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B細胞NHLへのR-CHOP、4サイクルvs.6サイクル/Lancet

 60歳以下の低リスク中悪性度(アグレッシブ)B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療において、リツキシマブとシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone(R-CHOP)併用療法の4サイクル投与は6サイクル(標準治療)に対し、有効性が非劣性で、毒性作用は治療サイクルが少ない分、抑制されることが、ドイツ・ザールラント大学のViola Poeschel氏らGerman Lymphoma Allianceが行った「FLYER試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21/28日合併号に掲載された。国際予後指標(IPI)の年齢調整リスク因子がなく、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者では、6サイクルのR-CHOP様レジメンの予後はきわめて良好と報告されている。一方、多くの患者にとって、このレジメンに含まれる6サイクルの細胞傷害性薬剤の併用療法(CHOP様)は過剰治療となっている可能性があるという。5ヵ国が参加した非劣性試験 本研究は、5ヵ国(デンマーク、イスラエル、イタリア、ノルウェー、ドイツ)の138施設が参加した多施設共同非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2005年12月2日~2016年10月7日の期間に患者登録が行われた(Deutsche Krebshilfeの助成による)。 対象は、年齢18~60歳で、StageI/II、血清乳酸脱水素酵素(LDH)濃度が正常、全身状態(ECOG PS)が0/1であり、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するB細胞非ホジキンリンパ腫患者であった。 被験者は、R-CHOP 4サイクルに加えリツキシマブを単独で2回投与する群(4サイクル群)、またはR-CHOPを6サイクル投与する群(6サイクル群)に無作為に割り付けられた。1サイクルは21日であった。リツキシマブの用量は375mg/m2(体表面積)とした。精巣リンパ腫を除き、放射線治療は計画されなかった。 主要評価項目は、3年時の無増悪生存(PFS)率とし、intention-to-treat集団で解析が行われた。非劣性マージンは-5.5%とした。安全性の評価は、1回以上の投与を受けた患者を対象とした。3年PFS率:96% vs.94%、完全寛解率:91% vs.92% 592例が登録され、588例(4サイクル群293例[年齢中央値 49歳、女性 40%]、6サイクル群295例[47歳、39%])がintention-to-treat解析の対象となった。B症状が4サイクル群で多かった(9% vs.3%)。588例中499例(85%)がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった。 追跡期間中央値66ヵ月(IQR:42~100)の時点における3年PFS率は、4サイクル群が96%(95%信頼区間[CI]:94~99)、6サイクル群は94%(91~97)であった。群間差は3%で、95%CIの下限値は0%であり、非劣性マージン(-5.5%)よりも高く、4サイクル群の6サイクル群に対する非劣性が確認された。 治療終了時に、4サイクル群267例(91%)、6サイクル群271例(92%)が完全寛解を達成し、それぞれ8例(3%)および11例(4%)が部分寛解で、6サイクル群の1例(<1%)が不変であった。治療中の増悪は両群3例(1%)ずつで認められた。 3年無イベント生存率は、4サイクル群が89%、6サイクル群も89%であり、3年全生存率はそれぞれ99%および98%だった。 また、事後解析では、5年PFS率は4サイクル群94%、6サイクル群94%、5年無イベント生存率はそれぞれ87%および88%、5年全生存率は97%および98%であった。 全体で40例が増悪または再発した。治療終了時の完全寛解/不確定完全寛解例での再発は、4サイクル群が11例(4%)、6サイクル群は13例(5%)であり、部分寛解例の再発はそれぞれ2例(25%)および2例(18%)だった。完全寛解/不確定完全寛解の再発例24例のうち、4例(17%)は登録から1年以内に、8例(33%)は2年以内に再発した。 4サイクル群(293例)では血液学的有害事象が294件、非血液学的有害事象が1,036件発現したのに比べ、6サイクル群(295例)ではそれぞれ426件および1,280件であり、4サイクル群で少ない傾向が認められた。重篤な有害事象は、4サイクル群48例、6サイクル群45例にみられた。感染症は、それぞれ116例(Grade3/4は22例)および156例(同23例)で発現した。6サイクル群で治療関連死が2例認められた。 著者は、「R-CHOP療法は、有効性を損なわずに、化学療法の施行数を減らすことができる」としている。

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患者団体と製薬企業とのつながりとは/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のLisa Parker氏らは、患者団体と製薬企業の間の相互作用を調べる質的研究を行った。疾患別に存在する患者団体の多くが、製薬企業から資金提供を受けているが、患者団体は、患者および介護者に対する支援やアドボカシー、情報提供において重要な役割を担っている。また、医療および製薬の政策において影響力のあるアドボケイト(代弁者)としての地位を増しており、研究グループは、両者間の相互作用の解明を試みた。その結果、相互作用としての「asset exchange(資産交換)」の問題が明確になったという。BMJ誌2019年12月12日号掲載の報告。質的研究で、患者団体と製薬企業との関係性を調査 検討は、患者団体の代表者の観点から製薬企業のスポンサーシップをどのように見ているのか、また相互作用がどのように、なぜ、いつ発生するのかを調べることで、相互作用の質を理解し報告することを目的とした。 研究には、製薬企業と多様なレベルの資金提供でつながりのある、オーストラリアの23の患者団体から27人が参加。患者団体は、一般的な医療消費問題や疾患別の話題にフォーカスしている、地域または全国規模の団体であった。 調査は、倫理学の理論(グラウンデッドセオリー)で知られている経験的・質的インタビュー研究法を用い、インタビューでの聞き取りをデータカテゴリーにコード化して分析した。調査結果は、データを描出し解き明かすために新しい概念カテゴリーに編成され、また引用符でサポートされた。資金提供を受ければ、何らかの見返りを求められることに留意すべき 患者団体と製薬企業の関係性のタイプとして、製薬企業のスポンサーシップに対する姿勢の違いによる4つのタイプが特定された。 支配的な関係性(dominant relationship)のタイプは、ビジネスパートナーシップとして成功したタイプといえ、患者団体は企業の人間と密接な協力関係を築いていることが示された。このタイプの患者団体は、企業の悪影響の可能性を認識しつつ、企業の影響を回避する戦略があるとの自信を示していた。 その他の患者団体は、不十分(unsatisfactory)または未発達(undeveloped)な関係性であることが示され、いくつかの患者団体(すべて一般医療消費団体)は、製薬企業とは基本的な関心事が対立しており、自分たちのミッションと相いれないものであることを示した。 患者団体は、自分たちと製薬企業の間の相互作用は、団体のメンバーが興味を示す可能性がある新薬を会社が手にしたときにより多く発生していると報告した。 また、企業の資金提供を受け入れた患者団体は、企業と“asset”(資産)の交換に関わっていることが明らかになった。患者団体は、金銭、情報、アドバイスを受け取るのと引き換えに、企業にマーケティングや主要なオピニオンリーダーとの関係構築の機会を与えることや、医薬品の入手や助成金に関する企業のロビー活動に協力したり、治験への参加者集めを支援したり、企業の信頼性を強化することに関与していた。 著者は、「製薬企業のスポンサーシップについての患者団体の幅広い見方について理解することは、両者間のあらゆる倫理的懸念を特定し統制しようとする患者団体にとって役立つものとなるだろう」と述べるとともに、「製薬企業から金銭を受け取っている患者団体は、“返礼”として特定の資産を要求される可能性があることを想定しておくべきである」と指摘。続けて「活発にマーケティングを行う機会があると見なした患者団体への製薬企業による選択的な資金提供は、患者団体本来の活動を製薬企業の関心事にねじ曲げて向かわせる可能性があり、企業の代理人としてアドボカシーを発揮し、医療政策にも影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。

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VMP療法+ダラツムマブ、多発性骨髄腫のOS延長/Lancet

 幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫の患者では、標準治療であるボルテゾミブ+メルファラン+prednisone(VMP)療法にダラツムマブを追加(D-VMP療法)すると、標準治療単独に比べ全生存(OS)期間が有意に延長することが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らが行った「ALCYONE試験」の中間解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月9日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体製剤であり、直接的な腫瘍縮小作用とともに免疫調節作用を有するという。本試験の主解析では、D-VMP療法により無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが、すでに報告されている。上乗せ効果を評価する実薬対照無作為化試験 本研究は、25ヵ国162施設が参加した多施設共同非盲検実薬対照無作為化第III相試験であり、2015年2月9日~2016年7月14日の期間に患者登録が行われた(Janssen Research & Developmentの助成による)。今回は、主な副次評価項目であるOSの結果が報告された。 対象は、新規に診断された多発性骨髄腫で、年齢(≧65歳)または重大な合併症のため、大量化学療法+自家幹細胞移植が適応とならない患者であった。 被験者は、D-VMPまたはVMPを行う群に無作為に割り付けられた。全例に、ボルテゾミブ(1.3mg/m2[体表面積]を、1サイクル目は第1、4、8、11、22、25、29、32日に、2サイクル目以降は第1、8、22、29日に皮下投与)+メルファラン(9mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)+prednisone(60mg/m2を、各サイクルの第1~4日に、1日1回経口投与)による1サイクル6週の治療が、最大9サイクル施行された。 これに加え、D-VMP群は、ダラツムマブ(16mg/kg[体重])を1サイクル目は週1回、2~9サイクル目は3週に1回投与し、その後は維持療法として4週に1回、増悪または許容できない毒性が発現するまで継続投与した。3年以上の追跡で死亡リスク40%低下、良好なPFSが持続 706例が登録され、D-VMP群に350例、VMP群には356例が割り付けられた。ベースラインの全体の年齢中央値は71歳(範囲40~93)で、211例(30%)は75歳以上であった。271例(38%)は国際病期分類(ISS)のStageIIIであり、98例(14%)は細胞遺伝学的プロファイルが高リスクであった。 追跡期間中央値40.1ヵ月(IQR:37.4~43.1)の時点で、D-VMP群83例(24%)、VMP群126例(35%)が死亡した。死亡のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.46~0.80、p=0.0003)であり、D-VMP群で死亡リスクが40%低下した。Kaplan-Meier法による36ヵ月時のOS率は、D-VMP群が78.0%(95%CI:73.2~82.0)、VMP群は67.9%(62.6~72.6)であり、両群ともOS期間中央値には未到達だった。 主要評価項目であるPFSのHRは0.42(95%CI:0.34~0.51、p<0.0001)であり、D-VMP群で病勢進行または死亡のリスクが58%低かった。36ヵ月PFS率は、D-VMP群が50.7%(45.1~55.9)、VMP群は18.5%(14.4~23.1)であり、PFS期間中央値はそれぞれ36.4ヵ月(32.1~45.9)および19.3ヵ月(18.0~20.4)だった。 全奏効率(D-VMP群90.9%、VMP群73.9%、p<0.0001)および最良部分奏効以上(73%、50%、p<0.0001)、完全奏効以上(46%、25%、p<0.0001)、微小残存病変陰性(28%、7%、p<0.0001)の割合は、いずれもD-VMP群で有意に良好であった。また、微小残存病変陰性が12ヵ月以上持続した患者は、PFSおよびOSが優れた。さらに、これら最良総合効果のD-VMP群における改善は、年齢(<75歳、≧75歳)および細胞遺伝学的状態(標準リスク、高リスク)にかかわらず認められた。 前回の解析以降の追跡期間中に、D-VMP群で安全性に関する新たな懸念は特定されなかった。1~9サイクルの治療期間中に最も頻度の高かったGrade3/4の治療関連有害事象は、好中球減少(D-VMP群40%、VMP群39%)、血小板減少(34%、38%)、貧血(15%、20%)であった。また、D-VMP群のダラツムマブ維持療法期に最も頻度の高かった全Gradeの有害事象は上気道感染症(19%)であり、次いで気管支炎(15%)、ウイルス性上気道感染症(12%)、咳嗽(12%)、下痢(10%)の順であった。 著者は、「現在、他の第III相試験でもダラツムマブのOSに関して長期の追跡調査が進められているが、今回の有効性と安全性の知見は、標準治療への本薬の追加を強く支持するものである」としている。

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本態性血小板血症〔ET : essential thrombocythemia〕

1 疾患概要■ 概念・定義本態性血小板血症(essential thrombocythemia: ET)は、多能性造血幹細胞の腫瘍性増殖により、骨髄巨核球の過形成を来し、血小板増加をもたらす疾患である。WHO分類では、慢性骨髄増殖性腫瘍に分類されている。■ 疫学正確な発症頻度は不明であるが、ETの発症率は10万人あたり1~2.5人/年程度と推定されている。平均年齢は50~60歳。年齢の第1のピークは60歳にあり、性差はないが、第2のピークは30歳で、女性に多い1)。■ 病因ET症例の骨髄細胞において、トロンボポエチンのシグナル伝達を担うJAK2キナーゼの遺伝子変異(JAK2V617F)が約50%の症例で認められ、JAK2キナーゼが恒常的に活性化していることが、病因の1つと考えられている2)。また、約1%の症例でトロンボポエチン受容体をコードする遺伝子c-MPL遺伝子に変異がみられ(MPLW515L/K)、受容体の下流シグナルの恒常的な活性化が認められることも、病因の1つと考えられている3)。そのほか20%程度の症例でCALR遺伝子exon 9に挿入または欠失を認めるとの報告もある4)。■ 症状約半数の症例では無症状である。主な症状1)は以下のとおりである。(1)脾腫:約10%の症例で中等度の脾腫を認める(2)血管運動性症状:約20%の症例に微小循環不全によるものと考えられる、頭痛、失神、めまい、耳鳴、一過性視覚異常が認められる(3)血栓症:約17%の症例で認められる。血栓症は、静脈血栓より動脈血栓が多く、冠動脈血栓や四肢末端虚血の肢端紅痛症(erythromelalgia)がある(4)出血症状:約4%の症例で認められ、消化管や気道粘膜の出血が多い■ 分類ETは骨髄増殖性腫瘍に分類される。2次性骨髄線維症へ病型移行することがある。■ 予後ET の予後を規定するのは、血栓症や出血の合併である。また、一部の症例で骨髄線維症への移行や急性骨髄性白血病(AML)への移行が認められる。通常、ETの5年生存率は74~93%、10年生存率は61~84%と報告されている。骨髄線維症への移行は5年で2.7%、10年で8.3%、15年で15.3%と報告されている。AMLや骨髄異形成症候群(MDS)への移行は、発症後1.7~16年で認められると報告されており、頻度は0.6~5%と報告されている。ヒドロキシカルバミド(HU)〔商品名:ハイドレア〕単独投与例では、AMLやMDSへの移行率は低い。AML/MDSへの移行症例は化学療法抵抗性であることが多く、生存期間中央値は2~7ヵ月で、きわめて予後不良である。ETの主な死因は血栓症であり、とくに心血管系合併症である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)持続する45万/μL以上の血小板増加を認めた際に本疾患を疑う。本疾患は除外診断が重要であり、反応性血小板増加症、および他の骨髄増殖性腫瘍(真性多血症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病など)を除外することにより診断する。ETの診断基準はさまざまなものがあるが、現在WHO(2016)の診断基準が多く使用されている(表1)。鑑別診断を含めた診断のアプローチを図1に示す4)。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ETの予後に大きく影響するのは、血栓症や出血の合併である。そのため、血栓症や出血をいかに予防するかが重要となってくる。そのため、治療は血栓症の既往、年齢などにより血栓症のリスク分類がなされ、血栓症のリスクとJAK2遺伝子変異の有無に応じた治療法が選択される(図2)5)。画像を拡大する■ 血栓症のリスク分類低リスク群: 年齢5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本血栓止血学会(医療従事者向けのまとまった情報)日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン(2018年度版)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Dan K, et al. Int J Hematol. 2006;83:443-449.2)Campbell PJ, et al. N Engl J Med. 2006;355:2452-2466.3)Beer PA, et al. Blood. 2008;112:141-149.4)Rumi E, et al. Blood. 2016;128:2403-2414.5)日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年度版. 金原出版株式会社;2018.6)Harrison CN, et al. N Engl J Med.2005;353:33-45.7)Gisslinger H, et al. Blood.2013;121:1720-1728.公開履歴初回2013年05月09日更新2019年12月24日

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再発/難治性のB細胞リンパ腫、ペムブロリズマブの奏効率45%以上

 米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPhilippe Armand氏らは、再発または難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(rrPMBCL)について、予後不良であり、その治療は喫緊のアンメットニーズとなっているが、PMBCLは9p24領域の遺伝子異常およびPD-L1の過剰発現と関連していることから、PD-1阻害薬が効果を発揮する可能性があると仮定した。第Ib相「KEYNOTE-013試験」および第II相「KEYNOTE-170試験」の結果、ペムブロリズマブはrrPMBCLに対し高い奏効率と奏効の持続を発揮し、安全性プロファイルは管理可能であることを明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌2019年12月1日号掲載の報告。 研究グループは、第Ib相KEYNOTE-013試験(NCT01953692)および第II相KEYNOTE-170試験(NCT02576990)において、rrPMBCL成人患者にペムブロリズマブを疾患進行または許容できない毒性発現まで、あるいは最長2年間投与した。 主要評価項目は、KEYNOTE-013試験が安全性および奏効率(ORR)、KEYNOTE-170試験がORR。副次評価項目は奏効期間、無増悪生存(PFS)期間、全生存(OR)期間および安全性、探索的評価項目がバイオマーカーとペムブロリズマブ活性との関連であった。 主な結果は以下のとおり。・ORRは、KEYNOTE-013試験の21例において48%(完全奏効[CR]:7例、33%)、KEYNOTE-170試験の53例において45%(7例、13%)であった。・追跡期間中央値はKEYNOTE-013試験が29.1ヵ月、KEYNOTE-170試験が12.5ヵ月で、いずれも奏効期間は中央値に到達しなかった。・CRが得られた患者に増悪例はなく、うち2例はCR後1年以上治療を行わなかった。・治療関連有害事象の発現率はKEYNOTE-013試験群が24%、KEYNOTE-170試験が23%で、治療に関連した死亡はみられなかった。・評価が可能であった42例において、9p24遺伝子異常はPD-L1発現と関連しており、さらにPFSと有意に関連していた。

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薬剤耐性菌の菌血症による死亡、国内で年8千例超

 これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。 本研究では、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)のデータから、2011~17年における日本全国の菌血症症例数を算出し、過去の研究に基づいた死亡率と合わせて菌血症による死亡数を推定した。 主な結果は以下のとおり。・黄色ブドウ球菌による菌血症での死亡は、2011年は1万7,412例、2017年は1万7,157例と推定された。このうち、MRSA菌血症による死亡は、2011年は5,924例(34.0%)、2017年は4,224例(24.6%)と減少した。・大腸菌による菌血症での死亡は、2011年は9,044例、2017年は1万4,016例と増加した。このうち、FQREC菌血症は、2011年は2,045例(22.6%)、2017年は3,915例(27.9%)と増加した。

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再発・難治性慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫治療薬、ベネトクラクス発売/アッヴィ

 アッヴィ合同会社は、2019年11月22日、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)を発売した。 ベネトクラクスはファーストインクラスの経口BCL-2阻害薬で、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用がある。 今回の承認は、国内第I/II相試験 および、21ヵ国、389例の再発/難治性CLL患者を対象とした 多施設無作為化非盲検国際共同試験MURANO第III相臨床試験データに基づいている。 MURANO試験では、再発/難治性CLL患者において、ベネトクラクスとリツキシマブ併用投与群と、標準治療であるベンダムスチンとリツキシマブ併用群を比較。主要評価項目である無増悪生存期間において、ベネトクラクスとリツキシマブ併用投与群のベンダムスチンとリツキシマブ併用群に対する優越性が検証され、層別ハザード比:0.17(95%信頼区間:0.11~0.25)との結果なった。有効性副次評価項目では、ベネトクラクスとリツキシマブ併用投与群において全奏効率 92.3%を達成し、末梢血MRD陰性率(血液または骨髄中に残るCLL細胞が白血球 10,000個中1個未満)62.4%を達成した。

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早く治療すれば怖くないHIV感染症

 ギリアド・サイエンシズ会社は、12月1日の「世界エイズデー」を前に都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、2020年の東京オリンピックを控え、性感染症のアウトブレイクへの備えについて講演が行われた。 なお、12月1日より日本で販売されている抗HIV薬テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(商品名:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)など6品目の製造販売承認は鳥居薬品株式会社から同社が承継する。寿命は健康な人に近付きつつあるが… セミナーでは、「HIV感染症・エイズ -予防・治療の新時代-」をテーマに、松下 修三氏(熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 臨床レトロウイルス学分野 教授)を講師に迎え、最新のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する知見のほか、オリンピックへの備えについて過去の取り組み例とともに説明された。 エイズは、HIVが免疫の中心的な働きを担うCD4+細胞に感染し、CD4+細胞を破壊することで身体の免疫機能が減少する感染症である。感染経路は、性的接触、血液感染、母子感染の3経路が知られている。 わが国のHIV感染者、エイズ患者数は2018年で累計3万人を超え、2017年では1,389人が報告されている。 初発の感染症状は、発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉・関節痛、頭痛、下痢などインフルエンザに似ており、この後6ヵ月~10年の無症候期を経て、エイズを発症する。エイズ発症期には、ニューモシスチス肺炎、口腔/食道カンジタ症、サイトメガロウイルス網膜炎がみられ、2~3年でエイズ脳症へ進展する。 治療では、抗ウイルス療法(ART)として、クラスの異なる抗ウイルス薬を組み合わせる多剤併用療法が行われる。標準的には、核酸系逆転写阻害剤2種類にプラスして、インテグラーゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤か、非核酸系逆転写阻害剤を用いる。ARTの導入によりHIV感染者の平均寿命は、一般人の寿命に近付きつつあり、20歳でHIV感染の診断を受けても60歳近くまで生存できる寿命予測がスイスから報告されている1)。 エイズは現在では、早期発見・早期治療の開始により、怖い病気ではなくなったといえる。しかし一方で、一度罹患したHIVの排除ができないことから生涯の服用が必要となるほか、服用にともなう内分泌疾患や易骨折などの合併症が知られ、これらへの対応が急務となる。コンドームで予防、課題は検査のハードル エイズの予防には、どのような手段があるだろうか。広く性感染症も含めエイズでも、現在コンドームの使用が推奨されているが、同性間の性交渉では使用率が50%前後にとどまり、「この使用率の引き上げが今後の課題だ」と同氏は指摘する。また、早期治療で93%の感染減少が報告されたHPTN 052の最終報告を示し、たとえパートナーがHIV感染者であっても早期からARTを開始し、ウイルスが抑制されていれば他者への感染が起こらないという2)。 そのほか、最近では曝露前予防内服(PrEP)としてHIV未感染のハイリスク者が、あらかじめ感染リスクを軽減するためにエムトリシタビン・テノホビル(同:ツルバダ)などの抗HIV薬を予防的に内服することが米国、フランス、カナダ、オーストラリアなどで実施されている(なお日本では予防薬として承認された薬剤はない)。 今後、予防のためにも早期発見が重要となるが、「無料かつ匿名で検査できる保健所の検査の認知度が低く、これらの啓発や検査へのハードルをいかに下げていくか解決が必要」と同氏は語る。持ち込み感染症対策で何をすべきか 東京オリンピックが開催される2020年は、広範囲で健康問題が引き起こされる可能性(とくに感染症のリスク)があり、医療者はイベント主催者などと協力し、健康に対する緊急事態に備える必要がある。 日本感染症学会では、「症状からアプローチするインバウンド感染症への対応~東京2020大会にむけて~ 感染症クイック・リファレンス」(www.kansensho.or.jp/ref/)のウェブサイトを設置し、持ち込み感染症への情報提供を行っている。 過去のオリンピックの事例につき、ロンドンでは、選手へのコンドームの配布や一般への啓発資材の配布が、リオデジャネイロでは、オンラインカウンセリングの実施や外国人感染者むけのARTの提供などが行われた。わが国でもこれらを参考に、「診療できる施設や専門医との連携システムの整備、新しい検査体制の確立、HIV診療の期間短縮、早期診断治療のためのPrEPなど、オリンピックを契機に整備・構築されることが期待される」と展望を語り、講演を終えた。

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小児・若年AMLの真菌症予防に至適な抗真菌薬は?/JAMA

 米国・フィラデルフィア小児病院のBrian T. Fisher氏らは、小児~若年成人の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、侵襲性真菌症(IFD)の予防におけるカスポファンギンとフルコナゾールの有効性を比較検討した。予定されていなかった中間解析で無益性(futility)が示唆されたため、それ以上の患者登録を中止し、登録済みの患者で試験を継続したところ、カスポファンギンのIFD予防効果が優れることが示された。AMLの小児~若年成人患者では、酵母菌および糸状菌の双方による生命を脅かすIFDのリスクが高いとされる。フルコナゾールが酵母菌に対してのみ活性を示すのに対し、カスポファンギンは酵母菌および糸状菌の双方に活性を有することから、カスポファンギンのほうがIFDの予防効果が高い可能性が示唆されている。JAMA誌2019年11月5日号掲載の報告。IFDとIAの予防効果を比較する北米の無作為化試験 本研究は、化学療法施行後の好中球減少発症期のAML患者における、カスポファンギンとフルコナゾールによるIFDの予防効果を比較する多施設共同非盲検無作為化試験。2011年4月~2016年11月の期間に、カナダと米国の115施設で患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、年齢3ヵ月~30歳、新たに診断された初発(de novo)、再発、2次性のAML、または混合表現型急性白血病など他の診断により、AMLの標準的化学療法が予定されている患者であった。 被験者は、初回化学療法中に、カスポファンギンまたはフルコナゾールを予防投与する群に無作為に割り付けられた。予防投与は、個々のサイクルの全身化学療法施行後24~72時間に開始され、絶対好中球数が最低値から100~500/μLに達するか、または次回の化学療法が開始されるまで行われた。 主要アウトカムは推定診断または確定診断されたIFDとし、盲検下に中央判定が行われた。副次アウトカムは、推定/確定診断された侵襲性アスペルギルス症(IA)、経験的抗真菌薬治療(empirical antifungal therapy)、全生存(OS)であった。 394例(予定登録患者数の72%)に関して、事前に予定されていた2回目の有効性の中間解析と、予定外の無益性解析を行ったところ、無益性が明らかとなったため、2016年11月11日、本試験の患者登録は終了となった。登録済みの患者は、プロトコルに従って試験を完遂した。IFDとIAの予防効果は優れる、経験的治療とOSに差はない 517例(年齢中央値9歳[範囲0~26歳]、女性44%)が登録され、508例(98%、カスポファンギン群253例、フルコナゾール群255例)が試験を完遂した。 23例でIFD(カスポファンギン群6例、フルコナゾール群17例)が認められ、7例が酵母菌、14例が糸状菌であり、2例は特定不能であった。 5ヵ月時の推定/確定診断されたIFDの累積発生率は、カスポファンギン群が3.1%(95%信頼区間[CI]:1.3~7.0)、フルコナゾール群は7.2%(4.4~11.8)であった(p=0.03、log-rank検定)。 また、糸状菌に起因する14例のIFDのうち、8例(57%)が推定/確定診断されたIAであった。5ヵ月時の推定/確定診断されたIAの累積発生率は、カスポファンギン群が0.5%(95%CI:0.1~3.5)、フルコナゾール群は3.1%(1.4~6.9)であった(p=0.046、log-rank検定)。 経験的抗真菌薬治療(カスポファンギン群71.9% vs.フルコナゾール群69.5%、p=0.78、log-rank検定)および2年OS率(68.8% vs.70.8%、p=0.66、log-rank検定)には、両群間に差はみられなかった。 有害事象は、カスポファンギン群が32.8%、フルコナゾール群は38.4%で認められた。最も頻度の高い有害事象は、低カリウム血症(カスポファンギン群22例vs.フルコナゾール群13例)、呼吸器不全(6例vs.9例)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)上昇(4例vs.8例)であった。 著者は、「カスポファンギンは、IFDの予防法とみなされる可能性が示唆されるが、予定外の中間解析で無益性が明らかとなり、試験は早期終了となったため、研究結果の解釈は限定的となる」としている。

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今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

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経口の糞便移植で死亡例、その原因は?/NEJM

 糞便微生物移植(FMT)の臨床試験に参加した被験者で、死亡1例を含む4例のグラム陰性菌血症が発生していたことが明らかにされた。米国・ハーバード大学医学大学院のZachariah DeFilipp氏らによる報告で、そのうち術後にESBL産生大腸菌(Escherichia coli)血症を発症した2例(1例は死亡)は、別々の臨床試験に参加していた被験者であったが、ゲノムシークエンスで同一ドナーのFMTカプセルが使用されていたことが判明したという。著者は、「有害感染症イベントを招く微生物伝播を限定するためにもドナースクリーニングを強化するとともに、異なる患者集団でのFMTのベネフィットとリスクを明らかにするための警戒を怠らない重要性が示された」と述べている。FMTは、再発性/難知性クロストリジウム・ディフィシル感染症の新たな治療法で、その有効性・安全性は無作為化試験で支持されている。他の病態への研究が活発に行われており、ClinicalTrials.govを検索すると300超の評価試験がリストアップされるという。NEJM誌オンライン版2019年10月30日号掲載の報告。使用されていたのは検査強化前の冷凍FMTカプセル 研究グループは、術後にESBL産生大腸菌血症を発症した2例(1例は死亡)について詳細な調査報告を行った。 まずドナースクリーニングと、カプセル製剤手順を検証したところ、ドナースクリーニングは施設内レビューボードと米国食品医薬品局(FDA)による承認の下で行われており、集められたドナー便はブレンダーでの液化や遠心分離などの処置を経て懸濁化され、熱処理などを受けて製剤化が行われていた。ただし、2019年1月にFDAの規制レビューを受けてドナースクリーニングを強化していたが、件の2例に使用されたFMTカプセルは2018年11月に製造されたものであったという。この時に強化された内容は、ESBL産生菌、ノロウイルス、アデノウイルス、ヒトTリンパ親和性ウイルス タイプ1およびタイプ2抗体を検査するというものであった。規制レビューを受けた後も、それ以前に製剤化・冷凍保存されていたFMTカプセルについて、追加の検査や廃棄はせず試験に使用されていた。FMT前の被験者の便検体からはESBL産生菌は未検出 患者(1)は、C型肝炎ウイルス感染症による肝硬変の69歳男性で、難治性肝性脳症の経口カプセルFMT治療に関する非盲検試験に参加した被験者であった。2019年3月~4月に、15個のFMTカプセルを3週間に5回にわたって移植。術後17日(2019年5月)までは有害事象は認められなかったが、発熱(38.9度)と咳を呈し、胸部X線で肺浸潤を認めレボフロキサシンによる肺炎治療が行われた。しかし、臨床的改善が認められず2日後に再受診。患者(1)は、その際に前回受診時での採血の血液培養の結果でグラム陰性桿菌が確認されたことを指摘され、ピペラシリン・タゾバクタムによる治療を開始し入院した。培養されたグラム陰性桿菌を調べた結果、ESBL産生大腸菌であると同定された。患者(1)の治療はその後カルバペネムに切り替えられ、さらに14日間のメロペネム投与(入院治療)、さらにertapenem投与(外来治療)を完了後、臨床的安定性を維持している。フォローアップ便検体のスクリーニングでは、ESBL産生菌は検出されなかった。 患者(2)は、骨髄異形成症候群の73歳男性で、同種異系造血幹細胞移植の前後に経口カプセルFMTを行う第II相試験に参加していた。15個のFMTカプセルを、造血幹細胞移植の4日前と3日前に移植。造血幹細胞移植の前日に、グラム陰性菌血症リスクを最小化するためのセフポドキシム予防投与を開始した。しかし、造血幹細胞移植後5日目(最終FMT後8日目)に発熱(39.7度)、悪寒、精神症状の異変を呈した。血液培養の採血後、ただちに発熱性好中球減少症のためのセフェピム治療を開始したが、その晩にICU入室、人工呼吸器装着となる。予備血液培養の結果、グラム陰性桿菌の存在が示され、メロペネムなど広域抗菌薬を投与するが、患者の状態はさらに悪化し、2日後に重篤な敗血症で死亡した。最終血液培養の結果、ESBL産生大腸菌が検出された。 なお患者(1)(2)とも、FMT前の便検体からESBL産生菌は検出されなかったという。

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再発・難治性のFLT3変異陽性AML、ギルテリチニブがOS延長/NEJM

 再発または難治性のFMS様チロシンキナーゼ3遺伝子(FLT3)変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対し、ギルテリチニブによる治療はサルベージ化学療法に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長し、血液学的回復を伴う完全寛解の割合も増加したことが示された。米国・ペンシルベニア大学のAlexander E. Perl氏らが、371例の患者を対象に行った第III相の無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年10月31日号で発表した。再発または難治性のFLT3変異陽性AMLの患者が、サルベージ化学療法に反応するのはまれである。ギルテリチニブは、経口の強力な選択的FLT3阻害薬で、再発または難治性のFLT3変異陽性AMLに対して単剤で活性する。OS期間と完全寛解の達成割合を比較 研究グループは14ヵ国107ヵ所の医療機関を通じて、再発・難治性のFLT3変異陽性AMLの成人患者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはギルテリチニブ(120mg/日)を投与し、もう一方にはサルベージ化学療法を行った。 主要エンドポイントは2つで、OS期間と、完全または部分的な血液学的回復が認められる完全寛解が得られた患者の割合とした。副次エンドポイントは、無イベント生存(再発や寛解未達成といった治療失敗や死亡がない)および完全寛解の達成患者の割合などだった。OS期間中央値、ギルテリチニブ群9.3ヵ月、化学療法群5.6ヵ月 適格患者371例のうち、ギルテリチニブ群は247例、化学療法群は124例だった。OS期間中央値は、ギルテリチニブ群(9.3ヵ月)が化学療法群(5.6ヵ月)よりも有意に延長した(死亡に関するハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.49~0.83、p<0.001)。無イベント生存期間の中央値は、ギルテリチニブ群2.8ヵ月、化学療法群0.7ヵ月だった(治療失敗または死亡のHR:0.79、95%CI:0.58~1.09)。 完全または部分的な血液学的回復を伴う完全寛解の割合は、ギルテリチニブ群34.0%、化学療法群15.3%だった(リスク差:18.6ポイント、95%CI:9.8~27.4)。完全寛解の割合は、ギルテリチニブ群21.1%、化学療法群が10.5%だった(リスク差:10.6ポイント、95%CI:2.8~18.4)。 治療期間で補正後の解析において、Grade3以上の有害事象と重篤な有害事象の発現頻度は、ギルテリチニブ群が化学療法群よりも低かった。ギルテリチニブ群で最も多かったGrade3以上の有害事象は、発熱性好中球減少症(45.9%)、貧血(40.7%)、血小板減少症(22.8%)だった。

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ロミプロスチム、化学療法誘発性血小板減少症を改善/JCO

 米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのGerald A. Soff氏らは、化学療法誘発性血小板減少症を伴う固形がん患者を対象に、ロミプロスチム投与群と経過観察群を比較する無作為化第II相臨床試験を行い、ロミプロスチムは化学療法誘発性血小板減少症の改善に有効であることを明らかにした。化学療法誘発性血小板減少症は、がん治療の遅延または縮小につながるが、これまでに承認された治療法はない。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年9月23日号掲載の報告。 研究グループは、化学療法を遅延または減量しても血小板数が4週間以上10万/μL未満の患者23例を、ロミプロスチム群(目標血小板数10万/μL以上とし、毎週用量を漸増)または対照群(通常ケアでモニタリング)に無作為に割り付けた。その後、37例をロミプロスチム単独群として治療した。 主要評価項目は3週間以内の血小板数の改善、副次評価項目は化学療法誘発性血小板減少症の再発を伴わない化学療法の再開とした。 主な結果は以下のとおり。・登録時の平均血小板数は6万2,000/μLであった。・無作為化試験期において、ロミプロスチム群では15例中14例(93%)が3週間以内に血小板数の改善を認めたのに対し、対照群では8例中1例(12.5%)であった(p<0.001)。・ロミプロスチムで治療されたすべての患者(52例)は、治療2週時で平均血小板数が14万1,000/μLであった。・対照群8例では、治療3週時で平均血小板数が5万7,000/μLであった。・ロミプロスチムにより血小板数が改善した44例は、ロミプロスチム毎週投与の併用により化学療法を再開した。・化学療法誘発性血小板減少症のため、再び化学療法の遅延または減量に至った患者は3例(6.8%)であった。

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毎日使える 街場の血液学

第1回 小球性貧血を診る第2回 大球性貧血を診る第3回 高齢者/思春期の貧血第4回 多血症を診る第5回 白血球の異常を診る第6回 血小板の異常を診る 血液学に苦手意識を持っていませんか?医師国家試験で暗記したような血液疾患に日常診療で出合うことはまれ。血液学の醍醐味は、街場―そう毎日向き合う、ありふれた血液検査値異常を読みこなすことにあるんです。高齢者の貧血、若年者の貧血、健診で見つかるような検査値異常など、ありふれた血液疾患も、年齢や症状に応じた確認すべき項目を押さえると、驚くほど簡単に原因を突き止め治療のルートにのせることができるようになります。日々の診療に活きる血液学の使い方を学びましょう!第1回 小球性貧血を診る小球性貧血は最もよくみる血液疾患。なかでも鉄欠乏性貧血は頻繁に出合うからこそ、気を付けたい落とし穴があります。MCV低値だけで判断していませんか?鉄剤が効かないときどうしますか?貧血を正しく診断・治療するためのエッセンスをお伝えします。第2回 大球性貧血を診る国試でよく出題される悪性貧血、臨床で遭遇することはまれ。日常診療で必要なのは、MCVの数値ごとに疑う疾患を理解すること。MCV101~110、110~120、そしてMCV130以上と分けて、簡潔に疑うべき疾患とすべき検査や治療をコンパクトに解説します。第3回 高齢者/思春期の貧血高齢者の貧血、原因は3つに分けられれます。原因ごとにその鑑別と対応を解説します。思春期の患者、女子ならば月経の開始とともに鉄欠乏性貧血を疑いますが、実は男子でも貧血の可能性があるんです。どんな場合に気を付けるべきか伝授します。第4回 多血症を診る多血症、Ht値の上昇をみたとき、真っ先に確認すべきは喫煙の有無。喫煙者と非喫煙者では検査前確率が大きく異なります。喫煙、非喫煙ごとに気を付けるべき項目を解説します。第5回 白血球の異常を診る健診で見つかるような白血球の増加減少。増加・減少のどちらでも、白血球の分画を確認すると原因を鑑別することができます。経過観察でよい例、すぐに専門医に紹介すべき場合を実例を提示して、注目すべきポイントをさくっと解説します。第6回 血小板の異常を診る血小板の減少や増加は健診で発見されるケースが多い異常値ですが、実は疾患でない場合も多いもの。クローナルな異常を疑う前に、疾患に起因しない異常を除外する方法を学びます。よくある2つの事例を押さえれば、あとは通常の診療とすこしの血液学の知識で対応可能です。緊急に専門医に紹介すべき例もあるので、番組で取り上げる異常値は必ず押さえておきましょう。

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多剤抵抗性骨髄腫に対する新規治療薬selinexor(解説:藤原弘氏)-1119

 骨髄腫に対する新規治療薬の開発が進み、今では、プロテアソーム阻害剤(PIs)、免疫調節薬(iMIDs)、そして抗体薬をそれぞれ複数手にしている。そのうえで、より深い寛解を目指して自家移植を中心に、これら薬剤を組み合わせて、あるいは使い分けて、患者QOLを保ちながらOSを延ばすことに苦心している。その“How to”自体が1つの重要なclinical questionとなっている。さらには、シクロホスファミドをはじめ、CHOP療法のようなリンパ腫に準じた抗がん剤治療なども日常診療では選択する場合もあり、骨髄腫治療は本当に多岐にわたり、10年単位で骨髄腫患者さんとお付き合いできるようになった。一方でこの現実は、これら複数の薬剤に抵抗性(triple-class refractory)となった骨髄腫に対する治療法の開発を必要とする状況を生んだ。そうした患者群に対する新薬としてnuclear transporter exportin1(別名:chromosome region maintenance 1[CRM1])阻害剤selinexorが検討され(STORM試験)、デキサメタゾンとの併用で期待できる結果が得られたとして、New England Journal of Medicine誌に、この8月報告された(試験の詳細は他稿で紹介されているので、そちらをお読みいただきたい)。 この試験の対象患者には、CAR-T細胞治療後再発2例も含まれ、正に“今”を反映している。本文中にもあるが、病勢進行が速いtriple-class refractory症例を対象とすることから用量を高く設定したことに加えて、その作用機序からも、出血傾向は伴わないとしても高度の血小板減少を含む血球減少が強く出ている。日常診療において、たとえばiMIDsを長く使用してt-MDSを背景に汎血球減少を伴う症例も少なからず経験する。実臨床の場では、selinexorの用量・用法をもっと現実に合わせて高度の血球減少を避けることになるのだろうが、そのときの抗腫瘍効果は? と、気になるところではある。一方で、基礎検討において、selinexorはPIsとは相乗的に、iMIDsとは相加的に、さらには骨髄腫細胞の抗体薬への感受性を上げるとのメリットが報告されており、将来的には、併用薬としてフロントラインに出てくることもあるのだろう。“あらゆる手を打ち尽くして”治療抵抗性となったB-ALLに対するCD19 CAR-Tが、進行期固形がんに対するチェックポイント阻害剤が患者のみならず社会全体の希望となったように、多剤抵抗性となった骨髄腫患者にとって、“まだ治療選択肢がある”と示された事実は、重要な意義がある。

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腫瘍循環器病学の基礎研究の1つとなる論文(解説:野間重孝氏)-1113

 腫瘍循環器病学(Onco-cardiology)という領域には、まだあまりなじみのない方が多いのではないかと思う。この領域が本格的に稼働し始めたのは今世紀に入ってからで、実際、最初の専門外来がテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター内に開設されたのは2000年の出来事だった。わが国で同種の外来が大阪府立成人病センターにおいて初めて設置されるには、その後10年を待たなくてはならなかった。こうした事情を考えると、この領域について少し解説を加える必要があるのではないかと思う。 がん治療における心毒性の歴史は、アントラサイクリン心筋症に始まる。抗がん剤において急性期心毒性に加え、1年以上も経過してから出現する亜急性期心毒性が報告されたことが、同剤の心毒性についての関心を大きく高めた。1970年代の出来事である。その後の研究で、アントラサイクリンの投与容量がドキソルビシン換算400~450mg/m2以上で、高い頻度で心不全の発症が見られることがわかり、投与量を計画的に制限することでその発症を大幅に減少させることが可能になった。この一連の研究が、腫瘍循環器病学のいわば基礎になったことは言うまでもない。 その後がんの病態の解析が進み、今世紀には分子標的薬が出現する。HER2受容体を特異的に阻害する抗体であるトラスツズマブの出現は、今まで増殖性が強く難治性であったHER2陽性乳がんの予後を著明に改善し注目された。しかし、投与前には予想されていなかった心不全例が出現し、その原因としてHER2受容体が心筋細胞にも存在することが証明されたことは、大きな驚きをもって迎え入れられた。最近の最大の話題の1つに、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬があるが、この種の薬剤でも劇症心筋炎が報告され、対応が苦慮されている。つまり新しい抗がん剤が出現すると、さらに新しい作用に合わせた予想できない心毒性が出現する可能性が考えられるのである。 しかし一連の研究の流れが、薬剤の心毒性→薬剤性心筋症→心不全という方向だけだったなら研究は薬剤研究の範囲内にとどまり、腫瘍循環器病学という新しい分野が創出されるに至ったかどうかは疑わしいと思う。がんから回復した患者(がんサバイバー)にがん治療からかなり時期をずらして静脈血栓症が多発すること、そして何よりもがんサバイバーに冠動脈疾患の発生率が高いことが(数倍~10倍ともいわれる)、この領域の研究がぜひ必要と認知される決定的な理由になったのではないかと思う。これらの疾患は原因・病態が複雑でひとくくりにできる性格のものでないことは言うまでもないが、まだその細かな解析にまでは至っていないのが現状である。この領域は、まだ生まれたばかりなのである。 さて、本論文はそうした状況の中、代表的ながん20種について英国の権威あるデータベースであるUK Clinical Practice Research Datalinkを用い、がんサバイバー10万8,215例に対し、年齢・性別をマッチさせた52万3,541例の(つまり複数の)対象をおいて心血管疾患の発生を25年にわたって追跡した大規模疫学研究である。それぞれのがんについて心血管疾患の発生倍率を算出し、かつ信頼区間についても明示された。研究グループの地道な努力に敬意を表するものである。さらに、従来この種の疫学研究は比較的若年者を対象とすることが多かったが、本研究では高齢者も対象としており、かつ年齢が発生頻度と関係することを示したことも注目されるべき点だろう。なお著者らは今回の研究の限界として、投与された化学療法の種類や投与量、がんの再発、心血管疾患の家族歴、人種、食事、アルコール消費量などの情報に信頼できるデータを示すことができなかったことを挙げているが、評者にはこれは確かに限界と言えば限界には違いないが、この種の疫学調査では避けて通れない種類の限界であり、この研究の価値を下げるものではないと思われる。それぞれの患者がそれぞれ置かれた環境で至適治療を受けたという事実が問題で、その結果としてどうなったのかこそが問題だからである。 今後がん治療には、どんどん新しい分野が開拓されていくことが予想される。その際、最も問題になるのが心血管系合併症であることが、はっきりと示されたことは大変に重要なことだと考える。本論文は正確な実態を把握することを主目的とし、何か新しい知見を示すことを目的とはしていない。しかし、今後ますます重要性を増していくであろうこの分野における、記念碑的な論文の1つになるであろうと考えるものである。

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D-Indexに基づくFNの抗真菌治療/日本がんサポーティブケア学会

 好中球減少期間の長い高リスク治療では、広域抗菌薬不応患者の発熱性好中球減少症(FN)に経験的抗真菌治療(EAT:empiric antifungal therapy)が推奨されるものの、過剰治療の問題が残る。そのため、バイオマーカーや画像所見に基づく抗真菌薬の先制治療が試みられるようになった。しかし、先制治療では深在性真菌症の増加が懸念されている。そこで好中球減少の深さと持続期間を面積で評価するD-Indexによる早期抗真菌治療(DET:D-index guided early antifungal therapy)を考案し、EATとの無作為比較試験(CEDMIC試験)を実施した。その結果を第4回日本がんサポーティブケア学会学術集会において自治医科大学附属さいたま医療センターの木村 俊一氏が発表した。D-Indexに基づく早期抗真菌治療は経験的治療と比べて抗真菌薬の使用を減少 対象:好中球減少期間(500/μL未満)が7日以上と予想される化学療法や造血幹細胞移植を受ける造血器腫瘍患者・試験群(DET):累積のD-Index(C-Index)5500未満の場合、真菌バイオマーカーで異常がみられたらミカファンギン150mg/日開始。C-Index5500以上の場合、FNが持続または再燃した時点で検査結果に関わらずミカファンギン150mg/日を開始・対照群(EAT):広域抗菌薬開始から4日目以降にFNが持続・再発した時点でミカファンギン150mg/日を開始・評価項目:[主要評価項目]Proven/Probable真菌感染症の発症、[副次評価項目]42、84日時点での全生存率、ミカファンギンの投与頻度、ミカファンギンの有効性評価 D-Indexによる早期抗真菌治療と経験的抗真菌治療を比較した主な結果は以下のとおり。・423例が登録され413例がITT解析対象となった(DET群212例、EAT群201例)。・Proven/Probable真菌感染症の発症はDET群0.5%(1/212例)、EAT群2.5%(5/201例)とDET群のEAT群に対する非劣性が証明された。・DET群とEAT群の全生存率は、42日目で98.6%対98.0%、84日目で96.2%対96.4%と両群間で差と認めなかった。・ミカファンギン投与症例はDET群で32.5%、EAT群では60.2%とDET群で有意に少なかった(p<0.001)。・ミカファンギンの有効性はDET群で68.7%、EAT群では79.6%とEAT群で良好な傾向がみられた。高リスク群に限定すると69.1%対78%で統計的な有意差は認めなかった(p=0.30)。 D-Indexに基づく早期抗真菌治療(DET)は経験的治療(EAT)と比べ、死亡や真菌症発症を増やすことなく、抗真菌薬の使用を減少させた。

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