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週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。15ヵ国の無作為化非劣性試験 ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、カンジダ血症または侵襲性カンジダ症に起因する感染症の全身性の徴候(発熱、低体温、低血圧、頻脈、頻呼吸)が認められ、真菌学的に血液または通常は無菌と考えられる部位の検体からカンジダ血症または侵襲性カンジダ症と確定された患者であった。 被験者は、rezafungin(1週目に400mg、2週目以降は200mg、2~4回投与)を週1回(残りの6日はプラセボを投与)、またはカスポファンギン(1日目に負荷投与量70mg、2日目以降は50mg)を毎日1回、いずれも最長4週間、静脈内投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要評価項目は2つで、(1)14日の時点での欧州医薬品庁(EMA)の総合的治癒(臨床的治癒、画像的治癒、真菌学的消失)、(2)30日の時点での米国食品医薬品局(FDA)の全死因死亡(死亡または生死不明)とされ、いずれも非劣性マージンは20%であった。安全性も両群で同程度 199例が登録され、rezafungin群に100例、カスポファンギン群に99例が無作為に割り付けられた。全体の平均年齢は61(SD 15.2)歳、女性が41%であった。 EMAの主要評価項目である14日時の総合的治癒は、rezafungin群が93例中55例(59%)、カスポファンギン群は94例中57例(61%)で達成された(重み付け群間差:-1.1%、95%信頼区間[CI]:-14.9~12.7)。 また、FDAの主要評価項目である30日時の全死因死亡は、rezafungin群が93例中22例(24%)、カスポファンギン群は94例中20例(21%)であった(群間差:2.4%、95%CI:-9.7~14.4)。 総合的治癒は群間差の95%CI下限値が-20%より大きく、全死因死亡は群間差の95%CI上限値が20%より小さかったことから、いずれもrezafungin群のカスポファンギン群に対する非劣性が示された。 試験期間中に少なくとも1件の有害事象が、rezafungin群の98例中89例(91%)、カスポファンギン群の98例中83例(85%)で発現した。いずれかの群で5%以上の頻度で発現した有害事象のうちrezafungin群で高頻度であったのは、発熱(rezafungin群14%、カスポファンギン群5%)、低カリウム血症(13%、9%)、肺炎(10%、3%)、敗血症性ショック(10%、9%)、貧血(9%、9%)であった。重篤な有害事象は、それぞれ55例(56%)および52例(53%)で認められた。 著者は、「安全で有効な週1回投与のエキノカンジン系抗真菌薬が使用可能になれば、投与回数が減少することで、カテーテル留置の必要性やその関連費用が削減され、カテーテル関連の有害な転帰が減少する可能性がある」としている。

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黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。204の国と地域の33の細菌属・種による死亡数を推定 研究グループは、世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019のメソッドと、薬剤耐性の世界疾病負担2019で記述されている特定条件を満たした部分集合データを用いて、2019年に発生した33の細菌属・種による11の感染症に関連する死亡数を推算した。本検討には、1万1,361調査地域年にわたる3億4,300万人の記録と分離株が包含された。 各病原体に関連した死亡数を3段階モデル(感染による死亡、感染症に起因する死亡のうち特定の感染症による死亡割合、感染症に起因する死亡のうち特定の病原体による死亡割合)を用いて推定した。推定値は、2019年における204の国と地域、全年齢、男女について算出。標準的なGBDメソッドに従って、対象の各数量の事後分布から1,000の2.5パーセンタイルと97.5パーセンタイルを抽出し、33の細菌属・種に関連する死亡と感染の最終推定値について95%不確実性区間(UI)を算出した。33細菌属・種の関連死、世界全死亡の約14% 2019年の感染症関連死は推定1,370万人(95%UI:1,090万~1,710万)で、そのうち33の細菌属・種(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)による11の感染症関連死は、770万人(570万~1,020万)だった。 2019年の33細菌属・種の関連死は、世界全死亡の13.6%(95%UI:10.2~18.1)を占め、敗血症関連の全死亡の56.2%(52.1~60.1)を占めると推定された。なかでも黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎球菌、肺炎桿菌、緑膿菌の5種の病原菌が、調査対象とした細菌による死因の54.9%(52.9~56.9)を占めた。 死因となった感染症や病原菌は、地域や年齢により異なった。また、調査対象細菌による年齢標準化死亡率は、サハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高く230人/10万人(95%UI:185~285)だった一方、高所得のスーパーリージョンで最も低く52.2人/10万人(37.4~71.5)だった。 黄色ブドウ球菌は、135ヵ国において細菌による死亡の最大の原因で、また、世界的にみて15歳超で最も多く死亡と関連していた。5歳未満の小児では、肺炎球菌が細菌による死亡の最大の原因だった。 2019年に、600万人以上が3種の細菌感染症で死亡しており、200万人超が死亡した感染症は下気道感染症(400万人)と血流感染症(291万人)の2種で、100万人超の死亡は腹膜・腹腔内感染症(128万人)によるものだった。 著者は、「今回調査した33細菌属・種は、世界的な健康ロスの実質的な原因であるが、感染症や地域によって分布にかなりのばらつきがあった。GBDレベル3の根本的な死因と比較すると、これら細菌関連死は2019年の世界で2番目に多い死因に分類される」と述べ、国際保健コミュニティで緊急に介入を優先すべき事項とみなすべきで、対応戦略として、感染予防、抗菌薬の最適使用、微生物学的分析能力の改善、ワクチン開発・改良、利用可能なワクチンのより広範な使用などを提言している。

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12月1日 世界エイズ・デー【今日は何の日?】

【12月1日 世界エイズ・デー】〔由来〕世界レベルのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定。毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動を実施。関連コンテンツHIV感染症患者は新型コロナウイルスに罹りにくいのか?【新興再興感染症に気を付けろッ!】HIV感染と心血管疾患に関連はあるか/JAMA診療に役立つLGBTQsの基礎知識サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?早く治療すれば怖くないHIV感染症

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がん患者のCOVID-19、免疫抑制と免疫療法の両方で重症化

 免疫療法を受けたがん患者は、免疫系の活性化により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサイトカインストームがより多く発生する可能性がある。今回、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのZiad Bakouny氏らが、がん患者におけるベースラインの免疫抑制と免疫療法、COVID-19の重症度およびサイトカインストームとの関連を調べた。その結果、COVID-19を発症したがん患者において、免疫抑制と免疫療法のどちらか片方のみでは重度の感染症やサイトカインストームのリスクは増加せず、ベースラインで免疫抑制のあるがん患者に免疫療法を実施すると、COVID-19の重症化やサイトカインストームの発生につながるリスクが高いことが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年11月3日号に掲載。 本研究は後ろ向きコホート研究で、対象は2020年3月~2022年5月にCOVID-19 and Cancer Consortium(CCC19)レジストリ(現在または過去にがん診断を受けたCOVID-19患者の国際的な多施設集中型レジストリ)に報告された1万2,046例。解析対象は、PCRまたは血清学的所見でSARS-CoV-2感染が確認されたactiveながん患者もしくはがん既往のある患者で、COVID-19診断前3ヵ月以内に免疫療法(PD-1/PD-L1/CTLA-4阻害薬、二重特異性T細胞誘導抗体、CAR-T細胞療法)を含むレジメンで治療された免疫療法群、免疫療法以外(細胞傷害性抗がん剤、分子標的療法、内分泌療法)のレジメンで治療された非免疫療法群、未治療群に分けた。主要評価項目は、COVID-19の重症度(合併症なし、酸素を要しない入院、酸素を要する入院、ICU入院/機械的人工換気、死亡の5段階)、副次評価項目はサイトカインストームの発生とした。 主な結果は以下のとおり。・全コホートの年齢中央値は65歳(四分位範囲:54~74)、女性が6,359例(52.8%)、非ヒスパニック系白人が6,598例(54.8%)であった。免疫療法群は599例(5.0%)、非免疫療法群は4,327例(35.9%)で、未治療群は7,120例(59.1%)であった。・全コホートでは、免疫療法群はCOVID-19重症度(調整オッズ比[aOR]:0.80、95%CI:0.56~1.13)およびサイトカインストーム発生(aOR:0.89、95%CI:0.41~1.93)で未治療群と差が認められなかった。・ベースラインが免疫抑制状態で免疫療法を受けた患者では、未治療群と比較し、COVID-19重症度(aOR:3.33、95%CI:1.38~8.01)およびサイトカインストーム発生(aOR:4.41、95%CI:1.71~11.38)が悪化していた。・ベースラインが免疫抑制状態で非免疫療法を受けた患者も、未治療群と比較し、COVID-19重症度(aOR:1.79、95%CI:1.36~2.35)およびサイトカインストーム発生(aOR:2.32、95%CI:1.42~3.79)が悪化していた。

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「G-CSF適正使用ガイドライン 2022年版」海外ガイドラインの模倣ではなく、科学的な手法を徹底/日本癌治療学会

 がん薬物療法はさまざまな有害事象を伴うが、好中球減少は多くの薬剤で頻発する有害事象であり、時に重篤な感染症を引き起こし死に至ることもある。好中球減少と同時に発熱が生じる「発熱性好中球減少症(FN:Febrile Neutropenia)」を防ぐために使用されるのがG-CSF製剤である。 G-CSF製剤の適正使用に関しては、1994年にASCO(米国臨床腫瘍学会)がガイドラインを作成し、以来、改訂を重ねて、世界中で参照されている。2013年に刊行された「G-CSF適正使用ガイドライン第1版」は、ASCOのガイドラインと歩調を合わせる形で作成され、FNのリスクが高い場合には、G-CSFの「予防投与」を行うことが強く推奨された。日本では、G-CSFの予防投与は一部のがんを除いて保険適用となっておらず、FNが起きてから使う「治療投与」が主流であったが、そんな医療現場に一石を投じることになった。 そして2022年10月、大幅に改訂された「G-CSF適正使用ガイドライン 第2版」(日本癌治療学会・編)が刊行された。Web版としては4年ぶり、書籍版としては7年ぶりの改訂となる。4年に及ぶ改訂作業を率いた、G-CSF適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ(WG)委員長の高野 利実氏(がん研有明病院 院長補佐)に改訂のポイントを聞いた。 「今回の改訂における最大の変更点は、『Minds診療ガイドライン作成の手引き』に準拠し、エビデンスに基づく評価を徹底したことです。世界的な潮流であり当然の決断ではあったのですが、がん種によっては、G-CSFのありなしを比較する研究があまりなく、推奨の決定に苦慮しました。『FN発症率20%を基準にG-CSF使用の是非を判断する』という前提が、ASCOのガイドライン等で採用されているのですが、このカットオフに明確な根拠はないため、私たちは、この前提から離れた上で、G-CSFの有用性を評価するために、がん種別にシステマティックレビューを行いました」 「作業は苦難の連続でしたが、WG委員とシステマティックレビューチームの総勢42名の4年間にわたる努力で、完成させることができました。推奨の強さが1(強い)となったクリニカル・クエスチョン(CQ)は少なく、『弱く推奨する』『有用性は明らかでない』という記述が多くなってしまいましたが、解説文では、G-CSFを使用することの益と害についてのレビュー結果を記載し、現場での判断に役立つように工夫しました」 「刊行前のパブリックコメントでは『ASCOやNCCNのガイドラインに倣うべきでは』『20%のカットオフの方が使いやすい』といった意見も寄せられましたが、『海外の権威』や『使いやすさ』に安易になびくよりも、科学的に妥当であることを重視しました。結果として、世界に類を見ない新しいガイドラインになりました。疾患によってはエビデンスが乏しいことも明らかになりましたので、これからは、新たなエビデンスを創出していく必要があると認識しています」『G-CSF適正使用ガイドライン 2022年10月改訂 第2版』編集/日本癌治療学会 発行/金原出版B5判 208ページ定価 3,520円(税込)

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真性多血症(真性赤血球増加症)〔PV:polycythemia vera〕

1 疾患概要■ 定義真性多血症(PV)は、造血幹細胞レベルで生じる遺伝子変異により汎血球増加、特に赤血球数の著増を来す骨髄増殖性腫瘍である。■ 疫学発症率は人口10万あたり年間約2人、発症年齢中央値は65歳、男女比は約1.5:1である。■ 病因エリスロポエチン(Epo)、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子などのサイトカインのシグナル伝達に必須なJAK2の変異により、これらレセプターの下流のシグナル伝達経路が恒常的に活性化して生じる。JAK2変異は95%以上の例に検出されるが、それ以外に、TET2、DNMT3などのエピゲノム関連分子の変異がそれぞれ10~20%、5~10%にみられる。■ 症状頭痛、頭重感、赤ら顔(深紅色の口唇、鼻尖)、発熱、体重減少、倦怠感、掻痒、骨痛などがみられる。皮膚掻痒感は入浴後に悪化することが多い。血小板増加例では、四肢末端に非対称性の灼熱感を伴う発赤腫脹を来す肢端紅痛症がみられる。触知可能な脾腫が15~20%に認められる。■ 分類血栓症の発症リスクに応じて、低リスク群(年齢60未満、かつ血栓症の既往がない)と高リスク群(年齢60歳以上、血栓症の既往の、いずれか、あるいは両方を認める)に分類する。■ 予後生命予後は比較的良好であり、10年総生存率は約85%である。10年の血栓症を生じない生存率、出血を伴わない生存率は、それぞれ約90%である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)多血、骨髄生検所見、JAK2変異の大基準のうち3項目以上、あるいは大基準の多血と骨髄生検所見に加え、小基準である血清Epo値が低値を示すときにPVと診断する。多血はPVを最初に疑う所見である。PVの診断基準では、Hb値が男性>16.5g/dL、女性>16.0g/dL、ヘマトクリット(Ht)値が男性>49%、女性>48%、もしくは循環赤血球量が予測値の25%を超えて増加している場合を多血とする。赤血球数のみならず、PVでは好中球、血小板数も増加することが多い。PVの骨髄生検所見は過形成であり、赤芽球系、顆粒球系、巨核球系細胞の3系統の細胞の増生がみられる。ただし、3系統の細胞数の比は正常と比べてほぼ同等である。巨核球の分化障害も認めない。線維化はあってもごく軽度である。JAK2変異はPVの95%以上の例に認められる。大部分はV617F変異であり、少数例はexon12の変異を示す。大多数のPVにJAK2変異を認めるため、その存在はPV診断に有用であるものの、JAK2変異はPVに特有ではなく、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症の約50%の例にも検出されることに留意が必要である。つまり、JAK2変異を認めない場合のPV診断は慎重に進めるべきであるが、逆にJAK2変異を認めた場合、PV、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症のいずれかであると言ってよい。ただし、JAK2変異の存在だけでPVとは診断できない。血清Epoは低値を示すことが多い。PV診断においてEpo値の低下の特異度は高いものの、感度は中等度である。つまり、血清Epo値が低い場合はPVである可能性が高いが、Epoが高いからといってPVを否定できるわけではない。鑑別すべき主な疾患は、相対性赤血球増加症と2次性赤血球増加症である。相対性赤血球増加症は、循環赤血球量の増大は認めないものの、脱水などによりHt値やHb値が上昇している場合をいう。嘔吐、下痢などの有無、利尿薬の服薬状況の確認が必要である。相対性赤血球増加症に分類されるストレス多血症は、中年の男性に好発し、喫煙者に多い。赤血球数やHb値、Ht値の上昇を認めるが、白血球数や血小板数は正常であり、脾腫も認めない。また、血清Epo値は上昇していることが多い。2次性赤血球増加症は、血清Epo濃度の上昇により生じる赤血球数の増加である。低酸素(高地や慢性閉塞性肺疾患、右左シャントを伴う心疾患など)が続くと、反応性に腎臓からのEpo産生が増加して、また腫瘍性にEpoが産生されると赤血球数増加を来す。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)生命予後は良好であり、治療の基本は血栓症の予防である(図)図 血栓症リスクに基づくPVの治療方針画像を拡大するはじめに心血管系合併症の危険因子(喫煙、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症など)の評価を行い、該当する場合は禁煙指導、生活習慣の改善、生活習慣病の治療を行う。増加している赤血球体積を減少させるため、原則として全例に瀉血療法を行う。ヘマトクリット値0.45未満を目標に、血圧、脈拍などの循環動態をみながら1回200~400mLの瀉血を月に1~2度のペースで行う。高齢者や心血管障害を有する例では、循環動態の急激な変化がないように、少量(100~200mL)、頻回の瀉血が望ましい。また、瀉血後に同量の補液を行うと、血行動態の変化を抑えられるだけでなく、ヘマトクリット値が希釈により低下することも期待される。これに加えて、出血や消化器潰瘍症状などの禁忌がなければ低用量アスピリン(商品名:バイアスピリン)投与により血栓症の予防をはかる。血小板数の増加がある場合、von Willebrand 因子(vWF)活性が低下していることがあり(後天性のvWF症候群)、アスピリン投与により出血を来す可能性がある。そのためvWFが30%以下の場合にはアスピリンの投与は行わない。上記に加えて、血栓症の高リスク群(年齢60歳以上、あるいは血栓症の既往がある場合)では、細胞減少療法を行う。細胞減少療法の第1選択薬はヒドロキシカルバミド(同:ハイドレア)、またはロペグインターフェロンα-2b(同:ベスレミ)である。ヒドロキシカルバミドの必要量は症例により大きく異なるため、少量から開始し、Ht<0.45となるように調節する。ロペグインターフェロンα-2bは100μgを開始用量とし、2週間に1回皮下注を行う。増量は50μgずつ行い、最大用量は500μgである。自己注射も可能である。個々の患者に応じた最大量のヒドロキシカルバミドを投与してもHt値0.45以下、白血球数10,000/μL以下、血小板数40万/μL以下にコントロールできない場合をヒドロキシカルバミド抵抗性と、ヒドロキシカルバミド投与によりHb<10g/dL、好中球数<1,000/μL、血小板数<10万/μLと血球減少が生じる場合、あるいはヒドロキシカルバミドによる下肢潰瘍などのためにヒドロキシカルバミド治療が継続できない場合を「ヒドロキシカルバミド不耐容」と呼ぶ。ヒドロキシカルバミド治療を開始された患者の20~40%はヒドロキシカルバミド抵抗性/不耐容となる。このような場合は、JAK1/2阻害剤であるルキソリチニブ(同:ジャカビ)投与により、血球数のコントロールのみならず、血栓症の減少も期待できる。1回10mgを開始用量とし、1日2回経口投与する。最大用量は1回25mg(1日50mg)である。真性多血症の3~6%は2次性の骨髄線維症へと、数%の例は急性骨髄性白血病へと病型進展する。治療が一定であるにもかかわらず経過中に血球数が減少する場合や、末梢血に芽球が出現する場合は、骨髄線維症、急性白血病への移行を疑い、骨髄生検を行う。4 今後の展望PVの生命予後は比較的良好なものの、約10~20%の例が血栓症、出血を合併する。現在用いられている血栓症のリスク分類は、細胞減少療法の適応を決めるためのものであり、標準的な治療法が選択された患者における血栓症、出血の発症リスクが明らかになることが望まれる。またロペグインターフェロンα-2bやルキソリチニブ治療により、一部の症例ではJAK2V617F allele burdenの減少が認められる。JAK2V617F allele burdenが治療前値と較べ50%以上減少した症例は、そうでない症例と較べ主要血栓症、出血、骨髄線維症や急性骨髄性白血病への進展、死亡を認めない生存率が良好であることが報告されており、血栓症の予防のみならず、腫瘍量の減少を目指す治療戦略が現実的になりつつある。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。1)日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン2024年版(第3.1版). 金原出版;2024.2)Harrison et al. WHO Classification of Tumours of Haematolopoetic and Lymphoid Tissues 5th edition. WHO;2022. p.p40-43.公開履歴初回2022年11月10日更新2025年6月30日

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論文検索で困惑…医療略語が複数存在する疾患【知って得する!?医療略語】第22回

第22回 論文検索で困惑…医療略語が複数存在する疾患ITPの和訳がよく分かりません。教えてください。ITPには現在「特発性血小板減少性紫斑病」「免疫性血小板減少性紫斑病」「免疫性血小板減少症」の3つの和訳が存在するようです。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】    ITP【日本語/英字】特発性血小板減少性紫斑病/idiopathic thrombocytopenic purpura免疫性血小板減少性紫斑病/immune thrombocytopenic purpura免疫性血小板減少症/immune thrombocytopenia【分野】    血液【診療科】   血液内科・小児科【関連】    ―実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。筆者が学生の頃、血小板減少疾患であるITPは、特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)と覚えました。しかし、近年ITPが「免疫性血小板減少性紫斑病:immune thrombocytopenic purpura」と訳されているのを見かけるようになりました。医師国家試験関連の参考書を参照しても、ITPは「免疫性血小板減少性紫斑病」で記載されています。ITPの和訳は変更されたのでしょうか。調べてみると、成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019改訂版1)が存在します。また難病情報センターの登録難病の病名2)も特発性血小板減少性紫斑病となっています。一方、小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン2022年版というものも存在し、小児慢性特定疾病情報センターのサイトを見ると、免疫性血小板減少性紫斑病が告示病名3)となっています。また同サイトによれば、ITPは血小板減少があっても必ずしも紫斑を伴わないため「紫斑病」は除き、免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia: ITP)と表記するとの記載があります。しかし、それぞれの資料で疾患概要を調べてみると、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症は、同一の疾患です。ちなみに厚生労働省保険局が運営する傷病名マスター4)には、「特発性血小板減少性紫斑病」は存在しますが、「免疫性血小板減少性紫斑病」は登録されていません。ITPと同じように、同一疾患(病態)に複数の病名が存在して困惑するのが血球貪食症候群(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HPS)、血球貪食性リンパ組織球症 (hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)です5)。医学的知見の集積で、より適切な病名に変更されていくことに異義はありません。しかし、同一の疾患や病態に複数の病名が併存することは、少なからず混乱を生じます。まず、それぞれの病名で一見すると別疾患のように誤解を生じます。また、学会発表や論文作成をする時にどちらの用語を用いれば良いか迷いますし、症例集積などの臨床研究や文献検索においても支障を来すと考えられます。昨今注目される医療データ活用の観点でも、同一疾患に複数の病名が存在することは、医療データの活用を阻害しかねません。この問題は日本に医療用語の整備、統一病名変更を告知する組織がないことが原因だと思います。学会の垣根を越えて、用語の統一が図られることを切に願います。1)成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド 2019改訂版2)難病情報センター:特発性血小板減少性紫斑病(指定難病63)3)小児慢性特定疾病情報センター:免疫性血小板減少性紫斑病4)厚生労働省保険局:診療報酬情報提供サービス5)熊倉 俊一. 血栓止血誌. 2008;19:210-215.

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化学療法中に心室期外収縮頻発!対応は?【見落とさない!がんの心毒性】第15回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別50代・女性主訴動悸、労作時息切れ現病歴約10年前に健診で不整脈を指摘されていた。2ヵ月前に労作時息切れが出現し、慢性心不全と診断された。カルベジロールを開始すると心不全症状の改善を認めた。1ヵ月前に汎血球減少が出現し精査が行われ、急性前骨髄性白血病(APL)と診断された。化学療法前の心エコーでは左室拡張末期径64mm、左室駆出率53%、軽度僧帽弁閉鎖不全症を認めた。イダルビシン(48mg/m2)、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)投与による寛解導入療法が施行され、治療開始後6週目に寛解となった。続いて、ダウノルビシン(100mg/m2)、ATRA投与による地固め療法が1コース施行された後、動悸、労作時息切れが出現し、心電図で心室期外収縮(PVC:premature ventricular contraction)頻発、心エコーで左室収縮能低下を認め、精査加療のため入院となった。現症血圧 90/52mmHg、脈拍数 70bpm 不整、SpO2 98%(酸素投与なし)、結膜貧血なし、頚静脈怒張なし、心音I音減弱、III音あり、心雑音なし、呼吸音清、下腿浮腫なし採血BNP 570.7pg/mL胸部X線CTR 57%、肺うっ血なし、胸水なし心電図洞調律、II・III・aVF・V4-6誘導でST低下・平坦〜陰性T波、PVC頻発(左脚ブロック型・正常軸、右脚ブロック型・右軸偏位の2種類)(図1上)心エコーびまん性左室壁運動低下 (左室拡張末期径/収縮末期径 66/56 mm、左室駆出率 28%)、中等度僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症疑い (三尖弁圧較差 39 mmHg、下大静脈径 13 mm、呼吸性変動良好)ホルター心電図総心拍数12万6,988拍/日、心室期外収縮(PVC)4万8,780拍/日 (総心拍数の38%、うち最多波形20%、2番目に多い波形18%、最長12連発)、上室期外収縮22拍/日 (総心拍数の0.1%未満)(図1下)(図1)画像を拡大する画像を拡大する上)12誘導心電図における2種類のPVC。赤枠:左脚ブロック型・正常軸、青枠:右脚ブロック型・右軸偏位下)ホルター心電図におけるPVCのパターン。赤枠と青枠はそれぞれ12誘導心電図におけるPVCに一致する。【問題】今後の治療に関する下記の選択肢について、正しいものはどれか?a. β遮断薬を減量する。b. ATRAを中止する。c. アントラサイクリンを減量し継続する。d. 血清K+4.0mEq/L以下を目標に調整する。e. PVCに対しカテーテルアブレーションを施行する。1)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022 Aug 26.[Epub ahead of print]2)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン3)Fonarow GC, et al. J Am Coll Cardiol. 2008;52:190-199.4)Buza V, et al. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017;10:e005443.5)Montesinos P, et al. Blood. 2009;113:775-783.6)Dubois C, et al. Blood. 1994;83:3264-3270.7)Lacasse Y, et al. Can J Cardiol. 1992;8:53-56.8)Kishi S, et al. Int J Hematol. 2000;71:172-179.9)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2018年改訂版 不整脈非薬物治療ガイドライン講師紹介

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免疫抑制患者、ブースター接種50日以降に入院・死亡リスク増/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株とオミクロン変異株が優勢であった時期に、ワクチンの初回および追加接種を受けた集団では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院や死亡の発生率が低く、複数回接種により重症COVID-19関連疾患の予防効果がもたらされた可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJ. Daniel Kelly氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年9月26日号で報告された。米国の後ろ向きコホート研究 研究グループは、米国の退役軍人健康管理局で治療を受けた経験のある集団を対象に、ワクチンの初回接種と追加接種後における重症COVID-19関連疾患の発生の評価を目的に、後ろ向きコホート研究を行った(米国退役軍人省などの助成を受けた)。 試験期間は2021年7月1日~2022年5月30日で、参加者はワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製]、Ad26.COV2.S[ヤンセン製])の初回接種と追加接種を受けた。 161万719例が解析に含まれた。このうち男性が147万8,476例(91.8%)、女性は13万2,243例(8.2%)で、全体の年齢中央値は71歳(四分位範囲[IQR]:61~76)、110万280例(68.4%)が65歳以上で、113万3,785例(70.4%)は高リスクの併存疾患を有しており、15万8,684例(9.9%)は免疫抑制の状態であった。また、146万7,879例(91.1%)は、初回と追加で同じmRNAワクチンの接種を受けていた。免疫抑制状態の患者では経時的な効果が確認できず 24週の追跡期間中に、161万719例中2万138例でワクチン突破型(追加接種後に検査で確定された症候性COVID-19の診断と定義)のCOVID-19(125.0件[95%信頼区間[CI]:123.3~126.8]/1万人)が発現した。また、1,435例でCOVID-19に起因する肺炎による入院または死亡(8.9件[8.5~9.4]/1万人)が、541例で重症COVID-19肺炎による入院または死亡(3.4件[3.1~3.7]/1万人)が認められた。 高リスク集団におけるCOVID-19肺炎による入院または死亡の発生率は、65歳以上では1.9件(95%CI:1.4~2.6)/1万人であり、高リスクの併存疾患を有する集団では6.7件(6.2~7.2)/1万人、免疫抑制状態の集団では39.6件(36.6~42.9)/1万人であった。 COVID-19肺炎による入院または死亡の集団のサブグループ解析では、追加接種後24週までに、ワクチン接種の5つの組み合わせ(BNT162b2の3回接種、mRNA-1273の3回接種、Ad26.COV2.Sの2回接種、異なるmRNAワクチンの接種、Ad26.COV2.SとmRNAワクチンの接種)で、経時的な累積発生率に差はみられず、全般に発生率は低かった。 高リスク集団の経時的な解析では、免疫抑制状態の患者は免疫抑制のない患者と比較して、追加接種後51~100日(1~50日との比較でp=0.004)および101~150日(同p<0.001)のCOVID-19肺炎による入院または死亡のリスクが有意に高かった。この傾向は、BNT162b2の3回接種(追加接種後51~100日:p=0.02、同101~150日:p=0.002)およびmRNA-1273の3回接種(p=0.22、p=0.006)を受けた患者でも認められた。一方、65歳以上や高リスク併存疾患を有する集団では、このような傾向はみられず有効性が保持されていた。 著者は、「この研究は、デルタ変異株およびオミクロン変異株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1)を含むSARS-CoV-2が米国で優勢であった時期に行われており、ワクチンの追加接種は、ウイルスが進化しても引き続きCOVID-19による重症疾患に対する予防効果をもたらしたことが示唆される」としている。

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がんチーム医療の実践に向けたワークショップ開催/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクト主催のJapan TeamOncology Program(J-TOP)は、2023年1月21~22日および2月11~12日、「チームサイエンス・ワークショップ~変動の時代、革新的なアプローチでチームをエンパワーする~」と題したワークショップを開催する。がんチーム医療の実践に向けた「チームサイエンスの理解、優れたリーダーシップ、個人のキャリア形成」などをテーマに、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターおよび国内施設のがん専門スタッフからなる日米のメンターによるレクチャー、実践的なケーススタディを用いたグループワークおよび参加者によるプレゼンテーションによる参加型研修会が計画されている。<開催概要>主催:一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクト監修:米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター開催日:第1部:2023年1月21日(土)、22日(日)ZOOMでのバーチャルセッション第2部:2023年2月11日(土)、12日(日)会場での現地開催会場:国立国際医療研究センター(東京都新宿区)目的:Upon completion of the program, Participants will gain valuable experience with;科学的思考をもとにした優れた医療人および医療チームを育成することを目的に、参加者は下記の目的を達成する。1. Establishing Empowered Teams through Team Science Principles チームサイエンスの原理を用いたエンパワーメントチームの確立2. Formulating Personal and Team Mission & Vision 個人とチームのミッションとビジョンの策定3. Developing Leadership & Effective Communication リーダーシップと効果的なコミュニケーションスキルの習得4. Applying Evidence-Based Medicine EBM(科学的根拠に基づく医療)の概念を応用できる5. Designing a Personal Career Development Plan 個人のキャリア計画を立案する6. Learning Skills to Develop Strategies for Empowered Team チームを強化するための戦略開発スキルを学ぶ参加費:35,000円(医師)/25,000円(看護師・薬剤師、その他のメディカルスタッフ)※チームオンコロジー.Com会員(入会無料)であることが必要※交通・宿泊費は参加者負担プログラム(予定):第1部:J-TOP日米メンターによる講演およびグループワーク(テーマ別の討論)第2部:グループワーク 2(医師・看護師・薬剤師、その他のメディカルスタッフチームでの課題実習)/チームによる課題のプレゼンテーション※本ワークショップの公用語は英語※プログラムの詳細については決定次第ホームページに掲載予定参加要件:医師・看護師・薬剤師・その他のメディカルスタッフで、下記に該当する人1. がん治療の基礎知識がある人2. 最良のがん医療チームをつくるための「チーム医療を科学する」ことへの関心がある人3. 効果的なコミュニケーション、リーダーシップ論、キャリア形成に関心がある人4. チームオンコロジー.Com web会員になる5. 英語でのコミュニケーション能力があれば好ましい6. J-TOPの活動に協力する意思がある参加申込方法:ホームページでの申し込み手続きのほか、メールでのレポート・紹介文の送付1. 課題レポート(英文) “My Dream (Vision): What would I like to become in 5 years, 10 years”上記をテーマに、今回のワークショップへ参加を希望する目的や、今後のキャリア形成に向けたご自身のアクションプランなどを盛り込み、簡潔にまとめてください。※英語による本文のあとに、簡潔に日本語でサマリーもしくは注釈を添付して頂いても結構です。なお、日本語は必須ではありません。2. キャリア紹介(英文) これまでのキャリアの中で達成したものを自由書式で記載してください。研究への参画、チーム医療への貢献、教育的活動、論文発表、学会発表、学会での役職、など何でも結構です(A4用紙1枚以内に英語にてご記入ください)。なお、この資料はあなたのキャリアの中で何が重要であるかを知るためのものであり、格付けを行うものではありません。※MDアンダーソンがんセンターの上野 直人教授によるビデオレクチャー『キャリア形成に必須の Mission & Visionの創り方:Successful Career』をYouTube 動画チャンネルに掲載しています。課題レポート執筆の参考にしてください。提出書式:上記の1.課題レポートならびに2.キャリア紹介については、それぞれのファイルは別にせず、改ページにて記載のこと。書式およびタイトルは自由、A4用紙2枚以内で、施設名と氏名、レポート本文を英語にて必ず記入する。提出方法:施設名と氏名を記載してe-mailに添付のうえ事務局宛(secretariat@teamoncology.com)に送付提出期限:2022年11月11日(金)※定員を超える応募があった場合には、課題レポート、キャリア紹介から書類審査をおこない、参加者を選抜する旨、ご了承ください。<問い合わせ先>Japan TeamOncology Program(J-TOP)事務局〒105-0003 東京都港区西新橋1-6-12メッドコア・アソシエイツ株式会社内e-mail:secretariat@teamoncology.com

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新規作用機序、後天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬「カブリビ」承認/サノフィ

 サノフィは、2022年9月26日付のプレスリリースで、「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」の効能または効果として、カブリビ注射用10mg(一般名:カプラシズマブ(遺伝子組換え)、以下「カブリビ」)の製造販売承認を取得したと発表した。 後天性血栓性血小板減少性紫斑病(以下、後天性TTP)は、重篤でまれな自己免疫性血液疾患で、予後不良な急性疾患とされている。そのため、急性期における死亡を防ぐためにも、緊急の治療を要する。後天性TTPは、止血に関わるタンパク質であるフォン・ヴィレブランド因子(VWF)の特異的切断酵素であるADAMTS13(a disintegrin and metalloproteinase with a thrombospondin type 1 motif, member 13)の活性低下により、血液中にVWFが過剰に重合して蓄積し、血小板凝集を引き起こすことが原因で発症する。多くの場合、後天性TTPの診断直後の数日間は集中治療室で現行の治療(血漿交換療法と免疫抑制療法)を受けるが、死亡する患者は最大20%に及び、その大部分は診断後30日以内といわれているため、早期診断・早期治療が重要とされている。 今回承認されたカブリビは、止血に関わるVWFを標的とし、VWFと血小板の相互作用を阻害することで、微小血栓形成を阻害する薬剤である。これまで、後天性TTPの治療薬として微小血栓形成を直接阻害する治療薬はなく、カブリビは後天性TTPに対し新規の作用機序を持つ薬剤として発売されることが期待される。なお、欧州では2018年8月に、米国では2019年2月に薬事承認され、国内では2020年6月に希少疾病用医薬品に指定されている。

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総合診療をやっていて感じること【Dr. 中島の 新・徒然草】(445)

四百四十五の段 総合診療をやっていて感じること朝夕、冷え込むようになりましたね。かといって、昼は暑かったりします。読者の皆さん、体調管理は万全でしょうか?さて、私は脳外科を半分、総合診療科を半分くらいの割合でやっております。内科外来で総診をしていると、これまで見過ごしていたことにいろいろ気付かされます。その1つは、内科の先生は何でも緻密に考えるということです。たとえば鑑別診断です。10個くらいの疾患を挙げて、その中から正しいものを選び出すのが内科のイメージ。「違う、違う、違う、これだ!」そうやって正しいと思われる疾患にたどりついても、そこで終わりません。残りの6個についても、「違う、違う、違う、違う、違う、違う」というところまで確認しています。偉いですね。一方、私なんか鑑別疾患の数がそもそも5つくらいしか浮かびません。その上、これだと思ったら、それ以外の疾患が正しいか否かは考えていませんでした。かくして、いきなり「これに違いない!」で始まります。再診の時に間違っていることに気付いたら「じゃあ、こっちかな?」と。……本当に情けない。ここは内科医の姿勢を見習って、キチンとすべての可能性を考えるべし。そう自分に言い聞かせています。鑑別診断ではありませんが、最近、こういうことがありました。私は、夜間・休日に入院された患者さんの、各診療科への振り分けを翌朝にやっています。初診の肺炎や尿路感染症などの、いわゆるフレイル症例については、毎日の当番の診療科が決まっており、そこに振り分けます。が、こういった症例が3例とか4例になると、当番も大変です。なので、当日の当番に振り分けるのは2例までとし、3例目は翌日の当番、4例目は翌々日の当番にしようという提案があり、その新ルールを開始しました。ちょっとわかりにくいですかね。たとえば、月曜の当番が脳卒中内科、火曜の当番が血液内科、水曜の当番が呼吸器内科だったとします。月曜の朝にフレイル症例が4例あったとして、これまでは4例とも脳卒中内科に振り分けていたのですが、当然ながら脳卒中内科がパンクしてしまいます。そこで、脳卒中内科に2例、血液内科に1例、呼吸器内科に1例、と振り分けをするわけです。で、新ルールを開始したある朝のこと。実際にフレイル症例が3例あったので、当日の当番である脳卒中内科に2例、翌日の当番の血液内科に1例を振り分けようとしました。ところが、一緒に作業していた内科の先生から疑問が呈されたのです。内科医「中島先生。3例のうちのどれを血液内科に回すのですか?」中島「えっ、リストを打ち出したときに、1番下にあった症例にしようと思うのですが」内科医「どの症例を血液内科に回すのか、その根拠がいるんじゃないでしょうか」中島「そう言われれば」そうなんですよ。仮に3例の内訳が軽症、中等症、重症となっていた場合。もし一番重症の患者さんを翌日当番の血液内科に回したりしたら「俺達はサポートしてやっているのに、何で重症を回すんだ」ってことを言われかねません。一方、当日の当番の脳卒中内科からは、「重症を1例担当するのと、軽症+中等症で2例担当するのだったら同じくらいの負担になるから、ちょうどいいじゃん!」と言われる可能性があります。そもそも、軽症か重症かなどというのは、結構主観的なものです。で、いろいろ考えた結果、重症度とは関係なく、来院時刻の1番目と2番目を当日の当番に振り分けし、3番目を翌日の当番に、4番目を翌々日の当番にあてる、ということになりました。今回で言えば、1番目と2番目を脳卒中内科、3番目を血液内科に振り分けるわけです。とくに忖度はなし。そうすれば、誰かから文句を言われることはありません。でも、私なんか、こういうところまで頭が回らないわけです。思わず、「さすがですね!」と誉めたら、言われたほうの内科の先生はキョトンとしておられました。心から感心したんですけど。というわけで、総合診療をやって気付いたことを述べました。読者の皆さま、とくに外科系の先生方の参考になれば幸いです。最後に1句彼岸すぎ 頭を使う よい季節

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第130回 がん治療で知られるCAR-Tの応用で全身性エリテマトーデス患者5人が寛解

がん治療で一足先に実用化されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)の応用で5人の自己免疫疾患・全身性エリテマトーデス(SLE)が寛解に至りました1-3)。5年前にB細胞がんの治療として米国で承認されたCAR-T治療は採取したT細胞を目当ての加工を施したうえで再び患者の体内に戻すという手順を踏みます。SLEは免疫系が自己DNAに誤って反応してしまうことで生じます。その反応とはB細胞が死にゆく細胞から放出されるDNAへの抗体を作ってしまうことです。SLE治療のCAR-Tはそういう病因抗体を作るB細胞の駆除を目指し、B細胞のタンパク質CD19を標的とするキメラ抗原受容体(抗CD19 CAR)を導入したうえで患者5人に投与されました。その投与から3ヵ月以内に5人全員が寛解に至り、免疫抑制剤などのそれまで必要だった薬を止めることができ、薬なしでやっていけるようになりました。5人の観察期間はおよそ8ヵ月(中央値)で、長い人は治療から17ヵ月経ち2)、薬なしでの寛解を観察期間中維持しました。効果がどれほど続くかはまだ不明で今後多くの人に試して調べる必要がありますが、投与したCAR-Tが体内でなくなっても効果は少なくともしばらくは持続するようです。というのも5人に投与したCAR-Tは1ヵ月もするとほとんど検出されなくなったからです。3ヵ月半ほどが過ぎるといったん枯渇したB細胞が骨髄の幹細胞から作られるようになって復活し始めました。しかし幸いにもそれらの新たなB細胞は自己DNAに反応しませんでした。ただし、SLE患者のDNAに反応するように何がB細胞を駆り立てるのかは分かっておらず、何らかのきっかけでその反応が再び頭をもたげ始める恐れがあります。そういう再発の恐れをはじめとする課題を今後の試験で検討する必要がありますが今回の結果をSLE界隈の医師等はまずは歓迎しているようです。僅か5人の結果とはいえCAR-T治療の効果はこれまでにないものであり、胸躍らせるものだとKing‘s College LondonのSLE研究医師Chris Wincup氏は言っています2)。CAR-Tの活躍の場はSLEに限定されるものではなく、免疫が神経を攻撃することで生じる多発性硬化症(MS)などの抗体を要因とする他の自己免疫疾患も相手できるかもしれません。企業による自己免疫疾患治療CAR-Tの開発も進んでおり、たとえば米国カリフォルニア州のバイオテック企業Kyverna Therapeutics社はSLEに伴う腎臓炎症・ループス腎炎を治療するCAR-T・KYV-101の臨床試験を今年中に開始します4)。KYV-101もCD19標的CAR-Tであり、最近Kyverna社はドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学のGeorg Schett氏を科学顧問に迎えています。Schett氏は他でもない今回紹介したCAR-T治療試験のリーダーです。ループス腎炎を合併する重度SLE女性がCD19標的CAR-T治療で寛解に至ったことをSchett氏等は今回の試験報告に先立って昨夏の去年8月にNEJM誌に報告しています5)。参考1)Mackensen A,et al. . Nat Med. 2022 Sep 15. [Epub ahead of print]2)Radical lupus treatment uses CAR T-cell therapy developed for cancer / NewScientist3)Cancer treatment tackles lupus / Science4)Kyverna Therapeutics Names Georg Schett, M.D., and Peter A. Merkel, M.D., MPH, to Scientific Advisory Board / PRNewswire5)Mougiakakos D, et al. N Engl J Med. 2021;385:567-569.

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DWIBSは不明熱の診療にも有用?【知って得する!?医療略語】第19回

第19回 DWIBSは不明熱の診療にも有用?PET-CT以外にも全身の腫瘍を検索する方法があると聞きました。2年前に保険収載されたDWIBS法というMRIを使用した全身検査があります。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】DWIBS【日本語】背景抑制広範囲拡散強調画像・ドゥイブス法【英字】diffusion-weighted whole body imaging with background suppression【分野】腫瘍関連【診療科】全診療科実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。DWIBS(diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)は2004年に放射線科医の高原 太郎氏(東海大学工学部医用生体工学科 教授)により開発された画像検査方法で、背景信号を抑制した全身のMRI拡散強調画像を撮影します。全身の拡散強調画像を1回で撮影でき、PET-CTと比較して遜色ないがんの描出ができるとされ、全身の悪性腫瘍の検索やリンパ節転移の検出、他臓器転移の検出への利用で注目を浴びています。DWIBSの利点は、造影剤や放射性医薬品が不要、放射線被爆がなく、繰り返しの検査でも被爆を心配する必要がないことです。また、検査価格もDWIBSはPET-CTの1/3~1/6程度と低価格です。このためDWIBSは経時的フォローに向いていると言えます。従来であれば、化学療法の効果判定は、腫瘍サイズの縮小などの形態変化から判断していましたが、DWIBSを利用すると腫瘍病変の信号強度の変化を捉えることで、抗がん剤の効果を判定することが可能となり、より早く効果判定することができます。DWIBSは2020年に保険収載されました。PET-CTとは異なり、原発不明がんの精査でも保険診療が可能で、造血器腫瘍は悪性リンパ腫のみならず、白血病や多発性骨髄腫にも保険適応があります。メディカル・データ・ビジョン株式会社のデータベース(MDV analyzer)で調べると、2020年4月~2022年6月の期間、全国調査対象の466施設中、18施設が全身MRI撮影加算を算定しており、検診領域のみならず一般診療にもDWIBSが利用され始めていることが分かります。悪性腫瘍の全身スキャンで注目を浴びるDWIBSですが、炎症部位の検出にも有用とされます。不明熱の患者さんで通常のCTやMRIで熱源や炎症フォーカスを特定できない時にPET-CTを行うこともありますが、DWIBSに置きかえられる可能性があり、PET-CTより低価格で簡便に検査が実施できる可能性があります。実際に発熱の熱源精査にDWIBSを使用し皮膚筋炎の診断に繋がった報告もあります。一方で腫瘍の良・悪性の鑑別には利用が難しいとする報告もあります。DWIBSの利用と可能性の限界について知見の集積が進み、より一般診療で活用できることをとても期待しています。1)今井 裕ほか. 日消誌. 2010;107:712-717.2)加藤 愛美ほか. Clin Rheumatol. 2016;28:150-157.3)Komori T,et al. Ann Nucl Med. 2007;21:209-215.4)今野 信宏. 頭頸部外科. 2021;31:85-89.

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知っておきたい新しいオピオイド(1)タペンタドール【非専門医のための緩和ケアTips】第35回

第35回 知っておきたい新しいオピオイド(1)タペンタドール私が緩和ケアの仕事を始めた頃と比べ、臨床で活用できるオピオイドが増えています。今回は、国内承認が比較的最近で、使ったことのある方がまだ少ないと思われる「タペンタドール」についてお話しします。今日の質問「オピオイドといえばモルヒネ」という時代からすると、さまざまなオピオイドの選択肢が増えたことは良いのですが、使い分けがよくわかりません。先日、がん拠点病院から紹介されてきた患者さんは、タペンタドールというオピオイドを内服していました。どういった特徴のある薬剤なのでしょうか?タペンタドール(商品名:タペンタ)は、2014年に保険承認されました。緩和ケアを専門とする医療者には広く知られるようになった一方で、プライマリ・ケア領域では、まだ使用経験のない先生も多いでしょう。タペンタドールは「強オピオイド」に位置付けられる薬剤です。日本では徐放製剤のみが発売されており、適応は各種がんにおける中等度から高度の疼痛です。タペンタドールは薬理学的にはユニークな特徴があります。腎機能障害があっても使用ができ、便秘が少ないとされています。このあたりはモルヒネと比較して、好んで使用される特徴でしょう。オピオイドはμオピオイド受容体を介した鎮痛効果が中心ですが、タペンタドールはSNRI様作用も有しています。SNRIと聞いて抗うつ薬を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。緩和ケア領域では抗うつ薬を神経障害性疼痛に対する鎮痛補助薬として用います。タペンタドールはこの鎮痛補助役としての作用も有する、ユニークなオピオイドなのです。より薬理学的なポイントとしては、「CYP2D6」という酵素活性に影響を受けない代謝経路になっていることが挙げられます。これは他薬剤との併用の際に大切です。併用薬剤によっては代謝酵素に影響を及ぼし、作用が減弱したり逆に予想よりも強く出たり、といった相互作用が生じるのです。さらなる特徴は、オピオイドの濫用防止の加工がしてあることです。粉砕できないように加工されており、水に溶かすとネバネバのゼリー状になります。よって、経管投与ができません。注射薬もないので、内服が難しくなりそうな患者の場合は、早めに別のオピオイドに変更するマネジメントが必要になります。私がタペンタドールが最も適すると感じるのは、頭頸部がんの難治性がん疼痛の患者、抗真菌薬のような相互作用に注意が必要な薬剤をよく使う血液腫瘍の患者さんなどです。もちろん、こうした患者さんは内服が難しい状況にもなりやすいのでその見極めも必要です。そうした意味では、少し“上級者向け”のオピオイドといえるかもしれません。今回のTips今回のTipsタペンタドールはユニークな特性を持つ、少し“上級者向け”のオピオイド。

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キムリア、再発・難治性濾胞性リンパ腫の成人へのCAR-T細胞療法で追加承認/ノバルティス

 2022年8月26日、ノバルティス ファーマは再発または難治性の濾胞性リンパ腫(FL)の治療薬として、CAR-T細胞療法、キムリア点滴静注(一般名:チサゲンレクルユーセル)の効能追加の承認を取得したことを発表した。今回の発表は、2次治療またはそれ以降の全身療法(抗CD20抗体およびアルキル化剤を含む)で再発または難治性の成人FL患者を対象とした、キムリアの有効性および安全性を評価する単群、非盲検、国際共同第II相臨床試験(ELARA試験)の結果に基づいたものである。 ELARA試験において、69%の患者が完全奏効、86%の患者が奏効(完全奏効または部分奏効)を達成した。奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから9ヵ月時点の奏効維持率は76%(完全奏効を達成した患者では87%)であり、持続的な奏効も示されていた。また、安全性プロファイルはこれまでに報告されたキムリアの適応症で認められたものと一貫していた。 今回の承認について代表取締役社長のレオ・リー氏は、「FL患者さんの中には、十分な効果が得られないまま、いくつもの治療を受け続けなければならない方も多く、そうした患者さん、ご家族の負担は計り知れません。『キムリア』は、長期に及ぶ治療に苦しまれる再発・難治性のFL患者さんを、治療サイクルの連鎖から解き放つ可能性があります。患者さんだけでなく、ご家族や治療に臨まれる医療従事者の方々の負担軽減と希望につながることを期待しています」と述べている。

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FGFR1融合遺伝子陽性の血液がんに福音

 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍(8p11骨髄増殖症候群)」という血液がんをご存じだろうか? 本疾患の患者数はきわめて少なく、本邦における新規患者数は年間数例程度で、予後が悪いため、全患者数もきわめて少ない。本疾患に対し、8月8日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬ペミガチニブの適応拡大申請を行ったと発表した。この発表を受け、同社の黒山 祥志氏(プロダクト&コマーシャルストラテジー エグゼクティブ・ディレクター)、鈴川 和己氏(臨床開発 シニアメディカルディレクター)を取材した。FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍にペミガチニブが高い効果 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」はヒトの8番染色体の短腕11領域(8p11)に位置するFGFR1遺伝子が切断され、他の染色体に含まれる別の遺伝子が融合して新たな遺伝子を形成することによって引き起こされる。発熱、体重減少、寝汗などの全身症状が認められることがあり、患者の多くで、末梢血または骨髄に好酸球の増加が認められる1)。 「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」の標準治療は確立しておらず、治癒あるいは長期寛解を期待できる治療選択肢は、現在、同種造血幹細胞移植のみである。臨床的な特徴から、慢性期と急性期に大別されるが、診断から12ヵ月で約半数の患者が急性期に移行し、急性期に移行する前に同種造血幹細胞移植を実施できた患者では長期的な寛解が得られるが、慢性期で同種造血幹細胞移植を実施しない場合の全生存期間(中央値)は9ヵ月、急性期の1年生存率は約30%と予後は不良である2)。 このように「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」は、血液がんの中でも予後不良の疾患であるが、明るい話題も出てきた。昨年12月に開催された米国血液学会(ASH2021)において、本疾患に対し、ペミガチニブが高い抗腫瘍効果を示すことが発表された。この多施設共同第II相試験であるFIGHT-203試験では、前治療で増悪した患者85%、同種造血幹細胞移植歴のある患者9%を含む集団に対し、ペミガチニブの投与によって完全奏効率が64.5%に達し、主要評価項目を達成した3)。長期予後については今後の解析結果を待つことになる。主な有害事象として、高リン酸血症、脱毛、下痢が認められた。 この国際共同治験には近畿大学病院、NTT東日本関東病院も参加しており、日本人の症例も数例が含まれている。本試験結果等に基づいて、8月8日、ペミガチニブがFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍に対し、適応拡大が申請されたことが発表された。 このような画期的な治療薬ではあるが、患者がこの治療にアクセスするには課題がある。血液内科医においても「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」の認知度は低い。患者も少なく、これまでは治療する術が限られていたが、FGFR阻害薬という同種造血幹細胞移植以外の治療選択肢の登場によって本疾患への関心が高まり、恩恵を受ける患者が増えるものと期待される。

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診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。専門医の取得数が多い傾向がみられた診療科は? 全体で、専門医取得数を2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。 診療科別にみた専門医取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに専門医取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。消化器外科[n=24]:3.4(3)神経内科[n=26] :3.0(3)消化器内科[n=58]:3.0(3)腎臓内科[n=25]:2.9(3)感染症内科[n=4]:2.8(3)腫瘍科[n=10]:2.7(2.5)外科[n=33]:2.7(2)脳神経外科[n=25]:2.6(3)循環器内科[n=59]:2.5(2)糖尿病・代謝・内分泌内科[n=31]:2.4(2)呼吸器内科[n=34]:2.2(2)心臓血管外科[n=11]:2.1(2)救急科[n=10]:1.9(2)整形外科[n=55]:1.9(2)産婦人科[n=18]:1.9(2)形成外科[n=11]:1.8(1)内科[n=183]:1.7(2)血液内科[n=8]:1.6(2)小児科[n=45]:1.6(2)呼吸器外科[n=4]:1.5(1.5)リハビリテーション科[n=12]:1.5(1)放射線科[n=27]:1.5(1)総合診療科[n=15]:1.5(1)病理診断科[n=9] :1.4(2)耳鼻咽喉科[n=15]:1.3(1)泌尿器科[n=20] :1.3(1)その他[n=21]:1.2(1)麻酔科[n=27] :1.1(1)眼科[n=16]:1.0(1)膠原病・リウマチ科[n=7]:1.0(1)皮膚科[n=22] :0.8(1)精神科[n=76] :0.8(1)臨床研修医[n=59]:0.3(0)58%の医師が持っている専門医をすべて更新予定と回答 現在持っている専門医資格について聞いた質問では、認定内科医が24.5%と最も多く、総合内科専門医(18.8%)、外科専門医(8.4%)が続いた。新専門医制度の基本19領域と認定内科医、総合内科専門医以外の資格(“その他”として自由回答)を持つと回答した医師も14.4%おり、各学会認定の多様な専門医資格を取得している状況がわかる。 今後の更新予定については、現在持っている専門医資格について、58.6%の医師が「資格をすべて更新予定」と回答。「一部は更新しない予定」は3.0%、「すべてを更新しない予定」は1.1%に留まった。専門医取得による給与・待遇の向上があったと回答したのは14% 専門医を取得することによるメリットについては、「知識向上やスキルアップができた」が39.6%と最も多く、「開業時に役立った(15.8%)」「他の医師・スタッフから信頼が得られた(14.6%)」という回答が続いた。「給与や待遇が向上した」と回答したのは14.1%だった。 一方のデメリットについては、「受験料、更新料、学会参加などで費用がかかる」が36.3%と最も多く、「学会での単位取得など、時間的な負担が大きい(31.3%)」「評価システムへの登録等、手続きが煩雑(15.7%)」といった時間・手間等の負担を挙げる声が多く上がった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。会員医師の専門医取得状況は―医師1,000人に聞きました

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いまだに残る小児がんのドラッグラグ、求められる政策の抜本的な改革

 「開発された薬があるなら、日本にも届けてもらいたい」小児がん患者家族の代表である鈴木 隆行氏は訴える。小児がんは日本の小児の死亡原因トップで、年間500名が亡くなる。それにもかかわらず、日本の小児がんの治療薬開発は諸外国に比べ、きわめて少ない。患者団体や医療者で作る団体「小児がん対策国民会議」は2022年8月、都内でシンポジウムを開き、小児がんの新薬承認の現状を訴えた。日本の小児がん患者は海外で治験が行われていても参加できない 前出の鈴木氏の長男は生後6ヵ月でラブドイド腫瘍を発症する。その時期、米国ではラブドイド腫瘍の分子標的薬であるtazometostatの小児国際共同治験が行われていた。日本は参加していなかったため、従来の手術・化学療法・放射線を組み合わせた集学的治療を受ける。治療の合併症で日常生活に障害が残ったものの、がんは寛解に至り、一時は退院する。鈴木氏はその後もtazometostatの治験参加を模索するが実現せず、個人輸入で薬剤を手配した。ところが、5年後再発しtazometostatを使うことなく鈴木氏の長男は他界してしまう。小児がん治療薬のドラッグラグは拡大している 小児がん対象の日本の臨床試験数は38、それに対し米国では300以上、EUは160以上行われている。日本の件数は、中国と比べても4分の1、オーストラリアの約半分で、諸外国に比べ圧倒的に少ない。 小児がんの年間発症は2,000〜2,500人だが、がん種が多いため、それぞれのがんは希少がんになる。なかには50人程度の患者しかいない疾患もある。 希少疾患であるため、臨床試験の患者確保が難しい、比較試験が組めない、など小児がん治療薬の臨床試験デザインは難しい。対象患者の少なさからコスト回収が厳しく、散剤や液剤化など小児用製剤の製造コストが高い、がんが多種にわたり企業の経験が蓄積できない、など開発も簡単ではない。さらに、少量でも安定供給が求められる、薬価が下がっても販売中止できない、治療が長期に及ぶ中での全例調査など承認後も小児がん治療薬の開発企業の負担は重い。 政府は小児がん治療薬の開発促進のため、再審査期間延長、小児薬価加算といった政策を講じてはいるが、依然として日本でのドラッグラグは拡大している。 「政策はあるが、開発促進につながる有効な打ち手となっていない。従来の制度ベースではなく、抜本的な改革が必要」と小児がん対策国民会議運営委員であり国立がん研究センター中央病院の小川 千登世氏は訴える。小児がん治療薬の開発促進に新たな政策で実績をあげる諸外国 小児がんは希少疾患であり、開発の難易度が高いという条件は諸外国でも同じである。なぜ日本以上に小児がん治療薬の開発促進が進んでいるのか。 米国を例にとると、成人の分子標的薬を開発する際に小児の開発も義務づける「ICH-E11」が2000年代に採択された。さらに2017年、ICH-E11でカバーできない小児特有のがんについての研究法が「RACE(Research to Accelerate Cure and Equity) for Children Act」として開発企業に義務づけられた。RACE成立後の小児がんの承認薬は4製品から27品に飛躍的に増えている。中国は民族的要因の差異がないと判断すれば、自国での臨床試験なしに承認申請を可能にする制度を設けた。この制度により、神経芽腫の治療薬dinutuximab βは、開発権取得から2年未満で承認されている。 このように新たな政策で小児がん治療薬の開発・承認の促進の実績をあげている。小児がんドラッグラグが解消されず世界に取り残される? 小児がんの治療薬の開発企業は、日本法人のない新興ベンチャー企業が多い。新興ベンチャーにとって、ビジネスが予見できるかどうかは重要だ。結果として、予見性が立てやすい米国での開発が優先される。中国の前述の制度もこの点では有利に働くと考えられる。 「ビジネスの予見性が立てづらい日本には振り向かない可能性もある」と小児がん対策国民会議運営委員であり大原薬品工業の早川 穣氏は述べる。このままの状態では今後もドラッグラグは解消されず、世界に取り残される事態にもなりかねない。小児がんのドラッグラグ解消に制度の抜本的見直しが必要 小児がんは現在7〜8割は治ると言われるが、ドラッグラグのために命を落としてしまう患者がいるのも事実である。諸外国は有効な政策で課題に対応し、少ない毒性で効果を発揮する分子標的薬を次々に承認している。 しっかりと現状を把握しながら、制度を抜本的に見直し、小児がんのドラッグラグを解消していく必要が、いまの日本にはあるだろう。

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