は?Umm, we should close the loop with surgery team.(うーん、いったん外科チームと情報を確認し合うべきですね)I agree.(そうですね)《例文1》Okay, let’s close the loop among the team!(了解です、情報をチーム内で共有確認しておきましょう!)《例文2》I think the GI attending said they would do EGD tomorrow… Can you close the loop?(消化器の上級医が明日内視鏡をすると言ったはずですが…。情報を伝えて確認しておいてもらっていいですか?)《解説》医療の現場ではチームワークが不可欠であり、情報の伝達、共有、確認することが日常的に求められる機会が多くあります。“close the loop”は、文字通りに取れば「ループを閉じる」という意味ですが、「情報を共有して、全員が同じ情報を持っていることを確認する」といった場合に用います。「全員がはみ出ることなく1つの輪の中にいてつながっている」というイメージです。医療現場においては「医師Aと医師Bの言っている情報が異なっている」、「他の医療スタッフがその情報を知っているかどうか確信がない」といった、「医療チーム全体が同じ情報やプランを共有していることを確認する」際によく使用されます。とくに米国の医療現場では、専門領域が細分化されており、主治医だけでなく多くの担当科で1人の患者さんを診るケースが多く、主治医の方針と専門医の方針を常にすり合わせておく必要があります。“closing the loop”することによってミスコミュニケーションを減らし、検査、治療、手術のプランを滞りなく施行する必要性が高いのです。ちなみに、“out of the loop”で逆に「チームから外れている」という表現もあります。“He was out of the loop on this case.”(彼はこの症例に関してチームから外れていました)口語でも文面でも“close the loop”を使いこなしてスムーズなコミュニケーションができるとよいですね。講師紹介

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第156回 コロナ感染後の脳のもやもやがADHD薬グアンファシンで改善

日本で承認済みの注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「グアンファシン(商品名:インチュニブ)」が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)の1つとして知られる脳のもやもや(brain fog)に有効かもしれないことが12例への投与試験で示唆されました1)。脳のもやもやは頭の働きの低下が続くことの俗称であり、脳の前頭前皮質(PFC)が担う実行・記憶・注意力、やる気を損なわせ、仕事や日常生活を妨げます。COVID-19患者の脳ではNMDA受容体(NMDAR)を阻害するキヌレン酸が多いことが知られています。脳のもやもやに似た症状を呈する外傷性脳損傷(TBI)の治療薬として検討されているN-アセチルシステイン(NAC)はキヌレン酸生成酵素を阻害してNMDAR伝達を回復させるらしく、グアンファシンはその伝達を後押ししてPFCの神経連結を強化する働きが期待できます。幸いにもグアンファシンとNACはどちらも忍容性が良好であり、long COVIDへの可能性を見出したエール大学の精神神経科医Arman Fesharaki-Zadeh氏らはそれら2剤を脳のもやもやを訴える患者に投与することを試みました。その結果、コロナ感染から3~14ヵ月経つものの認知障害が治まらず、複数作業の同時遂行(multi-tasking)・専念・集中などの遂行機能が低下していた12例のうち8例の脳のもやもやが投与の甲斐あって軽減しました。ただし、両剤の忍容性は良好とはいえ無害というわけではなく、2例はグアンファシンで生じうることが知られる低血圧症やめまいで服用を止める必要がありました。また、追跡が不可能になった患者が2例いました。残りの8例は作業記憶、集中、遂行機能の改善を示し、何例かは日常をいつもどおり過ごせるほどに回復しました。long COVIDのせいで看護師の仕事時間を大幅に短縮せざるを得ずにいた女性被験者1例の経過は示唆に富んでいます。彼女の作業記憶、遂行機能、頭の回転の速さ(cognitive processing speed)はグアンファシン治療でだいぶ良くなっていつもの仕事をこなせるようになりました。しかし急な低血圧症事象(めまい)の発生を受けてその治療を止めたところ認知機能や集中が悪化しました。そこでグアンファシンを再開したところ脳のもやもやが首尾よく再び治まり、めまいの再発なく同剤の服用を無事続けることができました。多くの患者を募ってグアンファシンとNACを検討するプラセボ対照試験の資金が今回の12例の治療報告を契機にして集まることをFesharaki-Zadeh氏らは望んでいます2)。long COVIDの治療手段の検討は他にもあり3)、たとえばファイザーの飲み薬ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッドパック)の運動、認知、自律神経症状への効果を調べている試験があります4)。また、脳のもやもやや疲労に対する気分安定薬リチウムの試験5)、動悸や慢性疲労を引き起こす体位性起立性頻拍症候群(POTS)に対する重症筋無力症治療薬エフガルチギモド アルファ(日本での商品名:ウィフガート)の試験6)が進行中です。参考1)Fesharaki-Zadeh A, et al. Neuroimmunology Reports. 2023;3: 1001542)Yale Researchers Discover Possible 'Brain Fog' Treatment for Long COVID / Yale Medicine3)Long COVID Clinical Trials May Offer Shortcut to New Treatments / MedScape4)PASC試験(Clinical Trials.gov)5)Effect of Lithium Therapy on Long COVID Symptoms(Clinical Trials.gov)6)POTS試験(Clinical Trials.gov)

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ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、国内承認/小野薬品・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年3月27日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法で非小細胞肺癌における術前補助療法に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の取得を発表した。 今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate 816試験の結果に基づいている。 同試験では、ニボルマブと化学療法の併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)および盲検下独立病理委員会(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験におけるニボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、NSCLC患者を対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫していた。

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転移性去勢抵抗性前立腺がんでPARP阻害薬rucaparibは有効(解説:宮嶋哲氏)

 rucaparibはポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であり、第II相試験ではBRCA遺伝子変異を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者で高い活性を示した。本研究は、BRCA1、BRCA2、またはATM変異を伴うmCRPC患者において、第2世代アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)治療後に病勢進行を認めた患者に対して、rucaparib、もしくはドセタキセルまたは第2世代ARPIを2:1で割り付けたランダム化第III相試験(TRITON3試験)である。主要評価項目は画像評価によるPFSである。 スクリーニングを受けた4,855例のうち、270例がrucaparib投与群、135例が対照群に割り付けられた。各群でのBRCA変異症例は201例、101例に認められた。62ヵ月時点でのPFSは、BRCA変異サブグループ解析でrucaparib投与群11.2ヵ月、対照群6.4ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.50)、ITTグループ解析では各々10.2ヵ月、6.4ヵ月であり(HR:0.61)いずれの解析でもrucaparibはPFSを延長した。一方、ATM変異患者での探索的サブグループ解析では、両群間に有意差を認めなかった。副作用に関しては、rucaparibは疲労感、嘔気、貧血を呈しやすいが、症状が重篤な場合は投与中断、または投与減量で対処するのが妥当と考えられた。 現在、BRCA変異を伴うmCRPC患者において使用可能なPARP阻害薬はオラパリブのみであるが、加えてrucaparibが有効な治療選択肢になりうる可能性が示唆された。ただし、OSに関する報告は未着であり、本試験の今後の推移に注目したい。また、本試験は単剤療法による解析であり、今後は他薬剤との併用効果に期待したい。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 1次情報源の活用 実際にPubMed検索式を作ってみる その5【「実践的」臨床研究入門】第30回

検索式を改訂する今回は前回からの続きで、検索式の能力を検証しながら改訂していきます。前回解説したとおり、P(対象)の構成要素ブロックにRenal Insufficiency[mh:noexp] OR(太字部分)を加え、E(曝露)のブロックとANDでかけ合わせ、再度「Key論文」のブロックとNOTでつなぐと、表1の結果になります(本稿執筆2023年3月時点)。表1画像を拡大するPのブロックには、MeSH termsを加えた結果、ヒットした論文数が大幅に増えています(Search #1)。前回検索時から約1ヵ月経っているので、Eのブロックで検索された論文数もわずかに増加し(Search #2)、改訂検索式でのヒット論文数も数10編増えています(Search #3)。この改訂検索式と「Key論文」のブロックをかけ合わせた結果、ヒットする論文数は7編から6編と1つ減っています。当初ヒットしなかったコクラン・システマティックレビュー(SR:systematic review)論文1)が、改訂検索式ではヒットするようになったのです(お時間ある方は確認してみてください)。それでは同じ要領で、ヒットしなかった「Key論文」すべてが捕捉できるように、検索式をさらに改訂してみましょう。残りのヒットしなかった「Key論文」のMeSH termsなどの情報をチェックします(連載第29回参照)。たとえば、現時点の検索式に含まれるMeSH termsやテキストワードは、ヒットしなかった「Key論文」の1つである非コクランSR2)のMeSH termsやタイトルおよびアブストラクトに含まれていません。非コクランSR2)の書誌情報(リンク)から、この論文に付与されているMeSH terms"Diabetic Nephropathies"をPの構成要素ブロックに追加します。Diabetic Nephropathies[mh]同様に、ヒットしなかった非コクランSR3)の書誌情報(リンク)を見ると、この論文にはMeSH termsが付与されていません。そこで、論文タイトルに含まれている"diabetic nephropathy"をテキストワードとしてPのブロックに追加してみます。"diabetic nephropathy"[tiab]※[mh]や[tiab]という「タグ」については、連載第24回で解説していますので、ご参照ください。すると、さらに改訂した検索式とその結果は表2のようになります。表2画像を拡大する「Key論文」4-6)は再改訂検索式でヒットするようになり、残りはとうとう非コクランSR1編7)になりました。この論文7)のMeSH termsを見てみると(リンク)、再改訂検索式のEのブロックに含まれている"Diet, Protein-restricted"は付与されています。しかし、再改訂検索式Pのブロックに含まれるMeSH termsはいずれも付与されていません。したがって、この論文7)のMeSH termsの中から、新たに"Kidney Disease"を検索式Pのブロックに加えることにします。MeSH terms"Kidney Disease"の階層構造はリンクのとおりですが、その下位概念は含まれないように、[mh: noexp]の「タグ」を付けます(連載第24回参照)。Kidney Disease[mh: noexp]再々改訂検索式の検索結果は表3となり、すべての「Key論文」がヒットするようになりました。表3画像を拡大する1)Robertson L, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2007:2007:CD002181.2)Pan Y, et al. Am J Clin Nutr. 2008;88:660-666.3)Nezu U, et al. BMJ Open. 2013;3:e002934.4)Koya D, et al. Diabetologia. 2009;52:2037-2045.5)Li XF, et al. Lipids Health Dis. 2019;18:82.6)Zhu HG, et al. Lipids Health Dis. 2018;17:141.7)Yue H, et al. Clin Nutr. 2020;39:2675-2685.

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統合失調症患者の体重増加や代謝機能に対する11種類の抗精神病薬の比較

 抗精神病薬の投与量と代謝機能関連副作用との関係を明らかにするため、スイス・ジュネーブ大学のMichel Sabe氏らは、統合失調症患者を対象に抗精神病薬を用いたランダム化比較試験(RCT)の用量反応メタ解析を実施した。その結果、抗精神病薬ごとに固有の特徴が確認され、アリピプラゾール長時間作用型注射剤を除くすべての抗精神病薬において、体重増加との有意な用量反応関係が認められた。著者らは、利用可能な研究数が限られるなどの制限があったものの、本研究結果は、抗精神病薬の用量調整により、体重や代謝機能に対する悪影響を軽減するために有益な情報であるとしている。The Journal of Clinical Psychiatry誌2023年2月8日号掲載の報告。 2021年2月までに英語で公表された研究をMEDLINE、Embase、PubMed、PsyARTICLES、PsycINFO、Cochrane Database of Systematic Reviewsおよび各トライアルレジストリより検索した。第1世代または第2世代抗精神病薬を用いたフィックスドーズのRCTを特定した。RCTの質は、Cochrane's Risk of Bias toolを用いて評価した。主要アウトカムは体重の平均変化とし、副次的アウトカムは代謝パラメータの平均変化とした。抽出したデータを用いて、用量反応メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・52件のRCT(2万2,588例)が抽出された。・アリピプラゾール長時間作用型注射剤を除くすべての抗精神病薬において、体重増加との有意な用量反応関係が認められた。・体重増加と抗精神病薬の用量との関連は、準放物線上の曲線関係(ルラシドン、RCT:9件、95%推定有効用量[ED95:59.93mg/d]:0.53kg/6週間)から用量の増加とともに増加を続ける曲線関係(オランザピン、RCT:1件、[ED95:15.05mg/d]:4.29kg/8週間)までが認められた。・すべての曲線は、準放物線、定常、上昇のいずれかに分類可能であった。・有効用量の中央値が比較的低い場合において体重増加が認められることが多く、さらに増量した場合では、一部の薬剤において体重増加が顕著となる可能性が示唆された。

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前立腺がん15年後の転帰、監視vs.手術vs.放射線/NEJM

 英国・オックスフォード大学のFreddie C. Hamdy氏らは、Prostate Testing for Cancer and Treatment(ProtecT)試験の追跡調査期間中央値15年時点における、PSA監視療法vs.根治的前立腺全摘除術vs.内分泌療法併用根治的放射線療法の有効性を比較し、いずれの治療法でも前立腺がん特異的死亡率は低いことを明らかにした。著者は、「新たに限局性前立腺がんと診断された患者に対しては、治療の有益性と有害性のバランスを慎重に検討して治療法を選択する必要がある」とまとめている。NEJM誌オンライン版2023年3月11日号掲載の報告。限局性前立腺がん患者約1,600例で、15年間の予後を解析 ProtecT試験では、1999~2009年に英国の9施設において、PSA検査を受けた50~69歳の男性8万2,429例が登録された。余命が10年以上で治療の対象となる限局性前立腺がんと診断されたのは2,664例で、このうち1,643例が有効性を評価する試験に登録され、PSA監視療法群(545例)、根治的前立腺全摘除術群(553例)、ネオアジュバントアンドロゲン除去療法併用放射線療法群(545例)に無作為に割り付けられた。 研究グループは、追跡期間中央値15年(範囲:11~21)時点で、同割り付け治療集団について評価を行った。主要評価項目は、前立腺がん死。副次評価項目は全死因死亡、転移(画像診断またはPSA≧100ng/mL)、臨床的病勢進行(転移、cT3/T4、長期アンドロゲン除去療法の開始、尿管閉塞、直腸瘻、腫瘍増殖による尿道カテーテルの複合)、および長期アンドロゲン除去療法とした。前立腺がん死、治療法で有意差なし 追跡調査を完遂したのは、1,643例中1,610例(98.0%)であった。診断時のリスク層別化解析(D'Amico、CAPRA、Cambridge Prognostic Group)では、3分の1以上が中間リスクまたは高リスクであった。 前立腺がん死は45例(2.7%)であった。内訳は、PSA監視療法群17例(3.1%)、前立腺全摘除術群12例(2.2%)、放射線療法群16例(2.9%)であり、各群で有意差は認められなかった(p=0.53)。 全死因死亡は356例(21.7%)で、3群ともほぼ同数(それぞれ124例、117例、115例)であった。転移は、PSA監視療法群で51例(9.4%)、前立腺全摘除術群26例(4.7%)、放射線療法群27例(5.0%)に認められた。長期アンドロゲン除去療法は、それぞれ69例(12.7%)、40例(7.2%)、42例(7.7%)で開始され、臨床的病勢進行が報告されたのはそれぞれ141例(25.9%)、58例(10.5%)、60例(11.0%)であった。PSA監視療法群では、133例(24.4%)が追跡調査終了時に根治的治療ならびにアンドロゲン除去療法を受けることなく生存していた。 事前に規定されたサブグループ解析の結果、3群の前立腺がん死の相対リスクは、診断時の年齢で異なることが示された。65歳未満では、PSA監視療法群または前立腺全摘除術群は、放射線療法群より前立腺がん死のリスクが低く、65歳以上では前立腺全摘除術群または放射線療法群が、PSA監視療法群より前立腺がん死のリスクが低かった。一方、ベースラインのPSA値、臨床病期、グリソングレード、腫瘍長、またはリスク層別化スコアは、3群の前立腺がん死亡相対リスクに影響しなかった。

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ドキュメンタリー「WHOLE」(後編)【自分の足を切り落とすことが健全!?(健康の定義)】

今回のキーワード身体完全性違和(身体完全同一性障害)性別違和(性同一性障害)満たされた状態治療ガイドライン社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)診断ガイドラインの表記変更前編では、身体完全性違和(身体完全同一性障害)の特徴や原因などを掘り下げました。それを踏まえて、どうしたら良いでしょうか? 健康な足を切り落としてあげるのが良いのでしょうか? さらには、健康であるとはどういうことなのでしょうか? 今回は、引き続き、ドキュメンタリー「WHOLE」を取り上げ、健康の定義を再確認し、健康の概念を捉え直します。そして、身体完全性違和の治療ガイドラインを、世界に先駆けて(!)、この記事で発表します。治療としての四肢切断を私たちは受け入れられる?身体完全性違和は、その原因を踏まえると、その特徴は先天的、限定的、そして固定的であることがわかります。これは、ちょうど性別違和(性同一性障害)と似ています。性別違和は、もはや多くの国で受け入れられており、日本でも性別適合手術は可能です。なぜなら、それがその人にとっての幸せであると理解できるからです。WHOでも健康の定義は「身体的、精神的、そして社会的に満たされた状態(a state of well-being)」とされています。それでは、身体完全性違和はどうでしょうか? 私たちは四肢切断することをすんなり受け入れられるでしょうか? 性別違和と同じという理屈で考えれば、確かに本人が望むのであれば止めることはできないことになります。しかし、「健康な足をわざわざなくして身体障害者になるなんて考えられない」と感情的になってしまい、なかなか受け止められないのではないでしょうか? 身体完全性違和を知ってしまったことによって、私たちの健康の概念が揺さぶられます。健康とは?身体完全性違和と診断された人が、心理学者から「もしその足の違和感が消える薬があったら、飲みますか?」と質問されたところ、「若い時だったらそうしたかもしれないけど、今は飲まないと思う」「身体完全性違和は、私が誰でどんな人間かという核心になっているから」と答えています。そして、彼らは、四肢切断をやり遂げてはじめて「まっとうになった(I’ve become whole)」と言っています。まさにこのドキュメンタリーのタイトルの「WHOLE」(健全)です。実際に、彼らの中で四肢切断をして後悔をした人は1人もいないと報告されています2)。つまり、身体完全性違和は、性別違和と同じアイデンティティの問題が根っこにあるわけです。性別違和の人が性別の違和感が消える薬を飲まないと言っているのと同じです。もっと言えば、身体完全性違和の人は、違和感のある足をなくしたいだけです。それが結果的に身体障害になってしまっているのです。最初から身体障害になりたいとは思っていないです。もっと言えば、彼らにとって足がないことが「健康」であるため、足があることは「不健康」であり、違和感がある足を持っている状態は逆に「身体障害」であると言えます。極端な話、もしも身体完全性違和の人が世の中の多数派ならば、足を切断しない人が「身体障害」になってしまうという理屈も成り立ちます。 そして、「健康である」とは、多数決で決まっており、相対的な概念であることに気付かされ、「障害」の概念の根底が覆されます。どうすればいいの?健康の概念を捉え直すと、身体完全性違和の治療はやはり四肢切断をすることであるように思えてきます。しかし、現時点で身体完全性違和の治療は、世界的にも確立されていません。ただ、この診断名がICD-11に新設された流れから、今後は治療ガイドラインが求められます。そこで、この記事では、治療ガイドラインを世界に先駆けて(!)、作ってみましょう。まず、身体完全性違和の評価についてです。原因の視点に立てば神経疾患、鑑別の視点に立てば精神疾患、治療の視点に立てば外科疾患です。よって、神経内科医、精神科医、外科医の連携(リエゾン)が必要になります。検査としては、脳画像検査や皮膚コンダクタンス反応(SCR)が必要です。次に、実際の治療の計画についてです。これは、性別違和に準じます。ちなみに、性別違和の治療の流れは、実生活体験、薬物(ホルモン療法)、外科手術の3つのステップを踏みます。(1)実生活体験1つ目のステップは、実生活体験です。ドキュメンタリーに登場した人のように、片足を膝で折り曲げて固定し、松葉杖を使う生活を少なくとも半年送るのです。(2)薬物による疑似体験2つ目のステップは、薬物による疑似体験です。これは、脊髄硬膜外麻酔によって、下肢の運動麻痺と感覚麻痺を人工的につくり、擬似的な四肢切断の状態にします。この状態で違和感がなくなるかを厳正に判定するのです。(3)外科手術3つ目のステップは、外科手術です。このように、最初から手術をするのではなく、ステップを踏む必要があります。なぜなら、当然ながら、手術をするまでは元の状態に戻れますが、手術をした後は元に戻れないからです。「WHOLE」な社会とは?治療ガイドラインの確立によって、ICD-11の診断ガイドラインは表記の変更が必要になってきます。たとえば、「その身体障害によって、重大な社会機能の障害を認める、または健康の危機にさらす」という項目は、適切な外科手術がなされ、社会的なサポートを得ることが可能になれば不要です。また、「特定の身体障害を求める」という抽象的な表記は、健常者の視点です。身体完全性違和の人たちの視点にも立つならば、「機能的に問題のない体の一部分の切除を求める」と中立的で具体的な表記にすることが適切です。そして、その代わりに、性別違和の「生物学的性と性自認(ジェンダー)の不一致」という項目と同じように、「生物学的な身体と身体認識の不一致」という項目を新しく設けることが適切です。身体完全性違和という状態は、個人として「WHOLE」(健全)になるだけでなく、社会としても「WHOLE」(健全)になることを私たちに問いかけています。これは、社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)の考え方につながります。それは、この多様化した現代で、何が健全か、つまり何が望ましいか、そして何が幸せかはますます人によって違うという現実をよく理解して受け入れていくことではないでしょうか?1)精神医学(3)「ICD-11のチェックポイント」P285「身体苦痛または体験症群」:山田和男、医学書院、20192)私はすでに死んでいる ゆがんだを生み出す脳P100、P104、P142:アニル・アナンサスワーミー、紀伊國屋書店、2018「足を切り落としたい…」自ら障害者になることを望む人々の実態:美馬達哉、現代ビジネス、2018

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FGFR2融合/遺伝子再構成陽性肝内胆管がんに対するfutibatinib、日本人でも有効(FOENIX-CCA2)/日本臨床腫瘍学会

 新規FGFR阻害薬futibatinib(開発コード:TAS-120)による既治療のFGFR2融合/再構成遺伝子陽性肝内胆管がん(CCA)に対する治療は、日本人でもグローバルと同等の有効性を示した。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、国立がん研究センター中央病院の森實 千種氏が発表した、futibatinibの国際第II相FOENIX-CCA2試験の日本人サブグループ解析の結果である。・対象:プラチナ化学療法+ゲムシタビンで進行したFGFR2融合/再構成遺伝子陽性CCA患者・介入:futibatinib 20mg/日 3週ごとを病勢進行または許容できない毒性が認められるまで投与・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]無病生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢制御率(DCR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体集団103例中、日本人患者は14例であった。・日本人患者は全体集団と比べ、男性およびPS0が多く、放射線の前治療を受けた割合が少なかった。・日本人患者のORRは28.6%、全体では41.7%、DCRは日本人92.9%、全体では82.5%であった。・日本人患者のPFS中央値は全体と同様、9.0ヵ月であった。・日本人患者のOS中央値は14.6ヵ月、全体では21.7ヵ月であった。・安全性についても日本人集団と全体で大きな差はなかった。 発表者は、全体集団と比較した日本人集団の治療成績は同程度であり、標準的な化学療法より高い治療効果を示したと述べた。

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週1回の投与で血友病に効果を発揮する新しい血液凝固第VIII因子製剤/サノフィ

 サノフィは2023年3月7日、米国食品医薬品局(FDA)が血液凝固第VIII因子製剤efanesoctocog alfaを承認したと発表した。米国におけるefanesoctocog alfaの適応症は、血友病Aの成人患者と小児患者における定期補充療法、出血管理を目的とする出血時補充療法、ならびに周術期管理。血友病Aに対する第VIII因子製剤の課題 血友病Aは、生涯続く希少疾患であり、血液凝固因子が欠乏する。その結果、血液凝固能の低下による関節での出血によって、関節障害や慢性疼痛が引き起こされ、生活の質(QOL)が低下する恐れがある。 これまで、第VIII因子製剤は何の加工もないと半減期が12時間程度であり、2日に1回の注射でもトラフを1%保つことが困難だった。第VIII因子の半減期はvon Willebrand因子(VWF)の半減期に規定されており、第VIII因子をいくら加工しても半減期の上限があり、既存の半減期延長製剤では半減期は一律1.5倍程度である。 efanesoctocog alfaは、VWFによる半減期の上限を克服するためVWFの一部を第VIII因子に結合させるという発想のもと設計された新たなクラスの第VIII因子製剤である。週1回の投与で1週間の大半にわたり血液凝固因子の活性レベルを正常値もしくは正常値に近い(40%以上)範囲に維持することができ、従来の第VIII因子製剤に比べ有意に優れた出血抑制効果が期待される。efanesoctocog alfaのXTEND-1試験は日本を含む19ヵ国で実施 重症血友病A患者に対するefanesoctocog alfaの有効性、安全性、薬物動態の評価を目的とするXTEND-1試験1)は、第VIII因子補充療法を受けた経験のある12歳以上の重症血友病Aの患者(159例)を対象に、efanesoctocog alfaの週1回投与の安全性、有効性、薬物動態の評価を目的とした第III相非盲検介入試験であり、日本を含む19ヵ国48施設で患者の登録が行われた。 被験者はefanesoctocog alfa(50 IU/kg体重)の週1回静脈内投与による定期補充療法を52週間行うA群(133例)、efanesoctocog alfa(50 IU/kg体重)のオンデマンド療法を26週間施行後に同薬(50 IU/kg体重)の週1回の定期補充療法を26週間行うB群(26例)の2つの群に分けられた。 主要エンドポイントは、A群の平均年間出血回数(annualized bleeding rate:ABR)とされた。主な副次エンドポイントは、A群における定期補充療法中のABRと、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法中のABRとの患者内比較であった。 主要評価項目であるA群のABRの平均値は0.70(95%信頼区間[CI]:0.5~1.0)、ABRの中央値は0.0(Q1、Q3:0.0、1.0)であった。また、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法との患者内比較ではABRが77%減(95%CI:58~87)と有意な減少を示した。 関節内出血の抑制効果も認められ、出血が繰り返し発生する関節(例:膝、足首、肘)を対象とした評価では、efanesoctocog alfaにより100%の標的関節消失効果が得られた。 安全性プロファイルは許容できるものであった。第VIII因子インヒビターの発現は認められず、比較的高頻度(10%超)で認められた副作用は、頭痛と関節痛であった。efanesoctocog alfaは血友病患者の生活を変える薬剤 efanesoctocog alfaは世界で初めての週1回の投与で出血抑制効果が得られる血液凝固因子製剤である。 efanesoctocog alfaは2022年5月にFDAによって、第VIII因子製剤として初のブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定されており、2021年にはファストトラック審査の対象であった。EUにおける承認申請は、2023年下半期の予定。日本での承認申請が待たれる。

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複雑な冠動脈病変のPCI、血管内イメージングガイドvs.造影ガイド/NEJM

 複雑な冠動脈病変を有する患者において、血管内超音波(IVUS)または光干渉断層法(OCT)を用いた血管内イメージングガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管造影ガイド下PCIと比較して、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・臨床所見による標的血管血行再建術の複合イベントのリスクを低下させることが示された。韓国・成均館大学校医科大学のJoo Myung Lee氏らが、同国20施設で実施した医師主導の前向き無作為化非盲検試験「Randomized Controlled Trial of Intravascular Imaging Guidance versus Angiography-Guidance on Clinical Outcomes after Complex Percutaneous Coronary Intervention:RENOVATE-COMPLEX-PCI試験」の結果を報告した。複雑病変に対する血管内イメージングガイド下PCI後の臨床転帰に関するデータは、血管造影ガイド下PCIと比較して限られていた。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。1,639例を対象に、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・標的血管血行再建の複合を比較 研究グループは、2018年5月~2021年5月の期間に、複雑な冠動脈病変を有しPCIを実施予定の19歳以上の患者1,639例を、血管内イメージング(IVUSまたはOCT)ガイド下PCI群(血管内イメージング群1,092例)または血管造影ガイド下PCI群(造影群547例)に、2対1の割合で無作為に割り付けた。 複雑な冠動脈病変とは、Medina分類による真の分岐部病変(側枝径2.5mm以上)、慢性完全閉塞、非保護の左冠動脈主幹部病変、ステント長が38mm以上となる病変、多枝病変、3本以上のステント留置が要する病変、ステント内再狭窄病変、高度石灰化病変、入口部病変とした。また、血管内イメージング群において、IVUSかOCTかの選択は術者の自由裁量とした。 主要エンドポイントは、心臓死、標的血管に関連する心筋梗塞、臨床所見による標的血管血行再建術の複合とした。安全性も評価した。統計には、intention-to-treat解析が使用された。血管内イメージングガイド下PCIで複合イベントリスクが36%低下 追跡調査期間中央値2.1年(四分位範囲1.4~3.0)において、主要エンドポイントのイベントの発生は、血管内イメージング群76例(累積発生率7.7%)、造影群60例(12.3%)に確認された(ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.45~0.89、p=0.008)。 心臓死の発生は血管内イメージング群で16例(累積発生率1.7%)、造影群で17例(3.8%)、標的血管に関連する心筋梗塞はそれぞれ38例(3.7%)、30例(5.6%)、標的血管血行再建術は32例(3.4%)、25例(5.5%)であった。 手技に関連する安全性イベントの発生率に両群間で差はなかった。

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出産後の母親へのオピオイド処方、乳児の短期有害アウトカムに関連なし/BMJ

 カナダ・サニーブルック保健科学センターのJonathan S. Zipursky氏らは、出産後の母親へのオピオイド処方が、児の有害アウトカムの短期的リスクを増加させるかどうかを検討する住民ベースコホート研究を行い、両者間に関連はないことを明らかにした。北米では、ほとんどの母親が出産後に母乳で育児を開始する。乳児の呼吸器系または中枢神経系の抑制を引き起こすと予想されない量ではあるが、すべてのオピオイドは母乳へ移行する。母乳で育てられた乳児のオピオイド毒性に関する報告が散見されているが、母乳中のオピオイドを大量摂取したためと考えられていた。BMJ誌2023年3月15日号掲載の報告。出産後7日以内のオピオイド処方と乳児の30日以内有害アウトカムを検討 研究グループは、ICES MOMBABY(カナダ・オンタリオ州の全出生児とその母親の98%以上を特定可能)、Narcotics Monitoring Systemなどの各種データベースを用い、2012年9月1日~2020年3月31日の期間にオンタリオ州の病院で出産し7日以内に生存退院した母子86万5,691組を特定し、退院後7日以内にオピオイドが処方された母親とその児(処方群)、ならびに処方群の母親と年齢、出産年、分娩様式などを傾向スコアマッチング法で適合させた、オピオイドが処方されなかった母親とその児(非処方群)について解析した。 主要アウトカムは、指標日(オピオイド処方群は処方日、非処方群は処方群とマッチさせた模擬的な日付)から30日以内の乳児の入院、副次アウトカムは同期間の乳児の救急外来受診、すべての外傷による入院、新生児集中治療室(ICU)への入室、蘇生または呼吸補助を伴う入院、全死因死亡とした。解析には、Cox比例ハザード回帰モデルを使用した。死亡を含む有害アウトカムに有意差なし オピオイド処方群8万5,675例(オピオイドを処方された母親8万5,852例の99.8%)と、非処方群8万5,675例が解析対象となった。 30日以内に入院した乳児は、オピオイド処方群で2,962例(3.5%)、非処方群で3,038例(3.5%)であり、オピオイド処方群の乳児は非処方群の乳児と比較して指標日から30日以内に入院する可能性は高くなかった(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.93~1.03)。 指標日から30日以内の救急外来受診は、オピオイド処方群9,053例(10.6%)、非処方群8,714例(10.2%)で、オピオイド処方群がやや高かったが(HR:1.04、95%CI:1.01~1.08)、その他の乳児の有害アウトカムに差は確認されず、また、乳児死亡は報告されなかった。 結果を踏まえて著者は、「特定の母親への出産後の短期オピオイド使用に注意を払うことを支持するが、臨床医と両親は不安を抱く必要はなく、乳児への有害リスクは低い」と述べている。

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ChatGPTは英会話の練習に使えるか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(469)

四百六十九の段 ChatGPTは英会話の練習に使えるか?ふと思いついて、対話型AI(人工知能)であるChatGPTに英会話練習のお相手をしてもらいました。結果から言うと、かなりうまくいきました。英会話力というのは、人によってさまざまだと思います。私自身は、言いたいことが出て来ず、「うーん、うーん」と苦しむことが多々あります。本来なら人を相手に会話練習を重ねるべきですが、なかなか時間が取れません。で、PCの画面とキーボードを使ってChatGPTと対話してみたのです。つまり「話す聴く」の代わりに「書く読む」で英会話上達を図ったらどうなるのか?それが今回のテーマです。聞くところによると、洋画字幕翻訳家の戸田 奈津子さんは英会話上達法を尋ねられて、「とにかく書くこと」という趣旨のことをおっしゃっていたとか。また今上天皇も英国留学中に日記を毎日書くことによって、英会話上達を図ったということを、著書『テムズとともに』の中で述べておられます。日本人は読み書きが得意なので、外国語を学ぶときに「書く」ということを手掛かりにするのが良いのかもしれません。で、ChatGPTとの英語のやりとり、以下、日本語訳を紹介します。中島「どこで生まれたわけ?」ChatGPT「私はAIなので出生地というものは存在しません。ただ、私を開発したOpenAI社は米国のサンフランシスコにあります」なるほど、なるほど。中島「ということは日本語よりも英語を使うほうが快適なのかな?」ChatGPT「私は多言語に対応しています。しかし、英語での開発が最も進んでいるので、ほかの言語よりも正確でわかりやすい表現ができるかもしれません」正しくしゃべろうとしているせいか、やや回りくどいですな。中島「英語の能力向上のためにチャットに付き合ってくれないかな」ChatGPT「喜んでお手伝いいたします。何か取り上げたいトピックスはありますか?」来た、来た、来たーっ!やはり聴くより読むほうが簡単だし、話すよりも書くほうが楽です。瞬発力が要らないせいでしょうね。中島「幸せについて議論しようか」ChatGPT「それは興味深いテーマですね。幸せの何について議論したいですか?」中島「どうすれば幸せになれるか、かな。一般的には金持ちになればなるほど幸せになれると思われがちだけど、不幸な金持ちもたくさんいるしね」ChatGPT「それは素晴らしい指摘です。確かに経済的安定性や物質的所有は重要な要素ではありますが……」以下、ChatGPTは幸せについての持論を延々と述べ始めました。やはり長い英文を読むのは苦痛ですね。なので、「以後、40ワード以下で答えてくれ」と指示しました。すると、「大変失礼しました。では要点だけ回答します」と簡潔に答えてくれます。でも、それは最初だけで、すぐに長い答えになりがち。この点は我慢するしかなさそうです。とはいえ、ChatGPTを使った英会話練習にはいくつかの利点がありました。相手が人間ではないので、気をつかう必要がない。何度繰り返して尋ねても気を悪くせずに答えてくれる。いつでも思いついた時に開始できる。いつでも中断・終了することができる。途中でスマホを使って表現を調べていても忍耐強く待っていてくれる。これらは些末ではありますが重要なことだと思います。最後に“Talk you later.”と結んでチャットを終えましたが、相手からは“Talk to you later.”と返ってきました。考えてみればtalkは自動詞なので、toが必要なわけですね。今まで“Talk to you later.”と言われた時のtoを聴き落としていました。勉強になります。ということでChatGPTを使った英会話練習。自分の表現力を鍛えるには大変有効な気がします。画面上のやり取りを声に出して読むのもいいかもしれません。英語でのチャットに疲れた頭で1句春分の 談笑相手は AIぞ

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息切れの原因、TKIとの関連は?【見落とさない!がんの心毒性】第19回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別60代・女性主訴労作時息切れ現病歴5年前に発熱を契機に慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia: CML)と診断された。BCR::ABLチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor: TKI)としてイマチニブの投与が行われたが、血球減少のため不耐と判断され、3年前にニロチニブに変更された。その後BCR::ABLコピー数が上昇傾向にあったため、2年前よりダサチニブに変更された。1ヵ月前より労作時息切れを自覚し、精査が行われた。現症血圧 124/72mmHg、脈拍数 96bpm 整、SpO2 98%(酸素投与なし)、結膜貧血なし、頚静脈怒張あり、心音I音正常範囲、II音亢進、III/IV音なし、収縮期心雑音(胸骨左縁第3肋間で最強)、呼吸音清、下腿浮腫軽度採血白血球数 3520/μL、ヘモグロビン量 10.2g/dL、血小板数 13.8万/μL、尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.60mg/dL、総ビリルビン 0.4mg/dL、AST 31U/L、ALT 30U/L、LDH 222U/L、ALP 250IU/L、CRP 0.08mg/dL、BNP 30.5pg/mL、Major BCR::ABL IS 0.0053%胸部X線心胸郭比 52%、両側肺門部陰影拡大、肺うっ血/浸潤影なし、胸水なし、心電図:洞調律、II誘導P波先鋭増高、II・III・aVF誘導で軽度ST低下、QTc=409ms(図1)画像を拡大する息切れ出現後の心電図(上段)では、1年前(下段)と比較しII誘導でP波の先鋭増高を認め、右房負荷が疑われる。心エコー心室壁運動異常なし、左室拡張末期径/収縮末期径 45/27mm、心室中隔/後壁厚 8/8mm、左室駆出率 71%、心嚢液貯留なし、軽度僧帽弁閉鎖不全症、中等度三尖弁閉鎖不全症、三尖弁逆流最大血流速 (圧較差)3.2m/s(40mmHg)、下大静脈径 22mm、呼吸性変動低下【問題】本患者の診療に関する下記の選択肢について、間違っているものはどれでしょうか? 2つ選んでください。a.第2世代BCR::ABL TKIの投薬前後には定期的な心電図検査が必要である。b.ダサチニブの投薬前後には心エコー評価が必要である。c.診断のため右心カテーテル検査を行う。d.心エコー所見を基に肺血管拡張薬を開始する。e.CMLの病勢コントロールが良好であることからダサチニブを同量で継続する。CMLの治療成績はBCR::ABL TKIの登場により大きく向上し、多くの症例で分子遺伝学的奏効が得られるようになりました。第2世代以降のBCR::ABL TKIでは第1世代のイマチニブと比較し高い治療効果が期待できますが、長期毒性はイマチニブより重篤なものが多く、副作用管理が重要になります。第2世代のダサチニブはとくに胸水貯留や肺高血圧症の発症頻度が高く、多数のキナーゼをoff-targetとして阻害することが有害事象の頻度が高い原因と推測されています1,5,6)。ダサチニブは、Tリンパ球、単球 / マクロファージによる血管周囲の炎症や、活性酸素によるアポトーシス、内皮障害などにより肺血管抵抗上昇を来すと考えられています4)。心エコーにより肺高血圧症が疑われる頻度はイマチニブでは0.5~2.7%であるのに対しダサチニブでは5~13.2%と大きな差があり7,8)、イマチニブには肺血管抵抗低下効果も観察されています9)。両薬剤による肺高血圧症の発症頻度の違いの理由として、ダサチニブではイマチニブと異なり、非受容体チロシンキナーゼファミリーの一つであるSrcの阻害作用が強いことが可能性として挙げられますが、ダサチニブはSrc阻害とは無関係に内皮細胞機能障害を引き起こすことも報告されており4)、同じBCR::ABL TKIであるダサチニブとイマチニブが肺血管に対して異なる反応を示すことに対する明確な機序は解明されていません。(図2)肺血管におけるダサチニブとイマチニブの対照的効果 10)画像を拡大するダサチニブによる肺高血圧症のリスク因子として、年齢、心肺合併症、TKI投薬期間、3次治療以降のダサチニブの使用などが挙げられます8,11)。とくにこれらに該当する患者に対しては遅滞なく心エコーを行い、肺高血圧症の早期発見に努める必要があります。(謝辞)本文の作成に際し、九州大学病院 血液・腫瘍・心血管内科 森 康雄先生に監修いただきました。1)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;43:4229-4361.2)Humbert M, et al. Eur Heart J. 2022;43:3618-3731.3)日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)4)Guignabert C, et al. J Clin Invest 2016;126:3207-3218.5)Jacobs JA, et al. Pulm Circ. 2022;12:e12075.6)Weatherald J, et al. Eur Respir J. 2020;56:2000279.7)Cortes JE, et al. J Clin Oncol. 2016;34:2333-2340.8)Minami M, et al. Br J Haematol. 2017;177:578-587.9)Hoeper MM, et al. Circulation. 2013;127:1128-1138.10)Ryan JJ. JACC Basic Transl Sci. 2016;1:684-686. 11)Jin W, et al. Front Cardiovasc Med. 2022;9:960531.講師紹介

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英語プレゼン、最初・途中・締めに使える便利フレーズ!【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第12回

英語プレゼン、最初・途中・締めに使える便利フレーズ!今回は、学会のプレゼンテーションで頻用する基本的なフレーズについておさらいしたいと思います。プレゼンテーションの冒頭に使えるフレーズ発表のスタンダードな始め方はこんな感じです。“Thank you for this great opportunity to present my research, entitled, XXX.”と、まずプレゼンテーションの機会にお礼を述べると同時に、タイトルを告げます。その後、こんな感じで自己紹介をします。“My name is Yuji Yamada, Assistant Professor at Icahn School of Medicine at Mount Sinai.”もちろん、逆に自己紹介から始めても構いません。これに続いて、“Introduction”からスタートする、というイメージです。「いやいや、こんな情報はすべて表紙のスライドに書いてあるよ。説明する必要もないでしょう」と考える方もいるかもしれません。実際、英語のプレゼンテーションでは、“Did you know that…?”“What if…?とプレゼンテーションを始め、人々にとって衝撃的な事実やデータを示したり、思考を促したりすることで、プレゼンテーションの冒頭から聴衆の関心を惹く、というスキルもよく用いられます。ただし、標準的な「型」が求められ、聞く人もそれを期待している学会発表では、前者の基本的なスタートのやり方が多いでしょう。新たなトピックを話し始めるときに使えるフレーズそれまで薬の有効性について話をしていて、その後に薬の有害事象について説明をしたいときには、こんなフレーズを用いて話題転換をすることができます。“Regarding adverse events, …”“In terms of adverse events, …”“With respect to adverse events, …”“As far as adverse events are concerned, …”これらは、いずれも「有害事象に関しては…」という意味合いのフレーズであり、どれを使っても構いません。こうしたフレーズを文章の冒頭に置くことで、次にどんなトピックを話し始めるのかをあらかじめ示すことができます。figureを見てもらいたいときに使えるフレーズスライドの中でもとくに“figure”に注目してもらいたい場合には、こんな言い方ができます。“As you can see in figure 1, …”(Figure 1でご覧いただけるように…)これは少し間接的な表現かもしれません。より直接的には“figure”を主語にしてこんな言い方もできるでしょう。“Figure 1 shows that…”(Figure 1は…を示しています)さらに、もっとFigure 1への関心を引き寄せたい場合には、こんな言い方もできます。“Let’s take a(closer)look at figure 1.”(Figure 1に注目してみましょう)“look”の前に“closer”のような形容詞を付ければ、さらに強調した表現にすることもできるでしょう。プレゼンテーションの締めくくりに使えるフレーズ“Conclusions”まで話が終わったら、いよいよプレゼンテーションは締めくくりです。締めくくりに使えるフレーズには、こんなものがあります。“This brings me to the end of my presentation.”(これで私のプレゼンテーションはおしまいです)“That covers everything I want to say today.”(それで今日言いたいことはすべてカバーしました)“That’s it.”のような言い方でも同様の意味を持ちますが、上で示したような言い方のほうがより丁寧でフォーマルな印象を与えると思います。また、その後に通常は質疑応答に移るので、こんな形で一言付け加え、質問を受け付けるとスムーズでしょう。“If you have any questions, I would be happy to answer them now.”(もしご質問がありましたら、今から喜んで返答させていただきます)なお、日本語のプレゼンテーションでは「ご静聴ありがとうございました」と締められることが一般的です。この対訳は、“Thank you for your attention.”になるでしょう。しかし、このフレーズは駅構内のアナウンスなどではよく用いられるものの、学会で用いられることはあまり一般的ではありません。「使ってはいけない」というわけではありませんが、いつもの日本語のプレゼンテーションの直訳でこのセリフを使う必要はありませんので、併せて覚えておくとよいでしょう。講師紹介

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第37回 ChatGPTがさらに進化、医師国試も解ける

医師国家試験も解けるChatGPT2023年3月14日にChatGPTの改良版である「GPT-4」について発表がありました。GPT-4とは、もともとのChatGPTの基盤として存在するGPT-3.5のバージョンアップと捉えてもらってよいです。ChatGPTについて何も知らんという人は、以下の記事を読んでください。それでもわからんという人は、とりあえず使ってみて慣れてみてください。面白いと思います。GPT-4で大きくコマースされているのは、司法試験の模擬試験において、受験者の上位10%のスコアで合格するレベルになったということです。さすがにこれは本当かいなと思ってしまいますが、GPT-3.5と比べて問題を解く不自然さが改善されているので、なんと言いますか、本当にナチュラルなAIになったなと感じます。医師国家試験の問題を入力してみるとわかりますが、ChatGPTの正答率は結構高いと思います。たまにちょいちょいおかしなことを言ってくることもありますが、おおむね正答にたどり着いていることのほうが多いです。例1:ヘルシンキ宣言について画像を拡大する(画像:ChatGPTより)例2:胸腔ドレーントラブル画像を拡大する(画像:ChatGPTより)「胸腔ドレーンを押し込んではいけない」理由は、胸腔内圧が上がるからではなく、肺そのものを損傷する可能性があるためですが、まあ正答を選んでいるので結果オーライです。言語レベルの性能が各段にアップしており、日本語でもやや違和感があったところが、GPT-4ではGPT-3.5の英語版を上回るほどのパフォーマンスであり、このまま進化し続けると、医学の世界でもトレンドになってくるんじゃないかと思います。ただ問題は、正しそうで正しくない文章、OpenAIの言うところの「幻覚(hallucination)のような文章」というのは、多いかなと思います。なので、騙されてしまう人が多くなってしまうかもしれません。リテラシーの高い人が使ったほうがよいでしょうね…。ChatGPTの登録ChatGPTの登録はこちら(https://openai.com/blog/chatgpt)です。別に業者でもなんでもありませんので、安心してください。GPT-4が使用できるChatGPT Plusプランを使う場合、月額20ドルになります。とりあえず登録しているんですが、続けるかどうかと問われると、どうでしょう。使い道が思いつかないなあ。医学論文のアイデアを出してくれて、何ならデータまでまとめてもらえると助かるんですが。その域に到達するのはまだまだ先か。いずれにしてもChatGPTだけで論文を作成するのは、現時点ではNGとされています。しかし、このまま成長していくと、人類はChatGPTに乗っ取られるんじゃないだろうか。ターミネーターの時代に描かれていたクーデターがやってきたりして…。

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