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血友病A治療は新時代へ、スーパーイロクテイトの発売間近(解説:長尾梓氏)

 BIVV001の名前で知られているefanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の第III相試験であるXTEND-1試験の結果がNEJM誌2023年1月26日号に掲載された。 注目ポイントは、50 IU/kg週1回の定期投与で投与から約4日間は第VIII因子活性が40%を上回っており、7日目のトラフも15%(平均)と非常に高いこと。その結果、もちろんABRは低く抑えられ、試験開始前の定期補充療法への優越性が示されたこと(p<0.001)。さらに、出血イベントは74%がオンデマンド群でみられたが、出血の97%がefanesoctocog alfa(50 IU/kg)の1回の注射により消失したことである。 第VIII因子製剤は何の加工もないと半減期が12時間程度で、2日に1回の注射でもトラフを1%保つことが困難だった。それを克服するためpegやFcといった結合タンパクで半減期を延長するよう設計されたのが半減期延長製剤(EHL)で4種類が発売中であるが、半減期は一律1.5倍程度である。第VIII因子の半減期はvon Willebrand因子(VWF)の半減期に規定されており、第VIII因子をいくら加工しても半減期の上限があった。同薬は、VWFによる半減期の上限を克服するためVWFの一部を第VIII因子に結合させるという発想のもと設計された新たなクラスの第VIII因子製剤である。 本論文の筆頭著者は米国・UCサンディエゴ校のDr. Annette von Drygalskiであり、筆者は本コメント記載中、ちょうどDr. von Drygalskiのセンターに臨床留学中。同薬のベースがイロクテイト(一般名:エフラロクトコグ アルファ、Sanofi、フランス)であることから、当センターでは“スーパーイロクテイト”と呼ばれている。

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血管外漏出ガイドライン発刊、抗がん剤治療時の最新知見

 がん薬物療法を行ううえで、点滴の血管外漏出の予防、早期発見、対処・管理は重要な課題である。2022年12月、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会(3学会合同)が『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版(改訂3版)』を発刊した。血管外漏出の対策を日常的に実施するも、実は推奨されていなかった…ということも無きにしもあらず。ぜひこの機会に抗がん剤をオーダーする医師にも薬剤の血管漏出時対応の最新知見を確認いただきたい。血管外漏出ガイドライン2023年版は新たな医療機器や薬剤が色濃く反映 血管外漏出ガイドライン改訂では、血管外漏出(EV:extravasation)が問題となる抗がん剤のリストに大きな変更はないが、それらをマネジメントするための新たな医療機器(PICCカテーテル)や薬剤(デクスラゾキサン)の登場が色濃く反映されている。また、がん薬物療法時の制吐薬に用いられるホスアプレピタントは注射部位反応の増加が報告されているが、それとEVとの関連についても触れられている。 『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版』で押さえておきたい変更点は以下のとおり。CQ3「がん患者に対して中心静脈デバイスを留置する際、CVとPICCどちらが推奨されるか」-CQ2で「中心静脈デバイスを留置するかしないか」を検討し、ここではデバイスの選択について検討されている。各論文ではデバイス3種の比較がなされていたことから、CQ3a(CV vs. PICC、推奨の強さ:弱い・方向:行うこと)、CQ3b(CV vs.ポート、同:弱い・同:行うこと)、CQ3c(PICC vs.ポート、同:強い・同:行うこと)とそれぞれのCQが設けられている。なお、検討に対して最も重要なアウトカムとしてデバイスfailure(閉塞、感染、血栓、抜去など)を設定して可能な場合にメタアナリシスを行っている。CQ7「EVリスクを考慮した場合、ホスアプレピタント投与を行うことは推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) ホスアプレピタントの投与はアプレピタントの内服困難症例などに限定し、注射部位反応に注意しながら使用することを弱く推奨する。ホスアプレピタントによりEVリスクが高まるエビデンスはないが、併用したがん薬物療法の種類によってはそのリスクが増加するという報告があるため、併用時には注意が必要となる可能性がある。CQ9「皮膚障害の悪化予防としてEVが起こったときに残留薬液または血液の吸引は推奨されるか」(推奨なし) 実際に吸引を行っても残留薬液または血液を吸引できることはまれであり、この有用性を検討する必要があると判断された。CQ10「EVによる皮膚障害・炎症の悪化・進行を防ぐために局所療法として冷罨法(冷却)は推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) 冷罨法を用いることで痛みの軽減、安心感や満足感が得られる面から優先される対応であるが、施行時期や期間、温度については定まっておらず、悪化の抑制などに有効であるかは不確かである。CQ11「アントラサイクリン系がん薬物療法薬のEVにデクスラゾキサンの使用は推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) デクスラゾキサン(商品名:サビーン)は2014年に“アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤のEV”を効能効果として承認された薬剤であり、医療ニーズの高い医薬品である。しかし、費用対効果(薬価:4万6,437円/瓶)※や投与日数(3日間連続投与)などから患者の不利益になる可能性もあるため、本CQで明らかにすることとした。※2023年2月時点

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GLP-1受容体作動薬・TAZ/PIPC、重大な副作用追加で添文改訂/厚労省

 厚生労働省は2023年2月14日、GLP-1受容体作動薬含有製剤およびGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの添付文書について、改訂を指示した。改訂内容は、『重要な基本的注意』の項への「胆石症、胆嚢炎、胆管炎または胆汁うっ滞性黄疸に関する注意」の追記(チルゼパチドは「急性胆道系疾患に関する注意」からの変更)、『重大な副作用』の項への「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の追加である。本改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤投与後に発生した「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の国内症例の評価、GLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献の評価に基づくもの。なお、チルゼパチドについては関連する症例集積はないものの、GLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有しており、GLP-1受容体作動薬と同様の副作用が生じる可能性が否定できないことから、使用上の注意の改訂が適切と判断された。『重要な基本的注意』が新設・変更<新設>リラグルチド(遺伝子組換え)、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド(遺伝子組換え)、セマグルチド(遺伝子組換え)、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド<変更>チルゼパチド 改訂後の添付文書において追加された記載、変更後の記載は以下のとおり。8. 重要な基本的注意 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。『重大な副作用』が新設 該当医薬品は、リラグルチド(遺伝子組換え)、エキセナチド、リキシセナチド、デュラグルチド(遺伝子組換え)、セマグルチド(遺伝子組換え)、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)、インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド、チルゼパチド。 改訂後の添付文書において追加された記載は以下のとおり。11. 副作用11.1 重大な副作用胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸「急性胆道系疾患関連症例」*の国内症例の集積状況(1)13例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例8例](2)、(5)3例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例1例](3)4例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例1例](4)23例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例6例](6)、(7)1例[うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例0例](8)0例いずれも死亡例はなかった。(1)リラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:ビクトーザ皮下注18mg](2)エキセナチド[販売名:バイエッタ皮下注5/10μgペン300、ビデュリオン皮下注用 2mgペン](3)リキシセナチド[販売名:リキスミア皮下注300μg](4)デュラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:トルリシティ皮下注0.75mgアテオス](5)セマグルチド(遺伝子組換え)[販売名:オゼンピック皮下注0.25/0.5/1.0mgSD、同皮下注2mg、リベルサス錠3/7/14mg](6)インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)[販売名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ](7)インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド[販売名:ソリクア配合注ソロスター](8)チルゼパチド[販売名:マンジャロ皮下注2.5/5/7.5/10/12.5/15mgアテオス]*:医薬品医療機器総合機構における副作用等報告データベースに登録された症例タゾバクタム・ピペラシリン水和物にも『重大な副作用』が新設 同日、タゾバクタム・ピペラシリン水和物の添付文書についても改訂が指示され、『重大な副作用』の項へ「血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)」が追加された。改訂後の添付文書に追加された記載は以下のとおり。<旧記載要領>4. 副作用(1)重大な副作用(頻度不明)11)血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)血球貪食性リンパ組織球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、LDH上昇、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。<新記載要領>11. 副作用11.1 重大な副作用11.1.11 血球貪食性リンパ組織球症(血球貪食症候群)(頻度不明)発熱、発疹、神経症状、脾腫、リンパ節腫脹、血球減少、LDH上昇、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、肝機能障害、血液凝固障害等の異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

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第58回 標準正規分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第58回 標準正規分布とは?今回は、標準正規分布(Standard normal distribution)について解説します。標準正規分布とは、平均値0、分散1の正規分布のことです。標準偏差は分散の平方根ですから、標準正規分布においては標準偏差、分散とも1になります。それでは、第56回の正規分布で登場した、ある看護大学の学生40人の統計のテストの得点を例にみていきましょう。まず、基準値を表1のように算出しました。表1基準値について階級幅1の度数分布と相対度数のグラフを作成すると表2と図1のようになります。表2と図1画像を拡大する基準値の相対度数の形状が正規分布であるとき、この曲線分布を標準正規分布と言います。変数x、平均値m、標準偏差σの正規分布において、とすると標準正規分布になります。標準正規分布をz分布ということもあります。■z分布(標準正規分布)の性質z分布(標準正規分布)の形状はデータの平均、標準偏差によって決まります。基準値の平均値は0、標準偏差は1なので、z分布(標準正規分布)の平均は0、標準偏差は1となり、グラフの形状は図2のようになります。図2では、z分布の特徴をみてみましょう。平均値0を中心に左右対称となる。曲線は平均値で最も高くなり、左右に広がるにつれて低くなる。曲線と横軸で囲まれた面積を100%とした場合、曲線の中の区間の面積は表3のようになる。表3z分布の区間の確率(面積)は図3のExcelの関数で求められます。図3画像を拡大する■度数分布が正規分布であるかどうか調べる方法度数分布のグラフの形状が、左右対称な釣り鐘型の分布、富士山型になっていれば正規分布であると言いましたが、富士山型になっていても、尖りすぎた山、平らすぎる山の形状は正規分布とは言えません。そこで、度数分布の形状が正規分布であるかを見極めるために、統計学的に判定しなければなりません。●正規分布かどうかを見極めるためによく使われる判定(1)歪度、尖度による判定(2)正規確率プロットによる判定(3)正規性の検定つまり、(1)、(2)観測されたデータ(サンプルという)から作成した度数分布が正規分布であるかを調べる方法(3)アンケート調査や実験によって観測されたデータから作成した度数分布を基に、母集団についても度数分布は正規分布といえるかを調べる方法となります。図4に概念を表します。図4なお、本文で登場した歪度、尖度については次回第59回で、正規確率プロットについては第60回で、サンプルの度数分布から母集団も正規分布であるかどうかの正規性の検定については第61回で解説します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第41回 外れ値とは?第54回 スピアマン順位相関係数とは?第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?

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骨髄線維症の症状改善、新規クラスJAK阻害薬の有用性は?/Lancet

 新規クラスのJAK阻害薬momelotinibは、ダナゾールとの比較において、骨髄線維症関連の症状、貧血および脾臓の症状を有意に改善し、安全性は良好であることが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのSrdan Verstovsek氏らが、195例の患者を対象に行った第III相の国際二重盲検無作為化試験「MOMENTUM試験」の結果を報告した。著者は、「今回の所見は、骨髄線維症患者、とくに貧血患者への効果的な治療法としてmomelotinibの今後の使用を支持するものである」と述べている。Lancet誌2023年1月28日号掲載の報告。骨髄線維症に対して承認されたJAK阻害薬は、脾臓および関連症状を改善するが貧血の改善は有意ではない。momelotinibは、新規クラスのACVR1ならびにJAK1およびJAK2の阻害薬で、貧血に対しても効果があることが示されていた。骨髄線維症症状評価フォーム総症状スコアの50%以上減少を評価 MOMENTUM試験は、貧血および中または高リスクの骨髄線維症を有するJAK阻害薬既治療の症候性患者を対象に、momelotinibと実薬対照としてダナゾールを比較し、momelotinibの臨床的利点を確認する試験。21ヵ国、107ヵ所の医療機関を通じて被験者を登録して行われた。 適格患者は、原発性骨髄線維症、または真性多血症から移行した骨髄線維症、本態性血小板血症から移行した骨髄線維症の確定診断を受けた18歳以上だった。 研究グループは被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはmomelotinib(200mg、1日1回経口投与)+プラセボ(momelotinib群)、もう一方にはダナゾール(300mg、1日2回経口投与)+プラセボ(ダナゾール群)を投与した。総症状スコア(TSS、22未満vs.22以上)、脾臓サイズ(12cm未満vs.12cm以上)、無作為化前8週間以内の赤血球または全血ユニット輸血の有無(0ユニットvs.1~4ユニットvs.5ユニット以上)、試験場所による層別化も行った。 主要エンドポイントは、24週時点の骨髄線維症症状評価フォーム総症状スコア(MF-SAF TSS)反応率で、最終28日間の平均MF-SAF TSSが、ベースラインから50%以上低下した患者の割合と定義した。MF-SAF TSS反応率、momelotinib群25%、ダナゾール群9% 2020年4月24日~2021年12月3日に、195例が無作為化を受けた(momelotinib群130例[67%]、ダナゾール群65例[33%])。 主要エンドポイントを達成した患者の割合は、ダナゾール群よりもmomelotinib群で有意に高率だった(32例[25%]vs.6例[9%]、群間差:16ポイント、95%信頼区間[CI]:6~26、p=0.0095)。 最も頻度の高いグレード3以上の緊急治療を要する有害イベントは、両群ともに検査値に基づく血液学的異常で、貧血(momelotinib群79例[61%]vs.ダナゾール群49例[75%])、血小板減少症(36例[28%]vs.17例[26%])だった。最も頻度の高い非血液学的有害イベントは、両群ともに急性腎障害(4例[3%]vs.6例[9%])と、肺炎(3例[2%]vs.6例[9%])だった。

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血友病Aの新規治療薬、既治療重症例の出血を低減/NEJM

 既治療の重症血友病A患者の治療において、efanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の週1回投与は、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法と比較して、出血の予防効果が優れ、正常~ほぼ正常の第VIII因子活性と、身体的健康や疼痛・関節の健康の改善をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAnnette von Drygalski氏らが実施した「XTEND-1試験」で示された。同薬は、von Willebrand因子(VWF)による半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高い状態で維持するよう設計された新たなクラスの第VIII因子補充療法薬。研究の成果は、NEJM誌2023年1月26日号に掲載された。19ヵ国159例の第III相非盲検介入試験 XTEND-1試験は、重症血友病A患者に対するefanesoctocog alfaの有効性、安全性、薬物動態の評価を目的とする第III相非盲検介入試験であり、日本を含む19ヵ国48施設で患者の登録が行われた(SanofiとSobiの助成を受けた)。 対象は、年齢12歳以上で既治療の重症血友病A患者であった。被験者は、efanesoctocog alfa(50 IU/kg体重)の週1回静脈内投与による定期補充療法を52週間行う群(A群)と、同薬(50 IU/kg体重)のオンデマンド療法を26週間施行後に同薬(50 IU/kg体重)の週1回投与による定期補充療法を26週間行う群(B群)に分けられた。 主要エンドポイントは、A群の平均年間出血回数(annualized bleeding rate:ABR)とされた。また、主な副次エンドポイントは、A群における定期補充療法中のABRと、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法中のABRとの患者内比較であった。 159例が登録され、149例(94%)が試験を完遂した。A群が133例(平均[±SD]年齢33.9±15.3歳、男性99%)、B群は26例(42.8±11.7歳、100%)であった。出血時投与でイベントの97%が消失 A群では、ABR中央値は0.00(四分位範囲[IQR]:0.00~1.04)であり、推定平均ABRは0.71(95%信頼区間[CI]:0.52~0.97)であった。A群の平均ABRは、試験開始前の2.96(2.00~4.37)から開始後には0.69(0.43~1.11)へと77%低下(ABR比:0.23、95%CI:0.13~0.42)し、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法に対する、efanesoctocog alfaによる定期補充療法の優越性が示された(p<0.001)。 試験期間中に全体で362件の出血イベントが発現したが、このうち268件(74%)はオンデマンド療法中のB群でみられた。出血の発現時には、efanesoctocog alfa(50 IU/kg)の1回の注射により、出血イベントのほぼすべて(97%)が消失した。 薬物動態の解析では、efanesoctocog alfaの週1回投与による定期補充療法は、投与から約4日間は第VIII因子活性の平均値が正常~ほぼ正常(>40 IU/dL)の範囲内で、7日目には15 IU/dLとなった。半減期の幾何平均値は47.0時間(95%CI:42.3~52.2)と長かった。 また、efanesoctocog alfaによる52週間の定期補充療法(A群)によって、Haem-A-QoLの身体的健康スコア(p<0.001)、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)の疼痛強度スコア(p=0.03)、Hemophilia Joint Health Score(HJHS)の関節の健康(p=0.01)がいずれも有意に改善した。 副作用プロファイルは許容できるものであった。全体で、第VIII因子インヒビターの発生(0%、95%CI:0.0~2.3)は検出されず、重篤なアレルギー反応、アナフィラキシー、血管内血栓イベントの報告はなかった。少なくとも1回のefanesoctocog alfaの投与を受けた159例のうち、123例(77%)で1件以上の有害事象が発現または増悪し、重篤な有害事象は15例(9%)で認められた。全体で、最も頻度の高い有害事象は、頭痛(32例[20%])、関節痛(26例[16%])、転倒(10例[6%])、背部痛(9例[6%])だった。 現在、12歳以下の小児(XTEND-Kids)および長期的な安全性と有効性(XTEND-ed)を評価する臨床試験が進行中だという。

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造血幹細胞移植後に心不全を発症した症例【見落とさない!がんの心毒性】第17回

《今回の症例》年齢・性別50代、男性主訴呼吸困難、血圧上昇、浮腫現病歴10年前、前医に急性骨髄性白血病(AML)と診断され寛解導入療法が施行された。地固め療法3コース、維持強化療法1コース(シタラビン+アントラサイクリン)により寛解状態となった。アントラサイクリンの総投与量はドキソルビシン換算で214mg/m2であった。その後、当センター血液内科において造血幹細胞移植(HSCT :hematopoietic stem cell transplantation)が施行された。移植前の心機能は心エコー上左室駆出率76%と正常範囲内であった。移植後の急性および慢性移植片対宿主病(GVHD :graft versus host disease)は出現せず寛解状態となり、血液内科外来ならびに近医で高血圧、軽度の腎機能低下についてフォローアップ中であった。造血幹細胞移植11年後、発熱、下痢、嘔吐が出現し浮腫ならびに腎機能悪化を認めたため精査加療目的で入院した。入院時には腎機能低下ならびに高血圧を呈しており、心陰影の拡大は認めないものの胸水貯留を認め循環器内科へ紹介された。飲酒歴(1合/日)、喫煙歴(-)――入院時現症血圧162/90mmHg、心拍数100/分。意識は清明、全身は浮腫状、眼瞼結膜に貧血所見を認めた。胸部聴診上、下肺野の呼吸音の減弱と軽度のラ音を認め心尖部に収縮期雑音を聴取した。腹部に異常は認めず、神経学的にも有意な所見は認めなかった。検査所見検尿…蛋白定性(2+)、潜血(3+)、生化学…AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 287U/L、CK 58U/L、BUN 58mg/dL、Cr 3.37mg /dL、 UA 17.1mg/dL、Na 136mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 100mEq/L、BS 106mg/dL、CRP 2.96mg/dL、BNP 905.8pg/mL。入院時の心電図所見…心拍数100/分、洞調律、ST-T変化、不整脈などの異常は認めず。胸部X線写真…CTR 44.7%、肺野のうっ血像、両側胸水を認めた。心エコー検査…左室壁運動は全周性に著明に低下し、左室駆出率34 %、左室拡張末期径/収縮末期径(LVDd/Ds)52mm/44mm、左房径(LAD)38mm、中隔厚/後壁厚 (IVST/PWT)8mm/9mm、僧帽弁閉鎖不全(MR)3度、三尖弁閉鎖不全(TR)3度 、三尖弁収縮期圧較差(TR-PG)71mmHg、肺動脈弁閉鎖不全2度。IVC 19mm(呼吸性変動低下)、echo free space (-)。【問題】本例の病状について下記の選択枝について、正しいものはどれか。当てはまるものすべてを選べ。a. アントラサイクリンの総投与量は比較的少ないことから、今回の心不全には関連性はない。b. 造血幹細胞移植後の合併症に対して投与される薬剤に加え、長期に投与された免疫抑制薬などの影響も疑われる。c. 晩期心毒性の発症には感染や生活習慣病(高血圧、糖尿病など)の増悪などが引き金になることがある。d. がんサバイバーの晩期合併症で生命予後に影響する疾患として、心血管毒性以外に二次発生がんが重要である。がん治療の進歩に伴い、今後急増するがんサバイバーにおいて出現する晩期合併症への対応が大きな問題となっています。がん治療がすでに終了(寛解)し病状が安定している慢性期から晩期にかけて、急性期がん治療を行なっている腫瘍医には対応は困難であり、数年から10年以上にわたる長期間のフォローアップを受け持つ医療リソースの不足が世界的に大きな問題となっています。そこで、がんと循環器にわたる学際領域に関する知識を有するプライマリケア医や外来かかりつけ薬剤師の養成、そしてがんサバイバーを対象とした人間ドック(がんサバイバードック)による疾病発症二次予防の開発など、新たな体制づくりが始まっています10)。※本症例は、文献11)を基に作成いたしました。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。1)Legha SS, et al. Ann Intern Med. 1982;96:133-139.2)Singal RK, et al. N Engl J Med. 1998;339:900-905.3)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;43:4229-4361.4)向井幹夫. 医学のあゆみ. 2020;273:483-488.5) Sakata-yanagimoto M et al, Bone Marrow Transplant. 2004;33:1043-1047. 6)Armenian SH, et al. Blood. 2012;120:4505-4512.7)Miller LW, et al. Am J Transplant. 2002;2:807-818.8)Suter TM, et al. Eur Heart J. 2013;34:1102-1111.9) Odani S, et al. Cancer Med. 2022;11:507-519.10)向井幹夫. AYA がんの医療と支援. 2022;2:16- 21.11)向井幹夫他ほか. Osaka Heart Club. 2019;43:6-10.講師紹介

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コロナ抗体薬エバシェルドの緊急使用許可を停止/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は1月26日、新型コロナウイルス抗体薬のチキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)について、緊急使用許可(EUA)を改訂し、本剤の使用を停止することを発表した1)。今回の改訂により、本剤に非感受性のSARS-CoV-2変異型が国内に占める割合が90%以下の場合に限り、使用が許可されることとなる。本改訂に基づき、エバシェルドはFDAから追って通知がない限り、米国での使用が許可されない。エバシェルドが有効なSARS-CoV-2変異型に備えて保持を推奨 エバシェルドは、オミクロン株XBBやBQ.1.1への有効性が期待できないことが研究で明らかにされている。米疾病対策センター(CDC)が発表したデータによると、現在米国では、これらの変異型に加え、その類似型のXBB.1.5やBQ.1が支配的となっている2)。エバシェルドの使用を制限することで、エバシェルドの使用によるアレルギー反応などの重篤な副作用を防ぐ目的もある。 FDAは、今後、米国でエバシェルドが有効なSARS-CoV-2変異型が広く流行した場合に備え、エバシェルドを使用している施設やプロバイダーが製品を保持しておくことを推奨している。

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Artemis欠損症に対するレンチウイルス形質導入細胞移植の効果/NEJM

 新たにArtemis欠損重症複合免疫不全症(ART-SCID)と診断された乳児において、薬理学的に標的化した低曝露のブスルファンによる前処置後、レンチウイルス遺伝子で修正した自己CD34+細胞注入移植により、遺伝子が修正された機能的T細胞およびB細胞数の上昇に結び付いたことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校Benioff小児病院のMorton J. Cowan氏らにより報告された。NEJM誌2022年12月22日号掲載の報告。レンチウイルスベクターを導入した自己CD34+細胞を10例に注入 ArtemisはDNA修復酵素で、T細胞およびB細胞レセプターの再構成に不可欠である。ART-SCIDは、ArtemisをコードするDCLRE1Cにおける変異に起因し、標準治療は同種造血幹細胞移植だが効果は限定的である。 研究グループは、ART-SCIDと診断された乳児10例において、DCLRE1Cを含むレンチウイルスベクターを導入した自己CD34+細胞の注入移植に関する第I-II相臨床試験を行った。追跡期間中央値31.2ヵ月、全10例の患者は健康 レンチウイルス形質導入細胞移植時の年齢中央値は、生後2.7ヵ月(範囲:2.3~13.3)。移植後の追跡期間中央値は31.2ヵ月(範囲:10.0~48.9)であった。 骨髄採取、ブスルファンの前処置、およびレンチウイルス形質導入CD34+細胞の注入後に、Grade3または4の有害事象が発生したが、これらは想定されたものであった。注入後42日時点で、全処置が事前規定の実行可能性の基準を満たしていた。 遺伝子標識したT細胞は、全患者において注入後6~16週で検出された。6例のうち5例は、少なくとも24ヵ月間追跡され、中央値12ヵ月時点でT細胞の免疫再構築が認められた。T細胞レセプターβ鎖の多様性は6~12ヵ月までに正常化した。 少なくとも24ヵ月間追跡された4例では、IgG注入の中止が可能となる十分なB細胞数、IgM濃度、IgM同種血球凝集反応抗体価が認められた。これら4例のうち3例は、正常な免疫反応を示し、残る1例には予防接種が開始された。 ベクター挿入部位には、クローン増殖の証拠は認められなかった。1例の患者がサイトメガロウイルス感染症を呈し、ウイルス排除に十分なT細胞免疫を獲得するため、遺伝子修正細胞の注入は2回行われた。 注入4~11ヵ月後に4例で自己免疫性溶血性貧血が発現したが、T細胞免疫の再構成後に回復した。 本報告時点で、全10例の患者は健康である。

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ADAMTS13欠損の先天性TTPにADAMTS13投与が著効した1例/NEJM

 妊娠合併症と動脈血栓症歴のある妊娠30週の27歳女性が、重度のADAMTS13欠損による急性遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の診断を受けた。医療チームは当初、治療的血漿交換(TPE)を実施したが、効果が乏しく中止し、遺伝子組み換えADAMTS13投与に切り替えた。その後、血小板数は正常化、胎児の成長も安定化し、妊娠37週と1日で、在胎不当過小児であったが健康な男子を帝王切開で出産した。その後も患者と生まれた男児の健康状態は良好で、遺伝子組み換えADAMTS13の投与を隔週で継続しているという。スイス・ベルン大学のLars M. Asmis氏らによる症例報告で、NEJM誌2022年12月22日号で発表された。血小板数5~7万/μL、sFlt-1/PlGF比は持続的に上昇、TPEから切り替え 研究グループが初回診察を行ったのは妊娠30週6日の時点。同患者に対し、当初はTPEとメチルプレドニゾロン(1mg/kg)による免疫抑制から成る免疫原性TTP向けの治療を開始した。その後、機能的ADAMTS13インヒビターとIgG・抗ADAMTS13抗体の検査で陰性が認められ、メチルプレドニゾロンの投与は中止した。 連日のTPEにより、ADAMTS13活性ピーク値は約50%だったが、血小板数は5~7万/μL、sFlt-1/PlGF比は持続的に上昇、妊娠週数32週で胎児成長は3パーセンタイルに落ち込んだ。こうした状況を総合的に判断し、血漿難治TTPの発症、胎盤機能不全、切迫子宮内胎児死亡の危険性が高いと判断した。 医療チームは患者とその夫の同意を得て、TPEを中止し、遺伝子組み換えADAMTS13(40U/kg)の週1回注射投与を開始した。初回遺伝子組み換えADAMTS13(2,480U)は、TPE中止後36時間、妊娠32週5日で行った。遺伝子組み換えADAMTS13投与はすべて外来診療で行い、有害薬物反応は認められなかった。患者の血小板数は14~19万/μLに急激に増加し、妊娠期間中その値を維持した。正常Apgarスコア、出生体重1,865gの健康な男児を出産 予定帝王切開時までに、患者のsFlt-1/PlGF比は最大化した後、減少傾向となったが、胎児体重推定値は依然として在胎期間相当3パーセンタイルで推移していた。 帝王切開は妊娠37週1日で行われ、患者は、正常Apgarスコアで出生体重1,865g(在胎期間相当で1パーセンタイル未満)の健康な男児を出産した。出産7日後の退院時、母体血小板数は21万6,000/μLだった。 本報告書作成時点で、患者にはアスピリン投与と、遺伝子組み換えADAMTS13(40U/kg)の隔週投与が継続されている。

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第146回 マウスの老化を巻き戻し / 武田薬品の紫斑病薬が承認申請される

山中因子でマウスの老化を巻き戻し10年ほど前に京都大学の山中伸弥教授をノーベル賞へと導いたiPS細胞(人工多能性幹細胞)の素が個体の老化を巻き戻して若返らせうることを2つの研究チームが報告しました。今では山中教授の名を冠して山中因子と呼ばれるそのiPS細胞の素は4つのタンパク質(転写因子)で構成され、分化した成体細胞を多能性の幹細胞(iPS細胞)へと変えることで知られます。今回米国・カリフォルニア州サンディエゴのバイオテック企業Rejuvenate Bio社のチームはそれら山中因子のうちの3つOct4、Sox2、Klf4を届ける遺伝子治療で老化マウスがより長生きになったことを報告しました1,2)。ハーバード大学の抗老化治療研究者David Sinclair氏が率いる別のチームはRejuvenate社と同様の手段により、マウスの老化状態を若い状態へと回復させうることを示しました3,4)。頭文字をとってOSKと呼ばれるOct4、Sox2、Klf4はそれらどちらの研究でもメチル化などのDNA取り巻き・エピゲノムをより若い状態へと回復させたようです5)。Rejuvenate社はヒトの治療に即した手段を検討するべく、ヒトの遺伝子治療で使われているアデノ随伴ウイルス(AAV)を運搬役としてOSK遺伝子を老齢(生後124週間)のマウスに投与しました。するとその後の余命はより長くなり、対照群マウスが9週間ほどしか生きられなかったのに対してOSK遺伝子投与マウスはその約2倍の約18週間生存しました。加えて、健康指標が向上してより丈夫になったことがうかがわれました。分子レベルでもどうやら若返りしており、より若い頃に特有なメチル化特徴の幾らかをどうやら取り戻していました。山中因子はがんを生じやすくしうることが先立つ研究で示唆されていますが、幸いにも取るに足る害は今のところ認められていないとRejuvenate社の最高科学責任者(CSO)Noah Davidsohn氏は言っています5)。ハーバード大学のSinclair氏のチームが目指したのはDNA切断などのDNA配列の乱れではなくDNA取り巻きのエピゲノム情報の損失こそ老化の原因であるという仮説(information theory of aging)が正しいことの証明です。同チームはICE(inducible changes to the epigenome)という一工夫を加えたマウス(ICEマウス)のゲノムの20箇所のDNAをいったん切断してその後完全に修復させました5)。するとDNA切断の完全な修復とは裏腹にDNAメチル化や遺伝子発現は広範囲に渡って変化し、マウスのエピゲノムはメリハリの乏しい老化マウスにより似たものとなりました6)。また体調も損なわれ、体毛や色素を失い、弱々しくなって組織の老化を呈しました。エピゲノム情報の損失が老化の原因であるなら若返りをもたらす治療でエピゲノム情報も回復するはずです。そこでSinclair氏のチームもRejuvenate社と同様にOSK遺伝子を老けて見えるICEマウスに投与したところ、果たせるかなエピゲノム情報の回復が認められ、組織も若返りの兆候を呈しました。戻すことも可能なエピゲノム情報損失こそ老化の原因であることを今回の結果は示しているとSinclair氏のチームは結論していますが、若返りを研究するAltos Labs社が去年開設したAltos Cambridge Institute of Scienceの長Wolf Reik氏はそう断言するのは時期尚早と見ています。エピゲノム変化を引き出した大掛かりなDNA切断(とその修復)は他にも影響があったかもしれず、そうして生じたDNAエピゲノム変化を老化の原因とするのは困難であるとReik氏は言っています。それに、DNA切断(とその修復)を強いたマウスが自然に老化したマウスとどれだけ似ているかも分かっていません。米国・Albert Einstein College of Medicineの遺伝学者Jan Vijg氏によると、老化は種々の要因が絡んで進行していくものであることを忘れてはいけません。今回の2つの報告でのOSK遺伝子投与の効果はそれほどでもなく、1つでは寿命がいくらか伸びた程度で、もう1つでは強いて発生させた症状が部分的に解消したに過ぎません。老化は戻すことが可能な情報処理(program)であるとそれらの研究をもって結論することはできないとVijg氏は言っています。そのような批評はさておきRejuvenate社もSinclair氏のチームも臨床試験へと駒を進めることを目指します。Rejuvenate社はOSK治療効果の仕組みを研究し、治療の体内への運搬手段や成分の手直しをしています。同社の上述のCSO・Davidsohn氏によると治療成分はOSKに決定しているわけではありません。Sinclair氏はエピゲノム情報を回復させる治療に取り組むバイオテック企業Life Biosciencesを設立し、まずは霊長類の視力を改善させる研究を進めています6)。サルの眼へのOSK遺伝子投与の試験が進行中であり、その試験が成功してヒトにも十分安全らしいことがわかれば失明疾患の臨床試験の開始をすぐに米国FDAに申請するとSinclair氏は言っています5)。前々回紹介の武田薬品の紫斑病薬が承認申請される本連載の前々回(第144回)で取り上げた武田薬品の紫斑病薬TAK-755が良好なピボタル(主要な)第III相試験中間解析結果を受けて承認申請されます7,8)。今月5日に発表されたその中間解析の結果、同剤が投与された先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)患者の血小板減少症事象は標準治療である血漿製剤使用群に比べて60%少なくて済み、その95%信頼区間の上限は100%未満に収まっていました(95%信頼区間:30~70%)。cTTPは血液凝固の制御に携わる血中タンパク質ADAMTS13の欠乏によって生じます。TAK-755はその不足を補う人工のADAMTS13です。【前々回の記事の誤解の訂正】前々回の記事で人工ADAMTS13(TAK-755)は現在第III相試験(NCT04683003)9)が進行中と記しましたが、その試験とそれに先立つもう1つの第III相試験(281102 試験/NCT03393975)10)が実施されています。前々回の記事で抜けていた281102 試験こそ今月5日に武田薬品が中間結果を発表したピボタル第III相試験です。Clinicaltrials.govによるとどちらの試験も本記事執筆時点で被験者組み入れが進行中です。お詫びして修正いたします。参考1)Gene Therapy Mediated Partial Reprogramming Extends Lifespan and Reverses Age-Related Changes in Aged Mice. bioRxiv. January 05, 2023. 2)Rejuvenate Bio Announces New Preclinical Research Evaluating Cellular Reprogramming for Age Reversal / BUSINESS WIRE3)Yang JH, et al. Cell Jan 9:S0092-8674.01570-7[Epub ahead of print].4)Loss of Epigenetic Information Can Drive Aging, Restoration Can Reverse It / Harvard Medical School5)Two research teams reverse signs of aging in mice / Science 6)Epigenetic Manipulations Can Accelerate or Reverse Aging in Mice / TheScientist7)Takeda Announces Favorable Phase 3 Safety and Efficacy Results of TAK-755 as Compared to Standard of Care in Congenital Thrombotic Thrombocytopenic Purpura (cTTP) / BUSINESS WIRE8)先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)に対する標準治療と比較したTAK-755の良好な安全性および有効性を示す臨床第3相試験の結果について / 武田薬品9)A Study of TAK-755 in Participants With Congenital Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(Clinical Trials.gov)10)A Study of BAX 930 in Children, Teenagers, and Adults Born With Thrombotic Thrombocytopenic Purpura (TTP) (Clinical Trials.gov)

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英語で「最悪の場合」は?【1分★医療英語】第62回

第62回 英語で「最悪の場合」は?In the worst case scenario, he would not survive this.(最悪の場合、お亡くなりになることもあり得ます)I understand.(わかりました)《例文1》医師In the worst case scenario, you have to wait three more hours to be tested.(最悪の場合、あと3時間待たなくてはいけません)患者That is unacceptable.(それは困ります)《例文2》医師We have to prepare for the worst case scenario.(最悪の事態に備えておかなくてはいけません)患者Yes we do.(そのとおりです)《解説》“In the worst case scenario”(最悪の場合は)、この表現は医療現場に限らず使えるものですが、医療現場においてはとくにリスクや予後の説明をするときに有用です。治療がいつも上手くいけばよいのですが、残念ながら見通しが良くないこともあります。そのような時に、「最悪の場合」を想定した話をしておくことが非常に大切です。医師にとっても、患者さんや家族にとっても大変なコミュニケーションとなりますが、これも医師と患者間の信頼関係を築くために必要な過程でしょう。伝えにくい内容の前に“In the worst case scenario”を挟むことで、聞き手に心の準備をさせることができますので、そのような場面で使ってみてください。講師紹介

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アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の初回治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応症で厚生労働省より承認されたと発表した。 今回の承認は、国内第I相試験および、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)を対象とした国際共同第III相試験(ELEVATE-TN試験)の結果に基づくもの。 ELEVATE-TN試験では、アカラブルチニブの単剤投与またはアカラブルチニブとオビヌツズマブの併用投与が、標準化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。本試験の中間解析データは、2020年にThe Lancet誌で発表されている。 また、今回の適応拡大の承認では、未治療の日本人CLL患者を対象に含む第I相試験も評価された。この試験では、アカラブルチニブとオビヌツズマブの併用による全奏効率は100%(9/9例)であった。 2022年米国臨床腫瘍学会(ASCO)および2022年欧州血液学会(EHA)年次総会においては、ELEVATE-TN試験の約5年追跡の最新結果が発表された。アカラブルチニブはクロラムブシルとオビヌツズマブ併用投与に対して統計学的に有意なPFSのベネフィットを維持し、安全性および忍容性プロファイルはアカラブルチニブの既知のプロファイルと一貫していることが示されている。

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再発難治CLL/SLL、zanubrutinib vs.イブルチニブ/NEJM

 再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において、第2世代のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるzanubrutinibは第1世代BTK阻害薬イブルチニブと比較して、無増悪生存期間が有意に優れ、心臓の有害事象が少ないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏らが実施した「ALPINE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年12月13日号で報告された。15ヵ国の無作為化第III相試験 ALPINE試験は、北米、欧州、アジア太平洋地域の15ヵ国113施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2018年11月~2020年12月の期間に患者の登録が行われた(BeiGeneの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、International Workshop on CLLの基準を満たすCLLまたはSLLと確定診断され、再発または1ライン以上の治療を受けた難治性の病変を有する患者であった。 被験者は、zanubrutinib(160mg、1日2回)またはイブルチニブ(420mg、1日1回)を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。投与は、病勢進行または許容できない毒性の発現まで継続された。 主要評価項目である奏効は、事前に規定された中間解析で、zanubrutinib群がイブルチニブ群よりも有意に優れることが、すでに報告されている。今回は、主な副次評価項目である無増悪生存の評価が行われた。担当医と独立判定委員会で同程度の無増悪生存 652例が登録され、zanubrutinib群に327例、イブルチニブ群に325例が割り付けられた。年齢中央値はそれぞれ67歳(範囲35~90)および68歳(35~89)で、女性が34.9%および28.6%であった。前治療ライン数中央値は、それぞれ1(範囲:1~6)および1(1~12)だった。 追跡期間中央値29.6ヵ月の時点で、担当医評価による病勢進行または死亡は、zanubrutinib群が26.6%(87/327例)、イブルチニブ群は36.3%(118/325例)で発生し、無増悪生存はzanubrutinib群で有意に良好であった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.49~0.86、p=0.002)。独立判定委員会の評価による無増悪生存も、同様の結果であった。 また、担当医評価による24ヵ月時の無増悪生存の割合は、zanubrutinib群が78.4%、イブルチニブ群は65.9%であった。無増悪生存期間中央値は、それぞれ未到達および34.2ヵ月(95%CI:33.3~評価不能)だった。 さらに、17p欠失またはTP53変異を伴う、あるいはこれら双方を有する患者では、zanubrutinib群はイブルチニブ群よりも無増悪生存が優れた(病勢進行または死亡の割合32.0%[24/75例]vs.48.0%[36/75例]、HR:0.53、95%CI:0.31~0.88)。これ以外の主なサブグループでも、無増悪生存は一貫してzanubrutinib群で良好であった。 奏効割合は、zanubrutinib群がイブルチニブ群よりも高かった(83.5% vs.74.2%)。データカットオフ時の死亡の割合はzanubrutinib群で低かったが(14.7%[48/327例]vs. 18.5%[60/325例]、死亡のHR:0.76、95%CI:0.51~1.11)、両群とも全生存期間中央値には未到達だった。 安全性プロファイルはzanubrutinib群がイブルチニブ群に比べ良好であった。重篤な有害事象の発現率はそれぞれ42.0%および50.0%で、このうち用量減量の原因となった有害事象は12.3%および17.0%、投与中止の原因となったのは15.4%および22.2%、死亡の原因となったのは10.2%および11.1%だった。 頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球数減少(zanubrutinib群16.0% vs.イブルチニブ群13.9%)と高血圧(14.8% vs.11.1%)であった。心疾患は、zanubrutinib群で21.3%に発現したのに対し、イブルチニブ群では29.6%に認められ、このうち投与中止の原因となったのはそれぞれ1例(0.3%)および14例(4.3%)だった。新たな安全性シグナルは観察されなかった。 著者は、「生存に関する差を明らかにするには、さらに長期の追跡を要する」としている。

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二重抗体薬talquetamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有望/NEJM

 再発・難治性多発性骨髄腫患者において、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)とCD3に対する二重特異性T細胞誘導抗体であるtalquetamabの405μg/kg週1回ならびに800μg/kg隔週の皮下投与は、いずれも同様の安全性プロファイルと有効性を示すことが、米国・マウントサイナイ医科大学のAjai Chari氏らによる第I相の「MonumenTAL-1試験」で明らかとなった。GPRC5Dは、正常なヒトの組織にはほとんど発現しておらず、悪性形質細胞に過剰発現しているオーファン受容体である。talquetamabは、GPRC5DとCD3の両方に結合してT細胞を動員および活性化し、GPRC5D発現骨髄腫細胞の殺傷を誘導する。著者は、「CAR-T細胞療法だけでなく二重特異性抗体によるアプローチでの抗骨髄腫活性は、GPRC5Dが骨髄腫の治療標的であることを立証している」とまとめている。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。前治療が多い再発・難治性多発性骨髄腫患者で各用量の静脈内投与と皮下投与を検討 本試験は、用量漸増期(パート1)と拡大投与期(パート2)で構成されている。対象は、確立された既存の治療法(中央値で前治療歴6ライン)で病勢進行した、または許容できない副作用のためそれら確立された既存治療を受けることができない、18歳以上の再発・難治性多発性骨髄腫患者で、talquetamabの静脈内投与(ステップアップ投与ありまたはなしで0.5~3.38μg/kgを週1回または隔週、5~180μg/kg週1回)、または皮下投与(ステップアップ投与ありで5~405μg/kgを週1回、800μg/kgを週1回または隔週、1,200μg/kgを隔週、1,600μg/kgを月1回)を実施した。 主要評価項目は、用量制限毒性(DLT)の頻度と種類(パート1のみ)、有害事象および臨床検査値異常、副次評価項目は奏効率、薬物動態、薬力学および免疫原性であった。 2018年1月3日~2021年11月15日の期間に288例がスクリーニングを受け、適格患者232例が登録されtalquetamabの投与が行われた(静脈内投与:102例、皮下投与:130例)。405μg/kg週1回皮下投与で奏効率70%、奏効持続期間中央値約10ヵ月 用量漸増期(パート1)において、DLTは4例報告された。内訳は、Grade4のリパーゼ上昇1例(7.5μg/kg週1回静脈内投与群)、Grade3の斑状丘疹状皮疹2例(135μg/kg週1回皮下投与群、800μg/kg週1回皮下投与群)、Grade3の皮疹1例(800μg/kg隔週皮下投与群)であった。安全性、有効性、薬物動態および薬力学データに基づき、拡大投与期(パート2)の用法・用量として405μg/kg週1回および800μg/kg隔週の皮下投与が選択された。 405μg/kg週1回皮下投与群30例、800μg/kg隔週皮下投与群44例における主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(発現率はそれぞれ77%、80%)、皮膚関連事象(67%、70%)、味覚異常(63%、57%)などであった。ほとんどはGrade1または2であり、Grade3のサイトカイン放出症候群は405μg/kg群で1例認められた。 追跡期間中央値11.7ヵ月(405μg/kg群)または4.2ヵ月(800μg/kg群)において、奏効率はそれぞれ70%(95%信頼区間[CI]:51~85)、64%(95%CI:48~78)、奏効持続期間中央値はそれぞれ10.2ヵ月および7.8ヵ月であった。

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CAR-T liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年12月20日、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。 今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第II相試験(017006試験)および国際共同第II相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、1次治療後の再発・難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績に基づいている。 1次治療後に再発・難治性の自家造血幹細胞移植適応のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者184例(日本人9例を含む)を対象に、liso-cel群と標準療法群(救援化学免疫療法および自家造血幹細胞移植併用大量化学療法)を無作為化比較したJCAR017-BCM-003試験の中間解析では、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)において、liso-cel群は標準療法群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善(HR:0.349、95%信頼区間[CI]:0.229~0.530、p<0.0001)を示した。主な副次評価項目である完全奏効割合、無増悪生存期間(PFS)についても、標準療法群と比較してliso-cel群で統計学的に有意な改善が認められた。1次治療後の再発・難治性のLBCL患者で認められたliso-cel群の新たな安全性シグナルは認められなかった。

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二重抗体薬glofitamab、再発難治DLBCLの39%が完全寛解/NEJM

 CD20/CD3二重特異性モノクローナル抗体のglofitamabは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に有効性を示したものの、患者の半数以上にGrade3以上の有害事象が発現したことが、オーストラリア・メルボルン大学のMichael J. Dickinson氏らによる第II相試験で示された。DLBCLの標準的な1次治療はR-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone)であるが、同患者の35~40%は再発/難治性で、その予後は不良であった。NEJM誌2022年12月15日号掲載の報告。glofitamab12サイクル投与の有効性を検証 研究グループは、2ライン以上の治療歴のある18歳以上の再発/難治性DLBCL患者を登録し、サイトカイン放出症候群軽減のためオビヌツズマブ(1,000mg)による前治療後、glofitamabを1サイクルの8日目に2.5mg、15日目に10mg、2~12サイクルの1日目に30mgを投与した(1サイクル21日間)。 主要評価項目は独立評価委員会(IRC)判定による完全奏効。主な副次評価項目は奏効期間、全生存期間、安全性などとし、intention-to-treat解析を実施した。 2020年1月~2021年9月に計155例が登録され、このうち154例が少なくとも1回の治験薬(オビヌツズマブまたはglofitamab)投与を受けた。完全奏効率は39%、ただしGrade3以上の有害事象の発現率が62% 追跡期間中央値12.6ヵ月時点で、IRC判定による完全奏効率は39%(95%信頼区間[CI]:32~48)であった。キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法の治療歴がある52例においても、完全奏効率は35%であり、結果は一貫していた。 完全奏効までの期間の中央値は42日(95%CI:42~44)で、完全奏効が得られた患者の78%は12ヵ月時点で完全奏効が継続していた。12ヵ月無増悪生存率は、37%(95%CI:28~46)であった。 glofitamabの投与中止に至った有害事象は、14例(9%)に認められた。最も発現率が高かった有害事象は、サイトカイン放出症候群(ASTCT基準)(63%)であった。Grade3以上の有害事象は62%に認められ、Grade5(死亡)は8例報告された。なお、死亡例はいずれもglofitamabと関連はないと判断された。Grade3以上の主な有害事象は好中球減少症(27%)であり、Grade3以上のサイトカイン放出症候群は4%、Grade3以上の神経学的イベントは3%であった。

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再発・難治ATLLにバレメトスタット発売/第一三共

 第一三共株は、バレメトスタット(製品名:エザルミア)について、2022年12月20日、国内で新発売したと発表。 同剤は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)患者を対象とした国内第II相臨床試験の結果に基づき、2021年11月に希少疾病用医薬品の指定を受け、2022年9月に「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を適応として国内製造販売承認を取得した。 バレメトスタットは、多くの血液がんで発現しているヒストンメチル化酵素であるEZH1およびEZH2を選択的に阻害する薬剤として第一三共が創製し、世界で初めて発売した薬剤である。・販売名:エザルミア錠50mg、同錠100mg・一般名:バレメトスタットトシル酸塩・効能又は効果:再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫・用法及び用量:通常、成人にはバレメトスタットとして200mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・薬価:エザルミア錠50mg 1錠 6,267.70円、エザルミア錠100mg 1錠 12,017.00円・製造販売承認日:2022年9月26日・薬価基準収載日:2022年11月16日・発売日:2022年12月20日・製造販売元:第一三共株式会社

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血液がん、今年押さえておくべき論文&学会発表【Oncology主要トピックス2022 造血器腫瘍編】

2022年に発表、論文化された造血器腫瘍の重要トピックを大阪医療センター 柴山 浩彦氏が一挙に解説。今年の造血器腫瘍領域におけるプラクティスチェンジの要点がわかる。1)Polatuzumab vedotin in previously untreated diffuse large B-cell Lymphoma. (Tilly H, et al. N Engl J Med. 2022;386:351-363.)未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する標準治療は、2000年代初頭に抗CD20抗体薬のリツキシマブが登場して以降、CHOP療法と併用するR-CHOP療法が、約20年間、標準治療であった。これまで、さまざまな治療法がR-CHOPと比較されてきたがR-CHOPを凌駕する治療法はなかった。抗CD79b抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のポラツズマブ ベドチン(Pola)をオンコビンと入れ替えたPola-R-CHP療法を二重盲検法でR-CHOPと比較したPOLARIX試験において、主要評価項目のPFSについて有意にPola-R-CHP療法が優る結果が示された。本試験の結果を基に、日本でも未治療DLBCLに対し、Pola-R-CHP療法が保険適応となり、新たな標準治療となる可能性が示された。2)Overall survival with brentuximab vedotin in stage III or IV Hodgkin’s lymphoma.(Ansell SM, et al. N Engl J Med. 2022;387:310-320.)未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対し、標準治療であったABVD療法と、抗CD30抗体にリンカーを介してMMAEを結合した抗体薬物複合体のブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)をブレオマイシンと入れ替えたA-AVD療法を比較した試験(ECHELON-1試験)にて、主要評価項目のmodified PFSは有意にA-AVD療法が優り、その結果は、NEJM誌に報告された。この結果によって、日本では未治療ホジキンリンパ腫に対するA-AVD療法が保険適用で使用可能となっている。その後、ECHELON-1試験は6年間のフォローアップが実施され、全生存期間(OS)についても、有意にA-AVDを受けた患者群がABVDを受けた患者群よりも優れていることが示された。この結果によって、A-AVD療法は未治療の進行期ホジキンリンパ腫に対する真の標準治療とみなすことができると考えられた。3)Ibrutinib plus bendamustine and rituximab in untreated mantle-cell lymphoma.(Wang ML et al. N Engl J Med. 2022;386:2482-2494.)Efficacy and safety of ibrutinib combined with standard first-line treatment as substitute for autologous stem cell transplantation in younger patients with mantle cell lymphoma: results from randomized triangle trial by the European MCL network.(ASH 2022 #1:プレナリー演題)再発・難治のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対し、BTK阻害薬のイブルチニブは、保険適用での単剤治療が認められている。自家移植併用大量化学療法の適応とならない高齢未治療MCLに対し、BR療法との併用の第III相試験(プラセボとの比較、SHINE試験)の結果が約7年のフォローアップののちに2022年のASCOにて発表され、NEJM誌にpublishされた。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)においてイブルチニブ併用群が有意に優れているという結果であった。同様に、自家移植の適応となる未治療MCLに対し、自家移植を行わずとも、イブルチニブをR-CHOP/R-DHAP療法に併用し、その後、イブルチニブの維持療法を行うことで、FFS、OSともに差がみられなかったという結果が2022年ASHにおいてプレナリー演題として報告された。以上の2試験の結果、未治療MCLに対してはイブルチニブ併用の化学療法ののち、イブルチニブを維持療法として継続する治療が新たな標準治療となることが示された(日本では、2022年12月10日時点で未治療MCLに対するイブルチニブは未承認)。4)Triplet therapy, transplantation, and maintenance until progression in myeloma.(Richardson PG, et al. N Engl J Med. 2022;387:132-147.)自家移植併用メルファラン大量化学療法(Auto)の適応となる未治療多発性骨髄腫患者においては、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン併用療法(VRD療法)を3~4サイクル行い、自家末梢血幹細胞採取を行ったあと、Autoを行い、その後、レナリドミドやイキザゾミブによる維持療法を行うのが標準療法とされている。本試験(DETERMINATION試験)では、VRDを8サイクル行い、その後レナリドミドの維持療法を行う群と、3サイクル後にAutoを行い、その後2サイクルのVRDを追加したあとレナリドミドの維持療法を行う群にランダム化し、PFS、奏効率、OSを比較している。その結果、主要評価項目のPFSではAutoを行った群で有意に優れていたがCR以上の奏効率、OSには差を認めなかった。この試験の結果から、Up-frontのAuto治療は、全患者に画一的に行うより、患者ごとに決定することも許容されることが示された。5)Treatment of adults with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic Leukemia-from intensive chemotherapy combinations to chemotherapy-free regimens: A review.TKIが登場し、Ph+ALLの治療成績は格段に向上した。現在の未治療Ph+ALLの標準治療は、TKIと化学療法の併用治療を行い、血液学的寛解を得たのちに、適格症例においては同種移植を行うこととなっている。最近になって、TKI(ダサチニブやポナチニブ)とCD3XCD19二重抗体薬のブリナツモマブを併用したケモフリー治療によるPh+ALLに対する良好な治療成績が報告されている。本論文では、それらの臨床試験の結果をレビューしており、第1寛解期における同種移植の役割を疑問視している。今後、TKI+ブリナツモマブのケモフリーレジメンによる治療で、分子学的寛解が得られた場合は、従来の化学療法や同種移植は不要となる可能性が示唆されている。6)Second-line Tisagenlecleucel or standard care in aggressive B-cell lymphoma. (Bishop MR, et al. N Engl J Med. 2022;386:629-639.)Axicabtagene Ciloleucel as second-line therapy for large-B cell lymphoma.(Locke FL, et al. N Engl J Med. 2022; 386:640-654.)Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM): results from an interim analysis of an open-label, randomised, phase 3 trial. (Kamdar M, et al. Lancet. 2022;399:2294-2308.)再発・難治性DLBCLに対し、現在、日本では3種類のCD19-CAR-T細胞治療(Tisa-cel、Axi-celLiso-cel)を保険適用で行うことができる。それぞれのCAR-T治療をDLBCLの標準的2次治療(自家移植併用大量化学療法:Auto)と比較する試験が実施され、その結果が発表された。対象となる患者背景に違いを認めたり、標準治療群で、実際に、Autoが実施できた患者の割合が異なったりしており、これらの試験を横並びに比較することはできないが、主要評価項目のEFS(Event-free survival)において、Axi-celとLiso-celは標準治療群よりも有意に優れていたが、Tisa-celは差がなかった。これらの試験結果より、一部の患者において、2次治療としてのCAR-T治療の有用性が認められることが明らかとなったが、CAR-T治療は高額であり、実施できる施設も限られていることから、どのような患者に2次治療としてCAR-T治療を行うべきか、今後の実臨床での症例の蓄積を待つ必要がある。7)Treatment outcomes after undetectable MRD with first-line ibrutinib (Ibr) plus venetoclax (Ven): Fixed duration treatment (placebo) versus continued Ibr with up to 5 years median follow-up in the CAPTIVATE study.(ASH 2022 #92)CLLの治療において、BTK阻害薬(イブルチニブやアカラブルチニブ)単剤治療が、抗CD20抗体と化学療法薬を組み合わせた免疫化学療法よりもPFSやOSが優れていることが示されている。ただし、BTK阻害薬単剤治療では、深い奏効が得られることは稀であり、長い期間治療を継続する必要がある。BTK阻害薬のイブルチニブとBCL-2阻害薬のベネトクラクスを併用することで、約1年間の固定期間の治療で、MRD陰性の深い奏効が得られ、MRD陰性が得られた症例では、継続治療が不要であることが、本年のASHにおいて、4~5年のフォローアップのデータとして示された。今後、とくに、若年のCLL患者に対しては、BTK阻害薬、BCL-2阻害薬、さらに抗CD20抗体薬を併用するケモフリーレジメンで、約1年程度の固定期間の治療を行い、MRD陰性を目指す治療法が標準治療となる可能性が示された。

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ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス発売、患者の通院負担軽減に期待/協和キリン

 協和キリンは、持続型G-CSFペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注3.6mgボディーポッド(以下、同剤)を12月6日より発売すると発表した。 ペグフィルグラスチムは、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として2014年から日本で販売している。通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与されるが、同剤は約27時間後に薬剤が自動投与される機能を搭載する。 がん化学療法と同日に使用することでペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となる。この機能により、化学療法を実施する患者の通院負担の軽減に寄与するという。 同剤はテルモと共同で開発を行い、協和キリンが実施した第I相臨床試験の結果に基づき、2022年7月に承認を取得、2022年11月に薬価収載された。

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