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細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。 研究グループは、早期MF腫瘍細胞におけるCADM1の発現と、それがMFの診断マーカーとして評価されるかを調査する目的で、多施設共同後ろ向き研究を行った。 免疫組織化学染色を用いて、MFのCADM1の発現を確認した。それに加え、マイクロダイセクションにより得られたMFとISDの各標本のCADM1 mRNAの発現を比較した。 主な結果は以下のとおり。・MFは58例中55例(94.8%)がCADM1陽性であった。・ISDは50例すべてがCADM1陽性を示さなかった(p<0.0001)。・MF症例の真皮内リンパ球においてCADM1 mRNAの発現を確認したが、ISD症例では見られなかった。

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デュルバルマブ、切除不能StageIII非小細胞肺がんに国内承認/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年7月2日、「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果としたデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)の国内における製造販売承認を取得したことを発表。 切除不能なStage IIIの非小細胞肺がんは、同時化学放射線療法(CRT)による根治を治療目的としながらも、患者の89%はCRT後に病勢が進行、転移しており、5年生存率は15%と報告されている。本承認は第III相PACIFIC試験の無増悪生存期間(PFS)データに基づいている。 また、米国AstraZeneca社のプレスリリースによれば、2018年5月に発表された全生存期間(OS)の中間解析では、プラセボ投与群との比較でデュルバルマブ投与群において、臨床的に意味のある延長を伴う統計学的に有意な結果が示されたとのこと。この結果は今後の学会で発表される予定である。 アストラゼネカはまた、「保険外併用療養費制度」のもと、本剤の無償提供を実施する。無償提供は、適正使用の観点より、本剤開発治験実施医療機関等の限定された医療機関において、承認された効能・効果、用法・用量に従ってのみ使用すること、無償提供期間中に弊社が実施する市販直後調査に準じた活動を含む適正使用推進等の各種安全対策にご協力することを条件に実施する。提供は製造販売承認取得日以降に開始し、薬価収載前日に終了する。■関連記事durvalumab、切除不能StageIII NSCLCのOSを有意に改善(PACIFIC)durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

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小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018

 ペムブロリズマブは、PD-L1陽性固形がんに対するマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-028で、化学療法歴のある小細胞肺がん(SCLC)に対する有効性と高い忍容性が認められている。このKEYNOTE-028に続く試験として、SCLCを含む10種類とMSI-Hの固形がんを対象としたマルチコホート第II相試験KEYNOTE-158が行われた。そのSCLCの解析結果を、韓国・延世大学医学部延世がんセンターのHyun Cheol Chung氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験に登録されたSCLC患者は107例。患者は、3週ごとにペムブロリズマブ200mgを最大2年間投与された。追跡期間中央値は9.3ヵ月(0.5~22.3ヵ月)。前治療歴は1次治療が42%、2次治療が34%、3次治療以上が23%。PD-L1陽性は39%、陰性が47%、不明が14%であった。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性。 主要評価項目のORRは18.7%(95% CI:11.8~27.4%)。PD-L1発現状況別ORRは、陽性が35.7%(21.6~52.0%)、陰性が6.0%(1.3~16.5%)、MSI-H以外が91%を占めた。 副次評価項目は、全症例でのPFS中央値が2.0ヵ月(1.9~2.1ヵ月)。PD-L1発現状況別では陽性が2.1ヵ月(2.0~8.1ヵ月)、陰性が1.9ヵ月(1.6~2.0ヵ月)。また、全体のOS中央値8.7ヵ月(5.6~12.0ヵ月)、PD-L1陽性では14.9ヵ月(5.6ヵ月~未達成)、陰性が5.9ヵ月(3.3~10.1ヵ月)。DORは未達成。 治療関連有害事象の発現率は60%で、発現率10%以上のものは疲労感(14%)、皮膚掻痒(12%)、甲状腺機能低下症(12%)、食欲不振(10%)、悪心(10%)。Grade3~4の有害事象発現率は12%で、頻度が多かったものは急性膵炎(2%)だった。 ■参考ASCO2018Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、1次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は、化学療法歴のない術後再発あるいはStageIIIB~IVでPS 0~2のEGFR変異陽性NSCLCで、エクソン19欠失変異あるいはL858R点突然変異を有する患者。無症候性脳転移を有する症例は登録可能とした。患者は、ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)とエルロチニブ単独連日投与群(E群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 2015年6月3日~2016年8月31日に228例の患者が登録された(BE群、E群ともに114例)。追跡期間の中央値は12.4ヵ月で、PFS解析のデータカットオフ日は2017年9月21日。 主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9カ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3カ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.0157)。 副次評価項目のうち、ORRはBE群が72.3%、E群が66.1%、DCRはBE群が94.6%、E群が96.4%で両群間に有意差はなかった。 Grade3以上の有害事象発現率は、BE群が56.3%、E群が37.7%でBE群のほうが高かった。Grade3以上の有害事象としてはBE群でベバシズマブに関連する高血圧症が22.3%、蛋白尿が7.1%とE群に比べて有意に高い発現率(高血圧症はp<0.001、蛋白尿がp<0.01)だったが、その他はエルロチニブに伴う皮疹(BE群が20.5%、E群が21.1%)などで両群間に差はなかった。また、全GradeではBE群で出血が25.9%と、E群に比べて有意に高い発現率だった(p<0.001)。 これらの結果から、古谷氏は「エルロチニブとベバシズマブの併用療法はエルロチニブ単独に比べ有意にPFSを延長しており、EGFR陽性NSCLCの新たな標準治療と考えられる」との見解を示した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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dacomitinib、EGFR変異肺がん1次治療でOS延長(ARCHER1050)/ASCO2018

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で、第2世代EGFR-TKI dacomitinibとゲフィチニブを比較した、第III相無作為化オープンラベル試験ARCHER1050最終成績を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、香港中文大学のTony Mok氏が発表した。ASCO2017で発表された同試験の無増悪生存期間(PFS)解析では、dacomitinib群14.7ヵ月に対し、ゲフィチニブ群9.2ヵ月と、dacomitinib群で有意に良好な結果を示した(HR:0.59、p<0.0001)。ASCO2018では、全生存期間(OS)結果の発表で、追跡期間中央値は31.3ヵ月。・対象患者:EGFR変異陽性のStage IIIB/IV再発またはNSCLC患者(CNS転移患者は除外)・試験薬:dacomitinib 45mg/日(D群)・対照薬:ゲフィチニブ250mg/日(G群)・主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、OS、治験担当医師によるPFS、奏効率、奏効期間、治療成功期間、安全性、患者報告アウトカム。 主な結果は以下のとおり。・452例が登録され、D群227例とG群225例で解析が行われた。・OSは、D群34.1ヵ月に対しG群26.8ヵ月と、有意にD群で良好だった(HR:0.582、95%CI:0.582~0.993、p=0.0428)。・アジア人サブグループのOSは、34.2ヵ月対29.1ヵ月と、D群で有意であった(HR:0.812 、p=0.1819)。・有害事象は、下痢、爪周囲炎、ざ瘡様皮疹がD群で多くみられた。■参考ASCO2018 AbstractARCHER1050試験(Clinical Trials.gov)ARCHER1050試験(JCO)■関連記事dacomitinibによるEGFR変異肺がん1次治療のサブグループ解析:ARCHER1050/WCLC2017dacomitinib、EGFR変異陽性肺がん1次治療の成績発表:ARCHER1050試験/ASCO2017

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がん免疫療法の効果に男女差はあるのか

 これまでに、免疫系の応答には男女差があるという報告があるが、性別が免疫チェックポイント阻害薬の有効性に及ぼす影響については、ほとんど知られていない。今回、イタリア・European Institute of OncologyのFabio Conforti氏らは、免疫チェックポイント阻害薬の、男女間における効果の不均一性を評価するために、システマティックレビューとメタ分析を行った。結果、免疫チェックポイント阻害薬は、悪性黒色腫および非小細胞肺がんなどの進行がん患者の全生存期間を延長するが、効果の大きさは性別に依存することが明らかになった。Lancet Oncology誌2018年6月号に掲載。 著者らは、PubMed、MEDLINE、Embase、およびScopusにおいて、データベース開始~2017年11月30日の間で、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1またはCTLA-4阻害薬、もしくは両方)のランダム化比較試験を系統的に検索した。同様に、主要学会の議事録から抄録と発表をレビューした。そこから非ランダム化試験を除外し、英語論文のみで検討を行った。 検索で同定された7,133件の研究のうち、免疫チェックポイント阻害薬(イピリムマブ、tremelimumab、ニボルマブ、またはペムブロリズマブ)が投与され、患者の性別による全生存率を報告したランダム化比較試験は20件あった。全体で、進行がんまたは転移を有するがんの患者1万1,351例(男性7,646例:67%、女性3,705例:33%)が分析され、最も多いがん種は悪性黒色腫(3,632例:32%)および非小細胞肺がん(3,482例:31%)だった。 主な結果は以下のとおり。・男性において、免疫チェックポイント阻害薬群と、プラセボ群を比較して得られた全生存のハザード比は、0.72(95%CI:0.65~0.79)だった。・女性において、免疫チェックポイント阻害薬群と、プラセボ群を比較して得られた全生存のハザード比は、0.86(95%CI:0.79~0.93)だった。・免疫チェックポイント阻害薬による全生存期間の改善効果は、男性のほうが有意に高かった(p=0.0019)。 今回の結果より、著者らは、男性と女性で異なる免疫療法のアプローチを探るべきかもしれない、としている。

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扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法でPD-L1発現問わずOS、PFS改善(KEYNOTE-407)/ASCO2018

 転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1発現50%以上において、化学療法と比較して、有意に全生存期間(OS)を延長した。この有効性は扁平上皮、非扁平上皮ともに認められている。一方、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1発現状況にかかわらず、化学療法単独に比べ、有意なOS延長効果が認められている。この有効性が確認されているのは非扁平上皮においてのみであり、扁平上皮がんにおける、ペムブロリズマブと化学療法の併用の評価は次の課題といえる。 そのようななか、扁平上皮NSCLCへの化学療法に対するペムブロリズマブの上乗せ効果を比較する第III相試験であるKEYNOTE-407の結果をスペイン・Hospital Universitario 12 De OctubreのLuis G. Paz-Ares氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は未治療のStageIV扁平上皮NSCLC患者。登録患者は無作為にペムブロリズマブ200mg 3週ごと+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルあるいはnab-パクリタキセル)群とプラセボ+化学療法(パクリタキセル群と同一レジメン)群に割り付けられた。 いずれの群も治療を4サイクル実施後、ペムブロリズマブ+化学療法群ではペムブロリズマブ、化学療法単独群ではプラセボを単独で最大31サイクルまで維持療法として実施した。なお、化学療法単独群では試験実施中に病勢進行(PD)となった場合、ペムブロリズマブ200mgの3週ごとをオプションクロスオーバーとした。 主要評価項目はOS、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性。なお、KEYNOTE-407の試験計画では1~3次中間解析と最終解析が予定されており、今回の結果はデータカットオフを2018年4月3日とした2次中間解析であり、主要評価項目として初めてPFSとOSを評価した(1次中間解析の主要評価項目はORR)。 登録患者数は559例で、ペムブロリズマブ+化学療法群が278例、化学療法単独群が281例。追跡期間中央値は7.8カ月。 主要評価項目のOS中央値はペムブロリズマブ+化学療法群が15.9ヵ月(13.2ヵ月~評価不能)に対し、化学療法単独群は11.3ヵ月(9.5~14.8ヵ月)で、ペムブロリズマブ+化学療法群が有意な延長効果を示した(HR:0.64、p=0.0008)。 PD-L1発現によるOSの層別解析では、TPS<1%がHR0.61、TPS1~49%がHR0.57、TPS≧50%がHR0.64と、PD-L1発現状況にかかわらず、ペムブロリズマブ+化学療法群が良好な結果を示した。 PFS中央値についてもペムブロリズマブ+化学療法群が6.4ヵ月(6.2~8.3ヵ月)、化学療法単独群が4.8カ月(4.3~5.7ヵ月)で、ペムブロリズマブ+化学療法群で有意な延長効果を示した(HR:0.56、p<0.0001)。 またPD-L1発現によるPFSの層別解析では、TPS<1%がHR0.68、TPS1~49%がHR0.56、TPS≧50%がHR0.37であり、OSと同じくPD-L1発現状況にかかわらず、化学療法単独群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群が良好だった。 副次評価項目ではORRでペムブロリズマブ+化学療法群が58.4%、化学療法単独群が35.0%(p=0.0004)、DOR中央値でペムブロリズマブ+化学療法群が7.7ヵ月、化学療法単独群が4.8ヵ月。 Grade3以上の有害事象発現率は、ペムブロリズマブ+化学療法群が69.8%、化学療法単独群が68.2%。ペムブロリズマブ+化学療法群で有害事象による治療中止率や免疫関連有害事象発現率が高い傾向があったものの、確認された有害事象はいずれも各薬剤で既知のものであり、新たな安全性の問題は認められなかった。 Paz-Ares氏は「PD-L1発現にかかわらず、ペムブロリズマブ+化学療法群が化学療法群に優越性を示しており、この併用療法は転移のある扁平上皮NSCLCの1次治療で新たな標準治療となるべきものである」との見解を示した。

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EGFR変異陽性NSCLCへのエルロチニブ、ベバシズマブ併用でOS 4年(JO25567)/ASCO2018

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの併用が、エルロチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、第II相試験JO25567のこれまでの解析により確認されている。同試験の生存追跡調査結果を、国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科の山本 昇氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 JO25567は、未治療のStage IIIB~IVまたは再発の非扁平上皮NSCLCで、活性型EGFR変異(exon19delまたはexon21 L858R)を有し、脳転移がなく全身状態良好な患者を対象とした、オープンラベル無作為化試験。患者はエルロチニブ(150mg/日)+ベバシズマブ(15mg/kgを3週間ごと)併用群もしくはエルロチニブ(150mg/日)単剤群に無作為に割りつけられた。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、QOL、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・JO25567には152例(併用群:75例、単剤群:77例)が登録され、そのうち生存追跡調査開始時点で52例が死亡し、25例が追跡不能であった(OSの最終解析にはこれらの患者のデータも含まれる)。・2017年10月31日のデータカットオフ時(追跡期間中央値は34.7ヵ月)におけるOS中央値は、併用群で47.0ヵ月、単剤群で47.4ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.53~1.23、p = 0.3267)。・OSイベントは併用群40例(53.3%)、単剤群49例(63.6%)で認められた。・5年生存率は併用群41%、単剤群で35%であった。・EGFR変異の種類別にみると、exon19delでは併用群53.2ヵ月、単剤群50.3ヵ月(HR :0.79、95%CI:0.44~1.44)、exon21 L858Rでは併用群43.6ヵ月、単剤群42.1ヵ月(HR 0.83、95%CI:0.46~1.49)と有意差はなかった。・併用群で64例(85.3%)、単剤群で65例(84.4%)が試験後に2次治療を受けた。 なお、本解析のサンプルサイズは、エルロチニブとベバシズマブ併用のOSに対する有効性を評価するには不足しているため、進行中の第III相試験の結果が待たれる。■参考ASCO2018 AbstractJO25567試験Seto T, et .al Lancet Oncol. 2014;15: 1236-1244.※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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非扁平上皮肺がんの1次治療、アテゾリズマブ追加でPFS、OS延長/NEJM

 前化学療法歴のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(non-Sq NSCLC)の治療において、標準治療のベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加すると、標準治療単独に比べ、PD-L1の発現やEGFR変異、ALK変異の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)が改善することが、米国・フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏らが実施した「IMpower150試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年6月14日号に掲載された。抗PD-L1抗体製剤アテゾリズマブは、前化学療法歴のない患者において、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法との組み合わせで有望な有効性と許容可能な安全性プロファイルを有することが報告されている。また、アテゾリズマブのがん細胞殺傷特性は、ベバシズマブによる血管内皮増殖因子(VEGF)介在性の免疫抑制の遮断作用によって増強される可能性があるという。3群のうちABCP群とBCP群の比較の結果を報告 研究グループは、VEGF遮断は免疫療法の有効性を増強するか、免疫療法と化学療法の併用は有効かという2つの課題に答えるための検討を行った(F. Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。今回は、前者の課題に関して、PFSの最終解析およびOSの中間解析の結果を報告した。 前化学療法歴のない転移を有する再発non-Sq NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0~1の患者を対象とした。被験者は、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(ACP)、ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(BCP)、アテゾリズマブ+BCP(ABCP)を3週ごとに4または6サイクル投与後に、アテゾリズマブまたはベバシズマブ、あるいは双方による維持療法を行う群に、無作為に割り付けられた。 2つの主要エンドポイントは、1)野生型(WT)のintention-to-treat(ITT)集団(WT集団[EGFR変異およびALK変異を有する患者は除外])と、腫瘍のエフェクターT細胞(Teff)の遺伝子シグニチャーが高発現のWT集団(高Teff WT集団)における治験担当医の評価によるPFS、2)WT集団における治験担当医の評価によるOSであった。ACP群とBCP群の比較に先だって、ABCP群とBCP群の比較を行った。 2015年3月~2016年12月の期間に、日本を含む26ヵ国240施設に1,202例(ITT集団)が登録され、ACP群に402例、ABCP群に400例(年齢中央値:63歳、<65歳:53.8%、男性:60.0%)、BCP群に400例(63歳、56.5%、59.8%)が割り付けられた。WT集団は1,040例(86.5%)で、ACP群が348例、ABCP群が356例、BCP群は336例だった。追加により死亡リスクが22%低減 WT集団におけるPFS期間中央値は、ABCP群が8.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月に比べ有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.52~0.74、p<0.001)。1年PFS率は、ABCP群が36.5%であり、BCP群の18.0%の約2倍であった。 また、高Teff WT集団のPFS期間中央値は、ABCP群が11.3ヵ月と、BCP群の6.8ヵ月と比較して有意に長かった(0.51、0.38~0.68、p<0.001)。EGFR変異、ALK変異例を含む全体のITT集団でも、PFS期間中央値はABCP群がBCP群よりも優れ(8.3 vs.6.8ヵ月、層別化HR:0.61、95%CI:0.52~0.72)、PD-L1が低発現または陰性の患者(8.0 vs.6.8ヵ月、非層別化HR:0.68、0.56~0.82)やTeff遺伝子シグネチャー低発現例(7.3 vs.7.0ヵ月、非層別化HR:0.76、0.60~0.96)、肝転移例(7.4 vs.4.9ヵ月、非層別HR:0.42、0.26~0.66)も同様であった。 WT集団におけるOS期間中央値は、ABCP群が19.2ヵ月と、BCP群の14.7ヵ月に比し有意に延長した(死亡のHR:0.78、95%CI:0.64~0.96、p=0.02)。客観的奏効率は、ABCP群が63.5%、BCP群は48.0%であった。 ABCP群の安全性プロファイルは、個々の薬剤の既報のリスクと一致していた。Grade 3/4の治療関連有害事象は、ABCP群が55.7%、BCP群は47.7%に発現し、頻度の高いものとして、ABCP群では好中球減少(13.7%)、好中球数の減少(8.7%)、発熱性好中球減少(8.4%)が、BCP群では好中球減少(11.2%)、好中球数の減少(6.3%)、高血圧(6.3%)がみられた。Grade 5の有害事象として、ABCP群で発熱性好中球減少が3例に認められた。 著者は、「Teff遺伝子シグネチャーは、PD-L1発現および既存の免疫能のサロゲートマーカーとされ、その高発現は優れたPFSベネフィットをもたらしたが、ベネフィットの程度はPD-L1高発現の場合と同等であった」と指摘している。

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進行肺がんへのアテゾリズマブ単剤療法、効果予測因子としての血中TMBの値は?(B-F1RST)/ASCO2018

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療におけるアテゾリズマブ単剤療法の有効性を評価した2つの無作為化試験(第III相OAK試験、第II相POPLAR試験)において、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルの患者で、PFSのベネフィットが大きいことが確認されている。血液中のTMB(bTMB)がアテゾリズマブの効果予測因子となりうるかについて評価したB-F1RST試験の中間解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、米国・クリーブランド・クリニックのVamsidhar Velcheti氏により発表された。 B-F1RST試験は、次世代シーケンサー(NGS)パネルを用いて、bTMBのバイオマーカーとしての有効性を前向きに評価した第II相シングルアーム試験。対象は、免疫療法未施行のStage IIIB~IVBのNSCLC患者で、アテゾリズマブ1,200mgが3週間ごとに投与された。 78例が中間解析集団(IAP)に組み入れられ、うち58例が、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を十分に検出可能な血液試料(MSAF≧1%)を有する、バイオマーカー評価可能集団(BEP)であった。BEPにおける臨床的有効性を評価するために、bTMBスコアのカットオフ値は16と事前指定された(高bTMB群:≧16、低bTMB群:<16)。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、全身状態、PD-L1発現状況などのベースライン時の特性は、IAPとBEPで同様であった。・BEPにおける無増悪生存期間(PFS)中央値(最少追跡期間:6ヵ月)は、高bTMB群(11例)で9.5ヵ月、低bTMB群(47例)で2.8ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.51、90%信頼区間[CI]:0. 24~1.08、p=0.1315)。・BEPにおけるPFSのハザード比は、bTMBスコアが高くなるに従い改善された。・BEPにおける客観的奏効率(ORR)は12.1%であった(高bTMB群:36.4%、低bTMB群:6.4%、オッズ比:8.38 、90% CI:2.02~34.79、p=0.02)。・IAP全体において、治療関連の重篤な有害事象は15.4%、grade3以上の有害事象は19.2%で発現した。これまでのアテゾリズマブ単剤療法における報告と異なる安全性シグナルは確認されなかった。 B-F1RST試験は進行中であり、153例の患者が登録を完了している。■参考ASCO2018 AbstractB-F1RST試験(Clinical Trials.gov)■関連記事atezolizumabによる長期生存NSCLC患者の特徴:OAK/WCLC※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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EGFR変異肺がん1次治療、ゲフィチニブと化療併用でPFS、OSともに延長(NEJ009)/ASCO2018

 EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療においては、EGFR-TKIと化学療法を十分に使用することで、さらなる全生存期間(OS)の改善が期待できると考えられる。NEJ005試験では、ゲフィチニブとカルボプラチン+ペメトレキセドの併用が有効性を示した。とくに、両者の逐次使用に比べ、同時使用は、30.7ヵ月に対し、41.9ヵ月とOSを改善した。 未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIV非扁平上皮NSCLCにおいて、ゲフィチニブと化学療法の併用とゲフィチニブ単剤治療を比較した第III相無作為化比較試験NEJ009の結果が、仙台厚生病院 中村 敦氏により、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。・対象患者:未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIVの非扁平上皮NSCLC・試験薬群:ゲフィチニブ+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)→ゲフィチニブ+ペメトレキセド・対照群:ゲフィチニブ→プラチナベース化学療法・評価項目:複合主要評価項目はPFS1(初回治療によるPDまで)、PFS2(後治療による2度目のPDまで)、OS。副次評価項目は奏効率(ORR)、安全性、QOL。PFS2解析は、ゲフィチニブ単剤群のPFS2とゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群のPFS1で比較。 主な結果は以下のとおり。・登録患者は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群170例とゲフィチニブ単剤群172例に無作為に割り付けられた。・PFS1中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤群11.2ヵ月であった(HR:0.494、p<0.001)。・PFS2は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤(→プラチナベース化学療法後治療)群20.7ヵ月であった(HR:0.966、p<0.774)。・OS中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群52.2ヵ月、ゲフィチニブ単剤群38.8ヵ月であった(HR:0.685、p=0.013)。・PD1後の生存期間はゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群19.3ヵ月、ゲフィチニブ単剤群23.0ヵ月と、ゲフィチニブ単剤群ではプラチナベース化学療法を受けているにもかかわらず同等であった(HR:1.037、p=0.812)。・全有害事象発現率は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群95.9%、ゲフィチニブ単剤群98.3%。好中球減少、貧血、血小板減少といった血液毒性は併用群で多くみられた。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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ASCO2018肺がん会員聴講レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて開催された2018 ASCO Annual Meetingの情報をまとめました。会員現役ドクターによる聴講レポートおよびCareNet.comオリジナルのASCO2018 ニュースを紹介しています。現地シカゴからオンサイトレビューASCO2018肺がん関連ニュース現地シカゴからオンサイトレビュー会員聴講レポートレポーター紹介ASCO2018肺がん関連ニュースケアネットオリジナル肺がん関連のニュースです。今回は、2018年6月1日~5日開催のASCO2018から重要トピックを紹介します。

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世界のがん患者、10年で28%増加/JAMA Oncology

 世界におけるがん患者が2016年までの10年間で28%増加したことを、世界のがんの疾病負担を調査するGlobal Burden of Disease(GBD)studyの研究グループが報告した。一方、平均年齢調整死亡率は世界195の国や地域のうち143で減少したという。JAMA Oncology誌オンライン版2018年6月2日号に掲載。 本研究は、29のがん種について、195の国や地域における年齢・性別ごとのがん罹患率、死亡率、障害生存年数、損失生存年数、障害調整生命年(DALY)を評価。レベルと傾向は社会人口統計学的指標(SDI)別および経時的に分析された。罹患患者における変化は、疫学転換vs人口転換による変化で分類された。世界のがんの平均年齢調整罹患率は増加、平均年齢調整死亡率は減少 主な結果は以下のとおり。・2016年における世界のがん患者は1,720万例、死亡例は890万例であった。・がん患者は2006年から2016年の間に28%増加した。・高SDI諸国では最も増加が小さかった。・世界において、この変化に対する寄与割合は、人口の高齢化が17%、人口の増加が12%、年齢別比率の変化が-1%であった。・世界的に、男性における最も多いがんは前立腺がん(140万例)であった。・がん死亡およびDALYの主因は、気管・気管支・肺がん(死亡120万例、2,540万DALY)であった。・女性では、乳がんが最も多く(170万例)、がん死亡およびDALYの主因であった(死亡53万5,000例、1,490万DALY)。・2016年のがんによるDALYは、男女合わせて世界で2億1,320万DALYであった。・2006~16年において、世界のがん全体の平均年齢調整罹患率は195の国や地域のうち130の国や地域で増加し、平均年齢調整死亡率は195の国や地域のうち143の国や地域で減少した。 GBD studyの結果はすべて、下記サイトで見ることができる。https://vizhub.healthdata.org/gbd-compare/

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扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018

 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 IMpower131試験は、化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルまたはパクリタキセル)の併用と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独の有効性および安全性を比較検討する、オープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為に割り付けた1,021例が登録された。・対象患者:化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLC・試験薬群 ・A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP) ・B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(Atezo+CnP)・対照群 ・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)・主要評価項目:B群対C群の治験担当医評価によるITT集団における無増悪生存(PFS)およびITT集団における全生存期間(OS)。今回はB群対C群のPFSの発表。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、Atezo+CnP群6.3ヵ月に対し、CnP群5.6ヵ月(HR:0.71、p=0.0001)、12ヵ月PFS率はそれぞれ24.7%と12.0%であった。・PD-L1サブグループによるPFS  PD-L1高発現(TC3またはIC3)では、Atezo+CnP群10.1ヵ月に対し、CnP群5.5ヵ月であった(HR:0.44)。  PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)では、それぞれ6.0ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.70)。  PD-L1発現陰性(TC0かつIC0)では、それぞれ5.7ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.81)。・奏効率は、Atezo+CnP群49%に対し、CnP群41%であった。・奏効期間は、Atezo+CnP群7.2ヵ月に対し、CnP群5.2ヵ月であった。・全有害事象発現率は、Atezo+CnP群99%に対し、CnP群97%。各治療法における既知の事項と同様であった。 OSベネフィットは次回の中間解析で発表される。■参考ASCO2018 AbstractIMpower131試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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大腸がんの術後再発リスクの予測を高精度とする免疫スコア(解説:上村直実氏)-869

 大腸がんの術後再発リスクに関しては、TNM分類や腫瘍組織の分化度により再発リスクが異なることが知られている。一方、最近では、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫に関与する治療薬が、肺がんをはじめとする固形がんの治療に大きな役割を果たす時代となってきている。このような現状から、がんの再発予測因子に免疫能に関するパラメータが重要になることが予想されていた。 今回、日本を含む13ヵ国14センターの合同チームにより、大腸がんの腫瘍部と腫瘍浸潤先進部の組織を用いて免疫担当細胞(CD3+T細胞および細胞傷害性CD8+T細胞)の密度によるImmunoscore(免疫スコア)を算出した結果、TNM分類の同じステージであっても、この免疫スコアの高低により大腸がん術後5年間の再発リスクが異なることがLancet誌に報告された。すなわち、腫瘍部および先進部におけるCD3+T細胞とCD8+T細胞の免疫染色動態から定義される免疫スコアが高ければ高いほど、同じTMNステージであっても、再発リスクが低い可能性が示された。さらに、この免疫スコアと再発までの期間に関する関連は、TNM分類のみでなく従来から再発予測因子とされていた年齢、性別、マイクロサテライト不安定などから独立したものであった。 さらなる検証が必要ではあるものの、今回の報告から、TNM分類などの既知の予後因子に免疫スコアを加えた術後再発に関する新たなリスクスコアを作成することにより、大腸がん手術後の治療方針とくにアジュバンドに用いる薬剤を選択して用いることが可能となることが期待される。

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高度異型腺腫の有無で大腸がんリスクが有意に異なる(解説:上村直実氏)-868

 日本で大腸がんは肺がんに次いで2番目に多い死亡原因であり、大腸がんによる死亡リスクを低下するために便潜血による大腸がん検診が施行されている。一方、欧米では、大腸内視鏡検査(CF)を行うことにより大腸がんによる死亡率およびその発症率が低下する研究成果が数多く報告され1,2)、最近では死亡リスク低下に必要なCFの間隔が話題になっている。米国のガイドライン3)では、10年に1度のCFにより大腸がん死亡リスクが大幅に低下するとされており、大腸がんスクリーニングにCFを取り入れるべきで、ポリープ(腺腫)があれば5~10年後のCFが推奨されている。 今回JAMAに掲載された報告では、CFを行った時点で高度異型の腺腫すなわち腫瘍径1cm以上ないしは、tubulovillousやvillous腺腫を認めたものは、1cm以下の低異型度腺腫を有するものや腺腫を認めないものに比べて、その後13年間の大腸がん発症および大腸がん死亡リスクが有意に高いことが示された。すなわち、CFによるスクリーニングの重要性と大腸がんのリスクには腺腫の異型度が重要であることが強調されている。日本の消化器内視鏡診療は種々の特殊内視鏡により、世界を圧倒する高精度の内視鏡診断と圧倒的な内視鏡治療技術を有することは、世界中で周知されている。しかし、上記したように検診は便潜血検査でCFによる住民検診は行われていない現状は、医学的に大きな問題と言える。 一方、大腸がんにとって重要な本論文に引用されている38文献に、日本発の研究論文が皆無であることも重大な課題であろう。年間1,500万件の消化器内視鏡が施行されているわが国における内視鏡診療現場では新たな技術優先の傾向が強く、エビデンスを創出するためのデザインされた臨床研究が少ないことが従来からの課題と言えた。現在、日本全国の内視鏡ビッグデータを一括して日本消化器内視鏡学会で管理するシステムのJapan Endoscopy Database(JED)プロジェクトが進行中である。このデータベースが完成すれば、Propensity scoreなどを用いた解析により正確な成績を得ることが可能となり、わが国から精度の高い研究成果が世界のエビデンスとして排出されるものと期待される。

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進行肺がん1次治療へのアテゾリズマブ併用療法 、OSハザード比0.78(IMpower150)/ASCO2018

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。 本試験では、1,202例の患者を以下の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg) 主要評価項目は、EGFRまたはALKの遺伝子変異陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFS、およびITT-WT におけるOS。 主な結果は以下のとおり。・A群に349例、B群に359例、C群に337例、ITT-WTの患者が組み入れられた。年齢中央値は63歳、62%が男性、85%が現在あるいは過去の喫煙者で、42%がECOG PS:0であった。・データカットオフ(2018年1月22日)の追跡期間中央値は約20.0ヵ月。・B群とC群の比較において、OS期間中央値は、B群が19.2ヵ月と、C群の14.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.64~0.96、p=0.0164)。 ・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3;136例)のOSは、B群25.2ヵ月、C群15.0ヵ月 (HR:0.70)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2;226例)のOSは、それぞれ 20.3ヵ月と16.4ヵ月(HR:0.80)、発現なし(339例)のOSは、それぞれ 17.1ヵ月と14.1ヵ月(HR:0.82)であった. ・EGFR/ALK遺伝子変異陽性患者(104例)のOSは、B群NE、C群 17.5ヵ月であった(HR:0.54)。 ・ITT-WT集団のうちベースライン時に肝転移のあった患者(94例)におけるOSは、 B群13.2ヵ月、C群9.1ヵ月であった(HR:0.54)。・A群とC群の比較において、OSは、A群が19.4ヵ月と、C群14.7ヵ月に比べ延長傾向が確認された(HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.2041)。・全患者において、Grade3以上の治療関連有害事象発現率は、A群43%、B群57%、C群49%であった。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ASCO2018 AbstractSocinski MA, et al.N Engl J Med. 2018 Jun 4.[Epub ahead of print]■関連記事アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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米国の若年肺がん罹患率、女性のほうが高い/NEJM

 歴史的には男性のほうが女性よりも肺がん罹患率は高い傾向にあったが、1960年代半ば以降に生まれた非ヒスパニック系白人とヒスパニックでは逆転していることが示された。この理由は喫煙では説明できず、今後、若年女性で肺がん罹患率が高い理由を明らかにするための研究が必要だという。米国がん協会のAhmedin Jemal氏らが、北米がん中央登録所協会(NAACCR)のデータを分析し、報告した。先行研究において、米国における若年の肺がん罹患率は男性より女性で高いことが示唆されていたが、この傾向が現代の出生コホートでも認められるか、その場合、喫煙行動で十分説明できるかどうかは不明であった。NEJM誌2018年5月24日号掲載の報告。NAACCRのデータに基づく肺がん罹患率と国民健康調査での喫煙率を解析 研究グループは、NAACCRのデータを用い、性別、人種/民族別(白人、黒人、アジア・環太平洋、ヒスパニック)、年齢別(30~34歳、35~39歳、40~44歳、45~49歳、50~54歳)、出生年別および診断年別(1995~99年、2000~04年、2005~09年、2010~14年)に、全国の人口に基づいた肺がん罹患率(10万人年当たり)と女性と男性の罹患率比を算出した。また、米国国民健康聞き取り調査(National Health Interview Survey)のデータを用い、1970~2016年の喫煙率も同様に調査した。喫煙率との関連はみられず 過去20年、全人種/民族を含む年齢別の肺がん罹患率は、全年齢群で男女とも低下したが、低下幅は男性のほうが大きかった。結果として、50~54歳群を除く年齢群で女性の男性に対する罹患率比が1.0を上回った。たとえば、40~44歳群における女性vs.男性の罹患率比は、1995~99年は0.82(95%信頼区間[CI]:0.79~0.85)だったが、2010~14年は1.13(同:1.08~1.18)になっていた。 また、出生コホート別に年齢別罹患率をみると、男性では一貫して低下がみられたが、女性では1950年頃から1960年頃の出生コホートで、上昇後に低下していた。その結果、女性の罹患率は男性を上回っていた。たとえば、45~49歳群の罹患率(10万人年当たり)は、1950年頃の出生コホートでは、女性は27.0、男性は36.5であったが(女性vs.男性の罹患率比:0.74、95%CI:0.72~0.76)、1965年頃の出生コホートでは、女性が24.9、男性が23.1と逆転していた(同罹患率比:1.08、1.05~1.11)。 さらに、診断年別・出生コホート別の年齢別罹患率を人種別にみると、女性の肺がん罹患率上昇は、白人とヒスパニックにおいて確認された。たとえば、40~44歳群での女性vs.男性の罹患率比は、白人において1995~99年は0.88(95%CI:0.84~0.92)であったが2010~14年は1.17(同:1.11~1.23)に、ヒスパニックは0.79(同:0.67~0.92)が1.22(同:1.04~1.44)になっていた。出生コホート別では、1950年頃の出生コホートで白人とヒスパニックがそれぞれ0.81、0.64であったが、1965年頃の出生コホートでは1.13、1.12であった。 性別罹患率のクロスオーバーは、1965年以降に出生の非ヒスパニック系白人で起きていた。 1965年以降の出生群では、女性の喫煙率は男性との差が縮まったが、全般的に男性の喫煙率を上回ってはいな

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肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移を有するPD-L1陽性のNSCLC患者において、標準治療のプラチナベース化学療法とペムブロリズマブ単剤治療を比較する国際無作為化オープンラベル第III相試験。対象患者:PD-L1発現1%以上の局所進行または転移を有するNSCLC患者(いずれの組織型も含む)試験薬:ペムブロリズマブ3週ごと35サイクル対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと6サイクル評価項目:主要評価項目は全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単剤治療またはプラチナベース化学療法に1:1で無作為に割り付けられた。・2年OS率は、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群44.7%に対して化学療法群30.1%(HR:0.69、p=0.0003)、20%以上では40.5%対29.6%(HR:0.77、p=0.0020)、1%以上では39.3%対28.0%であった(HR:0.81、p=0.0018)。・探索的研究での、TPS1~49%の2年OS率は、ペムブロリズマブ群34.6%に対して化学療法群26.5%であった(HR:0.92)。・2年PFS率はTPS50%以上では、ペムブロリズマブ群37.4%に対して化学療法群27.3(HR:0.81、p=0.017)、20%以上では32.4%対28.8%(HR:094)、1%以上では28.0%対26.6%であった(HR:1.07)。・ORRは、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群39.5%に対して化学療法群32.0%、20%以上では33.4%対28.9%、1%以上では、27.3%対26.5%であった。・治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群62.7%に対して化学療法群89.9%、免疫関連有害事象発現は、27.8%対7.2%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療群は、PD-L1発現NSCLCの1次治療において、PD-L1の発現の程度にかかわらず、化学療法群に比べOSを有意に改善した。■参考ASCO2018 AbstractKEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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