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患者・医師間のShared Decision Makingをサポートする新サービスを開発

 治療支援デジタルサービスを展開する株式会社ウェルビー(本社:東京都千代田区、代表取締役:比木武、以下ウェルビー)は、患者・医師間の治療方針選択時のコミュニケーションである、Shared Decision Making(SDM)をサポートする新サービス「Welbyマイチョイス」を本年10月より提供開始する。 「Welbyマイチョイス」は、新たな治療方針を検討・選択する際に、医師が患者に応じた複数の治療選択肢をディスプレイ上に一覧表示し、治療方針比較検討の際のコミュニケーション(SDM)をサポートするもの。 一般的に、治療方針の選択にあたっては、個々の病状やこれまでの治療効果、候補となる治療選択肢の有効性や副作用のリスク、投薬方法やスケジュール、経済負担など、さまざまな側面を考慮して検討が行われる。多くの疾患領域において続々と新薬が開発され、治療選択肢が多様化する一方で、個々の患者の病状、ライフスタイルや価値観を考慮したうえで、適切な治療選択肢の候補を提示し、限られた診療時間で患者・家族の前提知識に合わせてわかりやすく説明するのは容易なことではない。 「Welbyマイチョイス」は、多くの治療選択肢の中から、患者さんに提示する療選択肢を医師がピックアップし、それぞれの治療選択肢について注意すべき副作用、費用、投薬方法とスケジュールなどを一覧で表示する。 第1弾として、2016年10月から、血液がんの一種である「多発性骨髄腫」向けに提供開始する。多発性骨髄腫は近年、新薬が次々と発売され治療選択肢が複雑化・多様化している疾患で、国内患者数は18,000人(平成 26 年人口動態統計・患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部)。多発性骨髄腫向け「Welbyマイチョイス」開発にあたっては、帝京大学ちば総合医療センター 血液内科などと連携している。ウェルビーのプレスリリースはこちら

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再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab追加の3剤併用も有効/NEJM

 再発性または再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ヒトIgGκモノクローナル抗体daratumumabを、ボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、2剤のみの場合に比べ無増悪生存期間が延長し、12ヵ月無増悪生存率は約60%になることが示された。イタリア・トリノ大学のAntonio Palumbo氏らが、約500例の患者を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。daratumumabはCD38をターゲットとし、直接的・間接的な抗骨髄活性を誘発する。先行研究で、多くの前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して、単独療法の高い有効性が示され、またボルテゾミブとの併用療法では、新規に診断された多発性骨髄腫患者において同様の高い効果が示されていた。NEJM誌2016年8月21日号掲載の報告より。daratumumab+ボルテゾミブ+デキサメタゾンについて検討 研究グループは2014年9月~2015年9月にかけて、再発性多発性骨髄腫、再発・難治性多発性骨髄腫の患者498例を対象に試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方にはボルテゾミブ(1.3mg/m2体表面積)とデキサメタゾン(20mg)を投与し(対照群)、もう一方の群にはそれら2剤とdaratumumab(16mg/kg体重)を投与した(daratumumab群)。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。12ヵ月無増悪生存率、daratumumab群で60% 事前に特定した中間解析の結果、12ヵ月無増悪生存率は、対照群26.9%だったのに対し、daratumumab群では60.7%と有意に高率だった。 追跡期間の中央値7.4ヵ月の時点で、無増悪生存期間は、daratumumab群では未到達だったが、対照群は7.2ヵ月だった。(daratumumab群の対照群に対する増悪または死亡のハザード比:0.39、95%信頼区間:0.28~0.53、p<0.001)。 全奏効率は、対照群63.2%に対し、daratumumab群は82.9%と有意に高率だった(p<0.001)。また、非常に良好な部分奏効率(very good partial response)や完全奏効率も、対照群29.1% vs.daratumumab群59.2%(p<0.001)、9.0% vs.19.2%(p=0.001)と、いずれもdaratumumab群が有意に高率だった。 両群で発生頻度の高かったGrade3または4の有害事象は、血小板減少症(daratumumab群45.3%、対照群32.9%)、貧血(14.4%、16.0%)、好中球減少(12.8%、4.2%)だった。また、daratumumab群では注入に伴う反応が45.3%に認められた。しかし大半はGrade1または2で(3は8.6%)、98.2%が初回注入時に記録されたものだった。

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がん脊椎転移、手術が不適な患者とは

 治療の進歩により転移性がん患者の生存期間が延長したことから、症候性脊椎転移が増加している。脊椎の病的骨折や脊髄圧迫を有する患者には、手術で痛みを軽減しQOLを改善することができるが、通常、生存期間が3ヵ月未満と推測される場合には手術は不適と考えられている。今回、手術が不適な患者への手術回避を目的として、日本を含む国際多施設共同研究により、術後3ヵ月または2年以内に死亡した患者のデータを分析し、生存期間に関連する術前因子を検討した。その結果、生存期間は全身の術前状態に依存し、とくに術前に「Karnofsky performance score(KPS)が低い」ことが3ヵ月未満の死亡に有意に関連し、「転移脊椎数が少ない」「原発腫瘍が予後良好な組織型」ことが長期生存に有意に関連していたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJorrit-Jan Verlaan氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年7月11日号に掲載。 著者らは、切迫病的骨折と神経障害の両方もしくはどちらかに対する手術を受けた1,266例をプロスペクティブに観察し、腫瘍の特徴、術前状態(米国麻酔学会[ASA])、神経学的状態(フランケル分類)、performance score(KPS)、QOL(EuroQol five-dimensions questionnaire [EQ-5D])などを調査した。アウトカムは、術後3ヵ月および2年における生存とし、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、短期および長期生存に関連する術前因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・単変量解析において、年齢、緊急手術、KPS、EQ-5D、ASA、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・多変量解析において、KPS(オッズ比[OR]:1.36、95%CI:1.15~1.62)と年齢(OR:1.14、95%CI:1.02~1.27)が短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・単変量解析において、年齢、手術に含まれる脊椎レベルの数、KPS、EQ-5D、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、長期(2年超)の生存に関連していた。・多変量解析において、手術に含まれる脊椎レベルの数(OR:1.21、95%CI:1.06~1.38)と原発巣が、長期(2年超)の生存と有意に関連していた。

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【JSMO2016見どころ】血液がん

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、血液がんについては松岡 広氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 准教授)が登壇した。以下、松岡氏のコメントを紹介する。【松岡 広氏コメント】 血液領域では、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(B細胞性リンパ腫)の新規治療薬に関する講演に注目したい。多発性骨髄腫治療では良い治療薬に恵まれない時代が長く続いていたが、10年前よりプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬(IMiDS)などの画期的な治療薬が登場し、患者予後は大きく改善した。これらは「新規治療薬」といわれ、時代を変えたといわれた。昨年からはさらなる新薬登場が相次いでおり、治療成績の向上が期待される。現在はいわば「新規治療薬の第二の波」といえる。シンポジウム29では、新規プロテアソーム阻害剤をはじめこれらの“新”新規治療薬について作用機序や治療成績について解説される。B細胞性リンパ腫においては、最近、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害剤が慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対する治療薬として承認された。BTKはBリンパ球にとって重要な働きを持つ分子で、これに対する阻害剤はB細胞性リンパ腫治療薬の中で、いわば“横綱クラス”の薬剤になるのではないか、と期待されてきた。シンポジウム28では、BTK阻害剤をはじめB細胞リンパ腫に対する、期待される新しい治療法に関して講演される。【注目演題】 本学会で、松岡氏が血液がん関連の注目演題として挙げたのは、以下のとおり。International Symposium「Emerging new effective treatments of B-cell malignancies」日時:7月30日(土)10:10~12:10場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)JSH/JSMO Joint Symposium「New era of new drugs for multiple myeloma」日時:7月30日(土)13:30~16:00場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)一般口演「血液悪性腫瘍①」日時:7月28日(木)9:00~10:00場所:Room12(神戸国際会議場5階502会議室)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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多発性骨髄腫、ixazomib追加の3剤併用療法でPFS延長/NEJM

 再発または難治性の多発性骨髄腫の治療において、標準治療にixazomibを加えた経口薬の3剤併用療法は、標準治療のみに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、毒性は許容できるものであることが、フランス・オテル・デュー大学病院のPhilippe Moreau氏らが行ったTOURMALINE-MM1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年4月28日号に掲載された。ixazomibは、経口投与が可能なペプチドボロン酸型プロテアソーム阻害薬で、ボルテゾミブとは化学構造や薬理学的特性が異なる。前臨床試験でレナリドミドとの相乗効果が確認され、未治療の多発性骨髄腫の早期臨床試験ではレナリドミド+デキサメタゾンとの併用で有望な効果と安全性が報告されている。上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 TOURMALINE-MM1試験は、多発性骨髄腫に対する従来の標準治療へのixazomibの上乗せ効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Millennium Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、測定可能病変を有し、全身状態(ECOG PS)が0~2、前治療レジメン数が1~3の再発、難治性、再発・難治性の多発性骨髄腫で、軽度~中等度の腎機能障害がみられる患者も含めた。 被験者は、ixazomib+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(ixazomib群)またはプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。両治療群とも28日を1サイクルとし、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目には、全生存期間(OS)、17p欠失例のOS、完全奏効(complete response)+最良部分奏効(very good partial response)の割合などが含まれた。 2012年8月28日~2014年5月27日までに、26ヵ国147施設に722例が登録され、ixazomib群に360例、プラセボ群には362例が割り付けられた。 PFS中央値が約6ヵ月延長、完全+最良部分奏効割合も良好 背景因子は両群間でバランスがよく取れていた。全体の年齢中央値は66歳(範囲:30~91歳)で、65歳以上が52%、男性が57%含まれた。前治療レジメン数は1が61%、2が29%、3が10%であり、再発例が77%、難治例が11%、再発・難治例は12%であった。 フォローアップ期間中央値14.7ヵ月におけるPFS中央値は、ixazomib群が20.6 ヵ月と、プラセボ群の14.7ヵ月よりも有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、p=0.01)。PFSの事前に規定されたサブグループ解析では、高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者などのすべてのサブグループにおいて、ixazomib群がプラセボ群よりも良好であった。 全奏効率はixazomib群が78%と、プラセボ群の72%に比べ有意に優れた(p=0.04)。また、完全奏効+最良部分奏効の割合は、それぞれ48%、39%であり、ixazomib群で有意に良好だった(p=0.01)。奏効までの期間中央値は、ixazomib群が1.1ヵ月と、プラセボ群の1.9ヵ月よりも短く(p=0.009)、奏効期間中央値はそれぞれ20.5ヵ月、15.0ヵ月であった。 フォローアップ期間中央値が約23ヵ月の時点におけるOS中央値は両群とも未到達で、フォローアップが継続されている。 重篤な有害事象の発現率はixazomib群が47%、プラセボ群は49%で、試験期間中の死亡率はそれぞれ4%、6%であり、いずれも両群でほぼ同じであった。また、Grade 3以上の有害事象は、それぞれ74%、69%に認められた。 Grade 3および4の血小板減少症の頻度は、ixazomib群(それぞれ12%、7%)がプラセボ群(5%、4%)よりも高かった。 発疹は、ixazomib群が36%であり、プラセボ群の23%に比べ頻度が高かった。消化器系の有害事象(下痢、便秘、悪心、嘔吐)は多くが低Gradeであったが、ixazomib群のほうが高頻度であった。また、末梢神経障害の発生率は、ixazomib群が27%,プラセボ群は22%であった(Grade3は両群とも2%)。 患者報告による健康関連QOL評価(EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-MY20)のスコアは、試験期間を通じて両群でほぼ同等であった。 著者は、「この経口薬3剤併用レジメンは、再発、難治性、再発・難治性多発性骨髄腫の新たな治療選択肢となるだろう」としている。

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多発性骨髄腫、最新の治療法と薬剤選択のコツは

 2016年2月15日、都内にて「多発性骨髄腫における最新治療」をテーマにメディアセミナー(主催:セルジーン株式会社)が開催された。本セミナーは、昨年末に未治療の多発性骨髄腫に対する追加承認を取得したレナリドミド(商品名:レブラミド)に関する最新の知見や、他の新規治療薬に関する情報が提供された。レナリドミドの追加承認に関するエビデンス レナリドミドが初発の多発性骨髄腫(以下、MM)治療に対する適応を取得した背景に、「FIRST試験」がある1)。本試験は、移植非適応患者における現在の標準治療であるMPT※)療法とレナリドミド+デキサメタゾン併用のLd※※)療法(継続治療群/18サイクル固定群)の3群間ランダム化比較試験である。この結果、以下の3点が示唆された。1. 継続的なLd療法群は他群より無増悪生存期間を有意に延長した2. 1の結果は75歳以上/未満でも同等の成績であった3. Ld療法において、両群における有害事象は75歳以上/未満で同程度であった 上記の結果から、Ld継続投与は高齢者にも安心して使用できる、移植非適応初発骨髄腫に対する標準治療になりうるとされた。レナリドミドの追加承認がもたらす影響 レナリドミドは2015年12月の効能・効果の追加承認取得を受けて、ファーストラインでの使用が可能となった。本邦において、これまで未治療MMではボルテゾミブが選択されるケースが多かったが、これからはレナリドミドも選ぶことができる。そのため、両薬剤の使い分けが重要になってくる。ボルテゾミブvsレナリドミド、最適な患者像を探る 演者の木崎 昌弘氏(埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 教授)は、2剤の使い分けのコツや利点について、以下のような考えを提案した。・レナリドミド:経口であるため幅広い患者に使用でき、副作用もマネジメントしやすい・ボルテゾミブ:幹細胞に影響を与えにくく、移植を考慮している患者にも使用しやすい。副作用の1つである末梢神経障害は、皮下投与にすることで軽減可能 各製剤の利点・欠点を考慮し、安全性を重要視したうえで適切な患者を選定していくことが重要であるという。選択肢が増え続ける多発性骨髄腫治療、今後の展望は? 現在サードラインの位置づけであるポマリドミドは、ボルテゾミブ/レナリドミド投与歴なしの患者に対する使用を念頭に置き、セカンドライン取得に向けた試験を開始している。また、がん免疫療法薬など新薬の開発も始まっている。 さらに、既存の治療に対するエビデンス収集も着々と進んでいる。たとえば、Ld継続治療において、レナリドミド長期投与における二次発がんと、ステイロイド長期投与における白内障が問題視されている。これらを評価するための市販後調査が現在進行中である。 多発性骨髄腫は現時点では完治が難しく、また、移植以外の外科的療法で治療を行うことができない。そのため、いかに多くの薬剤が開発されるかが重要になってくる。木崎氏は治療選択肢の増加と生存期間に強い相関があることを述べたうえで、今後の治療薬開発の意義を強調し、セミナーを結んだ。※)MPT療法:メルファラン/プレドニゾロン/サリドマイド併用※※)Ld療法:レナリドミド/低用量デキサメタゾン併用

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再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab単剤投与は有効/Lancet

 再発または難治性多発性骨髄腫に対し、新規抗ヒトCD38モノクロナール抗体daratumumab単剤投与は、良好な安全性プロファイルを示し有効性も期待できることが、米国・エモリー大学のSagar Lonial氏らによる国際多施設共同第II相非盲検無作為化試験「SIRIUS」の結果、明らかとなった。著者は、「十分な奏効が得られ忍容性も良好であることから、daratumumabの16mg/kg投与は、病勢進行の再発・難治性多発性骨髄腫患者に対する治療選択肢となりうる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。daratumumabの推奨用量は16mg/kg 試験は、カナダ、スペインおよび米国で行われた。対象は、18歳以上で、プロテアソーム阻害薬や免疫調整薬を含む3レジメン以上の前治療歴、もしくはプロテアソーム阻害薬および免疫調整薬の治療歴があり、かつ直近の治療中または治療終了後60日以内に病勢進行した多発性骨髄腫患者であった。 有効性の主要評価項目は全奏効率(ORR)、副次評価項目は奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、臨床的有用率(最小奏効+OR)であった。 試験はパート1とパート2からなり、まずパート1の第1期として、対象患者34例をdaratumumab 8mg/kg静脈内投与群(18例)と、16mg/kg投与群(16例)にランダム化。前者は8mg/kgを4週ごとに、後者は16mg/kgを1週ごとに8週間、2週ごとに16週間、その後は4週ごとに投与した。この結果、8mg/kg投与群はORRが11.1%(95%信頼区間[CI]:1.4~34.7)と基準を満たさなかったため、第2期として16mg/kg投与群に25例を追加登録して再評価し、推奨用量を16mg/kgに決定した。その後、パート2として65例が登録された。 本試験は進行中で、今回はパート1の第2期およびパート2において16mg/kgが投与された計106例の解析結果が報告された。前治療歴が多くても、16mg/kg投与でORRは29%、PFSは3.7ヵ月 16mg/kg投与群計106例の患者背景は、前治療歴中央値が5レジメン(範囲2~14)、自家造血幹細胞移植歴ありが85例(80%)、直近のプロテアソーム阻害薬および免疫調整薬に抵抗性101例(95%)、最終ラインの治療に抵抗性103例(97%)であった。 ORRは29.2%(31例)(95%CI:20.8~38.9%)で、3例(2.8%、95%CI:0.6~0.8)が厳格な完全奏効(sCR)、10例(9.4%、95%CI:4.6~16.7)が最良部分奏効(VGPR)、18例(17.0%、95%CI:10.4~25.5)が部分奏効であった。臨床的有用率は34%(95%CI:25.0~43.8)であった。また、奏効までの期間中央値は1ヵ月(範囲:0.9~5.6ヵ月)、奏効期間中央値は7.4ヵ月(95%CI:5.5~推定不能)、PFSは3.7ヵ月(95%CI:2.8~4.6)、1年生存率64.8%(95%CI:51.2~75.5)、OS中央値17.5ヵ月(95%CI:13.7~推定不能)であった。 前治療および年齢、腎機能などの患者背景に基づくサブグループ解析でも、有効性に大きな違いはみられなかった。 安全性については良好な忍容性が認められた。発現率が高かった有害事象は倦怠感(42例、40%)、貧血(35例、33%)で、薬剤関連有害事象による投与中止例はなかった。

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整形外科で発見した骨転移、スムーズに他科へ引き継ぐには?

 一般的に、転移性骨髄腫は疼痛を伴うことが多く、腰痛、頸部痛などを訴えて初診時に整形外科を訪れ、がんと診断されることが少なくない。そのため、疼痛を訴えてきた患者において骨転移が認められる場合、より早く原発巣を同定し、いちはやく当該診療科に引き継ぐ必要がある。 そこで、今回は畑中 敬之氏(国立病院機構 福岡東医療センター 整形外科)らによる、整形外科医がどのように原発巣を精査して当該診療科に引き継ぐべきか検討した論文を紹介する。 著者らは、2013年4月から2014年2月までに同センター・整形外科にて骨転移を診察・加療された患者のうち、初診時に原発巣が同定されていない6例(男性4例、女性2例)に対して原発巣を探索し、当該診療科に引き継いだ。初診時の平均年齢は59~84歳(平均73歳)であり、悪性腫瘍の既往はなかった。 原発巣探索は、以下の高木辰哉氏の方法1)に基づき、2段階に分けて診察・検査を行った。・第1段階:病歴、理学所見、胸部X線、一般血液生化学検査、腫瘍マーカー、血清免疫電気泳動、胸腹部骨盤CT、骨シンチグラフィ・第2段階:骨生検、第1段階で原発を疑った臓器の生検、甲状腺エコー、マンモグラフィ、消化管内視鏡 上記の結果、6例中2例はCT、3例は電気泳動や腫瘍マーカーといった第1段階の比較的簡便な検査が重要な手掛かりとなり、原発巣が診断され、当該診療科に引き継がれた。生検まで必要であった残りの1例についても、血液がんの可能性が高いと診断可能であった。 なお、この検査の注意点は、・第1段階の検査結果が出そろうまでに1週間ほど時間がかかる点・第2段階の検査は比較的侵襲が大きいため、第1段階の検査を経て原発を強く疑うとき以外には行うべきではない点などが挙げられる。 初診時に原発不明な骨転移患者を診断する際に、いかにスムーズに原発巣を探し出すかが重要である。筆者らは、各臓器ごとの原発である確率を予測したうえで、体系化された診断手順を用いることで診断に至るまでの時間の消費を防ぐことができると述べた。また、日常からの他科との連携を深めることの重要性を強調し、結びとした。 原著では具体的な症例に関する記載もあるため、整形外科の先生方をはじめ疼痛の診療に関わる先生方に、ぜひ一読いただきたい。参考文献1)高木辰哉. 関節外科. 2007;26:23-28.

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再発・難治性多発性骨髄腫治療に対するcarfilzomibレジメン

 多種類の前治療歴を有する再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対する治療選択肢は限られている。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJatin J Shah氏らは、carfilzomib+ポマリドミド+デキサメタゾンからなるCPD療法の治療レジメンを、多施設共同オープンラベル第I相用量漸増試験により評価した。Blood誌2015年11月12日号の報告。 前治療後に再発または直近に実施した治療で難治性であった患者を対象とした。すべての患者は、レナリドミド前治療に対して不応であった。患者には、carfilzomib静注(初回用量20mg/m2、以降27mg/m2に増加、第1、2、8、9、15、16日目)、ポマリドミド(初期用量レベルとして4mg、第1~21日目)、デキサメタゾン(40mgを経口または静注、第1、8、15、22)を、28日サイクルで治療を行った。試験の主な目的は、安全性の評価とレジメンの最大耐量(MTD)を決定することとした。 主な結果は以下のとおり。・32例の患者が登録された。・レジメンのMTDは、用量レベル1(carfilzomib:20/27mg/m2、ポマリドミド:4mg、デキサメタゾン:40mg)であった。・血液学的有害事象は、全患者の60%以上(Grade3以上の貧血11例を含む)で発生した。・呼吸困難はGrade1/2に限られ、10例の患者で認められた。末梢神経障害は、まれでGrade1/2であった。・治療中に8例で投与量の減量を行い、7例は有害事象により治療を中止した。・2例の死亡例は、それぞれ肺炎、肺塞栓症によると考えられた。 結果を踏まえ、著者らは「再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対するCPD療法は、良好な忍容性と非常に有望な活性をもたらす」としている。(ケアネット 鷹野 敦夫)参考文献Shah JJ, et al. Blood. 2015;126:2284-2290.血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news

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多発性骨髄腫に対するVTD療法 vs. VTDC療法、長期アウトカム比較

 多発性骨髄腫の導入療法として、VTD療法(ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン)とVTDC療法(VTD+シクロホスファミド)の長期アウトカムの違いを評価するため、オーストリア・Wilhelminenがん研究所のHeinz Ludwig氏らは、無作為化第II相試験のフォローアップ結果を報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。 多発性骨髄腫の新規診断患者98例をVTD(ボルテゾミブ静注[1.3mg/m2、第1、4、8、11日目]+サリドマイド[100mg、第1~21日目]+デキサメタゾン[40mg、第1~4日目および9~12日目])群とVTDC(VTD+シクロホスファミド[400mg/m2、第1、8日目])群に1:1で割り付け、幹細胞動員・移植前に4サイクル(21日/サイクル)実施した。 主な結果は以下のとおり。・中央値64.8ヵ月のフォローアップ後、次の治療までの期間(中央値)は、VTD群で51.8ヵ月、VTDC群で47.9ヵ月であった。・その後の治療内容は、両群とも類似していた。・中途打ち切りを調整後、進行までの期間(中央値)は、VTD群(35.7ヵ月)とVTDC群(34.5ヵ月)との間で有意な差は認められなかった(HR 1.26、95%CI:0.76~2.09、p=0.370)。・5年生存率は、VTD群で69.1%、VTDC群で65.3%であった。・微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の有無により分析すると、骨髄で完全奏効(CR)が確認された患者の全生存期間は、MRD陽性と比較しMRD陰性で長かった(HR 3.66、p=0.0318)。・VTD療法に続く移植は、多発性骨髄腫の長期コントロールを可能とする。1次解析の結果と一致し、VTD療法にシクロホスファミドを追加することによるメリットは示されなかった。(ケアネット 鷹野 敦夫)血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news原著論文はこちらLudwig H, et al. Br J Haematol. 2015;171:344-354.

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難治性多発性骨髄腫、新規CD38標的薬が有望/NEJM

 有効な治療選択肢がほとんどなく治療がきわめて困難な難治性の多発性骨髄腫の患者に対して、daratumumabは単剤で良好な安全性プロファイルを示し、有望な効果を発揮することが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのHenk M Lokhorst氏らの検討で明らかとなった。プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬は多発性骨髄腫の転帰を改善するが、多くの患者が再発し、再発後の予後はきわめて不良である。一方、多発性骨髄腫細胞で過剰発現がみられるCD38は、本疾患の治療標的となる可能性が示唆されている。daratumumabは、CD38を標的とするヒトIgG1κモノクローナル抗体で、前臨床試験では多彩な機序を介してCD38発現腫瘍細胞の標的細胞死を誘導することが確認されていた。NEJM誌オンライン版2015年8月26日号掲載の報告。用量漸増試験30例と用量拡大試験72例で評価 研究グループは、難治性多発性骨髄腫患者に対するdaratumumabの有用性を検討する第I/II相試験を行った(Janssen Research and Development社などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ECOG PSが0~2で、免疫調整薬やプロテアソーム阻害薬、化学療法薬、自家造血幹細胞移植などによる治療後に再発またはこれらのうち2つ以上の前治療歴のある難治性の多発性骨髄腫患者であった。 用量漸増試験では、daratumumabの0.005~24mg/kgまでの10種の用量を設定し、最も低い2種の用量は1+3デザインで、それ以外の8種の用量は3+3デザインで評価した。初回投与後、安全性と薬物動態の評価を行うために3週間のウォッシュアウト期間を置き、その後は週1回、合計6回の投与を行った(治療期間8週)。 用量拡大試験では、8mg/kgが3種、16mg/kgが2種の合計5種の投与スケジュールの評価を行った。8mg/kg投与群は、週1回で8回、月2回で8回、その後は月1回投与した。16mg/kg投与群は、初回投与後、薬物動態データの収集のために3週間のウォッシュアウト期間を置き、週1回で7回、月2回で7回、その後は月1回投与した。治療期間はいずれも最長で24ヵ月であった。 2008年3月27日~2015年1月9日までに登録された患者のデータを解析した。用量漸増試験には32例が、用量拡大試験には72例が登録された。MTDは同定されず、16mg/kg投与で全奏効率36%、PFSは5.6ヵ月 用量漸増試験では、用量制限毒性(DLT)が0.1mg/kgで1例(Grade 3の貧血)、1mg/kgで1例(Grade 3のAST上昇)に発現したが、24mg/kgまで安全に増量され、最大耐用量(MTD)は同定されなかった。 用量拡大試験の72例のうち、8mg/kg投与群が30例(年齢中央値59歳、女性9例)、16mg/kg投与群は42例(64歳、15例)であった。診断後の経過期間中央値は5.7年、前治療数の中央値は4(範囲:3~10)だった。 このうち難治性病変の患者は79%であり、プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬に不応性の患者は64%、ボルテゾミブとレナリドミドに不応性の患者も64%含まれ、76%は自家造血幹細胞移植を受けていた。 用量拡大試験における注射関連反応の発現率は71%であったが、Grade 3の1例を除きGrade 1~2であり、注射関連反応による治療中止例はなかった。また、用量依存性の有害事象は認めなかった。 Grade 3/4の有害事象は、8mg/kg投与群の53%、16mg/kg投与群の26%にみられ、肺炎が5例、血小板減少が4例で、好中球減少、白血球減少、貧血、高血糖が各2例に認められた。重篤な有害事象はそれぞれ40%、33%にみられ、感染症関連イベントが17%、10%と最も高頻度であった。 用量漸増試験の4~24mg/kg投与の12例中4例で部分奏効(PR)が達成され、持続的な臨床的奏効が観察された。また、用量拡大試験では、8mg/kg投与群はPRが3例で全奏効率は10%であり、16mg/kg投与群は完全奏効(CR)が2例、最良部分奏効(very good PR)が2例、PRが11例で得られ、全奏効率は36%であった。 16mg/kg投与群の無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~8.1)であり、奏効例のうち12ヵ月時に病勢が進行していなかった患者の割合は65%(95%CI:28~86)だった。 著者は、「daratumumab(16mg/kg)単剤療法は、標準治療に不応となった患者が多く含まれる集団で、経時的に深まる持続的な奏効をもたらし、奏効例の1年PFSは65%に達した。また、PR以上の患者では全般に骨髄中の形質細胞が著明に低下した」とまとめ、「本薬の治療標的や作用機序は既存の治療法とは異なるものである」としている。

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ベムラフェニブ、悪性黒色腫以外のBRAF V600変異陽性がんにも有効/NEJM

 ベムラフェニブ(商品名:ゼルボラフ)はBRAF V600キナーゼの選択的阻害薬で、BRAF V600変異陽性の転移性悪性黒色腫の標準治療である。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDavid M. Hyman氏らは、今回、本薬はBRAF V600変異陽性の他のがん腫にも有効であることを確認しことを報告した。近年、BRAF V600変異は悪性黒色腫以外のさまざまながん腫で発現していることがわかっているが、半数以上は変異陽性率が5%未満であるため疾患特異的な試験を行うのは困難だという。本研究では、「basket試験」と呼ばれる新たな試験デザインが用いられている。このアプローチでは、同じバイオマーカーの発現がみられる組織型の異なる多彩ながん腫において、抗腫瘍活性のシグナル伝達の検出と薬剤感受性の評価が同時に可能で、生物統計学的デザインの柔軟性が高いため希少がんでの抗腫瘍活性の同定に有用であり、新たな治療法を迅速に評価できるとされる。NEJM誌2015年8月20日号掲載の報告より。大腸がん、NSCLC、脳腫瘍などへの効果を第II相basket試験で評価 研究グループは、悪性黒色腫以外のBRAF V600変異陽性がんに対するベムラフェニブの有用性を評価する第II相試験を行った(F. Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。 対象は、ECOG PSが0~2のBRAF V600変異陽性がん患者とし、悪性黒色腫のほか、全般に変異陽性率が高く疾患特異的な試験が可能と考えられる甲状腺乳頭がんや有毛細胞白血病は除外した。 被験者は、ベムラフェニブ960mgを1日2回経口投与された。大腸がんのうち、ベムラフェニブ単剤では効果が不十分と予測される患者には、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬セツキシマブを併用投与した。 主要評価項目は8週時の奏効率とし、副次評価項目には無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などが含まれた。 2012年4月11日~2014年6月10日までに、欧米の23施設に122例が登録された。内訳は、症例数が多い順に、大腸がんが37例(単剤:10例、併用:27例)、非小細胞肺がん(NSCLC)が20例、エルドハイム・チェスター病(ECD)/ランゲルハンス細胞性組織球症(LCH)が18例、原発性脳腫瘍が13例、胆管がんが8例、甲状腺未分化がんが7例、多発性骨髄腫が5例などであった。NSCLC、ECD/LCHで40%以上の奏効率、希少ながん腫にも奏効 NSCLCの評価可能19例のうち8例で部分奏効(PR)、8例で安定(SD)が得られ、8週時の奏効率は42%(95%信頼区間[CI]:20~67)であった。また、PFS中央値は7.3ヵ月(95%CI:3.5~10.8)、1年PFSは23%であった。OS中央値には未到達であったが、初期データに基づく1年OSは66%だった。 ECD/LCHの評価可能14例では、完全奏効(CR)が1例で達成され、PRが5例、SDが8例で、奏効率は43%であった。12例に病変の退縮が認められ、いずれの症例でも疾患関連症状が改善した。治療期間中央値は5.9ヵ月(範囲:0.6~18.6)で、治療中に病勢が進行した症例はなかった。また、PFS中央値には未到達で、初期データによる1年PFSは91%(95%CI:51~99)、1年OSは100%だった。 大腸がんのベムラフェニブ単剤の10例では奏効例はなく、PFS中央値は4.5ヵ月(95%CI:1.0~5.5)、OS中央値は9.3ヵ月(95%CI:5.6~未到達)であった。ベムラフェニブ+セツキシマブ併用の評価可能26例ではPRが1例で得られ、SDが18例であり、奏効率は4%(95%CI:<1~20)だった。PFS中央値は3.7ヵ月(95%CI:1.8~5.1)、OS中央値は7.1ヵ月(4.4~未到達)であった。 甲状腺未分化がんの7例中、CRが1例、PRが1例で得られた。また、未分化型の多形黄色星状細胞腫の4例中3例でPRが得られたほか、胆管がん、唾液腺導管がん、軟部組織肉腫、卵巣がんで1例ずつ奏効例が認められた。甲状腺未分化がん、胆管がん、卵巣がんの各1例は奏効期間が1年以上持続した。さらに、膠芽腫、未分化型上衣腫、膵がんなどで奏効基準を満たさない腫瘍の退縮がみられたが、解析の時点で多発性骨髄腫には奏効例は確認されなかった。 ベムラフェニブ単剤の安全性は、悪性黒色腫の既報のデータと類似していたが、症例数が少ないため比較はできない。最も高頻度に発現した有害事象は、皮疹(68%)、疲労(56%)、関節痛(40%)だった。 著者は、「BRAF V600変異は、すべてではないがいくつかのがん腫で治療標的となるがん遺伝子であることが示された」とし、「組織型にかかわらず、バイオマーカーに基づいて患者を選択するbasket試験は実行可能であり、がんの分子標的治療の開発ツールとして役立つ可能性があるが、多くの場合、同定された有望な抗腫瘍活性を確証するためにさらなる試験を要すると考えられる」と指摘している。

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再生不良性貧血、遺伝子解析による予後予測は可能か/NEJM

 再生不良性貧血における体細胞変異と臨床転帰の関連やクローン性造血の発現状況の詳細が、京都大学大学院の吉里哲一氏らによる次世代シーケンサーを用いた検討で示された。後天性再生不良性貧血は、造血細胞や造血前駆細胞が免疫系によって破壊されることで発症し、汎血球減少を来す。造血幹細胞移植により治癒の可能性があり、免疫抑制療法が有効であるが、生存期間の改善に伴い患者の約15%が遅発性の骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)を発症するという。NEJM誌2015年7月2日号掲載の報告。日米の439例を、deep sequencingとSNPアレイで解析 研究グループは、再生不良性貧血患者において、次世代シーケンサーを用いてMDS、AMLあるいはこれら双方の発症に関与する遺伝子を解析し、変異細胞のクローン集団と臨床転帰の関連について検討した(厚生労働省科学研究費などの助成による)。また、造血細胞のクローン構造の経時的な変化の解析も行った。 対象は、日米の3施設に登録された再生不良性貧血患者439例(米国国立衛生研究所[NIH]:256例、クリーブランド・クリニック:24例、金沢大学:159例)。このうち82例からは経時的に血液サンプルが得られた。解析には、合計668の検体を用いた。 すべての血液サンプルで、ターゲット・シークエンス法を用いて、骨髄腫瘍で高頻度に変異が認められる106の候補遺伝子に関する解析を行った。染色体異常の検出には、一塩基多型(SNP)アレイ核型分析を用いた。また、52例の135の血液サンプルで、全エクソーム・シークエンス法を用いて、経時的なクローン性造血の解析を行った。4つの変異で全変異の77%、クローン性造血は47%に 156例(36%)で249の体細胞変異が検出され、56例(36%)には複数の変異が認められた。最も多くの患者で変異が検出された遺伝子はBCOR/BCORL1(患者の9.3%で検出)で、次いでPIGA(同7.5%)、DNMT3A(同8.4%)、ASXL1(6.2%)の順であり、これら4つで全変異陽性例の77%を占めた。全体の変異陽性率に日米間の差はなかった。 BCOR/BCORL1とPIGAは年齢と関連しなかったが、この2つ以外の変異の頻度および数は、加齢とともに増加した(いずれもp<0.001)。NIHコホートにおける診断時の変異アレルの頻度は、免疫抑制療法開始6ヵ月時に比べて低かった(p<0.001)。また、クローン性造血は患者の47%で同定された。 良好な予後と関連する遺伝子変異としてBCOR/BCORL1、PIGAが、予後不良な変異としてDNMT3A、ASXL1、TP53、RUNX1、JAK2、JAK3、CSMD1が同定された。 BCOR/BCORL1およびPIGAの変異を有する患者は、非変異の患者に比べ免疫抑制療法に対する反応が良好で、生存率や無増悪生存率が高かった。これに対し、DNMT3AやASXL1を含む遺伝子群の変異を有する患者は変異のない患者よりも予後が不良であった。 クローン構造の解析では、DNMT3AおよびASXL1の変異を有するクローンは、経時的にサイズが増大する傾向がみられたのに対し、BCOR/BCORL1およびPIGA変異クローンのサイズは縮小または安定する傾向を認めた。 しかしながら、クローンの動態はきわめて多様であり、必ずしも個々の患者の治療への反応や長期生存を予測することはできなかった。 著者は、「再生不良性貧血患者の多くにクローン性造血がみられる。遺伝子変異の多くは特定の遺伝子に偏っており、変異の一部は臨床転帰と関連するが、個々の患者の体細胞クローンの経時的なパターンは多様で多くは予測不能であった」とまとめている。 また、「特定の遺伝子への変異の高度な偏りは、骨髄不全の環境におけるダーウィン淘汰のエビデンスである」とし、「deep sequencingとSNPアレイ核型分析の双方を用いた綿密なクローン性造血のモニタリングを臨床評価と統合することで、再生不良性貧血患者の予後予測や治療ガイドが可能となるだろう」と指摘している。

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多発性骨髄腫治療薬「レナリドミド」、ワルファリンとの相互作用は

 多発性骨髄腫の治療において、レナリドミドは2次治療に位置付けられており、その効果の大きさから重要な役割を担っている。現在、初発の多発性骨髄腫に対して適応追加の申請中であり、その重要性はますます大きくなっていく可能性がある。 レナリドミドは重大な副作用として静脈血栓症があるため、予防目的でワルファリンが併用されていることも多い。ワルファリンは薬物相互作用が多い薬剤として有名であるが、米国・セルジーン社・Daniel Weiss氏らの調査の結果、レナリドミドとの併用は、薬物相互作用の観点において問題ないことが示唆された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2015年5月30日号にて掲載報告。 調査はプラセボ対照、無作為化二重盲検2期クロスオーバー試験にて行った。対象は18人の健康な男女で、レナリドミドを1日10mgまたはプラセボを9日間投与した。投与4日目に、両群に対して1日25mgのワルファリン単回経口投与を行った。採血を行い、両薬剤のINR・PT・AUC・Cmaxを測定した。 主な結果は以下のとおり。・レナリドミド、プラセボの両群間におけるAUCやCmaxの幾何平均値比は、ワルファリンの光学異性体(R体およびS体)について生物学的同等性の範囲内(80~125%)であった(90%信頼区間)。・ワルファリン投与後0時間~144時間のAUCINRとINRのピーク値は、レナリドミド群・プラセボ群ともに85~125%の範囲内であった(90%信頼区間)。・レナリドミドのAUCとCmaxはワルファリンの併用によって変化はなかった。

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多発性骨髄腫に新薬 ポマリドミドの位置付け

 多発性骨髄腫に、日本では5年ぶりとなる新薬が登場した。現在の標準的治療薬であるレナリドミドおよびボルテゾミブの治療歴がある再発または難治性多発性骨髄腫に適応がある免疫調節薬・ポマリドミド(商品名:ポマリスト)が発売となった。これを受けて、セルジーン株式会社は2015年5月25日、都内にて新製品記者発表会を開催した。 多発性骨髄腫は2006年以降、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミドの登場により、寛解率が高まり、生存期間が延長した。しかし、上記薬剤によって治療しても再発する例も多く、他の治療薬の効果が低いため、新たな治療薬が求められていた。 ポマリドミドはレナリドミド同様の免疫調節薬の1つであるが、レナリドミドに効果不十分の患者に対して効果が示されている。本薬剤は現在「3次治療」の位置付けであり、既存薬であるレナリドミド、ボルテゾミブに効果不十分な際の選択肢とすることができる。第III相試験では、レナリドミドを使用しても効果が得られなかった患者の無増悪生存期間を延長することが示されている。安全性の面では、既存薬で問題となっていた眠気・消化器症状の軽減も認められているが、本薬剤には血液毒性や催奇形性があるため、血液内科専門医の厳重な管理の下で慎重に使用していくことが求められる。 多発性骨髄腫治療は、レナリドミドの未治療例への適応拡大をはじめ、カルフィルゾミブ、イグザゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブが開発後期にあり、治療が大きく進歩する領域として注目が集まりつつある。安全性を考慮しつつ、多くの選択肢の中から患者さんにとって最適な治療法を選択できる時代がまもなくやって来るかもしれない。

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多発性骨髄腫~より正確に診断するために

 磁気共鳴画像(MRI)は、多発性骨髄腫(MM)における限局性骨髄病変(FSD)検出において最も感度の高い検査である。しかし、脊柱全体のMRI(WS-MRI)をMM診断におけるスクリーニングテストとして使用すべきかどうかは、明らかになっていない。オーストラリア・ジェームズクック大学のJoel Wight氏らは、MM診断におけるMS-MRIの有用性を明らかにするために調査を行った。その結果、くすぶり型骨髄腫を持つ患者には有用である可能性が示唆された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 2008年1月~2013年1月にThe Townsville Hospitalで収集したデータをレトロスペクティブに解析した。同施設において、WS-MRIは新規MMの診断目的で日常的に使用されている。FSDの臨床的予測因子を定め、ガイドラインによるWS-MRIの適応に該当する患者とそうでない患者の調査結果を比較した。 主な調査結果は以下のとおり。・71症例が本分析の対象となった。・WS-MRIの適応に該当する患者は44例(62%)であった。・FSDの最も強力な予測因子は、背部痛(p<0.001)と脊椎圧迫骨折(p=0.003)であった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応患者群]・該当患者44例のうち、33例(75%)がFSDを有していた。・このうち17例は早急な処置が必要であり、13例に形質細胞腫があった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応でない患者群]・該当患者27例のうち4例(15%)にFSDが見つかったが、いずれも早急な治療介入は必要なく、形質細胞腫も見られなかった。・8例のくすぶり型骨髄腫の患者のうち、3例がWS-MRI検査により症候性骨髄腫に再分類された。 ガイドラインでWS-MRI検査の適応とされていない患者では、WS-MRIにより治療が早急に必要な脊髄疾患を発見できなかった。しかし、WS-MRIは、くすぶり型骨髄腫の患者において、単純撮影で病巣がみられない場合には有益であり、治療につながる可能性が示唆された。

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