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第3世代ALK阻害薬lorlatnib、ALK陽性肺がんに国内申請

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久)は2018年1月30日、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で、lorlatnibの国内における製造販売承認を申請した。 lorlatnibは、ALK阻害薬の耐性変異を解明することにより創製した第3世代のALK阻害薬であり、耐性変異がみられる変異型ALKにも効果が期待される。 米国においてlorlatnibは、2017年4月に、1剤以上のALK阻害薬による前治療歴を有するALK陽性転移性NSCLC治療におけるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■関連記事ALK/ROS1肺がんにおけるlorlatinibの国際第I相試験の結果/Lancet Oncol次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

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オシメルチニブによるEGFR変異肺がん1次治療、厚労省が優先審査

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年2月5日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、厚生労働省より優先審査品目に指定されたと発表。 オシメルチニブは、本邦において2016月3月に「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の適応で承認された。その後、2017年11月に「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、T790M変異の有無に関わらず、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療への適応拡大に向けた製造販売承認事項一部変更承認を申請していた。 当指定は、治療歴のない局所進行あるいは転移を有するEGFR変異陽性NSCLCの1次治療においてオシメルチニブの有効性と安全性を検討した、第III相FLAURA試験の結果に基づいている。同試験において、オシメルチニブ投与群は、現在の標準1次治療であるEGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長した(18.9ヵ月対10.2ヵ月)。また、これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められた。さらにオシメルチニブ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値(17.2ヵ月対8.5ヵ月)を示し、優れた客観的奏効率と共に、過去の安全性プロファイルと一貫した良好な忍容性を示した。■参考FLAURA試験(Clinical Trials.gov)FLAURA試験(New England Journal of Medicine)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカEGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ vs.標準治療/NEJM

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抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、肺がんに国内承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク点滴静注1200mg)に関し2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アテゾリズマブは米国を含む50ヵ国以上で、化学療法治療歴がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対する承認を取得している。国内では、NSCLCを対象とした7つの臨床試験を実施し、テセントリク単剤または他の薬剤との併用による評価を行っている。また、非小細胞肺がんに加え、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第III相臨床試験を実施している。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ニボルマブ1回240mgの固定用量を国内申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年12月22日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、単剤投与の用法・用量に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の申請は、すでに承認取得している効能・効果「根治切除不能な悪性黒色腫」、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」および「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」において、1回3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量から、1回240 mgを2週間間隔で点滴静注する用法・用量への変更を目的としたもの。 その他ニボルマブに関して、悪性黒色腫術後補助療法の適応拡大、切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫に対する効能・効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を,同日申請している。

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オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は2017年11月27日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)に関し、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、本邦における製造販売承認事項一部変更承認を申請したと発表。 本申請は、第III相FLAURA試験の結果に基づき行われた。FLAURA試験は、治療歴のない局所進行あるいは転移性EGFR変異非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として実施され、オシメルチニブ投与群は、現在の標準1次治療であるEGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、無増悪生存期間中央値の延長を示した(18.9ヵ月対10.2ヵ月、HR:0.46、p<0.001)。 これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められた。全生存期間(OS)中央値は、イベント発現割合25%の初期データにおいて、臨床的に意義のある改善を示した。オシメルチニブ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値を示し、優れた客観的奏効率を示した。また、良好な忍容性を示し、その安全性プロファイルは過去に得られているデータと一貫していた。 欧米と比べ、日本を含むアジアではEGFR変異が多く、NSCLC全体の約30~40%にみられる。本邦におけるStageIVのEGFR変異NSCLCの5年生存率は、14%未満にとどまるが、将来的に本適応が承認されれば、より多くの患者がより長い奏効期間を1次治療から期待できようになる。 本邦におけるオシメルチニブの現在の適応は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースFLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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【JSMO2017見どころ】プレナリーセッション、免疫・細胞療法

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 はじめに、本学術集会会長の谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)より、未発表の結果が発表されるプレナリーセッション3題の紹介がなされた。プレナリーセッション日時:7月28日(金)15:30~17:00場所:Room1(ポートピアホール)※Room 10(神戸際会議場メインホール)にて中継(1)「切除不能大腸癌に対するmFOLFOX6/CapeOX+BmabとS-1/CPT-11+Bmabとの第3相試験:TRICOLORE試験」蒲生 真紀夫(大崎市民病院 腫瘍内科)(2)「全身化学療法治療歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第Ⅲ相試験の日本人部分集団解析」池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)(3)「PD-L1高発現の未治療非小細胞肺癌に対するペムブロリズマブの国際共同ランダム化第Ⅲ相試験(KEYNOTE-024)の日本人集団解析」里内 美弥子(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科) 続いて、「免疫・細胞療法」分野の最新動向・注目演題について前田 嘉信氏(岡山大学病院 血液・腫瘍内科 講師)が登壇した。以下、前田氏のコメントと注目演題を紹介する。【前田 嘉信氏コメント】 免疫・細胞療法は、手術療法、放射線療法、化学(薬物)療法に続く第4の治療法として近年大きな注目を集めている。とくに免疫チェックポイント阻害薬は、2014年に進行悪性黒色腫に対して抗PD-1抗体が国内承認を得て臨床応用されて以来、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、大腸がんなどに次々に応用されている。 最も広く用いられている肺がんに関しては、インターナショナルシンポジウムをはじめ、免疫療法に関する一般口演の大半を占めるほど多くの発表が予定されている。免疫チェックポイント阻害薬に関する最新情報は教育講演で、また、免疫チェックポイント療法を最適化するための大きなテーマとして、副作用の対策がシンポジウムで取り上げられている。ここでは、各分野からの副作用対策が提案され、議論される。さらに、最適化のために効果を予測するバイオマーカーの研究や免疫チェックポイントの基礎的研究がインターナショナルシンポジウムで討論される予定となっている。 免疫チェックポイント療法を超えて免疫・細胞療法の今後の展開を考えるうえで、「免疫制御とがん治療」と題した特別講演と、インターナショナルシンポジウム「Cancer Immunotherapy -What's the next?」が予定されている。【注目演題】シンポジウム「免疫チェックポイント阻害薬の副作用とその対策」日時:7月27日(木)9:00~11:00場所:Room1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)International Symposium「Immunotherapy for head and neck cancer: Future direction」日時:7月27日(木)14:30~16:30場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「Emerging evidence of immunocheckpoint inhibitors in non-small cell lung cancer」日時:7月28日(金)8:20~10:20場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「The future of immune checkpoint therapy」日時:7月28日(金)17:00~19:00場所:Room 2(神戸国際展示場2号館1F コンベンションホール南)「Cancer Immunotherapy -What's the next?」日時:7月29日(土)8:20~10:30場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)一般口演「免疫療法 1」日時:7月28日(金)8:20~9:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 2(非小細胞肺がん)」日時:7月28日(金)9:20~10:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「免疫療法 3(有害事象)」日時:7月28日(金)10:20~11:20 場所:Room 11(神戸国際会議場3F 国際会議室)「呼吸器 4(免疫療法)」日時:7月29日(土)8:20~9:20場所:Room 5(神戸国際展示場1 号館2F Hall B)教育講演「免疫チェックポイント阻害剤最新情報」日時:7月29日(土)16:30~17:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)特別講演「免疫制御とがん治療」日時:7月29日(土)15:00~16:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館1F ポートピアホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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肺がんEGFRリキッドバイオプシー保険収載

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、2016年12月26日に一部変更承認(適応追加)を取得したコバスEGFR 変異検出キットv2.0のEGFR T790M血漿検査が、6月28日の中医協総会で審議され、7月1日付保険適用が承認されたと発表。 コバスEGFR変異検出キットv2.0は、ゲノムDNA中のEGFR遺伝子変異を定性的に検出するキット。非小細胞肺がん治療において、EGFR-TKI投与前の初回検査に使用するとともに、EGFR-TKI耐性患者のEGFR T790M変異の検出の際、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)のコンパニオン診断薬として使用する。当キットは、組織検体ですでに保険適用されているが、今回、EGFR遺伝子検査(血漿)として、新たに血漿検査が保険適用された。保険収載の内容・区分:E3(改良項目)・測定項目:EGFR 遺伝子検査(血漿)・測定方法:アレル特異的リアルタイムPCR法・主な測定目的:癌組織又は血漿から抽出したゲノムDNA中のEGFR遺伝子変異(T790M)の検出(オシメルチニブメシル酸塩の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる)・保険点数:2,100点留意事項:1.本検査は、肺癌の再発や増悪により、EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異が疑われ、再度治療法を選択する必要があり、血漿を用いてリアルタイムPCR 法で測定した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。ただし、本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」EGFR 遺伝子検査(リアルタイムPCR法)又は「ロ」EGFR遺伝子検査(リアルタイムPCR法以外)を行うことが困難な場合に限る。本検査の実施にあたっては、関連学会が定める実施指針を遵守すること。2.本検査を実施した場合には、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。3.本検査、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006-2」造血器腫瘍遺伝子検査又は区分番号「D006-6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。承認・保険適用を受けている検体種と検査・組織:EGFR-TKI投与前の初回検査、EGFR T790M変異検査(オシメルチニブメシル酸塩)・血漿:EGFR T790M変異検査(オシメルチニブメシル酸塩)■参考ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社プレスリリース中央社会保険医療協議会 総会(第354回)

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クリゾチニブ、ROS1陽性非小細胞肺がんに適応取得

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:梅田一郎)は、2017年5月18日(木)、メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:レオ・リー)とコ・プロモーションを行っている抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)が、新たな適応症として「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の追加承認を取得したと発表。 承認事項一部変更申請は、2016年8月31日に行っていた。本疾患に対してクリゾチニブは、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されている。ファイザー株式会社のプレスリリース

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第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ、EGFR-TKI抵抗性の非小細胞肺がんに承認

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ)は、2016年3月2日、「EGFR-TKI抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」を効果・効能としたオシメルチニブメシル酸塩(商品名:タグリッソ40mgおよび80mg錠)の国内における製造販売承認を取得したと発表。 オシメルチニブは、1日1回投与の新規経口分子標的治療薬。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有し、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRチロシンキナーゼを不可逆的に阻害する。また、野生型EGFRチロシンキナーゼに対する阻害作用が少ない。 本邦におけるオシメルチニブの承認は、EGFR-TKIによる治療中あるいは治療後に病勢が進行しEGFR T790M変異陽性と診断されたNSCLC患者における有効性を示した第II相試験 (AURA延長試験およびAURA2試験)のデータに基づいている。この試験における、客観的奏効率(ORR)はAURA延長試験(199例)で61.3%(95%CI:54.2~68.1%)、AURA2試験(199例)では70.9% (95%CI:64.0~77.1%)であった(2015年5月1日時点のデータに基づく)。 2つの第II相試験の併合成績における治験担当医評価による代表的な副作用は、発疹・ざ瘡等(37.7%)、下痢(36.5.%)、皮膚乾燥・湿疹等(28.5%)、爪の障害(爪周炎を含む)(23.4%)等であった。日本人患者80例における間質性肺疾患(ILD)のすべてのグレードにおける発現率は、6.3%であった(2015年5月1日時点のデータに基づく)。 EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに有効な既存のEGFR-TKIは、多くの場合、治療開始から1~1年半ほどで薬剤耐性が生じ、病勢が進行する。病勢進行したEGFR-TKI薬剤耐性患者の60%はT790M遺伝子変異を有しているが、T790M遺伝子変異に特化して開発された薬剤はなかった。そのため、本邦においても、2015年8月の製造販売承認申請後、優先審査品目の指定を経て、およそ7ヵ月で製造販売承認を取得した。アストラゼネカ株式会社のプレスリリースはこちら。

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がん免疫療法薬・安全性は「多職種連携」がカギ

 2016年2月17日、都内にて「がん免疫療法で変わる肺がん治療」をテーマにプレスセミナーが開催された(主催:小野薬品工業株式会社/ブリストル・マイヤーズ株式会社)。脚光を浴びているがん免疫療法、安全性は? ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は2014年9月に発売された、世界初の抗PD-1モノクローナル抗体で、がん免疫療法薬と呼ばれている。がん免疫療法は従来の化学療法や手術、放射線療法とはまったく異なる新たな治療法で、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を持つ。本邦において、ニボルマブは「根治切除不能な悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の2つの疾患に適応がある。免疫系に作用するという新しいアプローチと、治験時における有害事象、とくに骨髄抑制の少なさからがん治療において大きな期待を寄せられている。 しかし、使用経験の蓄積からこれまでの薬剤では経験のない免疫関連有害事象が報告されている。注意すべき、免疫関連有害事象とは? がん免疫療法薬は全身の臓器にも働きかけるといわれており、過度の免疫反応により免疫関連有害事象が複数の臓器で報告されている。演者の中西 洋一氏(九州大学大学院 呼吸器内科学分野 教授)は、とくに注意すべき副作用として間質性肺炎、重症筋無力症、劇症1型糖尿病、甲状腺機能障害の4つを挙げた。 とくに劇症1型糖尿病は、インスリンを産生する膵島細胞の急速な破壊により急激に高血糖を来す。また、時には致死的であり、たとえ回復してもインスリン産生の枯渇により、血糖コントロール困難となり、社会生活に高度の支障を来す重大な疾患である。ニボルマブの臨床試験において、劇症1型糖尿病は報告されていなかったが、使用経験の蓄積により報告が上がってきた。2016年1月に日本腫瘍学会と日本糖尿病学会より、連名でステートメントが出たことは記憶に新しい1)。副作用に立ち向かうには? 九州大学病院の事例 上記の重症筋無力症、劇症1型糖尿病、甲状腺機能障害などの副作用は必ずしもオプジーボを使用している医師の専門であるとはいえない。このような副作用に、どのように対応していけばよいのだろうか? 対応策の一例として、中西氏は九州大学病院の「免疫チェックポイント阻害薬適正使用委員会」を挙げた。同委員会では、副作用対策において、呼吸器内科・腫瘍内科・皮膚科など免疫療法実施診療科を、他の専門科や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなどがサポートする、診療科・職域横断的なチェック体制づくりに取り組んでいる。専門外の医師をはじめとし、看護師・薬剤師などコメディカルとの連携によって、副作用の早期発見や適切な管理、細やかな対応が可能になるという。 ニボルマブは安全性の面以外にも、コストとの兼ね合い、バイオマーカーの探索、他剤との併用などさまざまな点に課題があるものの、これまで治療の選択肢に難渋していた患者にとって希望の光となりうる薬剤である。しかし、2016年2月より包括医療費支払い制度(DPC)の対象外となったため、今後さらなる使用患者数の増加が予想され、これに伴い予期せぬ副作用が生じる可能性も否定できない。治療医師のみならず、多職種が連携することで患者にとって最適な医療を行うことが望まれる。【参考】1)免疫チェックポイント阻害薬に関連した劇症 1 型糖尿病の発症について(PDFがダウンロードされます)

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AZD9291、本邦でEGFR-TKI耐性NSCLCの優先審査に指定

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ、以下、アストラゼネカ)は、EGFR T790M 変異陽性の非小細胞肺がん治療薬AZD9291が、2015年10月29日に厚生労働省より優先審査品目に指定されたと発表。 AZD9291は、「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(以下、EGFR-TKI)の使用中または使用後に病勢進行した、EGFR T790M変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定の適応として、2015 年8月に国内承認申請を行っている。米国および欧州でも承認申請中であり、米国食品医薬品局(FDA)からはBreakthrough Therapyに、欧州医薬品評価委員会(CHMP)からは迅速審査の指定を受けている。 AZD9291は、アストラゼネカが開発した1日1回投与の新規経口分子標的治療薬。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有しており、EGFR活性化変異型EGFRに加え、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRを不可逆的に阻害する一方で、野生型EGFR に対しての阻害作用が弱くなるよう設計されている。 EGFR 遺伝子変異陽性のNSCLCは、既存のEGFR-TKIが有効な治療手段とされている。しかし、多くは治療開始1年~1年半ほどでEGFR-TKIに対する耐性が生じ、病勢が進行してしまう。これまでの研究から、EGFR-TKI耐性の約60%において、EGFR T790M耐性変異が生じていることが明らかになっている。アストラゼネカ株式会社のプレスリリースはこちら。

52.

EGFR-TKIで脳転移の放射線治療を温存

 非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移については、一般的に放射線治療が行われているが、EGFR-TKIの登場により変化が起こりそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、千葉県立がんセンターの井内 俊彦氏は「EGFR-TKI時代の非小細胞肺癌脳転移治療~非照射TKI単独治療の効果と安全性」と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。 NSCLCの脳転移については、手術療法、放射線療法、薬物療法といった幅広い治療が行われる。なかでも、定位照射・全脳照射といった放射線療法は、EGFR変異の有無にかかわらず標準的に行われている。だが、転移性脳腫瘍に対する全脳照射の認知機能障害に対するコンセンサスは得られていない。それにもかかわらず、放射線療法が選択される理由の1つは、薬剤への期待度が低いことである。 しかし、全脳照射の後にEGFR-TKIを投与することで転移巣が縮小する症例に遭遇することがあり、臨床データの報告もある。くわえて、EGFR変異陽性例では脳転移との関連性が高い。井内氏らの施設におけるNSCLC 1,100例以上の統計では、EGFR変異陽性例の脳転移頻度は31%で野生型より有意に多く、かつ脳転移例の44%がEGFR変異陽性であった。こうした背景から、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKIの効果が期待される。 井内氏らは、EGFR-TKIでコントロールすることで放射線治療の開始を遅らせ、認知機能障害の危険性を低くすることができるのでは、という仮説のもと、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKI単独治療の有効性と安全性を評価した。評価項目は、EGFR-TKI奏効率、放射線治療を回避できた期間(脳転移診断から放射線治療までの期間)、頭蓋内制御期間(脳転移診断後のPFS)、脳転移診断後の生存期間とした。 対象は自施設のEGFR変異陽性非小細胞肺がん77例。初回治療でゲフィチニブを投与し、頭蓋内・外再発後はエルロチニブに変更。ゲフィチニブ投与後の脳転移例では、初回からエルロチニブを投与。以上の治療で病変が進行した際、放射線治療を行うというプロトコルとした。 結果、EGFR変異例は、Ex19delが62%、L858Rが32%、その他は少数であった。 ゲフィチニブ一次治療症例は66例、エルロチニブ一次治療は11例。ゲフィチニブ一次治療例のうち32例はエルロチニブの二次治療を行っている。 ゲフィチニブの奏効率(RR)は78%、病勢コントロール率95%、頭蓋内制御期間の中央値は11.9ヵ月ときわめて良好であった。エルロチニブの奏効率は71%、病勢コントロール率は93%、頭蓋内制御期間は5.0ヵ月であった。 放射線治療を回避できた期間は、中央値で16.7ヵ月。77例中、43%の症例で生涯にわたり放射線治療を必要としなかった。 脳転移診断時からの生存期間中央値は20.9ヵ月であった。 有害事象についてはグレード4のものは認められなかった。中枢神経系関連の有害事象も認められず、脳転移があっても安全にEGFR-TKIが投与できると考えられた。 今回の結果から、NSCLC脳転移に対するEGFR-TKIの有効性が示唆される。今後、さらなる試験で確認する必要はあるが、NSCLCの脳転移例に対するEGFR-TKIの選択に1つの可能性を提示したといえそうだ。

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基準通り抗がん剤を投与したにもかかわらず副作用で急死した肺がんのケース

癌・腫瘍最終判決判例時報 1734号71-82頁概要息切れを主訴としてがん専門病院を受診し、肺がんと診断された66歳男性。精査の結果、右上葉原発の腺がんで、右胸水貯留、肺内多発転移があり、胸腔ドレナージ、胸膜癒着術を行ったのち、シスプラチンと塩酸イリノテカンの併用化学療法が予定された。もともと軽度腎機能障害がみられていたが、初回シスプラチン、塩酸イリノテカン2剤投与後徐々に腎機能障害が悪化した。予定通り初回投与から1週間後に塩酸イリノテカンの単独投与が行われたが、その直後から腎機能の悪化が加速し、重度の骨髄抑制作用、敗血症へといたり、化学療法開始後2週間で死亡した。詳細な経過患者情報12年前から肥大型心筋症、痛風と診断され通院治療を行っていた66歳男性経過1994年3月中旬息切れが出現。3月28日胸部X線写真で胸水を確認。細胞診でclass V。4月11日精査治療目的で県立ガンセンターへ紹介。外来で諸検査を施行し、右上葉原発の肺がんで、右下肺野に肺内多発転移があり、がん性胸膜炎を合併していると診断。5月11日入院し胸腔ドレナージ施行、胸水1,500mL排出。胸膜癒着の目的で、溶連菌抽出物(商品名:ピシバニール)およびシスプラチン(同:アイエーコール)50mgを胸腔内に注入。5月17日胸腔ドレナージ抜去。胸部CTで胸膜の癒着を確認したうえで、化学療法を施行することについて説明。シスプラチンと塩酸イリノテカンの併用療法を予定した(シスプラチン80mg/m2、塩酸イリノテカン60mg/m2を第1日、その後塩酸イリノテカン60mg/m2を第8日、第15日単独投与を1クールとして、2クール以上くり返す「パイロット併用臨床試験」に準じたレジメン)。医師:抗がん剤は2種類で行い、その内の一つは新薬として承認されたばかりでようやく使えるようになったものです。副作用として、吐き気、嘔吐、食欲低下、便秘、下痢などが生じる可能性があります。そのため制吐薬を投与して嘔吐を予防し、腎機能障害を予防するため点滴量を多くして尿量を多くする必要があります。白血球減少などの骨髄障害を生じる可能性があり、その場合には白血球増殖因子を投与します患者:新薬を使うといわれたが、具体的な薬品名、吐き気以外の副作用の内容、副作用により死亡する可能性などは一切聞いていない5月23日BUN 26.9、Cre 1.31、Ccr 40.63mL/min。5月25日シスプラチン80mg/m2、塩酸イリノテカン60mg/m2投与。5月27日BUN 42.2、Cre 1.98、WBC 9,100、シスプラチンによる腎機能障害と判断し、輸液と利尿薬を継続。6月1日BUN 74.1、Cre 2.68、WBC 7,900。主治医は不在であったが予定通り塩酸イリノテカン60mg/m2投与。医師:パイロット併用臨床試験に準じたレジメンでは、スキップ基準(塩酸イリノテカンを投与しない基準)として、「WBC 3,000未満、血小板10万未満、下痢」とあり、腎機能障害は含まれていなかったので、予定通り塩酸イリノテカンを投与した。/li>患者:上腹部不快感、嘔吐、吃逆、朝食も昼食もとれず、笑顔はみせるも活気のない状態なのに抗がん剤をうたれた。しかもこの日、主治医は学会に出席するため出張中であり、部下の医師に申し送りもなかった。6月3日BUN 67.5、Cre 2.55、WBC 7,500、吐き気、泥状便、食欲不振、血尿、胃痛が持続。6月6日BUN 96.3、Cre 4.04、WBC 6,000、意識レベルの低下および血圧低下がみられ、昇圧剤、白血球増殖因子、抗菌薬などを投与したが、敗血症となり病態は進行性に悪化。6月8日懸命の蘇生措置にもかかわらず死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.シスプラチンと塩酸イリノテカンの併用投与当時は副作用について十分な知識がなく、しかも抗がん剤使用前から腎機能障害がみられていたので、腎毒性をもつシスプラチンとの併用療法はするべきではなかった2.塩酸イリノテカンの再投与塩酸イリノテカン再投与前は、食欲がなく吐き気が続き、しかも腎機能が著しく低下していたので、漫然と再投与を行ったのは過失である。しかも、学会に出席していて患者の顔もみずに再投与したのは、危険な薬剤の無診察投与である2.インフォームドコンセント塩酸イリノテカン投与に際し、単に「新しい薬がでたから」と述べただけで、具体的な薬の名前、併用する薬剤、副作用、死亡する可能性などについては一切説明なく不十分であった。仮にカルテに記載されたような説明がなされたとしても、カルテには承諾を得た旨の記載はない病院側(被告)の主張1.シスプラチンと塩酸イリノテカンの併用投与シスプラチン、塩酸イリノテカンはともに厚生大臣(当時)から認可された薬剤であり、両者の併用療法は各臨床試験を経て有用性が確認されたものである。抗がん剤開始時点において、腎機能は1/3程度に低下していたが、これは予備能力の低下に過ぎず、併用投与の禁忌患者とされる「重篤な腎障害」とはいえない2.塩酸イリノテカンの再投与塩酸イリノテカン研究会の臨床試験実施計画書によれば、2回目投与予定日に「投与しない基準」として白血球数の低下、血小板数の低下、下痢などが記載されているが、本件はいずれにも該当しないので、腎機能との関係で再投与を中止すべき根拠はない。なお当日は学会に出席していたが、同僚の呼吸器内科医師に十分な引き継ぎをしている2.インフォームドコンセント医師は患者や家族に対して、詳しい説明を行っても、特段の事情がない限りその要旨だけをカルテに記載し、また、患者から承諾を得てもその旨を記載しないのが普通である裁判所の判断1. 腎機能悪化の予見可能性抗がん剤投与前から腎機能障害が、シスプラチンの腎毒性によって悪化し、その状態で塩酸イリノテカンの腎毒性によりさらに腎機能が悪化し、骨髄抑制作用が強く出現して死亡した。もし塩酸イリノテカンを再投与していなければ、3ヵ月程度の余命が期待できた。2. 塩酸イリノテカンの再投与塩酸イリノテカン再投与時、腎機能は併用療法によって確実に悪化していたため、慎重に投与するかあるいは腎機能が回復するまで投与を控えるべきであったのに、引き継ぎの医師に対して細かな指示を出すことなく、主治医は学会に出席した。これに対し被告はスキップ基準に該当しないことを理由に再投与は過失ではないと主張するが、そもそもスキップ基準は腎機能が正常な患者に対して行われる併用療法に適用されるため、投与直前の患者の各種検査結果、全身状態、さらには患者の希望などにより、柔軟にあるいは厳格に解釈する必要があり、スキップ基準を絶対視するのは誤りである。3. インフォームドコンセント被告は抗がん剤の副作用について説明したというが、診療録には副作用について説明した旨の記載はないこと、副作用の説明は聞いていないという遺族の供述は一致していることから、診療録には説明した内容のすべてを記載する訳ではないことを考慮しても、被告の供述は信用できない。原告側合計2,845万円の請求に対し、536万円の判決考察本件のような医事紛争をみるにつけ、医師と患者側の認識には往々にしてきわめて大きなギャップがあるという問題点を、あらためて考えざるを得ません。まず医師の立場から。今回の担当医師は、とてもまじめな印象を受ける呼吸器内科専門医です。本件のような手術適応のない肺がん、それも余命数ヵ月の患者に対し、少しでも生存期間を延ばすことを目的として、平成6年当時認可が下りてまもない塩酸イリノテカンとシスプラチンの併用療法を考えました。この塩酸イリノテカンは、非小細胞肺がんに効果があり、本件のような腺がん非切除例に対する単独投与(第II相臨床試験;初回治療例)の奏効率は29.8%、パイロット併用試験における奏効率は52.9%と報告されています。そこで医師としての良心から、腫瘍縮小効果をねらって標準的なプロトコールに準拠した化学療法を開始しました。そして、化学療法施行前から、BUN 26.9、Cre 1.31、クレアチニンクリアランスが40.63mL/minと低下していたため、シスプラチンの腎毒性を考えた慎重な対応を行っています。1回目シスプラチンおよび塩酸イリノテカン静注後、徐々に腎機能が悪化したため、投与後しばらくは多めの輸液と利尿薬を継続しました。その後腎機能はBUN 74.1、Cre 2.68となりましたが、初回投与から1週間後の2回目投与ではシスプラチンは予定に入らず塩酸イリノテカンの単独投与でしたので、その当時シスプラチン程には腎毒性が問題視されていなかった塩酸イリノテカンを投与することに踏み切りました。もちろん、それまでに行われていたパイロット併用試験におけるスキップ基準には、白血球減少や血小板減少がみられた時は化学療法を中止しても、腎障害があることによって化学療法を中止するような取り決めはありませんでした。したがって、BUN 74.1、Cre 2.68という腎機能障害をどの程度深刻に受け止めるかは意見が分かれると思いますが、臨床医学的にみた場合には明らかな不注意、怠慢などの問題を指摘することはできないと思います。一方患者側の立場では、「余命幾ばくもない肺がんと診断されてしまった。担当医師からは新しい抗がん剤を注射するとはいわれたが、まさか2週間で死亡するなんて夢にも思わなかったし、副作用の話なんてこれっぽっちも聞いていない」ということでしょう。なぜこれほどまでに医師と患者側の考え方にギャップができてしまったのでしょうか。さらに、死亡後の対応に不信感を抱いた遺族は裁判にまで踏み切ったのですから、とても残念でなりません。ただ今回の背景には、紛争原因の一つとして、医師から患者側への「一方通行のインフォームドコンセント」が潜在していたように思います。担当医師はことあるごとに患者側に説明を行って、予後の大変厳しい肺がんではあるけれども、できる限りのことはしましょう、という良心に基づいた医療を行ったのは間違いないと思います。そのうえで、きちんと患者に説明したことの「要旨」をカルテに記載しましたので、「どうして間違いを起こしていないのに訴えられるのか」とお考えのことと思います。ところが、説明したはずの肝心な部分が患者側には適切に伝わらなかった、ということが大きな問題であると思います(なお通常の薬剤を基準通り使用したにもかかわらず死亡もしくは後遺障害が残存した時は、医薬品副作用被害救済制度を利用できますが、今回のような抗がん剤には適用されない取り決めになっています)。もう一つ重要なのは、判決文に「患者の希望を取り入れたか」ということが記載されている点です。本件では抗がん剤の選択にあたって、「新しい薬がでたから」ということで化学療法が始まりました。おそらく、主治医はシスプラチンと塩酸イリノテカンの併用療法がこの時点で考え得る最良の選択と信じたために、あえて別の方法を提示したり、個々の医療行為について患者側の希望を聞くといった姿勢をみせなかったと思います。このような考え方は、パターナリズム(父権主義:お任せ医療)にも通じると思いますが、近年の医事紛争の場ではなかなか受け入れがたい考え方になりつつあります。がんの告知、あるいは治療についてのインフォームドコンセントでは、限られた時間内に多くのことを説明しなければならないため、どうしても患者にとって難解な用語、統計的な数字などを用いがちだと思います。そして、患者の方からは、多忙そうな医師に質問すると迷惑になるのではないか、威圧的な雰囲気では言葉を差し挟むことすらできない、などといった理由で、ミスコミュニケーションに発展するという声をよく聞きます。中には、「あの先生はとても真剣な眼をして一生懸命話してくれた。そこまでしてくれたのだからあの先生にすべてを託そう」ですとか、「いろいろ難しい話があったけれども、最後に「私に任せてください」と自信を持っていってくれたので安心した」というやりとりもありますが、これほど医療事故が問題視されている状況では、一歩間違えると不毛な医事紛争へと発展します。こうした行き違いは、われわれすべての医師にとって遭遇する可能性のあるリスクといえます。結局は「言った言わないの争い」になってしまいますが、やはり患者側が理解できる説明を行うとともに、実際に患者側が理解しているのか確かめるのが重要ではないでしょうか。そして、カルテを記載する時には、いつも最悪のことを想定した症状説明を行っていること(本件では抗がん剤の副作用によって死亡する可能性もあること)がわかるようにしておかないと、本件のような医事紛争を回避するのはとても難しくなると思います。癌・腫瘍

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第13回 添付文書 その2:どこまで必要?添付文書の厳格さのさじ加減!

■今回のテーマのポイント1.医薬品の添付文書の記載に不備があった場合には、指示・警告上の欠陥として、製造物責任法が適用される2.添付文書の記載に不備があるか否かは、当該医薬品を処方する専門家である医師が理解するに足りるかという視点から判断される3.医薬品については、無過失補償制度である医薬品副作用被害救済制度があることから、同制度による救済範囲を狭めるべきではない。また、同時に制度の穴を埋めるべく前向きな議論がなされるべきである事件の概要平成14年7月5日にゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は、肺がんの治療薬(内服薬)として、世界に先駆け、申請から承認まで半年と異例の短さで日本で承認されました。承認時点において、イレッサ®による間質性肺炎の報告は、国内外合わせて日本の3例(133人中)であり、死亡例はありませんでした。承認に際して、添付文書の「重大な副作用」欄の4番目に「間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常がみとめられた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと」と記載し、かつ、承認条件として市販後の臨床試験を指示しました。しかし、承認から約3ヵ月で間質性肺炎および急性肺障害の副作用発症が22例(死亡11例)報告されました。平成14年10月15日、厚生労働省の指示により、添付文書が改訂され、間質性肺炎について「警告」欄を設けて記載すると同時に緊急安全性情報を作成し、医療機関等へ配布しました。このような流れの中、イレッサ®による間質性肺炎で死亡した患者3名の遺族が、製薬会社に対しては、製造物責任法または不法行為上の損害賠償責任として、国に対しては、国家賠償法上の損害賠償請求として、計7,700万円を請求しました。第1審では、製薬会社に対しては、「当該添付文書の記載(「警告」欄ではなく、「重大な副作用」欄の4番目に記載したこと)が指示・警告上の欠陥である」として製造物責任法上の責任を認め、国に対しては、イレッサ®を薬事承認したことについて違法性はないものの、「承認後、間質性肺炎による死亡事例が出たにもかかわらず、10月15日まで添付文書を改訂するよう指導しなかったことは国家賠償法上違法である」とし、計1,760万円の損害賠償責任を認めました。これに対し、控訴審は、下記の通り判示し、原判決を破棄し、原告の請求を棄却しました。*なお本件は、現在、最高裁判所(以下、最高裁)に係属中であり、判断が待たれています。事件の経過●患者A(31歳)の経過平成13年2月頃から咳嗽が続き、6月頃からは咳嗽に加え、左胸痛が認められるようになったことから、同年9月13日D病院に検査入院となりました。検査の結果、肺腺がんでⅣ期と診断されました。その後、化学療法は行わず、丸山ワクチンを受けていましたが改善を認めず、胸水も貯留してきたため、同年11月29日D病院に入院しました。その時点で多発性骨転移が認められ、がん性疼痛も生じたため、化学療法が開始されました。腫瘍の縮小は認められなかったものの、自覚症状の改善が一定程度みられたことから、平成14年2月11日に退院となり、外来化学療法を行っていました。しかし、化学療法の副作用による、吐気、食思不振、脱毛が強かったため、同年7月1日を最後に外来化学療法は中止されました。同年7月19日の時点で、小脳、脳幹、大脳に多発転移が認められました。そのような折、Aの父がインターネットでイレッサ®の存在を知り、主治医と相談の上、8月15日より入院の上、イレッサ®の服用が開始されると同時に、多発性脳転移に対して放射線全脳照射を行いました。イレッサ®開始1ヵ月後に肺の腫瘍は約1/3にまで縮小を認め、自覚症状の改善もみられたことから、9月21日に退院となり、外来にてイレッサ®の服用を継続することとなりました。ところが、退院後最初の外来である10月3日に撮影した胸部X線写真上、気になる影があるといわれ、イレッサ®内服を中止の上、同日入院となりました。しかし、入院3日目から呼吸状態が悪化し、治療を行うも増悪。10月17日に呼吸不全にて死亡しました。●患者B(55歳)嗄声および呼吸困難のため平成14年6月に近医受診。肺がん疑いにてE病院を紹介受診したところ、肺腺がん(Ⅳ期)で左副腎に転移ありと診断されました。7月15日より入院にて化学療法が行われたものの、副作用が強く10月には中止されました。また、12月24日には多発性脳転移が認められたため、放射線全脳照射が行われました。平成15年1月28日、主治医Fは、BおよびBの妻よりイレッサ®による治療を求められました。しかし、平成14年10月15日にイレッサ®に関する緊急安全性情報がでていたことから、主治医Fは、「イレッサ®はがん細胞を狙い撃ちする抗がん剤で、20~30%の人に有効ですが、最近、重大な副作用として間質性肺炎が問題になっており、0.2~0.4%の方が肺炎で命を落としました」との緊急安全性情報等を踏まえた説明をしたところ、それでも治療を受けたいとの希望があり、入院にてイレッサ®の服用が開始されました。ところが、2月3日の胸部X線写真上、間質性陰影の増悪が認められ、その2日後には呼吸困難等が出現したことから、イレッサ®による間質性肺炎を疑い、服用を中止し、ステロイドパルス療法を行いました。しかし、翌日より真菌感染を引き起こしてしまい、2月11日に死亡しました。●患者C(67歳)平成11年12月、近医で胸部X線写真上、間質性陰影が認められ、G病院紹介受診。肺線維症の診断にて外来治療を受けていました。しかし、平成14年1月頃から血痰、咳嗽、胸痛等が認められるようになったため、同年4月15日にH病院を紹介され、精査目的で入院となりました。H病院での検査の結果、肺腺がん(III期)と診断され、化学療法が行われました。しかし、化学療法の効果はなく、副作用も強かったことから、7月には化学療法は中止されました。その後も呼吸状態、全身状態が悪化したため、同年9月2日から入院にてイレッサ®の服用が開始されました。しかし、服用開始2日目から間質性変化を認めるようになり、10月9日には、間質性肺炎が急性増悪し、ステロイドパルス療法を行ったものの、翌10月10日に死亡しました。事件の判決「本件添付文書第1版の記載はこれとは異なり、文書冒頭に警告欄が設けられていない。しかし、間質性肺炎は従来の抗癌剤等による一般的な副作用であり、イレッサを処方するのは癌専門医又は肺癌に係る抗癌剤治療医であり、当該医師は、薬剤性間質性肺炎により致死的事態が生じ得ることを認識していたものといえる。仮にその医師に、「分子標的薬には従来の抗癌剤に生じる副作用が生じない」という医学雑誌記事等に基づく予備知識があったとしても、本件添付文書第1版は、イレッサの適応を「手術不能・再発非小細胞肺癌」に限定し、「重大な副作用」欄に間質性肺炎を含む4つの疾病又は症状を掲げていたのであり、添付文書を一読すれば、イレッサには4つの重大な副作用があり、適応も非小細胞肺癌一般ではなく、手術不能・再発非小細胞肺癌に限定されていることを読み取ることができ、それを読む者が癌専門医又は肺癌に係る抗癌剤治療医であるならば、それが副作用を全く生じない医薬品とはいえないものであることを容易に理解し得たと考えられる。これらの医師が、仮に本件添付文書第1版の記載からその趣旨を読み取ることができなかったとすれば、その者は添付文書の記載を重視していなかったものというほかない。イレッサについての臨床試験等の結果が前記記載のとおりであったにもかかわらず、肺癌専門医又は肺癌に係る抗癌剤治療医を対象とした本件添付文書第1版の記載の違法性の判断において、「間質性肺炎の副作用について文書冒頭に警告欄を設けないのは違法である」、「警告欄について赤枠囲いをしないのは違法である」等として、添付文書の内容如何ではなく、目に訴える表示方法を違法性の判断基準として取上げるとすれば、それは司法が癌専門医及び肺癌に係る抗癌剤治療医の読解力、理解力、判断力を著しく低く見ていることを意味するのであり、真摯に医療に取り組むこれら医師の尊厳を害し、相当とはいえない。警告欄のない本件添付文書第1版に指示・警告上の欠陥があったということはできない。・・・以上のとおり、「重大な副作用」欄中の1番目から3番目までに掲げられた副作用も、4番目の間質性肺炎と同様に、いずれも重篤な副作用に区分され、当該患者の全身状態等によっては、そのいずれもが死亡又は重篤な機能不全に陥るおそれのあるものであり、また、評価対象臨床試験において間質性肺炎が高い割合で発現していたとはいえない状況にあったものである。しかも、本件添付文書の説明の対象者が癌専門医及び肺癌に係る抗癌剤治療医であり、また、イレッサについての評価対象外臨床試験等の結果における死亡症例についてイレッサ投与との因果関係の認定を揺るがす症状又は現象が存在していたことに照らせば、間質性肺炎を本件添付文書第1版の「重大な副作用」欄の4番目に掲げ、1番目に掲げなかったことをもって、指示・警告上の欠陥があったものということはできないものというべきである」(東京高判平成23年11月15日判時2131号35頁)ポイント解説今回は、前回に引き続き添付文書について解説させていただきます。前回の判例は、添付文書に反した場合の法的取扱いについてでした。今回解説する判例は、添付文書の記載に不備があった場合の取扱いについてです。本判決の最大の特徴の1つは、抗がん剤であるイレッサ®による副作用被害に対し、製造物責任法(PL法)を適用したことです。製造物責任は、1960年代にアメリカの判例理論として形成され、「不法行為の要件である過失がなくても、その物に欠陥があった場合には、損害賠償責任を認める」という無過失責任の1つです。平成6年にわが国で製造物責任法が成立するにあたって、副作用が出ることが必然である医薬品に対して、製造物責任法を適用すべきか否かが議論されました。すなわち、副作用を欠陥とした場合には、一定の確率で必然的に生ずる副作用被害をすべて製薬企業が賠償しなければならなくなるおそれがあるからです。さまざまな議論の末、最終的には、同法4条1号において、「当時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった場合には、免責する」という開発危険の抗弁を認め、医薬品に対しても製造物責任法を適用することとなりました。ただ、開発危険の抗弁における「「科学又は技術に関する知見」とは、科学技術に関する諸学問の成果を踏まえて、当該製造物の欠陥の有無を判断するに当たり影響を受ける程度に確立された知識のすべてをいい、それは、特定の者が有するものではなく客観的に社会に存在する知識の総体を指すものであって、当該製造物をその製造業者等が引き渡した当時において入手可能な世界最高の科学技術の水準がその判断基準とされるものと解するのが相当である。そして、製造業者等は、このような最高水準の知識をもってしても、なお当該製造物の欠陥を認識することができなかったことを証明して、初めて免責されるものと解するのが相当である」(東京地判平成14年12月13日判タ1109号285頁)とされており、開発危険の抗弁は、非常に限定的な場合にしか認められないこととなっています。その一方で、製造物責任法における欠陥とは、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」(同法2条2項)と定義されたことから、医薬品における設計上の欠陥とは、「医薬品は、適正な使用目的に従い適正に使用された場合にも、人体に有害な副作用をもたらす場合があることを避けられない。それにもかかわらず医薬品が使用されるのは、副作用による有害性の程度が、その医薬品の有効性を考慮するとなお許容され得るからであると解される。このような医薬品の特性にかんがみれば、当該医薬品に副作用があることをもって直ちに設計上の欠陥があるとはいえず、副作用による有害性が著しく、その医薬品の有効性を考慮してもなお使用価値を有しないと認められる場合に、当該医薬品について設計上の欠陥が認められるものというべきである」(本判例第1審)と医薬品の特徴に応じた判断がされています。また、製造物責任法上の欠陥には、設計上の欠陥だけでなく、取扱説明書の記載不備のような指示・警告上の欠陥もあります。本判例第1審において、「医薬品は、副作用による有害性の程度が、その有効性を考慮した場合に許容される限度を超えないものとして、設計上の欠陥を有するとは認められない場合にも、個別の患者がその副作用による被害を受けることを防止するため、なお適切な指示・警告を必要とし、これを欠く場合には、指示・警告上の欠陥を有するものと認められる。そして、医薬品が指示・警告上の欠陥を有するかどうかは、当該医薬品の効能、効果、通常予見される処方によって使用した場合に生じ得る副作用の内容及び程度、副作用の表示及び警告の有無、他の安全な医薬品による代替性の有無並びに当該医薬品を引渡した時期における医学的、薬学的知見等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきものと解される。そして、添付文書は、上記のとおり、法の規定に基づいて、医薬品の製造業者又は輸入販売業者が作成するものであり、その投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載されるものであって、医薬品を治療に使用する医師等が必ず確認し、そこに記載された使用上の注意事項に従わなければならないものであるから、医薬品の副作用等その安全性を確保するために必要な使用上の注意事項は基本的に添付文書に記載されていなければならないものというべきであり、これを欠く場合には他の方法により安全管理が十分に図られたなどの特段の事情のない限り、指示・警告上の欠陥があると認めるのが相当である。なお、医療用医薬品のように医師等が使用することが予定されているものについては、これを使用することが予定された医師等の知識、経験等を前提として、当該医師等が添付文書に記載された使用上の注意事項の内容を理解できる程度に記載されていれば足りるものと解される」と判示されているように、医薬品における指示・警告上の欠陥は、原則的に添付文書の記載によって判断されることとなります。また、処方箋薬の添付文書の記載に不備があったか否かは、上記判示の通り、専門家である医師が理解するに足りるかという視点から判断されることとなります。本件第1審においては、「重大な副作用」欄の4番目に書かれたことをもって、指示・警告上の欠陥であるとして、製造物責任法上の損害賠償責任を認めました(「4番目判決」)が、高裁においては、「4番目に書かれていたとしても、本件添付文書の説明の対象者が癌専門医及び肺癌に係る抗癌剤治療医であること等から、指示・警告上の欠陥とはいえない」として、損害賠償責任を認めませんでした。本判決のもう1つの大きな特徴は、第1審において、添付文書に警告欄を設けるよう指導しなかったとして、国の責任を認めたことです。薬事法上、医薬品を製造販売するためには、厚生労働大臣による承認が必要となります(薬事法14条1項)。この承認を受けるために製薬企業は治験を行うわけですが、被験者の数は限られますので、稀な副作用は、上市後に、多くの患者に使用されなければわからないことがある等限界があります。だからといって治験において安全性を過度に追及すると、今度は承認が大きく遅れ、薬がないために治療できない患者が出てきてしまいます(ドラッグ・ラグ)。薬事承認においてはこのように、安全性と迅速性のバランスが常に求められることとなり、わが国では、諸外国と比べて大きく迅速性に欠ける、換言すればドラッグ・ラグが長く、適時に必要な薬が患者に届かず場合によっては生命を落とすという状況となっています。そのようなわが国の現状において、製造物責任をテコに国に損害賠償責任を認めるとなると、結局のところ国は、薬事承認において安全性に大きく判断ウエイトを置くこととなり、ますますドラッグ・ラグが加速するのではないかという懸念がでてきます。本件の東京高裁判決は第1審を覆し、国の責任を否定しましたが、現在最高裁で係争中であり、その判断が待たれています(*2013年4月2日の報道では、「国に対する請求については上告が受理されず遺族敗訴が確定し、製薬企業に対する請求は受理されたものの弁論を開くことなく2013年4月12日に判決が出される」とのことです)。●添付文書再考本連載で、2回にわたって、添付文書について解説してきました。製薬企業自らが作成する添付文書に対し、内容が不足していると製薬企業に対し厳格に製造物責任を問われることとなれば、製薬企業としては、できうる限りのことを添付文書に記載する方向にインセンティブが働きます。その結果、本来の薬の適用対象にまで慎重投与として警告が付されたり、場合によっては禁忌とするなど、実医療とはかけ離れた添付文書が作成されることとなります。しかし、医師がそのような添付文書の記載に形式的に反した場合には、前回の判例により過失が推定されてしまうことから、結果的に、医師が萎縮してしまい、患者が適切な治療を受けられなくなるという悪循環が生ずるおそれがあります(図1)。図1 添付文書の厳格性のジレンマ画像を拡大するこのように添付文書に過度の法的意義を持たせることは、患者にとってマイナスの効果を生じかねませんし、そもそも、過剰な警告文書はアラートとしての機能を喪失してしまうことから、その意味においても患者にとって危険となります。●医薬品副作用被害救済制度2つの判決を異なる視点でみてみましょう。医薬品によって生じた副作用被害に対しては、公的に医薬品被害救済制度が整備されています(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法15条1項)。製薬企業が拠出金を出し合い基金をつくり、副作用被害が生じた場合には、そこから医療費や障害年金、遺族年金が支払われます(同法16条1項)。医薬品の副作用被害については、すでに公的な無過失補償制度ができているのです。しかし、本制度の給付対象外として、表が定められています。みていただければわかるように、前回の判例は2-(1)に該当し、今回の判例は、2-(1)および4に該当します。つまり、添付文書に関する訴訟は、この医薬品副作用被害救済制度から漏れてしまっているために止むを得ず生じているのです。実際、本件第1審で国が敗訴した後に「制度の穴」を埋めるべく厚生労働省内で、「抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」が立ち上げられました(残念ながら、高裁にて国が勝訴したため、平成24年8月10日の同検討会によるとりまとめにおいて見送りとされました)。表 医薬品副作用被害救済制度除外事由画像を拡大する●まとめ2回にわたり解説したように、添付文書に製造物責任を厳格に問うことは、製薬企業自らの責任回避のために添付文書の過度な長文化・不適切化を生じさせます。そのような状況下で添付文書を不磨の大典のごとく扱うと萎縮医療を生み出し、結果として患者が適切な医療を受けることができなくなります。さらに、添付文書の指示・警告上の欠陥をテコに国に責任を認めるとドラッグ・ラグが加速し、適切な医薬品が患者のもとに届かなくなってしまいます(図2)。図2 添付文書厳格化による問題点画像を拡大するもちろん、副作用被害の救済はできうる限り行われるべきです。しかし、その方向は、無過失補償制度による救済範囲を広げる方向で行われるべきであり、個別事案における救済に固執するあまり、制度全体に問題を生じさせてしまっている現状を認識すべきものと思われます。すなわち、添付文書に対し指示・警告上の欠陥を広く認めることは、一般的には、医薬品副作用被害救済制度の除外事由を広げること(=救済範囲を狭めること)となりますし、添付文書違反に対し過失の推定をかけることも同様に、医薬品副作用被害救済制度の除外事由を広げること(=救済範囲を狭めること)になるのです。添付文書に関する紛争は、医薬品副作用被害救済制度に穴があるために生じています。いがみ合い、争う方向に進めるのではなく、手に手を取って「制度の穴」を埋める方向に進んでいくことを切に願います(図3)。図3 副作用被害の早急な救済のモデル画像を拡大する裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京高判平成23年11月15日判時2131号35頁東京地判平成14年12月13日判タ1109号285頁

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新規分子標的薬の開発に従来型の大規模臨床試験は必要か?~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 がん治療における「個別化治療」は、最近の分子標的薬剤の開発によって現実化してきている。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日、大阪国際会議場)のシンポジウム5「Biomarkerによる個別化治療の進歩」では、各領域がんの個別化治療の現状と将来展望について講演が行われた。「バイオマーカーに基づく非小細胞肺癌における治療開発」と題して講演を行った近畿大学の岡本勇氏は、新規分子標的薬の開発における臨床試験について、「非小細胞肺がんは、遺伝子変異別に薬剤を投与する時代になり、各遺伝子変異の頻度が非常に少ないこともわかってきたことから、従来型の大規模臨床試験による新薬開発からマインドを変える必要がある」と提言した。 非小細胞肺がんにおけるdriver oncogene mutationとしては、EGFR遺伝子変異、EML4-ALK融合遺伝子が代表的であるが、それぞれをターゲットとする薬剤としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ[商品名:イレッサ]、エルロチニブ[同:タルセバ]とALKチロシンキナーゼ阻害薬(クリゾチニブ[同:ザーコリ])が現在、実地臨床で使用できる。 また、現在、driver oncogene mutationとして、ROS1融合遺伝子とRET融合遺伝子が発見されている。ROS1融合遺伝子を持つ患者は肺腺がん患者の1.2%に見られ、クリゾチニブで高い効果が報告されている。RET融合遺伝子を持つ患者も肺腺がん患者の約1~2%存在し、これをターゲットとするバンデタニブ(国内未発売)の有効性と安全性については、国立がん研究センター東病院など5施設で医師主導治験により評価していく予定である。 このように、driver oncogeneが発見され、それをターゲットとする薬剤がある一方で、症例が非常に少ないという現状のなか、岡本氏は「どのような臨床試験を組むのか、どのような承認のプロセスをとるのか、どのように標準的治療のなかに組み込んでいくのかが、われわれが直面している1つの大きな問題」と考える。 さらに岡本氏は、私見として、「driver oncogene mutationという強力な分子的背景があり、前臨床で効果のある患者を特定でき、さらに臨床で高い効果が得られ、ある程度薬剤の安全性が認められる場合は承認し、その後の実地臨床で厳しく評価していけばよいのではないか」と述べた。

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抗悪性腫瘍剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」新発売

ファイザーは29日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」(一般名:クリゾチニブ、以下:ザーコリ)を発売した。また、同日付で薬価収載もされた。ザーコリは、ALKを阻害する世界初の化合物。ALK遺伝子変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)などの腫瘍の発生や形成に関わる重要な因子である。肺がんにおけるALK 融合遺伝子の存在は日本人研究者によって発見され、2007年に初めて発表された。予備的な疫学調査ではNSCLC患者の約3~5%がALK融合遺伝子陽性とされている。ザーコリは、ALK融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍細胞の成長と生存に必要な細胞内シグナル伝達経路を遮断する。同社は、ザーコリがより安全かつ有効に使用されるために一層の臨床データの蓄積が重要であると考え、同剤の承認条件にしたがい、製造販売後の特定使用成績調査(全例調査)を通じて、安全性および有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じていくという。また、全例調査契約時には、施設・医師要件を確認し、同剤の納入前にはMRによる適正使用情報の提供を行い、納入後には定期的な情報収集訪問を義務付けるとのこと。医療関係者向けには「適正使用ガイド」を、患者向けには冊子などを作成する。市販後に集収される副作用情報は、同社医療従事者向けのサイト「Pfizer for PROFESSIONALS」内にて週1回案内するとのこと。なお、保険償還前の薬剤提供については、ザーコリの早期使用が必要な場合を想定し、承認後から薬価基準収載までの期間、同剤開発治験実施施設に限定するなどの制限付きで提供していたが、今回の薬価基準収載をもって終了した。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_05_29.html

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非小細胞肺癌治療剤「ザーコリ」 製造販売承認を取得

ファイザーは30日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」(一般名:クリゾチニブ、以下、ザーコリ)の製造販売承認を取得したと発表した。ザーコリは、ALKを阻害する世界初の化合物。ALK遺伝子変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)などの腫瘍の発生や形成に関わる重要な因子である。肺がんにおけるALK融合遺伝子の存在は日本人研究者によって発見され、2007年に初めて発表された。予備的な疫学調査ではNSCLC患者の約3~5%がALK融合遺伝子陽性とされている。ザーコリは、ALK融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍細胞の成長と生存に必要な細胞内シグナル伝達経路を遮断します。国内においては、2010年3月より非小細胞肺がん患者を対象とした治験を開始し、2011年1月には希少疾病用医薬品(オーファンドラック)に指定された。第1相臨床試験の成績については、2010年10月28日付のNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に発表されておりまた、米国臨床腫瘍学会(ASCO)や欧州臨床腫瘍学会(ESMO)などの学会において、第1相試験および第2相試験の結果が発表されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_03_30.html

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部長 中山優子 先生の答え

晩期後遺症重粒子線の晩期後遺症として組織壊死、ろうこう形成があるようです。理論的にないといわれたこれらの後遺症の頻度はどれくらいですか。質問01から03までは,これから建設予定施設にいる私には経験がなくお答えできない質問です.そこで,今までに5000名以上の重粒子線治療を手がけた放射線医学総合研究所(放医研)・重粒子医科学センター長の鎌田正先生に伺いました.「重粒子線治療を開始した初期のころ線量増加試験を各臓器で実施しています。その中で高線量を広い範囲に照射した症例において瘻こう形成などの強い副作用を認めています。その経験から各臓器において線量や照射範囲に制限を設けるとともに照射技術に改善を加えた結果、最近ではそのような副作用は殆ど認められなくなっています。」現在,重篤な副作用はほとんど見られていないとのことです.放医研では,1994年に炭素線を用いて重粒子線治療が開始されました。それ以来,種々の疾患について適切な照射技術や線量分割法を開発するための臨床試験が行われ、2003年10 月には「高度先進医療(いまの先進医療)」としての承認が得られて今日に至っています.日本では,放医研,兵庫県立粒子線医療センター,群馬大学重粒子医学研究センターの3施設で重粒子線治療を行っています.悪性リンパ腫に重粒子線治療は効果ありますでしょうか?抗ガン剤治療や通常の放射線治療でなかなか効果が得られない悪性リンパ腫に、重粒子線治療は適応ありますでしょうか?同じく,鎌田正先生のコメントです.「悪性リンパ腫は全身疾患として考える必要があり、また通常の放射線や化学療法が良く効くことから、重粒子線治療の適応としていませんでした。そのためにこれまでまったく重粒子線での治療の経験がありません。従って他治療に効果を認めない悪性リンパ腫についてもその効果は不明です。仮に行うとすれば局所にとどまるものであれば臨床試験の対象となる可能性はあると思います。」局所進展型膵癌局所進展型の膵頭部癌に対し、重粒子線の効果と合併症をお聞きします。膵頭部は消化管がすぐ近くにあるので、照射後の消化管に対する合併症が心配となります。どんな合併症がいつ頃出現するのか、またやせた人は合併症が多いと聞きますが、どのくらい増えるのか、をご教示下さい。また定位放射線治療と比べ、重粒子線の効果はどのくらいあるのでしょうか。極論でいえばCRを目指せますか?。膵体部、尾部ではどうでしょう。よろしくお願いします。同じく,鎌田正先生のコメントです.「切除非適応の局所進行膵癌について現在、化学療法を同時に併用した重粒子線治療の線量増加試験を実施しています。まだ試験中ですので詳細を示すことはできませんが、十二指腸を含む消化管への副作用の頻度は少なく、安全に線量増加試験を継続しています。治療効果も同様ですが、線量増加とともにCRとなる症例も経験されています。」重粒子線治療の受け入れ態勢について重粒子線治療は紙面でもテレビでもとりあげられており、患者さまにも希望される方が増えてきている印象です。しかし、実際は適応症例を絞っていたり、順番待ちが長いという噂も多いです。とくに他県の患者を紹介しても、結局治療が受け入れられないという場合は、さっさと地元でX線照射をしていた方が時間的に有利かと思われます。もっと受け入れ態勢の情報や、適応症例を情報公開するなどできないでしょうか?確かに,重粒子線治療をインターネットなどで調べ,希望する患者が増えてきています.先日も,局所進行非小細胞癌の放射線治療目的で受診された方で,放射線治療を勧めたところ,重粒子線治療希望なので待ってくれ,と言われました.「縦隔リンパ節転移があるので重粒子線治療の適応はないです」とお話し,通常の放射線治療を施行しました.重粒子線治療の適応については,放医研や兵庫県立粒子線医療センターのホームページに詳しく掲載されています.しっかりと情報公開されています.放射線治療医にまず紹介し,そこで判断してもらうのもいいと思います.肺癌に対するトモセラピーについて勤務している病院でトモセラピーが使用できるようになりました。放射線治療医の勧めもあり、I期の非小細胞肺癌に対してトモセラピーでのSRTも数例施行していだだきましたが、重篤な放射線肺炎を一例経験しました。肺に対するトモセラピーのSRTには、通常のリニアックを使用したSRTや重粒子線治療に比べてエビデンスは少ないようです。肺に対するトモセラピーが放射線肺炎を起こしやすいということはあるのでしょうか。末梢型の早期肺癌で手術が内科的非適応の場合や手術拒否の場合に,SRTや重粒子線治療が行われています.SRTでは三次元的に多方向から病変に照射するため1回線量を増やすことができます.最近,日本で行われた臨床試験(JCOG0403)では1回線量12Gyを4回,総線量48Gyを用いています.重粒子線治療では,分割回数を少しづつ減らしていき,現在は1回照射法を臨床試験で行っています.いずれにしても,従来の放射線治療よりも抗腫瘍効果が高く,良好な治療成績が報告されています.ご質問の重篤な放射線肺臓炎についてですが,既存肺に間質性肺炎があるときには,重篤な放射線肺臓炎が生じることがあります.また,腫瘍サイズが大きいときも結果的に照射される正常肺の体積が大きくなりますので,注意が必要となります.トモセラピーの場合には,少線量が照射される正常肺の体積が大きくなる可能性がありますが,治療装置の違いよりも,既存肺の状態や腫瘍の大きさなどの影響が大きいと思われます.放射線腫瘍医を目指すには?医学部に通う者です。放射線医学見学会に参加したことがきっかけで、放射線腫瘍医に興味を持ちました。キャリア形成についてお聞きしたいのですが、放射線腫瘍医になるには、どのような施設で研修を受けていくべきでしょうか?また、学生のうちに勉強しておいた方がよいことがあれば教えていただければと思います。宜しくお願いします。放射線治療は,全身のすべてのがんが対象となります.それらを診断するための基礎知識・手段として,画像診断や内視鏡検査などの診察手技を習得することが必要です.また,対象の多くは高齢者ですから,一般的な内科の知識も必要となります.がん患者のお話に耳を傾けることも大切です.また,放射線腫瘍医だけではがん治療はできません.外科医や内科医とよいチームを組み,最適な診療を提供していきます.したがって,極端にいえば,どのような施設で研修を受けても勉強になると思います.学生のうちに勉強しておいた方がよいことですが,何でも役に立ちますので,自由に勉強をしたらどうでしょうか.私が医学生だった頃には,第一種放射線取扱主任者の試験を,記憶力のいい若いうちに受けておくようにいわれたことがあります.まじめな同級生は受験して合格していました.彼女は内科医になりましたが,役に立っているかな.教育について先生の記事、大変勉強になりました。ありがとうございます。神奈川県立がんセンターさんでは、教育部門にも力を入れているとのことですが、ホームページを見てもその辺の情報が掲載されていませんでしたので、差し支えなければ、具体的な取り組みをご紹介いただけないでしょうか?(特長的なもの1例だけでも参考になります。)特に専門医向けの教育だけでなく、看護師向けの教育も行っているということに大変興味を持っております。宜しくお願いします。放射線治療には看護師の存在が欠かせません.私たちの施設は,これから放射線治療装置の増設や重粒子線治療施設の新設など,より放射線治療症例は増える予定です.これに伴い,看護師の担う業務内容の拡大が求められます.たとえば,放射線治療中の口内炎や皮膚炎などが通常の反応か否かなど,放射線治療室担当の看護師が判断できれば,日常診療の効率化の上で,大きな力になります.また,看護師にとってもやりがいが出ることでしょう.まずは,看護師が放射線治療のことを知り,興味を持つことが大切です.そこで,神奈川県立がんセンターでは,2010年度は看護局と協力して看護職員研修として「がん放射線治療の現場を知ろう!」を実施しました.すでに病棟に勤務している看護師に希望を募り,勤務の合間に放射線治療の講義の後,現場をみてもらいました.「放射線治療の基本から一連の流れがわかり,患者への説明も行いやすくなったと感じました」「病棟側からの視点だった放射線治療を広い視野で理解することができました」などの感想があり,今後も続ける予定です.総括この度の東日本大震災で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます.そして,さらに福島原発の放射線による被害も加わり,近隣の方々はもちろんのこと,日本中の人々が大きな不安を持っていることと思います.がん治療の手段として放射線治療を用いている私たちには,患者さんや他科の診療科医師から沢山の質問がありました.がん治療に使われている放射線と放射能との違い,子供を家から出さない方がいいか,水道水を煮沸すれば放射能はなくなるのか,などです.目に見えない放射線への不安に対して,わかりやすい言葉で説明をする大切さをひしひしと感じました.部長 中山優子 先生「がん治療における放射線治療医は多くの可能性をもつ魅力ある分野」

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ゲムシタビン点滴静注用「タイホウ」 ジェネリック医薬品製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は15日、代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤『ゲムシタビン点滴静注用200mg「タイホウ」、1g「タイホウ」』(一般名:塩酸ゲムシタビン、先発名:ジェムザール注射用)のジェネリック医薬品製造販売承認を取得したと発表した。効能・効果は、非小細胞肺癌、胆道癌、尿路上皮癌。投与方法は通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬を1コースとして投与を繰り返す。患者の状態により適宜減量が必要とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100119.html

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開発中の抗癌(がん)剤BIBF 1120およびBIBW 2992の臨床開発プログラムを更に拡大

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は12月17日(現地時間)、臨床開発の後期段階にある2つの抗癌(がん)剤のうちBIBF 1120で、進行卵巣癌を対象とした第III相試験(LUME-Ovar-1試験)を開始すると発表した。本試験では、新規経口血管新生阻害剤BIBF 1120 またはプラセボを標準化学療法に併用した場合の有効性・安全性を比較検討するとのこと。LUME-Ovar-1試験(AGO-OVAR12)は、ドイツの研究グループAGO(AGO: Arbeitsgemeinschaft Gynaekologische Onkologie)が主導する国際コンソーシアムとベーリンガーインゲルハイムの共同研究。BIBF 1120(海外での予定製品名VargatefTM)は、腫瘍の増殖と拡大に必要な血管新生に関与する3つの受容体を同時に阻害する新規経口薬剤。血管新生は、すべての固形腫瘍の増殖で重要な役割を果たしていることから、現在、BIBF 1120では非小細胞肺癌(NSCLC)、大腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)などの一連の固形癌を対象として有用性が検討されているという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9976

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