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知っておきたい新しいオピオイド(1)タペンタドール【非専門医のための緩和ケアTips】第35回

第35回 知っておきたい新しいオピオイド(1)タペンタドール私が緩和ケアの仕事を始めた頃と比べ、臨床で活用できるオピオイドが増えています。今回は、国内承認が比較的最近で、使ったことのある方がまだ少ないと思われる「タペンタドール」についてお話しします。今日の質問「オピオイドといえばモルヒネ」という時代からすると、さまざまなオピオイドの選択肢が増えたことは良いのですが、使い分けがよくわかりません。先日、がん拠点病院から紹介されてきた患者さんは、タペンタドールというオピオイドを内服していました。どういった特徴のある薬剤なのでしょうか?タペンタドール(商品名:タペンタ)は、2014年に保険承認されました。緩和ケアを専門とする医療者には広く知られるようになった一方で、プライマリ・ケア領域では、まだ使用経験のない先生も多いでしょう。タペンタドールは「強オピオイド」に位置付けられる薬剤です。日本では徐放製剤のみが発売されており、適応は各種がんにおける中等度から高度の疼痛です。タペンタドールは薬理学的にはユニークな特徴があります。腎機能障害があっても使用ができ、便秘が少ないとされています。このあたりはモルヒネと比較して、好んで使用される特徴でしょう。オピオイドはμオピオイド受容体を介した鎮痛効果が中心ですが、タペンタドールはSNRI様作用も有しています。SNRIと聞いて抗うつ薬を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。緩和ケア領域では抗うつ薬を神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬として用います。タペンタドールはこの鎮痛補助役としての作用も有する、ユニークなオピオイドなのです。より薬理学的なポイントとしては、「CYP2D6」という酵素活性に影響を受けない代謝経路になっていることが挙げられます。これは他薬剤との併用の際に大切です。併用薬剤によっては代謝酵素に影響を及ぼし、作用が減弱したり逆に予想よりも強く出たり、といった相互作用が生じるのです。さらなる特徴は、オピオイドの濫用防止の加工がしてあることです。粉砕できないように加工されており、水に溶かすとネバネバのゼリー状になります。よって、経管投与ができません。注射薬もないので、内服が難しくなりそうな患者の場合は、早めに別のオピオイドに変更するマネジメントが必要になります。私がタペンタドールが最も適すると感じるのは、頭頸部がんの難治性がん疼痛の患者、抗真菌薬のような相互作用に注意が必要な薬剤をよく使う血液腫瘍の患者さんなどです。もちろん、こうした患者さんは内服が難しい状況にもなりやすいのでその見極めも必要です。そうした意味では、少し“上級者向け”のオピオイドといえるかもしれません。今回のTips今回のTipsタペンタドールはユニークな特性を持つ、少し“上級者向け”のオピオイド。

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キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。 ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。 今回の承認について代表取締役社長のレオ・リー氏は、「FL患者さんの中には、十分な効果が得られないまま、いくつもの治療を受け続けなければならない方も多く、そうした患者さん、ご家族の負担は計り知れません。『キムリア』は、長期に及ぶ治療に苦しまれる再発・難治性のFL患者さんを、治療サイクルの連鎖から解き放つ可能性があります。患者さんだけでなく、ご家族や治療に臨まれる医療従事者の方々の負担軽減と希望につながることを期待しています」と述べている。

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FGFR1融合遺伝子陽性の血液がんに福音

 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍(8p11骨髄増殖症候群)」という血液がんをご存じだろうか? 本疾患の患者数はきわめて少なく、本邦における新規患者数は年間数例程度で、予後が悪いため、全患者数もきわめて少ない。本疾患に対し、8月8日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬ペミガチニブの適応拡大申請を行ったと発表した。この発表を受け、同社の黒山 祥志氏(プロダクト&コマーシャルストラテジー エグゼクティブ・ディレクター)、鈴川 和己氏(臨床開発 シニアメディカルディレクター)を取材した。FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍にペミガチニブが高い効果 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」はヒトの8番染色体の短腕11領域(8p11)に位置するFGFR1遺伝子が切断され、他の染色体に含まれる別の遺伝子が融合して新たな遺伝子を形成することによって引き起こされる。発熱、体重減少、寝汗などの全身症状が認められることがあり、患者の多くで、末梢血または骨髄に好酸球の増加が認められる1)。 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」の標準治療は確立しておらず、治癒あるいは長期寛解を期待できる治療選択肢は、現在、同種造血幹細胞移植のみである。臨床的な特徴から、慢性期と急性期に大別されるが、診断から12ヵ月で約半数の患者が急性期に移行し、急性期に移行する前に同種造血幹細胞移植を実施できた患者では長期的な寛解が得られるが、慢性期で同種造血幹細胞移植を実施しない場合の全生存期間(中央値)は9ヵ月、急性期の1年生存率は約30%と予後は不良である2)。 このように「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」は、血液がんの中でも予後不良の疾患であるが、明るい話題も出てきた。昨年12月に開催された米国血液学会(ASH2021)において、本疾患に対し、ペミガチニブが高い抗腫瘍効果を示すことが発表された。この多施設共同第II相試験であるFIGHT-203試験では、前治療で増悪した患者85%、同種造血幹細胞移植歴のある患者9%を含む集団に対し、ペミガチニブの投与によって完全奏効率が64.5%に達し、主要評価項目を達成した3)。長期予後については今後の解析結果を待つことになる。主な有害事象として、高リン酸血症、脱毛、下痢が認められた。 この国際共同治験には近畿大学病院、NTT東日本関東病院も参加しており、日本人の症例も数例が含まれている。本試験結果等に基づいて、8月8日、ペミガチニブがFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍に対し、適応拡大が申請されたことが発表された。 このような画期的な治療薬ではあるが、患者がこの治療にアクセスするには課題がある。血液内科医においても「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」の認知度は低い。患者も少なく、これまでは治療する術が限られていたが、FGFR阻害薬という同種造血幹細胞移植以外の治療選択肢の登場によって本疾患への関心が高まり、恩恵を受ける患者が増えるものと期待される。

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診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。専門医の取得数が多い傾向がみられた診療科は? 全体で、専門医取得数を2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。 診療科別にみた専門医取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに専門医取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。消化器外科[n=24]:3.4(3)神経内科[n=26] :3.0(3)消化器内科[n=58]:3.0(3)腎臓内科[n=25]:2.9(3)感染症内科[n=4]:2.8(3)腫瘍科[n=10]:2.7(2.5)外科[n=33]:2.7(2)脳神経外科[n=25]:2.6(3)循環器内科[n=59]:2.5(2)糖尿病・代謝・内分泌内科[n=31]:2.4(2)呼吸器内科[n=34]:2.2(2)心臓血管外科[n=11]:2.1(2)救急科[n=10]:1.9(2)整形外科[n=55]:1.9(2)産婦人科[n=18]:1.9(2)形成外科[n=11]:1.8(1)内科[n=183]:1.7(2)血液内科[n=8]:1.6(2)小児科[n=45]:1.6(2)呼吸器外科[n=4]:1.5(1.5)リハビリテーション科[n=12]:1.5(1)放射線科[n=27]:1.5(1)総合診療科[n=15]:1.5(1)病理診断科[n=9] :1.4(2)耳鼻咽喉科[n=15]:1.3(1)泌尿器科[n=20] :1.3(1)その他[n=21]:1.2(1)麻酔科[n=27] :1.1(1)眼科[n=16]:1.0(1)膠原病・リウマチ科[n=7]:1.0(1)皮膚科[n=22] :0.8(1)精神科[n=76] :0.8(1)臨床研修医[n=59]:0.3(0)58%の医師が持っている専門医をすべて更新予定と回答 現在持っている専門医資格について聞いた質問では、認定内科医が24.5%と最も多く、総合内科専門医(18.8%)、外科専門医(8.4%)が続いた。新専門医制度の基本19領域と認定内科医、総合内科専門医以外の資格(“その他”として自由回答)を持つと回答した医師も14.4%おり、各学会認定の多様な専門医資格を取得している状況がわかる。 今後の更新予定については、現在持っている専門医資格について、58.6%の医師が「資格をすべて更新予定」と回答。「一部は更新しない予定」は3.0%、「すべてを更新しない予定」は1.1%に留まった。専門医取得による給与・待遇の向上があったと回答したのは14% 専門医を取得することによるメリットについては、「知識向上やスキルアップができた」が39.6%と最も多く、「開業時に役立った(15.8%)」「他の医師・スタッフから信頼が得られた(14.6%)」という回答が続いた。「給与や待遇が向上した」と回答したのは14.1%だった。 一方のデメリットについては、「受験料、更新料、学会参加などで費用がかかる」が36.3%と最も多く、「学会での単位取得など、時間的な負担が大きい(31.3%)」「評価システムへの登録等、手続きが煩雑(15.7%)」といった時間・手間等の負担を挙げる声が多く上がった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。会員医師の専門医取得状況は―医師1,000人に聞きました

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いまだに残る小児がんのドラッグラグ、求められる政策の抜本的な改革

 「開発された薬があるなら、日本にも届けてもらいたい」小児がん患者家族の代表である鈴木 隆行氏は訴える。小児がんは日本の小児の死亡原因トップで、年間500名が亡くなる。それにもかかわらず、日本の小児がんの治療薬開発は諸外国に比べ、きわめて少ない。患者団体や医療者で作る団体「小児がん対策国民会議」は2022年8月、都内でシンポジウムを開き、小児がんの新薬承認の現状を訴えた。日本の小児がん患者は海外で治験が行われていても参加できない 前出の鈴木氏の長男は生後6ヵ月でラブドイド腫瘍を発症する。その時期、米国ではラブドイド腫瘍の分子標的薬であるtazometostatの小児国際共同治験が行われていた。日本は参加していなかったため、従来の手術・化学療法・放射線を組み合わせた集学的治療を受ける。治療の合併症で日常生活に障害が残ったものの、がんは寛解に至り、一時は退院する。鈴木氏はその後もtazometostatの治験参加を模索するが実現せず、個人輸入で薬剤を手配した。ところが、5年後再発しtazometostatを使うことなく鈴木氏の長男は他界してしまう。小児がん治療薬のドラッグラグは拡大している 小児がん対象の日本の臨床試験数は38、それに対し米国では300以上、EUは160以上行われている。日本の件数は、中国と比べても4分の1、オーストラリアの約半分で、諸外国に比べ圧倒的に少ない。 小児がんの年間発症は2,000〜2,500人だが、がん種が多いため、それぞれのがんは希少がんになる。なかには50人程度の患者しかいない疾患もある。 希少疾患であるため、臨床試験の患者確保が難しい、比較試験が組めない、など小児がん治療薬の臨床試験デザインは難しい。対象患者の少なさからコスト回収が厳しく、散剤や液剤化など小児用製剤の製造コストが高い、がんが多種にわたり企業の経験が蓄積できない、など開発も簡単ではない。さらに、少量でも安定供給が求められる、薬価が下がっても販売中止できない、治療が長期に及ぶ中での全例調査など承認後も小児がん治療薬の開発企業の負担は重い。 政府は小児がん治療薬の開発促進のため、再審査期間延長、小児薬価加算といった政策を講じてはいるが、依然として日本でのドラッグラグは拡大している。 「政策はあるが、開発促進につながる有効な打ち手となっていない。従来の制度ベースではなく、抜本的な改革が必要」と小児がん対策国民会議運営委員であり国立がん研究センター中央病院の小川 千登世氏は訴える。小児がん治療薬の開発促進に新たな政策で実績をあげる諸外国 小児がんは希少疾患であり、開発の難易度が高いという条件は諸外国でも同じである。なぜ日本以上に小児がん治療薬の開発促進が進んでいるのか。 米国を例にとると、成人の分子標的薬を開発する際に小児の開発も義務づける「ICH-E11」が2000年代に採択された。さらに2017年、ICH-E11でカバーできない小児特有のがんについての研究法が「RACE(Research to Accelerate Cure and Equity) for Children Act」として開発企業に義務づけられた。RACE成立後の小児がんの承認薬は4製品から27品に飛躍的に増えている。中国は民族的要因の差異がないと判断すれば、自国での臨床試験なしに承認申請を可能にする制度を設けた。この制度により、神経芽腫の治療薬dinutuximab βは、開発権取得から2年未満で承認されている。 このように新たな政策で小児がん治療薬の開発・承認の促進の実績をあげている。小児がんドラッグラグが解消されず世界に取り残される? 小児がんの治療薬の開発企業は、日本法人のない新興ベンチャー企業が多い。新興ベンチャーにとって、ビジネスが予見できるかどうかは重要だ。結果として、予見性が立てやすい米国での開発が優先される。中国の前述の制度もこの点では有利に働くと考えられる。 「ビジネスの予見性が立てづらい日本には振り向かない可能性もある」と小児がん対策国民会議運営委員であり大原薬品工業の早川 穣氏は述べる。このままの状態では今後もドラッグラグは解消されず、世界に取り残される事態にもなりかねない。小児がんのドラッグラグ解消に制度の抜本的見直しが必要 小児がんは現在7〜8割は治ると言われるが、ドラッグラグのために命を落としてしまう患者がいるのも事実である。諸外国は有効な政策で課題に対応し、少ない毒性で効果を発揮する分子標的薬を次々に承認している。 しっかりと現状を把握しながら、制度を抜本的に見直し、小児がんのドラッグラグを解消していく必要が、いまの日本にはあるだろう。

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『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン』 、作成の狙いは?

 2022年7月、日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022年版』(金原出版)が出版された。本ガイドラインはこれが初版となる。作成にあたった日本サイコオンコロジー学会・コミュニケーション小委員会委員長の秋月 伸哉氏(都立駒込病院・精神腫瘍科)に、作成の狙いやに苦労した点について聞いた。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインの作成の狙いと経緯は? がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズは2019年に『せん妄ガイドライン』初版でスタートしました。この作成準備をはじめた2015年時点から、続けて『患者-医療者間のコミュニケーション』をガイドライン化する構想はあったのです。ただ、『せん妄』に比べてガイドライン化のハードルが高く、出版までに時間がかかった、という事情があります。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン作成で苦労された点は? まずは「臨床疑問(CQ)や推奨の強さの設定」に苦労しました。コミュニケーションというエビデンスが少なく、白黒付けにくい分野をテーマにしているため、ある程度予想はしていましたが、委員会内や外部学会の方との議論が長引く場面が多々ありました。 たとえば、患者が質問しやすくするための「質問促進リスト」を渡すことがその後の治療に益をもたらすか、といったCQであれば、「渡すか、渡さないか」なので検証する試験を設計できますが、これが「根治しない病気であることを伝える」といったコミュニケーションのパーツの益害を問うとなると、試験として設計しにくく、先行研究がほとんどありません。でもそうした細部も重要なので、できる限りエビデンスを集め、盛り込むように努力しました。 もう一つは、「アウトカムの設定」です。一般のガイドラインでは「患者の生存期間延長に寄与する治療法」が推奨される、というシンプルな構図があります。しかし、コミュニケーションそれ自体は治療ではないので、「医療者への信頼増強」や「適切な治療へのアクセス」といった間接的な寄与、社会的にあるべき情報伝達といった複数のアウトカムを総合して評価する必要がありました。--エビデンス確立が難しい分野で、敢えて「ガイドライン」にされた理由は? 医療者のあいだで「患者コミュニケーションは重要な医療技術である」という統一見解はあっても、それに関する先行研究は少なく、難渋しました。しかし、患者側からのニーズは非常に強いことも感じており、完全なものでなくても、今ある知見をガイドラインとしてまとめ、世に出すことに意味があると考えました。 がん患者とのコミュニケーションでは、再発や予後といった、非常に厳しい情報を伝えねばならない場面が多々あります。決して一律に「こうすべき」とは決められない分野ですが、現場の医療者は日々悩みながら判断し、実行しています。そうしたときに少しでも判断の助けになるものをつくりたい、という思いで取り組みました。 「診療の手引き」など、ガイドラインの体裁をとらない推奨事項のまとめ方もありますが、ガイドラインはその後の標準治療となるもので、インパクトが強い。今後の改訂の機会にまた議論ができますし、医療者教育を考える際にも検討しやすくなります。そうした波及効果に期待しています。--がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドラインを一番手にとってほしい層は? がん診療に関わる医師、とくに若手の方が今後のがん診療を支える中心なので、まずはそうした方々ですね。それに患者さん自身や患者さんの支援団体の方が読んでいただいても、医療者とのやり取りをより深く捉えるヒントになると思います。【書籍紹介】がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーション ガイドライン 2022年版https://www.carenet.com/store/book/cg003800_index.html

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輸血してもヘモグロビンが低下!DHTRの可能性は?【知って得する!?医療略語】第17回

第17回 輸血してもヘモグロビンが低下!DHTRの可能性は?輸血後、数日してから副作用が起きることがあるんですか?遅発性の副作用があり、今回はその1つであるDHTRを見てみましょう≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】DHTR【日本語】遅発性溶血性輸血副作用【英字】Delayed Hemolytic Transfusion Reaction【分野】輸血関連【診療科】全診療科【関連】急性溶血性輸血副作用AHTR(Acute Hemolytic Transfusion Reaction)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。貧血患者さんに赤血球輸血をしても、思うようにヘモグロビン濃度が上昇しないばかりか、むしろ低下する場合があります。こんな時、筆者は輸血の原因が出血疾患であれば、出血の持続、大量輸液による血液希釈、輸血量の相対的不足を考えがちです。しかし、輸血をしてもヘモグロビンが上昇しない、あるいは低下する時には、「遅発性溶血性輸血副作用(DHTR:delayed hemolytic transfusion reaction)」の可能性を想起する必要があります。DHTRは発熱や貧血、溶血所見を来すとされますが、輸血後24時間以降に発症するため、患者さんの症状や検査所見と輸血イベントの関連性に気が付き難い可能性があります。臨床現場では採血手技的に伴う「溶血」に遭遇することは多々あり、輸血を要する患者さんが感染症などを合併し、発熱することも日常茶飯事です。むしろ感染症や慢性炎症のために消耗性貧血を来し、赤血球輸血をすることも多々あります。このため、輸血して数日経ってから生じる「溶血」や「発熱」と聞いても、輸血副作用を連想することが難しいのではないかと想像します。そんな見逃されやすい要素を持つDHTRですが、2013年に前川氏が「輸血療法とその副作用―見逃されている臨床病態」として取り挙げていたので、共有したいと思います。遅発性溶血性輸血副作用DHTR : delayed hemolytic transfusion reaction【概略】輸血の遅発性副作用の1つ輸血後24時間以降に生じる輸血の溶血性副作用ほとんどは2度目以降の輸血で発症(初回輸血例は稀)【病態】過去に輸血や妊娠で赤血球に対する同種抗体を産生した既往(感作)がある場合、対応抗原陽性の赤血球が輸血されると、抗原刺激によりメモリーB細胞が数日で抗赤血球抗体を急速産生する(二次免疫反応)。この抗体と赤血球が反応し溶血反応が起きる。溶血は主に血管外溶血(まれに血管内溶血)。なお、一次免疫応答による溶血が起きるケースが稀にあり、この場合は輸血後10~20日に発症するとされる。【頻度】輸血5,000~1万回に1回【発症】輸血後24時間以降(典型例は輸血後3~14日)【症状】発熱・黄疸・悪寒・倦怠感・血尿(血色素尿)・掻痒感【検査】貧血(ヘモグロビン濃度低下)・球状赤血球・総ビリルビン上昇・LDH上昇【予後】軽度な溶血例~死亡例まであり【補足】過去の輸血や妊娠による同種抗体は、年月が経つと測定感度以下に低下することがあり、この場合は不規則抗体検査や交差適合試験では同種抗体は検出できないことがある。このためDHTRを完全防止するのは難しいとされる。1)前川 平. 日内会誌. 2013;102:2433-2439.2)前川 平ほか.臨床血液. 2008;22:1306-1314.3)澤部 孝昭ほか. 日本輸血学会雑誌. 1993;39:974-978.4)安全な輸血療法ガイド5)日本輸血・細胞治療学会 輸血療法委員会 輸血副作用対応ガイド6)日本赤十字社HP 医薬品情報-溶血性副作用7)小林航太ほか. 仙台市立病院誌2017;37.39-42.

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ペグフィルグラスチム自動投与デバイスが承認取得、化学療法後の通院不要に/協和キリン

 協和キリンは、2022年8月1日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス(製品名:ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド)について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認を7月28日付で取得したことを発表した。ジーラスタボディーポッドは薬剤が一定時間後に自動投与される機能搭載 ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッドはAmgen K-A 社より導入した持続型 G-CSF 製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として日本にて2014年より販売しており、医療機関では通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与される。同デバイスは、薬剤が一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。がん化学療法と同日に使用することでジーラスタ投与のための通院が不要となることから、患者さんの通院と医療従事者の業務の負担軽減が期待される。  協和キリンが実施したペグフィルグラスチムの安全性の評価を目的とする第I相臨床試験の結果に基づき2021年 8月に厚生労働省へ製造販売承認申請を行い、承認を取得した。<製品概要>・販売名:ジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド・一般名:ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)・効能・効果:がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制・用法・用量:通常、成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降、ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)として、3.6mgを化学療法1サイクルあたり1回皮下投与する。・製造販売承認日:2022年7月28日

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新規診断多発性骨髄腫、3剤併用(RVD)+ASCTでPFS延長/NEJM

 新規多発性骨髄腫の成人患者において、レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン3剤併用療法(RVD)と自家造血幹細胞移植(ASCT)の組み合わせは、RVD単独と比較して無増悪生存(PFS)期間を延長したが、全生存(OS)期間には差がなかったことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPaul G. Richardson氏らが米国の56施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「DETERMINATION試験」の結果、示された。新規診断の多発性骨髄腫患者に対し、RVDにASCTを追加して、その後レナリドミド維持療法を病勢進行まで継続した場合の有効性については不明であった。NEJM誌2022年7月14日号掲載の報告。RVD+ASCT vs.RVD単独の無作為化非盲検第III相試験 研究グループは、2010年10月1日~2018年1月30日に18~65歳で新規に診断された症候性の多発性骨髄腫患者873例を登録し、適格基準等を満たした729例にRVDを1サイクル投与した後、撤回等を除く722例をRVD単独群とRVD+ASCT(移植)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 RVD単独群(357例)では、RVDを2サイクル投与し幹細胞を採取した後、RVDを5サイクル投与した。移植群(365例)では、RVDを2サイクル投与し幹細胞を採取した後、高用量メルファラン+ASCTを施行し、回復後(約60日目)にRVDを2サイクル追加した。その後は、両群とも維持療法としてレナリドミドを病勢進行、許容できない副作用またはその両方が現れるまで継続した。 主要評価項目はPFS、副次評価項目は奏効率、奏効期間、無増悪期間、OS、QOLおよび有害事象であった。PFSはRVD+ASCT群67.5ヵ月、RVD単独群46.2ヵ月で有意差(p<0.001) 追跡期間中央値76.0ヵ月において、病勢進行または死亡のイベントはRVD単独群で189例(52.9%)、移植群で139例(38.1%)、計328例発生し、PFS中央値はRVD単独群46.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:38.1~53.7)、移植群67.5ヵ月(95%CI:58.6~未到達)で、病勢進行または死亡のリスクはRVD単独群が移植群より53%高かった(ハザード比[HR]:1.53、95%CI:1.23~1.91、p<0.001)。 部分奏効以上(PR+VGPR+CR+sCR)の患者の割合は、RVD単独群95.0%、移植群97.5%(p=0.55)、完全奏効以上(CR+sCR)の患者の割合はそれぞれ42.0%、46.8%(p=0.99)であった。 Grade3以上の治療関連有害事象はRVD単独群で78.2%、移植群で94.2%に認められた。 5年生存率はRVD単独群79.2%、移植群80.7%であった(死亡のHR:1.10、95%CI:0.73~1.65)。

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StageIII/IVのホジキンリンパ腫、A+AVD療法vs.ABVD療法/NEJM

 StageIII/IVの未治療ホジキンリンパ腫に対する、初回治療としてのブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(A+AVD)療法は、ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABVD)療法に比べ、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)のいずれをも延長し、生存に関する優位性が示されたことが、6年の長期追跡により確認された。米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏らが、1,300例超の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。ブレンツキシマブ ベドチンは、CD-30作用型抗体-薬物複合体である。本検討については、5年追跡期間の試験でPFSの延長効果がすでに報告されていたが、今回新たにOSと、中央値6年の追跡期間によるPFSの結果が発表された。NEJM誌オンライン版2022年7月13日号掲載の報告。A+AVD療法、ABVD療法ともに最大6サイクル実施 本試験では、StageIII/IVのホジキンリンパ腫患者を無作為に2群に分け、一方の群にはA+AVD療法を(664例)、もう一方の群にはABVD療法を(670例)、それぞれ最大6サイクル実施した。 主要評価項目は、PFS期間(以前の報告を修正)。主な副次評価項目は、ITT集団におけるOSで、安全性と共に今回新たに報告した。6年OS率、A+AVD療法群93.9%、ABVD療法群89.4% 追跡期間中央値73.0ヵ月で、A-AVD療法群の39例、ABVD療法群の64例が死亡した(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.40~0.88、p=0.009)。推定6年OS率は、A+AVD療法群93.9%(95%CI:91.6~95.5)、ABVD療法群89.4%(86.6~91.7)だった。 推定PFS期間についても、A+AVD療法群がABVD療法群より延長した(増悪または死亡に関するHR:0.68、95%CI:0.53~0.86)。 臓器移植を含む2次治療を要した患者は、A+AVD療法群がABVD療法群より少なく、2次がん発生者もABVD療法群32例に対しA+AVD療法群23例と少数だった。 A+AVD療法群で発熱性好中球減少症の発症率が増加したため、顆粒球コロニー刺激因子の予防投与が行われた。末梢神経炎はA+AVD療法群でABVD療法群より多く認められたが、その大半が最終追跡までに寛解または改善していた。

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英語で「抗凝固薬」は?【1分★医療英語】第37回

第37回 英語で「抗凝固薬」は?Why do I need to take a blood thinner?(何で抗凝固薬を飲まなければいけないのですか?)Blood thinners are recommended to prevent blood clots from forming.(抗凝固薬は血栓が作られるのを防ぐために使われます)《例文1》What are the most common side effects of blood thinners?(抗凝固薬によくある副作用は何ですか?)《例文2》Are you on blood thinner medications?(抗凝固薬を服用していますか?)《解説》抗凝固薬は正式には“anticoagulant”ですが、患者さんへの説明には“blood thinner”を使います。日本語でも「血液をサラサラにする薬」と定番の言い方をするのと同様です。“blood thinner”を広義に「抗血栓薬」として、“antiplatelet”(抗血小板薬)を含むことも多く、患者さんへ抗血小板薬を説明する時は、“There are two different types of blood thinners, and antiplatelets  keep your platelets from sticking together.”(2種類の抗血栓薬があり、抗血小板薬は血小板がくっ付くのを防いでいます)と説明すると理解しやすくなります。“blood thinner”の副作用の確認には、“black or tarry stool”(黒色便やタール便 = 血便)、“prolonged nosebleed”(長引く鼻血)、“excessive bleeding gums”(過剰な歯茎からの出血)などの単語を使って説明します。ちなみに抗凝固薬のイグザレルト(Xarelto、一般名:リバーロキサバン)の発音は「ゼロート」という感じで、頭のXはZの音になるので注意が必要です。講師紹介

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この心電図、QT延長ですか? 休薬すべきですか?【見落とさない!がんの心毒性】第13回

抗がん薬の中にはQT延長に注意すべきものが21種類もあります[第6回]。顕著なQT延長は命を脅かす不整脈であるトルサード・ド・ポアント(TdP:torsades de pointes、倒錯心室頻拍)のリスクになるため、投与開始前および投与開始後も定期的に心電図検査が推奨されています。治療開始前にQT延長を認めたために抗がん薬を開始できない、あるいは治療中にQT延長が発生したことで抗がん薬を中断・中止しなければならないケースもあります。QT時間が患者の命運を左右しかねないため、測定する側の責任は重大です。心電計にはレポート機能が付いている物が普及しており、自動計測されたQT時間が表示されたり、“QT延長”と自動診断が表示されたりする物があります。心電図の自動診断に任せっきりにしていると、自動診断の間違えに気付かずにQT延長と診断し、不要な休薬を招くことがあるので注意が必要です。今回は知っているようで知らないQT延長診断の裏側について、クイズを通して学んでいきましょう。【問題】心電図のQT時間について正しいのはどれでしょうか? 3つ選んでください。a.QT時間の測定はII誘導とV5誘導が推奨されることがあるが、QT時間が最長となる誘導での測定が原則である。b.自動計測のQT時間は手動計測のQT時間よりも短くなる傾向がある。c.自動計測の精度が向上したため、医薬品規制調和国際会議において手動計測は推奨されていない。d.自動計測ではU波が存在することでQT時間を誤って測定することが少なくない。e.右脚ブロックではQT時間が長くなる傾向がある。講師紹介

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移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。 骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。 研究者らは、京都大学医学部附属病院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者186例のデータを用いて、大腰筋の臍の高さの断面積と平均CT値から算出される大腰筋質量指数(PMI)とX線画像密度(RD)を用いて、それぞれ筋肉の量と質を判断した。 主な結果は以下のとおり。・17~68歳(中央値49)の成人患者186例を対象に 、同じ性・年齢群の中で最も低い四分位値(下位 25%)の患者を低 PMI 群と低 RD 群に割り付けた。46例(24.7%)が低PMI群に、49例(26.3%)が低RD群に割り付けられた。・初診からallo-HSCTまでの経過期間中央値は7ヵ月(範囲:2~46ヵ月)、95%の患者がECOG-PS(0-1)良好であった。・低RDは、移植後の非再発死亡率増加の有意な因子であった(調整後ハザード比[HR]:2.54、95%信頼区間[CI]:1.42~4.51、p

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liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効か?/Lancet

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は従来の標準治療と比較して、無イベント生存期間を約8ヵ月延長することが、米国・コロラド大学がんセンターのManali Kamdar氏らが進めている「TRANSFORM試験」の中間解析で示された。安全性に関する新たな懸念は認めなかったという。研究の成果は、Lancet誌2022年6月18日号に掲載された。47施設の無作為化第III相試験の中間解析 TRANSFORMは、再発・難治性LBCLの2次治療におけるliso-celの有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2018年10月23日~2020年12月8日の期間に、米国、欧州、日本の47施設で参加者のスクリーニングが行われた(CelgeneとBristol-Myers Squibb Companyの助成を受けた)。この試験は進行中で、今回は中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18~75歳、1次治療に抵抗性、またはアンスラサイクリン系薬剤と抗CD20モノクローナル抗体を含む1次治療で初回奏効が得られてから12ヵ月以内に再発したLBCLで、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)のスコアが0または1、自家造血幹細胞移植(HSCT)の適応があり、Lugano基準(2014年)でPET陽性の病変を有する患者であった。 被験者は、liso-celの投与群または標準治療を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。liso-cel群は、リンパ球除去化学療法(フルダラビン+シクロホスファミド)を3日間受けたのち、総用量100×106 CAR+T細胞を目標に、CD8+とCD4+のCAR+T細胞を2回連続で静脈内投与された。 標準治療群は、救援免疫化学療法として、担当医の裁量でR-DHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)、R-ICE(リツキシマブ+イホスファミド+エトポシド+カルボプラチン)、R-GDP(リツキシマブ+デキサメタゾン+ゲムシタビン+シスプラチン)のうちいずれか1つを3サイクル施行され、このうち奏効(完全奏効、部分奏効)が得られた患者が、大量化学療法(カルムスチン+エトポシド+シタラビン+メルファラン)を1サイクルと自家HSCTを受けた。 主要エンドポイント、は無イベント生存期間とされた。奏効の評価は、独立の審査委員会がLugano基準(2014年)を用いて行った。完全奏効割合や無増悪生存期間も良好 184例が登録され、liso-cel群に92例(年齢中央値60歳[IQR:53.5~67.5]、女性52%)、標準治療群にも92例(58.0歳[42.0~65.0]、34%)が割り付けられた。多くの患者(160例[87%])が、びまん性LBCL(DLBCL)(DLBCL-NOSまたは濾胞性リンパ腫からの形質転換が117例[64%])あるいは高悪性度B細胞リンパ腫(43例[23%])であり、135例(73%)は1次治療に抵抗性、61例(33%)は65歳以上で、73例(40%)はsAAIPI≧2であった。追跡期間中央値は6.2ヵ月(IQR:4.4~11.5)だった。 無イベント生存期間中央値は、liso-cel群が10.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.1~未到達)と、標準治療群の2.3ヵ月(2.2~4.3)に比べ有意に改善された(層別ハザード比:0.35、95%CI:0.23~0.53、層別Cox比例ハザードモデルの片側検定のp<0.0001)。 完全奏効割合(66% vs.39%、p<0.0001)、無増悪生存期間中央値(14.8ヵ月vs.5.7ヵ月、p=0.0001)、全生存期間中央値(未到達vs.16.4ヵ月、p=0.026)は、いずれもliso-cel群で良好であった。 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球数減少(liso-cel群80%[74/92例]vs.標準治療群51%[46/91例])、貧血(49%[45例]vs.49%[45例])、血小板減少(49%[45例]vs. 64%[58例])、遷延性血球減少(43%[40例]vs.3%[3例])であった。liso-cel群で、とくに注目すべき有害事象として、CAR-T細胞療法関連のGrade3のサイトカイン放出症候群が1%(1例)、神経学的事象が4%(4例)で発現した(Grade4、5は認めなかった)。 試験薬投与下の有害事象(無作為化の日から最終投与後90日までに発現または悪化した有害事象)のうち重篤な事象は、liso-cel群で48%(44例)、標準治療群で48%(44例)に認められた。2次治療におけるliso-celの安全性に関する新たな懸念は確認されなかった。また、治療関連死は、liso-cel群ではみられず、標準治療群では1例(敗血症)で認められた。 著者は、「これらの結果は、早期再発または難治性のLBCL患者における、新たな2次治療の推奨レジメンとして、liso-celを支持するものである」としている。

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ASCO2022 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介今年のASCO 2022の年次総会も、COVID-19の影響で、昨年のASCO 2021に引き続き、ハイブリッド開催となりました。その恩恵を受けて、昨年と同様に、米国・シカゴまで行かずに、通常の病院業務をしながら、業務の合間に、時差も気にせず、オンデマンドで注目演題を聴講したり、発表スライドを閲覧したりすることができました。それらの演題の中から、今年も10の演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連5演題、多発性骨髄腫関連3演題、白血病関連2演題を紹介します。悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連First-line brentuximab vedotin plus chemotherapy to improve overall survival in patients with stage III/IV classical Hodgkin lymphoma: An updated analysis of ECHELON-1.  (Abstract #7503)ECHELON-1試験は、初発の進行期ホジキンリンパ腫患者を対象に、これまでの標準治療のABVD療法と、ブレンツキシマブベドチンとブレオマイシンを入れ替えたA-AVD療法を比較した第III相比較試験で、これまでの発表にて、A-AVD療法がABVD療法と比較し、PFSの延長効果が示されていた。今回の発表では、追跡期間の中央値が73ヵ月(約6年)の時点で、A-AVD療法の、OSについての優位性も示された(6年時点のOS:[A-AVD療法:93.9%、ABVD療法:89.4%]) (HR:0.590、95%信頼区間[CI]:0.396~0.879、p=0.009)。サブグループ解析では、IPSが4~7の患者、Stage IVの患者、節外病変が2以上の患者など、予後不良と思われる患者において、有意にA-AVD療法がABVD療法よりもOSを延長した。2次がんの発症率も、23例と32例で、A-AVD療法で少なかった。ホジキンリンパ腫については、これまで、ABVD療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD療法が初めてABVD療法にOSで優ったことが示された歴史的試験結果となった。Glofitamab in patients with relapsed/refractory (R/R) diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) and >2 prior therapies: Pivotal phase II expansion results. (Abstract #7500)R/R DLBCL患者に対し、近年、CD19-CAR-T細胞治療やポラツズマブベドチン(ADC)などの新薬が登場し、治療成績は良くなったが、それらの治療にても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。本発表では、CD20とCD3(2対1の比率)に対する二重抗体薬のglofitamabの第II相試験(21日サイクルにて、最大12サイクルまでの固定期間治療であり、サイクル1のDay1には、CRS軽減のため、オビヌツズマブを投与し、Day8に2.5mg、Day15に10mgを投与、サイクル2以降はDay1に30mgを投与する)の結果が報告された。154例の2ライン以上の前治療歴(リツキシマブの治療歴を含む)のあるR/R DLBCL患者が対象となった(59.7%が3ライン以上、33.1%がCAR-T治療を受けていた)。主要評価項目のCR率は39.4%であり、副次評価項目のORRは51.6%であった。また、CAR-T治療歴のある、なしでのCR率は、それぞれ35%と42%であった。CR維持率は12ヵ月時点で77.6%であった。CRSは63%に認めたが、うち59%はG1~2であり、ほとんどがサイクル2までに認められた。glofitamabは、CAR-T既治療例を含むR/R DLBCLに対する新たな治療薬として期待できる。Influence of racial and ethnic identity on overall survival in patients with chronic lymphocytic lymphoma. (Abstract #7508)CLLは、西欧諸国では頻度の多い疾患であるが、アフリカやアジアでは少なく、発症率や予後に、人種差が影響するかどうかは、明らかではなかった。本発表では、National Cancer Databaseに2004~18年に登録されたアメリカのCLL患者を解析している。9万7,804例のうち、8万8,680例(90.7%)が白人、7,391例(7.6%)が黒人、2,478例(2.6%)がヒスパニック、613例(0.6%)がアジア人であった。今回は、この中で、白人と黒人を比較している。黒人の方が、診断時の年齢が66歳(vs.70歳)と若く、合併症を有する割合も27.9%(vs.21.3%)と多かった。さらに、次の項目(女性患者、非保険加入者、低所得者)の割合が黒人で多かった。また、CLLの治療を、診断時すぐに開始された割合も35.9%(vs.23.6%)と多く、OSは短い(中央値:7.00年vs.9.14年)ことがわかった。CLLの病態に人種差がどのように影響しているかは不明だが、経済力の差などが、診断時期や治療法の選択にも影響している可能性もあり、それがOSの差に反映していると思われる。GEMSTONE-201: Preplanned primary analysis of a multicenter, single-arm, phase 2 study of sugemalimab (suge) in patients (pts) with relapsed or refractory extranodal natural killer/T cell lymphoma (R/R ENKTL). (Abstract #7501)R/R ENKTLの予後はきわめて不良である(OS中央値は7ヵ月未満、1年OSは20%未満)。本試験では、R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬(sugemalimab)の第II相試験(GEMSTONE-201試験)の最初の解析結果が報告された(追跡期間の中央値が13.4ヵ月時点)。対象となった患者は、80例(年齢中央値:48歳、男性:64%、前治療が2ライン以上:49%、前治療に抵抗性:46%)であり、Suge 1,200mgを3週に1回投与し、最長24ヵ月投与した。主要評価項目のORRは、46.2%であった。また、副次評価項目のCR率は、37.2%であり、12ヵ月時点のDORは、86%であった。探索的評価項目の全生存率は、12ヵ月時点で68.6%であった。G3以上の有害事象は39%(治療薬関連は16%、そのうち重篤な有害事象は6.3%)でみられ、最も高頻度にみられたirAEは、甲状腺機能低下症が16%にみられた。R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬は、その有効性と安全性のバランスから期待できる治療薬と考える。Primary results from the double-blind, placebo-controlled, phase III SHINE study of ibrutinib in combination with bendamustine-rituximab (BR) and R maintenance as a first-line treatment for older patients with mantle cell lymphoma (MCL). Abstract #LBA7502初発の自家移植非適応の高齢MCL患者(65歳以上)に対するBRX6サイクル+R維持療法(2ヵ月ごと2年間)と、その治療に最初からイブルチニブ560mg(or プラセボ)を上乗せし、イブルチニブ(or プラセボ)は、PDあるいは毒性中止となるまで継続する治療を比較した第III相比較試験のSHINE試験の結果がLate break abstractとして報告され、同日のNEJM誌にPublishされた。イブルチニブ群259例とプラセボ群260例が治療を受けた。主要評価項目のPFSの中央値は、80.6と52.9ヵ月であり、HR:0.75(0.59~0.96)と有意にイブルチニブを併用した治療で約2年のPFSの延長がみられた。ハイリスク症例(BlastoidタイプあるいはTP53変異あり)でも、イブルチニブ群でPFSが良い傾向にあったが、症例数が少なく、有意差は認めなかった。TTNTもHR:0.48(0.34~0.66)でイブルチニブ群で延長がみられた。イブルチニブ群では、G3/4の有害事象として、出血(3.5%)、心房細動(3.9%)、高血圧(8.5%)、関節痛(1.2%)を認めた。ただし、OSについては、HR:1.07(0.81~1.40)で差を認めていない。SHINE試験で、初めて、初発の高齢MCL患者に対するイブルチニブの有用性(併用効果)が示され、今後、標準治療の変更が見込まれる結果となった。多発性骨髄腫関連Major risk factors associated with severe COVID-19 outcomes in patients with multiple myeloma: Report from the National COVID-19 Cohort Collaborative (N3C). (Abstract #8008)NCATS’ National COVID Cohort Collaborative (N3C)のデータベースを用い、MM患者におけるCOVID-19の重症化のリスクを解析している。本データベースには、2万6,064例のMM患者が登録(うちCOVID-19 陽性は8,588例)されていた。多変量解析によって、肺疾患、腎疾患の既往は重症化のリスクであったが、糖尿病、高血圧は有意なリスクとはならなかった。喫煙は、むしろリスクが低い傾向があった。造血幹細胞移植、COVID-19ワクチン接種は有意に重症化リスクを下げた。一方、IMiDs、PI、デキサメサゾン治療は死亡リスクを上昇させたが、ダラツムマブ治療はリスクとはならなかった。1.93%のMM患者がCOVID-19感染10日以内に、4.47%のMM患者が30日以内に死亡した。本発表は、世界での最大級のデータベースを解析したものであり、COVID-19流行下のMM診療に役立つと思われる。Teclistamab, a B-cell maturation antigen (BCMA) x CD3 bispecific antibody, in patients with relapsed/refractory multiple myeloma (RRMM): Updated efficacy and safety results from MajesTEC-1. (Abstract #8007)BCMAとCD3に対する二重抗体薬 teclistamabの第I/II相MajesTEC-1試験の最新のデータが発表された。対象となった患者165例(第I相:40例、第II相:125例)は、前治療のライン数が5(2~14)で74%が4ライン以上であった。また、78%がトリプルクラス抵抗性、30%がペンタドラッグ抵抗性であり、90%が最後の治療に抵抗性の状態であった。Tecは、1.5mg/kgを週1回、皮下注で投与する方法が推奨用量であった。有効性の評価では、ORRは63%で、VGPR以上は58.8%、CR以上は39.4%であった。DORの中央値は18.4ヵ月、12ヵ月時点のDORは68.5%であり、CR以上が得られた患者では80.1%であった。PFSの中央値は11.3ヵ月、OSの中央値は18.3ヵ月であった。有害事象については、CRSは、72.1%でみられたが、G3は1例(0.6%)でG4/5はなかった。CRS発現は2日目(1~6)にみられ、2日間(1~9)続いた。治療関連死は5例(COVID-19 2例、肺炎1例、肝不全1例、PML1例)、AEによる減量は1例だけであった(21サイクル目)。BCMAを標的とするCAR-T療法よりは効果が落ちるものの、Off the shelfの薬剤であり、大いに期待される。Daratumumab carfilzomib lenalidomide and dexamethasone as induction therapy in high-risk, transplant-eligible patients with newly diagnosed myeloma: Results of the phase 2 study IFM 2018-04. (Abstract #8002)フランスのグループ(IFM)で実施されたHigh riskの染色体異常(CA)(t[4;14]、 del[17p]、 t[14;16]のいずれか)を有する移植適応のある初発MM患者を対象としたDara-KRD(6サイクル)+Auto(MEL200)+Dara-KRD(4サイクル)+2回目Auto(MEL200)+Dara-Len維持療法(2年)の第II相試験(IFN 2018-04試験)の寛解導入Dara-KRD治療の結果が報告された。50例の患者がエントリーされた。Del(17p)が20例、t(4;14)が26例、t(14;16)が10例、Gain(1q)は25例、前記の2以上のCAを有しているのは34例であった。46例が6サイクル完遂でき、2例はAE(COVID-19感染と腫瘍崩壊症候群)で中止、2例はPD中止となった。6例が2回Auto分のPBSCHに失敗したため、Dara-KRD(3サイクル)後にPBSCHを実施したところ、全例、PBSCHに成功した。ORRは96%、VGPR以上は91%、MRD測定(NGS)を行った37例中、MRD陰性であったのは、62%であった。今後、この治療法は続きがあるが、寛解導入部分の有効性、安全性は評価できると考える。白血病関連Overall survival by IDH2 mutant allele (R140 or R172) in patients with late-stage mutant-IDH2 relapsed or refractory acute myeloid leukemia treated with enasidenib or conventional care regimens in the phase 3 IDHENTIFY trial. (Abstract #7005)AMLにおいて、8~19%の症例で、IDH2遺伝子変異がみられ、IDH2遺伝子変異には、R140Q変異(75%)とR172K変異(25%)がある。変異IDH2阻害剤のenasidenibは、IDH2遺伝子変異を有する高齢R/R AML患者に対し、通常の治療(AZA、CA少量、BSC)と比較しOSの延長は認められなかった(IDHENTIFY試験)。今回の解析では、R140変異とR172変異に分けて解析している。R140と比較し、R172では併存する変異遺伝子の数が、少なかった。また、R140ではSRSF2、FLT3、NPM1、RUNX1遺伝子の変異を伴うのが多かったが、R172では、DNMT3A、TP53の変異が多かった。このことが影響したためか、R140では、OSに差を認めなかったが、R172においては、有意に、enasidenibが、通常治療よりもOSを延長した(14.6ヵ月 vs.7.8ヵ月)。遺伝子変異に基づいた治療法の選択は今後、ますます重要になると思われ、興味深い発表と考える。Efficacy and safety results from ASCEMBL, a phase 3 study of asciminib versus bosutinib (BOS) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia in chronic phase (CML-CP) after >2 prior tyrosine kinase inhibitors (TKIs): Week 96 update.  (Abstract #7004)2ライン以上のTKIによる前治療歴があり、それらのTKI治療に抵抗性・不耐容のCML患者に対し、従来のTKIが結合するATP結合サイトとは異なるミリストイルポケットを標的とするasciminibとボスチニブを比較した第III相試験のASCEMBL試験のフォローアップデータが発表された。最初の解析時点から16.5ヵ月経過した2.3年時点での結果である。157例がasciminib、76例がボスチニブに割り付けられ、84例(53.5%)と15例(19.7%)が治療継続しており、治療効果不十分のため中止となった症例は、38例(24.2%)と27例(35.5%)であった。96週時点のMMR率(副次評価項目)は、37.6%と15.8%であり、有意にasciminibが優れていた(主要評価項目の24週時点のMMR率は25.5%と13.2%であった)。内服期間の中央値も23.7ヵ月と7.0ヵ月で、asciminibが長かった。asciminibでボスチニブよりも多くみられたAEは、血小板減少であり、ボスチニブでみられる下痢、嘔気・嘔吐、皮疹、肝障害は、明らかに少なかった。今回の結果から、asciminibは、既存のTKIに抵抗性・不耐容のCML患者の長く継続できる新たな治療薬として、再認識され、現在、日本でも保険適用で使用可能となった。おわりに以上、ASCO 2022で発表された血液腫瘍領域の演題の中から10演題を紹介しました。昨年のASCO 2021でも10演題を紹介いたしましたが、今年も昨年と同様に、どの演題も今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO 2023にオンライン参加をしたいと考えています。(でも、もう少し参加費を安くしてほしい、特に、円安の今日この頃(笑))

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多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。・対象:プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体の3剤併用を含む3ライン以上の治療歴のあるRR/MM患者・試験群:teclistamab:0.06と0.3mg/kgのステップアップ投与後、1.5mg/kgの皮下注・評価項目:[主要評価項目]全奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、微小残存病変(MRD)の有無、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・165例が組み入れられた。年齢中央値は64(33〜84)歳、うち75歳以上が14.5%、58%が男性で、前治療回数の中央値は5(2〜14)だった。・追跡期間中央値14.1ヵ月におけるORRは63.0%(95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)、65例(39.4%)が完全奏効(CR)以上だった。44例(26.7%)はMRD陰性で、CR以上におけるMRD陰性率は46.2%だった。・DOR中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~推定不能)、PFS中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)だった。・主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が72.1%(Grade3が0.6%、Grade4なし)、好中球減少症が70.9%(Grade3/4が64.2%)、貧血が52.1%(Grade3/4、37.0%)、血小板減少症が40.0%(Grade3/4が21.2%)などだった。感染症は76.4%(Grade3/4が44.8%)で発生し、有害事象による試験中止は2例、減量が1例だった。 著者らは「teclistamabはRR/MM患者において高い確率で持続的で深い奏効をもたらした。好中球減少症と感染症が多くみられたが、T細胞応答に一致する毒性作用はほとんどがGrade1/2で、新たな毒性は見られなかった。現在第III相試験に向けた準備が進んでいる」としている。

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ASCO2022オンデマンド配信中、特設サイトで注目演題レビューを配信

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催された。会期終了後の現在も、プレナリーセッションを含むほぼすべての演題のスライドと動画がASCOサイトで公開されている。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」では、ASCO2022のスタートにあわせた特設サイトを公開。会期前にエキスパートから寄せられた「注目演題」を紹介するほか、会期終了後には各演題の結果を受けた追加コメントや、臓器別に結果をまとめたレビュー、ASCOでの発表と同時掲載された論文を紹介する記事などが集まっている。 現在までにアップされているエキスパート医師が解説する、臓器別の注目演題レビューはこちら(リンク先のDoctors’Picksは医師会員限定)。肺がん/国立がん研究センター中央病院・大熊 裕介氏肺がんエキスパート向け/埼玉医科大学国際医療センター・山口 央氏乳がん/国立がん研究センター中央病院・下井 辰徳氏下部消化管/高知大学・佐竹 悠良氏上部消化管/国立がん研究センター中央病院・加藤 健氏 ASCOは次回2023年6月も、シカゴとオンラインのハイブリッド開催が予定されている。

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IDH2変異の再発・難治AMLに対するenasidenibの効果(IDHENTIFY)/ASCO2022

 IDH2変異(R172K変異)を有する再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)に対して、IDH2阻害薬enasidenibの投与は、従来の治療レジメンに比べて全生存期間(OS)が延長することが第III相試験(IDHENTIFY試験)の追加解析によって示された。フランス・Gustave RoussyのStephane De Botton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 AML患者の8~19%がIDH2変異を有し、IDH2遺伝子変異にはR140Q変異(約75%)とR172K変異(約25%)があることが知られている。IDHENTIFY試験では、IDH2変異陽性の再発・難治性AML患者に対してenasidenib投与と支持療法を行っても、従来の治療レジメンに比べてOSの延長を認めなかった。今回は、対象患者をR140Q変異陽性(R140サブグループ)とR172K変異陽性(R172サブグループ)に分けて、enasidenibの効果について検討した。・対象:60歳以上でIDH2変異陽性のAMLで、2次治療、3次治療に抵抗性または再発した患者、319例・試験群:enasidenib+支持療法・対照群:従来の治療レジメン(支持療法のみ、アザシチジン+支持療法、低用量シタラビン+支持療法、中等量シタラビン+支持療法)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)、奏効期間(DOR)、再発までの期間など 主な結果は以下の通り・319例の対象患者の中で、R140サブグループは229例(72%)、R172サブグループは88例(28%)であった。・ベースラインにおける共存遺伝子変異に関しては、R172サブグループではDNMT3A変異(57%)とPUNX1変異(43%)が主であり、R140サブグループに比べてDNMT3A変異とTP53変異が多かった。・R140サブグループ、R172サブグループとも、試験群は対照群に比べてORRが有意に高かった(ともにp<0.0001)。・R140サブグループでのOS(中央値)は、試験群と対照群ともに5.7ヵ月であり、両群間に差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.70~1.24、p=0.612)。一方、R172サブグループでは試験群14.6ヵ月、対照群7.8ヵ月であり、試験群で有意なOS延長が示された(HR:0.59、95%CI:0.35~0.98、p=0.039)。・安全性に関しては、両サブグループ間で差は認められなかった。

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多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19重症化のリスク因子の検討/ASCO2022

 米国立衛生研究所(NIH)のNational COVID Cohort Collaborative(N3C)データベースを用いた解析により、肺疾患および腎疾患の既往、がん治療などが多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化リスクを高めることが示された。米国・Auburn大学のAmit Kumar Mitra氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 高齢者に発症頻度が高い形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫は、しばしば免疫不全を呈することから、COVID-19の重症化リスクを高める可能性がある。同研究では、NIHのNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)が主導する全国一元公開データベースであるN3Cのデータセットを使用し、多発性骨髄腫患者のCOVID-19の重要化や死亡に関連するリスク因子について解析を行った。・対象:N3Cデータセットに登録された多発性骨髄腫患者26,064例の中で、COVID-19陽性が確認された8,588例・方法:多変量解析により多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化および死亡のリスク因子を検討・評価項目:COVID-19重症化、死亡に関するリスク因子 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢(中央値)は65.9歳、46.8%が女性であり、喫煙歴は25.0%にみられ、腎疾患、肺疾患、糖尿病の既往歴はそれぞれ26.7%、19.8%、27.0%であった。・対象患者の55.8%は入院または救急搬送を要し、12.2%は入院中に急性腎障害を発症、3.2%は人工呼吸器を装着した。また、COVID-19の重症度については、17.8%が軽症(うち3.7%が救急搬送)、18.3%が中等度、0.9%が重症であり、6.7%がCOVID-19により死亡した。・ロジスティック回帰分析からは、肺疾患や腎疾患の既往、多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などがCOVID-19の重症化リスクを高め、ワクチン接種が重症化リスクを低下させていた。また、糖尿病の既往や多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などが死亡リスクを高め、ワクチン接種は死亡リスクも減少させていた。なお、喫煙歴はいずれのリスクとも相関していなかった。・多発性骨髄腫の治療との関連については、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、デキサメタゾンがCOVID-19の重症化リスクを高め、プロテアソーム阻害薬は死亡のリスクも高めていた。一方で、骨髄移植はCOVID-19の重症化および死亡のリスクを低下させていた。

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2剤以上のTKI治療歴のある慢性期CML、asciminibの96週時点における効果(ASCEMBL)/ASCO2022

 2剤以上のTKI治療歴のある慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)患者に対して、BCR-ABL特異的アロステリック阻害薬であるasciminibの効果や忍容性は、2年を超えても持続することが示された。米国・Georgia Cancer CenterのJorge E. Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 2剤以上のTKI治療歴を有するCML-CP患者に対するasciminibの投与は、ボスチニブに比べて24週時点での分子遺伝学的大奏効(MMR)率が高いことが、オープンラベルの無作為化第III相ASCEMBL試験によって報告されている。今回は、重要な副次評価項目として設定されていた96週時点の結果について評価した。・対象:2剤以上のTKIによる治療歴を有するCML-CP患者(233例)・試験群:asciminib 40mg✕2/日を投与(157例)・対照群:ボスチニブ 500mg/日を投与(76例)・評価項目:[主要評価項目]24週時点におけるMMR率[重要な副次評価項目]96週時点におけるMMR率 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値2.3年の時点で、試験群の84例(53.5%)と対照群の15例(19.7%)で服薬が継続していた。服薬期間の中央値は試験群で23.7ヵ月、対照群では7.0ヵ月であり、試験群の7.0%、対照群の25.0%は有害事象(AE)により服薬中止となっていた。・96週時点のMMR率は試験群が37.6%、対照群が15.8%であり、両群間の差は21.7%で、試験群は対照群の2倍以上のMMR率を達成していた。・試験群と対照群のMMR率を経時的にみると、24週時点では25.5%と13.2%(差は12.2%)、48週時点では29.3%と13.2%(差は16.1%)であり、時間の経過に伴い試験群のMMR率は上昇し、対照群との差も広がっていた。・いずれのサブグループで解析しても、も96週時点のMMR率は試験群で高かった。・96週時点でBCR-ABL1ISが1%以下だった患者は、試験群で45.1%、対照群では19.4%であった。

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