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世界の死因は過去20年で大きく変化、心疾患やCOPD、肺がんなどが主因に/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の死因別死亡率の動向について、米国・Institute for Health Metrics and EvaluationのRafael Lozano氏らがGlobal Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2010(GBD2010)の系統的解析を行い報告した。Lancet誌2012年12月15/22/29日合併号掲載の報告。世界の死因で感染症などは大幅に減少 GBD2010において研究グループは、世界187ヵ国から入手可能な死因に関わるあらゆるデータ(人口動態、言語剖検、死亡率サーベイランス、国勢調査、各種サーベイ、病院統計、事件・事故統計、遺体安置・埋葬記録)を集め、1980~2010年の年間死亡率を235の死因に基づき、年齢・性別に不確定区間(UI)値とともに算出し、世界の死因別死亡率の推移を評価した。 その結果、2010年に世界で死亡した人は5,280万人であった。そのうち最大の統合死因別死亡率(感染症・母体性・新生児期・栄養的)は24.9%であったが、同値は1990年の34.1%(1,590万/4,650万人)と比べると大幅に減少していた。その減少に大きく寄与したのが、下痢性疾患(250万人→140万人)、下気道感染症(340万人→280万人)、新生児障害(310万人→220万人)、麻疹(63万人→13万人)、破傷風(27万人→6万人)の死亡率の低下であった。 HIV/AIDSによる死亡は、1990年の30万人から2010年は150万人に増加していた。ピークは2006年の170万人であった。 マラリアの死亡率も1990年から推定19.9%上昇し、2010年は117万人であった。 結核による2010年の死亡は120万人であった。2010年の世界の主要死因は、虚血性心疾患、脳卒中、COPD、下気道感染症、肺がん、HIV/AIDS 非感染症による死亡は、1990年と比べて2010年は800万人弱増加した。2010年の非感染症死者は3,450万人で、死亡3例のうち2例を占めるまでになっていた。 また2010年のがん死亡者は、20年前と比べて38%増加し、800万人であった。このうち150万人(19%)は気管、気管支および肺のがんであった。 虚血性心疾患と脳卒中の2010年の死亡は1,290万人で、1990年は世界の死亡5例に1例の割合であったが、4例に1例を占めるようになっていた。なお、糖尿病による死亡は130万人で、1990年のほぼ2倍になっていた。 外傷による世界の死亡率は、2010年は9.6%(510万人)で、20年前の8.8%と比べてわずかだが増加していた。その要因は、交通事故による死亡(2010年世界で130万人)が46%増加したことと、転倒からの死亡が増加したことが大きかった。 2010年の世界の主要な死因は、虚血性心疾患、脳卒中、COPD、下気道感染症、肺がん、HIV/AIDSであった。そして2010年の世界の早期死亡による生命損失年(years of life lost:YLL)に影響した主要な死因は、虚血性心疾患、下気道感染症、脳卒中、下痢性疾患、マラリア、HIV/AIDSであった。これは、HIV/AIDSと早期分娩合併症を除き1990年とほぼ同様であった。下気道感染症と下痢性疾患のYLLは1990年から45~54%減少していた一方で、虚血性心疾患、脳卒中は17~28%増加していた。 また、主要な死因の地域における格差がかなり大きかった。サハラ以南のアフリカでは2010年においても統合死因別死亡(感染症・母体性・新生児期・栄養的)が早期死亡要因の76%を占めていた。 標準年齢の死亡率は一部の鍵となる疾患(とくにHIV/AIDS、アルツハイマー病、糖尿病、CKD)で上昇したが、大半の疾患(重大血管系疾患、COPD、大半のがん、肝硬変、母体の障害など)は20年前より減少していた。その他の疾患、とくにマラリア、前立腺がん、外傷はほとんど変化がなかった。 著者は、「世界人口の増加、世界的な平均年齢の上昇、そして年齢特異的・性特異的・死因特異的死亡率の減少が組み合わさって、世界の死因が非感染症のものへとシフトしたことが認められた。一方で、サハラ以南のアフリカでは依然として従来死亡主因(感染症・母体性・新生児期・栄養的)が優位を占めている。このような疫学的な変化の陰で、多くの局地的な変化(たとえば、個人間の暴力事件、自殺、肝がん、糖尿病、肝硬変、シャーガス病、アフリカトリパノソーマ、メラノーマなど)が起きており、定期的な世界の疫学的な死因調査の重要性が強調される」とまとめている。

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「世界貿易センター健康レジストリ」登録者のがん発生リスクは増大したか?/JAMA

 2001年9月11日の世界貿易センタービルへのテロ攻撃は、周辺環境に発がん性物質を拡散したといわれており、市民の間に、その曝露により、がん罹患の可能性が増大したとの懸念があった。ニューヨーク市保健・精神衛生部のJiehui Li氏らは、「世界貿易センター健康レジストリ」に登録された人におけるがん発生状況を調べた。その結果、救急隊員/復旧作業員について、一般レジストリ者と比べて2007-2008年に前立腺がん、甲状腺がん、骨髄腫の過剰リスクがみられたが、発生数は少なく、この年にすべてのがんが増大したということではなかった。著者は、「曝露の強さの違いによる関連は認められなかった」と述べた上で、「潜伏期間が長期にわたるがんもあるので、長期のフォローアップと特異的がんについては注意が必要である」と結論している。曝露の違い(救急・復旧作業員とその他)でがん発生との関連を調査、標準発生比も検証 Li氏らは、2003-2004年に「世界貿易センター健康レジストリ」に登録されたニューヨーク州の住民5万5,778人を対象とする観察研究を行った。レジストリには、救急隊員・復旧作業員(2万1,850人)とそれ以外の救出・復旧作業に関わらなかった人(3万3,928人)が登録されていた。登録から2008年12月31日までフォローアップした。 Cox比例ハザードモデルを用いてレジストリ内コホート比較を行い、世界貿易センター曝露の強さと各種がん(11種類)との関連を評価した。 レジストリ者のがん症例は、標準発生比(SIR)を用いてニューヨーク州一般集団とで比較し、予想されたがん発生に対し実際に観察された症例を検証した。SIRは、年齢(5歳階級群)、人種/民族、性、期間別(2003-2006年と2007-2008年:9.11後とその後の期間での曝露に対する関連を調べるため)について算出した。 また、2007~2008年のレジストリ群とニューヨーク州一般集団の、10万人・年当たりの全体および特異的がん発生率の差(RD)も算出した。曝露の強さの違いによる関連は認められず レジストリ累計25万3,269人・年のうち、がんと診断された人は1,187人だった(救急隊/復旧作業者439人、その他748人)。 2007~2008年のすべてのがん統合SIRについて、有意な上昇は認められなかった。救急隊/復旧作業者群の同SIRは1.14(95%信頼区間:0.99~1.30)であり、2003-2006年の統合SIRの0.94(同:0.82~1.08)と有意な差はなかった。また、その他群の同SIRは、それぞれ0.92(同:0.83~1.03)、0.92(同:0.83~1.02)であった。 各種がん別にみると、救急隊/復旧作業者群において、2007-2008年に3種のがんで有意な増大がみられた。SIRは、前立腺がん1.43(同:1.11~1.82)、甲状腺がん2.02(同:1.07~3.45)、多発性骨髄腫2.85(同:1.15~5.88)だった。それぞれの症例数およびRDは、前立腺がんが67例、61/10万人・年、甲状腺がんが13例、16/10万人・年、多発性骨髄腫が7例、11/10万人・年であった。 一方、その他群において2007-2008年に増大がみられたがんはなかった。 コホート内比較において、世界貿易センター曝露の強さの違いによる、肺がん、前立腺がん、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、血液がんとの有意な関連は認められなかった。

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家族性のがんリスクに関する検討/BMJ

 がんの家族性リスクが早期発症例に限定されるかどうかを判断するため、ドイツがん研究センターのE Kharazmi氏らは、全国規模のSwedish Family-Cancer Databaseを用いて前向きコホート研究を実施した。その結果、「子」のがんリスクが最も高くなるのは「親」が若い年齢で同一がんが診断された場合だが、「親」が高齢で診断された場合においてもリスクが増加することが認められた。著者は、「家族性のがんは、高齢でがんに罹患した家族を持つ人々における早期発症をいうのではなく、早期発症と遅発性発症という別個の構成要素があるのかもしれない」と考察している。BMJ誌2012年12月20日号に掲載。 本研究の対象は、1931年以降に生まれたすべてのスウェーデン人とその両親の計1,220万人で、主なアウトカムは診断時の年齢による同一がんの家族性リスクであった。 主な結果は以下のとおり。・「親」が若い(40歳未満)ときにがんと診断された場合に、家族性リスクが最も高かった。・「親」が高齢(70~79歳、80~89歳)で診断された場合でも、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、黒色腫、皮膚扁平上皮がん、非ホジキンリンパ腫では、家族性リスクが有意に増加した。・「親」がより高齢(90歳以上)で診断された場合でも、「子」における同一がんのリスクは、皮膚扁平上皮がん(ハザード比:1.9、95%信頼区間:1.4~2.7)、大腸がん(同1.6、同1.2~2.0)、乳がん(同1.3、同1.0~1.6)、前立腺がん(同1.3、同1.1~1.6)で有意に増加した。・「親」が50歳未満でがんに罹患し、「子」が60~76歳でがんと診断された場合は、ほぼすべてのがんで家族性リスクの有意な増加はみられなかった。

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聖路加GENERAL 【Dr.仁多の呼吸器内科】

第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」第3回「慢性の咳にはまずCXRから」第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」 第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」鑑別の難しい呼吸器疾患へのアプローチのポイントについて、役立つ情報が満載です。【CASE1:軽い咳と白色痰が続くために来院した65歳の男性】身体所見は特に問題ありません。しかし、よくよく聞いてみると、数年前から駅の階段を昇る時に息苦しさがあり、最近強くなってきたことがわかりました。また、この患者は40本/日の喫煙を45年間続けていました。労作時呼吸困難は、医師から尋ねないとわからないことが多いため、詳細な問診が重要なポイントになります。検査の結果、労作時呼吸困難の原因は重度のCOPDでした。他に考えられる労作時呼吸困難を引き起こす症例としては間質性肺炎があります。その診断方法、病期分類、治療について詳しく解説します。【CASE2:3ヶ月前から駅の階段を昇るときに息苦しさを感じ始め、増悪傾向の60歳女性】この方は、ペットとしてチンチラを飼っています。肺疾患の場合、ペット飼育歴や住環境を必ず確認します。診察の結果、聴診で両下肺野でfine cracklesを聴取しました。呼吸副雑音を聴取したときは、その音の性質とフェーズを確認することで、その原因をある程度絞り込むことができます。その方法について、詳しく解説します。そして、びまん性肺疾患の場合、症状がない場合でも専門医に送ることが勧められています。必要な検査を実施し、治療方針を立てて、協力しながら治療を進めることが重要です。この患者の場合も、検査の結果、意外なところに原因がありました !第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」気胸の鑑別、画像による診断、治療などについて詳しく解説します。【CASE1:突然刺されるような胸痛を訴えた42歳の男性】胸痛といえば、循環器疾患を思い浮かべますが、今回は呼吸器による胸痛の症例です。労作時に呼吸困難があったことから、胸部X線写真を撮った結果、気胸であることがわかりました。気胸は、つい見逃しがちな疾患といえますが、まずは、「胸痛の鑑別診断に必ず含める」ということを気を付けたいところです。若年に多いとされる自然気胸ですが、40代でも発症する例はあります。気胸には緊急性を要するものがあるため、この患者のように突然発症した場合は、まず救急車で搬送するのが原則です。【CASE2:3ヵ月前から慢性的に右胸痛を訴える58歳の女性】労作時呼吸困難を伴うため、胸膜炎などによる胸水が疑われます。単純エックス線写真を撮影したところ、右肺にかなりの胸水が貯留していることが確認されました。CTも撮影してよく確認してみると、胸水の貯留している右肺ではなく、比較的健康に見えた左肺にその原因につながる影が確認されました。胸痛の診断のポイントは、ずばり問診です。痛みの性状にくわえて、突然発症したか、持続するか断続的かなどの時相的な要素も重要なポイントになります。胸痛には、解離性大動脈瘤など、緊急性の高い疾患も含まれますので、しっかり問診をして鑑別することが重要です。これらのポイントについて、具体的にわかりやすく解説します。第3回「慢性の咳にはまずCXRから」慢性咳嗽についてポイントを詳しく解説します。【CASE1:15本/日の喫煙を40年間続けてきた62歳男性】咳嗽の出現をきっかけに救急室を受診し、気管支炎の疑いで抗菌薬を処方されましたが、改善しませんでした。その後、抗菌薬を変えたところ効果があったかにみえましたが、またすぐに咳嗽が再燃してしまいました。このように、長引く咳をみたときには、まず胸部単純写真(CXR)を撮ることが、診断のポイントになります。本症例では、CXRから結核を疑い、検査の結果結核と診断されました。初動が遅れることで結果的に治療が遅れ、感染の可能性が高まってしまいました。このような事例を防ぐためには、常に疑いをもち、問診の時点から結核を発症しやすい患者を見ぬくことがコツです。また、多剤併用が原則の治療についても、詳しく解説します。【CASE2:乳がん術後、化学療法中の65歳女性】数カ月前から乾性の咳が続くため、咳喘息の疑いで吸入ステロイド治療を開始しましたが、改善はあるものの軽快しません。胸部単純写真を撮影したところ、正面では問題がないように見えましたが、側面では、ちょうど心臓の裏側に隠れるように浸潤影が確認されました。咳の鑑別において重要なことは、まず腫瘍、結核などの器質的疾患を除外することです。そのためには、胸部単純写真は正面だけでなく、側面も撮ること、必要があればCTを撮って確認することが重要です。どのような場合にCTを撮ればよいのか、ポイントをお伝えします。また、遷延する咳の鑑別について詳しく解説します。第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」血痰の鑑別について、詳しく解説します。【CASE1:半年ほど前から、週に2〜3回、断続的に痰に血が混じるようになった77歳の女性】60歳ごろから検診などで胸部異常陰影を指摘されていましたが、経過観察となっていました。血痰をみると、まず結核、肺がん、気管支拡張症などを疑いますが、最初に考えなくてはいけないことは、「本当に血痰なのかどうか」です。もしかすると、口腔内の出血や、吐血の可能性もあります。この患者の場合は、以前より胸部異常陰影があることと、喫煙歴などから肺病変の疑いが強いと考え、検査をしたところ、非結核性抗酸菌症であることがわかりました。非結核性抗酸菌症においては、最終的な診断が出るまで、必ず結核の疑いを持つことが重要です。【CASE2:若い頃から気管支拡張症を指摘されていた66歳の女性】3日前から発熱、喀痰が増加し、近医で肺炎と診断されて、抗菌薬治療を開始していました。ところが、入院当日に持続する喀血があり、救急車で搬送。画像検査では、気管支拡張症と肺の病変が認められました。喀血において、最も重要なことは、その量です。出血の原因より、喀血による窒息のほうが重要な問題を引き起こすためです。本症例においても、大量の喀血とされる600ml/24hrを超えると思われる出血がありました。このような場合、まず気道確保が重要です。気管支鏡検査をしたところ、出血部位を下方にしても両側に血液が流れこむほどの出血があったため、気管支ブロッカーを使用して気道を確保しました。その後、原因とみられる気管支動脈をBAEによって塞栓しました。このように、大量喀血は緊急性の高い場合が多く、その検査の流れなどを詳しく解説します。

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ARBの長期使用はがんのリスクを増大させるか?

 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の長期使用とがんとの関連については、ランダム化比較試験や観察研究のメタアナリシスで矛盾した結果が報じられており、物議を醸している。 カナダのLaurent Azoulay氏らは、ARBが4つのがん(肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん)全体のリスク増大に関連するかどうかを判断し、さらにそれぞれのがん種への影響を調べるため、United Kingdom General Practice Research Databaseにおいてコホート内症例対照解析を用いて後ろ向きコホート研究を行った。その結果、ARBの使用は4つのがん全体およびがん種ごとのいずれにおいても、リスクを増大させなかったと報告した。PLoS One 誌オンライン版2012年12月12日号に掲載。 本研究では、1995年(英国において最初のARBであるロサルタンの発売年)から2008年の間に降圧薬を処方された患者コホートを2010年12月31日まで追跡調査した。 症例は、追跡調査中に新たに肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんと診断された患者とした。ARBの使用と利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用とを比較して、条件付きロジスティック回帰分析を行い、がんの調整発生率比(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートには116万5,781人の患者が含まれ、4万1,059人の患者が4つのがん種のうちの1つに診断されていた(554/100,000人年)。・ARBの使用とがんの増加率は、利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用と比較し、4つのがん全体(RR:1.00、95%CI:0.96~1.03)、およびがん種ごとのどちらにおいても関連が認められなかった。・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)とCa拮抗薬(RR:1.19、95%CI:1.12~1.27)の使用が、それぞれ肺がんの増加率と関連していた。 著者は、「ACE阻害薬とCa拮抗薬による肺がんの潜在的なリスクを評価するためにさらなる研究が必要」としている。

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がんによる疾病負担、全世界で重く:IARC調査/Lancet

 がんによる疾病負担は世界のどの地域でも重く、深刻なものであることが、国際がん研究機関(IARC、フランス・リヨン市)のIsabelle Soerjomataram氏らの調査で明らかとなった。2008年、世界で760万人ががんで死亡した。保健医療計画の立案には、致死的および非致死的ながんのアウトカムを考慮した国別の比較を要するが、これには障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)が有用な指標になるという。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年10月16日号)掲載の報告。DALYに基づく疾病負担を国別、地域別に比較 研究グループは、2008年のがんによるDALYを算定することで、その疾病負担の評価を行った。 DALYは、疾病、障害、早世によって失われた健康的な生活の年数を表し、総合的な疾病負担の指標として有用とされる。DALYは、損失生存年数(years of life lost:YLL、死亡が早まることで失われた年数)と、障害生存年数(years lived with disability:YLD、障害によって失われた健康的な生活の年数)の和で表される。 主にがん登録から得た地域住民ベースのデータ(罹患率、死亡率、余命、罹患期間、発症時および死亡時の年齢、治療率、合併症発生率、治癒率など)を用いてYLLおよびYLDを算出した。 世界12地域、184ヵ国について、27のがん種のYLLとYLDからDALYを推算した。国連開発計画の定義による人間開発指数[human development index:HDI、人間開発の3つの因子(余命、教育、国内総生産)による複合指標]に基づいて各国を4つのカテゴリー(超高、高、中、低)に分け、各カテゴリー別のDALYを解析し、国別、地域別の比較を行った。全疾病負担の90%以上がYLLで、HDIが低い国でYLLが高い 2008年に全世界で、1億6,930万年の健康的な生活が、がんによって失われたと推算された。全DALYに最も寄与した主ながん種は、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がんで、この傾向は世界のほとんどの地域で同様であり、それぞれががんによる全疾病負担の18〜50%を占めた。 感染関連がん(肝、胃、子宮頸部)による疾病負担のさらなる増大が、サハラ砂漠以南のアフリカで25%、東アジアでは27%に及ぶと推計された。 国や地域で、DALYに占めるがん種の割合などには大きな違いがみられたが、どの国でも全がん種についてYLLが重要な要素であり、全疾病負担の90%以上に達していた。一方、人的資源が乏しい国は、豊富な国に比べDALYに占めるYLLの割合が高かった。 著者は、「世界のどの地域でも、がんによって失われた年齢調整DALYは大きなものであった」と結論づけ、「YLLはHDIが高い国よりも低い国で大きかったことから、診断後の予後の大きな隔差は、人間開発の程度と関連することが示唆される。それゆえ、人的資源の少ない国では、がん診療の根本的な改善が必要である」と指摘する。

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聖路加GENERAL 【一般診療に役立つ腫瘍内科学】

第1回「がんの一般情報について」第2回「Oncologic emergenciesとがん性疼痛管理について」 第1回「がんの一般情報について」「日本人の約3人に1人はがんで死亡する」「日本人の約2人に1人はがんに罹る」という言葉からは、「がんの恐ろしさ」だけではなく、「がんにかかっても一定数は治っている」ことが読み取れます。がんを治すためには、早期発見が原則です。しかしながら、がんは初期症状が出ないのが特徴。では、一体どこからがんを疑えばよいのでしょうか。脳腫瘍の場合は、「頭痛」「嘔吐」「うっ血乳頭」が三徴として知られていますが、実際にはそのような明確な徴候よりもむしろ、「だるい」「調子が悪い」「食欲がない」などと訴えてくることがほとんどです。つまり、どんな患者さんに対しても、がんの可能性を意識することが第一歩となるのです。がんの早期発見のためのポイントをはじめ、がん治療中患者が風邪などで来院した場合の注意点や、performancestatus に基づくがんの治療方針など、プライマリ・ケア医が知っておくべき、がん情報のエッセンスを届けます。第2回「Oncologic emergenciesとがん性疼痛管理について」がんは慢性疾患のひとつと捉えられますが、救急処置が必要な「Oncologicemergencies」という病態があります。たとえばSAIDH は、肺がんなど、がん自体に起因するほかプラチナ系のシスプラチンなどの治療薬が原因となることもあります。また、がんの既往がある患者に脊髄圧迫による疼痛や高カルシウム血症などが発症した場合は、すぐに病院に送る必要のある症状かどうかの見極めが重要です。まずOncologic emergenciesの具体的な対処法について、そして後半は、がんの疼痛管理についてお伝えします。薬のおかげで痛みが減って、“我慢できるようになった”ではダメ。痛み“0”を目指すためには、積極的な麻薬の使用が必要です。現場ではなかなか使われない麻薬について、その使い方と注意点を解説します。

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毎日のマルチビタミン剤服用、がんリスク抑制効果はわずか/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用の効果は、総合的にみたがんリスク抑制については、わずかであるが有意であることが示された。しかし個別にみると有意差はなく、またがん死亡の抑制も有意差は示されなかった。ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJ. Michael Gaziano氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告した。マルチビタミン剤は最も一般的な栄養補助食品で米国では成人の3人に1人が服用しているという。しかしこれまで、マルチビタミン剤摂取と、総合的あるいは特異的がんの発生率および死亡率との関連を検討した観察研究は行われていなかった。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。50歳以上男性医師1万4,641例を追跡し、前立腺がん、大腸がんなどとの関連を調査 試験は、マルチビタミンサプリメントの長期服用が男性における総合的あるいは特異的ながんイベントリスクを減少するのかを比較検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、1997年に開始され、2011年7月1日まで追跡した。 登録被験者は米国医師1万4,641例(無作為化時点でがん既往歴のあった1,312例含む)で、試験開始時50歳以上(平均年齢64.3歳、SD 9.2)であった。 主要アウトカムは、すべてのがん(非黒色腫皮膚がんは除く)で、副次アウトカムには前立腺がん、大腸がん、他の部位特異的ながんなどが含まれた。ベースラインでのがん病歴有無でも検討、病歴ありの人では有意に抑制 追跡期間中央値11.2年(範囲:10.7~13.3)の間に、2,669例のがん発生が確認された(前立腺がん1,373例、大腸がん210例含む)。 総合的がんリスクは、毎日のマルチビタミン服用群のほうがプラセボ群と比較して統計的に有意に抑制された[1,000人・年当たりマルチビタミン群17.0 vs. プラセボ群18.3、ハザード比(HR):0.92(95%信頼区間:0.86~0.998)、p=0.04]。  しかし、特異的がんリスク抑制については、いずれも有意な差はみられなかった。前立腺がん(同9.1 vs. 9.2、0.98、0.88~1.09、p=0.76)、大腸がん(同:1.2 vs. 1.4、0.89、0.68~1.17、p=0.39)、その他、肺がん(p=0.26)、血液がん(p=0.10)、膵臓がん(p=0.45)、リンパ腫(p=0.40)、白血病(p=0.33)、黒色腫(p=0.42)であった。 また、がん死亡リスクについても有意な差はみられなかった(同:4.9 vs. 5.6、0.88、0.77~1.01、p=0.07)。 ベースラインでがん病歴のあった1,312例の検討では、マルチビタミン服用群のほうが総合的がんリスクは有意に抑制されたが(HR:0.73、0.56~0.96、p=0.02)、がん病歴のなかった1万3,329例の検討では有意ではなかった(同:0.94、0.87~1.02、p=0.15、相互作用p=0.07)。

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HER1/EGFRSチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ、米国で追加適応申請

 アステラス製薬は20日、米国子会社であるアステラス ファーマ US, Inc.とジェネンテック社が米国で共同販促をする HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(一般名:エルロチニブ)について、既承認の診断法で確認された EGFR 遺伝子変異を有する局所進行性又は転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療の追加適応症について、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出したと発表した。 今回の申請は、EGFR遺伝子変異を有する進行性の非小細胞肺がん患者を対象に実施した、タルセバとプラチナベースの化学療法の一次治療としての有用性を比較する無作為化比較国際共同第III相試験(EURTAC試験)の結果に基づいている。 ロシュ・モレキュラー・ダイアグノスティックス社によって開発された、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を特定するためのコンパニオン診断薬(cobas EGFR Mutation Test)は、現在、米国医療機器放射線保健センター(CDRH:Center for Devices and Radiological Health)において審査中だという。欧米では肺がん患者の10人に1人(10%)、アジアでは10人に3人(約30%)が EGFR遺伝子変異を有すると推定されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/pdf/121120_Jp.pdf

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(35)〕 進行がん患者と医師との良好なコミュニケーションがもたらすものとは?

がん治療は、分子標的薬の登場により飛躍的に進歩してきているといえるが、StageIV(遠隔転移のある)の進行がんに対しては、より長い期間延命ができるようになってきてはいるものの、残念ながら治癒が得られるまでには至っていない。 NEJMに掲載された今回の調査は、米国の医療現場で、転移のある進行がんが化学療法により治癒可能であると誤解している患者が、肺がんで69%、大腸がんで81%であったというものである。この結果は、新しいがん治療薬が次々と承認されてきているこの時代に、医師は患者に、次々と化学療法を使いたいがために、治療効果を楽観視させているのではないか、と警鐘を鳴らすものとも解釈できる。 この調査の弱点としては、患者自身に対してのみの聞き取り調査であるため、医師から実際にどのように説明されているのかは不明という点である。すなわち、医師からは実際には治癒不能と伝えられており、患者は治癒不能ということを理解はしているが、治癒を「希望」、あるいは「期待」して、インタビューに答えているという可能性もある。また、今回の調査のアウトカムが、化学療法に対する効果への理解度ということであるが、その理解度が、患者のQOL(生活の質)にどの程度影響したか、という真のアウトカムまで評価していないことは不十分であると思われる。 実際に、医師が進行がん患者に予後まで説明しているのは、3分の1程度という報告がある(Kiely BE et al. Semin Oncol. 2011; 38: 380-385.)。また、進行がん患者に対する調査で、終末期に関するケアについて、医師と話し合いをしなかった患者は、話し合いをした患者と比べて、ホスピスに入院する期間が短く、精神的苦痛が多く、生前の最後の週に積極的治療(化学療法や蘇生術など)が行われる傾向があり、QOL(生活の質)も低かった、という報告もある(Wright AA et al. JAMA. 2008; 300: 1665-1673.)。このように適切な予後の説明をせず、患者に現実的でない希望を抱かせることによって、化学療法を安易に促してしまうことは好ましいことではない。一方で、可能性・確率を丁寧に説明しない乱暴な予後告知は、患者、家族に多大な精神的負担を与えてしまうだけであるという調査報告もある(Morita T et al. Ann Oncol. 2004; 15: 1551-1557.)。わが国でも、最近の傾向として、余命告知が平易に行われてしまっているという傾向があり、そのために「もう治療がない」と、治療を求めてさまよう「がん難民」が増加しているといわれている(The Wall Street Journal, January 11, 2007.)。 進行がん患者と、希望を損なうことなく、予後について話し合うということは、大変困難なことではある。しかし、大切なのは、患者とよいコミュニケーションを取る、ということに尽きると思う。治療医と患者の良好なコミュニケーション(お互いに尊敬し合う、質問がしやすい雰囲気、化学療法が終了しホスピスに移行した後でもコミュニケーションをとり続けることなど)が末期がん患者のQOLを高める要素となること、そのために、医師のコミュニケーション技術を高めることの重要性が最近話題になっていることでもある(ASCO POST, September 15, 2012, Volume 3, Issue 14.)。勝俣 範之先生のブログはこちら

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化学療法への誤解、医師とのコミュニケーションが良い人が悪い人の約2倍

 転移性肺がん・大腸がん患者の大半は、化学療法によってがんが治癒すると誤解していることが明らかになった。また誤解をしている人の割合は、医師・患者間のコミュニケーションが良いと感じている患者の方が高かった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJane C. Weeks氏らが、約1,200人の転移がん患者を対象に行った調査で明らかにしたもので、NEJM誌2012年10月24日号で発表した。転移性の肺がんや大腸がんに対する化学療法は、数週間から数ヵ月の延命効果は期待でき症状が緩和される可能性はあるが、治癒は得られない。転移性の肺がん・大腸がんで化学療法を受けた1,193人を調査 研究グループは、がん患者についての全米前向き観察コホート試験である「Cancer Care Outcomes Research and Surveillance」(CanCORS)の参加者で、転移性の肺がんまたは大腸がんで、診断後4ヵ月時点で生存しており転移性がんに対する化学療法を受けた1,193人を対象に調査した。  化学療法によって、がんが治癒する可能性があると期待している人の割合と、そうした人の臨床的、社会経済的特徴などの関連を分析した。誤解は、大腸がん患者のほうが肺がん患者より多い その結果、化学療法によって、自分のがんが治癒する可能性が全くないことを理解していると回答しなかった人の割合は、肺がん患者の69%、大腸がん患者の81%に上った。  多変量ロジスティック回帰分析の結果、化学療法に対するこうした不正確な確信を持っている人の割合は、大腸がん患者の方が肺がん患者より多かった(オッズ比:1.75、95%信頼区間:1.29~2.37)。また、非白人とヒスパニック系が、非ヒスパニック系白人に比べて多く(黒人に対するオッズ比:2.93、同:1.80~4.78、ヒスパニック系に対するオッズ比:2.82、同:1.51~5.27)、医師とのコミュニケーションが非常に良いと評価した上位3分の1が、下位3分の1の人に比べて多かった(オッズ比:1.90、同:1.33~2.72)。  一方、教育レベルや身体機能の状態、意思決定における患者の役割などは、化学療法に対する不正確な確信の割合との関連はみられなかった。 結果を受けてWeeks氏は、「不治のがんに対する化学療法を受けている患者の多くは、治癒する可能性は低いことを理解していない可能性がある。そのため十分な情報に基づき、自らの意向に沿った判断ができていない可能性がある。医師は患者の満足度を犠牲にするかもしれないが、患者の理解を改善できるだろう」とまとめた。

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非喫煙者の非小細胞肺がんにおける予後予測因子

 非喫煙者における肺がん(LCINS)は、病因や臨床的特徴、予後の違いから、喫煙者における肺がんとは異なる疾患として認識されている。今回、LCINSにおける特異的予測マーカーの同定を目的とした米国MDアンダーソンがんセンターのXia Pu氏らの研究から、炎症関連遺伝子の変異がLCINSの臨床的転帰に影響する可能性があることが示唆された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2012年 9月13日号に掲載された。 著者らはまず、904の炎症関連遺伝子において11,930の一塩基多型(SNP)の遺伝子型を同定し、MDアンダーソンがんセンターにおけるLCINS患者411例の全生存期間との関連を分析した。次に、メイヨークリニックにおけるLCINS患者311例におけるトップ27のSNPの検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・3つのSNP(IL17RA:rs879576、BMP8A:rs698141、STY:rs290229)が確認され(p

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新規分子標的薬の開発に従来型の大規模臨床試験は必要か?~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 がん治療における「個別化治療」は、最近の分子標的薬剤の開発によって現実化してきている。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日、大阪国際会議場)のシンポジウム5「Biomarkerによる個別化治療の進歩」では、各領域がんの個別化治療の現状と将来展望について講演が行われた。「バイオマーカーに基づく非小細胞肺癌における治療開発」と題して講演を行った近畿大学の岡本勇氏は、新規分子標的薬の開発における臨床試験について、「非小細胞肺がんは、遺伝子変異別に薬剤を投与する時代になり、各遺伝子変異の頻度が非常に少ないこともわかってきたことから、従来型の大規模臨床試験による新薬開発からマインドを変える必要がある」と提言した。 非小細胞肺がんにおけるdriver oncogene mutationとしては、EGFR遺伝子変異、EML4-ALK融合遺伝子が代表的であるが、それぞれをターゲットとする薬剤としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ[商品名:イレッサ]、エルロチニブ[同:タルセバ]とALKチロシンキナーゼ阻害薬(クリゾチニブ[同:ザーコリ])が現在、実地臨床で使用できる。 また、現在、driver oncogene mutationとして、ROS1融合遺伝子とRET融合遺伝子が発見されている。ROS1融合遺伝子を持つ患者は肺腺がん患者の1.2%に見られ、クリゾチニブで高い効果が報告されている。RET融合遺伝子を持つ患者も肺腺がん患者の約1~2%存在し、これをターゲットとするバンデタニブ(国内未発売)の有効性と安全性については、国立がん研究センター東病院など5施設で医師主導治験により評価していく予定である。 このように、driver oncogeneが発見され、それをターゲットとする薬剤がある一方で、症例が非常に少ないという現状のなか、岡本氏は「どのような臨床試験を組むのか、どのような承認のプロセスをとるのか、どのように標準的治療のなかに組み込んでいくのかが、われわれが直面している1つの大きな問題」と考える。 さらに岡本氏は、私見として、「driver oncogene mutationという強力な分子的背景があり、前臨床で効果のある患者を特定でき、さらに臨床で高い効果が得られ、ある程度薬剤の安全性が認められる場合は承認し、その後の実地臨床で厳しく評価していけばよいのではないか」と述べた。

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アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指すJSMO2012 第10回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナーより

今年の日本臨床腫瘍学会(以下、JSMO)学術集会は10周年記念大会として、"Beyond the Global Standard of Medical Oncology 縲弃erspectives from Asia縲鰀"をテーマとして掲げ 、7月26日~28日の3日間、大阪国際会議場で開催される。10ヵ所の講演会場とポスター会場を使い、1,000題を超えるプレゼンテーションが行われる。今年の学術集会の見どころを、13日に行われたプレスセミナーで、会長である近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 教授 中川和彦氏が紹介した。設立10周年記念企画 7月26日、10周年記念企画「わが国における臨床腫瘍学の歩みと今後の展望」が開かれる。ここではJSMOがこの10年間どのように成長したか、今後どのような方向に向かっていくのか、歴代会長と現役会員がそれぞれの観点からディスカッションを行う。国際化への取り組みJSMOは、“アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指す”と宣言しているが、その宣言を反映するように、海外から一般演題を募集するという初めての試みを行っている。その結果、今回の1,135演題のうち122演題が海外からの応募演題となった。これら海外からの演題は12のインターナショナルセッションに配置しているが、予定以上の演題数に、急遽6のミニインターナショナルセッションも設け、プレゼンテーションの機会を与えている。 7月26日にはASCO、27日にはESMO、28日にはCSCO(中国)およびKACO(韓国)の各臨床腫瘍学会とのジョイントシンポジウムが行われる。ASCOからは次期ASCO会長であるDr.Swain、ESMO からは機関誌Annal of Oncologyの編集者でもあるDr.Vermorken、また、CSCO、KACOからもそれぞれClinical oncologyの第一人者が出席する。これらのシンポジウムでは、国内外の最先端の研究報告が期待される。また、このような活動を通し、JSMOは今後、海外、とくにアジアでのコンセンサスを形成する活動を目指していくという。プレナリーセッションすべての演題の中から重要度の高い7演題をプレナリーセッションに取り上げている。腎がん、乳がん、胃がん、大腸がん2題、肺がん2題の演題はすべてPhase3であり、いずれも非常にインパクトが高く臨床に直結した発表である。また、プレナリーセッション開催時は、その他の会場でのプログラムがなく、同セッションだけに集中できるスケジュールとなっている。プレナリーセッション演題は下記のとおり。1:「Phase III AXIS trial of axitinib vs sorafenib in patients with metastatic renal cell carcinoma: Asian subgroup analysis」Hirotsugu Uemura (Department of Urology, Kinki University School of Medicine, Osaka2:「A Phase III, Multicenter, Randomized Trial of Maintenance Versus Observation After Achieving Clinical Response in Patients With Metastatic Breast Cancer Who Received 6 Cycles of Gemcitabine Plus Paclitaxel as First-line Chemotherapy (KCSG-BR 0702, NCT00561119) 」Young-Hyuck Im (Samsung Medical Center)3: 「Randomized phase III study of irinotecan (CPT-11) vs. weekly paclitaxel (wPTX) for advanced gastric cancer (AGC) refractory to combination chemotherapy (CT) of fluoropyrimidine plus platinum (FP) : WJOG4007 trial」Nozomu Machida (Division of Gastrointestinal Oncology, Shizuoka Cancer Center)4: 「Results of a phase III randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial (CORRECT) of regorafenib plus best supportive care (BSC) versus placebo plus BSC in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC) who have progressed after standard therapies.」Takayuki Yoshino (National Cancer Center Hospital East)5: 「Results of ML18147: A phase III study of bevacizumab in 2nd line mCRC for patients pretreated with bevacizumab in 1st line」Stefan Kubicka (District Clinic Reutlingen)6: 「LUX-Lung 3: afatinib vs cisplatin and pemetrexed in Japanese patients with adenocarcinoma of the lung harboring an EGFR mutation」Nobuyuki Yamamoto (Thoracic Oncology Division, Shizuoka Cancer Center)7: 「Maintenance pemetrexed (pem) plus best supportive care (BSC) vs placebo plus BSC after pem plus cisplatin for advanced nonsquamous NSCLC」C. K. Obasaju (Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN, USA)学会へ行こうプログラム今回は、市民との対話の機会を設けるなど、アカデミックなプログラム以外の活動も企画している。具体的には「学会へ行こうプログラム」を企画。市民の学会への参加を呼びかけるとともに、市民公開講座、ペイシェント・アドボケイト・プログラムなどを実施する。今まで当学会への市民参加は行ったことがなかったが、がん診療のあり方を変える取り組みとして、市民に参加してもらう機会を作りたいという意図から実施に至った。 この中で、最も注目されるイベントは7月26日14時30分から開催される公開シンポジウムである。「がん患者の必要としているがん医療縲恍n域でがん患者を支えるためには縲怐vと題し、司会に田原総一朗氏を招き、学会・マスコミの第一人者を集めて2部構成で開催される。第1部では、がん対策基本法が制定されてから、これまでどのようなことが変わってきたか? 第2部では、政府の新たな指針に対する検証、各方面からの要望などを議論する。教育講演今回の大会の目玉の一つとして、充実した教育講演がある。具体的には、日本の第一人者による32の教育講演を3日間続けて行う。内容は支持療法から臓器各論、標準治療、分子標的治療薬に至るまでさまざまなテーマで開催される。今年は、海外からの参加者も念頭に置き、同時通訳と英語スライドを使用するとのこと。また、7月27日8時からは、JSMO専門医会がケースカンファレンスを行う。乳がん、原発不明がん、大腸がんを取り上げ、どのように専門医が有効に働いていくのかを知る良い機会となる。今回の大会では、今年6月のASCOで発表された注目の演題も数多く取り上げられているが、それだけでなく、日本での臨床応用についてのディスカッションも行われる。これは日本の臨床腫瘍学にとって、非常に有益なことであり、将来はJSMOから世界に発信するということを目標としたい、と中川氏は語った。 (ケアネット細田雅之)

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世界におけるがんの発症動向を予測。2030年にはどうなる?

がんは今後数十年間で、世界のすべての地域で罹患および死亡における主要な原因疾患となることが予測される。では、地域によって状況は異なるのだろうか。Bray氏らが、平均寿命・教育・GDPの複合指標である人間開発指数(HDI)のレベルで分けて評価したがん発症の傾向と2030年までの予測を、The Lancet Oncology誌オンライン版2012年6月1日号に報告した。この報告によると、2008年は、最も高レベルのHDIの地域ではがん全体の半数を乳がん・肺がん・大腸がん・前立腺がんで占めており、中レベルのHDIの地域ではこれらに加えて、食道がん・胃がん・肝臓がんも多かった。またこれら7種類のがんは、中レベルから非常に高レベルのHDIの地域において、すべてのがんの62%を占めていた。一方、低レベルのHDIの地域では、乳がんや肝臓がんより子宮頸がんのほうが多かった。184ヵ国全体では、男性で9種類のがんが多く、なかでも前立腺がん・肺がん・肝臓がんが最も多かった。女性では、乳がん・子宮頸がんが最も多かった。発症人数の変化については、中レベルと高レベルのHDIの地域では、子宮頸がん・胃がんの発症率の減少が、乳がん・前立腺がん・大腸がんの発症率の増加によって相殺されるとしている。本研究で推測されるような傾向が続けば、がんの発症人数は2008年の1,270万人から2030年には2,220万人に増加し、すべてのがんにおける発症率が増加することが予測されるという。今回の結果から、多くの国々の急速な社会的・経済的変化により、感染に関連するがんは減少するが、その減少は生殖・栄養・ホルモン因子に関連するがんの増加によって相殺されることが示唆されている。ターゲットを絞った介入が、予防接種・早期発見・効果的な治療の実施と並行した効果的な一次予防戦略を通じて、がん減少に導く可能性があると、著者らは提言している。(ケアネット 金沢 浩子)

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肺がん家族歴を有する非小細胞肺がん患者の臨床病理学的特徴

家族歴を有する非小細胞肺がん患者の臨床的な特徴と予後予測 は確立されていない。Haraguchi 氏らは、1982年から2010年まで自施設で治療した非小細胞肺がん患者の診療録を用い、臨床病理ステージおよび患者の転帰について、肺がんの家族歴を有する患者(family history of lung cancer、以下FHLC)と家族歴の無い患者(non family history of lung cancer、以下non-FHLC)を比較し、包括的なreviewを行った。その解析結果がInternational Journal of Medical Sciences 誌2012年Vol.9で発表された。今回の解析対象である1,013例の非小細胞肺がん患者のうち、124例(12.2%)が肺がんの家族歴を有していた。FHLC患者とnon- FHLC患者のグループ間の因子の単変量解析は、対応のない両側t検定またはχ2検定を用いて行った。FHLC患者では有意に早期の臨床病理ステージが多くみられ 、また腺がんが多かった。FHLC患者の死亡ハザード比は、non-FHLC患者と比較して0.87(95% CI:0.955~1.263、p=0.465)であった(Cox比例ハザードモデルにて計算)。FHLC患者は、早期臨床病理ステージと腺がんの多さで特徴づけられる。FHLC患者に早期臨床病理ステージが有意に多いのは、肺がんに対する素因を有することを認識しているためと考えられる。これらの知見から、肺がんの早期発見とより侵襲の少ない治療介入の実施の重要性が強調されるものである。(ケアネット 細田 雅之)

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研究論文は多数の医学ジャーナルに分散、最新知識を得るための支援システムが必要

各専門分野の無作為化試験の論文は多数の医学ジャーナルに広範に分散して掲載され、個々の医師が個人購読で最新の知識を得るには限界があることが、オーストラリアBond大学のTammy Hoffmann氏らの調査で示された。研究論文やそれを掲載する医学ジャーナルの数は急激に増えており、医師が常に最新の研究論文を熟読することは困難で、多くは選定された論文や電子ジャーナルにざっと目を通すだけだという。このようなやり方が効果的とは考えられないが、各専門分野の研究論文がどの程度ジャーナル間に分散しているかは明らかでない。BMJ誌2012年6月16日号(オンライン版5月17日号)掲載の報告。無作為化試験、系統的レビューの論文分散状況を横断的研究で評価研究グループは、無作為化試験または系統的レビュー論文の分散の程度および専門分野の分散の仕方の特徴を評価するために横断的研究を行った。PubMedを検索して、2009年に発表された疾病負担が最も大きい9つの疾患や障害、およびそれぞれが属する疾患カテゴリーに関する無作為化試験または系統的レビューの論文を抽出した。個人購読では限界医学ジャーナルに掲載された論文の分散は専門分野によってばらつきがみられ、最も分散度が低い耳鼻咽喉学(363論文が167誌に掲載)から、最も分散度が高い神経学(2,770論文が896誌に掲載)までの幅があった。論文の50%を掲載するのに要するジャーナルが10誌以下の専門分野は、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、難聴の3分野だけだった。論文の分散度は系統的レビューのほうが低かったが、最も低い難聴(10論文が9誌に掲載)から最も高いがん(670論文が279誌に掲載)までの幅がみられた。著者は、「無作為化試験の論文の出版率は1日に1~7論文と大きな幅がみられ、数百もの一般誌や専門誌に分散して掲載されていた。系統的レビューは分散度が低いものの、それでも広く分散していた」とまとめ、「医師が最新の知識を得るには、医学ジャーナルの個人購読では限界があり、十分な数のジャーナルを網羅したり、質の高い論文や関連論文を抽出するシステムなどによる支援が必要で、現時点では適切なシステムはない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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要注意…論文のアブストラクトと本文の結語の不一致:肺がん全身療法のRCTを分析

臨床医は、新たなRCT(Randomized Control Study)の情報に乗り遅れないよう、論文のアブストラクトだけを読むことがある。しかし、論文の結語(conclusion)は、アブストラクトと本文中で記載内容が一致していないことがある。このアブストラクトの不一致についてカナダQueen’s UniversityのAltwairgi氏らが分析し、その結果がJournal of Clinical Oncologyオンライン版2012年5月29日に掲載された。分析対象となったのは2004年~2009年の間に発表された肺がん全身療法のRCTである。アブストラクト中と本文中の結語は、7段階のリッカート尺度を用いて階層化された(スコア1は対照群を強く支持、4は双方に中立、7は試験群を強く支持)。双方の点数差が2以上の場合、不一致と判定された。また、不一致関連因子の特定にはχ2検定とロジスティック回帰分析が用いられた。結果、114件のRCT(非小細胞肺がん90件、小細胞肺がん24件)が選出され、そのうち11件(10%)の論文で、結語の不一致が示された。不一致は、実験群がアブストラクト中の結語で強く支持されるケースで最も多かった(9/11 件、82%)。また、不一致の要因を分析したところ、掲載誌のインパクトファクター、肺がん進行度、スポンサーシップの有無など試験関連因子からは独立したものであることがわかった。Altwairgi氏らは、実臨床において、RCTに関する論文のアブストラクトだけを確認して診療変更を検討するような場合は、注意を払うべきであると、結語で述べている。(ケアネット 細田 雅之)

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高齢の進行非小細胞肺がんに単剤療法と併用療法はどちらが有用か?:無作為化第II相試験

高齢者に対する化学療法において併用療法の有用性が議論されている。今回、高齢の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、隔週ゲムシタビン(商品名:ジェムザールなど)+低用量カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)併用療法が、有効性、安全性、忍容性において容認されるという結果が、無作為化第II相試験で得られた。2012年6月15日付Lung Cancer誌オンライン版に掲載された。著者の浜松医科大学の草ヶ谷氏らは、今回の結果を確認するために多数の患者でのさらなる検討が必要としている。本試験では、76歳以上の未治療NSCLC患者が、隔週ゲムシタビン+カルボプラチン併用療法(ゲムシタビン1,000mg/m2+カルボプラチンAUC3、1,15日目、4週ごと)に31例、ゲムシタビン単剤療法(1,000mg/m2、1,8,15日目、4週ごと)に30例が、無作為に割り付けられ検討された。患者の平均年齢は79.0歳、主要エンドポイントは全奏効率。主な結果は以下のとおり。 ・全奏効率は、併用療法が22.6%(95%CI:11.4~39.8)、単剤療法10.0%(95%CI:3.5~25.6)であった。・無増悪生存期間中央値は、併用療法が3.9ヵ月(95%CI :0.5~8.5)で、単剤療法の2.4ヵ月(95%CI:0.5~6.7)に比べて有意に長かった。・グレード3/4の血液学的および非血液学的有害事象の発現率は、両群で有意差はなかった。(ケアネット 金沢 浩子)

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教育講演「分子標的薬の現状と展望―副作用対策を含めて―」

座長 清原 祥夫氏 (静岡がんセンター 皮膚科)中川 秀己氏(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)ビスフォスフォネートの抗腫瘍効果についてはいまだ賛否両論がある。現在までにいくつかの臨床試験の結果が報告されており、システマティックレビューとメタ分析が行われた。ここでは、主にチロシンキナーゼ阻害薬による皮膚症状の特徴と対処法、抗体医薬使用時の注意すべき副作用について前編、後編に分けてレポートする。皮膚科医とチロシンキナーゼ阻害薬・抗体医薬の関わりとは?本教育講演では、まず、自治医科大学皮膚科学教室 大槻マミ太郎氏が分子標的薬の概要について講演を行った。初めに、大槻氏は、今後、シェアを確実に伸ばしていく薬剤として低分子のチロシンキナーゼ阻害薬や高分子の抗体医薬などを挙げ、これらの薬剤がターゲットを絞り込む分子特異的治療の両輪となっていると述べた。キナーゼ阻害薬は主に抗がん剤として用いられており、皮膚科領域でも、悪性黒色腫などに対する開発に期待が高まっている一方、現時点では、その副作用として高頻度に発現する皮膚症状とその対処法に注目が集まっている。また、抗体医薬は免疫疾患のQOL改善に貢献度が高く、皮膚科では乾癬治療薬としてTNFαやIL-12、IL-23を標的とした生物学的製剤に期待が寄せられているが、ほかの適応疾患における使用により、乾癬型の薬疹の発現が報告されており、その対処も議論されている。このことを踏まえ、乾癬の治療に関しては、新しい分子標的薬は標的がピンポイントであるため、副作用も絞り込まれると期待されているが、特定の経路のみ抑制すると別の経路が活性化される可能性があり、未知なる「逆説的副作用」が生じる可能性がある。一方で、シクロスポリンなど作用点は多岐にわたるがさまざまな経路を幅広く抑制しうる薬剤は、副作用も経験的に熟知されており、古典的であるがゆえに、使い勝手の良い薬剤ともいえる、と大槻氏は述べた。EGFR阻害薬の皮膚症状と対処法:主にざ瘡様発疹について滋賀医科大学皮膚科学講座 藤本徳毅氏はEGFR(上皮増殖因子受容体)阻害薬による皮膚症状と対処法について、考察を述べた。EGFR阻害薬には、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)やエルロチニブ(同:タルセバ)などのチロシンキナーゼ阻害薬と、セツキシマブ(同:アービタックス)やパニツムマブ(同:ベクティビックス)などのモノクローナル抗体があり、非小細胞肺がんや大腸がん、膵がんなどに使用されている。これらの薬剤は、EGFRシグナルを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制し、原疾患への効果を発揮する。一方でEGFRは正常皮膚の表皮基底細胞や外毛根鞘細胞などにも発現することがわかっており、EGFR阻害により、活性化EGFRが減少し、ケラチノサイトの角化異常、角質の菲薄化、角栓の形成が亢進することで高頻度で皮膚障害が生じると言われている。EGFR阻害薬の皮膚症状としては、主にざ瘡様発疹や乾皮症、爪囲炎などが多く、稀なものとしては脱毛性病変などが挙げられる。これら皮膚症状は、重症度が高いほど、原疾患に対するEGFR阻害薬の有効性が高い、つまり生存期間が長いことが示されており、治療効果をはかる指標となる可能性も示唆されている。ざ瘡様発疹の対処法とは?続いて、それぞれの皮膚障害の特徴や対処法について言及した。ざ瘡様発疹はEGFR阻害薬投与後、数日で発現し、4~6週でピークを迎え、6~8週で軽快するケースが多い。また、顔面や体幹に好発し、掻痒や疼痛を伴うが面疱は認められず、大半が無菌性であると言われている。藤本氏は、ざ瘡様発疹は高頻度に発現することがわかっているが、チロシンキナーゼ阻害薬よりもモノクローナル抗体のほうが重症な皮疹が出る印象がある、とつけ加えた。重症度については、日本臨床腫瘍研究グループによって公表されている「有害事象共通用語規準ver4.0 日本語訳JCOG版」(CTCAE v4.0 - JCOG)を用いるのが一般的である。ここでは、体表面積と社会的要素を中心に5段階のGradeに分類されている。ほかにも、各製品の適正使用ガイド等に、掻痒、疼痛の有無によるGradeの目安や発疹出現時の用量調節の基準などが掲載されており、参考にできるとした。対処法については、基本的に、皮膚症状による薬剤の休薬や減量は避けたいとしながら、確立していないものの経験的に実施されているいくつかの治療法について紹介した。ざ瘡様発疹の場合、炎症性ざ瘡の治療に準じて、外用抗菌薬が用いられる。また、局所療法の1つとして、ステロイド外用薬が使用されており、藤本氏は、顔面については、Grade2の場合はstrong class、Grade3でvery strong classを使用すると述べた。しかし、これまでの国内外の文献を見てみると、その評価は一定していないことにも触れ、ステロイド外用薬は即効性はあるが、上手に使いこなすことが重要であると強調した。さらに、Grade2以上または細菌感染合併例には、テトラサイクリン系抗菌薬内服(とくにミノサイクリン)が有効であることも述べた。ミノサイクリンに関しては、海外から、「6週間程度の服用を推奨する」、「皮膚症状の予防効果がある」などの報告がある一方で、「そのエビデンスレベルは不明」とする報告もあるとした。ほかにも、免疫抑制剤の外用薬を使用し、有効性が認められた報告やアダパレンゲルについても言及したが、いずれも一定の評価は得られていないとした。その他の副作用への対処法は?乾皮症は4~35%程度の発現頻度であり、EGFR阻害薬投与後、1~2ヵ月で症状が発現することが多い。治療としては、まずはヘパリン類似物質やワセリン、尿素製剤外用などによって保湿を行い、効果が得られない場合は、ステロイド外用薬を併用する。この症状に関しては、保湿による予防が重要である、と述べた。また、爪囲炎は6~12%程度の発現頻度であり、薬剤投与後2~4ヵ月くらいから見られる症状である。基本的には、浸出液が見られる場合、洗浄、クーリング、テーピング、保湿剤等による処置を行うが、発赤や腫脹が見られる場合には、初期から、very strong~strong classのステロイド外用薬を積極的に用いることが重要である。そのほか、細菌感染合併例には短期間のミノサイクリン内服、さらに外科的処置として部分抜爪や人口爪も考慮されるとした。毛髪異常に関しては、薬剤投与開始後2、3ヵ月で見られることが多いが、頻度は不明であり、中にはまつ毛や眉毛が伸びる症例も見られる。基本的には、EGFR阻害薬を中止しないことには改善しないが、患者さんからの訴えも多くはないため、中止・休薬するケースは少ないと述べた。このようなEGFR阻害薬による皮膚症状では、予防が重要であると言われている。スキンケアの指導は、清潔、保湿、刺激からの保護を基本とし、たとえば、「保湿剤はこすらずに、手のひらでおさえて塗る(スタンプ式塗布)」「外出時は日焼け止めを使用する」「爪は長く伸ばしてまっすぐ切る」などこまめな指導が必要となってくる。藤本氏は、これらスキンケアの方法を患者にわかりやすく説明し、薬剤の写真が入った説明書を配布するなどして、皮膚症状が出ても患者があわてずにすむように指導を行うことも重要である強調し、講演を締めくくった。

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