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この心電図、QT延長ですか? 休薬すべきですか?【見落とさない!がんの心毒性】第13回

抗がん薬の中にはQT延長に注意すべきものが21種類もあります[第6回]。顕著なQT延長は命を脅かす不整脈であるトルサード・ド・ポアント(TdP:torsades de pointes、倒錯心室頻拍)のリスクになるため、投与開始前および投与開始後も定期的に心電図検査が推奨されています。治療開始前にQT延長を認めたために抗がん薬を開始できない、あるいは治療中にQT延長が発生したことで抗がん薬を中断・中止しなければならないケースもあります。QT時間が患者の命運を左右しかねないため、測定する側の責任は重大です。心電計にはレポート機能が付いている物が普及しており、自動計測されたQT時間が表示されたり、“QT延長”と自動診断が表示されたりする物があります。心電図の自動診断に任せっきりにしていると、自動診断の間違えに気付かずにQT延長と診断し、不要な休薬を招くことがあるので注意が必要です。今回は知っているようで知らないQT延長診断の裏側について、クイズを通して学んでいきましょう。【問題】心電図のQT時間について正しいのはどれでしょうか? 3つ選んでください。a.QT時間の測定はII誘導とV5誘導が推奨されることがあるが、QT時間が最長となる誘導での測定が原則である。b.自動計測のQT時間は手動計測のQT時間よりも短くなる傾向がある。c.自動計測の精度が向上したため、医薬品規制調和国際会議において手動計測は推奨されていない。d.自動計測ではU波が存在することでQT時間を誤って測定することが少なくない。e.右脚ブロックではQT時間が長くなる傾向がある。講師紹介

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移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。 骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。 研究者らは、京都大学医学部附属病院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者186例のデータを用いて、大腰筋の臍の高さの断面積と平均CT値から算出される大腰筋質量指数(PMI)とX線画像密度(RD)を用いて、それぞれ筋肉の量と質を判断した。 主な結果は以下のとおり。・17~68歳(中央値49)の成人患者186例を対象に 、同じ性・年齢群の中で最も低い四分位値(下位 25%)の患者を低 PMI 群と低 RD 群に割り付けた。46例(24.7%)が低PMI群に、49例(26.3%)が低RD群に割り付けられた。・初診からallo-HSCTまでの経過期間中央値は7ヵ月(範囲:2~46ヵ月)、95%の患者がECOG-PS(0-1)良好であった。・低RDは、移植後の非再発死亡率増加の有意な因子であった(調整後ハザード比[HR]:2.54、95%信頼区間[CI]:1.42~4.51、p

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liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効か?/Lancet

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は従来の標準治療と比較して、無イベント生存期間を約8ヵ月延長することが、米国・コロラド大学がんセンターのManali Kamdar氏らが進めている「TRANSFORM試験」の中間解析で示された。安全性に関する新たな懸念は認めなかったという。研究の成果は、Lancet誌2022年6月18日号に掲載された。47施設の無作為化第III相試験の中間解析 TRANSFORMは、再発・難治性LBCLの2次治療におけるliso-celの有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2018年10月23日~2020年12月8日の期間に、米国、欧州、日本の47施設で参加者のスクリーニングが行われた(CelgeneとBristol-Myers Squibb Companyの助成を受けた)。この試験は進行中で、今回は中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18~75歳、1次治療に抵抗性、またはアンスラサイクリン系薬剤と抗CD20モノクローナル抗体を含む1次治療で初回奏効が得られてから12ヵ月以内に再発したLBCLで、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)のスコアが0または1、自家造血幹細胞移植(HSCT)の適応があり、Lugano基準(2014年)でPET陽性の病変を有する患者であった。 被験者は、liso-celの投与群または標準治療を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。liso-cel群は、リンパ球除去化学療法(フルダラビン+シクロホスファミド)を3日間受けたのち、総用量100×106 CAR+T細胞を目標に、CD8+とCD4+のCAR+T細胞を2回連続で静脈内投与された。 標準治療群は、救援免疫化学療法として、担当医の裁量でR-DHAP(リツキシマブ+デキサメタゾン+シタラビン+シスプラチン)、R-ICE(リツキシマブ+イホスファミド+エトポシド+カルボプラチン)、R-GDP(リツキシマブ+デキサメタゾン+ゲムシタビン+シスプラチン)のうちいずれか1つを3サイクル施行され、このうち奏効(完全奏効、部分奏効)が得られた患者が、大量化学療法(カルムスチン+エトポシド+シタラビン+メルファラン)を1サイクルと自家HSCTを受けた。 主要エンドポイント、は無イベント生存期間とされた。奏効の評価は、独立の審査委員会がLugano基準(2014年)を用いて行った。完全奏効割合や無増悪生存期間も良好 184例が登録され、liso-cel群に92例(年齢中央値60歳[IQR:53.5~67.5]、女性52%)、標準治療群にも92例(58.0歳[42.0~65.0]、34%)が割り付けられた。多くの患者(160例[87%])が、びまん性LBCL(DLBCL)(DLBCL-NOSまたは濾胞性リンパ腫からの形質転換が117例[64%])あるいは高悪性度B細胞リンパ腫(43例[23%])であり、135例(73%)は1次治療に抵抗性、61例(33%)は65歳以上で、73例(40%)はsAAIPI≧2であった。追跡期間中央値は6.2ヵ月(IQR:4.4~11.5)だった。 無イベント生存期間中央値は、liso-cel群が10.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.1~未到達)と、標準治療群の2.3ヵ月(2.2~4.3)に比べ有意に改善された(層別ハザード比:0.35、95%CI:0.23~0.53、層別Cox比例ハザードモデルの片側検定のp<0.0001)。 完全奏効割合(66% vs.39%、p<0.0001)、無増悪生存期間中央値(14.8ヵ月vs.5.7ヵ月、p=0.0001)、全生存期間中央値(未到達vs.16.4ヵ月、p=0.026)は、いずれもliso-cel群で良好であった。 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球数減少(liso-cel群80%[74/92例]vs.標準治療群51%[46/91例])、貧血(49%[45例]vs.49%[45例])、血小板減少(49%[45例]vs. 64%[58例])、遷延性血球減少(43%[40例]vs.3%[3例])であった。liso-cel群で、とくに注目すべき有害事象として、CAR-T細胞療法関連のGrade3のサイトカイン放出症候群が1%(1例)、神経学的事象が4%(4例)で発現した(Grade4、5は認めなかった)。 試験薬投与下の有害事象(無作為化の日から最終投与後90日までに発現または悪化した有害事象)のうち重篤な事象は、liso-cel群で48%(44例)、標準治療群で48%(44例)に認められた。2次治療におけるliso-celの安全性に関する新たな懸念は確認されなかった。また、治療関連死は、liso-cel群ではみられず、標準治療群では1例(敗血症)で認められた。 著者は、「これらの結果は、早期再発または難治性のLBCL患者における、新たな2次治療の推奨レジメンとして、liso-celを支持するものである」としている。

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ASCO2022 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介今年のASCO 2022の年次総会も、COVID-19の影響で、昨年のASCO 2021に引き続き、ハイブリッド開催となりました。その恩恵を受けて、昨年と同様に、米国・シカゴまで行かずに、通常の病院業務をしながら、業務の合間に、時差も気にせず、オンデマンドで注目演題を聴講したり、発表スライドを閲覧したりすることができました。それらの演題の中から、今年も10の演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連5演題、多発性骨髄腫関連3演題、白血病関連2演題を紹介します。悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連First-line brentuximab vedotin plus chemotherapy to improve overall survival in patients with stage III/IV classical Hodgkin lymphoma: An updated analysis of ECHELON-1.  (Abstract #7503)ECHELON-1試験は、初発の進行期ホジキンリンパ腫患者を対象に、これまでの標準治療のABVD療法と、ブレンツキシマブベドチンとブレオマイシンを入れ替えたA-AVD療法を比較した第III相比較試験で、これまでの発表にて、A-AVD療法がABVD療法と比較し、PFSの延長効果が示されていた。今回の発表では、追跡期間の中央値が73ヵ月(約6年)の時点で、A-AVD療法の、OSについての優位性も示された(6年時点のOS:[A-AVD療法:93.9%、ABVD療法:89.4%]) (HR:0.590、95%信頼区間[CI]:0.396~0.879、p=0.009)。サブグループ解析では、IPSが4~7の患者、Stage IVの患者、節外病変が2以上の患者など、予後不良と思われる患者において、有意にA-AVD療法がABVD療法よりもOSを延長した。2次がんの発症率も、23例と32例で、A-AVD療法で少なかった。ホジキンリンパ腫については、これまで、ABVD療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD療法が初めてABVD療法にOSで優ったことが示された歴史的試験結果となった。Glofitamab in patients with relapsed/refractory (R/R) diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) and >2 prior therapies: Pivotal phase II expansion results. (Abstract #7500)R/R DLBCL患者に対し、近年、CD19-CAR-T細胞治療やポラツズマブベドチン(ADC)などの新薬が登場し、治療成績は良くなったが、それらの治療にても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。本発表では、CD20とCD3(2対1の比率)に対する二重抗体薬のglofitamabの第II相試験(21日サイクルにて、最大12サイクルまでの固定期間治療であり、サイクル1のDay1には、CRS軽減のため、オビヌツズマブを投与し、Day8に2.5mg、Day15に10mgを投与、サイクル2以降はDay1に30mgを投与する)の結果が報告された。154例の2ライン以上の前治療歴(リツキシマブの治療歴を含む)のあるR/R DLBCL患者が対象となった(59.7%が3ライン以上、33.1%がCAR-T治療を受けていた)。主要評価項目のCR率は39.4%であり、副次評価項目のORRは51.6%であった。また、CAR-T治療歴のある、なしでのCR率は、それぞれ35%と42%であった。CR維持率は12ヵ月時点で77.6%であった。CRSは63%に認めたが、うち59%はG1~2であり、ほとんどがサイクル2までに認められた。glofitamabは、CAR-T既治療例を含むR/R DLBCLに対する新たな治療薬として期待できる。Influence of racial and ethnic identity on overall survival in patients with chronic lymphocytic lymphoma. (Abstract #7508)CLLは、西欧諸国では頻度の多い疾患であるが、アフリカやアジアでは少なく、発症率や予後に、人種差が影響するかどうかは、明らかではなかった。本発表では、National Cancer Databaseに2004~18年に登録されたアメリカのCLL患者を解析している。9万7,804例のうち、8万8,680例(90.7%)が白人、7,391例(7.6%)が黒人、2,478例(2.6%)がヒスパニック、613例(0.6%)がアジア人であった。今回は、この中で、白人と黒人を比較している。黒人の方が、診断時の年齢が66歳(vs.70歳)と若く、合併症を有する割合も27.9%(vs.21.3%)と多かった。さらに、次の項目(女性患者、非保険加入者、低所得者)の割合が黒人で多かった。また、CLLの治療を、診断時すぐに開始された割合も35.9%(vs.23.6%)と多く、OSは短い(中央値:7.00年vs.9.14年)ことがわかった。CLLの病態に人種差がどのように影響しているかは不明だが、経済力の差などが、診断時期や治療法の選択にも影響している可能性もあり、それがOSの差に反映していると思われる。GEMSTONE-201: Preplanned primary analysis of a multicenter, single-arm, phase 2 study of sugemalimab (suge) in patients (pts) with relapsed or refractory extranodal natural killer/T cell lymphoma (R/R ENKTL). (Abstract #7501)R/R ENKTLの予後はきわめて不良である(OS中央値は7ヵ月未満、1年OSは20%未満)。本試験では、R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬(sugemalimab)の第II相試験(GEMSTONE-201試験)の最初の解析結果が報告された(追跡期間の中央値が13.4ヵ月時点)。対象となった患者は、80例(年齢中央値:48歳、男性:64%、前治療が2ライン以上:49%、前治療に抵抗性:46%)であり、Suge 1,200mgを3週に1回投与し、最長24ヵ月投与した。主要評価項目のORRは、46.2%であった。また、副次評価項目のCR率は、37.2%であり、12ヵ月時点のDORは、86%であった。探索的評価項目の全生存率は、12ヵ月時点で68.6%であった。G3以上の有害事象は39%(治療薬関連は16%、そのうち重篤な有害事象は6.3%)でみられ、最も高頻度にみられたirAEは、甲状腺機能低下症が16%にみられた。R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬は、その有効性と安全性のバランスから期待できる治療薬と考える。Primary results from the double-blind, placebo-controlled, phase III SHINE study of ibrutinib in combination with bendamustine-rituximab (BR) and R maintenance as a first-line treatment for older patients with mantle cell lymphoma (MCL). Abstract #LBA7502初発の自家移植非適応の高齢MCL患者(65歳以上)に対するBRX6サイクル+R維持療法(2ヵ月ごと2年間)と、その治療に最初からイブルチニブ560mg(or プラセボ)を上乗せし、イブルチニブ(or プラセボ)は、PDあるいは毒性中止となるまで継続する治療を比較した第III相比較試験のSHINE試験の結果がLate break abstractとして報告され、同日のNEJM誌にPublishされた。イブルチニブ群259例とプラセボ群260例が治療を受けた。主要評価項目のPFSの中央値は、80.6と52.9ヵ月であり、HR:0.75(0.59~0.96)と有意にイブルチニブを併用した治療で約2年のPFSの延長がみられた。ハイリスク症例(BlastoidタイプあるいはTP53変異あり)でも、イブルチニブ群でPFSが良い傾向にあったが、症例数が少なく、有意差は認めなかった。TTNTもHR:0.48(0.34~0.66)でイブルチニブ群で延長がみられた。イブルチニブ群では、G3/4の有害事象として、出血(3.5%)、心房細動(3.9%)、高血圧(8.5%)、関節痛(1.2%)を認めた。ただし、OSについては、HR:1.07(0.81~1.40)で差を認めていない。SHINE試験で、初めて、初発の高齢MCL患者に対するイブルチニブの有用性(併用効果)が示され、今後、標準治療の変更が見込まれる結果となった。多発性骨髄腫関連Major risk factors associated with severe COVID-19 outcomes in patients with multiple myeloma: Report from the National COVID-19 Cohort Collaborative (N3C). (Abstract #8008)NCATS’ National COVID Cohort Collaborative (N3C)のデータベースを用い、MM患者におけるCOVID-19の重症化のリスクを解析している。本データベースには、2万6,064例のMM患者が登録(うちCOVID-19 陽性は8,588例)されていた。多変量解析によって、肺疾患、腎疾患の既往は重症化のリスクであったが、糖尿病、高血圧は有意なリスクとはならなかった。喫煙は、むしろリスクが低い傾向があった。造血幹細胞移植、COVID-19ワクチン接種は有意に重症化リスクを下げた。一方、IMiDs、PI、デキサメサゾン治療は死亡リスクを上昇させたが、ダラツムマブ治療はリスクとはならなかった。1.93%のMM患者がCOVID-19感染10日以内に、4.47%のMM患者が30日以内に死亡した。本発表は、世界での最大級のデータベースを解析したものであり、COVID-19流行下のMM診療に役立つと思われる。Teclistamab, a B-cell maturation antigen (BCMA) x CD3 bispecific antibody, in patients with relapsed/refractory multiple myeloma (RRMM): Updated efficacy and safety results from MajesTEC-1. (Abstract #8007)BCMAとCD3に対する二重抗体薬 teclistamabの第I/II相MajesTEC-1試験の最新のデータが発表された。対象となった患者165例(第I相:40例、第II相:125例)は、前治療のライン数が5(2~14)で74%が4ライン以上であった。また、78%がトリプルクラス抵抗性、30%がペンタドラッグ抵抗性であり、90%が最後の治療に抵抗性の状態であった。Tecは、1.5mg/kgを週1回、皮下注で投与する方法が推奨用量であった。有効性の評価では、ORRは63%で、VGPR以上は58.8%、CR以上は39.4%であった。DORの中央値は18.4ヵ月、12ヵ月時点のDORは68.5%であり、CR以上が得られた患者では80.1%であった。PFSの中央値は11.3ヵ月、OSの中央値は18.3ヵ月であった。有害事象については、CRSは、72.1%でみられたが、G3は1例(0.6%)でG4/5はなかった。CRS発現は2日目(1~6)にみられ、2日間(1~9)続いた。治療関連死は5例(COVID-19 2例、肺炎1例、肝不全1例、PML1例)、AEによる減量は1例だけであった(21サイクル目)。BCMAを標的とするCAR-T療法よりは効果が落ちるものの、Off the shelfの薬剤であり、大いに期待される。Daratumumab carfilzomib lenalidomide and dexamethasone as induction therapy in high-risk, transplant-eligible patients with newly diagnosed myeloma: Results of the phase 2 study IFM 2018-04. (Abstract #8002)フランスのグループ(IFM)で実施されたHigh riskの染色体異常(CA)(t[4;14]、 del[17p]、 t[14;16]のいずれか)を有する移植適応のある初発MM患者を対象としたDara-KRD(6サイクル)+Auto(MEL200)+Dara-KRD(4サイクル)+2回目Auto(MEL200)+Dara-Len維持療法(2年)の第II相試験(IFN 2018-04試験)の寛解導入Dara-KRD治療の結果が報告された。50例の患者がエントリーされた。Del(17p)が20例、t(4;14)が26例、t(14;16)が10例、Gain(1q)は25例、前記の2以上のCAを有しているのは34例であった。46例が6サイクル完遂でき、2例はAE(COVID-19感染と腫瘍崩壊症候群)で中止、2例はPD中止となった。6例が2回Auto分のPBSCHに失敗したため、Dara-KRD(3サイクル)後にPBSCHを実施したところ、全例、PBSCHに成功した。ORRは96%、VGPR以上は91%、MRD測定(NGS)を行った37例中、MRD陰性であったのは、62%であった。今後、この治療法は続きがあるが、寛解導入部分の有効性、安全性は評価できると考える。白血病関連Overall survival by IDH2 mutant allele (R140 or R172) in patients with late-stage mutant-IDH2 relapsed or refractory acute myeloid leukemia treated with enasidenib or conventional care regimens in the phase 3 IDHENTIFY trial. (Abstract #7005)AMLにおいて、8~19%の症例で、IDH2遺伝子変異がみられ、IDH2遺伝子変異には、R140Q変異(75%)とR172K変異(25%)がある。変異IDH2阻害剤のenasidenibは、IDH2遺伝子変異を有する高齢R/R AML患者に対し、通常の治療(AZA、CA少量、BSC)と比較しOSの延長は認められなかった(IDHENTIFY試験)。今回の解析では、R140変異とR172変異に分けて解析している。R140と比較し、R172では併存する変異遺伝子の数が、少なかった。また、R140ではSRSF2、FLT3、NPM1、RUNX1遺伝子の変異を伴うのが多かったが、R172では、DNMT3A、TP53の変異が多かった。このことが影響したためか、R140では、OSに差を認めなかったが、R172においては、有意に、enasidenibが、通常治療よりもOSを延長した(14.6ヵ月 vs.7.8ヵ月)。遺伝子変異に基づいた治療法の選択は今後、ますます重要になると思われ、興味深い発表と考える。Efficacy and safety results from ASCEMBL, a phase 3 study of asciminib versus bosutinib (BOS) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia in chronic phase (CML-CP) after >2 prior tyrosine kinase inhibitors (TKIs): Week 96 update.  (Abstract #7004)2ライン以上のTKIによる前治療歴があり、それらのTKI治療に抵抗性・不耐容のCML患者に対し、従来のTKIが結合するATP結合サイトとは異なるミリストイルポケットを標的とするasciminibとボスチニブを比較した第III相試験のASCEMBL試験のフォローアップデータが発表された。最初の解析時点から16.5ヵ月経過した2.3年時点での結果である。157例がasciminib、76例がボスチニブに割り付けられ、84例(53.5%)と15例(19.7%)が治療継続しており、治療効果不十分のため中止となった症例は、38例(24.2%)と27例(35.5%)であった。96週時点のMMR率(副次評価項目)は、37.6%と15.8%であり、有意にasciminibが優れていた(主要評価項目の24週時点のMMR率は25.5%と13.2%であった)。内服期間の中央値も23.7ヵ月と7.0ヵ月で、asciminibが長かった。asciminibでボスチニブよりも多くみられたAEは、血小板減少であり、ボスチニブでみられる下痢、嘔気・嘔吐、皮疹、肝障害は、明らかに少なかった。今回の結果から、asciminibは、既存のTKIに抵抗性・不耐容のCML患者の長く継続できる新たな治療薬として、再認識され、現在、日本でも保険適用で使用可能となった。おわりに以上、ASCO 2022で発表された血液腫瘍領域の演題の中から10演題を紹介しました。昨年のASCO 2021でも10演題を紹介いたしましたが、今年も昨年と同様に、どの演題も今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO 2023にオンライン参加をしたいと考えています。(でも、もう少し参加費を安くしてほしい、特に、円安の今日この頃(笑))

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多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。・対象:プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体の3剤併用を含む3ライン以上の治療歴のあるRR/MM患者・試験群:teclistamab:0.06と0.3mg/kgのステップアップ投与後、1.5mg/kgの皮下注・評価項目:[主要評価項目]全奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、微小残存病変(MRD)の有無、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・165例が組み入れられた。年齢中央値は64(33〜84)歳、うち75歳以上が14.5%、58%が男性で、前治療回数の中央値は5(2〜14)だった。・追跡期間中央値14.1ヵ月におけるORRは63.0%(95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)、65例(39.4%)が完全奏効(CR)以上だった。44例(26.7%)はMRD陰性で、CR以上におけるMRD陰性率は46.2%だった。・DOR中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~推定不能)、PFS中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)だった。・主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が72.1%(Grade3が0.6%、Grade4なし)、好中球減少症が70.9%(Grade3/4が64.2%)、貧血が52.1%(Grade3/4、37.0%)、血小板減少症が40.0%(Grade3/4が21.2%)などだった。感染症は76.4%(Grade3/4が44.8%)で発生し、有害事象による試験中止は2例、減量が1例だった。 著者らは「teclistamabはRR/MM患者において高い確率で持続的で深い奏効をもたらした。好中球減少症と感染症が多くみられたが、T細胞応答に一致する毒性作用はほとんどがGrade1/2で、新たな毒性は見られなかった。現在第III相試験に向けた準備が進んでいる」としている。

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ASCO2022オンデマンド配信中、特設サイトで注目演題レビューを配信

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催された。会期終了後の現在も、プレナリーセッションを含むほぼすべての演題のスライドと動画がASCOサイトで公開されている。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」では、ASCO2022のスタートにあわせた特設サイトを公開。会期前にエキスパートから寄せられた「注目演題」を紹介するほか、会期終了後には各演題の結果を受けた追加コメントや、臓器別に結果をまとめたレビュー、ASCOでの発表と同時掲載された論文を紹介する記事などが集まっている。 現在までにアップされているエキスパート医師が解説する、臓器別の注目演題レビューはこちら(リンク先のDoctors’Picksは医師会員限定)。肺がん/国立がん研究センター中央病院・大熊 裕介氏肺がんエキスパート向け/埼玉医科大学国際医療センター・山口 央氏乳がん/国立がん研究センター中央病院・下井 辰徳氏下部消化管/高知大学・佐竹 悠良氏上部消化管/国立がん研究センター中央病院・加藤 健氏 ASCOは次回2023年6月も、シカゴとオンラインのハイブリッド開催が予定されている。

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IDH2変異の再発・難治AMLに対するenasidenibの効果(IDHENTIFY)/ASCO2022

 IDH2変異(R172K変異)を有する再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)に対して、IDH2阻害薬enasidenibの投与は、従来の治療レジメンに比べて全生存期間(OS)が延長することが第III相試験(IDHENTIFY試験)の追加解析によって示された。フランス・Gustave RoussyのStephane De Botton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 AML患者の8~19%がIDH2変異を有し、IDH2遺伝子変異にはR140Q変異(約75%)とR172K変異(約25%)があることが知られている。IDHENTIFY試験では、IDH2変異陽性の再発・難治性AML患者に対してenasidenib投与と支持療法を行っても、従来の治療レジメンに比べてOSの延長を認めなかった。今回は、対象患者をR140Q変異陽性(R140サブグループ)とR172K変異陽性(R172サブグループ)に分けて、enasidenibの効果について検討した。・対象:60歳以上でIDH2変異陽性のAMLで、2次治療、3次治療に抵抗性または再発した患者、319例・試験群:enasidenib+支持療法・対照群:従来の治療レジメン(支持療法のみ、アザシチジン+支持療法、低用量シタラビン+支持療法、中等量シタラビン+支持療法)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)、奏効期間(DOR)、再発までの期間など 主な結果は以下の通り・319例の対象患者の中で、R140サブグループは229例(72%)、R172サブグループは88例(28%)であった。・ベースラインにおける共存遺伝子変異に関しては、R172サブグループではDNMT3A変異(57%)とPUNX1変異(43%)が主であり、R140サブグループに比べてDNMT3A変異とTP53変異が多かった。・R140サブグループ、R172サブグループとも、試験群は対照群に比べてORRが有意に高かった(ともにp<0.0001)。・R140サブグループでのOS(中央値)は、試験群と対照群ともに5.7ヵ月であり、両群間に差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.70~1.24、p=0.612)。一方、R172サブグループでは試験群14.6ヵ月、対照群7.8ヵ月であり、試験群で有意なOS延長が示された(HR:0.59、95%CI:0.35~0.98、p=0.039)。・安全性に関しては、両サブグループ間で差は認められなかった。

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多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19重症化のリスク因子の検討/ASCO2022

 米国立衛生研究所(NIH)のNational COVID Cohort Collaborative(N3C)データベースを用いた解析により、肺疾患および腎疾患の既往、がん治療などが多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化リスクを高めることが示された。米国・Auburn大学のAmit Kumar Mitra氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 高齢者に発症頻度が高い形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫は、しばしば免疫不全を呈することから、COVID-19の重症化リスクを高める可能性がある。同研究では、NIHのNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)が主導する全国一元公開データベースであるN3Cのデータセットを使用し、多発性骨髄腫患者のCOVID-19の重要化や死亡に関連するリスク因子について解析を行った。・対象:N3Cデータセットに登録された多発性骨髄腫患者26,064例の中で、COVID-19陽性が確認された8,588例・方法:多変量解析により多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化および死亡のリスク因子を検討・評価項目:COVID-19重症化、死亡に関するリスク因子 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢(中央値)は65.9歳、46.8%が女性であり、喫煙歴は25.0%にみられ、腎疾患、肺疾患、糖尿病の既往歴はそれぞれ26.7%、19.8%、27.0%であった。・対象患者の55.8%は入院または救急搬送を要し、12.2%は入院中に急性腎障害を発症、3.2%は人工呼吸器を装着した。また、COVID-19の重症度については、17.8%が軽症(うち3.7%が救急搬送)、18.3%が中等度、0.9%が重症であり、6.7%がCOVID-19により死亡した。・ロジスティック回帰分析からは、肺疾患や腎疾患の既往、多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などがCOVID-19の重症化リスクを高め、ワクチン接種が重症化リスクを低下させていた。また、糖尿病の既往や多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などが死亡リスクを高め、ワクチン接種は死亡リスクも減少させていた。なお、喫煙歴はいずれのリスクとも相関していなかった。・多発性骨髄腫の治療との関連については、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、デキサメタゾンがCOVID-19の重症化リスクを高め、プロテアソーム阻害薬は死亡のリスクも高めていた。一方で、骨髄移植はCOVID-19の重症化および死亡のリスクを低下させていた。

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2剤以上のTKI治療歴のある慢性期CML、asciminibの96週時点における効果(ASCEMBL)/ASCO2022

 2剤以上のTKI治療歴のある慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)患者に対して、BCR-ABL特異的アロステリック阻害薬であるasciminibの効果や忍容性は、2年を超えても持続することが示された。米国・Georgia Cancer CenterのJorge E. Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 2剤以上のTKI治療歴を有するCML-CP患者に対するasciminibの投与は、ボスチニブに比べて24週時点での分子遺伝学的大奏効(MMR)率が高いことが、オープンラベルの無作為化第III相ASCEMBL試験によって報告されている。今回は、重要な副次評価項目として設定されていた96週時点の結果について評価した。・対象:2剤以上のTKIによる治療歴を有するCML-CP患者(233例)・試験群:asciminib 40mg✕2/日を投与(157例)・対照群:ボスチニブ 500mg/日を投与(76例)・評価項目:[主要評価項目]24週時点におけるMMR率[重要な副次評価項目]96週時点におけるMMR率 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値2.3年の時点で、試験群の84例(53.5%)と対照群の15例(19.7%)で服薬が継続していた。服薬期間の中央値は試験群で23.7ヵ月、対照群では7.0ヵ月であり、試験群の7.0%、対照群の25.0%は有害事象(AE)により服薬中止となっていた。・96週時点のMMR率は試験群が37.6%、対照群が15.8%であり、両群間の差は21.7%で、試験群は対照群の2倍以上のMMR率を達成していた。・試験群と対照群のMMR率を経時的にみると、24週時点では25.5%と13.2%(差は12.2%)、48週時点では29.3%と13.2%(差は16.1%)であり、時間の経過に伴い試験群のMMR率は上昇し、対照群との差も広がっていた。・いずれのサブグループで解析しても、も96週時点のMMR率は試験群で高かった。・96週時点でBCR-ABL1ISが1%以下だった患者は、試験群で45.1%、対照群では19.4%であった。

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再発難治DLBCLに対する二重抗体薬glofitamabの有効性/ASCO2022

 再発・難治のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)は近年、CAR-T細胞療法や薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンなどの新薬が登場し、治療成績は向上しているが、それらの治療を経ても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。新たに開発されているglofitamabは、CD20(B細胞)に二価性、CD3(T細胞)に一価性を与える新たな2:1構成のT細胞結合二重特異性抗体薬である。このglofitamabの第II相試験の結果について、オーストラリア・メルボルン大学のMichael Dickinson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。再発・難治のDLBCL患者においてglofitamabの完全奏効率は39.4%・対象:2ライン以上の前治療歴のある再発・難治のDLBCL患者・試験群:オビヌツズマブ(1,000mg)の前治療後、glofitamabを8日目2.5mg、15日目10mg、2サイクル目から目標用量30mgで投与。21日ごとに最大12サイクル。・評価項目:[主要評価項目]独立審査委員会(IRC)によるCR(完全奏効)率[副次評価項目]奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・再発・難治のDLBCL患者155例が組み込まれた(年齢中央値66[21-90]歳、男性65%)。60%が3回以上の前治療、33%がCAR-T治療を受けていた。・ほとんどの再発・難治のDLBCL患者がCD20 抗体を含む前治療(86%)に抵抗性で、CAR-T療法(30%)抵抗性の患者も含まれた。・追跡期間中央値12.6ヵ月後、ORRは51.6%(95%信頼区間[CI]:43.5~59.7)、CR率は39.4%(95%CI:31.6~47.5)だった。CAR-T療法による前治療のあり・なしでCR率に大きな差はなかった(35%対42%)。・CRまでの期間中央値は42(41~48)日だった。・PFS中央値は4.9(95%CI:3.4~8.1)ヵ月、OS中央値は11.5(95%CI:7.9~15.7)ヵ月だった。・有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が63%で発生したが、ほとんどがGrade1(48%)または 2(12%)だった。感染症(39%、Grade3以上は15%)、好中球減少症(38%、同27%)などが比較的多く見られたが、治療中止につながるものは稀だった。 これらの結果を踏まえ、著者らは「glofitamabは前治療に耐性のある再発・難治のDLBCLにおいて有用性を示し、新たな治療薬として期待できる」としている。

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移植適応のある高リスク多発性骨髄腫に対する4剤併用による寛解導入療法(Dara-KRd)の効果/ASCO2022

 ダラツムマブ(Dara)とカルフィルゾミブ/レナリドミド/デキサメタゾン(KRd)併用による4剤導入療法(Dara-KRd)は、高リスクな新規に診断された移植適応のある多発性骨髄腫(TE-NDMM)患者に対する寛解導入療法として有用であることが、第II相試験(IFM 2018-04)から示された。フランス・University Hospital Hotel-DieuのCyrille Touzeau氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  KRdによる導入療法と移植は、高リスクなTE-NDMM患者に対して有用であることが知られている。また、この効果は導入療法にDaraを加えることや、タンデム移植(2回の移植)によってさらに高まることが報告されている。本試験は、フランスのグループ(IFM)が実施したオープンラベルの第II相試験で、Dara-KRdによる寛解導入療法を含めた高リスクのTE-NDMM患者に対する強化療法の実行可能性および有用性について検討した。・対象:高リスク[染色体転座 t(4;14)またはt(14;16)、17番染色体短腕欠失(del17p)を検出]の TE-NDMM患者(50例)・方法:Dara-KRd(6サイクル)による導入療法、幹細胞採取、自家幹細胞移植(ASCT)、Dara-KRd(4サイクル)による地固め療法、2回目のASCT、ダラツムマブとレナリドミド併用による維持療法を実施・評価項目:[主要評価項目]実行可能性(70%以上の患者が2回目のASCTまで到達)[副次評価項目]安全性、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は57歳で、骨髄染色体検査ではdel17pが40%、 t(4;14)が52%、t(14;16)が20%に認められ、68%の患者は2つ以上の細胞遺伝学的異常を有していた。・データカットオフの時点(2022年4月25日)で、55例中36例(72%)が治療継続中(地固め療法11例、2度目のASCT 1例、維持療法24例)で、14例(28%)が疾患進行や有害事象(AE)、幹細胞採取失敗などの理由で治療を中断していた。・Dara-KRd導入療法の忍容性は良好で、Grade 3/4のAEは少なかった。・評価が可能であった48例において、ORRは96%であった。また、追跡期間中央値19.4ヵ月において、12ヵ月PFS率は96%、12ヵ月OS率も96%であった。

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「AZA」は何の薬?略語に潜む医療事故のリスク!?【知って得する!?医療略語】第14回

第14回 「AZA」は何の薬?略語に潜む医療事故のリスク!?AZAは何の薬を指す略語ですか?「AZA」と表記される可能性のある薬剤は複数あります。そのため、略語表記だけで薬剤名を判断するのは、少し慎重になる必要があります。本連載では医療略語を取り上げ、それにまつわる疾患や病態を紹介してきました。今回は医療略語について、筆者が普段考えていることや医療現場で感じてきたことを綴ります。近年の風潮かもしれませんが、メディアで略語表記を目にすることが増えた気がします。企業における役職1つを挙げてもCEO、CFO、CTO、CIS、COOなど英字略語表記をよく見かけます。しかし、筆者はパッとみた瞬間にその英字表記の意味や、その略語の原語が思い浮かばす、最初から日本語で書いたほうが分かりやすいのではないかと思う場面も少なくありません。ちなみに「CEO」は最高経営責任者、「CFO」は最高財務責任者、「CTO」は最高技術責任者、「CIS」は最高情報責任者、「COO」は最高執行責任者です。医療の世界でも略語表記はたくさんありますが、皆さんはカルテ記録で『AZA投与開始』という記録を見たとき、何の薬剤を想像しますか? 前後の文脈や使用された診療科などの情報がないと、略語を読み解くことは、なかなか難しいと思います。『AZA』という表記は、血液がんの治療に使用される「アザシチジン」を意図して記載される場合もあれば、免疫抑制剤の「アザチオプリン」あるいは利尿剤の「アセタゾラミド」も候補が挙がります。ある指導医がこのカルテ記載をもとに、研修医に処方を依頼したらどうでしょうか。指導医の意図したAZAと研修医の認識したAZAに違いがあったとしたら、それだけで医療事故が起きてもおかしくありません。なお、アセタゾラミドは「AZM」と記載されることもあり、抗菌薬のアジスロマイシン「AZM」と同一表記です。AZAから連想される薬剤●アザシチジン[Azacitidine]骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病治療薬●アザチオプリン[Azathioprine]免疫抑制薬●アセタゾラミド[Acetazolamide]炭酸脱水酵素阻害薬抗菌薬や抗悪性腫瘍薬をはじめ、多くの薬剤に略語表記があります。しかし、続々と新しい薬が登場する中で、略語表記は必ずしも特定の薬剤を指すとは限らず、一歩間違えれば誤認事故が生じるリスクを伴います。このことを私たちは改めて認識する必要があるのではないでしょうか。多忙な臨床現場において、略語を使用することは記載者の負担軽減にとても便利な手法です。しかし、その一方で読み手には略語の意味を読み解く必要があり、略語に突然遭遇すると戸惑いやストレスを感じさせるもの事実です。また、記載者が意図した意味に読み手が解釈しないリスクもあります。カルテをはじめとする医療記録は、多くの職種で情報を共有するものであるため、略語表記の使用は極力避け、可能な限り最小限に留めるのが望ましいと考えます。

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新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。9ヵ国の第I/II相試験の結果 MajesTEC-1試験は、再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療におけるteclistamabの有効性と安全性の評価を目的とする国際的な多施設共同臨床試験であり、今回は、第I/II相試験の結果が報告された(Janssen Research and Developmentの助成による)。本試験では、2020年3月~2021年8月の期間に、9ヵ国35施設で参加者の登録が行われた。 対象は、年齢18歳以上、国際骨髄腫作業部会(IMWG)の診断基準で再発・難治性骨髄腫と診断され、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体を含む、少なくとも3つの治療ラインを施行され、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance-status(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、teclistamab 0.06mg/kgおよび0.3mg/kgを2~4日間隔で漸増投与後に、全用量1.5mg/kgを週1回、皮下投与された。1サイクルの期間は、第I相試験が21日、第II相試験は28日だった。teclistamabの投与は、病勢進行、許容できない毒性、同意の撤回、死亡、試験終了(最後に登録された患者への初回投与から2年後と定義)のいずれかが発生するまで継続された。 主要評価項目は全奏効(部分奏効以上)であった。感染症、サイトカイン放出症候群、血球減少の頻度が高い 165例(第I相試験40例、第II相試験 125例)が登録された。年齢中央値は64歳(範囲:33~84歳)で、女性が69例(41.8%)であった。前治療ライン数中央値は5(範囲:2~14)で、148例(89.7%)が直近の前治療ラインに抵抗性であり、128例(77.6%)が3クラスの薬剤(少なくとも1種の免疫調節薬、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害薬、少なくとも1種の抗CD38抗体)に抵抗性、50例(30.3%)が5薬剤(少なくとも2種の免疫調節薬、少なくとも2種のプロテアーゼ阻害薬、少なくとも1種の抗CD38抗体)に抵抗性だった。 追跡期間中央値14.1ヵ月(範囲:0.3~24.4)の時点で、全奏効は165例中104例(63.0%、95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)で達成された。また、最良部分奏効以上は97例(58.8%)、完全奏効以上は65例(39.4%)で得られた。 44例(26.7%)では、微小残存病変(MRD)が認められなかった。完全奏効以上の患者におけるMRD陰性割合は46%(30/65例)であった。 奏効は持続的で深く、奏効期間中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~評価不能)、無増悪生存期間中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)、全生存期間中央値は18.3ヵ月(95%CI:15.1~評価不能)だった。 有害事象では、サイトカイン放出症候群(72.1%[119例]、このうちGrade3は0.6%[1例]、Grade4は0%)の頻度が高かったが、これにより投与が中止された患者はいなかった。そのほか、好中球数減少(70.9%、Grade3/4は64.2%)、貧血(52.1%、Grade3/4は37.0%)、血小板減少(40.0%、Grade3/4は21.2%)の頻度が高かった。 感染症の頻度も高かった(76.4%[126例]、Grade3/4は44.8%[74例])。また、神経毒性イベントが24例(14.5%、Grade4が1例)で発現した。このうち5例(3.0%、すべてGrade1/2)の9件のイベントは免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群で、7件はサイトカイン放出症候群と同時に発現したが、9件とも投与中止や減量をせずに消退した。 著者は、「この集団において深い持続的な奏効が高い割合で達成されたことは、本薬剤がより広範な患者集団に臨床的利益をもたらす可能性を示している」としている。

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RVd±ASCTとレナリドミド維持療法による新規診断多発性骨髄腫の進展抑制効果(DETERMINATION)/ASCO2022

 レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメサゾン併用療法(RVd)の後に自家造血幹細胞移植(ASCT)を行う治療法は、RVdと比較して無増悪生存期間(PFS)を延長するが、6年を超える追跡期間で全生存期間(OS)には差がないことが、第III相無作為化試験であるDETERMINATION 試験の結果から示された。米国・ハーバード大学のPaul G. Richardson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 前処置として高用量のメルファランを投与するASCTは、移植適格の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する標準治療とされてきた。その一方で、最近はRVdによる導入療法やレナリドミドによる長期維持療法などの有効性が明らかとなり、移植適格NDMM患者に対する治療法は進化している。同試験では、現在の治療においてもASCTは移植適格NDMMに対する導入療法として有用であるかが検証された。・対象:1サイクルのRVd後レナリドミド維持療法を行ったNDMM患者(722例)・試験薬:RVd+ASCT(365例)→レナリドミド維持療法(310例)・対照薬:RVd→レナリドミド維持療法(357例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PFR中央値は試験薬群で67.7ヵ月、対照薬群で46.2ヵ月であり、試験薬群で有意に高かった(ハザード比:1.53、95%信頼区間:1.23~1.91、p<0.0001)。・6年以上におよぶ追跡期間においてOSは両群間に差が認められず、5年OS率は試験薬群で80.7%、対照薬群で79.2%であった。・試験薬群と対照薬群でそれぞれORRは97.5%、95.0%、非常に良い部分奏効(VGPR)以上は82.7%、79.6%、完全寛解(CR)以上は46.8%、42.0%であった。・維持療法開始時点での微小残存病変陰性化率は、試験薬群で54.4%、対照薬群で39.8%であった。・治療期間中を通じて有害事象(AE)の管理は可能であったが、Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は試験薬群と治療薬群でそれぞれ41.9%と26.1%、重篤なAEの発現率は維持療法前が47.1%と40.3%、維持療法中が16.6%と11.3%であった。Grade5のAEは試験薬群で1.6%、対照薬群0.3%で発現した。

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高齢未治療MCL、標準化学免疫療法へのイブルチニブ上乗せでPFS延長(SHINE)/NEJM

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)高齢患者において、標準化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ:BR療法)へのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの上乗せは、プラセボとの比較において、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らによる国際無作為化二重盲検第III相試験「SHINE試験」の結果、示された。これまでに未治療/再発/難治性MCLの患者17例を対象とした第Ib相試験で、BR療法へのイブルチニブ上乗せは、患者の76%が完全奏効(CR)を有し、安全かつ有効であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月3日号掲載の報告。BR療法+イブルチニブを対プラセボで評価 SHINE試験の対象は、中央施設でMCLと診断された65歳以上、未治療で疾患StageII~IV、最長径1.5cm以上の測定可能な病変1つ以上、Eastern Cooperative Oncology Groupパフォーマンスステータススコア0または1(スケール範囲:0~5、数値が大きいほど障害が大きいことを示す)、十分な臓器機能を有する患者であった。 研究グループは、被験者を無作為に1対1の割合で、イブルチニブ560mgを1日1回経口投与する群またはプラセボ群に割り付け、両群に、ベンダムスチン90mg/m2(体表面積)(28日として定義された各サイクルの1日目と2日目に投与)およびリツキシマブ375mg/m2(各サイクルの1日目に投与)を4週ごと6サイクル併用投与した。また、客観的奏効(完全または部分的奏効)を示した患者には、リツキシマブ維持療法を8週ごと最大12回追加投与した。 主要評価項目は、治験責任医師が評価したPFSであった。全生存(OS)および安全性も評価した。PFSはイブルチニブ群80.6ヵ月vs.プラセボ群52.9ヵ月で有意差、OSは同等 2013年5月~2014年11月の間に、北米、南米、欧州、アジア太平洋地域の183の試験地(日本を含む)で計523例が無作為化を受け、261例がイブルチニブ群に、262例がプラセボ群に割り付けられた。 追跡期間中央値84.7ヵ月(主要解析のデータカットオフ日2021年6月30日)の時点における疾患の進行または死亡は、イブルチニブ群116例(44.4%)、プラセボ群は152例(58.0%)であった。PFS期間中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月、プラセボ群52.9ヵ月であった(疾患の進行または死亡のハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.59~0.96、p=0.01)。 CRを示した患者は、イブルチニブ群171例(65.5%)、プラセボ群151例(57.6%)であった(p=0.06)。客観的奏効が認められた患者の割合は、両群で同等であった(それぞれ89.7%、88.5%)。 データカットオフ日の時点で、死亡はイブルチニブ群104例(39.8%)、プラセボ群107例(40.8%)。OSは両群で同等であった(HR:1.07、95%CI:0.81~1.40)。7年時点のOSは、イブルチニブ群55.0%、プラセボ群56.8%。一方で、疾患の進行による死亡は、イブルチニブ群30例(11.5%)、プラセボ群54例(20.6%)であった。 治療期間中のGrade3/4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%であった。最も頻度の高かったGrade3/4の有害事象(各群で10%以上を占めたものと定義)は好中球減少症(イブルチニブ群122例[47.1%]、プラセボ群125例[48.1%])で、肺炎(それぞれ20.1%、14.2%)、リンパ球減少症(16.2%、11.9%)、貧血(15.4%、8.8%)、血小板減少症(12.7%、13.1%)、発疹(12.0%、1.9%)、および白血球減少症(10.0%、11.2%)が報告された。

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第113回 医学的に解決できないもの-抗HIV薬の発展から問われる課題

ここまで進化したのか。あるニュースを私はそんな思いで見つめている。先日薬価収載された抗HIV薬初の長時間作用型注射製剤のカボテグラビル(商品名:ボカブリア)とリルピビリン(同:リカムビス)の承認と薬価収載に関するニュースだ。多くの方がご存じのように、HIV感染症は1980年代から1990年代半ばまで「不治の病」だった。過去にも触れたが、私が専門誌記者になったのはまさにこの頃だ。しかし、1990年代半ば以降に確立された作用機序が異なる複数の抗HIV薬を併用するHAART(highly active anti-retroviral therapy)療法により、もはや多くの感染者にとってコントロール可能な慢性感染症となっている。とはいえHAART療法の確立直後は、薬剤耐性やウイルス量増加を回避するため、服用回数が異なる複数の経口抗HIV薬を忘れることなく服用することが患者にとっての至上命題。しかも、初期のHAART療法の中で主流として使われていた抗HIVプロテアーゼ阻害薬のインジナビル(同:クリキシバン)は、腎結石の副作用頻度が高かったため、服用者は毎日1.5Lの水分摂取が必要だった。当時、取材で知り合ったあるHIV感染者と話した際、私が「少なくとも死の病ではなくなる可能性が高くなりましたね」と口にしたら、本人は頷きながらもそのまま無言になり、自分が持っていたカバンのチャックを開け、それを黙って私に差し出したことがある。かばんの中には水をつめたラベルのない500mLのペットボトルが3本入っていた。私は「ああ、副作用を防ぐための水ですね」と答えたが、本人はほぼ無表情で黙ったままだった。私自身は尿酸値が高い傾向があるため、現在は必死になって1日2Lの水分を摂取しているが、これが実はかなりの苦痛である。そうした今になって初めて、あの時のこの感染者が無言で私に伝えようとしていたメッセージが分かる気がする。その後、HAART療法は個々の薬剤成分そのものが副作用の少ないものに置き換わり、さらに合剤化が進んだ。現在ではほとんどの感染者が1日1回の服用のみで医学的には非感染者と変わらない生活が送れるようになっている。もっとも感染者にとって毎日の服薬を怠らないよう気を付けることや服薬のたびにHIV感染を自覚させられるストレスは残されている。そうした中で今回上市されたカボテグラビルとリルピビリンの併用筋注で感染者のこうしたストレスはより緩和される可能性が高まっている。臨床試験で判明している結果では、経口薬で血中のHIVが検出限界以下になった後、この2剤を1ヵ月あるいは2ヵ月間隔で筋注すれば、毎日経口薬を服用するのと同レベルの臨床効果が得られる。有害事象も疼痛などの注射部位反応は8割以上に認められるものの、薬剤関連の全身性の有害事象は頭痛、発熱が5%程度の人に起こるぐらいだ。少なくとも服薬のたびにHIV感染を自覚させられる苦痛という観点に立てば、それは今回の両薬の登場で60分の1~30分の1に減少することになる。これ自体は極めて画期的なことだと私自身も思う。もっともこうした慢性疾患特有の医学的課題が1つ1つクリアされればされるほど、残された課題の壁は高くなるとも感じている。まず、医学的に残された最大の課題は感染者の誰しもが望むであろう根治だ。これについては、血液がんを併発して骨髄移植を受けたHIV感染者で、ほぼ根治と言って良い事例が世界で3人確認されている。少なくともHIV根治が実現可能性の低い夢とは言えなくなっているのは確かだろう。ただし、ただでさえ適応が限られ、治療時の死亡リスクも高い骨髄移植を誰にでも行うわけにはいかない。HIV感染者すべてに適応可能な簡便な治療法の実現という意味ではまだ道は遠いと言わざるを得ない。こうした「遠い道程」のなかで感染者が抱えるであろう心理的負担は医学のみでは解決不可能と言って良い。日本国内では2018年に医療機関がHIV感染を事前告知しなかったソーシャルワーカーの内定取り消しを行い、そのことが法廷の場に持ち込まれて敗訴するなど、まだまだ根深い偏見・差別があることが白日の下にさらされている。また、こうした社会状況なども背景にあるのだろうが、HIV感染者での精神疾患併発率は一般集団と比べても高いとの報告もある。残念ながらこうした差別、偏見を解消する医学的手段はこの世にはない。その意味で約30年間、HIV治療を横目で眺め続けてきた私は、大きな一歩を目の当たりに感動しながらも、これからこの社会全体がクリアしなければならない急峻な絶壁のほうも考えてしまいやや悶々としているのが現状なのである。

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ホジキンリンパ腫のA-AVD療法が初めて標準療法にOSで優る(ECHELON-1)/ASCO2022

 古典的ホジキンリンパ腫では、これまで標準療法であるABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が初めて全生存期間(OS)でABVD療法に優ったことが示された。このECHELON-1試験の結果を、米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。ホジキンリンパ腫治療のECHELON-1試験でA-AVD群のOSの優位性が示された これまでホジキンリンパ腫治療で、A-AVD療法はABVD療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)の延長効果が示されていたが、今回のECHELON-1試験の結果発表では、追跡期間中央値73ヵ月(約6年)の長期に渡るPFSの利点とあわせ、OSについての優位性が初めて示されたことになる。・対象:StageIII/IVの進行古典的ホジキンリンパ腫患者・試験群(A-AVD群):A+AVD最大6サイクル(ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg)664例・対照群(ABVD群):ABVD最大6サイクル  670例・評価項目:[主要評価項目]独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS) ホジキンリンパ腫の治療においてA-AVD療法とABVD療法を比較したECHELON-1試験の主な結果は以下のとおり。・推定6年のOS率はA-AVD 群93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6~95.5)、ABVD群89.4%(86.6~91.7)で、それぞれ39件と64件のOSイベントが発生した。・A-AVD群のOSの優位性が示された(HR:0.59、0.40~0.88、p=0.009)。OSのメリットはサブグループ全体で一貫していた。・6年間のPFS推定値はA-AVD群とABVD群で82.3%(79.1~85.0)vs.74.5%(70.8~77.7)だった(HR:0.68、0.53~0.86)。・治療に起因する末梢神経障害は両群で引き続き解消または改善し、A-AVD群およびABVD群の症例の86%(379/443例)および87%(249/286例)が完全に解消した。A-AVD群、ABVD群で報告された二次悪性腫瘍は少なかった(23 vs.32)。A-AVDはABVDと同等の長期安全性が確認された。 著者らはホジキンリンパ腫の治療において「A-AVD治療により、ABVDと比較して死亡リスクが41%と有意に減少し、以前の報告と一致する管理可能な安全性プロファイルが得られた。これらの結果は、A-AVD療法がStageIII/IVの古典的ホジキンリンパ腫の1次治療として好ましい選択肢であることを裏付けている」としている。

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MCL高齢患者、BR-R療法+イブルチニブでPFSが2.3年延長/ASCO2022

 マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者は、過度の毒性のため集中的な化学療法や移植には適さない。ランダム化プラセボ対照二重盲検PhaseIIIのSHINE試験は、現在の初発MCL患者に対する標準的治療の一つであるベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)およびリツキシマブ(R)維持療法に、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)イブルチニブを併用することの有用性を見たもの。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L.Wang氏が結果を発表し、NEJM誌に同時掲載された。・対象:65歳以上のMCL患者。MIPIスコア(低中高リスク)によって層別化され、B(90mg/m2)とR(375mg/m2)6サイクルを投与し、イブルチニブ(560mgを毎日経口投与)群とプラセボ群に1:1でランダム化。CRまたはPRを達成した場合はRの維持を受け、両群で最大12サイクルを8週間ごとに実施。イブルチニブとプラセボは、病気の進行または許容できない毒性になるまで投与。・対照群:BR-R維持療法+プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験責任医師が評価した無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、次治療までの期間、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2013年5月~2014年11月に日本を含む183施設で523例が登録された。・一次分析時点の追跡期間中央値は84.7ヵ月だった。両群でPFSが大幅に改善され、主要エンドポイントが満たされた(ハザード比:0.75、p= 0.011)。・PFS中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月(6.7年)、プラセボ群52.9ヵ月(4.4年)よりも2.3年改善された。・ORRは、イブルチニブ群65.5%、プラセボ群57.6%だった(p=0.0567)。・OSは両群で差がなかった(p=0.648)。・次治療までの時間はイブルチニブ群で未到達だったが、プラセボ群より長い傾向が見られた。イブルチニブ群52例(19.9%)およびプラセボ群106例(40.5%)がその後の抗リンパ腫療法を受けた。・Grade3または4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%だった。BTKiの臨床的に重要な有害事象のうち、心房細動はイブルチニブ群13.9%とプラセボ群の6.5%で報告された。出血、高血圧、関節痛の発生率は両群で類似していた。QOLも両群で同様だった。 この結果によって、初発の高齢MCL患者に対するBR療法+R維持療法とイブルチニブの併用は、高齢あるいは自家造血幹細胞移植(ASCT)不適格の未治療MCL患者に対する新たな1次治療となりうることが示された。

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骨髄異形成症候群へのメチル化阻害薬、がん遺伝子への影響は?/NEJM

 骨髄異形成症候群の患者へのメチル化阻害薬治療後に、がん遺伝子の脱メチル化とアップレギュレートが起こることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のYao-Chung Liu氏らによって確認された。2つのコホートの患者サンプルの分析と遺伝子座特異的脱メチル化技術「CRISPR-DNMT1-interacting RNA」(CRISPR-DiR)を組み合わせた検討で明らかになったという。メチル化阻害薬は現在、がん患者の治療に用いられているが、腫瘍遺伝子の再活性化およびアップレギュレートも可能かどうかは、十分に解明されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討の必要性があることが判明した」と述べている。NEJM誌2022年5月26日号掲載の報告。患者68例のメチル化阻害薬治療前後のサンプルを採取 研究グループは、2つの骨髄異形成症候群の患者コホートについて、メチル化阻害薬治療前後の骨髄サンプルを採取し、骨髄異形成症候群やその他がんで重要な役割を果たしている既知のがん遺伝子SALL4へのメチル化阻害薬の影響を検証した。 第1コホートとして新たに骨髄異形成症候群の診断を受けた37例について、骨髄サンプルを採取。うち25例について、5-アザシチジンの4サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。第2コホートでは、骨髄異形成症候群の診断を受けた43例について、メチル化阻害薬の5サイクル投与前後の骨髄サンプルを採取した。また、対照群として、健康なドナー10例からCD34-骨髄単核細胞を、また同5例からCD34+骨髄単核細胞を採取した。 SALL4発現の変化、治療反応性、臨床アウトカムについて、メチル化阻害薬治療との関連を調べた。SALL4発現が低いか検出限界以下の白血病細胞株を用いて、SALL4メチル化と発現との関連を調べた。 SALL4発現にきわめて重要なCpGアイランドを同定するためCRISPR-DiRを用いた。SALL4アップレギュレートを30~40%で確認、不良なアウトカムと関連 メチル化阻害薬による治療後、SALL4のアップレギュレートが第1コホートの40%(25例中10例)と第2コホートの30%(43例中13例)で認められ、不良なアウトカムと関連していた。 CRISPR-DiRの結果、5'非翻訳領域のCpGアイランドの脱メチル化が、SALL4発現に非常に重要であることが判明した。細胞株や患者について、メチル化阻害薬による治療は、同じCpG領域の脱メチル化と、SALL4発現のアップレギュレートを引き起こしたことが確認された。

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有害事象報告のための可視化への動きが始まった(解説:折笠秀樹氏)

 臨床試験の有害事象はおよそ、群ごとに各事象の頻度と割合を示しているだけです。最後の表で示されていることが多いので、しっかり見ている人は少ないかもしれません。もっと注目してもらおうと、可視化(Visualization)への動きが高まっています。 英国の大学に所属する統計家を主に、コンセンサス会議が行われました。28種類の可視化を検討して、その中で10個を推奨することになったようです。 その多くはよく知られたものでした。棒グラフ、帯グラフ、折れ線グラフ、散布図、ドット・プロット、カプラン・マイヤープロットはよく見掛けます。それ以外にバイオリン・プロットとカーネル密度プロットが推奨されましたが、最近医学雑誌で見掛けたことがあります。統計ソフトのStata、R、SASなどでも描けるようになったみたいです。 カプラン・マイヤープロットというと、100%から下がるタイプしかありませんでした。がん治療の生命予後ならこれでよかったわけですが、循環器の心臓死なら、むしろ0%から上がっていく方式のほうが見やすいわけです。こうした持ち上がり型プロットが登場したのは、20年ほど前ではなかったでしょうか。統計ソフトもこれに対応するようになってきました。 可視化への動きは医学論文だけとは限りません。テレビや新聞などのマスメディアにおいても、視聴者や読者へ訴えかける手段として可視化には力を入れています。どういった解析法がよいかだけを考えるのが統計家の役目のように考えられてきましたが、この可視化についても統計家はもっと関与していくべきかもしれません。可視化に関する著書もたくさん出版されるようになってきました。最後に、可視化のカタログというサイトがあります(https://datavizcatalogue.com)。ぜひ見ておいてください。

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