免疫抑制患者、ブースター接種50日以降に入院・死亡リスク増/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/11

 

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株とオミクロン変異株が優勢であった時期に、ワクチンの初回および追加接種を受けた集団では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院や死亡の発生率が低く、複数回接種により重症COVID-19関連疾患の予防効果がもたらされた可能性があることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJ. Daniel Kelly氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年9月26日号で報告された。

米国の後ろ向きコホート研究

 研究グループは、米国の退役軍人健康管理局で治療を受けた経験のある集団を対象に、ワクチンの初回接種と追加接種後における重症COVID-19関連疾患の発生の評価を目的に、後ろ向きコホート研究を行った(米国退役軍人省などの助成を受けた)。

 試験期間は2021年7月1日~2022年5月30日で、参加者はワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製]、Ad26.COV2.S[ヤンセン製])の初回接種と追加接種を受けた。

 161万719例が解析に含まれた。このうち男性が147万8,476例(91.8%)、女性は13万2,243例(8.2%)で、全体の年齢中央値は71歳(四分位範囲[IQR]:61~76)、110万280例(68.4%)が65歳以上で、113万3,785例(70.4%)は高リスクの併存疾患を有しており、15万8,684例(9.9%)は免疫抑制の状態であった。また、146万7,879例(91.1%)は、初回と追加で同じmRNAワクチンの接種を受けていた。

免疫抑制状態の患者では経時的な効果が確認できず

 24週の追跡期間中に、161万719例中2万138例でワクチン突破型(追加接種後に検査で確定された症候性COVID-19の診断と定義)のCOVID-19(125.0件[95%信頼区間[CI]:123.3~126.8]/1万人)が発現した。また、1,435例でCOVID-19に起因する肺炎による入院または死亡(8.9件[8.5~9.4]/1万人)が、541例で重症COVID-19肺炎による入院または死亡(3.4件[3.1~3.7]/1万人)が認められた。

 高リスク集団におけるCOVID-19肺炎による入院または死亡の発生率は、65歳以上では1.9件(95%CI:1.4~2.6)/1万人であり、高リスクの併存疾患を有する集団では6.7件(6.2~7.2)/1万人、免疫抑制状態の集団では39.6件(36.6~42.9)/1万人であった。

 COVID-19肺炎による入院または死亡の集団のサブグループ解析では、追加接種後24週までに、ワクチン接種の5つの組み合わせ(BNT162b2の3回接種、mRNA-1273の3回接種、Ad26.COV2.Sの2回接種、異なるmRNAワクチンの接種、Ad26.COV2.SとmRNAワクチンの接種)で、経時的な累積発生率に差はみられず、全般に発生率は低かった。

 高リスク集団の経時的な解析では、免疫抑制状態の患者は免疫抑制のない患者と比較して、追加接種後51~100日(1~50日との比較でp=0.004)および101~150日(同p<0.001)のCOVID-19肺炎による入院または死亡のリスクが有意に高かった。この傾向は、BNT162b2の3回接種(追加接種後51~100日:p=0.02、同101~150日:p=0.002)およびmRNA-1273の3回接種(p=0.22、p=0.006)を受けた患者でも認められた。一方、65歳以上や高リスク併存疾患を有する集団では、このような傾向はみられず有効性が保持されていた。

 著者は、「この研究は、デルタ変異株およびオミクロン変異株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1)を含むSARS-CoV-2が米国で優勢であった時期に行われており、ワクチンの追加接種は、ウイルスが進化しても引き続きCOVID-19による重症疾患に対する予防効果をもたらしたことが示唆される」としている。

(医学ライター 菅野 守)