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肺葉切除の長期転帰、胸腔鏡下は開胸と同等/BMJ

 肺がん患者の肺葉切除術について、胸腔鏡下手術vs. 開胸手術の長期生存を検討した結果、全生存、がん特異的生存および無増悪生存のいずれも同等であったことが報告された。米国・ウェイル・コーネル・メディカル大学のSubroto Paul氏らが、肺葉切除術を受けた6,008例について傾向スコア適合分析を行い明らかにした。胸腔鏡下肺葉切除術は開胸肺葉切除術よりも、術後合併症が少ないことは知られている。しかし長期アウトカムへの影響については不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「胸腔鏡下手術は、肺葉切除後のアウトカムを損なうことがないようだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。傾向スコア適合分析で両群を比較 検討は、米国メディケアのデータベースであるSurveillance, Epidemiology and End Results(SEER)を用いた傾向スコア適合分析法にて行われた。同データベースから、2007~2009年にプライマリな非小細胞肺がんの初回診断を受け、その後1~6ヵ月の間に肺葉切除術を受けた65歳以上患者を適格とし解析に組み込んだ。 主要評価項目は、全生存、無増悪生存、がん特異的生存について、非侵襲的である胸腔鏡下手術の影響であった。3年の全生存、無増悪生存、がん特異的生存いずれも同等 対象期間中に2007~2009年に6,008例が肺葉切除を受けていた(うち開胸手術群は4,715例[78%])。全コホートの年齢中央値は74歳(範囲:70~78歳)、追跡期間中央値は40ヵ月であった。 傾向スコアで適合したコホート(胸腔鏡下手術群1,195例vs. 開胸手術群1,195例、追跡期間中央値36ヵ月)で分析を行った結果、3年の全生存(70.6%vs. 68.1%、p=0.55)、無増悪生存(86.2%vs. 85.4%、p=0.46)、がん特異的生存(92%vs. 89.5%、p=0.05)ともに、統計的な差は認められなかった。 なお、適合前の全コホートの分析(胸腔鏡下手術群1,293例vs. 開胸手術群4,715例)では、全生存(3年間について71.2%vs. 63.8%、p<0.001)、無増悪生存(同86.5%vs. 77.6%、p<0.001)、がん特異的生存(同92.1%vs. 84.7%、p<0.001)のいずれの割合も、胸腔鏡下手術群が有意に高率だった。

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ROS1陽性NSCLCへのクリゾチニブ、奏効率72%/NEJM

 ROS1遺伝子再構成陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の投与は、奏効率は72%、期間中央値は17.6ヵ月であった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏らが、患者50例について行った試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「クリゾチニブは、ROS1遺伝子再構成陽性NSCLCに対し、顕著な奏効を示した」とまとめている。また、本検討で新たに2種を含む7種のクリゾチニブが奏効する遺伝子サブグループが判明した。NEJM誌オンライン版2014年9月27日号掲載の報告より。クリゾチニブ250mgを1日2回投与 研究グループは、クリゾチニブの第I相臨床試験の拡大コホートとして、ROS1遺伝子再構成陽性進行NSCLC患者50例を対象に試験を行った。 被験者に対し、クリゾチニブ250mgを1日2回経口投与し、安全性や薬物動態、治療反応性などを調べた。 また、ROS1融合パートナー遺伝子について、次世代シークエンシングまたは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応分析法により特定した。無増悪生存期間の中央値は19ヵ月 その結果、客観的奏効率は72%(95%信頼区間:58~84%)で、完全奏効が3例、部分寛解が33例だった。 奏効期間の中央値は17.6ヵ月、無増悪生存期間の中央値は19.2ヵ月だった。なお25例(50%)の被験者については、無増悪期間の追跡が継続していた。 また、30の腫瘍について分析を行った結果、新たに見つかった2種を含む7種のROS1融合パートナーが特定された。 なお、ROS1遺伝子再構成のタイプとクリゾチニブへの臨床反応性との間に、関連性は見つからなかった。

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どうなる?今後の日本の小細胞肺がんの治療(解説:倉原 優 氏)-259

本論文は進展型小細胞肺がんのことをES-SCLCと記載してあるが、日本の慣習的な使用に合わせて、以下ED-SCLCと記載させていただく。 化学療法に奏効したED-SCLCに対する予防的全脳照射(PCI)については、2007年にEORTCの研究によって、1年以内の脳転移発症のリスクを減少させ、1年生存率を有意に改善させることが証明された1)。 ただ、日本において、プラチナ併用初回化学療法後に奏効した脳転移のないED-SCLCに対するPCIの効果が検証されている2)。1年後の転移性脳腫瘍の出現頻度は、有意に減少したものの、全生存期間に対して効果はみられず早期無効中止となったことは記憶に新しい。 そのため、脳転移がないED-SCLCへのPCIは現時点では日本において推奨されていない。日本の小細胞肺がんの治療は、化学療法のレジメンだけでなくPCIについても海外と差があるのかと思うと、臨床医としてはいささか動揺を隠せない。 さて、今回の論文は、PCIだけでなく胸部放射線療法を追加するというものである。化学療法が奏効した後、肺に残存する腫瘍に対して放射線治療が追加的な効果をもたらすのではないかと考えられたためだ。 筆頭著者は文献1)同様Slotman氏である。この報告によれば、PCIだけでなく胸部放射線療法の照射も効果的であるという、日本の肺がん治療と再び離れた方向に議論が一歩展開された。 将来的に、日本でこの治療法が有効かどうか追試を行うかもしれないが、小細胞がんは腺がんのように人種差が大きいがん種ではなく、分子標的薬の発展もないことから、願わくは各国で治療内容に大きな差が出ないほうがよいのではと感じている。

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肺がんPET、肺感染症流行地では不適/JAMA

 18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET検査による肺がんの診断は、肺感染症の流行を繰り返したり蔓延している地域(流行地)での使用は支持できないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのStephen A. Deppen氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。FDG-PETによる肺結節に対する診断精度は非常にばらついており、FDG-PET+CTによる悪性腫瘍の特定は、肺感染症流行地では同非流行地と比べて低いことが判明したという。FDG-PETは肺がん疑い症例への非侵襲的な診断手法として使用が推奨されているが、著者は、「今回のデータは、肺感染症流行地での使用は、診断精度が同程度にならない限り支持できないことを示すものであった」とまとめている。JAMA誌2014年9月24日号掲載の報告。肺がんFDG-PET検査成績の感度と特異度についてメタ解析 研究グループは、2000年10月1日~2014年4月28日にMEDLINE、EMBASE、Web of Scienceにて、FDG-PETによる肺がん診断の感度と特異度について十分な報告を行っている論文を検索。良性および悪性病変を有する患者が10例以上参加していた試験のみを選択した。 リサーチライブラリアンが適格論文を収集し、2名のレビュワーが個別にレビューを行った。階層サマリーROC曲線を作成し、ランダム効果ロジスティック回帰モデルを用いて、検査成績への肺感染症流行地の影響を評価。主要評価項目は、FDG-PET検査成績の感度と特異度とした。特異度、肺感染症流行地61%、非流行地77% 検索により論文1,923件が得られ、そのうち257件の適格性が評価された。結果、解析には70試験が組み込まれた。それらの報告では、計8,511例の結節が評価されており、うち5,105例(60%)が悪性であった。 解析の結果、感度(I2=87%)および特異度(I2=82%)はいずれも試験間のバラツキが大きかった。 そのうえで、プール解析による感度(補正前)は89%(95%信頼区間[CI]:86~91%)、同特異度は75%(同:71~79%)であった。 また特異度(補正後平均値)について、肺感染症流行地と非流行地を比べると、前者のほうが16ポイント低かった(61%vs. 77%)。特異度は、厳正に実施された試験、また適切な対照を置いた比較試験ほど低かった。 なお、感度は流行地の状況で変化がみられるということはなく、関連因子で補正後も変化しなかった。

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化療奏効の進展型SCLCへの胸部RTは有用/Lancet

 化学療法奏効の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対し、胸部放射線療法を行うと、1年生存率は変わらないものの、2年生存率は有意に増大することが判明した。また6ヵ月の無増悪生存を達成した割合も、胸部放射線療法を行った群で高率だった。オランダ・VU大学医療センターのBen J. Slotman氏らが、498例の患者について行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「化学療法が奏効したすべてのES-SCLC患者について、予防的全脳照射に加えて胸部放射線療法を考慮すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年9月14日号掲載の報告より。オランダなど4ヵ国、42ヵ所の医療機関を通じ498例を無作為化 試験は2009年2月18日~2012年12月21日にかけて、オランダ16ヵ所、英国22ヵ所、ノルウェー3ヵ所、ベルギー1ヵ所の4ヵ国42ヵ所の医療機関を通じ、WHO全身状態スコアで0~2のES-SCLC患者498例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に分け、一方には胸部放射線療法(分割照射30Gy/10回)を実施し、もう一方には実施しなかった(対照群)。なお被験者全員に対して、予防的全脳照射を行った。 主要エンドポイントは、1年生存率だった。副次エンドポイントは、無増悪生存などだった。追跡期間の中央値は、24ヵ月だった。2年生存率、胸部放射線療法群は13%に対し対照群は3% intention-to-treat解析に含まれたのは、インフォームド・コンセントの段階で除外した3例を除外した、胸部放射線療法群247例、対照群248例であった。 その結果、1年生存率は、胸部放射線療法群が33%(95%信頼区間[CI]:27~39%)、対照群が28%(同:22~34%)と、両群で有意差はなかった(ハザード比[HR]:0.84、同:0.69~1.01、p=0.066)。 しかし、2年生存率は、それぞれ13%(同:9~19%)と3%(同:2~8%)と、胸部放射線療法群で有意に高率だった(p=0.004)。また進行リスクも、対照群より胸部放射線療法群で有意に低下した(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87、p=0.001)。6ヵ月の無増悪生存の達成割合も、胸部放射線療法群が24%(同:19~30%)に対し、対照群は7%(同:4~11%)だった(p=0.001)。 安全性では、重度の毒性は認められず、グレード3以上の有害事象で共通してみられたのは、疲労感(11vs. 9例)、呼吸困難(3 vs. 4例)だった。

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がん疼痛緩和治療にステロイドがもたらすもの

 オピオイド治療中のがん患者で、その痛みに炎症が重要な役割を占めると考えられる場合、抗炎症効果を期待して、コルチコステロイドを用いることが多い。しかし、そのエビデンスは限られている。そこでノルウェー大学のOrnulf Paulsen氏らは、メチルプレドニゾロンの疼痛緩和効果の評価を行った。試験は、ステロイドの進行がん患者を対象とした疼痛緩和効果の評価としては初となる、多施設無作為二重盲検比較で行われた。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号の掲載報告。 対象は、中等度から重度の疼痛でオピオイド治療を受けている18歳以上、直近24時間の平均NRSスコア4点以上のがん患者。登録患者は、メチルプレドニゾロン32mg/日群(以下MP群)とプラセボ群(以下PL群)に無作為に割り付けられ、7日間治療を受けた。 主要評価項目は7日時点の平均疼痛強度(NRSスコア、範囲0~10)。副次的評価項目は鎮痛薬使用量(経口モルヒネ換算)、疲労感および食欲不振 、患者満足度である。 主な結果は以下のとおり。・592例がスクリーニングされ、そのうち50例が無作為に割り付けられ、47例が解析対象となった。・患者の平均年齢は64歳、Karnofsky スコアの平均は66であった。・主ながん種は前立腺がん、肺がん、胃・食道がん、婦人科がんであった。・ベースラインのオピオイド使用量(経口モルヒネ換算)は、MP群269.9mg、PL群は160.4mgと差があった。・7日時点の平均疼痛強度はMP群3.60、PL群3.68と両群間で差は認められなかった(p=0.88)。・ベースラインからのオピオイド使用量の変化はMP群1.19 、PL群 1.20と両群間に差はなかった(p=0.95)。・疲労感はMP群では17ポイント改善、PL群で3ポイント悪化と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・食欲不振はMP群で24ポイント減少、PL群では2ポイント増加 と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・患者の全体的な治療満足度はMP群5.4ポイント、 PL群2.0ポイントと、MP群で有意に良好であった(p=0. 001)。・有害事象は両群間に差は認められなかった。 当試験では、メチルプレドニゾロン32mg/日によるオピオイドへの疼痛緩和追加効果は認められなかった。しかしながら、コルチコステロイド治療を受けた患者は、臨床的に有意な疲労感軽減、食欲不振の改善が認められ、患者満足度も高かった。今回の試験は、両群患者のベースラインにおいて、とくにオピオイド使用量に違いがあり、サンプルサイズも小さいものであった。今後は長期的な試験で臨床的利点を検証すべきであろう。

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【GET!ザ・トレンド】糖尿病専門医からがんを診療する医師へのメッセージ

はじめに糖尿病に伴うがんリスクには、糖尿病治療薬も関与している可能性がある。本稿では、糖尿病治療薬に関するエビデンスとその解釈上の注意点、および日常診療に携わる医師への提言を述べる。糖尿病治療薬とがんリスク特定の糖尿病治療薬が、がん罹患リスクに影響を及ぼすか否かについての現時点でのエビデンスは限定的であり、治療法の選択に関しては、添付文書などに示されている使用上の注意に従ったうえで、良好な血糖コントロールによるベネフィットを優先した治療1)が望ましい。以下に、治療薬ごとにリスクを述べる。1)メトホルミン筆者らが行ったメタアナリシスでは、メトホルミン服用患者は非服用患者に比べてがんの発症リスクが0.67倍と有意に低下していた(図)2)。がん死リスクもほぼ同等であった。さらに臓器別には、大腸がん約30%、肺がん約30%、肝臓がんに関しては約80%と有意な低下を認めた。ただし、糖尿病で有意に増加するといわれている膵臓がんなどにおいては、リスク比の変化は有意ではなかった。図を拡大するメトホルミンは、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を介して主に肝臓に作用して、血糖降下を発揮する。最近判明してきたことだが、このAMPKという物質は、下流にあるmTORというがん関連因子を抑制することで発がんを抑えるのではないか、という研究が進んでいる。実際に日本人の非糖尿病を対象としたランダム化比較試験(RCT)においても、メトホルミン投与群では非投与群に比べて、大腸がんの内視鏡的マーカーの有意な低下を認めた。ただし、短期間の研究なので、長期的な予後までは判明していない。まだまだ研究段階ではあるが、このようにメトホルミンは、がんの発症を抑える可能性があるということで着目されている。ただし、観察研究が主体なのでバイアスに留意すべきである。 筆者らのメタアナリシスに含まれているRCTや、時間関連バイアス調整後の観察研究3)やRCT(短期間も含む)のみの他のメタアナリシス4)では、結果はニュートラルであった。2)インスリン/スルホニル尿素(SU)薬/グリニド薬理論上は、高インスリン血症によりがんリスクが高まることが懸念される。3~4年ほど前、インスリン投与により乳がんのリスクが有意に増加するという報告が続いた。しかし、これらの報告は研究デザイン上の問題やバイアスが大きく、妥当性は低い(表1)。実際、その後行われた1万2千人余りのランダム化研究などの分析によると、インスリン投与群とインスリン非投与群では、がん全般の発症率およびがんによる死亡リスクともに有意な増減を認めておらず、現時点ではインスリンによるがんリスクの上昇の可能性はほぼ否定されている。表1を拡大する血中インスリン濃度を高めるSU薬も、メタアナリシスでまったくのリスク増減を認めていない。また、グリニド薬に関しては、アジア人の報告ではがん全般リスクはやや上昇するという報告があったが、こちらの疫学研究は非常にバイアスの強い報告なので、まだまだデータとしては限定的である。3)ピオグリタゾン膀胱がんのリスクが上昇するというニュースで、近年話題となった。アメリカの報告では、がん全般としては有意な増減を認めていない。ただし、日本、アメリカ、ヨーロッパの報告を見ると、ピオグリタゾンにより膀胱がんリスクが1.4~2倍あまりも有意に上昇する可能性が示唆されている。実際、フランス・ドイツでは処方禁止、インドでは第1選択薬としての処方は禁止となっている。まだまだ研究段階で最終的な結論は出ていないが、このような現状を踏まえ、添付文書の注意書き(表2)に従ったうえで投与することが必要である。表2を拡大する4)α-グルコシダーゼ阻害薬アメリカの副作用登録では、膀胱がんのリスクが有意に増加するということが報告されている。しかし、台湾の疫学研究では、膀胱がんの有意なリスク増減は認めていない。いずれも非常に限定的でバイアスの強いデータであり、まだまだ最終結論は出ていない。5)DPP-4阻害薬/GLP-1アナログDPP-4阻害薬のメタアナリシスでは、がんリスクの有意な増減はまったく認めていない5)。ただし、含まれている研究は非常に追跡期間の短いものばかりなので、臨床的にあまり価値がないエビデンスである。その後発表されたRCT 2件では有意なリスクの増加を認めていないので、がんのリスクに対する安全性も比較的確保されたものと思われる。6)SGLT2阻害薬今年、わが国でも承認されたこの薬物は、腎臓でのブドウ糖吸収を抑制することで血糖値を下げ、さらに体重も低下する報告がある。まだまだ新薬として登場して間もないものでデータも非常に限定的であるため、長期的なリスクは未知数である。糖尿病患者のがん検診糖尿病ではがんのリスクが高まる可能性が示唆されているため、日常診療において糖尿病患者に対しては、性別・年齢に応じて臨床的に有効ながん検診(表3)を受診するよう推奨し、「一病息災」を目指すことが重要である。がん検診は、がん発見が正確で確実であること、受診率が高いこと、受診の結果予後が改善することを満たして初めて有効性を持つ。日本のがん検診の多くは有効性が実証されておらず、過剰診断と過剰治療によるリスクも小さくはないことに留意する。さらに、無症状でも急激に血糖コントロールが悪化した場合には、がんが潜在している可能性があるため、がん精査を考慮する必要がある。表3を拡大する文献1)国立国際医療研究センター病院.糖尿病標準診療マニュアル(一般診療所・クリニック向け).http://ncgm-dm.jp/center/diabetes_treatment_manual.pdf(参照 2014.8.22)2)Noto H, et al. PLoS One. 2012; 7: e33411.3)Suissa S, et al. Diabetes Care. 2012; 35: 2665-2673.4)Stevens RJ, et al. Diabetologia. 2012; 55: 2593-2603.5)Monami M, et al. Curr Med Res Opin. 2011; 27: 57-64.6)厚生労働省. がん検診について. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_kenshin01.pdf(参照2014.8.22)

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喫煙は高血圧・血管疾患のリスク

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド喫煙に伴う血圧の変化喫煙者 は喫煙収縮期血圧(mmHg)偽喫煙140130高血圧予備軍!1201101001本目メモ2本目3本目4本目喫煙習慣を有する健常者10例が一晩禁煙後、翌朝15分間隔で4本のタバコを吸った際の血圧の変化Groppelli A, et al. J Hypertens. 1992; 10: 495-499.喫煙時間が長いほど、血圧が高い時間帯が長くなります。それだけ血管への負担は大きくなり、動脈硬化などの血管病になるリスクが増します。タバコは、肺がんや食道がんだけでなく、血管病にも悪影響を及ぼします。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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EGFR-TKIで脳転移の放射線治療を温存

 非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移については、一般的に放射線治療が行われているが、EGFR-TKIの登場により変化が起こりそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、千葉県立がんセンターの井内 俊彦氏は「EGFR-TKI時代の非小細胞肺癌脳転移治療~非照射TKI単独治療の効果と安全性」と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。 NSCLCの脳転移については、手術療法、放射線療法、薬物療法といった幅広い治療が行われる。なかでも、定位照射・全脳照射といった放射線療法は、EGFR変異の有無にかかわらず標準的に行われている。だが、転移性脳腫瘍に対する全脳照射の認知機能障害に対するコンセンサスは得られていない。それにもかかわらず、放射線療法が選択される理由の1つは、薬剤への期待度が低いことである。 しかし、全脳照射の後にEGFR-TKIを投与することで転移巣が縮小する症例に遭遇することがあり、臨床データの報告もある。くわえて、EGFR変異陽性例では脳転移との関連性が高い。井内氏らの施設におけるNSCLC 1,100例以上の統計では、EGFR変異陽性例の脳転移頻度は31%で野生型より有意に多く、かつ脳転移例の44%がEGFR変異陽性であった。こうした背景から、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKIの効果が期待される。 井内氏らは、EGFR-TKIでコントロールすることで放射線治療の開始を遅らせ、認知機能障害の危険性を低くすることができるのでは、という仮説のもと、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKI単独治療の有効性と安全性を評価した。評価項目は、EGFR-TKI奏効率、放射線治療を回避できた期間(脳転移診断から放射線治療までの期間)、頭蓋内制御期間(脳転移診断後のPFS)、脳転移診断後の生存期間とした。 対象は自施設のEGFR変異陽性非小細胞肺がん77例。初回治療でゲフィチニブを投与し、頭蓋内・外再発後はエルロチニブに変更。ゲフィチニブ投与後の脳転移例では、初回からエルロチニブを投与。以上の治療で病変が進行した際、放射線治療を行うというプロトコルとした。 結果、EGFR変異例は、Ex19delが62%、L858Rが32%、その他は少数であった。 ゲフィチニブ一次治療症例は66例、エルロチニブ一次治療は11例。ゲフィチニブ一次治療例のうち32例はエルロチニブの二次治療を行っている。 ゲフィチニブの奏効率(RR)は78%、病勢コントロール率95%、頭蓋内制御期間の中央値は11.9ヵ月ときわめて良好であった。エルロチニブの奏効率は71%、病勢コントロール率は93%、頭蓋内制御期間は5.0ヵ月であった。 放射線治療を回避できた期間は、中央値で16.7ヵ月。77例中、43%の症例で生涯にわたり放射線治療を必要としなかった。 脳転移診断時からの生存期間中央値は20.9ヵ月であった。 有害事象についてはグレード4のものは認められなかった。中枢神経系関連の有害事象も認められず、脳転移があっても安全にEGFR-TKIが投与できると考えられた。 今回の結果から、NSCLC脳転移に対するEGFR-TKIの有効性が示唆される。今後、さらなる試験で確認する必要はあるが、NSCLCの脳転移例に対するEGFR-TKIの選択に1つの可能性を提示したといえそうだ。

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肥満で10がん腫の発症増加/Lancet

 過体重や肥満は、子宮体がんや胆嚢がんなど10のがん種の発症増加に寄与していることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らの検討で示された。前立腺がんと閉経前乳がんは肥満者では少ないこともわかった。BMIが高いと特定のがんに罹患しやすくなることが、いくつかのコホート試験やメタ解析で示されている。しかし、がんのリスクパターンの特性を、可能性のある交絡因子を補正したうえで、大規模かつ詳細に検討した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2014年8月14日号掲載の報告。約524万人のプライマリ・ケア患者データを解析 研究グループは、BMIと頻度の高い22のがん種の関連を評価する地域住民ベースの前向きコホート試験を実施した。解析には、英国のプライマリ・ケアの診療記録が登録されたClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを使用した。線形および非線形モデルを用い、がんの発症に及ぼす性別、閉経状態、喫煙、年齢の影響を考慮した検討を行った。 524万3,978人が解析の対象となった。このうちBMI<18.5が16万5,530人、18.5~25が257万1,573人、≧25が250万6,875人だった。全体の年齢中央値は37.9歳、女性が54.6%であり、喫煙者は35.5%、軽度飲酒者は57.2%、中等度飲酒者は10.2%、重度飲酒者は2.6%で、糖尿病既往歴ありは3.6%であった。 16万6,955人が、対象となったがんを発症した。BMIは22種のがんのうち17種と有意な関連を示したが、影響の程度はがん種によってばらつきがみられた。BMI 1上昇でがん患者が年間3,790人増加 BMIが5増加するごとに発症率が有意に上昇したがん種は、子宮体がん(ハザード比[HR]:1.62、99%信頼区間[CI]:1.56~1.69、p<0.0001)、胆嚢がん(1.31、1.12~1.52、p<0.0001)、腎がん(1.25、1.17~1.33、p<0.0001)、子宮頸がん(1.10、1.03~1.17、p=0.00035)、甲状腺がん(1.09、1.00~1.19、p=0.0088)、白血病(1.09、1.05~1.13、p≦0.0001)であった。 BMIは、全体として肝がん(HR:1.19、99%CI:1.12~1.27)、結腸がん(1.10、1.07~1.13)、卵巣がん(1.09、1.04~1.14)、閉経後乳がん(1.05、1.03~1.07)の発症と正の相関を示した(p<0.0001)が、これらの関連にはBMIや他の背景因子の程度でばらつきが認められた。 BMIと前立腺がん、閉経前乳がんのリスクは全体(それぞれ、HR:0.98、99%CI:0.95~1.00、0.89、0.86~0.92)および生涯非喫煙者(それぞれ、0.96、0.93~0.99、0.89、0.85~0.94)の双方で逆相関を示した。これに対し、BMIと肺がん、口腔がんのリスクには生涯非喫煙者では関連はなかったものの(それぞれ、0.99、0.93~1.05、1.07、0.91~1.26)、いずれのがんも喫煙者と元喫煙者では逆相関の関係が認められ、交絡因子としての喫煙の影響が推察された。 一方、BMIと正相関する10のがん種に占める過体重や肥満に起因するがんの割合は、子宮体がんが40.8%、胆嚢がんが20.3%、腎がんが16.6%、肝がんが15.6%、結腸がんが11.1%、子宮頸がんが7.5%、卵巣がんが7.3%、白血病が6.3%、閉経後乳がんが5.1%、甲状腺がんは1.9%であった。 また、英国の一般人口では、BMIの1の上昇により、上記のBMIと正相関する10のがん種のうち1つを発症する患者が年間3,790人増加すると推定された。 著者は、「一般人口レベルでBMIは実質的にがんのリスクと関連することがわかった」とし、「BMIが正常範囲内であっても、高めであればリスクが増大するがんもある。また、英国ではこの12年間にBMIがほぼ1上昇しており、この傾向に歯止めをかける戦略を検討すべき」と指摘している。

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13種類のがんを1回の採血で診断―次世代のがん診断システム開発プロジェクト始動

 8月18日(月)、独立行政法人国立がん研究センター(東京都中央区)は、血液から乳がんや大腸がんなど13種類のがんを診断するシステムの開発を始めると発表した。 これは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、国立がん研究センター(以下、NCC)、東レ株式会社(以下、東レ)およびアカデミア、企業など他の7機関とともに、健康診断などで簡便にがんや認知症を検査できる世界最先端の診断機器・検査システムの開発を行うプロジェクトの一環である。計画では、患者への負担が小さく、より早期に一度にさまざまながんを診断できる技術の開発を支援することを目的としている。 血液検査によるがんの早期発見では、胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、肉腫、神経膠腫の13種をターゲットにしている。 具体的には、NCCに蓄積された膨大な臨床情報とバイオバンクの検体、マイクロRNA腫瘍マーカーについての研究成果を基盤とし、東レが開発した高感度DNAチップと、東レとNCCが共同開発した血液中に存在するマイクロRNAバイオマーカーの革新的な探索方法を活用して、体液中のマイクロRNAの発現状態についてのデータベースを構築、網羅的に解析するというもの。 この測定技術により、がんや認知症の早期発見マーカーを見出し、これらのマーカーを検出するバイオツールを世界に先駆け実用化することを目指すとしている。詳細はプレスリリースへ

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早期肺がん、肺葉切除か区域切除か

 肺葉切除と縮小手術を比較したLung Cancer Study Groupの試験結果などから、現在の肺がんの標準術式は肺葉手術となっている。しかし、近年の後ろ向き観察試験では、区域切除の予後成績が、肺葉切除に近づいてきたとの報告もある。 この試験では、傾向スコアマッチング法によって、ステージI非小細胞肺がんにおける、この2つの切除手技の予後を比較している。米国・ピッツバーグ大学のRodney J Landreneau氏らによる研究。Journal of clinical oncology誌 オンライン版 2014年6月30日の掲載報告。 ピッツバーグ大学の肺がんデータベースから、後ろ向きに区域切除または肺葉切除を実施したステージI非小細胞肺がん患者、それぞれ392例と800例を解析し、術前の患者の交絡因子を組み入れた傾向スコアマッチングアルゴリズムを用いて、傾向スコアの対応した肺区域切除実施例と肺葉切除実施例を各312例特定した。主要評価項目は、無再発率と全生存率。生存期間に影響する因子は、cox回帰分析とカプランマイヤー推定法で評価した。 主な結果は以下のとおり。・周術期死亡率(30日)は、区域切除群1.2%、肺葉切除群2.5%(p=0.38)であった。・同(90日)は、区域切除群2.6%、肺葉切除群4.8%(p=0.20)であった。・観察期間中央値5.4年における局所再発率は、区域切除群5.5%、肺葉切除群5.1%(p=1.00)であった。・同期間における遠隔再発率は、区域切除群14.8%、肺葉切除群11.6%(p=0.29)であった。・5年無再発率は、区域切除群70%、肺葉切除群71%(p=0.467)であった。・5年生存率は、区域切除群54%、肺葉切除群60%(p=0.258)であった。・肺区域切除は、独立した再発因子にはならなかった(HR=1.11, 95%CI: 0.87~1.40)。また、独立した生存期間の影響因子にもならなかった(HR=1.17, 95%CI: 0.89~1.52)。 この傾向スコアマッチング法による比較では、肺葉切除は肺区域切除に比べ、統計学的に有意な無再発率と生存率の増加を示すことはなかった。区域が限定された末梢の小さな腫瘍における、肺区域切除の可能性を示唆するものであった。この結果を踏まえ、今後は前向き無作為化比較試験による検証が必要であろう。

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日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。TAS-102 日本で開発されたTAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)が今年3月に承認され、現在は日本でのみ販売されている。 本剤の国際共同第III相試験(RECOURSE試験)は、標準治療に不応・不耐の治癒切除不能進行・再発大腸がん800例を対象に、プラセボを対照として実施された。その結果、生存期間中央値はプラセボ群5.3ヵ月に対しTAS-102群で7.1ヵ月と延長し、全生存のハザード比は0.68(p<0.0001)であった。副作用は、骨髄抑制が比較的強いが、吉野氏によると発熱性好中球減少に注意すれば使いやすい薬剤という。TAS-102と他の薬剤との併用 実験モデルでは、TAS-102とイリノテカンとの併用で最も強い抗腫瘍効果が認められたが、イリノテカンの薬物強度が低く、さらなる検討が必要である。現在米国で投与スケジュールを変更した臨床試験が進行中である。 ベバシズマブとの併用レジメンの有用性を検討する多施設第Ib/II相試験(C-TASK FORSE)が、医師主導治験として吉野氏を中心に今年2月から実施されており、来年のASCOで最初の報告を予定している。nintedanib nintedanibは、VEGFR1-3、FGFR1-3、PDGFRα/β、RETをターゲットとする低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、現在、非小細胞肺がん、腎がん、肝がん、卵巣がんなどに対しても臨床試験が行われている。大腸がんにおいては、標準治療不応症例に対するプラセボとの比較試験(LUME Colon 1 Trial)が近々開始予定とのことである。BRAF阻害薬 大腸がんにおけるBRAF遺伝子変異陽性の割合は少ないものの非常に予後が悪い。BRAF遺伝子変異陽性大腸がんに対する治療としては、FOLFOXIRI単独またはFOLFOXIRIとベバシズマブの併用が有効であるが、副作用が強く全身状態(PS)が悪い場合は投与できない。 開発中のBRAF阻害薬のうち、悪性黒色腫に有効なvemurafenib(申請中)は、単独ではBRAF遺伝子変異陽性大腸がんに対する効果は小さく、現在、セツキシマブとイリノテカンとの併用で検討されている。また、encorafenib、dabrafenibにおいても、抗EGFR抗体(セツキシマブ、パニツムマブ)との併用や、さらにPI3Kα阻害薬、MEK阻害薬も併用するレジメンでの第II相試験が進行している。 最後に吉野氏は、自らが代表を務める多施設共同研究(GI screen 2013-01)における進捗状況を紹介した。本研究は、今後の新薬開発に役立てるため、日本人の切除不能大腸がん症例におけるKRAS、BRAF、NRAS、PIK3CAの遺伝子変異割合を検討することを目的に今年2月に開始。来年3月までに1,000例の登録を目標としているが、7月14日時点で313例に達していると報告した。

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肺がんに分子標的薬の同時併用? 臨床腫瘍学会2014

 非小細胞肺がんの化学療法未治療例に対し、EGFR-TKIと抗VEGF抗体の併用がPFSを延長する可能性が、第二相試験の結果から示された。2014年7月17日~19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会において、国立がん研究センター東病院 後藤功一氏が、再発非小細胞肺がんの一次治療におけるエルロチニブとベバシズマブの併用療法の試験結果を発表した。 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR-TKIの有効性は既に証明されているものの、EGFR-TKIを単独で用いるか併用するか、併用するならどの薬剤を用いるか、などは未だ明らかになっていない。前臨床試験では、EFGRとVGEFRの同時阻害による抗腫瘍活性の相乗効果が示唆されている。臨床試験では、第三相試験であるBeTa Lung studyで、EGFR変異陽性NSCLCの二次治療において、エルロチニブとベバシズマブの併用が、エルロチニブ単独に比べ、OSを延長する可能性を示唆している。そこで今回は、一次治療における同薬剤の併用療法を評価する、オープンラベル第二相無作為比較試験を行った。 対象患者は、化学療法未実施のステージIIIB~IVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)。2011年2月から2012年3月まで、30施設で154例の患者が登録され、エルロチニブ+ベバシズマブ群77例、エルロチニブ群77例に無作為に割り付けられた。エルロチニブの用量は150mg/日、ベバシズマブの用量は15mg/kg。3週毎にPDとなるまで投与された。 主要エンドポイントはPFS。副次的エンドポイントはOS、奏効率、安全性、QOLである。統計的な優越性の検出をHR0.7に設定し、サンプルサイズは150とした。主要エンドポイントであるPFS中央値は、・エルロチニブ+ベバシズマブ群16.0ヵ月、エルロチニブ群の9.7ヵ月と、併用群で有意なPFSの延長を認めた(HR=0.54 95%CI:0.36~0.79、P=0.0015)。副次的エンドポイントについて奏効率は、・エルロチニブ+ベバシズマブ群69%、エルロチニブ群63%と同等であったが、病勢コントロール率は、エルロチニブ+ベバシズマブ群99%、エルロチニブ群88%と併用群で有意に高かった。・奏効期間の中央値は、エルロチニブ+ベバシズマブ群13.3ヵ月、エルロチニブ群9.3ヵ月と有意に併用群で長かった。安全性については、・有害事象による治療中断は両群で同程度であった。・両群に共有する主な有害事象は、皮疹、高血圧、タンパク尿、肝機能障害であり、高血圧とタンパク尿については、併用群で有意に多かった。・グレード3の間質性肺炎は、エルロチニブ群に3例認められた。・ベバシズマブの主な投与中止理由はタンパク尿と出血イベント。中断時期の中央値はそれぞれ、329日と128日で、出血イベントについては比較的早期に発現していた。 ちなみに、OSは中央値に達していない。 エルロチニブ+ベバシズマブ群はエルロチニブ群に比較して有意にPFSを延長し、新たな有害事象を認めることはなく、毒性に関しても従来の試験と同等であった。

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高齢者のがん診療、その実態は…

 がん患者は多くが高齢であるが、がん治療のエビデンスは、ほとんどが非高齢者を対象としたデータであり、高齢者のがん診療については大いに検討の余地がある。 2014年7月17日〜19日、福岡市で開催された日本臨床腫瘍学会において、国立がん研究センターがん対策情報センター東尚弘氏が「がん診療パターンの高齢患者・若年患者の間での相違の現状」と題し、本邦において高齢者の受けているがん診療の実態をデータとともに紹介した。 東氏は、厚生労働省の人口動態統計をもとに、一般高齢者の健康状態3段階(上位25%層、平均層、下位25%層)に分けて、年齢別に余命を分析した。 その結果、同じ年齢でも健康状態により大きな違いがあり、70歳時では上位25%の方は下位25%の方に比べ、2倍程度の余命が長いことが分かった。治療を選択する際は、単に年齢だけではなく、目の前の患者さんがどのくらい生きるのかを考慮することが非常に重要だといえる。 また、2011年の全国のがん診療連携拠点病院の院内がん登録とDPCのリンクデータから、168施設での5大がんの標準診療の実施率を年齢別に分析している。 その結果、手術および化学療法については、年齢が上がるにつれて標準療法の実施率が下がる傾向にあることを、非小細胞肺がん、大腸がんのデータを基に紹介した。また、高催吐性化学療法時の予防的制吐剤投与、外来オピオイド鎮痛薬開始時の下剤処方など支持療法の標準診療実施率も年齢と共に下がっていた。 さらに、全国395施設の5大がんの院内がん登録のデータを用い、施設別に75歳以上の患者さんの割合を分析している。 中央値は33%であった。施設間のばらつきは大きく、最も割合の低い施設では13%であるのに対し、最も高い施設では60%と、4倍以上の差があった。施設区分でみると、がん専門施設および大学病院での割合は相対的に低く、それ以外の施設、即ちがん非専門施設において割合が高かった。

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肺がん二次治療のマイルストーンになる試験かもしれない(解説:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(222)より-

肺がん領域における抗体医薬品といえば、セツキシマブやベバシズマブを思い浮かべる方も多いだろう(ただし現在セツキシマブは日本の肺がん診療で用いられていない)。 さて、このラムシルマブという抗がん剤も抗体医薬品である。ラムシルマブは胃がんの世界ではよく知られている。というのも、胃がんの2次治療において単剤使用(REGARD試験)1)あるいはパクリタキセルとの併用(RAINBOW試験)2)にて全生存期間を有意に延長することがすでに示されているからである。 では、肺がんの2次治療ではどうだろうかと検証したものがこのREVEL試験である。実臨床における肺がんの2次治療では、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬を除くとドセタキセルやペメトレキセドといった薬剤を使用することが多い。ラムシルマブを使用することでその上乗せ効果が期待されるというのである。この研究デザインの特筆すべき点は、扁平上皮がん・非扁平上皮がんの両方を含んでいることである。ベバシズマブのように扁平上皮がんの患者は除外されていないのである。 REVEL試験の結果、肺がんの治療効果に関わる指標のいずれもがラムシルマブ併用群で有意に良好であったという結果が得られた。全生存期間のインパクトは決して強いとはいえないハザード比ではあるものの、ベバシズマブとは異なり扁平上皮がんに対しても効果が認められていることから、肺がん診療における臨床的意義は極めて大きいと考える。また、全生存期間の延長だけでなく忍容性も高かったことは注目に値する。 過去のセツキシマブにおけるFLEX試験3)で有意な結果が得られたものの、その後承認には至っていないことを考えると、同じ抗体医薬品であるラムシルマブも肺がんの治療選択肢としてすぐに用いられるようになるかどうかは現時点では不明である。ただ、QOLを低下させることなく生存期間を伸ばすことができる薬剤の登場は、固形がんの診療において望ましいことである。将来的にベバシズマブとラムシルマブのどちらを使うかという命題が出てくる可能性があるほど、個人的に期待したい薬剤である。

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【JSMO見どころまとめ(1)】トランスレーショナルリサーチ

 2014年7月17日(木)から3日間にわたり、福岡国際会議場ほかにて、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、先月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)による講演「トランスレーショナルリサーチ」について簡潔にまとめる。【まとめ】・近年、非小細胞肺がんにおいてEGFR遺伝子をはじめ、さまざまなドライバー遺伝子が同定されているが、EGFR遺伝子変異を除く多くのドライバー遺伝子の頻度は5%未満であり、これら希少肺がんに対する治療薬開発は困難となっている。・トランスレーショナルリサーチとは、新薬を開発し、臨床での試用経験から、その有効性・安全性を確認して日常診療へ応用していくまでの一連の研究過程をいい、橋渡し研究ともいう。・日本は、トランスレーショナルリサーチが遅く、弱点となっている。これは、研究機関だけの問題ではなく、産官学が一体となって取り組んでいく必要がある。・後藤氏らは、厚生労働科学研究費を基に、わが国初となる全国規模の遺伝子診断ネットワーク(LC-SCRUM-Japan)を組織し、2013年2月より希少肺がんの遺伝子スクリーニングを開始している。 本学術集会では、LC-SCRUM-Japanの詳細情報や、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)との合同シンポジウムを通し、日本と欧州における肺がんを中心としたトランスレーショナルリサーチの現状について議論していく。〈 トランスレーショナルリサーチに関する注目演題 〉・ESMO/JSMO Joint Symposium テーマ:“Translational Research” 日時:2014年7月17日(木)13:20~15:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)・日本臨床腫瘍学会/ 日本がん分子標的治療学会/ 抗悪性腫瘍フォーラム/ 日本製薬医学会合同シンポジウム2 テーマ:“創薬における必要な橋渡し研究” 日時:2014年7月17日(木)15:20~17:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)【第12回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2014年7月17日(木)~19日(土)■会場:福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センター■会長:田村 和夫氏(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)■テーマ:包括的にがん医療を考える~橋渡し研究、がん薬物療法からサバイバーシップまで~第12回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページ

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Stage IV非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有用性/Lancet

 ラムシルマブ(国内未承認)+ドセタキセル併用療法は、Stage IV非小細胞肺がん(NSCLC)の2次治療において生存期間を有意に延長し、ラムシルマブ追加によるQOLの増悪も認めないことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward B Garon氏らが行ったREVEL試験で示された。ラムシルマブは、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-2の細胞外ドメインを標的とするヒトIgG1モノクローナル抗体で、すべてのVEGFリガンドの結合と受容体の活性化を阻害する。本薬剤は、進行胃がんの2次治療に関する2つの第III相試験で、単剤またはパクリタキセルとの併用で生存期間を有意に改善することが示されている。Lancet誌オンライン版2014年6月2日号掲載の報告。ラムシルマブ上乗せの有用性を無作為化試験で評価 REVEL試験は、Stage IV NSCLCに対する2次治療としてのラムシルマブ+ドセタキセル療法の有用性を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、プラチナ製剤ベースの化学療法による1次治療中または終了後に病勢が進行した扁平上皮がんまたは非扁平上皮がん患者であった。 患者は、性別、地域、全身状態(PS)、前維持療法の有無で層別化され、1サイクル(21日)の第1日にラムシルマブ(10mg/kg)+ドセタキセル(75mg/m2)を投与する群またはプラセボ+ドセタキセル(75mg/m2)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は、病勢進行、許容されない有害事象、患者の希望による治療中止、死亡のいずれかのイベントが起きるまで継続された。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)とし、有害事象、QOLの評価も行った。2次治療でとくに重要となる上乗せに伴う総QOLの増悪はなかった 2010年12月3日~2013年1月24日までに、6ヵ国26施設から1,253例が登録され、ラムシルマブ群に628例(年齢中央値62歳、男性67%)、プラセボ群には625例(61歳、66%)が割り付けられた。東アジア人(韓国、台湾)が各群に7%ずつ含まれた。データのカットオフ日(2013年12月20日)までに884例が死亡した(打ち切り率は29%)。 OS中央値は、ラムシルマブ群が10.5ヵ月であり、プラセボ群の9.1ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.75~0.98、p=0.023)。また、PFS中央値はラムシルマブ群が4.5ヵ月、プラセボ群は3.0ヵ月で、やはり有意差を認めた(0.76、0.68~0.86、p<0.0001)。 担当医判定によるORR(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])は、ラムシルマブ群が23%と、プラセボ群の14%よりも有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.89、95%CI:1.41~2.54、p<0.0001)。また、病勢コントロール率(DCR、CR+PR+安定[SD])は、それぞれ64%、53%であり、有意差を認めた(1.60、1.28~2.01、p<0.0001)。扁平上皮がんと非扁平上皮がんのORR、DCRは全体の成績と同等であった。 治療関連有害事象は、ラムシルマブ群の98%(613/627例)、プラセボ群の95%(594/618例)に発現した。最も高頻度に認められたGrade 3以上の有害事象は、好中球減少(ラムシルマブ群:49%、プラセボ群:40%)、発熱性好中球減少(16%、10%)、疲労感(14%、10%)、白血球減少(14%、12%)、高血圧(6%、2%)であった。 治療関連有害事象による死亡(5%[31例]、6%[35例])およびGrade 3以上の肺出血(1%[8例]、1%[8例])の頻度は両群間に差はなかった。毒性は適切な減量や支持療法で管理可能であった。 著者は、「ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法は、Stage IV NSCLC患者の2次治療において生存期間を改善した」とまとめ、「プラチナ製剤ベースの1次治療が無効であった進行NSCLC患者の2次治療におけるVEGFRを標的とする治療法の有用性を示すエビデンスが得られた。また、新規のがん治療法のリスク・ベネフィット評価では、とくに2次治療においては緩和的効果をも考慮する必要があるため、QOL評価が重要となるが、ラムシルマブを追加しても、患者の自己申告による総QOLの増悪は認めなかった」と考察している。

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タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究

 欧州の集団では、いくつかの研究でタバコの煙の吸入が肺がんリスクの増加と関連していることが示されている。愛知県がんセンター研究所の福本 紘一氏らは、日本の集団におけるタバコの煙の吸入と肺がんリスクとの関係を明らかにするために、大規模な症例対照研究を実施した。その結果、日本の集団においても、累積喫煙量にかかわらず、タバコの煙を吸い込むことが肺がんリスクであることが示唆された。European Journal of Cancer Prevention誌オンライン版2014年6月6日号に掲載。 組織学的に確認され新たに肺がんと診断された患者を症例群(n=653)とし、対照群(n=1,281)には病院対照(n=453)と地域対照(n=828)を含めた。オッズ比と95%信頼区間(CI)は、年齢、性別、飲酒状況、果物や野菜の摂取量、肺がんの家族歴、職業、教育年数などの基本的な交絡変数を調整し、無条件ロジスティック回帰分析を用いて推計した。 主な結果は以下のとおり。・基本的な交絡因子を調整したオッズ比は、非喫煙者に比べ、タバコの煙を吸い込まない喫煙経験者で1.72(95%CI:1.15~2.59)、タバコの煙を吸い込む喫煙経験者で3.28(95%CI:2.38~4.53)であった。・喫煙経験者に限定すると、基本的な交絡因子と肺がんリスクの累積喫煙量(pack-year)を調整したオッズ比は、煙を吸い込む群が吸い込まない群に比べ1.52(95%CI:1.06~2.18、p=0.021)であった。・腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、および他の組織型でのサブグループ解析においても、統計学的に有意ではなかったが、同様のパターンが認められた。

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喫煙者では血清尿酸値が低いと肺がんになりやすい?

 血清尿酸値が低い喫煙群ではCOPDと肺がんの有病率が高かったことが英国Research Department of Primary Care and Population HealthのLaura J Horsfall氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2014年6月5日の掲載報告。 人間の血清中で抗酸化作用のある分子で最も数の多いものは尿酸である。今回、血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に関係があるのか、さらに喫煙状況による影響の変化も含めて調査した。 2000年1月1日~2012年12月31日の間に血清尿酸値が測定されていたコホートを「The Health Improvement Network(THIN)英国プライマリ・ケア・データベース」より抽出した。新たにCOPDと肺がんを診断する場合は診療記録の診断コードで確認した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の対象人数は100万2,496人年であり、そのうちCOPDは3,901例、肺がんは1,015例であった。・多変量解析の結果、喫煙群において血清尿酸値と呼吸器疾患の有病率との間に強い負の相関が認められたが(p<0.001)、非喫煙群や過去に喫煙歴のあった群(現在は非喫煙)では、その関係が認められなかった。・1日に20本以上喫煙する群における肺がんで最も強い負の相関が認められ、血清尿酸値が100~250 µmol/Lの群では1万例あたり97例だったのに対し(95%CI:68~126)、438~700 µmol/Lの群では1万例あたり28例であった(95%CI:14~41)。

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