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妊婦のマルチビタミン摂取、児のASDリスク減/BMJ

 妊娠中のマルチビタミン・サプリメントの摂取は、出産児の知的障害を伴う自閉症スペクトル障害(ASD)と、逆相関となる可能性が示された。米国・ドレクセル大学のElizabeth A. DeVilbiss氏らが、スウェーデン・ストックホルムの登録住民をベースにした前向き観察コホート研究の結果を報告した。著者は、「母体栄養と自閉症発症への影響を、さらに詳しく調査することが推奨される」とまとめている。母体のマルチビタミン、鉄分または葉酸のサプリメント摂取が、出産児のASDを予防するかについて、これまでの観察研究では一貫したエビデンスは得られていない。ASDの原因は知的障害の有無によって異なるが、認知機能レベルをベースに栄養サプリメントとASDの関連を調べた研究は、ほとんどなかった。BMJ誌2017年10月4日号掲載の報告。マルチビタミン、鉄分、葉酸サプリの摂取とASDとの関連を調査 研究グループは、住民レジスターから試験サンプルとして、1996~2007年に生まれた4~15歳の子供とその母親のペア27万3,107例を特定し、2011年12月31日まで追跡調査を行った。被験者の母親は、妊娠中の初回受診時に、マルチビタミン、鉄分、葉酸のサプリメントの摂取について報告していた。 主要評価項目は、2011年12月31日までのレジスターデータで確認された、知的障害の有無を問わずASDと診断された子供の割合で、多変量ロジスティック回帰分析にてオッズ比を算出して栄養サプリメントとASDの関連を評価した。兄弟姉妹および傾向スコア適合群を対照とする検討も行った。鉄分または葉酸サプリメントの摂取では逆相関の関連は認められず 知的障害を伴うASDの有病率は、母体マルチビタミン摂取群0.26%(158/6万1,934例)、栄養サプリメント非摂取群0.48%(430/9万480例)であった。 栄養サプリメント非摂取群との比較において、母体マルチビタミン摂取群は鉄分や葉酸の追加摂取を問わず、知的障害を伴うASDのオッズ比が低かった(オッズ比:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.84)。同様の結果は、傾向スコア適合対照群でも認められた(0.68、0.54~0.86)。兄弟姉妹対照群においても認められたが(0.77、0.52~1.15)、信頼区間値が1.0を超えており統計的に有意ではなかった。 鉄分または葉酸サプリメントの摂取では、ASD有病率と逆相関を示す、一貫したエビデンスはみられなかった。

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ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。 米国・ノースカロライナ州の1つの群にある17校1~5学年のすべての子供を対象に、教師評価尺度と親1,160人の面接を用いて評価し、これにはADHD構造化インタビュー(DISC)を含んだ。親と教師の評価を組み合わせて、DSM-IVのADHD状態を判定した。データ分析の対象は、親のADHD歴に関する情報を有する967人の子供に絞り込んだ。SESは、家庭の所得と回答者の教育により測定した。 主な結果は以下のとおり。・家庭の所得と親のADHD診断歴との間に、相互の影響が認められた(p=0.016)。・SESの傾度は、親にADHD歴がない家庭で強く、親がADHD歴を持つ子供ではより弱かった。・親にADHD診断歴がない子供のうち、低所得家庭の子供のADHDの割合は、共変量で調整した後、高所得家庭の子供の6.2倍であった。・親がADHD歴を有する子供のADHDのオッズ比は、親にADHD歴がない高所得家庭の子供の10倍以上であったが、高所得と低所得家庭の子供間のSES傾度はそれほど顕著ではなかった(オッズ比:1.4、95%CI:0.6~3.5)。 著者らは「SESと親のADHD歴はそれぞれ、子供のADHDに対する強力なリスク因子であり、相互に影響を及ぼす。ADHDリスクに影響するSESの要因を分析するためには、より多くの調査が必要である。今後のADHDの調査では、他の環境リスク因子の強さが、親のADHD歴によって異なるかどうかを評価すべきである。低いSESの家庭の子供や親がADHD歴を有する子供については、早期の症状発見と早期介入が検討されるべきである」としている。■関連記事母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連かADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向小児ADHDの合併症有病率と治療成績

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妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際の根拠 妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。 妊婦に対するSSRI使用の最適化には、以下のような治療ゴールが必要である。(1)妊婦にとって、許容できる副作用とともに最良の治療反応が得られる最適な用量でなければならない。(2)妊娠中の薬物動態の変化を考慮し、症状の継続的な測定を繰り返し、最適な抗うつ効果を維持するための調整が必要となる。(3)出産後、女性が非妊娠期(母乳育児状態)に移行した際には、用量調節が必要である。■関連記事日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか

 妊娠中のうつ病は、母親と子供の両方に悪影響を及ぼす。出産前のうつ病は、出産後のうつ病の予測因子であるため、早期発見は出産後うつ病の予防につながる可能性がある。エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)は、周産期によく用いられるが、妊娠中のカットオフ値については、日本人で確認されていない。国立精神・神経医療研究センターの臼田 謙太郎氏らは、日本における妊娠中期のEPDSカットオフ値を最適化するため検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年8月2日号の報告。 妊娠12~24週目の20歳以上の妊婦を募集し、そのうちEPDS 9点以上の妊婦に研究への参加を依頼した。EPDSと同時に、うつ病エピソードの診断のために精神疾患簡易構造化面接法(日本語版)を行った。ROC曲線、感度および特異度、EPDSの陽性、陰性反応の予測値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・参加者210例は、妊娠12週の1例を除き、すべて第2三半期であった。・20例がうつ病エピソードと診断された。・カットオフスコアを13点に設定した場合、ROC曲線下面積0.956、感度90.0%、特異度79.0%、EPDS陽性反応予測値54.5%、EPDS陰性反応予測値98.9%であった。 著者らは、「われわれの知る限り、本研究は日本において、妊娠第2三半期での最適なEPDSカットオフ値を明らかにするための、最初の研究である。本知見は、日本における出産前うつ病の適切なスクリーニングに役立つであろう」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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自閉症スペクトラム障害児に即興音楽療法は有用か/JAMA

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児の治療では、強化標準治療に即興音楽療法を追加しても症状の重症度は改善しないことが、ノルウェー・Uni ResearchのLucja Bieleninik氏らが行ったTIME-A試験で明らかとなった。研究の成果はJAMA誌2017年8月8日号に掲載された。音楽療法は、ASD患者の社会的相互作用(social interaction)、共同注意(joint attention)、親子関係を改善することが無作為化試験で示されている。即興音楽療法は、患児と訓練を受けた音楽療法士が自発的に歌ったり、演奏したり、体を動かすことで音楽を創造する患児中心のアプローチで、音楽療法士は患児の関心や行動、好奇心に着目してこれに従うことで社会コミュニケーション技法の発達を促す。9ヵ国が参加した国際的無作為化試験 本研究は、ASD児の総合的な社会コミュニケーション技法に及ぼす即興音楽療法の効果を評価する無作為化臨床試験である(Research Council of Norwayの助成による)。 対象は年齢4~6歳11ヵ月のASD児(国際疾病分類第10版[ICD-10]の判定基準に準拠)で、9ヵ国の10施設が参加した(アジアからは韓国が参加)。2011年11月~2015年11月に患者登録を行い、2012年1月~2016年11月にフォローアップを実施した。 被験者は、強化標準治療のみを行う群または強化標準治療+即興音楽療法を行う群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、後者はさらに即興音楽療法を週3回行う群(高強度群)または週1回行う群(低強度群)に割り付けられた。治療期間は5ヵ月であった。 セッションは1回30分で、クリニック、幼稚園あるいは家庭で患児と30人の有資格の音楽療法士(女性が21人、平均年齢34.7歳[範囲:23~55歳]、音楽療法士としての平均経験年数7.3年[範囲:0~30年])が1対1で行った(可能な場合は家族も参加)。評価担当者には、個々の患者の割り付け情報が知らされなかった。 主要評価項目は5ヵ月時の症状の重症度とし、自閉症診断観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule:ADOS)のsocial affectスコア(0~27点、点数が高いほど重症度が高い、臨床的に意義のある最小変化量:1点)で評価した。2および12ヵ月時にも評価を行った。ほとんどの探索的副次評価項目にも有意差はなし 364例が登録され、強化標準治療群に182例が、即興音楽療法群にも182例(高強度群90例、低強度群92例)が割り付けられた。全体の平均年齢は5.4歳で、男児が83%を占めた。主要評価項目の解析は314例(86%)で行われた。 5ヵ月間で、即興音楽療法群は中央値で19回の音楽療法を受け、3回の両親へのカウンセリングが行われ、36回のその他の治療セッションを受けた。強化標準治療群は、両親へのカウンセリングが3回、他の治療セッションは45回であった。 ADOSの平均social affectスコアは、即興音楽療法群がベースラインの14.08点から5ヵ月時には13.23点に、強化標準治療群は13.49点から12.58点に改善し、両群に有意な差は認めなかった(平均差:0.06、95%信頼区間:-0.70~0.81、p=0.88)。即興音楽療法群の高強度群と低強度群にも有意差はみられなかった。 また、20項目の探索的副次評価項目のうち17項目には有意な差はなかった。2および12ヵ月時のsocial affectスコア、2、5、12ヵ月時の対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)の総スコアにも差はみられなかった。 著者は、「有意差を認めた数少ない探索的副次評価項目もその差は小さく、臨床的な意義はないと考えられた」としている。

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ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

 ADHDと新規に診断された小児の治療軌跡の特徴を明らかにするため、米国・フロリダ大学のAlmut G. Winterstein氏らが検討を行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年7月5日号の報告。 1999~2006年の米国28州のメディケイド(公的医療保険制度)プログラムより、3~18歳の請求記録を用いた。向精神薬使用と精神疾患の診断が6ヵ月以上なく、新規にADHD(ICD-9-CM:314.00)と診断された小児が、コホート研究に登録された。向精神薬多剤併用(3種類以上の使用)、抗精神病薬、抗てんかん薬の使用を評価するため、5年間フォローアップを行った。混合効果ロジスティック回帰を用いて、社会人口統計学的要因で調整し、ADHD診断およびフォローアップ時の年齢を関数とし、各薬剤の使用アウトカム率をモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・コホート対象患者1万6,626例中、診断1年後に1回以上各薬剤が投与されていた患者の割合は、神経刺激薬79.2%、抗うつ薬33.2%、αアゴニスト23.1%、向精神薬多剤併用25.3%であった。・1~5年目までに、抗精神病薬は7.1→14.7%、抗てんかん薬は4.0→7.9%、向精神薬多剤併用は8.5→13.4%に増加したが、この増加はADHD診断時の年齢が3~9歳の小児に限られていた。・3歳でADHDと診断された小児は、各アウトカムにおいて最も有意な増加を示した(各々、OR:1.80、[95%CI:1.36~2.38]、1.85[1.38~2.47]、2.14[1.45~3.16])。・また、向精神薬多剤併用療法が行われた9,680人年のうち39.1%は、ADHD以外の精神医学的診断を受けていなかった。 著者らは「向精神薬多剤併用や抗精神病薬、抗てんかん薬の使用は、フォローアップの年ごとに増加していた。これは、ADHD診断時の年齢によって強く影響され、未就学児では大きく増加したが、年齢が上がるとこの対応はみられなかった。それは、付随する精神障害を医師が診断することによって、部分的にのみ説明可能であった」としている。■関連記事自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

 ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)のリスクは、妊娠前の母親の肥満などの環境的要因の影響を受ける可能性がある。これらの関連を調査したこれまでの研究では、異なる見解が得られている。デンマーク・オーフス大学病院のChristina Hebsgaard Andersen氏らは、これらの関連をさらに調査するためADHD、ASDおよびADHDとASDが併存した小児における大規模出生コホートを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2017年7月15日号の報告。 対象は、デンマーク国民出生コホート(DNBC:Danish National Birth Cohort)に参加している母子8万1,892人。妊娠前の体重および身長に関する情報は、妊娠16週目に収集し、BMIに基づき分類し、分析した。ADHD、ASDまたは併存の臨床診断を受けた小児は、デンマークヘルスレジストリにおいて平均年齢13.3歳で確認された。ハザード比(HR)は、時間事象分析(time-to-event analysis)を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・正常体重の母親と比較し、過体重(HR:1.28、95%CI:1.15~1.48)、肥満(HR:1.47、95%CI:1.26~1.71)、重度の肥満(HR:1.95、95%CI:1.58~2.40)の母親は、ADHD児を有するリスクが有意に増加した。・ADHDとASDが併存した患者でも、同様なパターンが認められた。・ASDに関しては、低体重(HR:1.30、95%CI:1.01~1.69)および肥満(HR:1.39、95%CI:1.11~1.75)の母親で、リスク増加が認められた。・サブグループ解析では、ADHDにおける関連は、主に過活動グループに起因する可能性があることが明らかとなった。 著者らは「妊娠前の母親の肥満は、小児ADHDの危険因子である。また、母親の肥満および低体重は、ASDリスク増加と関連している可能性がある」としている。■関連記事妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較小児ADHDの合併症有病率と治療成績

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小児ADHDの合併症有病率と治療成績

 ADHDの合併症は広く研究されているが、いくつもの問題点が解決していない。イタリア・IRCCS-Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario NegriのLaura Reale氏らは、新規に診断された未治療の小児の臨床サンプル(ADHDの有無にかかわらず)における併存精神疾患を調査し、合併症のタイプに基づいて治療有効性を比較するため、多施設共同研究を行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2017年5月19日号の報告。 2011~16年にADHDセンター18施設より登録されたADHDレジストリデータベースを用い、特定した患者の医療記録を分析した。 主な結果は以下のとおり。・ADHDの診断基準を満たした患者は2,861例中1,919例(67%)であった。そのうちADHD単独の患者は650例(34%)、併存精神疾患を有する患者は1,269例(66%)であった(学習障害:56%、睡眠障害:23%、反抗挑発症[ODD]:20%、不安障害:12%)。・複合型で重度の障害(CGI-S:5以上)を有するADHD患者は、併存疾患を呈しやすかった。・724例中382例(53%)は、治療1年後改善が認められた。・合併症を伴うADHDは、併用療法またはメチルフェニデート単独で治療することにより、より大きな改善を示した。・具体的には、併用療法は、学習障害を伴うADHD(ES:0.66)およびODDを伴うADHD(ES:0.98)に対し有意な優位性を示し、睡眠障害または不安障害を伴うADHDでは優位性が低かった。・トレーニング介入のみでは、ADHDおよび学習障害に対し中程度の有効性しか得られなかった(ES:0.50)。 著者らは「本研究は、イタリアにおけるADHDと併存精神疾患との関連を検討した最初の研究であり、複数の臨床現場において、ADHDが複雑な疾患であることが確認された。適正かつ均一なADHDの管理を幅広く行うためには、診断や治療、サービス制度が非常に重要である」としている。■関連記事自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかADHDに対する集中治療プログラムの効果:久留米大

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妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

 これまで研究において、妊娠中の母親の抗うつ薬使用が、子供の自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)のリスクを高めるかを調査したが、その結果は矛盾していた。米国・マウントサイナイ医科大学のA. Viktorin氏らは、妊娠中の抗うつ薬治療による子供のASDリスクについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 2006、07年に誕生した子供179例の集団ベースコホートを対象に、子供たちが7、8歳となる2014年までフォローを行った。Cox回帰を用いて、妊娠中に抗うつ薬に曝露された子供におけるASDの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定し、また特定の9種の抗うつ薬についての分析も行った。解析では、潜在的な交絡因子の調整を行い、全サンプルとうつ病または不安症の診断を有する母親の臨床的に適切なサブサンプルにおいて実施した。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中に抗うつ薬を使用した母親の子供におけるASDの調整RRは1.23(95%CI:0.96~1.57)、うつ病または不安症の診断歴のある女性で1.07(95%CI:0.80~1.43)であった。・特定の抗うつ薬の分析では、citalopramおよびエスシタロプラム(RR:1.47、95%CI:0.92~2.35)と、クロミプラミン(RR:2.86、95%CI:1.04~7.82)においては、子供のASDのRRが増加した。 著者らは「妊娠中の抗うつ薬使用は、子供のASDリスク増加と関連があるとは考えられない。代わりにこの結果は、精神障害への感受性に関連する要因によって説明されることを示唆している。これらの知見に基づき、子供のASDリスクのために一般的に使用されている妊婦に対する抗うつ薬治療を控える必要はない」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

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妊娠初期の抗うつ薬、児への影響は?/JAMA

 妊娠初期の妊婦の抗うつ薬服用は、交絡因子を調整すると非服用群と比較して早産のリスクがわずかに上昇したものの、在胎不当過小(SGA)、自閉症スペクトラム障害あるいは注意欠如・多動症(ADHD)のリスク増加との関連は確認されなかった。米国・インディアナ大学のAyesha C. Sujan氏らが、「妊娠初期の抗うつ薬服用と出産や神経発達の問題との関連はセロトニンシグナル伝達の機能不全に起因する」という説の、対立仮説を検証する目的で行った後ろ向きコホート研究の結果を報告した。胎児期の抗うつ薬曝露は有害転帰と関連することが示唆されてきたが、先行研究では交絡が十分に検討されていなかった。JAMA誌2017年4月18日号掲載の報告。スウェーデンの出生児を最長17年追跡 研究グループは、1996~2012年の期間にスウェーデンで生まれた子供を2013年まで、または死亡や移住による中止まで追跡調査し、妊娠初期の抗うつ薬服用と出産や神経発達の問題との関連性を検証した。解析は、妊娠の共変量(経産歴、出産年)、母親および父親に関する共変量(出生国、出産時年齢、最終学歴、犯罪歴、重度精神疾患歴、自殺企図歴)を補正して行うとともに、兄弟姉妹比較、曝露時期比較、父親についての比較モデルを作成して、関連性を評価した。 抗うつ薬曝露は、妊娠初期に抗うつ薬を服用したという母親の自己報告と、妊娠初期の抗うつ薬処方で定義した。 主要評価項目は、早産(在胎週数37週未満)、SGA児(出生体重が在胎週数平均値よりも2SD超低い)、自閉症スペクトラム障害またはADHDの初回の臨床診断(入院または外来)とした。妊娠初期の抗うつ薬曝露は早産とわずかに関連、SGAや神経発達問題との関連なし 母親94万3,776例(出産時の平均年齢30歳)から生まれた158万629例が解析対象に含まれた。出生児の平均在胎期間は279日、女児48.6%、妊娠初期の抗うつ薬服用を自己報告した母親から生まれた児は1.4%(2万2,544例)であった。 このうち早産児は、曝露群6.98% vs.非曝露群4.78%、SGA児はそれぞれ2.54% vs.2.19%、15歳までに自閉症スペクトラム障害と診断されたのは5.28% vs.2.14%、15歳までのADHDの診断は12.63% vs.5.46%であった。 母集団レベルの解析では、妊娠初期の抗うつ薬曝露は、非曝露群の子供と比較し、すべての転帰と関連していた。早産のオッズ比(OR)は1.47(95%信頼区間[CI]:1.40~1.55)、SGAのORは1.15(95%CI:1.06~1.25)、自閉症スペクトラム障害のハザード比(HR)は2.02(95%CI:1.80~2.26)、ADHDのHRは2.21(95%CI:2.04~2.39)であった。 しかし、妊娠・母親・父親の特性を補正した兄弟姉妹比較モデルでは、妊娠初期の抗うつ薬曝露は、早産(OR:1.34、95%CI:1.18~1.52)と関連していたが、SGA(OR:1.01、0.81~1.25)、自閉症スペクトラム障害(HR:0.83、0.62~1.13)、ADHD(HR:0.99、0.79~1.25)との関連は確認されなかった。母親の妊娠前の抗うつ薬処方ならびに妊娠初期の父親に対する抗うつ薬処方との関連を評価した解析結果は、兄弟姉妹比較モデルの結果と一致した関連性がみられた。 著者は研究の限界として、すべての交絡因子を完全に排除できないこと、妊娠初期の曝露に限定していること、他の国で一般化できるかは不明であることを挙げている。

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クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 1

今回のキーワード試し行為子育てタイプ社会的コミュニケーション障害回避性パーソナリティ障害社会的遊び進化心理学メラビアンの法則しんちゃんはなぜお尻を出すの?ユーモアのセンスみなさんは、「人を楽しませたい」または「子どもにコミュ力をつけたい」と思うことはありますか? その方がきっと人間関係がうまく行きそうだと思いますよね。今回は、ユーモアのセンスをテーマに、国民的人気アニメ番組の「クレヨンしんちゃん」を取り上げます。主人公は、野原家長男のしんちゃん。5歳児でありながら、しんちゃんのペースに母みさえや父ひろしを初め、周りが巻き込まれ、翻弄されます。このアニメは、2012年まで日本PTA協議会主催の「小中学生と親のテレビ番組に関する意識調査」の「子どもに見せたくない番組」アンケート(2013年に廃止)では毎年上位にランクインしていました。しかし、最近は育児書として良い意味で再注目されています。さらには、ユーモアのヒントもたくさん詰まっており、コミュニケーション能力を高めるモデルとしても参考になります。それでは、「クレヨンしんちゃん」を通して、コミュニケーション能力を高める親モデル、ユーモアを初めとする遊びの起源、明日から使えるユーモアのエッセンスについていっしょに考えていきましょう。なぜしんちゃんはお尻を出すの?-コミュニケーション能力を高めるしんちゃんは、人前でよく「お尻ぶりぶり」と言いながらお尻を出してふざけます。母みさえと父ひろしを呼び捨てにすることもあります。特にみさえには「お便秘みさえ」「バキュームかーちゃんみさえ号~」「ケツでか~」「ぶよぶよお腹~」などと言い、からかいます。このように、ふざけたり人をからかったりするのは下品で不真面目だという理由で、PTAの親たちは有害番組だと思ったのでしょう。確かに大人から見ればそうです。ただ、子どもにとっては、どうでしょうか? そもそもしんちゃんはなぜお尻を出すのでしょうか?それは、しんちゃんが、コミュニケーション能力を高めようとしているからです。言い換えれば、しんちゃんはお尻を出すとどうなるか相手と状況を見極めて試しています。それが結果的に、下品で不真面目なように見えてしまっているだけです。なぜなら、よくよく見ると、しんちゃんは、知らない人しかいない状況や好きな女性の前では、むしろ過剰な良い子を演じることで笑いを誘います。しんちゃんは、お尻を出すことは下品で良くないと重々分かっているのです。しんちゃんがお尻を出すのは、圧倒的にみさえがそばにいる時です。そして、みさえのリアクションを確認して、楽しんでいます。つまり、しんちゃんは、母親が嫌がることをわざとやっているのです。心理学的に言えば、愛着理論の試し行為に当たります。「構ってほしい」「それでも構ってもらえる」という信頼関係の確認です。このようなふざけ、からかい、いたずらなどは、信頼関係を深めるためのより高度な「挨拶」であると言えます。つまり、コミュニケーション能力とは、ふざける能力、遊び心でもあります。相手にふざけた後にその出方を見て、心の間合いを探っています。そして、いろいろな心の間合いがあることに気付きます。こうして相手や状況によって、その間合いを予測できるようになっていきます。ちょうど色々な動きを通して運動能力を高めるのと同じように、ふざけることも含めて色々なやり取りを通してコミュニケーション能力を高めています。また、ちょうど運動と同じように、コミュニケーションもすればするほど心地良いと感じるようになるでしょう。みなさんの中に、尻出しに対してもっと厳しくした方が良いという意見はありますでしょうか? 確かに、誰に対してもやっている場合は知的障害や自閉症スペクトラム障害の可能性を考え、対策が必要でしょう。また、女の子であれば、男の子に対してほど世の中の寛容さがないので、禁止するべきでしょう。一方、しんちゃんのように男の子でわざとやっている場合は、とても厳しくする必要はないです。ところで、しんちゃんは小学生になっても、お尻を出すでしょうか? その答えは、ノーです。しんちゃんの発達段階の幼児期はトイレットトレーニングの時期です。この時期は「お尻」「うんち」など排泄に関する下ネタをとても意識し、過剰に反応し、大好きになります。ところが、小学生の学童期に入ると、すでにトイレットトレーニングの課題は卒業しています。幅広い学習の機会が増え、表面的で具体的な発想から、より内面的で抽象的な発想をするようになります。よって、ふざけるにしても、見た目よりも中身に目が向き、より高度になっていきます。これが、ユーモアのセンスに発展していきます。逆に言えば、尻出しなどの単純なふざけによって、ユーモアのセンスの土台を作っているとも言えます。しんちゃんがお尻を出したらどうする?-コミュニケーション能力を高める親モデルしんちゃんのように、子どもがお尻を出すなどふざけたり、からかったりしたら、どうしましょうか? 子どものコミュニケーション能力を育むためには、実は親のコミュニケーション能力が問われてきます。その親モデルとして3つの要素があげられます。母みさえを初めとする周りのリアクションから考えてみましょう。(1)分かりやすいリアクション-社会性を育むまず、みさえは「こらっ、しんのすけ!」とムキになって怒ります。また、みさえのお決まりの「グリグリ」のお仕置きが登場することもあります。どこかコミカルです。そのわけは、気持ちをストレートに伝えて、リアクションがパターン化され分かりやすいからです。お仕置きについては、感情に任せた体罰ではなく、儀式化されたものです。コミュニケーションは、心の「プロレス」です。みさえはこの「プロレス技」を通して、実はやりとりを楽しんでいるようにも見えます。こうして、やって良いことと悪いことのルールが協調されることで、世の中で生きていくためのスキル、つまり社会性が子どもに育まれていきます。やがて、その成功体験の積み重ねによって、「自分ならできる」という自信が育まれます。(2)いつもは温かくて楽しい-共感性を育むみさえはしんちゃんによく爆発していますが、安心感があります。そのわけは、すぐに普段通りの温かくて楽しいお母さんに戻っていて、メリハリがあるからです。一方、しんちゃんがお風呂上がりに、いっしょにいた父ちゃんに下半身裸で「父ちゃん、ほら、ぞうさん」と言うと、父ちゃんは「ほ~らマンモス~」と悪ノリしています。その2人のやりとりを見たみさえは恥ずかしげに「おバカ親子」とツッコミを入れています。こうして、「たとえふざけても怒られるのはその時だけ」「怒られつつも楽しい」という共感性や安心感が子どもに育まれていきます。やがて、その信頼関係が強まることで、「どんな時も自分は大丈夫(大切にされている)」という自尊心が育まれます。(3)スキがある-積極性を育むみさえは、しんちゃんがこたつのテーブルを倒して滑り台にして遊んでいるのを叱ります。しかし、その後に、つい出来心で自分も滑って楽しんでしまいます。その様子をしんちゃんとひろしに冷たい目で見られ、「ハッ」と赤面します。このように、みさえはお間抜けキャラでスキがあります。おっちょこちょいで失敗もよくしています。怠け癖もあります。言い換えれば、みさえは決して完璧な母親(パーフェクトマザー)ではないです。とても人間味溢れる、ほど良いお母さんです(グッドイナッフマザー)。そして、ツッコミ甲斐があります。これは、自信につながります。また、お間抜けという失敗のモデルを見せているので、しんちゃんには「うまく行かなくても大丈夫」というメッセージが伝わります。これは、自尊心につながります。こうして、自信と自尊心を土台として、スキなどの何かおかしな点に気付いていく観察力やそれを指摘する行動力を伸ばすことで、積極性や創造性が子どもに育まれていきます。逆に言えば、子どもの積極性を高めるには、あえてスキをつくる、不真面目を演じる、つまり親のコミュニケーション能力として「ボケる」ことも重要になってきます。野原家、風間家、桜田家の子育てタイプの違いは?-グラフ1しんちゃんの通う幼稚園の仲良しのお友達でカザマくんとネネちゃんがいます。ここから、しんちゃんの野原家、カザマくんの風間家、ネネちゃんの桜田家のそれぞれの子育てタイプを整理して、コミュニケーション能力に影響を与える要素を探ってみましょう。なぜなら、コミュニケーション能力は、家庭内での親との人間関係を基礎として、家庭外での幼稚園・保育園の先生や友達、近所の人たちとの人間関係に応用されていくからです。子育て(家族機能)を国家になぞらえて、さきほどに紹介したルールの学習である社会性を縦軸の厳しさ(父性)、共感性を横軸の優しさ(母性)として、模式的にグラフ化してみましょう。子育ては、4つのタイプに分けられます。これは、カリフォルニア大学バークレー校の研究者ダイアナ・バウムリンド氏の子育てモデルを参考にしています。(1)しんちゃんの野原家-民主国家型まず、しんちゃんの野原家は、厳しさと優しさのバランスがとれています。自分の主張をしつつ、相手の主張も配慮して、お互いの折り合いを見つけるという意味で、民主国家型です。この心理は、社会性、共感性、積極性の全てがあります。自信と自尊心の両方が安定しているため、「おらならできるし、できない時もおらは大丈夫」という発想になります。この子育てタイプのプラス面は、ユーモアを初めとするコミュニケーション能力が育まれます。一方、マイナス面としては、厳しさと優しさのバランスを意識する労力を初めとして親もコミュニケーション能力を高める努力が必要になります。(2)カザマくんの風間家-独裁国家型次に、カザマくんの風間家は、優しさよりも厳しさに偏っています。将来エリートになるために、すでに幼稚園児にして塾通いをして、家でも勉強ばかりです。カザマくん自身もエリート然として振る舞っています。しかし、ママの顔色をうかがい、実はかなりのマザコンです。風間家の子育ては、有無を言わさず決められたことをやらされるいう意味で、独裁国家型です。この心理は、社会性が高すぎて、共感性が足りなくなり、結果的に積極性が不安定になります。自信は安定していますが自尊心が安定していないため、「ボクならできるけど、それでもボクはだめだ」という発想になります。一見、エリートになるために、小さい時から努力させることは良いことのように思えます。この子育てタイプのプラス面は、実際にエリートになる可能性があることです。さらに、子どもの能力が高ければ、親の「独裁」を乗り越えて、「革命」を起こし、世の中を動かす大物になるでしょう。一方、マイナス面としては、2つの危うさがあります。a. ユーモアがよく分からない1つは、ユーモアがよく分からないことです。小学生までは親の言いつけを守って、必死にがんばるでしょう。優等生で良い子です。しかし、中学生になったらどうなるでしょうか?中学生以降の思春期は、自分で自分の行動を決めるアイデンティティ(自我)の確立の時期です。この時、友達は、小学生のように周りから配慮されてできるわけでないです。友達は自分からつくる必要があります。この時に求められる能力は、相手の気持ちを察すること、相手との上手な間合いを取ること、そして、相手を楽しませることです(共感性)。つまり、どれだけ勉強をやってきたかの学力ではなく、どれだけおふざけをやってきたかのコミュニケーション能力が重要になってきます。逆に言えば、勉強ができても、ユーモアがよく分からなければ友達をつくるのに苦労します。そして、遊び心が足りない生真面目で退屈な大人になってしまい、人間関係で苦労するでしょう。その状況が深刻な場合は、社会的コミュニケーション障害と呼ばれます。この心理は、真面目になるという社会性はありますが、あえて不真面目をいっしょに楽しむという共感性が足りないです。b. 受け身になるもう1つは、受け身になることです。本来、中学生以降の思春期は、自分で自分の行動を決め、失敗も含めてその結果を受け入れる時期です。それは、自分で選んだ道だと納得し、これからも自分はどうしたいかという自分の生き方を見つけることです(積極性)。しかし、もともと親の「独裁」によって、自分で決めるという自由が極端に抑えられていれば、いざ自分で自分の行動を決めようにも、どうして良いか分からなくなります。決められたレールに乗ってきたので、レールがないと動けない、進めないのです。また、小学校まではうまく行かなくても親が決めたことなので自分のせいにはならなかったのに、自分で決めてしまうと自分のせいになってしまいます。つまり、失敗の責任を負うことに慣れていないのです。よって、すぐに正解を求めようとしたり、マニュアルを重視するようになります。このような完璧への執着は、裏を返せば失敗への恐怖、「失敗恐怖症」です。大人になって、仕事をする時も指示待ち人間になるでしょう。また、恋愛においても臆病になるでしょう。その状況が極端な場合は、回避性パーソナリティ障害と呼ばれます。この心理は、言われたらやるという社会性はありますが、自分からやるという積極性が足りないです。また、失敗の責任を負うことに慣れていないので、実際にうまく行かないことが起きたときは、「親のせいだ」「社会のせいだ」「病気のせいだ」という発想に陥りやすくなります。「自分のせいでもある」という自分の責任として真っ正面から向き合うこと(直面化)に耐えられず、誰かのせい、何かのせいにしようとする責任転嫁の心理が働きやすくなります(認知的不協和)。(3)ネネちゃんの桜田家-ユートピア型最後に、ネネちゃんの桜田家は、厳しさよりも自由さ(優しさ)に偏っています。ネネちゃんは、ウサギのぬいぐるみを懐に忍ばせ、嫌なことがあるとそれを殴ってストレスを発散させています。そして、実は、ママも同じことをしていて、ネネちゃんはママのまねをしています。女の子がぬいぐるみを殴るという行為を母親が黙認しています。むしろ逆に、母親がその悪いお手本を示しています。それをたしなめる父親はいません。また、より健康的なストレス発散の対処法(コーピングスキル)の提案もありません。このように、桜田家の子育ては、自由気ままにすることが許される甘やかしという意味で、ユートピア型です。この心理は、社会性が足りず、共感性が高いので、結果的に積極性が不安定になります。自信は安定していないですが自尊心が安定しているため、「私はできないけど、それでも私は大丈夫」という発想になります。この子育てタイプのプラス面は、自由で独創的な発想を育むことです。しんちゃんたちが巻き込まれるネネちゃんの「リアルおままごと」は、結末が必ず離婚か実家に帰る設定になっており、独特でリアリティがあります。一方、マイナス面は、自由さの裏返しで、出しゃばりで身勝手になってしまうことです。ネネちゃんは、しんちゃんから「他人の心は読めるのに、場の空気は読めない」と言われています。残念ながら、大人の世界にユートピアは存在しません。よって、大人になっても、その状況が極端な場合は、自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれます。この心理は、自由にする積極性はありますが、相手の自由も尊重するという社会性が足りないです。また、大人になっても衝動性のコントロールが困難な場合は、アルコール、ギャンブル、人間関係の巻き込まれ(共依存)などの嗜癖性障害のリスクが高まります。例えば、アルコール依存症の人の典型的なセリフとして、「(断酒はできないけど)自分はまだ大丈夫」という否認の心理です。この心理は、甘えるという共感性はありますが、甘えすぎないという社会性が足りないです。(4)該当なし-無法地帯型おまけとして、当てはまるしんちゃんのお友達はいませんが、厳しさも優しさもない家庭だと、どうなるでしょうか? 親が多忙であったり、子育てに無関心であったりして、子どもに衣食住の必要最低限のものは与えますが、それ以外は関わらない状況です。これは、ネグレクト(育児放棄)に当たり、もはや国家の形をなしていないという意味で、無法地帯型です。この心理は、社会性と共感性が足りず、積極性も不安定になります。自信も自尊心も安定していないため、「自分はできないし、できる時も自分はだめだ(どうもこうもならない)」という発想になります。この子育てのプラス面は、特にないです。一方、マイナス面としては、知的発達や愛着の問題から、非行(素行障害)に走りやすくなりなす。大人なれば、反社会性パーソナリティ障害のリスクが高まります。次のページへ >>

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日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

 自閉スペクトラム症を有する小児および青年(6~17歳)における易刺激性の治療に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、8週間のプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年12月21日号の報告。 対象患者には、フレキシブルドーズのアリピプラゾール(1~15mg/日)またはプラセボを投与した。対象患者92例は、アリピプラゾール群47例とプラセボ群45例にランダムに割り付けられた。親/介護者による異常行動チェックリスト日本語版(Aberrant Behavior Checklist Japanese Version :ABC-J)の易刺激性サブスケールスコアを用いて評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール群の平均ABC-Jスコアは、第3~8週にかけて、プラセボ群と比較し有意に改善した。・アリピプラゾール群の平均医師CGI-Iスコアは、第2~8週にかけて、プラセボ群と比較し有意に高い改善効果を示した。・アリピプラゾール群のすべての患者が試験を完了し、重篤な有害事象は報告されなかった。・プラセボ群では、3例が中止した。 著者らは「日本人小児および青年の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に対するアリピプラゾール投与は、効果的かつ一般的に安全で忍容性が良好である」としている。関連医療ニュース 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

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妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は

 妊娠中のカフェイン摂取や長期的なアウトカム(子供の神経行動など)を評価した研究は、まだ不十分であり、研究結果は一貫していない。ブラジル連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、妊娠中の母親のカフェイン摂取とその子供が11歳時のADHDとの関連を評価するため検討を行った。BMJ open誌2016年12月5日号の報告。 対象は、2004年にブラジルペロタス市で出生したすべての子供。出産時に母親より、妊娠中のコーヒーおよびイェルバ・マテの摂取に関する情報についてインタビューを行った。子供の11歳時点でのADHD評価は、Development and Well-Being Assessment(DAWBA)を用いて、母親より収集した。ADHDの有病率は、95%CIで算出した。カフェイン摂取とADHDとの関連性評価には、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3,485人の子供を分析した。・ADHD有病率は、全体4.1%(95%CI:3.4~4.7%)、男児5.8%(95%CI:4.7~6.9%)、女児2.3%(95%CI:1.5~3.0%)。・妊婦のカフェイン摂取率は、妊娠期間全体で88.7%(87.7~89.7%)、妊娠第1期で86.5%(85.4~87.5%)、妊娠第2期で83.0%(81.8~84.2%)、妊娠第3期で92.3%(91.4~93.1%)であった。・調整、未調整にかかわらず、妊娠期間におけるカフェイン摂取は、ADHDと関連が認められなかった。関連医療ニュース 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 ADHD女児に併存する精神疾患は

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MRIで軽度認知障害からの進行を予測

 健忘または非健忘な認知障害を伴う軽度認知障害(MCI)患者の海馬体積(HV)により、アルツハイマー病(AD)と競合するレビー小体型認知症(DLB)の可能性のある認知症リスクを予測するため、米国・フロリダ大学のKejal Kantarci氏らが検討を行った。Neurology誌2016年11月号の報告。 2005~14年にベースラインでMRI試験に参加したメイヨークリニックアルツハイマー病研究センターのMCI患者160例を対象に、毎年臨床評価を行った。HVは、FreeSurfer(5.3)を用いて、3T MRIから分析した。海馬委縮は、ADと診断された患者の個別コホートにおける測定分布の中で最も正常な10パーセンタイルより決定した。潜在的なDLB、ADへの進行の部分分布ハザード比は、競合するリスクを考慮し推定した。 主な結果は以下のとおり。・中央値2.0年(範囲:0.7~8.1年)の経過観察中に、MCI患者の20例がDLBに進行し(13%)、61例がADに進行した(38%)。・競合するリスクを考慮した後、ADに進行する海馬委縮に対する正常HVの推定部分分布ハザード比は、0.56(95%CI:0.34~0.91、p=0.02)であった。・年齢調整およびMCIサブタイプを含めた後、probable DLBへの進行に対する海馬委縮に対する正常HVの推定ハザード比は、4.22(95%CI:1.42~12.6、p=0.01)であった。 著者らは「保存された海馬量は、MCI患者のADと競合する可能性の高いDLBのリスク増加と関連していた。HV保存は、とくに非自閉症の特徴を有するMCI患者において、ADに対する前駆期DLBをサポートすることができる」としている。関連医療ニュース MCIからAD、DLBへの進行を予測するには:順天堂大 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標 MCIから初期アルツハイマー病を予測、その精度は

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小児に対する抗精神病薬使用、治療継続性を解析

 小児および青年に対する第2世代抗精神病薬の実際の有用性は、まだよくわかっていない。このような患者は長期にわたり治療を受けているため、重要な研究領域である。イタリア・Scientific Institute IRCCS Eugenio MedeaのMarco Pozzi氏らは、小児外来患者を対象に第2世代抗精神病薬の治療継続性を比較した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年10月25日号の報告。 リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン治療を行った小児外来患者の非選択的集団において、24ヵ月(2012年3月~2014年3月)の観察研究を行った。(1)使用薬剤の抽出、(2)特定の原因による中止率、用量調節は、薬剤間のカプランマイヤー分析により事後比較、(3)これらアウトカムに影響を及ぼす予測因子をCox多変量モデルにより解析した。 主な結果は以下のとおり。・小児患者184例のうち、処方率はリスペリドン77%、アリピプラゾール18%であった。・オランザピン、クエチアピンの使用率は低かったため、分析対象外とした。・リスペリドンは破壊的行動障害を有する若者男性で処方され、アリピプラゾールはチック障害を有する患者で処方されていた。・全体として、処方後6ヵ月間における中止が多く、24ヵ月時点における中止率は、リスペリドン41.5%、アリピプラゾール39.4%で、同様であった。・単変量解析では、投与量の減少はアリピプラゾール群で高かった(p=0.033)。・多変量解析では、以下の予測因子が抽出された。 全原因による中止:ベースラインの重症度(HR:1.48、p=0.001)、用量増加(HR:3.55、p=0.001)。 患者決定による中止:用量増加(HR:6.43、p=0.004)、用量減少(HR:7.89、p=0.049)、併用薬あり(HR:4.03、p=0.034)、自閉症患者決定による中止は少ない(HR:0.23、p=0.050)。 副作用に伴う医師決定による中止:ベースラインの重症度(HR:1.96、p=0.005)、用量増加(HR:5.09、p=0.016)。 効果不十分に伴う医師決定による中止:ベースラインの重症度(HR:2.88、p0.014)、アリピプラゾール使用(HR:5.55、p=0.013)。 用量増加:なし。 用量減少:副作用発生(HR:4.74、p=0.046)、用量減少は自閉症患者では少ない(HR:0.22、p=0.042)。関連医療ニュース 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 アスペルガー障害、高機能自閉症への第二世代抗精神病薬は有用か

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ADHD女児に併存する精神疾患は

 ADHD児は、併存する精神疾患リスクが高い。ADHDは、女児で最も一般的な小児疾患の1つであるにもかかわらず、男児と比較し、臨床的相関が少ないと考えられている。米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、女児における、ADHDの有無と内在的(不安、抑うつ)、外在的(反抗挑戦性障害[ODD]、行為障害[CD])精神障害の併存率をメタ分析により要約した。Pediatrics誌2016年10月号の報告。 女児における、ADHDの有無と精神疾患を調査した研究を、PubMed、Google Scholarより検索を行った。18件(1,997例)の研究が、選択基準を満たし、メタ分析のための十分なデータを有していた。利用可能なデータより、各併存疾患のオッズ比を算出した。患者背景(たとえば、年齢、人種/民族)と研究特性(たとえば、参照ソース、診断方法)はコード化された。 主な結果は以下のとおり。・ADHD女児は、そうでない女児と比較すると、各併存疾患を評価したDSM-IVの診断基準を満たす可能性が有意に高かった。・相対オッズは、内在的障害(不安:3.2×うつ病:4.2×)と相対し、外在的障害(ODD:5.6×、CD:9.4×)で高かった。・メタ回帰では、より若年、クリニック受診の女児において、複数の診断方法を用いた研究より不安に対するより大きなADHDのエフェクトサイズが明らかとなった。ODDは、診断提供情報に基づいて変化した。 著者らは「ADHD女児は、頻繁に外在的および内在的障害を併発している。今後の研究の優先順位を検討し、ADHD女児の併存精神疾患に対する介入の影響を考える必要がある」としている。関連医療ニュース 自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

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小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は

 小児や青年期に対する抗精神病薬の使用は増加しており、適応外での使用が懸念される。ノルウェー・Diakonhjemmet HospitalのRagnar Nesvag氏らは、国内の0~18歳の男女に処方された抗精神病薬について、使用薬剤と精神障害の診断に関して調査を行った。European neuropsychopharmacology誌2016年9月号の報告。 国民健康レジストリデータより、2010年の処方薬データおよび2008~12年の精神障害の診断データを用いて、抗精神病薬の使用率、使用薬剤、精神障害の診断、性別における診断カテゴリごとの使用薬剤を調査した。 主な結果は以下のとおり。・2010年のノルウェーの小児、青年期に対する抗精神病薬処方率は0.18%(男児:0.23%、女児:0.13%)であった。・男女ともに、リスペリドンが最も処方されていた(男児:57.4%、女児:32.3%)。2番目に多かった薬剤は、男児はアリピプラゾール(19.4%)、女児はクエチアピン(27.4%)であった。・主な精神障害の診断は、男児では、多動(49.9%)、自閉症スペクトラム障害(27.1%)、女児では、不安障害(41.5%)、うつ病(33.6%)であった。・統合失調症様精神障害の診断は、男児11.1%、女児18.2%であった。・リスペリドン処方男児の56.9%、アリピプラゾール処方男児の52.4%は、多動性障害と診断されていた。・クエチアピン処方女児の57.1%は不安障害、52.4%はうつ病と診断されていた。・抗精神病薬が処方されている小児および青年の主な診断は、非精神病性精神障害(男児では多動性障害、女児では不安障害やうつ病)であった。関連医療ニュース 小児への抗精神病薬使用で推奨される血糖検査、その実施率は 小児に対するLAI治療、その安全性は 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

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大人のADHD、自覚の次に必要なのは…

 少しずつではあるが、認識が広まりつつある大人のADHD(注意欠如・多動性障害)。8月5日、都内で日本イーライリリー株式会社がプレスセミナーを開催し、専門医によるADHDをめぐる診療の現状についての講演と、ADHD当事者およびその自覚のある著名人を招いたディスカッションを実施した。ディスカッションには、経済評論家の勝間 和代氏と書道家の武田 双雲氏が登壇。診断こそ受けてはいないものの、日常生活に関連してADHDとみられる特徴を自覚しているという両氏は、仲間のサポートの重要性を強調し、そのためには自身の自覚と共に、周囲への説明と理解を促す努力が不可欠であると訴えた。ADHDとASD、診断の難しさ依然 はじめに「Know Yourself, Know ADHD~成人期のADHDについて」と題して行われた講演では、岩波 明氏(昭和大学医学部精神医学講座 主任教授)が臨床の立場からADHDの概論と診断をテーマに話をした。この中で岩波氏は、ADHDの診断を難しくしている要因の1つとしてASD(自閉症スペクトラム障害)を挙げた。ASDは、広汎性発達障害(PDD)とほぼ同義であり、アスペルガー障害や自閉性障害なども含む。ADHDとASDは、いずれも発達障害の中の分類であるが、両者の症状として現れる特徴はかなり類似しており、臨床的に区別が難しいケースも多いという。岩波氏によると、ADHDの有病率はASDの実に5~10倍にも上るとみられるとのことだが、ADHDは投薬による症状改善の可能性が見込める点でASDと異なるため、両者の正確な診断は非常に重要である。「空気が読めない人」「変わり者」は特性か、症状か? さらに、発達障害をめぐる根強い誤解もADHDの診断を難しくさせている。小児期に症状が顕在化していなかったために確定診断を受けていなくても、成人期になって就職などの場面で社会不適応を自覚して受診した結果、ADHDであると診断されることも実際には少なくないという。 また、発達障害には知的障害を伴うという“思い込み”が鑑別の妨げになっているケースもあり、最近の受診者の多くは正常以上の知的能力を持つ人も少ないという。そのような傾向から、本来はADHDの症状であっても、疾患の発現ではなく単なる「特性」として済まされがちであることも、昨今のADHDをめぐる社会の実情であると岩波氏は述べた。「最も向いていない職業に就いてしまった」(勝間氏)「会社員時代の不適応、今の仕事ではすべてプラスに」(武田氏) 続いて行われたディスカッションでは、岩波氏を進行役に、NPO法人DDAC(発達障害をもつ大人の会)代表の広野 ゆい氏とNPO法人えじそんくらぶ代表の高山 恵子氏、前述の勝間氏と武田氏の5人が登壇し、ADHD当事者およびその特徴を自覚していることで日常的に困っていることや、その克服法などについて意見を交わした。 経済評論家としてメディアに頻繁に登場する勝間氏は、ADHDの症状の1つである「不注意」について強い自覚があり、日々のスケジュール管理や乗車券の管理などを自身だけでは一切行えないことを告白。19歳で公認会計士試験の2次試験に合格し、金融畑で輝かしいキャリアを積んだものの、本人曰く「ミスが許されない数字を扱うという、最も向いていない職業に就いてしまったという自覚があった」という。 一方、書道家として活躍する武田氏は、大学卒業後に通信会社の営業マンとして働いた後に書道家への転身を果たした異色の経歴。武田氏もまた、ADHDに特徴的な「衝動性」を強く自覚しており、営業マン時代はする事なす事に対し、徹底して叱られ否定される日々だったという。ところが、書道家としてクリエイティブの場に身を置いたことが大きな転機となり、「会社員時代の不適応が、同じ特性を持っていても、今の仕事ではすべてプラスに転化している」と語った。 両氏に共通しているのは、ADHD特有の「不注意」や「多動・衝動性」という特性を持ちながらも、彼らを強力にサポートしてくれる周囲の理解者の存在である。メディアで活躍する彼らには、公私共に支援者が多いため、ADHDに悩む一般の人と同様には考えられないだろう。しかし、支援者の協力や理解を得る前段にある「自身の特性を認め、自覚した」ことと、「困っていることを率直に周囲に打ち明け、理解を促す努力をした」という点については、大いに参考になりうるのではないだろうか。

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自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

 自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHDは、しばしば併存する神経発達障害である。社会的状況、適応機能、実行機能の処理が欠損しているため、いずれか単独の患者よりも併発している患者ではより重篤な障害がみられる。イタリア・メッシーナ大学のMarco Lamberti氏らは、ASDとADHDを併発する患者に対し、ADHD症状を治療するためのリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性、忍容性を評価し、比較することを目的とした24週間のオープンラベルパイロット試験を行った。Paediatric drugs誌2016年8月号の報告。 対象患者44例を、リスペリドン群22例、アリピプラゾール群22例に無作為に割り付け治療を開始した。小児の評価は、治療開始前(T0)、治療開始12週後(T1)、24週後(T2)に行った。各来院時に、2つの薬剤の有効性を評価するため、特定の精神科臨床スケールを実施した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、アリピプラゾール群8.4±2.9歳、リスペリドン群7.8±2.3歳であった。・合計37例(男児:29例、女児8例)が試験を完了した(アリピプラゾール群18例、リスペリドン群:19例)。・アリピプラゾールおよびリスペリドンの有効性、忍容性はわずかな違いはあるものの、同様のベネフィットが認められた。・両群ともに、治療24週間後のADHD症状に有意な改善が認められた(ADHD臨床尺度、Conners Parent Rating Scale-Hyperactivity、CGI-S)。・24週時点での各パラメータは、両群間で有意差は認められなかった。・プロラクチンレベルは、アリピプラゾール群で減少していた。・両群ともに、よい忍容性を示し、重篤な有害事象は認められなかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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