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閉経前の子宮摘出、卵巣温存で全死亡抑制/BMJ

 閉経前女性の子宮摘出術時に卵巣を温存すると、2つの卵巣を切除した場合に比べ、全死因死亡が抑制され、虚血性心疾患やがんによる死亡も低減するとの研究結果が、BMJ誌2017年2月6日号に掲載された。研究を行った英国・バーミンガム大学病院NHSファウンデーション・トラストのJemma Mytton氏らは、「閉経前女性には、卵巣を2つとも切除すれば卵巣がんを予防できるが、卵巣がんより発症率の高いがんを含め、これらのリスクが増加することを伝えるべきである」と指摘している。約3分の1で両側卵巣切除 本研究は、子宮摘出術時の両側卵巣切除と1つ以上の卵巣の温存では、アウトカムに違いがあるかを検討するレトロスペクティブな全国調査である(責任著者は英国国立衛生研究所[NIHR]の研究助成を受けた)。 英国のHospital Episode Statisticsのデータベースを用い、2004年4月~2014年3月に良性疾患で子宮摘出術を受けた35~45歳の女性11万3,679例のデータを解析した。 卵巣温存群は7万6,581例(67.4%)、両側卵巣切除群は3万7,098例(32.6%)で、年齢中央値はそれぞれ41歳(IQR:39~43)、42歳(同:40~44)であった。平均フォローアップ期間は6.2(SD 2.84)年だった。 人口統計学的特性は両群間に大きな違いがみられた。たとえば、ウエストミッドランド地方では、温存術施行率は10.7%、両側切除術施行率は16.3%であった(p<0.001)。ロンドン市では温存術のほうが高率だった(9.7% vs.5.1%)。全死因死亡は、温存群が有意に優れる 卵巣温存群は、子宮摘出術後の虚血性心疾患による入院率が、両側卵巣切除群に比べ有意に低かった(1.60 vs.2.02%、絶対差:0.42%、補正ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.77~0.93、p<0.001)。 がんに関連する術後の入院率も、卵巣温存群が有意に低かった(2.80 vs.3.49%、絶対差:0.69%、補正HR:0.83、95%CI:0.78~0.89、p<0.001)。 乳がんは、両側卵巣切除群のほうが良好で(1.02 vs.0.97%、p<0.001)、他の生殖関連がんには差がなかった(0.09 vs.0.12%、p=0.14)が、肺がん(0.12 vs.0.19%、p=0.01)、結腸がん(0.11 vs.0.24%、p<0.001)、膀胱がん(0.06 vs.0.12%、p=0.01)、その他のがん(1.93 vs.2.44%、p<0.001)は、卵巣温存群のほうが、有意に術後入院率が低かった。 卵巣がんの発症率は、当初、両側卵巣切除群のほうが増加したが、経時的に差が縮まり、長期的には卵巣温存群よりも低くなると予測された。 全死因死亡は、卵巣温存群が両側卵巣切除群に比し有意に優れた(0.60 vs.1.01%、絶対差:0.41%、補正HR:0.64、95%CI:0.55~0.73、p<0.001)。心疾患関連死(0.03 vs.0.06%、補正HR:0.50、0.28~0.90、p=0.02)およびがん関連死(0.31 vs.0.63%、0.54、0.45~0.65、p<0.001)も、卵巣温存群が有意に低率であった。また、自殺(未遂、完遂)には両群間に差を認めなかった。 さらに、傾向スコアマッチングを行い、主要なアウトカムについてCox回帰を用いた解析を行ったところ、実質的にこれらと同様の結果が得られた。 以上の知見は、米国の看護師健康調査(Nurses’ Health Study)で示された両側卵巣摘出術と虚血性心疾患、がん死、全死因死亡との関連と一致するものだという。

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抗PD-1抗体キイトルーダ発売:悪性黒色腫とNSCLCに

 根治切除不能な悪性黒色腫およびPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認を取得している抗PD-1抗体ペムブロリズマブの発売が2017年2月15日、MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン)から発表された。商品名はキイトルーダ点滴静注20mgおよびキイトルーダ点滴静注100mg。 この販売開始に伴い、MSDが薬価基準収載までの期間に限り実施していたペムブロリズマブの無償提供は終了する。肺がんにおけるペムブロリズマブ PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の未治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(KEYNOTE-024試験)および既治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第II/III相臨床試験(KEYNOTE-010試験)において、有効性および安全性が示された。PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する初回治療(PD-L1高発現)患者および既治療(PD-L1発現)患者に使用可能な抗PD-1抗体となる。悪性黒色腫におけるペムブロリズマブ 根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第II相試験(KEYNOTE-002試験)、海外第III相試験(KEYNOTE-006試験)および国内第I相試験(KEYNOTE-041試験)において、有効性および安全性が示された。 また、ペムブロリズマブの治療対象となる非小細胞肺がんのPD-L1高発現(TPS※≧50%)の未治療患者、および治療歴のあるPD-L1発現(TPS≧1%)患者を特定するコンパニオン診断薬 PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」は、2016年11月25日に本邦での承認を取得している。※TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合 ペムブロリズマブは、米国を含む50ヵ国以上で承認を取得しており、世界では30を超えるがん種に対し約400の臨床試験が進行中。本邦では、2015年10月27日に、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。2016年12月22日には、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。さらに、膀胱がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、肝がん、多発性骨髄腫、食道がん、腎細胞がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。MSD株式会社のニュースリリースはこちら

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低線量CT、放射線曝露によるがん誘発リスクは?/BMJ

 10年間にわたる低線量CT肺がんスクリーニングの、累積放射線被曝量とがん発生生涯寄与危険度との関連について調べた結果、スクリーニングで肺がんを108件検出するにつき1件の放射線被曝誘発の主要がんが発生する可能性が報告された。イタリア・European Institute of OncologyのCristiano Rampinelli氏らが、50歳超の男女5,203例を対象に行った試験の2次分析から明らかにした。低線量CT肺がんスクリーニングは、胸部X線によるスクリーニングに比べ、肺がんの検出に有効であることは知られているが、CTの電離放射線による過剰がんリスクは大きな懸念材料である。BMJ誌2017年2月8日号掲載の報告より。ハイリスク喫煙者を10年試験 研究グループは、イタリアのミラノで行われた、10年間にわたる非無作為化低線量CT肺がんスクリーニング試験「COSMOS」について、2次分析を行い、リスク・ベネフィットについて検証した。 被験者は、無症候性の50歳超で喫煙歴20箱・年以上の、ハイリスク喫煙者・元喫煙者で、過去5年以内にがんの病歴がない5,203例(男性3,439例、女性1,764例)だった。 主要評価項目は、低線量CTスキャン、PET・CTスキャンによる累積放射線被曝量と、がん発生生涯寄与危険度の関連だった。誘発主要がんリスクは0.05% 被験者は、低線量CTスキャンによるスクリーニングを延べ4万2,228回、PET・CTスキャンによるスクリーニングを延べ635回受けていた。10年間のスクリーニングによる累積実行線量の中央値は、男性が9.3mSv、女性が13.0mSvだった。 被験者の年齢や性別を考慮した、低線量CTスキャンによる10年間の肺がんスクリーニング検査による、肺がん発生に関する生涯寄与危険度は1万人スクリーニング実施につき5.5~1.4で、主要がん発生に関する生涯寄与危険度は、同8.1~2.6だった。 50~54歳の女性では、65歳以上の男性に比べ、低線量CTスキャン10年間肺がんスクリーニング検査による肺がん・主ながんの生涯寄与危険度は、それぞれ4倍、3倍に上った。 調査対象コホートで、10年間の同肺がんスクリーニングにより誘発された肺がんは1.5件、同主要がんは2.4件だった。後者の誘発主要がんリスクは0.05%(2.4/5,203例)だった。 10年間で診断された肺がんは259例で、低線量CT肺がんスクリーニングで肺がんが108件検出されるごとに、1件の誘発主要がんが発生すると予測された。 結果を踏まえて著者は、「低線量CTスクリーニングの放射線曝露とがんリスクは、わずかなものとは決して言えないが、スクリーニングにより死亡率を大きく低減していることを鑑みれば、容認できるものとみなすべきであろう」とまとめている。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第36回

第36回:肺がん免疫チェックポイント阻害薬 最近のまとめキーワードatezolizumabペムブロリズマブニボルマブイピリムマブN Engl J MedASCO-GIReck M, et al. N Engl J Med. 2016; 375: 1823-1833.2017 GI Cancers Symposium:Nivolumab Demonstrated Efficacy and Improved Survival in Patients With Previously Treated Advanced Gastric Cancer

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肺がん再生検 患者の想い再確認

 2017年1月31日、第6回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「肺がん患者さんの薬剤へのアクセスを考える」が開催された。 タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)の使用には再生検の実施が必要だが、侵襲性への懸念等から十分に実施されていない。静岡県立がんセンターでは、EGFR-TKI治療に耐性を生じた患者120例のうち、再生検未実施が45例(37.5%)であったとの報告がある。再生検実施に至らなかった理由には、アクセス不能な腫瘍部位(19例)に続き、医師の判断(10例)、患者拒否(6例)などが挙がった。 昨年末に血漿検査(リキッドバイオプシー)が承認され、アストラゼネカ株式会社によるEGFR T790M血漿検査の倫理提供が開始されている。血漿検査は生検に比べて侵襲性が低く、これまで生検が不適合であった患者にとって福音であるものの精度は改善の余地があり、血漿検査で陰性であっても生検で陽性となることがある。患者が嫌がっているのではないかと心配して医師が再生検を実施しないことがあると考えられるが、患者は再生検を望んでいないのだろうか。意思決定にあたって患者の気持ちを知っておくことは重要である。 このような中、「進行・再発非小細胞肺がん患者の組織採取や遺伝子検査に関する意識調査」が行われ、遺伝子検査の実施には、これまで以上に医師・患者双方による意思決定の重要性が増していることがわかった。 演者である北里大学医学部附属新世紀医療開発センター教授/北里大学病院集学的がん診療センター長 佐々木 治一郎氏は、「進行・再発非小細胞肺がん患者への組織採取や遺伝子検査に関する意識調査」の結果を解説した。本調査では、有効回答数167例のうち102例(77.3%)の患者が、確定診断時の検査がつらかったと回答した。一方で、検査がつらかったと回答した92例のうち82例(89.2%)が、リキッドバイオプシーで陰性であった際、遺伝子変異が特定できる可能性がある場合は再度つらい思いをした組織採取を受けると回答した。 患者の経験する検査の「つらさ」の実態とはどのようなものだろうか。上述の定量調査の対象者のうち、同意のとれた10名に対して行われた定性調査の結果がNPO法人肺がん患者の会ワンステップ代表の長谷川 一男氏より紹介された。1対1の患者インタビューを行った結果、「えずくし、咳込んでしまう」「窒息している感じ」「喉にちょっとした異物が入っただけでも違和感があるのに、そこに管が入っていく」など、組織採取時のつらさが浮き彫りになった。だが、遺伝子検査により薬剤の効果が保証されるようになった今、患者は次の治療につながるのであればつらい検査でも受けたいと考えている、と長谷川氏は自身の経験を交えて語った。 組織採取は患者さんにとってつらい検査であるため、そのつらさを認識し、なるべく侵襲性の低い選択をすることが望まれる。一方で、つらい検査であっても、患者さんは次の治療の可能性があるのであれば受けたいと思っていることも事実である。意思決定に際し、がん細胞が持つ遺伝子情報をきちんと患者さんに提示し、その情報に基づいた治療を理解してもらうための努力が求められている、と佐々木氏は述べた。

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非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。 著者らは、International Lung Cancer Consortium(ILCCO)とSYNERGY Consortiumにおける、北米・欧州・アジアでの22件の症例対照研究とコホート研究(生涯非喫煙の肺がん患者2,548人と生涯非喫煙者のコントロール9,362人を含む)を調査した。肺がんの組織分類ごとに分析し、またアルコールの種類(ワイン、ビール、蒸留酒)による関連も調査した。 主な結果は以下のとおり。・飲酒量は肺がんリスクと負の相関を示し、軽~中程度の飲酒者では非飲酒者に比べてリスクが低いことが示唆された。  >0~ 4.9g/日:OR=0.80、95%CI:0.70~0.90  5~ 9.9g/日:OR=0.82、95%CI:0.69~0.99  10~19.9g/日:OR=0.79、95%CI:0.65~0.96・ワインと蒸留酒では負の相関がみられたが、ビールではみられなかった。 なお著者らは、この結果に喫煙による交絡の影響はないが、他の因子による交絡は排除できないとしている。

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ALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、セリチニブ(商品名:ジカディア)は従来の化学療法に比べ予後を改善することが、フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行ったASCEND-4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月23日号に掲載された。ALK遺伝子転座は、NSCLC患者の3~7%にみられるドライバー遺伝子変異で、比較的若年、非喫煙/軽度喫煙歴、肺腺がんの患者に多い。セリチニブは、次世代の選択的経口ALK阻害薬で、血液脳関門を通過するため脳転移への効果も期待できるという。プラチナ製剤ベース化学療法と無作為化試験で比較 ASCEND-4は、ALK遺伝子転座陽性NSCLC患者におけるセリチニブとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性と安全性を比較する非盲検無作為化第III相試験(Novartis Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ALK遺伝子転座を有する未治療の局所進行または転移性のNSCLC(Stage IIIB/IV)で、で、全身状態(WHO PS)が0~2、無症候性または神経学的に安定した脳転移を有する患者とし、術前または術後の全身療法の終了から12ヵ月以上経過後の再発例も可とした。 被験者は、セリチニブ(750mg/日)を経口投与する群またはプラチナ製剤ベースの化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。化学療法は、シスプラチン(75mg/m2)またはカルボプラチン(AUC 5~6)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごとに4サイクル施行後に、ペメトレキセドによる維持療法(500mg/m2、3週ごと)を行った。 主要評価項目は無増悪生存(PFS)とし、判定は、無作為割り付けされたすべての患者(最大の解析対象集団[FAS])を対象に、独立の評価委員会が盲検下に行った。有効性解析はFASで、安全性解析は1回以上の薬剤の投与を受けた全患者で実施した。 2013年8月19日~2015年5月11日に、日本を含む28ヵ国134施設に376例(FAS)が登録され、セリチニブ群に189例、化学療法群には187例が割り付けられた。セリチニブ群は全例が、化学療法群は175例(シスプラチン:87例、カルボプラチン:88例)が治療を受け、化学療法群の127例(73%)が維持療法を受けた。PFS期間中央値が2倍以上に延長 ベースラインの年齢中央値はセリチニブ群が55.0歳、化学療法群は54.0歳で、女性がそれぞれ54%、61%、アジア人が40%、44%含まれた。また、非喫煙者はそれぞれ57%、65%、腺がんが95%、98%、転移性(Stage IV)が95%、97%、で、脳転移は31%、33%に認められた。 PFS期間中央値は、セリチニブ群が16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.6~27.2)と、化学療法群の8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.00001)。担当医判定のPFS期間中央値も、セリチニブ群が有意に優れた(16.8ヵ月 vs.7.2ヵ月、HR:0.49、95%CI:0.37~0.64、p<0.00001)。 ベースライン時に脳転移のない患者のPFS期間中央値はセリチニブ群が26.3ヵ月、化学療法群は8.3ヵ月(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)であり、脳転移がみられた患者はそれぞれ10.7ヵ月、6.7ヵ月(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)であった。 全生存(OS)のデータは解析時にはまだ不十分で、OS期間中央値はセリチニブ群が未到達(95%CI:29.3~推定不能)、化学療法群は26.2ヵ月(95%CI:22.8~推定不能)であった(HR:0.73、95%CI:0.50~1.08、p=0.056)。 全奏効率(72.5% vs.26.7%)、奏効までの期間中央値(6.1週 vs.13.4週)、奏効期間中央値(23.9ヵ月 vs.11.1ヵ月)、測定可能な頭蓋内病変の奏効率(72.7% vs.27.3%)、患者報告アウトカム(EORTC QLQ-C30、QLQ-LC13、LCSS、EQ-5D-5L)は、全般にセリチニブ群が良好だった。 最も頻度の高い有害事象は、セリチニブ群が下痢(85%)、悪心(69%)、嘔吐(66%)、ALT上昇(60%)、化学療法群は悪心(55%)、嘔吐(36%)、貧血(35%)であった。Grade 3/4の有害事象は、セリチニブ群ではALT上昇(31%)、γ-GT上昇(29%)、AST上昇(17%)の頻度が高く、化学療法群では好中球減少(11%)、貧血(7%)、嘔吐(6%)、呼吸困難(6%)の順だった。 著者は、「セリチニブは、ALK遺伝子転座陽性NSCLCの1次治療における新たな治療選択肢とみなすことが可能である」と指摘している。

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アレクチニブ CNS転移にも良好な効果:2試験のプール解析

 アレクチニブは第I/II相試験でCNSへの活性を示している。この活性のさらなる評価のため、2つのシングルアーム第II相試験から、ALK陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)患者への安全性と有効性のプール解析が行われた。 2試験とも、対象はクリゾチニブによる前治療を受けた患者で、アレクチニブ600mg×2/日の投与を受けていた。両試験の主要評価項目は、独立評価委員会によるRESIST ver.1.1に基づいた全奏効率(ORR)。追加の評価項目はCNS全奏効率(CORR)、CNS病勢制御率(CDCR)、CNS奏効期間(CDOR)であった。 136例(全対象患者の60%)の患者がベースライン時にCNS転移を有し、そのうち50例(37%)は測定可能なCNS転移であった。95例(70%)の患者はCNSへの放射線療法歴を有し、そのうち55例はアレクチニブ開始の6ヵ月以上前に放射線療法を完了していた。追跡期間中央値は12.4ヵ月(0.9~19.7ヵ月)である。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に測定可能なCNS病変があった患者のCORRは64.0%(95%CI:49.2~77.1%) 、CDCRは90.0%(95%CI:78.2~96.7%)、CDORは10.8ヵ月(95%CI:7.6~14.1ヵ月)であった。・CNS病変測定可能かつ/または不能患者のCORRは42.6%(95%CI:34.2~51.4%)、CDCRは85.3%(95 CI:78.2~90.8%)、CDORは11.1ヵ月(95%CI: 10.3ヵ月~評価なし)であった。・放射線治療を受けた患者(95例)のCORRは35.8%(95%CI:26.2~46.3%)、放射線療法を受けていない患者(41例)では58.5%(95%CI:42.1~73.7%)であった。 アレクチニブは、ベースライン時のCNS病変の有無にかかわらず良好な忍容性を示し、クリゾチニブ抵抗性のALK陽性NSCLCに対する全身的な作用に加え、CNS転移に対しても良好な効果を示した。

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肺腺がんはタバコとは関係ない?

肺腺がんはタバコと関係ない? がんの多くは、がんができる前の細胞の性質が影響します。つまり、どの細胞ががんになるのかによって、がんの性質が変わります。 肺がんにも種類があります。そのなかで肺腺がんは「喫煙とは関係がないがん」と言われてきました。しかし、低タールタバコの普及に伴い、肺腺がんが増えています。 腺組織が多く、肺の深いところにできるのが、肺腺がんです。原因としては、タバコの薄い煙の影響が考えられています。※これに対して、扁平上皮が多く、肺の浅いところには扁平上皮がんができます。タバコの濃い煙の影響と考えられています。煙を吸う深さで、がんの深さが異なる ➡ タバコの煙はがんの原因!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.Copyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.

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アテゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者に

 スイスRoche社は2017年1月9日、FDA(米国食品医薬品局)がアテゾリズマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)と優先審査を受理したことを発表した。対象はシスプラチンによる化学療法の適用がない局所進行または転移性尿路上皮がんで、前治療歴なし(1次治療)、あるいは術前・術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者。 このアテゾリズマブに関するsBLAの提出はIMvigor210試験を基にしており、FDAは2017年4月30日までに結論を出す予定。 IMvigor210試験は単群の第II相試験で、局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの安全性と効果をBD-L1発現にかかわらず評価している。対象患者はコホート1と2の2つのコホートに登録された。今回の申請の基となったのは、シスプラチン適用のない未治療(1次治療)または術前術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者を対象としたコホート1。 アテゾリズマブは2016年5月、FDAにより、既治療の進行膀胱がんに対して30年ぶりに認められた。尿路上皮がんは、腎盂、尿管、尿路にみられ、膀胱がんの90%を占めている。■参考Roche社:プレスリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。 これはペムブロリズマブが他の治療法との併用で承認を目指す初めての申請となる。この申請では、ペムブロリズマブ200mg(固定容量)と、ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5 の3週ごと4サイクルの併用についての迅速承認を求めている。申請の基礎となったKEYNOTE-021 part2 コホートGは、123例のEGFRおよびALK変異のない未治療の非扁平上皮NSCLCで、PDL1発現にかかわらない患者に対して行われた。 ペムブロリズマブは、PD-L1高発現(50%以上)で、EGFRおよびALK変異陰性のNSCLCの1次治療に承認されている。また、PD-L1発現1パーセント以下の場合、EGFRおよびALK変異陰性例では、プラチナを含む化学療法で病勢進行した患者に、EGFRおよびALK変異陽性例では、承認された各治療で病勢進行した患者での適応を有している。(ケアネット 細田 雅之)MERCK(米国)のニュースリリースはこちら関連情報ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第34回

第34回:脳転移、せん妄…緩和ケアの話キーワード脳転移せん妄LancetJAMA Intern MedMulvenna P, et al. Dexamethasone and supportive care with or without whole brain radiotherapy in treating patients with non-small cell lung cancer with brain metastases unsuitable for resection or stereotactic radiotherapy (QUARTZ): results from a phase 3, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2016; 388: 2004-2014. Agar MR, et al. Efficacy of Oral Risperidone, Haloperidol, or Placebo for Symptoms of Delirium Among Patients in Palliative Care: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2016 Dec 5. [Epub ahead of print]

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可能性あるなら遺伝子検査を…NSCLC患者の9割

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)、認定NPO 法人キャンサーネットジャパン(以下、CNJ)、がん情報サイト オンコロ(運営会社:株式会社クリニカル・トライアル、以下、オンコロ)は2016年12月14日、「進行・再発非小細胞肺がん患者への組織採取や遺伝子検査に関する意識調査」の結果を発表した。 EGFR遺伝子変異発現非小細胞肺がんでは、EGFR-TKIが個別化医療を進展させたが、近年はこのEGFR-TKI に対する薬剤耐性が課題として認識されている。そのような中、耐性のおよそ60%に発生する二次変異EGFR T790M 変異にも著効するオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が2016年に上市された。同剤の処方にあたっては、腫瘍組織を採取(再生検)して、T790M 変異陽性を確認する必要となる。 本調査は、非小細胞肺がん患者が、適切な治療を決定する際に必須となる遺伝子検査をどのようにとらえ、何が受診の障害となっているかを明らかにすることを目的に、肺がん分子標的薬のリーディングカンパニー アストラゼネカ、がん患者へ治験を含む情報を提供するオンコロ、がん医療情報の発信に取り組みアカデミアと患者の連携を支援するCNJの三社が共同で行ったもの。調査結果のポイント・確定診断時に気管支鏡検査または経皮的肺生検を受けた進行・再発非小細胞肺がん患者132例のうち、102例(77.3%)が気管支鏡検査または経皮的肺生検がつらかったと回答。・進行・再発非小細胞肺がん患者167例のうち、遺伝子変異の種類によって効果の異なる薬剤がある場合、157例(94.0%)が遺伝子変異を調べる検査を受けたいと回答。・遺伝子変異の検査方法としては、「受けたい」と回答した157例のうち123例(78.3%)が「血液検査」を選択すると回答。肺がん確定診断時の検査に、つらい思いをした患者は「血液検査」を選択し、つらい思いをしていない患者は「どちらでも問題ない」を選択する傾向があった。・検査方法として「血液検査」/「どちらでも問題ない」と回答した148例の患者のうち、血液検査で遺伝子変異が特定できなかったが、気管支鏡検査(または経皮的肺生検)で遺伝子変異が特定できる可能性がある場合に、血液検査後に「気管支鏡検査(または経皮的肺生検)を受けたい」と回答したのは130例(87.8%)。・確定診断の検査時にてつらい思いをした92例においても、82例(89.2%)が再度そのつらい思いをした検査を受けると回答。 この調査の結果から、たとえ苦痛を伴う検査でも、その結果が最適な治療に結びつくならば、患者はその検査を選択することを示している。また、本調査監修者の北里大学医学部附属新世紀医療開発センター教授/北里大学病院集学的がん診療センター長 佐々木治一郎氏は、医師は独自の判断だけで患者さんの次の治療選択の機会を狭めてはいけない、と述べている。オンコロ(株式会社クリニカル・トライアル)のニュースリリースはこちら

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武田薬品 肺がん、血液腫瘍のポートフォリオ拡充

 武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とARIAD Pharmaceuticals, Inc. (本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ARIAD社」)は、2017年1月9日(米国時間1月8日)、武田薬品がARIAD社の発行済株式のすべてを1株当たり24.00米ドル(企業価値では総額約52億米ドル)で、現金により取得し、ARIAD社を買収することについて合意したことを発表。本買収は両社の取締役会にて承認されており、競争法上のクリアランス等の手続きを経た後、2017年2月末までに完了する予定。 ARIAD社の買収により、武田薬品は、オンコロジーポートフォリオを拡充する、ターゲットを絞った2つの革新的な治療薬を獲得することになる。臨床試験段階の薬剤であるbrigatinibは、遺伝的要因を有する非小細胞肺がん患者に対してグローバルに使用される、画期的な治療薬になりうるものと期待がかかる。また、慢性骨髄性白血病および特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬であるIclusigの獲得で、武田薬品の血液がん分野の強固なフランチャイズが拡大する。 Iclusigは上市済みであり、売上伸長の持続が見込まれていることから、ただちに武田薬品の売上収益に貢献する。臨床試験段階の薬剤であるbrigatinibは年間10億米ドルを超える売上を達成できるポテンシャルを有しており、売上収益に長期的に貢献する。brigatinib は2017年の前半に米国にて承認される見込み。また、Iclusigやbrigatinibのみならず、ARIAD社が有する標的キナーゼに関する専門技術は臨床応用に通じるトランスレーショナル・サイエンスと結びついており、さらなる長期的な貢献をもたらすパイプラインを生み出す可能性も期待できるという。武田薬品工業ニュースリリースはこちら

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EGFR T790Mの血漿検査結果を提供:アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)は、2017年1月5日より、タグリッソ 40mg/80mg(一般名:オシメルチニブメシル酸塩、以下、タグリッソ)のコンパニオン診断薬 コバスEGFR変異検出キットv2.0(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いたT790M血漿検査結果の倫理提供(T790M血漿検査結果提供プログラム)を開始すると発表した。 この取り組みは、既存の腫瘍組織採取によるT790M遺伝子変異検査の実施が困難なEGFR-TKI耐性患者の緊急の治療ニーズを支援する倫理的観点から、2016年12月26日に薬事承認されたコバスEGFR変異検出キットv2.0によるT790M血漿検査が保険適用されるまでの期間、タグリッソが納入または採用されている医療施設に限定して、アストラゼネカがT790M血漿検査結果を無償提供するもの。 タグリッソは、治療開始前に十分な経験を有する病理医または検査施設において、患者のEGFR T790M変異陽性を確認する必要がある。検査にはコンパニオン診断薬 コバスEGFR変異検出キットv2.0、以下、T790M検査が用いられるが、現在本邦での保険適用は組織検体による検査のみである。そのため、再生検による腫瘍組織採取の侵襲性から組織採取が困難な場合があり、EGFR-TKI耐性獲得患者のおよそ40%が、T790M組織検査を受けられず、治療機会を逸してしまう可能性があるという。プログラム実施概要 名 称:T790M血漿検査結果提供プログラム 開始日:2017年1月5日 終了日:コバスEGFR変異検出キットv2.0を用いたT790M血漿検査の保険適用日前日   (予測困難な諸般の事情により、やむを得ず本プログラムを中止することがある) 対象施設:以下のいずれかの要件を満たす施設  1. タグリッソが納入されている施設  2. タグリッソが薬事審議会等の院内規定に基づいて正式採用   または仮採用(臨時採用等含む)されている施設 対象患者 :以下のすべての要件を満たす患者  1. EGFR-TKIに抵抗性の手術不能又は再発非小細胞肺がん患者  2. 腫瘍組織の採取(再生検)が困難なため、T790M組織検査を実施できない患者  3. T790M血漿検査を用いた臨床研究等により、検査費用が負担されていない患者アストラゼネカ株式会社プレスリリースはこちら

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第3世代TKIの登場と肺がん再生検の現状

 EGFR-TKIはEGFR活性変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の1次治療薬である。しかし、初期の効果にもかかわらず、1~2年で耐性が発現し病勢進行にいたる。その耐性の60%を占める新たな変異は790Mをも標的とする第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが本邦でも登場した。この新たなTKIの適正な使用には再生検などによるT790Mの特定が必要である。本邦の再生検では、経気管支組織による採取が一般的だが、腫瘍病巣へ到達の困難さや、侵襲性などにより、その成功率は制限される。 この研究は、本邦における進行・転移NSCLCにおける再生検の状況および成功率の調査を目的として、九州がんセンター 野崎要氏らにより行われた、本邦28施設による多施設後ろ向き観察試験である。再生検の結果・患者の年齢中央値は63歳、395例の再生検例が評価された。・再生検の成功率は79.5%であった。・経皮的生検の成功率は88.5%、経気管支生検の成功率は73.9%であった。・転移巣での成功率は85.1%で、他の部位より優れていた。・採取部位は原発巣55.7%、転移巣30.6%、所属リンパ節12.7%であった。・採取方法は経気管支組織生検が最も多く、62%を占めた。・再生検に関連した合併症は5.8%でみられ、もっとも多かった事象は気胸であった。初回生検と再生検の差異・採取部位は初回生検と再生検の間で差がみられ、転移巣が初回生検の9.1%から再生検で30.6%へ、区域リンパ節が7.1%から前出の12.7%へと比率が高まった。・採取方法についても初回生検と再生検で差がみられ、外科的切除が初回生検の1.8%から再生検で7.8%へ、経皮的組織生検が7.6%から29.1%に増加した。再生検でのT790Mの発現状況・再生検でのT790M変異は約半数に確認された。・T790Mの誘導を初期EGFR変異で層別化すると、Del19変異患者の55.6%、L858R変異患者の43.0%で起こった。・T790Mの誘導を初期治療のEGFR-TKI別で層別化すると、ゲフィチニブ単独例では52.8%、エルロチニブ単独では48.0%、と両剤で有意な差はみられなかった。一方、例数が少ないもののアファチニブ単独では20.0%であった。 オシメルチニブの登場で、再生検に注目が集まっている。今回の試験から得られた知見は、第3世代EGFR-TKIの臨床使用に際し、重要な情報となるであろう。

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オシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会

 第57回日本肺癌学会プレナリーセッションにて、EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの第III相試験AURA3について、第17回世界肺癌学会議(WCLC)で発表された主要結果とともに日本人サブ解析の結果を、愛知がんセンターの樋田豊明氏が発表した。 AURA3試験は、1次治療のEGFR-TKIで進行したT790M変異陽性のNSCLCに対し、オシメルチニブとプラチナベース化学療法とを比較した無作為化比較試験。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)である。 全体集団のPFSは、オシメルチニブ群10.1ヵ月、化学療法群4.4ヵ月(HR:0.30、p<0.001)と、オシメルチニブ群で有意に延長した。日本人集団においては、オシメルチニブ群で12.5ヵ月(95%CI:6.9~NC)、化学療法群では4.3ヵ月(95%CI:4.0~6.7)と、全体集団と同じくオシメルチニブ群で延長した(HR:0.27、95%CI:0.13~0.56)。オシメルチニブは、中枢神経系においても効果を発揮することが示されている。当試験での脳転移例におけるPFSは、オシメルチニブ群8.5ヵ月、化学療法群4.2ヵ月(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)と、オシメルチニブ群で優れていた。ちなみに、脳転移のない例においては、オシメルチニブ群10.8ヵ月、化学療法群5.6ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.29~0.55)。 Garde3以上の有害事象の発現率は、全体集団ではオシメルチニブ群で23%、化学療法群で47%であった。日本人集団ではオシメルチニブ群32%、化学療法群68%、と全集団と同様にオシメルチニブ群で少なかった。その中で、オシメルチニブ群の間質性肺疾患の発現は、全体集団では10例(Grade3以上は1例)、日本人集団では3例(Grade3以上は0)であった。 ディスカッサントである和歌山県立医科大学の山本信之氏は以下のように論述した。 今回のAURA3の日本人サブ解析の結果は、有効性についても有害事象についても、第II相試験の結果を踏襲するものである。オシメルチニブはT790M変異陽性NSCLCに対する標準治療として確立されたといえる。さらに、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療としての効果も期待される。このセッテイングにおいても、早期臨床試験で良好な結果が示されており、今後発表される第III相試験でも同様の良好な結果が示される可能性がある。しかし、耐性評価のための再生検については問題が残る。現状、T790Mは組織生検で評価するが、組織からのサンプル採取は容易ではない。自施設の経験では、4例に1例は複数回の生検を行っており、他科に組織採取を依頼せざるを得ない症例も少なくない。PDからオシメルチニブ投与の開始までの時間もかかる。リキッドバイオプシーの早期保険償還を期待したいと、同氏は述べた。参考AURA3試験(ClinicalTrials.gov)関連ニュース記事【ジャーナル四天王】オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJMオシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験T790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

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