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1.

BCMA標的治療後の再発・難治性多発性骨髄腫、CAR-T vs.遺伝子改変抗体

 B細胞成熟抗原(BCMA)標的治療後の再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)に対するサルベージ治療として、CAR-T細胞療法と遺伝子改変抗体療法の有効性および安全性を比較したメタ解析の結果を、中国・Huazhong University of Science and TechnologyのYun Kang氏らが報告した。解析の結果、CAR-T細胞療法は抗体ベースのアプローチと比較して有意に高い全奏効率(ORR)を示し、とくにGPRC5D標的CAR-Tが有望であることが示唆された。Blood Cancer Journal誌オンライン版2026年7月14日号に掲載。 本研究は、BCMA標的治療後に再発したRRMM患者の後続治療の有効性を評価するため、2020~25年までに発表された34件の研究(1,280例)を対象に実施された系統的レビューおよびメタ解析である。 主な結果は以下のとおり。・統合されたORRは60%であった。・CAR-T細胞療法は、抗体ベースのアプローチと比較して有意に高いORRを達成(77%vs.52%、p<0.0001)し、完全奏効率は同程度であった。・安全性に関して、サイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発現率は同等であったが、Grade3以上の血球減少症はCAR-T細胞療法群でより頻繁に認められた。・標的抗原別に見ると、GPRC5D標的CAR-Tは、BCMA標的CAR-Tよりも高いORRを示した(86%vs.66%、p=0.0006)。・BCMA二重特異性抗体の曝露歴のある患者は、CAR-T曝露歴がある患者と比較して奏効率が有意に低かった(71%vs.86%、p=0.0404)。・中央値で10ヵ月以上の間隔を置いた研究では、10ヵ月未満の研究よりも有意に高い奏効率を示した(70%vs.50%、p=0.0146) 著者らは、「GPRC5D CAR-TはBCMA標的治療後の治療において、遺伝子操作された抗体よりも優れた有効性を示した。これらの結果は、早期のCAR-T使用を優先することを支持し、治療シークエンスを最適化するうえでの抗原選択の重要性を強調するもの」としている。

2.

高齢でフレイルの再発・難治性多発性骨髄腫患者、ダラツムマブ+イキサゾミブが許容可能

 高齢の再発・難治性多発性骨髄腫患者では、身体機能のばらつきや高い有害事象発現率および治療中止率により予後が悪化する。フランス・Poitiers University HospitalのArthur Bobin氏らは、高齢でフレイルの再発・難治性多発性骨髄腫患者に対してデキサメタゾンを含まないダラツムマブとイキサゾミブの併用療法(I-Dara)を評価したIntergroupe Francophone du Myelome(IFM)2018-02試験において、I-Daraが許容可能な安全性プロファイルを示したことを報告した。また、対象集団を考慮すると奏効率および生存率は許容範囲内であったという。British Journal of Haematology誌2026年7月号に掲載。 本試験は前向き第II相試験で14のIFM加盟施設で実施された。対象は65歳以上、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)のフレイルスコアが2以上かつECOG PS 0~2の初回または2回目の再発患者で、ダラツムマブ16mg/kg、イキサゾミブ4mg(28日サイクルで1、8、15日目に週1回投与)、メチルプレドニゾロンを投与した。主要評価項目はVGPR(very good partial response)以上の奏効率。 主な結果は以下のとおり。・登録された55例の年齢中央値は82歳であり、90%が75歳以上であった。・VGPR以上の奏効率は32%であった。・追跡期間中央値は35.3ヵ月で、無増悪生存期間中央値は19.5ヵ月であった。全生存期間中央値は未到達であったが、33.6ヵ月時点での生存率は75%であった。・Grade3以上の有害事象は36例(67%)に認められ、うち18例が血球減少症、8例が感染症(うち6例は肺炎)であった。

3.

移植適応のある未治療多発性骨髄腫へのテクリスタマブベースの導入療法~第II相試験(MajesTEC-5)

 移植適応のある未治療多発性骨髄腫(NDMM)に対する、BCMA/CD3二重特異性抗体テクリスタマブベースの導入療法の安全性と有効性を検討した第II相GMMG-HD10/DSMM-XX(MajesTEC-5)試験の結果、移植適応のあるNDMMに対して、テクリスタマブベースの導入療法レジメンが、構成する各薬剤と比較して一貫した安全性プロファイルと顕著な早期微小残存病変(MRD)陰性率を示した。ドイツ・Heidelberg University HospitalのMarc S. Raab氏らがNature Medicine誌オンライン版2026年6月25日号に報告した。 本試験は、移植適応のあるNDMMを対象とした第II相試験で、事前規定された3つのコホートのプール解析に49例が組み入れられ、テクリスタマブ+ダラツムマブ+レナリドミド(Tec-DR、arm AおよびA1)、またはTec-DRにボルテゾミブを併用したTec-DVR(arm B)の投与を受けた。主要評価項目は有害事象および重篤な有害事象の発現頻度と重症度、副次評価項目は全奏効率(ORR)、MRD陰性率、MRD陰性完全寛解(CR)率など。今回の解析は維持療法前時点までの導入療法および自家幹細胞移植フェーズであった。 主な結果は以下のとおり。・Grade3/4のTEAE(治療中に発現した有害事象)は91.8%にみられ、その多くは血液毒性(リンパ球減少59.2%、好中球減少59.2%、白血球減少18.4%)であった。Grade5のTEAEは報告されなかった。・重篤な有害事象は55.1%にみられ、発熱(12.2%)が最も多かった。感染症は全Gradeで81.6%、Grade3/4は36.7%で、最も頻度の高いGrade3/4の感染症はCOVID-19と肺炎(いずれも6.1%)であった。サイトカイン放出症候群は67.3%にみられたが、すべてGrade1または2で自然軽快し、治療中止には至った例はなかった。治療関連のICANS(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群)は認められなかった。・維持療法前時点におけるMRD陰性CR率は91.8%であった。・MRD陰性率は、寛解導入後サイクル3時点(10-5:46/46例)、サイクル6時点(10-5:46/46例、10-6:46/46例)、維持療法前時点(10-5:40/40例)のいずれも100%であった。・ORRは100%であった。・総採取幹細胞数の中央値は8.1×106/kgであった。 著者らは、「これらのデータは、移植適応のあるNDMMにおけるTec-D(V)R導入療法の実現可能性を支持するものであり、レジメンの各薬剤と比較して一貫した安全性プロファイルと顕著な早期MRD陰性率が示された」としている。

4.

既治療の再発・難治性多発性骨髄腫、mezigdomide追加が有効/Lancet

 主に抗CD38抗体薬やレナリドミドによる治療に抵抗性を示す多発性骨髄腫において、セレブロンE3リガーゼ調節薬であるmezigdomideとカルフィルゾミブ+デキサメタゾンの併用(MeziKd)は、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)と比較して無増悪生存期間(PFS)の有意な延長をもたらし、感染症を含むGrade3または4の有害事象の頻度が高いものの管理可能であることが、ギリシャ・アテネ大学のMeletios A. Dimopoulos氏らが実施した「SUCCESSOR-2試験」の中間解析で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年6月14日号に掲載された。26ヵ国の無作為化対照比較第III相試験 SUCCESSOR-2試験は、日本を含む26ヵ国160施設で実施した非盲検無作為化対照比較第III相試験(Bristol Myers Squibbの助成を受けた)。 2023年2月~2025年11月に、測定可能な多発性骨髄腫を有し、少なくとも1つの治療レジメン(抗CD38抗体薬およびレナリドミドを含む)による前治療歴があり、その治療で最小奏効(minimal response)以上を達成し、直近の治療中または治療後に病勢の進行が確認された成人患者を登録した。 被験者479例(年齢中央値68歳[四分位範囲[IQR]:61~75]、女性227例[47%]、アジア人147例[31%])を、MeziKdを受ける群(288例)またはKdのみを受ける群(191例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、PFSとし、独立審査委員会が評価した。PFSが2倍以上に、全奏効も良好 ベースラインで479例中120例(25%)が75歳以上で、診断後の経過期間中央値は4.5年(IQR:2.5~7.3)であった。411例(86%)が抗CD38抗体薬抵抗性、363例(76%)がレナリドミド抵抗性で、前治療ライン数中央値は2(IQR:2~4、範囲:1~9)であり、127例(27%)が前治療ライン数4以上であった。 追跡期間中央値10.6ヵ月の時点で、PFS中央値は、Kd群8.3ヵ月に対し、MeziKd群は18.0ヵ月と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.36~0.63、p<0.0001)。 また、完全奏効以上は、MeziKd群77例(27%)、Kd群17例(9%)(群間差:18%、95%CI:11~24)、非常によい部分奏効以上は、それぞれ173例(60%)および59例(31%)(群間差:29%、95%CI:20~37)であり、全奏効(部分奏効以上)は、231例(80%)および102例(53%)(群間差:27%、95%CI:18~35)で達成された。 今回の中間解析時において、死亡はMeziKd群の22%(62/288例)、Kd群の27%(51/191例)で報告された(HR:0.79、95%CI:0.54~1.15)。Grade3、4の好中球減少、感染症が多い Grade3または4の有害事象は、MeziKd群で241例(84%)、Kd群で105例(56%)に認められ、好中球減少(176例[61%]、17例[9%])および感染症(98例[34%]、29例[16%])の頻度が高かった。Grade3または4の好中球減少は、アジア(81%[71/88例])に比べ米国(44%[12/27例])および欧州(46%[50/109例])で頻度が低かった。これらの多くは、標準治療および支持療法で管理可能であった。 重篤な有害事象は、MeziKd群で188例(65%)、Kd群で63例(34%)に発現し、肺炎(44例[15%]、12例[6%])の頻度が高かった。また、Grade5の治療関連有害事象は、それぞれ8例(3%)および1例(1%)で報告された(群間差:2%、95%CI:-1~5)。死亡は、MeziKd群で62例(22%)、Kd群で51例(27%)に認められ、その主な原因は病勢の進行であった。 著者は、「経口mezigdomideと静注カルフィルゾミブ+経口または静注デキサメタゾンの併用療法は、地域医療を含む多様な医療現場で広く導入が可能な外来治療の選択肢となる」「これらの知見は、この3剤併用療法が再発・難治性多発性骨髄腫に対する強力で導入しやすい新たな標準治療となることを示すものである」としている。

5.

日本におけるがん薬剤費は10年で3倍に、総医療費最大は肺がん

 日本の全国レセプトデータベース(NDB)を用いて、2011~22年にがん診療を受けた約2,320万人を対象とした大規模解析が実施された。その結果、がん診療に伴う医療費は日本の経済成長率を大きく上回るペースで増加しており、とくに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を中心とする新規抗がん薬が医療費増加の主要因であることが明らかになった。京都大学の福山 啓太氏らによる研究はScientific Reports誌オンライン版2026年6月15日号に掲載された。 本後ろ向きコホート研究では、2011年4月~2022年3月に悪性腫瘍と診断された患者をがん種別に分類し、月ごとの保険請求額と適用薬剤を分析した。対象は悪性腫瘍患者約2,320万人(男性:約1,203万人、女性:約1,118万人)で、95%以上の電子レセプトを網羅する全国データを利用し、がん種別、年齢別、薬剤別に医療費を評価した。また、薬価改定を反映した独自のマスターデータを構築し、薬剤価格の経年変化も考慮した。 主な結果は以下のとおり。・患者数では乳がんが最多で、胃がん、大腸がん、肺がん、前立腺がんが続いた。・総医療費が最も高額だったのは肺がんだった。肺がんの患者数は減少傾向にあるにもかかわらず、診療費は解析期間を通じて増加を続け、2022年には全がん種で最大となった。一方、患者1人当たりの月額医療費では多発性骨髄腫が最も高く、2022年3月時点で約40万9,000円に達した。・研究期間中、がん患者の月当たり人数は612万人から544万人へ約68万人減少したにもかかわらず月額総請求額は5,590億円から7,100億円へ約1,510億円増加しており、1人当たり医療費の増加が認められた。・薬剤費の解析では、ICIの増加が際立った。肺がんではPD-1/PD-L1阻害薬が急速に普及し、分子標的薬やVEGF阻害薬とともに薬剤費増加の主因となっていた。乳がんではHER2標的薬やCDK4/6阻害薬、胃がんではPD-1/PD-L1阻害薬およびVEGF阻害薬、前立腺がんでは新規ホルモン療法薬の使用増加が確認された。・抗がん薬全体の薬剤費は、2011年の月347億円から2022年には1,090億円へと約3.1倍に増加した。なかでもICI関連薬剤は薬価改定により一部価格が引き下げられたものの、新規適応拡大や使用患者数の増加により、総薬剤費は増加を続けた。 同期間における日本の実質GDPは約8.5%の増加にとどまった。これに対し、がん診療費は約1.27倍、抗がん薬剤費は約3.1倍に増加しており、研究者らは「がん診療費の伸びは経済成長を大きく上回っている」と指摘する。一方で研究者らは、「本研究は高額薬剤の使用抑制を提案するものではない。ICIや分子標的薬は臨床試験で有効性が示され、患者予後の改善に大きく寄与している。しかし、公的保険制度の持続可能性を考えると、個々の薬剤の増分費用効果比(ICER)のみでは十分とは言えず、国家経済や医療財政全体を踏まえた新たな評価指標の構築が必要だ」としている。さらに、がん検診による早期発見やワクチンによる予防は、高額な薬物療法を回避できる可能性があり、医療経済の観点からも重要な介入となる可能性が示唆された。

6.

再発・難治性多発性骨髄腫、トアルクエタマブ+ダラツムマブ±ポマリドミドでPFS延長/NEJM

 トアルクエタマブは、骨髄腫細胞表面に発現するGタンパク質共役型受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)と、T細胞上に発現するCD3受容体を標的とする二重特異性抗体。本薬は、正常B細胞への作用は限定的であり、管理可能な感染症プロファイルを示すため併用療法への組み込みが可能とされる。イタリア・トリノ大学のRoberto Mina氏らMonumenTAL-3 Investigatorsは「MonumenTAL-3試験」において、既治療の再発・難治性多発性骨髄腫患者では、トアルクエタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミド(Tal-DP)およびトアルクエタマブ+ダラツムマブ(Tal-D)はダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(DPd)による標準治療と比較して、2年の時点での無増悪生存率が有意に優れ、全生存率も良好であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年6月13日号に掲載された。18の国と地域の無作為化第III相試験 MonumenTAL-3試験は、日本を含む18の国と地域の182施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(Johnson & Johnsonの助成を受けた)。2022年11月~2025年3月に、年齢18歳以上、再発・難治性多発性骨髄腫を呈し、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害薬を含む1ライン以上の治療歴のある参加者を登録した。 被験者864例(年齢中央値64歳[範囲:30~88]、男性496例[57.4%])を、Tal-DP(287例)、Tal-D(287例)、DPd(290例)の投与を受ける群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無増悪生存期間(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡の発生までの期間)とし、独立審査委員会が評価した。全奏効、残存病変陰性完全奏効も良好 全体(864例)の診断からの経過期間中央値は3.8年(範囲:0.3~22.0)、前治療ライン数中央値は2(範囲:1~8)であった。833例(Tal-DP群276例、Tal-D群274例、DPd群283例)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。今回の中間解析時の追跡期間中央値は24.6ヵ月(範囲:0.03~35.4)だった。 24ヵ月時の無増悪生存率の推定値は、Tal-DP群が81.3%、Tal-D群が77.6%、DPd群は51.2%であった。病勢進行または全死因死亡のハザード比(HR)は、DPd群に対するTal-DP群で0.28(95%信頼区間[CI]:0.20~0.40、p<0.001)、DPd群に対するTal-D群で0.33(0.24~0.46、p<0.001)であり、いずれも有意差を認めた。 また、全奏効(部分奏効以上)(Tal-DP群88.2%およびTal-D群88.5%vs.DPd群77.6%、両比較ともp<0.001)、完全奏効以上(71.1%および69.0%vs.34.5%、両比較ともp<0.001)、測定可能な残存病変が陰性の完全奏効(52.3%および46.3%vs.15.9%、両比較ともp<0.001)の割合は、いずれも有意差がみられた。 一方、24ヵ月全生存率の推定値は、Tal-DP群が89.2%、Tal-D群が87.9%、DPd群は79.1%であり、全死因死亡のHRは、DPd群に対するTal-DP群で0.47(95%CI:0.30~0.73、p=0.0006)、DPd群に対するTal-D群で0.51(0.33~0.78、p=0.0015)とトアルクエタマブを含むレジメンで良好であったが、いずれも事前に規定された中間解析の有意水準(p=0.0001)を満たさなかった。Grade3、4の好中球減少が高頻度に 最も頻度の高いGrade3または4の有害事象は好中球減少(Tal-DP群76.4%、Tal-D群29.2%、DPd群86.2%)であった。重篤な有害事象は、Tal-DP群で63.0%、Tal-D群で52.6%、DPd群で53.7%に、致死的な有害事象はそれぞれ1.8%(5例)、4.0%(11例)、4.6%(13例)に発生した。 サイトカイン放出症候群はTal-DP群で67.8%(Grade1が55.8%、Grade2が11.2%)、Tal-D群で58.4%(同48.9%、8.8%)に発生した。イベントのほとんどが一過性(発症期間中央値2日[範囲:1~57])で、1例(Tal-D群)を除き消退した。本症により4例(Tal-DP群1例、Tal-D群3例)でトアルクエタマブの投与中止に至り、2例(いずれもTal-D群)で全試験薬が投与中止となった。 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群はTal-DP群で2.9%、Tal-D群で1.8%に発生した。Tal-DP群の3例がGrade3で、イベントはすべて消退した。 感染症は、Tal-DP群で87.3%、Tal-D群で84.3%、DPd群で83.0%に発生した。Grade3または4の感染症の発生率はそれぞれ37.7%、29.2%、42.4%であり、最も頻度が高かったのは肺炎(13.8%、9.5%、19.1%)であった。致死的感染症は0.7%(2例)、1.5%(4例)、1.8%(5例)に認めた。早期ラインの新たな選択肢 著者は、「Tal-DPおよびTal-Dはいずれも、再発または難治性多発性骨髄腫の早期ラインの治療における新たな選択肢となる」としている。 また、「本試験はTal-DPとTal-Dの比較を目的としたものではなかったが、トアルクエタマブ+ダラツムマブ療法にポマリドミドを追加することで、無増悪生存期間、奏効持続期間、全生存期間の改善を認めた一方で、血液毒性や重症感染症のリスクが増加した。Tal-DPとTal-Dのいずれを選択するかは、個々の患者の特性や治療目標を考慮して決定すべきである」と指摘している。

7.

多発性骨髄腫治療薬イサツキシマブ、皮下注射製剤の承認取得/サノフィ

 サノフィは2026年6月19日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)について、皮下注射製剤の製造販売承認を取得した。この承認は、多発性骨髄腫に対する、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法(Pd)、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法(Kd)、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(VRd)を対象としている。 今回の承認により、イサツキシマブは点滴静注製剤に加え、皮下注射製剤による提供が可能になる。皮下注射製剤では、市販のシリンジを用いた手動による皮下投与が可能になり、静脈内投与と比較して投与に要する時間の大幅な短縮が可能で、患者さんや医療従事者の負担を軽減することが期待される。また、皮下投与では静脈内投与より緩徐に吸収されるため、infusion reaction発現率の低下が臨床試験で示されている。なお、臨床試験では、開発中のEnable Injections社のハンズフリー自動インジェクターであるenFuse OBIを用いて皮下投与された。 今回の承認は、国際共同第III相試験であるIRAKLIA試験を含む5つの試験結果に基づいている。IRAKLIA試験では、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害薬を含む1次治療以上の前治療歴がある再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者を対象に、PdにイサツキシマブをOBIを用いて1,400mg皮下投与を併用する治療法と、10mg/kg静脈内投与を併用する治療法を比較した。結果は、奏効率(ORR)と定常状態における投与前血中薬物濃度(トラフ濃度)を複合主要評価項目として、静脈内投与に対する皮下投与の非劣性が示された。ORRは皮下投与群71.1%、静脈内投与群70.5%であり、安全性データは、これまで静脈内投与で確立されている安全性プロファイルと同様であった。また、OBIを用いた皮下投与の重大な安全上の問題は認められなかった。

8.

テクリスタマブとトアルクエタマブの併用、髄外性形質細胞腫を有する再発・難治性多発性骨髄腫に承認/J&J

 Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)は2026年6月19日、B細胞成熟抗原(BCMA)とCD3を標的とする二重特異性抗体であるテクリスタマブ(商品名:テクベイリ)とGタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)とCD3を標的とする二重特異性抗体のトアルクエタマブ(商品名:タービー)との併用療法について、髄外性形質細胞腫(EMD)を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の治療法として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。本併用療法の承認取得は日本が世界で初めてとなる。 今回の承認取得は、EMDを有し、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体製剤の治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、テクリスタマブとトアルクエタマブの併用療法の有効性と安全性を評価したRedirecTT-1試験第II相に基づく。本試験において、これら2剤の併用療法の全奏効率は79%で、54%が完全奏効以上を達成し、1年時点での無増悪生存率は61%であった。

9.

再発・難治性多発性骨髄腫、テクリスタマブ単剤でPFS延長(MajesTEC-9)/NEJM

 1~3ラインの治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療では、担当医選択のレジメンと比較してテクリスタマブは、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善し、その一方でGrade3または4の感染症の頻度が高いことが、フランス・ナント大学病院のCyrille Touzeau氏らが実施した「MajesTEC-9試験」で示された。テクリスタマブは、多発性骨髄腫細胞上に発現するB細胞成熟抗原(BCMA)とT細胞上に発現するCD3を標的とする二重特異性抗体である。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年5月29日号で報告された。24ヵ国の無作為化第III相試験 MajesTEC-9試験は、日本を含む24ヵ国162施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(Johnson & Johnsonの助成を受けた)。2023年4月~2025年4月に参加者を登録した。 対象は、抗CD38モノクローナル抗体およびレナリドミドを含む1~3ラインのレジメンによる治療歴があり、病勢が進行または直近のレジメンが奏効しなかった再発・難治性多発性骨髄腫の患者であった。 被験者を、テクリスタマブ(皮下投与)または担当医が選択したレジメン(ポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン[PVd]、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン[Kd]のいずれか)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。抗菌薬の予防投与と免疫グロブリン補充療法が推奨された。 主要評価項目はPFS(無作為化の日から病勢進行または死亡の日までの期間)とし、独立審査委員会が評価した。CR以上の達成率も有意に優れる 593例を登録し、テクリスタマブ群に296例、PVd/Kd群に297例を割り付けた。574例(テクリスタマブ群291例、PVd/Kd群283例)が実際に試験薬の投与を受け、PVd/Kd群のうち86例(30.4%)がPVd、197例(69.6%)はKdを受けた。 全体の年齢中央値は70歳(範囲:34~86)、173例(29.2%)が75歳以上で、290例(48.9%)が女性であった。前治療ライン数中央値は2(範囲:1~3)であり、128例(21.6%)が1ラインのみを受けていた。治療期間中央値は、テクリスタマブ群が13.1ヵ月、PVd/Kd群は7.0ヵ月だった。 追跡期間中央値17.3ヵ月の時点における推定18ヵ月PFS率は、PVd/Kd群が26.9%(95%信頼区間[CI]:21.1~33.0)であったのに対し、テクリスタマブ群は69.8%(95%CI:63.7~75.1)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.29、95%CI:0.23~0.38、p<0.001)。 完全奏効(CR)以上(65.9%vs.16.8%、リスク比:3.95、95%CI:3.03~5.14、p<0.001)の達成率はテクリスタマブ群で有意に高く、全奏効(部分奏効[PR]以上:84.5%vs.54.2%、リスク比:1.56[95%CI:1.39~1.75])の達成率もテクリスタマブ群で高かった。 また、推定18ヵ月OS率についても、テクリスタマブ群で有意に良好だった(79.2%[95%CI:73.5~83.8]vs.68.6%[95%CI:62.4~74.0]、HR:0.60[95%CI:0.43~0.83]、p=0.002)。Grade3、4の有害事象の頻度が高い、厳密な感染予防策が重要 Grade3または4の有害事象は、テクリスタマブ群の84.9%、PVd/Kd群の76.3%に発生し、Grade5(死亡)の有害事象の発生率はそれぞれ6.5%および3.5%であった。 テクリスタマブ群では、サイトカイン放出症候群が66.0%に発生し、そのほとんどがGrade1(48.8%)または2(16.5%)で、Grade3は2例のみであり、Grade4または5は認めなかった。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は4.1%にみられ、Grade1が2.4%、Grade2が1.4%で、Grade3の1例はテクリスタマブの投与中止に至った。 Grade3または4の感染症は、テクリスタマブ群で頻度が高かった(41.6%vs.29.0%)。致死的感染症は、テクリスタマブ群で16例(5.5%)、PVd/Kd群で8例(2.8%)に発生した。 著者は、「PVd/Kd群の3分の2以上が、後治療として二重特異性抗体療法またはCAR-T細胞療法を開始したにもかかわらず、テクリスタマブ群はCRの確率がより高く、OSがより延長した」「重篤な感染症のリスクがあるため、感染症管理では厳密な感染予防策と免疫グロブリン補充療法が不可欠である」としている。 また、「これらの結果は、多発性骨髄腫の2次治療およびそれ以降の治療選択肢として、テクリスタマブを基盤とし、グルココルチコイドの使用を控えるレジメンを支持するものである」と指摘している。

10.

高リスク多発性骨髄腫、MRD陰性維持期間とPFSの関連

 多発性骨髄腫において微小残存病変(MRD)陰性は生存率の向上と関連しているが、高リスク多発性骨髄腫におけるMRD陰性の予後的価値については明らかになっていない。今回、中国・The First Affiliated Hospital of Sun Yat-sen UniversityのHuan Liu氏らは移植適応の初発多発性骨髄腫を対象にした単施設の後ろ向き研究を実施し、個別治療の指針となる最短のMRD陰性維持期間を検討した。その結果、MRD陰性を2年維持した高リスク患者は標準リスク患者と同様の無増悪生存期間(PFS)を示し、さらに4年の維持によりPFSが改善されることが示唆された。Cancers(Basel)誌2026年5月12日号に掲載。 本研究は、同院において初期治療後に連続して2回以上MRD陰性を達成した移植適応の初発多発性骨髄腫223例を対象とし、リスク別にMRD陰性維持の生存への影響を解析した。 主な結果は以下のとおり。・MRD陰性期間が2年以上の高リスク群と標準リスク群の間で、PFSに差は認められなかった(70.77ヵ月vs.67.38ヵ月、p=0.529)。・標準リスク群では、MRD陰性を2~3年維持した患者と3年以上維持した患者との間で、PFSに差は認められなかった(72.25ヵ月vs.107.50ヵ月、p=0.103)。・高リスク群では、4~5年維持した患者と5年以上維持した患者の間に差は認められなかった(未到達vs.84.53ヵ月、p=0.136)。・患者全体で、2年以上の維持期間は全生存期間の延長と関連していた。 著者らは、「長期的なMRD陰性の維持は良好な予後と関連している。2年以上のMRD陰性の維持は高リスク細胞遺伝学的異常の悪影響を軽減し、また、限定的な症例に基づく探索的解析ではあるが、高リスク多発性骨髄腫患者において4年以上の維持がPFS延長と関連する可能性が示された」としている。

12.

シンポジウム座長インタビュー:名古屋市立大学 飯田 真介 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

名古屋市立大学 飯田 真介 氏:シンポジウム座長インタビュー(インタビュアー:獨協医科大学埼玉医療センター 田村 秀人 氏)出演名古屋市立大学医薬学総合研究院 生体総合医療学講座 血液・腫瘍内科学分野飯田 真介 氏

13.

シンポジウム座長インタビュー:日本赤十字社医療センター 塚田 信弘 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

日本赤十字社医療センター 塚田 信弘 氏:シンポジウム座長インタビュー(インタビュアー:獨協医科大学埼玉医療センター 田村 秀人 氏)出演日本赤十字社医療センター塚田 信弘 氏

19.

現地特別インタビュー 中堅・若手メンバーインタビュー:北里大学 堀米 佑一 氏、藤田医科大学 服部 裕次 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

北里大学 堀米 佑一 氏、藤田医科大学 服部 裕次 氏現地特別インタビュー 中堅・若手メンバーインタビュー出演北里大学 堀米 佑一 氏藤田医科大学 服部 裕次 氏

20.

「多発性骨髄腫の診療指針 2026 Update」(日本骨髄腫学会/ケアネット共催プログラム)【アーカイブ配信】

日本骨髄腫学会 理事 尾崎 修治氏日本骨髄腫学会編「多発性骨髄腫の診療指針 第6版」作成委員長 尾崎 修治氏より最新の臨床試験結果や治療アルゴリズムの変更点をご解説いただきます。※本企画は、日本骨髄腫学会/ケアネット共催Web講演会のアーカイブ配信です。

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