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ctDNA変異解析サービス、国内でも提供開始

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒)は、Digital PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法BEAMing技術(Bead Emulsion Amplification and Magnetics)を用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異を解析する「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」について、従来のドイツ、アメリカに加えて、新たに神戸医療産業都市(ポートアイランド)内「シスメックス IMPラボラトリー」における提供を開始すると発表した。 近年、がんなどの診断や治療法選択において、生体検査(バイオプシー)の代替として、血液・体液などを用いたリキッドバイオプシーによる低侵襲な検査のニーズが高まっている。リキッドバイオプシーの中でも、ctDNA変異解析は分子標的治療薬の効果予測や薬剤耐性のモニタリングなどに有用な指標とされており、臨床有用性の早期確立と臨床検査としての実用化に期待が寄せられている。 シスメックスは個別化医療に向けたリキッドバイオプシー技術の関連技術を有するアイノスティクス社(現 シスメックス アイノスティクス)を子会社化し、BEAMing技術を用いたctDNAの検出について、多数の研究機関、大学、医療機関との臨床研究や、製薬企業との分子標的治療薬開発の臨床試験などを経て多くの臨床エビデンスを蓄積。日本国内の研究機関や大学に対しては、同社のドイツ、アメリカ拠点にて「OncoBEAM受託アッセイサービス」を提供してきた。 シスメックスは今回、神戸医療産業都市(ポートアイランド)の伊藤忠メディカルプラザ内の「シスメックスIMPラボラトリー」において、シスメックス アイノスティクスとの連携のもと、研究機関、大学、医療機関、製薬企業などを対象に、BEAMing技術を用いたctDNA変異解析「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」の提供を2017年12月8日より開始した。これにより、国内の検体輸送にかかる負担軽減と、より迅速な結果報告が可能となる。 まずは、肺がん領域において、主要バイオマーカーとして注目されているEGFR遺伝子変異を対象項目としてサービスを開始し、今後、順次項目拡大を予定している。■参考シメックス株式会社ニュースリリース

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EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん治療にオシメルチニブをどう用いるのか?(解説:小林 英夫 氏)-781

 切除不能な非小細胞肺がんの治療は近年大きく進歩し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の変異を示す肺がんの治療にEGFR-チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の有効性が確立された。本邦では、4薬のEGFR-TKIが肺がんに使用可能である。その中でオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は第3世代に位置付けられ、以前のEGFR-TKIに耐性であるEGFR T790変異を呈す肺がんにも効果があることを特徴とする。日本での保険適用はこのEGFR T790変異を確認した症例だけであり、2017年12月時点では1次(初回)治療の適応は取得していない。 今回のFLAURA試験は、未治療EGFR変異肺がんに対する、第1世代EGFR-TKIでありすでに標準治療と位置付けられているゲフィチニブまたはエルロチニブ投与群と、オシメルチニブ投与群との、第III相無作為化二重盲検試験である。主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)で、オシメルチニブ群18.9ヵ月、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月と有意差が示された。またGrade3以上の有害事象は、標準EGFR-TKI群(45%)よりオシメルチニブ群(34%)が低かった。EGFR-TKIの効果には人種差があることが知られ、今回の症例の約6割は日本人を含むアジア人であった。 さて、本試験に示されたPFS延長と有害事象減少はある程度予想された結果で、今後も同様の成績が確認されると思われる。そしてこの試験に基づき、2017年11月末にアストラゼネカ社は日本での1次治療適応承認を目指したいとプレス発表している。次の課題は、もしオシメルチニブが切除不能肺がんの1次治療に適応を取得したら、1次治療としてただちに投与するのか、それとも第2世代までのEGFR-TKIを先行し無効になった時点で切り替えるのか、いずれの選択が適切なのかをこれから検討しなければならない。本試験発表前ではあるが、日本肺癌学会肺癌診療ガイドライン2017年案(暫定版)では、保険適用を遵守しオシメルチニブを2次治療に位置付けている。現在の保険適用をクリアするには肺がんを再生検しT790陽性を証明しなければならないが、その証明はなかなか難しい。生検以外にリキッドバイオプシーと称される血液検査も普及しつつあるが、まだ精度不十分な状況にとどまっている。医療経済的にはタグリッソは1日約2万4千円、イレッサの4倍弱、タルセバの約2倍である。EGFR-TKIは肺がん診療に不可欠であるが、各薬剤をどう使い分けるのかについてはまだ十分な結論が得られていないように思われる。

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日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)

 進行がん患者では、除脂肪体重を主体とする体重減少と食欲不振といった形で表れる悪液質がよくみられる。悪液質を有する日本のがん患者において、新たな選択的グレリン受容体アゴニストであるanamorelin(ONO-7643)の有効性と安全性を検討したONO-7643-04試験の結果が、先端医療センター研究所 片上 信之氏らによりCancer誌に発表された。 ONO-7643-04試験は、日本人の悪液質合併非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、anamorelinとプラセボを比較した無作為化二重盲検試験。・対象患者:Stge III~IV NSCLC患者174例・試験薬:アナモレリン(100mg)12週間連日経口投与・対象薬:プラセボ12週間連日投与・評価項目:主要評価項目は除脂肪体重のベースラインから変化。副次評価項目は、食欲、体重、QOL、握力、6分間歩行の変化 主な結果・除脂肪体重のベースラインからの最小二乗平均変化は、anamorelin群1.38±0.18、プラセボ群-0.17±0.17kgであった(p

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atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのatezolizumab併用の有効性と安全性を評価した第Ⅲ相試験IMpower150の結果が、スイス・ジュネーブで開催されたESMO Immuno Oncology Congress 2017で、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorfのM. Reck氏より発表された。 IMpower150試験には、全体で1202例が登録され、A~Cの3群のうちいずれかに無作為に割り付けられた。A群:化学療法+atezolizumab、B群:化学療法+atezolizumab+ベバシズマブ、C群:化学療法+ベバシズマブ。主要評価項目は、EGFR または ALK遺伝子変異陰性の ITT(intention-to-treat)解析集団、ならびにエフェクターT細胞の関連遺伝子発現(Teff)患者を含む集団における無増悪生存期間(PFS)、ITT解析集団における全生存期間(OS)である。今回発表されたのはB群とC群の比較結果の一部で、データカットオフは2017年9月15日、追跡期間最少値は9.5ヵ月であった。 ITT解析集団にはB群356例、C群336例が登録され、Teff集団にはB群155例、C群129例が登録された。ITT解析集団およびTeff集団におけるPFS中央値は、8.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.0001)および11.3ヵ月vs. 6.8ヵ月(HR:0.51、95%CI:0.38~0.68、p<0.0001)であった。PD-L1陰性患者におけるHRは0.77(95%CI:0.61~0.99)であり、PD-L1の発現状態にかかわらず、atezolizumab併用群でPFSの延長が認められた。なお、B群とC群の安全性プロファイルは同等で、重篤な治療関連有害事象の発現は25%vs. 19%であった。 スイス・Centre Hospitalier Universitaire Vaudois (CHUV)のS.Peters氏は本結果に対し、「PD-L1またはエフェクターT細胞の関連遺伝子の発現状態によらず、免疫療法と化学療法の組み合わせが有効であったことは非常に重要。来年には、進行NSCLC患者への一次治療として、化学療法と免疫療法の併用、または2種類の免疫療法の組み合わせによる治療の有効性を評価したいくつかの他の試験結果が発表される予定で、どの戦略が最善であるかを判断していくことになるだろう」と述べている。■参考ESMO Immuno Oncology 2017プレスリリースIMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumab+ベバシズマブ+化学療法、進行肺がん1次治療のPFS改善(IMpower150)/ロシュatezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

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DOACエドキサバン、がんの血栓症で低分子ヘパリンに非劣性

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は2017年12月13日同社のニュースリリースで、抗凝固薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)による、がん合併静脈血栓塞栓症(VTE)患者を対象としたHokusai-VTE CANCER試験の結果において、エドキサバンが標準治療薬である低分子量ヘパリンのダルテパリン(国内未承認)に対して有効性および安全性に係わる主要評価項目において非劣性を達成したと発表。 本試験の結果は、米国ジョージア州アトランタで開催した第59回米国血液学会(ASH)年次総会のlate breaking sessionで発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載された。  Hokusai-VTE CANCER試験は、欧米を中心とする海外13ヵ国において、がんを合併したVTE患者1,050名を対象に、1日1回経口投与のエドキサバンまたは1日1回皮下注射のダルテパリンを12ヵ月間投与し、両剤の有効性(VTEの再発)および安全性(重大な出血)を比較したもの。  本試験の主要評価項目(VTEの再発および重大な出血の複合発現率)において、エドキサバン群は12.8%(522名中67名)、ダルテパリン群は13.5%(524名中71名)、リスク差(エドキサバン群の発現率-ダルテパリン群の発現率)は-0.7%となり、エドキサバンのダルテパリンに対する非劣性が検証された。リスク差(-0.7%)の内訳は、VTEの再発のリスク差は-3.4%、重大な出血のリスク差は2.9%であった。特に重篤度の高い重大な出血(重篤度カテゴリー3~4)の発現数はエドキサバン群で12名、ダルテパリン群で12名であった。 VTEは、がん患者において2番目に多い死亡原因となっている。現在、がんを合併したVTE患者の欧米における治療ガイドラインは、標準治療として低分子量ヘパリン(皮下注射)の6ヵ月以上の投与を推奨しているが、服薬アドヒアランス上の未充足ニーズがある。■関連記事リクシアナ効能追加、静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢DOAC時代のVTE診療の国内大規模研究、再発リスクの層別化評価と出血リスク評価の重要性が明らかに/日本循環器学会

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“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。世界における新型タバコの状況 横浜で行われた世界肺癌学会(WCLC)では、米国・Human Rights and Tobacco Control NetworkのCarolyn M Dresler氏が「Current Status of Smoking Cessation」と題し、新型タバコを取り巻く世界の状況を紹介した。 電子タバコは、ニコチンを含むENDS(Electronic Nicotine Delivery Systems)とニコチンを含まないENNDS(Electronic Non-Nicotine Delivery Systems)に分かれる。電子タバコの規制については、国際的にもいまだに統一されていない。オーストラリア、シンガポール、カナダでは禁止されている一方、英国では従来型タバコからの切り替えを目的として使用を推奨している。日本では、ニコチンを含まないものに限り認められている。 HNBはその名の通り、タバコ葉を燃焼温度以下に加熱し(あるいは加熱発生させたエアロゾルをニコチン粉末に通過させて)、ニコチンを含むエアロゾルを肺内に送達するもの。フィリップ モリス インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、JT(日本たばこ)インターナショナル(JTI)など世界の大手タバコ企業が競って、製品の開発と普及に力を注ぐ。PMIのアイコス、BATのiFuse(本邦ではグロー)、JTIのプルーム・テックがあり、いずれの製品も非常に好調な販売状況である。本邦においてもその好調ぶりは同様で、アイコスは2015年11月のオンライン上での発売開始から、2017年5月現在、市場シェアの8.8%を占めるまでに拡大しているという。PMIのCEO:Andre Calantzopoulos氏はNikkei Asian Reviewで「販売数から推定すると、論理的には5年間で転換点に達する。そこが、現状の燃焼系タバコの段階的廃止を政府と話し合う時期になるだろう」と述べている。 新型タバコの健康への影響はどうか。これについては、「議論の余地が残るところであり、さまざまなシステマティックレビューが発表されている」とDresler氏は述べた。同氏が紹介した米国国立がん研究所(NCI)による電子タバコ使用者の尿中の分析では、PHA、NNK、アクロレインといった有害物質は従来のタバコに比べ著明に減少している。しかし、ニコチンについては従来型タバコと差異がなかった。HNBについては、製造企業であるPMIによるアイコス使用5日および90日の有害物質の曝露結果が紹介された。その研究では、カーボンモノオキサイド、アクロレイン、ベンゼンなどの有害物質は禁煙者と同等の減少を示すという結果を公表している。 また、ニコチンを含む新型タバコが、喫煙者の喫煙行動に影響を与えるのか。この問題も議論の余地が残るところであるが、Dresler氏が紹介した2014~15年の全米タバコ調査(Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)における、電子タバコ使用者と禁煙者の比較分析では、電子タバコ使用者と非使用者の3ヵ月時点での禁煙成功率は、電子タバコ使用者では8.2%、非使用者では4.8%と、電子タバコ使用者のほうが高い結果を示した。新型タバコの普及を憂慮する意見も多数 このような新型タバコの役割に期待する考えと共に、憂慮する意見も数多くある。日本呼吸器学会は新型タバコの国民の健康に対する影響や社会的影響について、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解」を公式ホームページに掲載した。その内容は以下のとおり。 従来のタバコの代替品として新型タバコを推奨する考え方があるが、新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性については現時点では明らかでなく、科学的証拠が得られるまでには、かなりの時間を要し、「現時点では推測にすぎない」。新型タバコは、煙が出ない、あるいは煙が見えにくいとされているが、特殊なレーザー光を照射すると大量の“見えにくいエアロゾル”を呼出している。この呼出煙中には燃焼タバコと同レベルのニコチンや数倍の有害物質が含まれているとの報告があり、「新型タバコの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性がある」としている。また、新型タバコの受動喫煙については、健康リスクの科学的証拠を得るには時間がかかるが、「使用者の呼出したエアロゾルが周囲に拡散するため受動喫煙による健康被害が生じる可能性がある」。「従来の燃焼式タバコと同様に、公共の場所、公共交通機関での使用は認められない」との見解を示した。 日本対がん協会の望月友美子氏も、新型タバコの広がりに懸念を示す。同じく世界肺癌学会(WCLC)のプレスセミナーにて以下のように述べた。 日本では近年、HNB製品が急速に広がりを示している。日本には多くの禁煙クリニックがあるが、アクセスが限定されており費用も高い。新型タバコ使用者は、禁煙クリニックに行く代わりに、コンビニエンスストアで簡単に手に入るHNB製品を購入することができる。これが禁煙活動の拡大を妨げてしまう可能性が懸念されるという。望月氏はまた、新型タバコの公共喫煙規制に対する問題点にも触れた。本邦で検討している受動喫煙防止法の議論の中に、新型タバコは含まれていない。東京都で定めた18歳未満の子どもの受動喫煙防止を求める「子どもを受動喫煙から守る条例」では、HNBも規制対象にしているが、全国で一定の基準はなく、地域により対応はさまざまである。この点についても、「後戻りができなくなる前に、新型タバコの取り扱いに対する厳格な規定を作る必要がある」と望月氏は述べた。■参考米国国立がん研究所(NCI)による電子たばこの研究フィリップ モリス インターナショナル社の研究全米たばこ調査による分析結果PMI CEO Andre Calantzopoulos氏インタビュー(Nikkei Asian Preview)非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解日本呼吸器学会の見解中に引用されているWHOの報告書東京都子どもを受動喫煙から守る条例

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悪性胸水への胸腔カテーテル留置とタルク胸膜癒着術に有意差/JAMA

 悪性胸水を有する患者に対し、胸腔カテーテル留置法はタルク胸膜癒着術と比べて、治療から死亡に至る間の入院日数を有意に短縮するが、両者の差は臨床的に意義のあるものではないことが、オーストラリア・サー・チャールズ・ゲアードナー病院のRajesh Thomas氏らによる非盲検無作為化試験「AMPLE試験」の結果、示された。胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術は、悪性胸水を有する予後不良の患者の治療として確立している。著者は、「今回の結果は、患者が悪性胸水の治療法を選択するのに役立つ情報となるだろう」と述べている。JAMA誌2017年11月21日号掲載の報告。胸腔カテーテル留置法とタルク胸膜癒着術に無作為に割り付け 研究グループは、悪性胸水を呈した患者の残された時間において、胸腔カテーテル留置法がタルク胸膜癒着術よりも、病院で過ごす時間を減らせるかについて検討した。 2012年7月~2014年10月に、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港の9施設で、症候性の悪性胸水を有する患者を登録して行われた。被験者を無作為に1対1の割合で、胸腔カテーテル留置法を受ける群またはタルク胸膜癒着術を受ける群に割り付け、悪性腫瘍(中皮腫 vs.その他)、trapped lungの認否で最小化し、試験地域(オーストラリア vs.アジア)による層別化も行った。フォローアップ期間は12ヵ月であった(最終フォローアップは2015年10月16日)。 主要エンドポイントは、処置から死亡に至るまで、または12ヵ月時点までに病院で過ごした全日数。副次アウトカムは、胸膜ドレナージの介入追加、患者が申告した呼吸困難、EQ-5D質問票スコアやVASスコアなどで測定したQOLの程度、有害事象などであった。胸腔カテーテル留置法群とタルク胸膜癒着術群に有意差 146例(年齢中央値70.5歳、男性56.2%)が無作為化を受けたが、intention-to-treat解析には、介入前に離脱した両群1例ずつを除外した144例(胸腔カテーテル留置法群73例、タルク胸膜癒着術群71例)が包含された。右肺に施術を受けたのは胸腔カテーテル留置法群59%、タルク胸膜癒着術群53%、中皮腫が原因であった患者は各群27%、25%、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコア0~2は72%、74%など、両群のベースライン特性は良好に適合していた。 病院で過ごした全日数は、胸腔カテーテル留置法群が中央値10日(IQR:3~17)、タルク胸膜癒着術群が同12日(同:7~21)で、統計的有意差が認められた(推定差:2.92日、95%信頼区間[CI]:0.43~5.84、p=0.03)。その要因は主に、悪性胸水に関連した入院日数の有意差にあり、胸腔カテーテル留置法群1日(IQR:1~3日)、タルク胸膜癒着術群4日(同:3~6)で、両群のHodges-Lehmann(HL)法による推定差は2.06日(同:1.53~2.58)であった(p<0.001)。また、同側胸膜ドレナージの実施も、胸腔カテーテル留置法群(4.1%)がタルク胸膜癒着術群(22.5%)よりも有意に少なかった(率差:0.18、95%CI:0.08~0.29、p=0.001)。 息苦しさやQOLについて、群間の有意差は認められなかった。有害事象は両群ともに認められ、胸腔カテーテル留置法群22例(30%)で30件、タルク胸膜癒着術群13例(18%)で23件が報告された。

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欧州医薬品局もオシメルチニブのEGFR変異肺がん1次治療の適応申請を受理

 AstraZenecaは2017年11月28日、本邦に続き、欧州医薬品局が、未治療のEGFR変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の市販承認申請を受理したと発表した。 この市販承認申請は、上記患者において、オシメルチニブが現在の1次治療EGFR-TKIであるエルロチニブまたはゲフィチニブと比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を改善した第III相FLAURA試験のデータに基づくもの。■参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースFLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカオシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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ペムブロリズマブ、古典的ホジキンリンパ腫に国内承認

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2017年11月30日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する効能・効果を追加する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。 ペムブロリズマブは、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の患者を対象とした国際共同第II相臨床試験(KEYNOTE-087試験)において、有効性および安全性を示した。 ペムブロリズマブは、国内で根治切除不能な悪性黒色腫およびPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認を取得している。また、2017年4月28日に局所進行性又は転移性の尿路上皮がんに対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。さらに、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中。海外では、米国を含む50ヵ国以上で承認を取得しており、世界で600以上の臨床試験で30種類以上のがんの検討が行われている。■参考MSD株式会社プレスリリース■関連記事ペムブロリズマブ、難治性の古典的ホジキンリンパ腫に承認:FDA

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オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は2017年11月27日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)に関し、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、本邦における製造販売承認事項一部変更承認を申請したと発表。 本申請は、第III相FLAURA試験の結果に基づき行われた。FLAURA試験は、治療歴のない局所進行あるいは転移性EGFR変異非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として実施され、オシメルチニブ投与群は、現在の標準1次治療であるEGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフィチニブ投与群と比べて、無増悪生存期間中央値の延長を示した(18.9ヵ月対10.2ヵ月、HR:0.46、p<0.001)。 これらの改善は、脳転移の有無に関するサブグループを含む、事前に既定したすべてのサブグループにおいて認められた。全生存期間(OS)中央値は、イベント発現割合25%の初期データにおいて、臨床的に意義のある改善を示した。オシメルチニブ投与群は、既存の標準1次治療群と比較して2倍以上の奏効期間中央値を示し、優れた客観的奏効率を示した。また、良好な忍容性を示し、その安全性プロファイルは過去に得られているデータと一貫していた。 欧米と比べ、日本を含むアジアではEGFR変異が多く、NSCLC全体の約30~40%にみられる。本邦におけるStageIVのEGFR変異NSCLCの5年生存率は、14%未満にとどまるが、将来的に本適応が承認されれば、より多くの患者がより長い奏効期間を1次治療から期待できようになる。 本邦におけるオシメルチニブの現在の適応は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースFLAURA試験(New England Journal of Medicine)FLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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英国で心不全の発生率は低下するも疾病負荷は増大/Lancet

 心不全の発生率は緩やかに低下しているにもかかわらず、英国では心不全の疾病負荷が増加しており、最も多いがん4種(肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん)の合計と同じであった。英国・オックスフォード大学のNathalie Conrad氏らが、400万人に及ぶ地域住民を対象とした大規模コホート研究の結果、報告した。資源計画や研究の優先順位付けには、心不全の発生に関する大規模かつ最新の地域住民に基づいた研究が必要だが、エビデンスが不足していたことから、今回の検討を行ったという。Lancet誌オンライン版2017年11月21日号掲載の報告。英国のプライマリケア400万人のデータを解析 研究グループは、年齢および性別の点で英国を代表する大規模コホートであるプライマリケアのデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)を用い、400万人の電子健康記録を解析した。 適格患者は、2002年1月1日~2014年12月31日の期間に、CPRDの品質管理に準じた十分な記録がなされ、CPRDとHES(Hospital Episodes Statistics)との連携が承認され、一般診療に12ヵ月以上登録された16歳以上の患者である。このうち、心不全を発生した患者(診断後2年以内)について、ベースライン時の特性(血圧、喫煙歴、BMI)の最新測定値、ならびに併存疾患、社会経済状態、民族性、地域に関する情報を電子健康記録から抽出した。2013年の欧州の標準人口(2013 European Standard Population)を用いて年齢および性別による標準化率を算出し、英国国勢調査の推計年央人口に、歴年、年齢および性別特異的発生率を適用して粗率を推定した。15歳以下に関しては、心不全はないと仮定し、全年齢(0歳以上)についての総発生率および有病率を報告した。2002~14年で心不全発生率は7%低下するも、新規患者12%増、有病者数23%増 年齢および性別で標準化した心不全発生率は、男女間では類似しており、2002年から2014年までで7%低下した(2002年:358例/10万人年→2014年:332例/10万人年、補正後発生比:0.93、95%信頼区間[CI]:0.91~0.94)。 一方、英国で新たに心不全と診断された患者の推定絶対数は、主として人口増加や高齢化により12%増加し(17万727例→19万798例)、心不全の推定絶対有病者数はさらに多く、23%増加した(75万127例→92万616例)。 また、心不全初回発生時の年齢は上昇し(平均年齢±SD:76.5±12.0歳→77.0±12.9歳、補正後差:0.79歳、95%CI:0.37~1.20)、併存疾患数も増加がみられた(平均疾患数±SD:3.4±1.9→5.4±2.5、補正後差:2.0、95%CI:1.9~2.1)。 社会経済的に恵まれない患者は、富裕な患者より心不全を発症しやすく(罹患率比:1.61、95%CI:1.58~1.64)、最も富裕な患者よりも早期に心不全を発症する傾向にあった(補正後年齢差:-3.51歳、95%CI:-3.77~-3.25)。心不全初発年齢時の社会経済的な差は2002年から2014年にかけて拡大し、社会経済的に恵まれない患者は年齢が若くとも、より多くの疾患を有するようになっていた。

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EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ vs.標準治療/NEJM

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ、1次治療適応は申請中)は現行標準治療薬のEGFR-TKIに比べ、有効性において優越性を示し、安全性プロファイルは同等で、重篤有害事象の発生頻度は有意に低いことが示された。フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行った第III相無作為化二重盲検試験「FLAURA試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年11月18日号で発表された。オシメルチニブは第3世代の経口不可逆的EGFR阻害薬で、EGFR-TKI感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を選択的に阻害する。オシメルチニブ vs.ゲフィチニブまたはエルロチニブを比較 FLAURA試験は、2014年12月~2016年3月に29ヵ国132施設で行われた。未治療のEGFR変異陽性NSCLC患者(エキソン19欠損変異、L858R変異)556例を無作為に2群に分け、一方にはオシメルチニブ(80mg/日、279例)を、もう一方には標準EGFR-TKI(ゲフィチニブ250mg/日またはエルロチニブ150mg/日、277例)を投与し比較検討した。 主要エンドポイントは、研究者評価による無増悪生存期間(PFS)だった。PFSはオシメルチニブ群18.9ヵ月、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月 PFS中央値は、標準EGFR-TKI群10.2ヵ月に対し、オシメルチニブ群18.9ヵ月と有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.37~0.57、p<0.001)。 客観的奏効率は、標準EGFR-TKI群76%に対しオシメルチニブ群80%と両群で同等だったが(オッズ比[OR]:1.27、95%CI:0.85~1.90、p=0.24)、奏効期間中央値が標準EGFR-TKI群8.5ヵ月(95%CI:7.3~9.8)に対し、オシメルチニブ群は17.2ヵ月(同:13.8~22.0)と長かった。 中間解析の時点において全生存(OS)に関するデータは未成熟だったが(成熟度25%)、18ヵ月時点の生存率は、標準EGFR-TKI群71%(95%CI:65~76)に対し、オシメルチニブ群は83%(95%CI:78~87)であった(死亡に関するハザード比:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007[中間解析は有意差なし])。 Grade3以上の有害事象は、標準EGFR-TKI群(45%)よりもオシメルチニブ群(34%)で発現頻度が低かった。

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atezolizumab+ベバシズマブ+化学療法、進行肺がん1次治療のPFS改善(IMpower150)/ロシュ

 スイス・ロシュ社は2017年11月20日、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、抗PD-L1抗体atezolizumabの第Ⅲ相試験IMpower150の結果を発表した。試験の結果、atezolizumabとベバシズマブおよび化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)の併用は、ベバシズマブと化学療法の併用と比較して、複合主要評価項目の1つ無増悪生存期間を有意に改善したと発表した。具体的な数値は発表されていない。 また、同じく主要評価項目である全生存期間(OS)について、初期解析では未達成であるが、期待が持てるものだとしている。OS解析の結果は2018年前半に予定されているとのこと。 atezolizumabとベバシズマブおよび化学療法併用の安全性は、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。IMpower150試験の結果は、2017年12月7日からスイスのジュネーブで開催されるESMO Immuno Oncology Congress 2017で発表される。■参考ESMO Immuno Oncology Congress 2017IMpower150試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC非小細胞肺がんへのatezolizumab、OAK試験の日本人解析/日本肺癌学会2017抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

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オシメルチニブ、CNS転移の進行リスク低減を確認:FLAURA

 AstraZeneca社(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)は2017年11月18日、シンガポールで開催されたESMOアジア2017で、中枢神経系(CNS)転移に対する有効性についての第III 相FLAURA 試験のサブグループ解析の結果を発表。EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、オシメルチニブ(同:タグリッソ)が、エルロチニブ(商品名:タルセバ)またはゲフィチニブ(同:イレッサ)による標準治療と比較して、CNS病勢進行リスクを低減させたことが明らかになった。 本解析の対象は、独立盲検中央判定によるベースラインスキャンで1つ以上の測定可能および/または測定不能のCNS病変の存在が認められた患者128例(FLAURA 試験全患者の23%、オシメルチニブ群:61例および標準治療群:67例)。CNS転移に対する有効性を両群で比較した結果、CNS 無増悪生存期間(PFS)はオシメルチニブ群で統計学的に有意な改善を示し、CNS病勢進行もしくは死亡のリスクについても50%以上低減した(ハザード比:0.48、95%信頼性区間[CI]:0.26~0.86、名目上のp値:0.014)。また、新たな CNS 病変によって病勢が進行した患者は、オシメルチニブ群でより少なかった(オシメルチニブ群vs.標準治療群:12% vs.30%)。CNS客観的奏効率(腫瘍縮小測定値)もオシメルチニブ群で66%と高く、標準治療群では43%だった(オッズ比:2.5、95%CI:1.2~5.2、p値:0.011)。 なお、同日FLAURA 試験の詳細結果がNew England Journal of Medicine(NEJM)オンライン版に掲出された。■参考AstraZeneca社プレスリリースFLAURA試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NCSLC1次治療における血漿サンプルEGFR変異検査の評価:FLAURA/WCLC2017オシメルチニブ、FLAURA試験の日本人サブグループ解析/日本肺癌学会2017HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017

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腫瘍変異負荷は小細胞がん免疫治療のバイオマーカーとなるか(CheckMate-032)/WCLC

 再発小細胞肺がん(SCLC)の治療選択肢は限られており、生命予後も不良である。固形がんにおけるニボルマブ±イピリムマブの第I相試験CheckMate-032の初回報告では、ニボルマブ・イピリムマブの併用はSCLCに対し、良好かつ持続的な効果を示し、この結果をもって、NCCNガイドラインに推奨されている。しかし、非小細胞肺がん(NSCLC)のバイオマーカーであるPD-L1は、この試験において治療効果との関連性は示しておらず、SCLCにおける免疫治療の明らかな効果予測バイオマーカーは明らかでない。SCLC免疫治療のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷(tumor mutation burden:TMB)の可能性 TMBは、ニボルマブによるNSCLCの1次治療試験であるCheckMate026試験において、ニボルマブの効果予測因子としての可能性を示しており、SCLCにおいてもバイオマーカーとして期待される。そのような中、SCLCのバイオマーカーを検討するために行われたCheckMate032試験の探索的研究の結果が、第18回世界肺癌会議(WCLC)で発表された。 この研究では、腫瘍および血液サンプルで全エクソンシークエンス(WES)を行い、TMBを高、中、低の3段階のコホートに分け評価した。TMB評価可能な患者は、合計211例でニボルマブ単独群133例、ニボルマブ・イピリムマブ併用群79例であった。ニボルマブ単独、イピリムマブ併用ともに高TMB患者で良好な予後示す ニボルマブ単独群全体の奏効率(ORR)は11.3%、低・中・高TMB患者ではそれぞれ、4.8%、6.8%、21.3%であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群のORRは全体で28.2%、低・中・高TMB患者ではそれぞれ、22.2%、16.0%、46.2%であった。 ニボルマブ単独群における1年無増悪生存(PFS)率の結果は、低・中・高TMB患者でそれぞれ、3.1%、NC、21.2%(PFSは1.3ヵ月、1.3ヵ月、1.4ヵ月)であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群における1年PFS率は低・中・高TMB患者ではそれぞれ、6.2%、8.0%、30.0%(PFSは1.5ヵ月、1.3ヵ月、7.8ヵ月)であった。 ニボルマブ単独群おける1年全生存(OS)率の結果は、低・中・高TMB患者でそれぞれ、22.1%、26.0%、35.2%(OSは3.1ヵ月、3.9ヵ月、5.4ヵ月)であった。ニボルマブ・イピリムマブ併用群における1年OS率は低・中・高TMB患者でそれぞれ、19.6%、23.4%、62.4%(OSは3.4ヵ月、3.6ヵ月、22.0ヵ月)であった。 低・中TMBコホートに比べ、高TMBコホートでは、ニボルマブ単独群、ニボルマブ・イピリムマブ併用群ともに、ORR、PFS、OSが改善した。高TMBコホートにおける効果の増加は、ニボルマブ・イピリムマブ併用患者で顕著に見られた。また、いずれのTMBコホートにおいても、ニボルマブ・イピリムマブ併用群が優れていた。この試験結果は、高TMBはSCLC患者におけるニボルマブ±イピリムマブの効果予測バイオマーカーとなる可能性を示唆しており、カットオフ値の設定など今後の研究が必要となるであろう。■参考CHECKMATE032試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブの恩恵を受けるのは腫瘍変異が高い症例?:CheckMate026探索的研究

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非喫煙女性の肺がんに飲酒が関連か

 生涯非喫煙者における肺がんの病因はほとんどわかっていない。スペイン・コルーニャ大学病院のJose A. Garcia Lavandeira氏らが、ケースコントロール研究のプール解析で、生涯非喫煙者における肺がんリスクにおける飲酒の影響を検討したところ、ワインと蒸留酒の摂取が、とくに女性で、肺がんリスクを増加させる可能性が示唆された。ただし、本研究の限界を考慮すると本結果を慎重にとらえるべき、と著者らは述べている。European journal of public health誌オンライン版2017年11月13日号に掲載。 本研究は、スペイン北西部で行われた6件の多施設ケースコントロール研究を統合した。ケース群、コントロール群とも、生涯非喫煙者であった。解剖病理学的に肺がんを確認した症例を選択し、参加者すべてに個別にインタビューした。2つの統計モデルグループについて、一般化加法モデルを用いた無条件ロジスティック回帰を適用した。1つはアルコール飲料の種類の影響を検討し、もう1つは各アルコール飲料の摂取量を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ケース群が438人、コントロール群が863人であり、年齢中央値はそれぞれ71歳と66歳であった。組織型は腺がんが多く、全症例の66%を占めていた。・アルコール飲料の種類別のオッズ比(OR)は、ワインが2.20(95%CI:1.12~4.35)、蒸留酒が1.90(同:1.13~3.23)、ビールが1.33(95%CI 0.82~2.14)であった。・女性では上記の結果と同様であったが、男性ではどのアルコール飲料でも明らかなリスクは認められなかった。・アルコール飲料別の用量反応分析では、明確なパターンが示されなかった。

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