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第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

 lorlatinibは、強力な活性を持ち、中枢神経系(CNS)への良好な移行を示す次世代ALK-TKIである。また、ALK-TKI耐性変異に対する最も広いスペクトラムを有する。とくにクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなど、すべてのALK-TKIの耐性に関わるG1202R変異に対しても、唯一有効な薬剤である。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、このlorlatinibの第I/II相試験の主要な結果について、University of California IrvineのSai-Hong Ignatius Ou氏が発表した。 同試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)はEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。第I相試験であるEXP1では、未治療患者において強固な臨床活性を示した。第II相試験は、EXP2~5で行われ、主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 全体で199例の患者が登録され、有効性はEXP2~5の82例で、安全性は全患者で評価された。EXP2~6全体のORRは32.9%、病勢コントロール率(DCR)は56.1%であった。EXP2(前治療クリゾチニブの1ライン)のORRは57.1%、DCRは、71.4%であった。EXP3(前治療1ラインのALK-TKI:クリゾチニブ+化学療法またはクリゾチニブ以外のALK-TKI±化学療法)のORRは44.4%、DCRは61.1%であった(11.1%は奏効未決定)。EXP4(前治療2ラインのALK-TKI±化学療法)の25.0%、DCRは54.5%であった(13.6%は奏効未決定)。EXP5(前治療3ラインのALK-TKI±化学療法)のORRは30.8%、DCRは46.2%であった(23.1%は奏効未決定)。EXP4では80%以上、EXP5では90%以上の患者が化学療法を併用していた。また、ALK-TKI前治療の程度にかかわらず、ほとんどの患者で標的病変サイズが縮小した。8例ではPD後もlorlatinibの投与は継続され、最も長期にわたる患者は300日を超えている。頭蓋内病変は52例で評価され、IC ORRは48.1%、12週時のDCRは75.0%であった。標的病変のみのIC ORRは51.4%に達した。 全Gradeの治療関連有害事象(AE)発現率は、97.4%。Grade3/4のAEは46.6%の患者で発現した。AEによる投与遅延は29.3%、減量は19.8%、治療中止は4例(3.4%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(89.7%)、高トリグリセライド血症(72.4%)で、これらは脂質低下薬でコントロール可能であった。 新たなALK-TKIであるlorlatinibは、重度な前治療歴のあるALK陽性NSCLCに対し臨床的に意義のある持続性の高い効果を示すとともに、頭蓋内病変に対しても高い効果を示した。この試験の結果から、lorlatinibは本年(2017年)4月26日、米国食品医薬品によるブレークスルー・セラピー指定を受けている。■参考http://meetinglibrary.asco.org/record/153943/abstract■関連記事次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK陽性肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定ASCO2016レポートDriver oncogeneに対する標的治療と耐性克服

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ALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの成績発表:ALEX試験/ASCO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の標準的1次治療は第1世代のALK‐TKIであり、優れた成績をあげている。しかし、時間経過とともにPDとなる患者も存在する。また、中枢神経系(CNS)転移は再発時に多く発現し、治療困難で、しばしば臨床上の問題となる。 アレクチニブは、強力な活性とCNSへの良好な移行性を有する次世代ALK-TKIであり、第1世代ALK‐TKIクリゾチニブ治療耐性症例において非常に優れた成績を示している。また、当患者集団の1次治療においては、アレクチニブ(300mg×2/日)とクリゾチニブを初めて直接比較した本邦のJ-ALEX試験で、アレクチニブ群が主要評価項目であるPFSを有意に改善している(HR:0.34、p<0.0001)。本年の米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、進行ALK陽性NSCLCの1次治療におけるアレクチニブとクリゾチニブを直接比較した、グローバル第III相試験ALEX試験の結果を、米国Massachusetts General HospitalのAlice Shaw氏が報告した。 この多施設オープンラベル無作為化第III相試験の対象患者は、無症候性のCNS転移症例を含む未治療の進行ALK陽性NSCLC。登録された患者は無作為に、アレクチニブ600mg×2/日またはクリゾチニブ250mg×2/日に1:1で割り付けられた。主要評価項目は治験担当医評価(INV)による無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、独立評価委員会(IRC)によるPFS、CNS無増悪期間(CNS TTP)、客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、奏効期間、安全性などであった。 結果、2017年2月9日のデータカットオフ時に303例が登録された(アレクチニブ152例、クリゾチニブ151例)。追跡期間はアレクチニブ群18.6ヵ月、クリゾチニブ群17.6ヵ月であった。患者の半数以上(アレクチニブ群55%、クリゾチニブ群54%)は非アジア人で、約60%が非喫煙者、また約40%がベースライン時にCNS転移を有していた。 主要評価項目であるINVによるPFSは、アレクチニブ群で未達(17.7~NE)、クリゾチニブ群では11.1ヵ月(9.1~13.1)と、アレクチニブ群で有意に延長した(HR:0.47、95%CI:0.34~0.65、p<0.0001)。副次評価項目であるIRCによるPFSは、アレクチニブ群で25.7ヵ月(19.9~NE)、クリゾチニブ群は10.4ヵ月(7.7~14.6)で、こちらもアレクチニブ群に有意であった(HR:0.50、95%CI:0.36~0.70、p<0.0001)。 CNS転移例におけるPFSはアレクチニブ群では未達、クリゾチニブ群では7.4ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.25~0.64)。CNS TTP(中央値は両群とも未達)は、競合リスクモデルを用いた生存時間解析において、アレクチニブ群で有意に延長した(cause specific HR:0.16、95%CI:0.10~0.28、p<0.0001)。 ORRは、アレクチニブ群83%(76~89)、クリゾチニブ群76%(68~82)で、アレクチニブ群が長かったが、統計学的に有意ではなかった(p=0.09)。OSは両群とも未達であった(HR:0.76、95%CI:0.48~1.20、p=0.24)。 Grade3~5の有害事象(AE)は、アレクチニブ群の41%、クリゾチニブ群の50%で発現した。致死的AEの発現率はアレクチニブ群で3%、クリゾチニブ群では5%であった。AEの発現項目は両群共新たなものはなかった。 Shaw氏は、このALEX試験の結果は、ALK陽性NSCLCの1次治療の新たな標準としてのアレクチニブの位置付けを確立した、と述べて本題を締めくくった。■参考ASCO2017 AbstractALEX試験(ClinicalTrials.gov)■関連記事ALK阻害薬による1次治療の直接比較J-ALEX試験の結果/Lancetアレクチニブ、ALK肺がん1次治療に海外でも良好な結果:ALEX 試験

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オシメルチニブ、CNS転移例にも有効性示す:AURA3試験/ASCO2017

 中枢神経系(CNS)転移は、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の経過中、40%にみられる。CNS転移例の予後は不良で、無増悪生存期間(PFS)は3~5ヵ月といわれる。オシメルチニブは、前臨床試験でCNSへの良好な移行が示されるとともに、臨床では2つの第II相試験(AURA2試験、AURA2拡大試験)においてCNSでの活性を示している。そこで、T790M陽性の進行NSCLCにおけるオシメルチニブの無作為化第III相試験であるAURA3試験から、CNS転移における同剤の最初の包括的評価を、イタリアFondazione IRCCS Instituto Nazionale dei TumoriのMaria Garrassino氏が、米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 AURA3試験では、対象患者をオシメルチニブ80mg/日またはプラチナダブレット化学療法3週間ごとに6サイクル(ペメトレキセド維持療法も許可)に、2:1で無作為に割り付けた。今回のサブグループ解析では、オシメルチニブ群は75例、化学療法群は41例であった。CNS客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)を評価するために、ベースラインでCNS転移のある患者に対し、独立第三者評価機関(BICR)による評価が行われた。解析は、ベースライン時に測定可能と測定不可能なCNS転移を有する患者のCNS全分析セット(CNS full analysis set:cFAS)と、測定可能なCNS転移のみを有する患者のCNS評価可能セット(CNS evaluable for response set:cEFR)の2グループで行われた。 結果、2016年4月15日時点で、cFAS患者は116例、cEFR患者は46例であった。cEFRにおけるCNS ORRは、オシメルチニブ群で70%(51~85)、化学療法群では31%(11~59)と、オシメルチニブ群で有意に高かった(OR:5.13、95%CI:1.44~20.64、p=0.015)。DORは、オシメルチニブ群で8.9ヵ月(4.3~NC)、化学療法群では5.7ヵ月(NC~NC)であった。cFASにおけるCNS PFSは、オシメルチニブで11.7ヵ月、化学療法群では5.6ヵ月と、オシメルチニブ群で有意に長かった(HR:0.32、95%CI:0.15~0.69、p=0.004)。また、オシメルチニブのCNSへの奏効は6.1週間でみられ、その効果は脳照射の前治療の有無にかかわらず現れた。■参考ASCO2017 AbstractAURA3試験(Clinical Trials.gov)AURA2試験(Clinical Trials.gov)AURA2拡大試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJMオシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会

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dacomitinib、EGFR変異陽性肺がん1次治療の成績発表:ARCHER1050試験/ASCO2017

 dacomitinibは、不可逆的にEGFR/HER1、HER2、HER4を阻害する第2世代EGFR-TKIであり、第II相シングルアーム試験であるARCHER1017試験で、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で良好な成績を示している。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、dacomitinibとゲフィチニブを1次治療で比較した、現在進行中の第III相無作為化オープンラベル試験ARCHER1050試験の成績を、香港Chinese University of Hong KongのTony Mok氏が発表した。 同試験では、EGFR活性化変異(exon19 delまたはexon21 L858R +/− exon20 T790M)を有するStage IIIB/IVの再発NSCLC患者(CNS転移患者は除外)を、1:1でdacomitinib 45mg/日(D)群またはゲフィチニブ250mg/日(G)群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間(PFS)であった。副次評価項目は、治験担当医師によるPFS、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、治療成功期間、全生存期間、安全性および患者報告アウトカムであった。 結果、452例が登録され、D群227例とG群225例で解析が行われた。IRC評価のPFSは、D群14.7ヵ月(95%CI:11.1~16.6)、G群9.2ヵ月(95%CI:9.1~11.0)と、D群で有意であった(HR=0.59、95%CI:0.47~0.74、p<0.0001)。治験担当医評価のPFSは、D群16.6ヵ月(12.9~18.4)、G群11.0ヵ月(9.4~12.1)と、D群で有意であった(HR=0.62、95%CI:0.50~0.78、p<0.0001)。IRC評価のORRは、D群74.9%(95%CI:68.7~80.4)、G群71.6%(95%CI:65.2~77.4)と、両群間で同等であった(p=0.3883)。IRC評価のDORは、D群14.8ヵ月(95%CI:12.0~17.4)、G群8.3ヵ月(95%CI:7.4~9.2)と、D群で有意であった(p<0.0001)。 重篤な治療関連有害事象(AE)の発現率は、D群で9.3%、G群では4.5%。EGFR阻害に関連するAEである下痢、爪周囲炎、ざ瘡様皮疹、口内炎のGrade3の発現率は、D群では8.4、7.5、13.7、3.5%、G群では0.9、1.3、0、0.4%であり、D群で多かった。一方、Grade3のALT上昇はD群で0.9%、G群で8.5%と、G群で多かった。 Mok氏は個人的見解として、EGFR変異陽性の進行NSCLCにおいて、dacomitinibは1次治療の新たな選択肢として考慮されるべきだろうと述べた。■参考ASCO2017 AbstractARCHER1050試験(Clinical Trials.gov)

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患者報告による症状モニターが、外来進行がんのOSを有意に延長/ASCO2017

 経口抗がん剤の増加により、外来診療が増加している。そのような中、患者の合併症管理は大きな問題となりつつある。進行がんでは症状が頻繁に起こるが、患者が医療者に報告するにはさまざまな障害がある。過去の研究結果によれば、診療医が患者の症状に気付くのは半分との報告ある。質の高いがん診療の管理には症状モニタリングが鍵といえる。そこで、Webベースによる症状モニタリングと患者報告を組み合わせたシステムと、通常ケアの結果を比較する大規模な単一施設無作為化比較試験の生存に関する結果が、University of North CarolinaのEthan Basch氏により米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。 同試験では、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで転移のある固形腫瘍の外来化学療法を受けている患者を登録し、タブレットコンピュータを介した12の一般的な症状を自己報告する群(セルフレポート群)と通常ケア群に無作為に割り付けた。セルフレポート群では、被験者が重度の症状または症状悪化を報告すると、診察医と看護師は電子メールなどによりリアルタイムで知らされ、医療者はその情報を基に診療にあたる。主要評価項目は、QOL、全生存期間(OS)、救急受診であった。 結果、2007年9月~2011年1月に766例の患者が登録され、2群に無作為に割り付けられた。患者の年齢中央値は62歳、白人87%、黒人7%、アジア人6%。がん種は泌尿器生殖器がん31%、肺がん27%、婦人科がん25%、乳がん17%であった。QOL評価は、セルフレポート群では改善34%、不変28%、対照群では改善18%、不変29%であり、セルフレポート群は対照群に比べ31%QOLが改善した。OSは、セルフレポート群で31.2ヵ月、対照群は26.0ヵ月で、セルフレポート介入群で有意に延長した(p=0.03)。多変量解析でのHRは0.832(95%CI:0.696~0.995)であった。救急受診もセルフレポート群で有意に少なく(p=0.02)、その差は7%であった。■参考ASCO2017 Abstract試験情報(Clinical Trials.gov)

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EGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者の20~25%は手術適応である。プラチナベースの術後補助化学療法は、Stage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のスタンダードとなっている。一方、EGFR-TKIは進行EGFR変異陽性NSCLC1次治療の標準である。しかし、EGFR-TKIによる術後補助化学療法については、過去のBR19やRADIANT試験からも利点は証明されていない。 EGFR変異陽性のNSCLC患者の術後補助療法として、化学療法をEGFR-TKIで代替できないか。そこでEGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法において、ゲフィチニブと化学療法(ビノレルビン+シスプラチン)を比較する初めての無作為化第III相試験となるADJUVANT試験が行われた。中国Guangdong General HospitalのYi-Long Wu氏が、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)にて発表した。 同試験の対象は、完全切除後のStage II~IIIA(TNM分類第7版N1-N2)のEGFR変異陽性NSCLC患者。登録された患者は、無作為にゲフィチニブ(250mg×1/日)24ヵ月間投与群と化学療法群(ビノレルビン25mg/m2を1日目と8日目に投与+シスプラチン75mg/m2を1日目に投与)3週ごと4サイクル投与群に、1:1に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)。DFSの改善は40%以上とした。 結果、2011年9月19日~2014年4月24日に222例の患者が登録された(ゲフィチニブ群、化学療法群ともに111例)。治療期間の中央値は36.5ヵ月で、ゲフィチニブ群の投与期間は18ヵ月以上が最も多く67.9%、化学療法群は4サイクルが最も多く83.0%を占めた。 主要評価項目であるDFSは、ゲフィチニブ群で28.7ヵ月(24.9~32.5ヵ月)、化学療法群で18.0ヵ月(13.6~22.3ヵ月)と、ゲフィチニブ群で有意に長く(HR:0.60、95%CI:0.42~0.87、p=0.005)、その差は10.7ヵ月であった。3年DFS(3yDFS)はゲフィチニブ群の34.0%に対し、化学療法群は27.0%で、ゲフィチニブ群で有意に高かった(p=0.013)。全生存期間(OS)は未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は、ゲフィチニブ群で12.3%、化学療法群は48.3%と、ゲフィチニブ群で有意に少なかった(p<0.001)。健康関連QOLについては、Total FACT-L、LCSS、TOIの3種の評価ともゲフィチニブ群で有意に優れていた。 EGFR変異陽性のStage II~IIIA(N1-N2)NSCLC切除可能患者に対する、ゲフィチニブの術後補助療法は、これらの患者集団における重要な選択肢であると考えられるべきである。 DiscussantであるVU University Medical CenterのSuresh Senan氏は、「DFSの10.7ヵ月の延長は注目すべきである。今後は、どのような患者にベネフィットがもたらされるのかなど、より詳細に研究していくべきである。また、3yDFSの34%という結果は満足できるものではなく、対象症例などに注目してさらなる改善を図るべきであろう」と述べた。■参考 ADJUVANT試験(NCT01405079) BR19試験 RADIANT試験

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III期NSCLCの化学放射線同時併用療法に適用するレジメンは?本邦のランダム化試験の結果発表/ASCO2017

 化学放射線同時併用療法(CCRT)は、手術不能なIII期非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する標準治療であるが、最良の化学療法レジメンは特定されていない。S-1とシスプラチン(CDDP)の併用(SP)は進行NSCLCに対する標準化学療法レジメンの1つであり、CCRTにおける良好な成績も報告されている。day1、8に分割したドセタキセルとCDDPの併用(DP)を用いたCCRTは、旧世代のCDDPレジメンとの比較試験で、良好な結果(2年生存割合)を示しているが、全生存については有意な差は認めていない。そこで、日本医科大学の久保田 馨氏らは、NSCLC患者に対するCCRTにおいて、SPとday1のみにドセタキセル+CDDPを投与するDPの2つの併用化学療法レジメンの成績を評価するランダム化第II相試験TORG1018を行い、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 対象は手術不能なIII期NSCLC患者で、化学療法、放射線療法、外科療法歴なし。登録された患者をSP群またはDP群にランダムに割り付けた。SP群ではS-1 80~120mg/m2/日(day1~14)とCDDP 60mg/m2(day1)を4週ごとに、DP群ではドセタキセル50mg/m2とCDDP 80mg/m2(両薬ともday1)を4週ごとに投与した。同時併用する放射線療法(60Gy/30分割)は、両群ともにday1から開始した。CCRT後、両群の患者は、3週ごとの地固め化学療法をさらに2回受けた。主要評価項目は2年生存割合(2yOS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、毒性プロファイル、用量強度、奏効割合(ORR)。期待2yOSは65%、閾値2yOSは50%とした。 結果、2011年5月~2014年8月に、19施設から110例の患者が登録され、106例(各群53例)が評価対象となった。男性83例、女性23例、年齢中央値は65歳(42~74)であった。観察期間39.3ヵ月での2yOSはSP群で79%(95%CI:66~88%)、DP群では69%(95%CI:55~80%)であり、両群共に主要評価項目を達成した。OS中央値はSP群で55.23ヵ月、DP群で50.83ヵ月、ORRとPFSはSP群でそれぞれ71.7%、11.63ヵ月、DP群では67.9%、19.91ヵ月であった。 DP群におけるGrade3/4の白血球減少および好中球減少はSP群より有意に高かった。また、発熱性好中球減少症、肺臓炎はDP群でより高い傾向があった。毒性の少なさと共に2yOSはSP群で良好であり、将来はSPを放射線同時併用の適用レジメンとして選択する、と著者は結んでいる。■参考 ASCO2017 Abstract

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セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月26日、セリチニブ(商品名:ジカディア)に、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する通常承認を与えた。 セリチニブは2014年4月、クリゾチニブで病勢進行したか、クリゾチニブ耐性のALK陽性転移性NSCLCに対する迅速承認を得ている。これは、163例のシングルアーム試験での独立第3者評価機関(BIRC)による44%の奏効率(ORR)に基づいている。 今回の承認は、未治療のALK陽性NSCLCに対する多施設オープンラベル無作為化実薬比較試験ASCEND-4のデータに基づいたもの。ASCEND-4では31ヵ国201施設376例の対象患者が、セチニブ群またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法群に無作為に割り付けられた。 結果、BIRC評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セリチニブ群16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)、化学療法群は8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)と、セリチニブ群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。また、ORRはセリチニブ群73%(95%CI:66~79%)、化学療法群27%(95%CI:21~34%)であった。■参考FDA(Resources for Information on Approved Drugs)ASCEND04試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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「たばこ煙害死なくそう」 受動喫煙防止法案の行方に一石

 2017年5月24日、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正に関して、「建物内禁煙」を目指す厚労省案を支持する医師や研究者、アスリートからなる有志が声明を発表し、厚生労働省で記者会見を行った。受動喫煙、最も効果的な対策は「建物内禁煙」 「飲食店の建物内禁煙」を掲げる厚労省案に対して、与党内から「飲食店の店頭に喫煙環境を提示すればよい」という緩和案が出されている。これを受けて、代表発起人の渋谷健司氏(東京大学大学院教授)は、受動喫煙による健康被害を確実になくす方法として厚生労働省案を支持するとの声明を発表した。受動喫煙による死亡者数は、毎年1万5,000人程度と言われており、交通事故死亡者4,000人をはるかに上回る。受動喫煙によって心筋梗塞や肺がん、脳卒中などのリスクが上昇することは国立がん研究センターの報告などからも明らかだ。 山口育子氏(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「厚労省案に盛り込まれている喫煙専用室の設置は、『建物内禁煙』の実現に向けた移行措置としてとしてやむを得ない。しかし移行期間は極力短縮し、建物内禁煙の実現に向けて前進してほしい」と述べている。 また、中室牧子氏(慶應義塾大学准教授)は、世界では科学的な根拠に基づいた政策立案が標準になっており、受動喫煙は科学的なデータから建物内禁煙が最も有効な手段だと考えられていることを説明した。また、飲食店に与える影響についても、「受動喫煙に関する社会科学的な研究において、飲食店を全面禁煙にしても売上は落ちないという報告が数多く出されている。仮に、例外を設けて喫煙が可能な店ができれば、間接的に喫煙できる店を補助することになりかねない」と指摘し、飲食店への影響を考慮しても、建物内禁煙が最も有効な手段だと強調した。声なき声を拾った国民的議論を SNSで拡散求める 今回の声明の賛同者は5月24日現在、220名。医療関係者だけでなく、NPO、患者団体、企業など幅広い分野から集まっている。これは会見前の3~4日間に主にインターネット上での呼びかけに反応した数字だ。短期間にこれだけの人数が集まった背景には、受動喫煙に関する国民的意識が高まっていること、また飲食店等での禁煙を望むものの声をあげられなかったサイレントマジョリティが数多くおり、潜在的な賛同者が多くいると感じていると渋谷氏は述べた。最後に法案可決まで時間がない中、「建物内禁煙」の実現に向けて、以下のアクションを呼びかけた。 (1)SNSやブログでの、ハッシュタグを付けた「建物内禁煙」実施を求める投稿   (#たばこ煙害死なくそう など) (2)科学的根拠や最新の動向についての情報に耳を傾け、周囲と話し合う ■参考 声明文 たばこ煙害死なくそう。受動喫煙のない国に。

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クリゾチニブ、ROS1陽性非小細胞肺がんに適応取得

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:梅田一郎)は、2017年5月18日(木)、メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:レオ・リー)とコ・プロモーションを行っている抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)が、新たな適応症として「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の追加承認を取得したと発表。 承認事項一部変更申請は、2016年8月31日に行っていた。本疾患に対してクリゾチニブは、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されている。ファイザー株式会社のプレスリリース

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ペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月23日、腫瘍の発生部位ではなく、特定の遺伝子的特徴(バイオマーカー)を有するがん患者に対する迅速承認を初めて与えた。 対象となった薬剤はペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)。同薬剤には、高度マイクロサテライト不安定(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)が認められた切除不能/転移のある固形腫瘍に対する適応が与えられた。前治療で進行しながら代替治療のない固形腫瘍患者、特定の化学療法後に進行した大腸がん患者が対象となっている。 この適応症に対するペムブロリズマブの安全性と有効性は、5つのシングルアーム試験に登録されたMSI-HまたはdMMR固形腫瘍の患者で検討された。これらの臨床試験に登録された149例の患者からは15がん種が同定され、多く認められたものは大腸がん、子宮内膜がん、胃・消化管がんであった。当適応でのペムブロリズマブの評価は、全般的奏効率(ORR)および奏効持続期間で、149例のペムブロリズマブ患者のうち、39.6%がCRまたはPRを示し、78%の患者では、6ヵ月以上奏効が持続した。 MSI-HおよびdMMR腫瘍は、大腸がん、子宮内膜がんおよび胃・消化管がんにおいて多くみられるが、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんおよび他部位のがんでも少なからずみられる。転移性大腸がんでは約5%の患者がMSI-HまたはdMMRを有する。FDAプレスアナウンスはこちら

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ALK阻害薬による1次治療の直接比較J-ALEX試験の結果/Lancet

 ALK陽性肺がんにおけるALK阻害薬アレクチニブとクリゾチニブの1次治療での直接比較で、日本人を対象としたJ-ALEX試験の結果がLancet誌2017年5月10日号(オンライン版)に発表された。 J-ALEX試験は、ALK阻害薬未治療(化学療法歴は0~1回)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした無作為化多施設オープンラベルの第III相試験。本邦41の試験参加施設で登録されたステージ3B~4の207例の患者は、アレクチニブ300mg×2/日(n=103)とクリゾチニブ250mg×2/日(n=104)に、1対1に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の両群の患者背景はほぼ同様であったが、脳転移例の割合はアレクチニブ群(14%)に比べクリゾチニ群(28%)で多かった。・全体のPFSは、アレクチニブ群では未達(95%CI:20.3~推定不能)、クリゾチニブ群では10.2ヵ月(8.2~12.0)と、アレクチニブ群で有意に改善した(HR:0.34、99.7%CI:0.17~0.71、層別化log-rank p<0.0001)。・探索的分析では、頭蓋内病変ありなし共に、クリゾチニブ群に比べアレクチニブ群で、進行リスクが少なかった。・Grad3/4の有害事象発現率は、アレクチニブ群で26%、クリゾチニブ群では52%。致死的な有害事象はいずれの治療群においても生じていない。 この第2次中間分析においてアレクチニブのALK陽性NSCLCの全身的有効性と脳転移患者における頭蓋内病勢制御力が示された。また、IRFは主要評価項を満たしたと判断し、データの即時公開を推奨した。(ケアネット 細田 雅之)参考J-ALEX試験(Japic CTI)アレクチニブ、ALK肺がん1次治療に海外でも良好な結果:ALEX試験

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MEK1/2阻害薬、KRAS変異陽性NSCLCの予後改善示せず/JAMA

 既治療の進行KRAS変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、ドセタキセル(DOC)にselumetinibを追加しても、DOC単剤に比べ無増悪生存(PFS)は改善されないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A.Janne氏らが実施したSELECT-1試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月9日号に掲載された。KRAS変異は、肺腺がん患者の約25%に発現し、NSCLCで最も高頻度にみられる遺伝子変異であるが、これを標的とする分子標的薬で承認を得たものはない。KRAS変異は、MAPKキナーゼ(MEK)に関与するMAPK経路を含むシグナル伝達経路の下流の活性化によって腫瘍の増殖を促進する。selumetinibは、MEK1とMEK2を選択的に阻害する経口薬で、アロステリックにKRAS変異を抑制する。2次治療の上乗せ効果を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、KRAS変異陽性NSCLCの2次治療におけるselumetinib+DOC療法の有用性を評価するプラセボ対照無作為化第III相試験で、25ヵ国202施設の参加のもと、2013年10月~2016年1月に行われた(AstraZeneca社の助成による)。 前治療歴が1レジメンで、中央判定でKRAS変異陽性であったStage IIIB/IV NSCLC患者510例のうち、selumetinib+DOC群に254例、プラセボ+DOC群に256例がランダムに割り付けられた。selumetinib群は、selumetinib75mgを1日2回経口投与され、DOC 75mg/m2を21日ごとに静脈内投与された。プラセボ群も同様のスケジュールで治療が行われた。 主要評価項目は担当医評価によるPFSとし、副次評価項目には全生存(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効期間などが含まれた。第II相試験とは異なる結果 全体の平均年齢は61.4(SD 8.3)歳、41%が女性であった。505例(99%、selumetinib群:251例、プラセボ群:254例)が治療を受け、試験を完遂した。データカットオフ日(2016年6月7日)の時点で、447例(88%)に病勢進行のイベントがみられ、346例(68%)は死亡した。 PFS期間中央値は、selumetinib群が3.9ヵ月(IQR:1.5~5.9)、プラセボ群は2.8ヵ月(同:1.4~5.5)であり、両群に有意な差を認めなかった(群間差:1.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.77~1.12、p=0.44)。 OS期間中央値は、selumetinib群が8.7ヵ月(IQR:3.6~16.8)、プラセボ群は7.9ヵ月(IQR:3.8~20.1)と、やはり有意差はみられなかった(群間差:0.9ヵ月、HR:1.05、95%CI:0.85~1.30、p=0.64)。 ORRは、selumetinib群が20.1%(完全奏効:2例、部分奏効:49例)、プラセボ群は13.7%(0例、35例)であった(群間差:6.4%、オッズ比[OR]:1.61、95%CI:1.00~2.62、p=0.05)。また、奏効期間中央値は、それぞれ2.9ヵ月(IQR:1.7~4.8、95%CI:2.7~4.1)、4.5ヵ月(2.3~7.3、2.8~5.6)だった。 頻度の高い有害事象は、selumetinib群が下痢(61%)、悪心(38%)、皮疹(34%)、末梢浮腫(30%)であり、プラセボ群は下痢(35%)、疲労(31%)、脱毛(25%)、悪心(24%)であった。Grade 3以上の有害事象は、selumetinib群が67%(脱力:9%、呼吸困難:8%、下痢:7%、好中球減少:7%など)と、プラセボ群の45%に比べ高頻度であった。 これらの知見は、以前に同じデザインで行われた第II相試験の結果とは異なっており、有効性は、プラセボ群は第II相よりも今回の第III相試験が優れ、selumetinib群は第II相よりも第III相試験のほうが不良であった。著者は、「この差は試験デザインによるとは考えられず、両試験とも多くの国で行われた国際研究であるため地域差の影響もないと思われる」としている。

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次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

 ファイザー社は2017年4月27日、次世代ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤lorlatinibが、ALK阻害剤の治療歴を有するALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルー・セラピー指定を受けたと発表した。 今回のブレークスルー・セラピー指定は、進行中のlorlatinibの第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験で示された有効性と安全性のデータに基づくもの。 また、lorlatinibの第Ⅲ相CROWN試験への被験者登録を開始した。本試験は、全身治療歴がないALK陽性転移性NSCLC患者を対象に、lorlatinibをクリゾチニブと比較する、非盲検無作為化群間比較試験。 lorlatinibは、開発中の次世代ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤で、ALK遺伝子とROS1遺伝子の染色体再構成を有する非臨床肺がんモデルにおいて高い活性を示した。とくに、他のALK阻害剤に抵抗性を示す変異腫瘍に対しても効果を発揮できるように、また、血液脳関門を通過できるように設計されているという。ファイザー株式会社のプレスリリース

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ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年5月12日、放射線とプラチナベース化学療法の併用で進行が止まったステージ3の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、第III相試験PACIFICにおいて、durvalumab(海外商品名:Imfinzi)が良好な結果を得たと発表した。 PACIFIC試験は、上記対象に対するdurvalumabの維持療法を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験。米国、カナダ、ヨーロッパ、南米、中米、日本、韓国、台湾、南アフリカ、オーストラリアなど26ヵ国235施設で行われた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)、副次的評価項目はランドマークPFSとOS、客観的奏効率と奏効時間。独立データモニタリング委員会(IDMC)による中間解析によれば、durvalumabは主要評価項目を達成し、プラセボと比べ統計学的に有意で臨床的に有意なPFSと示した、としている。 AstraZenecaは、今後の学会での発表のために同試験の初期結果を提出の予定。また、専門家との議論を踏まえ、規制当局への提出を計画しているという。 durvalumab(MEDI4736)は抗PD-L1モノクローナル抗体で、すでに進行膀胱がんについてFDAの迅速承認を受けている。また、NSCLC、小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がんの第III相試験による評価も行われている。参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースPACIFIC試験(Clinical Trials.gov)

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ペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

 Merck社は2017年5月10日、米国食品医薬品局(FDA)が、ペメトレキセド+カルボプラチン(pem/carbo)レジメンとの併用で、PD-L1発現とは無関係に、ペムブロリズマブを転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に承認したと発表した。 この承認は、オープンラベル、多施設、複数コホートのKEYNOTE-021試験(コホートG1)の結果に基づくもの。KEYNOTE-021試験は、EGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の局所進行・転移性の非扁平上皮NSCLCの未治療患者123例において行われた。患者は、ペメトレキセド+pem/carbo(n=60)またはpem/carbo単独(n=63)に無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は、独立第3者評価機関(BIRC)判定による全奏効率(ORR)。追加の有効性評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、全生存期間であった。 試験の結果、ORRはペムブロリズマブ+pem/carboで55%(95%CI:42〜68)、pem/carbo単独では29%(95%CI:18 〜41)と、ペムブロリズマブ+pem/carboのORRは約2倍であった(p=0.0032)。PFS中央値はペムブロリズマブ+pem/carboで13.0ヵ月(95%CI:8.3〜推定不可)、pem/carbo単独では8.9ヵ月(95%CI:4.4〜10.3)と、ペムブロリズマブ+pem/carboで有意に改善した(HR:0.53、95%CI:0.31〜0.91、p=0.0205)。 探索的研究では、PD-L1発現の有無にかかわらず同様の結果を示しており、PD-L1非発現患者(TPS1%未満)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで57%、pem/carbo単独では13.0%。PD-L1発現患者(TPS1%以上)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで54%、pem/carbo単独では38%であった。 ペムブロリズマブの単独療法は、EGFRまたはALK変異のないPD-L1高発現(TPS50%以上)の転移性NSCLC患者の1次治療として、また、PD-L1発現1%以上の転移性NSCLC患者の2次治療以降としてすでに承認されている。今回承認された適応症の継続は、確認試験における臨床的有益性の検証結果により決定される。(ケアネット 細田 雅之)参考Merck社ニュースリリースペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用でKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。100例の327の腫瘍領域をシーケンシング 本研究は、早期NSCLCにおける腫瘍内不均一性と臨床転帰の関連を調査し、ドライバー・イベントのクローン性およびゲノム進化の過程の解明を目的とする前向きコホート試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。患者登録は2014年4月に開始され、最終的に842例の登録を目標としており、今回は100例の解析結果が報告された。 全身療法を受けていない早期NSCLC患者100例(Stage IA~IIIA)から切除された検体を用いて、多領域全エクソームシーケンシングを行った。腫瘍の進化の過程を明らかにし、クローン(すべてのがん細胞に発現)およびサブクローン(一部のがん細胞に発現)のイベントを調査し、腫瘍内不均一性と無再発生存の関連を評価するために、327の腫瘍領域のシーケンシングを行い解析した。 腫瘍内不均一性については、変異(mutation、一塩基置換/ジヌクレオチド塩基置換、小挿入・欠失)または体細胞性コピー数変化(somatic copy-number alteration、染色体セグメントの獲得または喪失を反映)の評価を行った。コピー数不均一性の増加で再発・死亡リスクが上昇 対象の内訳は、男性が62例、女性が38例で、喫煙者が40例、元喫煙者が48例、非喫煙者が12例であり、組織型は腺がんが61例、扁平上皮がんが32例、その他が7例であった。 変異、体細胞性コピー数変化の双方で、広範な腫瘍内不均一性が観察され、サブクローンとして同定された体細胞変異の中央値は30%(範囲:0.5~93)、サブクローンとして同定された体細胞性コピー数変化の中央値は48%(範囲:0.3~88)であった。これは、腫瘍の発育過程で、変異および染色体レベルでのゲノム不安定性が進行していることを示唆する。 EGFR、MET、BRAF、TP53遺伝子のドライバー変異は、ゲノム重複(genome duplication)の発現前も、ほぼ常にクローン性であり、発がんへの関与が示唆された。一方、進化の後期に発現する不均一性ドライバー変化が腫瘍の75%以上に認められ、この変化はPIK3CA遺伝子やNF1遺伝子のほか、クロマチン修飾やDNA損傷応答・修復に関与する遺伝子に一般的にみられた。 ゲノム倍化(genome doubling)および進行する動的染色体不安定性は、腫瘍内不均一性と関連し、結果としてCDK4、FOXA1、BCL11A遺伝子の増幅を含む体細胞性コピー数のドライバー変化の平行進化(parallel evolution)が認められた。 また、変異の割合の増加は再発および死亡のリスク上昇と関連しなかったが、コピー数不均一性が増加すると再発および死亡のリスクが有意に上昇し(ハザード比[HR]:4.9、p=4.4×10-4)、多変量解析を行っても有意な差が保持されていた(HR:3.70、p=0.01)。 著者は、「現在進められている単一の遺伝子変異を標的とする取り組みに加え、同時に多数の遺伝子のコピー数を変化させる可能性のある染色体不安定性をよりよく理解する必要があり、このプロセスを抑制する治療は、無再発生存の低下を促進する不均一性や、腫瘍の進化を防止する可能性がある」としている。

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新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年4月28日、クリゾチニブ無効あるいは不耐のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、brigatinibを迅速承認した。 承認はオープンラベル多施設共同比較試験ALTAの結果に基づいており、クリゾチニブで進行した局所進行または転移性ALK陽性NSCLC患者において、臨床的意義のある持続性の奏効率(ORR)を示した。 222例の患者が、brigatinib 90mg/日の7日間の導入後、90mg/日(n=112)または180mg/日(n=110)に無作為に割り付けられた。 独立審査委員会によるORRは、90mg群では48%(95%CI:39%~58%)、180mg群では53%(95%CI:43%~62%)であった。奏効期間中央値(DOR)は両群ともに13.8ヵ月であった。ベースラインで測定可能な脳転移を有する患者の頭蓋内ORRは、90mg群(n=26)では42%(95%CI:23%~63%)、180mg群(n=18)では67%(95%CI:41%~87%)であった。頭蓋内DOR中央値は、90mg群では推定できず、180mg群では5.6ヵ月であった。頭蓋内奏効患者においては、90mg群の78%、180mg群の68%の患者が、少なくとも4ヵ月間頭蓋内奏効を持続した。 安全性は219例の患者で評価され、brigatinib服用患者の一般的有害事象は、吐き気、下痢、疲労、咳、頭痛。頻度の高い重篤な有害事象は、肺炎および間質性肺炎であった。致死的な有害事象は3.7%で発生し、肺炎(2例)、突然死、呼吸困難、呼吸不全、肺塞栓症、細菌性髄膜炎および尿路性敗血症(各1例)であった。brigatinibの投与中止につながる有害事象は90mgの2.8%、180mgの8.2%で発現した。(ケアネット 細田 雅之)参考FDAリリースALTA試験(Clinical Trials.gov)

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