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COVID-19患者の脱毛症、特徴が明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連が報告されている脱毛症患者について、米国・マイアミ大学のBetty Nguyen氏らが系統的レビューとメタ解析を実施。男性型脱毛症は、重症新型コロナウイルス感染症のリスク因子である可能性が認められ、一方で休止期脱毛症は新型コロナウイルス感染症の後遺症としての出現が認められること、また円形脱毛症は概して、円形脱毛症既往患者に再発として認められることを報告した。新型コロナウイルス感染症は男性型脱毛症、休止期脱毛症、円形脱毛症と関連することが示されているが、これまで包括的なデータ分析は行われていなかった。JAAD International誌オンライン版2022年2月22日号掲載の報告。休止期脱毛症はコロナ後遺症として出現 研究グループは、システマティックレビューとメタ解析にて、新型コロナウイルス感染症関連の脱毛症のタイプ、発生率、時期および臨床アウトカムの特徴付けを行った。PubMed/MEDLINE、Scopus、Embaseにて、“脱毛症(alopecia)”または“髪(hair)”およびCOVID-19の検索単語を用いて、2019年11月~2021年8月に発表された論文を検索した。 新型コロナウイルス感染症と脱毛症におけるメタ解析の主な結果は以下のとおり。・新型コロナウイルス感染症を有した脱毛症患者について描出した41の原著論文を特定した。・レビューには、新型コロナウイルス感染症を有した脱毛症患者1,826例(平均年齢54.5歳、男性54.3%)を包含した。・最も一般的にみられた脱毛症のタイプは、男性型脱毛症(全体の30.7%、男性では86.4%)、休止期脱毛症(19.8%、男性では19.3%)、円形脱毛症(7.8%、男性では40.0%)であった。・男性型脱毛症を呈したコロナ陽性患者全員が、男性型脱毛症既往であり(100%)、男性型脱毛症は、新型コロナウイルス感染症に先んじて認められた。・休止期脱毛症を呈したコロナ陽性患者は、概して休止期脱毛症は非既往で(93.6%)、休止期脱毛症は新型コロナウイルス感染症によって新たに引き起こされたものであった。・円形脱毛症を呈した新型コロナウイルス陽性患者は、ほとんどが円形脱毛症既往で(95.1%)、円形脱毛症は概して円形脱毛症既往の患者で発生が認められるものであった。

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COVID-19関連の超過死亡、報告されている死亡の3倍/Lancet

 2020~21年の2年間における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行による全体的な死亡への影響は、COVID-19のみに起因する死亡よりもはるかに大きく、全年齢層における世界的な超過死亡の割合は10万人当たり平均120人であり、300人を超えた国は21ヵ国に及ぶことが、米国・ワシントン大学のHaidong Wang氏らCOVID-19 Excess Mortality Collaboratorsの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年3月10日号に掲載された。超過死亡を系統的解析で評価 研究グループは、2020年1月1日~2021年12月31日の期間の、191の国と領土、および252の地域におけるCOVID-19の世界的流行による超過死亡の推定を目的に、COVID-19関連死亡の報告書を系統的に解析した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの助成を受けた)。 この調査では、上記期間とその最大11年前までの期間における週ごとまたは月ごとのあらゆる原因による死亡(総死亡)の報告書が、世界74の国と領土、および266の地域(低・中所得国の31の地域を含む)から収集された。また、インドの12州から超過死亡データが得られた。 経時的な超過死亡者数は、観測死亡者数(死亡登録の遅れや、熱波などの異常気象の影響を受けた期間のデータは除外)から予測死亡者数を差し引いた値とされた。予測死亡者数の推定には6つのモデルが用いられ、最終的な推定値はこれらを融合したモデルに基づいて算出された。 世界的な死亡記録は不完全であるため、総死亡のデータがない地域や期間の超過死亡率を予測する統計モデルが構築された。国、地域、世界レベルでの超過死亡者数の平均値と95%不確実性区間(UI)が算出され、最終的なモデルに基づいてサンプル以外での予測妥当性の検証が行われた。COVID-19関連の超過死亡率、報告されている死亡率の3.07倍 2021年12月31日までの2年間に、世界で報告されたCOVID-19による死亡者数は594万人であったが、COVID-19の世界的流行による超過死亡者数は1,820万人(95%UI:1,710万~1,960万)と推定された。 この期間の世界の全年齢層におけるCOVID-19による死亡率は人口10万人当たり39.2人で、COVID-19の世界的流行による超過死亡率は人口10万人当たり120.3人(95%UI:113.1~129.3)であり、超過死亡率の実際の死亡率に対する比は3.07(2.88~3.30)であった。超過死亡の負担の程度には各国で大きなばらつきが認められ、COVID-19の世界的流行による超過死亡率が人口10万人当たり300人を超えたのは21ヵ国であった。 地域別でCOVID-19による超過死亡者数が多かったのは、南アジア(527万人[95%UI:471万~570万])、北アフリカ/中東(173万人[157万~199万])、東ヨーロッパ(139万人[137万~141万])の順であった。 国別でCOVID-19による超過死亡者数が多かったのは、インド(407万人[95%UI:371万~436万])、米国(113万人[108万~118万])、ロシア(107万人[106万~108万])、メキシコ(79万8,000人[74万1,000~86万7,000])、ブラジル(79万2,000人[73万~84万7,000])、インドネシア(73万6,000人[59万4,000~95万5,000])、パキスタン(66万4,000人[49万8,000~84万7,000])の順であった。 これらの国のうち、超過死亡率が最も高かったのは、ロシア(人口10万人当たり374.6人[95%UI:369.7~378.4])とメキシコ(325.1人[301.6~353.3])であり、ブラジル(186.9人[172.2~199.8])と米国(179.3人[170.7~187.5])は同程度であった。 日本は、COVID-19による死亡者数が1万8,400人、COVID-19の世界的流行による超過死亡者数は11万1,000人(95%UI:10万3,000~11万6,000)であった。また、COVID-19による死亡率は10万人当たり7.3人、COVID-19の世界的流行による超過死亡率は10万人当たり44.1人(95%UI:41.0~46.4)であり、超過死亡率の実際の死亡率に対する比は6.02(5.58~6.33)だった。 著者は、「それぞれの国・地域から実際に報告されたCOVID-19による死亡と、COVID-19関連の超過死亡との間に認められた大きな差は、COVID-19対策やモニタリング、評価の取り組みでは、超過死亡推定値の使用が重要であることを浮き彫りにするものである」としている。

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抗TNFα抗体製剤治療中のIBD患者、2回目の新型コロナワクチン接種後の免疫応答が低下

 抗TNFα抗体製剤は、炎症性腸疾患(IBD)などの免疫介在性炎症性疾患の治療に頻繁に用いられる生物学的製剤の1つだ。これまで抗TNFα抗体製剤は、肺炎球菌やインフルエンザワクチン接種後の免疫応答を減弱させ、重篤な呼吸器感染症リスクを増加させることが知られていた。しかし、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチンに対するデータは不足していた。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのSimeng Lin氏らは、インフリキシマブ(抗TNFα抗体製剤)またはベドリズマブ(腸管選択的抗α4β7インテグリン抗体製剤)で治療中のIBD患者において、2回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体濃度やブレークスルー感染の頻度を比較した。Nature Communications誌2022年3月16日号の報告。 研究グループは、2020年9月22日~12月23日の間に、英国の92医療機関に来院したIBD患者7,226例を連続して登録した。そのうち新型コロナウイルス感染歴のないインフリキシマブ治療中の2,279例とベドリズマブ治療中の1,031例を対象とした。被験者はファイザー製BNT162b2ワクチン、アストラゼネカ製ChAdOx1 nCoV-19ワクチンのいずれかを接種し、2回目のワクチン接種から14~70日後に抗体が測定された。 主な結果は以下のとおり。・2回目のBNT162b2ワクチン接種後、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗SARS-CoV-2スパイク(S)受容体結合ドメイン(RBD)抗体の幾何平均濃度(SD)が低く、半減期が短かった(566.7 U/mL[6.2]vs.4,555.3 U/mL[5.4]、p<0.0001、26.8日[95%CI:26.2~27.5]vs.47.6日[45.5~49.8]、p<0.0001)。・ChAdOx1 CoV-19ワクチンでも同様に、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗S RBD抗体の幾何平均濃度が低く、半減期が短かった(184.7 U/mL[5.0]vs.784.0 U/mL[3.5]、p<0.0001、35.9日[34.9~36.8]vs.58.0日[55.0~61.3]、p<0.0001)。・新型コロナウイルスのブレークスルー感染は、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて頻度が高かった(5.8%[201/3,441]vs.3.9%[66/1,682]、p=0.0039)。・ワクチン接種前に新型コロナウイルス感染歴がある患者では、治療薬にかかわらず、より高く持続した抗体レベルが認められた。 著者らは「抗TNFα抗体製剤で治療中の、リスクを有する患者においては、個々に適したワクチン接種スケジュールの検討が必要な可能性がある」と述べた。

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第105回 COVID-19後の長患いの予防や治療を見つける試験が進行中

ワクチン2回接種後14日以上経ってから新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)した約3,000人(3,090人)を調べたところ、感染後の長引く症状(COVID-19後遺症)の発現率はワクチン非接種感染者に比べて41%低いことが示されました1)。COVID-19後遺症、すなわちCOVID-19以外では説明がつかない4週間を超えて続く症状があったと答えた人の割合はワクチン接種済み群では9.5%、非接種群では14.6%でした。そのようなCOVID-19後の長患いを減らすワクチン以外の手段の検討も始まっています2)。Merck & Coの飲み薬molnupiravir(モルヌピラビル)がCOVID-19患者の入院を阻止したり回復を早めたりできるかどうかの検討を含む英国オックスフォード大学主催のPANORAMIC試験3)では治療後3ヵ月と6ヵ月の経過が調べられます。試験の主眼ではありませんがそれらのデータが集まれば同剤で後遺症が生じ難くなるかどうかを知ることができそうです。Pfizerの飲み薬paxlovid(パクスロビド)の試験2つでも被験者の6ヵ月間の追跡が含まれています。比較的軽症のCOVID-19患者にもっぱら使われるそれらの抗ウイルス薬の検討のみならずCOVID-19入院患者の治療の長期の効果も調べられています。世界保健機関(WHO)主催の国際試験SOLIDARITYのヘルシンキ大学担当部分がその一つで、COVID-19治療の先駆けremdesivir(レムデシビル)で治療されたCOVID-19入院患者の1年間の追跡結果がまもなく揃うと研究者は見込んでいます。SOLIDARITY試験の他の2つの治療の追跡もなされています。1つは免疫抑制を担う抗TNF薬infliximab(インフリキシマブ)、もう1つは血管の炎症を鎮めうるチロシンキナーゼ阻害剤imatinib(イマチニブ)です。退院したCOVID-19患者の長期経過を改善しうる治療を見つけることを目指す英国での大規模試験HEAL-COVID4)では心血管標的薬2つが検討されています。1つは抗凝固薬apixaban(アピキサバン)で、もう1つは血管の炎症を鎮めると考えられているコレステロール低下薬アトルバスタチン(atorvastatin)です。退院間近の患者に試験に参加するかどうかを尋ね、退院後1年間の再入院や死亡がそれら薬剤の使用で減らせるかどうかが調べられています。退院したCOVID-19患者の再入院は少なくなく、退院後半年足らずのうちに3人に1人近い29%は再入院する羽目に陥っており、およそ8人に1人(12%)は命を落としています4,5)。COVID-19患者が入院を終えた後の死亡の最も確からしい原因は心肺系への影響であろうとHEAL-COVID試験を率いるケンブリッジ大学の集中治療医Charlotte Summers氏は述べています。シカゴ大学の呼吸器医師Ayodeji Adegunsoye氏はCOVID-19で入院して酸素投与を必要とした患者の肺に感染後だいぶ経ってから瘢痕病変・線維化組織が増えうることを観察しており、そのような患者への免疫抑制剤sirolimus(シロリムス)の試験を始めています2)。線維化を促す細胞が肺に集まるのをシロリムスが防いでくれることを同氏は期待しています。参考1)Risk of Long Covid in people infected with SARS-CoV-2 after two doses of a COVID-19 vaccine: community-based, matched cohort study. medRxiv. February 24, 20222)Can drugs reduce the risk of long COVID? What scientists know so far / Nature3)PANORAMIC / UNIVERSITY OF OXFORD4)HEAL-COVID / HEAL-COVID5)Epidemiology of post-COVID syndrome following hospitalisation with coronavirus: a retrospective cohort study. medRxiv. January 15, 2021

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人口の何%が感染?コロナの“いま”に関する11の知識(2022年3月版)/厚労省

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月版)」を3月11日に公開した。これは、日本の新型コロナウイルス感染症の感染者数・重症化率・病原性、感染性、検査・治療、変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見を11の知識としてとりまとめたもの。主な更新内容は以下のとおり。日本のコロナ感染率は2022年3月1日時点で全人口の約4.0%Q 日本では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。2022年3月1日0時時点で499万4,387人が新型コロナウイルス感染症と診断され、全人口の約4.0%に相当する。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。2021年7~10月に新型コロナウイルス感染症と診断された人における重症化率は0.98%(50代以下0.56%、60代以上5.0%)、死亡率は0.31%(50代以下0.08%、60代以上2.5%)だった。Q 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。2022年3月1日時点で国内で承認されている治療薬一覧、重症度別の治療薬の一覧を掲載。Q 接種の始まった新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。接種はどの程度進んでいますか。初回(1、2回目)接種と追加(3回目)接種における接種可能なワクチンの種類と対象者、ワクチンの効果と主な副反応、年齢階級別の接種実績(2022年2月28日公表時点)の一覧表を掲載。Q 新型コロナウイルスの変異について教えてください。現在はB.1.1.529系統のオミクロン株が日本を含む世界各地で主流であることなどを記載。上記のほか、以下の6項目についてまとめられている。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。Q 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断された人の数は多いのですか。Q 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間はいつまでですか。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。Q 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。Q 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。※追記(2022年4月8日)本資料は4月8日に2022年4月版に更新された。4月版では、新型コロナウイルス感染症に診断されたのは2022年4月1日0時時点で653万8,890人(全人口の約5.2%に相当)となっている。

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COVID-19ワクチンの免疫性神経疾患リスクを検証/BMJ

 4種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種後には、免疫性神経疾患(Bell麻痺、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎)の安全性シグナルは認められないが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染したワクチン未接種者ではBell麻痺、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群のリスクが増大していることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年3月16日号で報告された。英国とスペインの接種者800万人以上のコホート研究 研究グループは、COVID-19ワクチン、SARS-CoV-2感染症と免疫性神経疾患の関連の評価を目的に、人口ベースのコホート研究と自己対照ケースシリーズ研究を行った(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 解析には、英国とスペインのプライマリケア診療記録のデータが用いられた。対象は、年齢18歳以上、ワクチン接種キャンペーンの開始日(英国2020年12月8日、スペイン2020年12月27日)から、データベースの利用終了日の1週間前(英国2021年5月9日、スペイン2021年6月30日)までの期間に、COVID-19ワクチンの初回接種を受け、少なくとも1回の接種を受けた集団であった。さらに、2020年9月1日以降に初めて逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法でSARS-CoV-2陽性となったワクチン未接種者と一般人口も、解析に含まれた。 主要アウトカムは、Bell麻痺、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎とされた。アウトカムは、初回ワクチン接種から21日とSARS-CoV-2検査陽性から90日までの発生率、および一般人口における2017~19年の自然発生率が推定された。間接的標準化罹患比を用いて観測値と予測値の比較が行われ、自己対照ケースシリーズでは補正後罹患率比が算出された。 ChAdOx1 nCoV-19(Oxford/AstraZeneca製)接種者437万6,535例、BNT162b2(Pfizer/BioNTech製)接種者358万8,318例、mRNA-1273(Moderna製)接種者24万4,913例、Ad26.CoV.2(Janssen/Johnson & Johnson製)接種者12万731例と、SARS-CoV-2陽性ワクチン未接種者73万5,870例および一般人口1,433万80例が、解析の対象となった。横断性脊髄炎は解析不可能 ワクチンの初回接種を受けた参加者(年齢中央値の幅:英国56~64歳、スペイン51~62歳)は、一般人口(年齢中央値:英国48歳、スペイン47歳)よりも高齢で、英国のSARS-CoV-2感染者(年齢中央値:41歳)はワクチン接種者よりも若かった。また、ワクチン接種者は一般人口に比べ、併存疾患(自己免疫疾患、がん、糖尿病、肥満、心疾患、腎不全)の割合が高かった。 全体として、ワクチン接種後のBell麻痺、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群の発生率は、一般人口で予測された自然発生率と一致しており、免疫性神経疾患のリスクの増大は認められなかった。また、自己対照ケースシリーズ研究は、統計学的検出力が限定的であったためBell麻痺についてのみ行われ、どのワクチンでも安全性シグナルはみられなかった。 一方、SARS-CoV-2感染者では免疫性神経疾患の発生率が予想以上に高く、標準化罹患比は、英国ではBell麻痺が1.33(95%信頼区間[CI]:1.02~1.74)、脳脊髄炎が6.89(3.82~12.44)、ギラン・バレー症候群は3.53(1.83~6.77)であり、スペインでは、それぞれ1.70(1.39~2.08)、3.75(2.33~6.02)、5.92(3.68~9.53)であった。 横断性脊髄炎はまれで(すべてのワクチン接種コホートで5件未満)、解析は不可能だった。 著者は、「これらの知見と同様に、SARS-CoV-2感染後に免疫性神経疾患のリスクが増大したとの報告がいくつかあるが、今回の結果は、どの先行研究よりもリスクが大きかった」としている。

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第94回 研修医過労自殺に1億円超の賠償命令、安全配慮義務違反/新潟地裁

<先週の動き>1.研修医過労自殺に1億円超の賠償命令、安全配慮義務違反/新潟地裁2.大津市民病院の医師大量退職問題、渦中の理事長が辞職3.塩野義コロナ内服薬、承認を前に100万人分調達で合意/厚労省4.働き方改革に向け、全病院で意見交換会の実施を/厚労省5.がん患者5万例の終末期、「苦痛少なく」は半数以下/国がん6.元日本医学会会長の高久 史麿氏が死去、91歳1.研修医過労自殺に1億円超の賠償命令、安全配慮義務違反/新潟地裁新潟市民病院の女性医師が2016年1月に過労自殺したことをめぐり、遺族が病院を運営する新潟市に損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、新潟地裁であった。裁判長は病院を運営する新潟市側に安全配慮義務違反があったとして、約1億626万円を遺族に支払う命令を下した。この裁判は、原告の遺族側が裁判所からの求めに応じて和解案を提示したが、被告の新潟市側が応じず、今回の判決となった。裁判長は「研修医の時間外労働は160時間を超えていた月もあった」として、長時間労働と研修医の自殺との間に因果関係があると認めた。(参考)研修医過労自殺、病院側に賠償命令 「労働時間の適切な把握怠る」(朝日新聞)市民病院の研修医自殺 新潟市に賠償命じる判決(NHK)新潟市に1億626万円賠償命令 市民病院の医師過労自殺訴訟(新潟日報)2.大津市民病院の医師大量退職問題、渦中の理事長が辞職今年3月以降、医師の大量退職が報道されている滋賀・大津市民病院の理事長が、大津市長に対して辞意を表明したことが明らかとなった。当病院では京都大から派遣されていた外科、消化器外科、乳腺外科の医師9人のほか、泌尿器科医・脳神経外科医もそれぞれ5人が4月以降に順次退職する意向を示しており、通院患者や市民からは不安の声が上がっている。辞意を表明した理事長による外科医への退職勧告はパワハラと申告され、内部検証では「パワハラは認められない」とされたが、外科医側は納得せず、2月に弁護士による第三者委員会が設置された。今月末までに結論が出される予定で、病院側は京都大学との信頼回復に努めたいとしている。外科・消化器外科・乳腺外科については、医師の退職に伴う影響を最小限にとどめるため、4月1日から新たに派遣される消化器外科医師4名と在籍中の医師による診療体制になることを公表した。(参考)医師の大量退職問題、市民病院理事長が市長に辞意 大津市民病院(読売新聞)パワハラ申告された理事長退任へ 医師大量退職意向の大津市民病院(産経新聞)4月以降の外科等の診療体制について(大津市民病院)3.塩野義コロナ内服薬、承認を前に100万人分調達で合意/厚労省後藤 茂之厚生労働大臣は25日、閣議後の記者会見において、塩野義製薬が開発した新型コロナに対する経口抗ウイルス薬について、承認後に100万人分を購入することについて、同社と基本合意したことを明らかにした。国内の製薬企業が開発した内服治療薬は初めて。同社は2月25日に条件付き承認制度の適用を希望する製造販売承認申請を行っている。また同日、厚労省は新型コロナワクチン4回目接種の準備について、5月から開始できるように自治体に向けて通知を発出した。4回目接種でも、従来と同様にファイザー製とモデルナ製を用いる見通し。接種対象者については、「重症化リスクが高い人などに対象を絞るべきではないか」という意見も出たが、現在のところ対象者は「3回目接種を受けたすべての住民」を想定して準備を進めるよう求めている。(参考)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の 国内供給に向けた厚生労働省との基本合意書の締結について(塩野義)厚労相“塩野義製薬のコロナ飲み薬 承認前提に100万人分購入”(NHK)ワクチン4回目 5月下旬めどに準備完了を 厚労省 自治体に通知(同)4.働き方改革に向け、全病院で意見交換会の実施を/厚労省厚労省は、23日に「第17回 医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催した。働き方改革では、すべての勤務医を対象とした時間外労働の上限規制が2024年4月以降に適用されるため、すべての病院に対して医師だけでなく経営者やメディカルスタッフも交えた「働き方改革に向けた意見交換」の会合開催を求めた。また、医師の時間外労働を削減するため、ガイドラインを用いて医師の労働時間短縮計画を立てるなど、各病院に対して本格的に取り組むよう求めている。一方、日本病院会や全日本病院協会などを含む四病院団体協議会(四病協)は、2024年からの規制強化で産婦人科や救急医療に影響が出るとして、当直時間を時間外労働時間(残業時間)から外せる宿日直許可の基準緩和を求めている。今後、医療現場で働き方改革を見据えたさらなるタスクシフトなどが進んでいくだろう。(参考)「働き方改革に向けた病院内の意見交換会」、すべての病院で実施してほしい―医師働き方改革推進検討会(Gem Med)宿日直許可基準、医師について緩和してほしい―四病協(同)医師労働時間短縮計画作成ガイドライン(案)(厚労省)5.がん患者5万例の終末期、「苦痛少なく」は半数以下/国がんがん患者が死亡前に「体の苦痛が少なく過ごせた」と感じていた割合は42%に過ぎないことが、国立がん研究センターによる国内最大規模の実態調査で明らかとなった。調査では、2017~18年に亡くなったがん患者の遺族を地域別に無作為に選び、19~20年にアンケートを実施。5万4,167人の遺族から回答を得た。また、29%が亡くなる前1週間に強い痛みを感じていたとする結果も公表された。遺族視点での評価ではあるが、この結果から、がん終末期の患者の苦痛を十分に和らげることができていない状況について「改善の余地がある」と専門家は意見している。(参考)がん終末期「苦痛少なく」は4割にとどまる 国がんが遺族5万人調査(朝日新聞)がん終末期3割に強い痛み 遺族調査、緩和ケアに課題(共同通信)がん患者の人生の最終段階の療養生活の実態調査結果 5万人の遺族から見た全体像を公表(国がん)6.元日本医学会会長の高久 史麿氏が死去、91歳高久 史麿元日本医学会会長が24日に死去した。25日、高久氏が会長を務める地域医療振興協会が発表。同氏は東京大学の第三内科教授、医学部長を経て、1996〜2012年まで自治医科大学の学長を務め、名誉学長となったほか、国立国際医療研究センター名誉総長、東京大名誉教授でもあった。04年には日本医学会の第6代会長に就任し、血液学の専門を生かして骨髄バンクの設立に貢献したほか、医師研修制度の見直しのための検討会など多くの公務についた。1971年に論文「血色素合成の調節、その病態生理学的意義」でベルツ賞第1位を受賞。94年に紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受章した。(参考)日本医学会 元会長 高久史麿さん死去 91歳(NHK)元日本医学会会長の高久史麿氏が死去 MRの資格制度化に尽力 直前まで認定制度改革の議論に携わる(ミクスonline)

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子供への新型コロナワクチンの説明用リーフ配布/新潟県医師会

 2022年1月より5~11歳への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンの接種が承認され、接種が開始された。とくに第6波のオミクロン株は、ワクチン未接種の学童期の子供などを中心に感染拡大していることもあり、接種が急がれるところであるが、COVID-19は子供では重症化することは少なく、無症状で過ごすことも多いとされ、接種は成人ほど進んでいない。また、さまざまなワクチンの情報や考え方の流布で、接種について戸惑っている保護者や子供たちも多いという。 そこで、新潟県医師会は、新潟大学医学部小児科学教室からも協力を得て、子供に対してワクチンの接種についてどうしたらよいか、その考え方や対応の仕方について取りまとめ、5~11歳および12~15歳への新型コロナワクチン接種についての説明資料を作成し、医師会のホームページで公開した。よくあるCOVID-19やワクチンへの質問22問に回答 説明用のリーフレットは、「5~11歳の子供」と「12~15歳の子供」と2つに分けられ、それぞれ保護者向けの「子どもへのワクチンの説明リーフレット 簡略版/詳細版」と医療機関・保護者向けの「子どもへのワクチンQ&A」の3種類(全6種類)が公開されている。 リーフレットの簡略版では、ワクチン接種の回数、安全性、副反応の態様、有効性などがコンパクトに記載されている。また、Q&Aでは、よくある質問として「COVID-19感染症について」、「ワクチンについて」など22問の質問に作成時点のエビデンスを基に制作が行われている(データなどは2022年2月14日時点のもの)。 医師会では、「接種に際しては、かかりつけ医にも相談し、これらの資料についても、検討の際の参考として活用いただきたい」と期待を寄せている。

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オミクロン株へのブースター接種、効果はどのくらい持続する?

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、12歳以上のすべての人に対し、mRNAワクチン接種完了後5ヵ月以上経過してからのブースター接種を推奨しているが、オミクロン株に対するブースター接種の効果持続についてはあまりわかっていなかった。CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2月18日号には、Jill M. Ferdinands氏からによる8施設のデータを用いたケースコントロール研究の結果が掲載されている。ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高い デルタ株優位とオミクロン株優位の2つの期間に、2回目または3回目のワクチン接種を受けた18歳以上の米国成人について、COVID-19救急部/緊急治療(ED/UC)受診および入院に対するワクチン効果を検討した。ワクチン効果は、ワクチン接種患者と非接種患者のSARS-CoV-2検査陽性結果のオッズを比較し、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、地域のウイルス循環、免疫不全の状態、追加の患者の合併症、その他の患者および施設の特徴を調整したロジスティック回帰モデルで推定した。 3回接種者には、一般接種の3回目、または2回目接種後のブースター接種(少用量のモデルナ製を含む)を受けた人が含まれた。2021年8月26日~2022年1月22日に米国10州にわたる24万1,204件のED/UC受診と9万3,408件の入院例を分析した。 ED/UC受診のうち、18万5,652件(77%)がデルタ優位期間、5万5,552件(23%)がオミクロン優位期間に発生した。ED/UC受診したCOVID-19様疾患患者のうち、ワクチン未接種者は46%、2回接種者は44%、ブースター接種を含む3回接種者は10%であった.ED/UC受診前の直近のワクチン接種からの間隔の中央値は、2回接種者では214日(IQR:164~259日)、3回接種者では49日(IQR:30~73)だった。 デルタ株優位期間では、COVID-19に関連するED/UC受診に対するワクチン効果は、2回目接種後よりもブースター接種を含む3回目接種後のほうが高かったが、接種後の時間が長くなるほど減少した。ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2ヵ月時点では97%だったが、4ヵ月目までに89%に減少した(p<0.001)。 オミクロン株優位期間では、ブースター接種を含む3回目接種後のED/UC受診に対するワクチン効果は、2ヵ月時点では87%だったが、4ヵ月目までに66%、5ヵ月以上で31%に低下した(最後の推定値は3回目の接種後5ヵ月以上の接種者のデータが29例と少なかったため不正確)。接種後の期間が長くなるにつれ、ワクチン効果は有意に減少した(p<0.001)。入院に対するワクチン効果はブースター接種を含む3回目接種後2ヵ月時点では91%だったが、4ヵ月以上経った時点では78%に減少した。 2回目・3回目接種の両方で、評価したすべての時点において、オミクロン優位期間のほうがデルタ株優位期間よりもワクチン効果が低いことが示された。両期間ともブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高かったが、接種後の期間が長くなるにつれ低下した。 著者らは「両期間において、ワクチン効果はED/UC受診に対する予防効果よりも入院に対する予防効果のほうが高かった。COVID-19に関連した入院やED/UC受診を防ぐためには、対象者は全員、推奨されるCOVID-19の予防接種を常に最新の状態にしておく必要がある」としている。

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ソトロビマブ、新型コロナ疾患進行リスク79%低減~第III相最終解析/JAMA

 高リスクの軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)非入院患者において、ソトロビマブの単回静脈内投与はプラセボと比較し、疾患進行(29日目までのあらゆる入院または死亡の複合エンドポイント)のリスクを有意に低下させることが認められた。カナダ・William Osler Health CentreのAnil Gupta氏らが、米国、ブラジル、カナダ、ペルーおよびスペインの57施設で実施した第III相多施設共同無作為化二重盲検試験「COMET-ICE試験」の最終解析結果を報告した。著者は、「本試験終了後に出現したSARS-CoV-2変異株に対する有効性は不明であるが、今回の結果は、入院していない高リスクの軽症~中等症COVID-19患者に対する治療選択肢としてソトロビマブを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2022年3月14日号掲載の報告。ソトロビマブ群528例、プラセボ群529例で、29日目までの疾患進行を比較 研究グループは、軽症~中等症COVID-19の重症化予防におけるソトロビマブの有効性と安全性を評価する目的で、2020年8月27日~2021年3月11日に、症状発症から5日以内で、疾患進行リスクを1つ以上有する入院前の18歳以上の軽症~中等症COVID-19患者1,057例を、ソトロビマブ(500mg単回静脈内投与)群(528例)またはプラセボ群(529例)に、1対1の割合に無作為に割り付け追跡評価した(最終フォローアップは2021年4月8日)。 主要評価項目は、無作為化後29日目までにCOVID-19が進行(何らかの疾患の急性期管理のための24時間超の入院、または理由を問わない死亡)した患者の割合とした。また、29日目までの救急外来受診・何らかの疾患の急性期管理のための入院・死亡、29日目までの酸素補給または人工呼吸器を要する重度または生命を脅かすCOVID-19への進行などを含む5つの副次評価項目について階層的に検証した。疾患進行リスクは、ソトロビマブ群で79%低下 解析対象1,057例(年齢中央値53歳[IQR:42~62]、65歳以上20%、ラテン系65%)において、追跡期間中央値はソトロビマブ群103日、プラセボ群102日であった。 主要評価項目である無作為化後29日目までに24時間超の入院または死亡が認められた患者の割合は、ソトロビマブ群で1%(6/528例)、プラセボ群で6%(30/529例)であり、ソトロビマブ群で有意に減少した(補正後相対リスク[RR]:0.21[95%信頼区間[CI]:0.09~0.50]、絶対群間差:-4.53%[95%CI:-6.70~-2.37]、p<0.001)。 副次評価項目について、5項目中4項目でソトロビマブ群とプラセボ群との間に有意差が認められた。29日目までの救急外来受診・何らかの疾患の急性期管理のための入院・死亡が認められた患者の割合は、ソトロビマブ群2%(13/528例)vs.プラセボ群7%(39/529例)(補正後RR:0.34[95%CI:0.19~0.63]、絶対群間差:-4.91%[95%CI:-7.50~-2.32]、p<0.001)、重度または生命を脅かすCOVID-19への進行が認められた患者の割合はそれぞれ1%(7/528例)vs.5%(28/529例)(0.26[0.12~0.59]、-3.97%[-6.11~-1.82]、p=0.002)であった。 有害事象の発現率は両群間で差はなく(ソトロビマブ群22%vs.プラセボ群23%)、主な有害事象はソトロビマブ群が下痢(8例、2%)、プラセボ群がCOVID-19肺炎(22例、4%)であった。

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新型コロナ、ハムスターからのヒト-ヒト感染を確認/Lancet

 ペットのハムスターはSARS-CoV-2に自然感染し、ハムスター間で伝播してヒトへの感染につながる可能性がある。中国・香港大学のHui-Ling Yen氏らは、ペットショップ店員のSARS-CoV-2感染事例について調査し、遺伝学的および疫学的な結果から、ハムスターからヒトへの感染が1回以上あったことが強く示唆され、その後のヒトへの感染につながったことを明らかにした。ヒトからペット動物を含む他の哺乳類へのSARS-CoV-2感染は報告されているが、養殖ミンクを除き、これら感染動物からヒトへの感染が持続的なヒト-ヒト感染に至るという証拠はこれまでなかった。著者は、「SARS-CoV-2デルタ変異株に感染したハムスターの輸入が局地的な流行の原因である可能性が高い。今回の調査結果は、ペット動物の取引に対する認識、監視、ならびに適切な検疫と管理政策の必要性を強調している」とまとめている。Lancet誌2022年3月12日号掲載の報告。ペットショップ等の動物を検査、関連COVID-19患者のSARS-CoV-2ゲノムを解析 研究グループは、香港のペットショップおよび動物卸売業者の倉庫で、異なるケージにいる異なる動物種から口腔および糞便スワブを無作為に採取するとともに、追跡調査としてハムスターから血液と口腔スワブを採取した。口腔スワブは定量的RT-PCR(RT-qPCR)によりSARS-CoV-2検査を行い、血液検体はサロゲートウイルス中和試験およびプラーク減少中和試験により血清学的検査を行った。SARS-CoV-2陽性検体は、次世代シークエンサーによりウイルスゲノム配列を確定し、系統解析を行った。 また、ペットショップと疫学的に関連するCOVID-19患者と、その患者らに続きSARS-CoV-2デルタ変異株に感染していると確認されたその地域の症例から、鼻腔スワブまたは唾液を採取し、香港政府が提供する日常診療の一環としてRT-qPCR検査を行い、ウイルスの遺伝子配列を決定した。ゴールデンハムスターの5~6割がSARS-CoV-2陽性、ヒトへの感染を確認 ペットショップのゴールデンハムスター16匹中8匹(50%)、そのペットショップに関連する倉庫のゴールデンハムスター12匹中7匹(58%)が、RT-qPCRまたは血清検査でSARS-CoV-2陽性と判明した。ドワーフハムスター(75匹)、ウサギ(246匹)、モルモット(66匹)、チンチラ(116匹)およびマウス(2匹)は、いずれもSARS-CoV-2感染が確認されなかった。 ヒトおよびハムスターの感染例から推定されたSARS-CoV-2ウイルスのゲノムは、すべてデルタ変異株(AY.127)に属し、この集団発生以前には地域で流行していなかったものであった。 ハムスターから得られたウイルスゲノムは系統発生学的に、ある配列多様性と関連していた。系統樹の年代測定から、これらのハムスターへの感染は2021年10月14日(95%信頼区間:9月15日~11月9日)ごろに発生したことが示唆された。ハムスターからヒトへのSARS-CoV-2の人獣共通感染事象が複数検出され、その後のヒトからヒトへの感染につながった。

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第101回 条件付き早期承認は非現実的か?症状スコア有意差なしの国産コロナ治療薬

3年目に入った新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)時代の中で、治療薬としては重症化リスクを有する軽症・中等症者に対するファイザーのニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビット)、MSDのモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、重症者向けには中外製薬のトシリズマブ(商品名:アクテムラ)などが承認され、かなり出そろってきた感はある。これで重症化リスクのない軽症・中等症者に使える安価で有効性・安全性の高い経口薬が登場すれば、ほぼラインナップは整う。その意味でこの重症化リスク因子の有無を問わず汎用できる治療薬を目指して開発されているのが塩野義製薬の3CLプロテアーゼ阻害薬であるS-217622の件だ。以前の本連載でも甘利 明元経産相のTwitterでのツイートの件で取り上げたが、今でもSNS上では地味に「早く承認しろ」の声を見かける。塩野義製薬は2月25日付で条件付き早期承認制度の適用を希望する製造販売承認申請を行ったが、直近の3月23日に開催された厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の議題とはならなかった。だが、多くの医療従事者も思っているだろうが、現状を鑑みると、S-217622の条件付き早期承認は難しいだろうと個人的には想像している。ここで改めて整理してみたい。S-217622の条件付き早期承認を目指し、塩野義製薬は第II/III相臨床試験の第IIa相部分のデータを公開している。同試験は新型コロナ発症から120時間以内の軽症・中等症の患者(重症化リスクは問わない)を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験。薬は1日1回、5日間の経口投与で、症例数は69例、主要評価項目はウイルス力価のベースラインからの変化量である。試験では実薬群は低用量群と高用量群に分かれ、プラセボ群も含めた3群比較となっている。発表された結果では、プラセボ群に対してS-217622の低用量群、高用量群は投与開始4日目(3回投与後)で、有意なウイルス力価とウイルスRNA量の減少を確認。4日目時点のウイルス力価陽性患者割合は、プラセボ群と比較して低用量群で63%、高用量群で80%減少していた。また、ウイルス力価陰性化までの時間(中央値)はプラセボ群に対して低用量群、高用量群とも2日短縮している。一方で臨床症状に関しては、症状スコア(12症状トータル)のベースラインからの変化量の減少傾向は認められるものの、投与開始から6日目(5回投与後)で低用量群、高用量群ともプラセボ群に比べて有意差は認められなかった。有害事象の発現率は低用量群が52.4%、高用量群が69.6%、プラセボ群が37.5%で、主な有害事象はHDL減少と血中TGの増加で、ほぼすべての有害事象は軽度だったという。確かに公開されたデータからは一定の期待は持てる。しかし、ウイルス量の減少と症状の改善がリンクはしていない。症例数が少なすぎるために症状改善で有意差を出しにくいと言えばそれまでだ。しかしながら、新型コロナではウイルス量の減少が認められていても、感染で生じた炎症が自立的に暴走して重症化、死亡に至るという経過がとりわけ顕著であるのはもはや周知のこと。その中で現時点のデータ上、臨床症状の改善が確認できていないのはかなり「致命的」だ。しかも、当初と違って現在ではすでに新型コロナ治療薬として承認されている治療薬は8種類もある。この中で何らかの形で軽症・中等症を対象としている薬剤は5種類で、うち4種類は患者の服用後1ヵ月弱時点までの入院・死亡率の減少というハードルの高い主要評価項目をクリアしている。唯一例外だったレムデシビル(商品名:ベクルリー)も、すでに第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の「PINETREE試験」を行い、プラセボと比較して有意な入院・死亡率の減少が確認されている。本音で言ってしまえば、私自身も「日の丸コロナ治療薬」にはノスタルジックな期待はある。しかし、この状況で塩野義製薬のみが条件付きであるとはいえウイルス量減少で承認された場合、日本における医療用医薬品の承認審査制度の信用低下につながる恐れがある。少なくとも現時点でS-217622を早期承認してしまえば、その理由説明に「日本の企業だから」以外のロジックを該当させるのはほぼ無理だからだ。奇しくも塩野義製薬は3月16日にアメリカ国立衛生研究所(NIH)の支援を受けたS-217622のグローバル第III相試験(対象患者は重症化リスクあり)の実施を発表している。やはり「急がば回れ」でこの試験で良好な成績が認められてからの承認という手順が望ましいと思う。

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BA.2への中和抗体価、追加接種やBA.1感染でどのくらい上がるか/NEJM

 オミクロン株亜種BA.1とBA.2は複数の共通した変異を持つが、それぞれ固有の変異も持つ。BA.1は免疫回避性を有することが報告されているが、BA.2がワクチン接種や感染による中和抗体の誘導を回避する能力を有するかどうかはわかってない。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのJingyou Yu氏らは、ワクチン接種者および既感染者におけるBA.2に対する中和抗体価を調査。NEJM誌オンライン版2022年3月16日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech社)の初回(1~2回目)および追加接種済で新型コロナウイルス感染歴のない24人と、ワクチン接種歴によらず感染歴のある8人を対象に、中国・武漢で分離されたWA1/2020株、およびオミクロン株亜種BA.1およびBA.2に対する中和抗体反応を評価した。 感染者においては、感染後の中央値14日時点での中和抗体価が評価され、その診断期間中99%以上の新規感染がオミクロン株亜種BA.1によるものだった。また、ワクチン未接種者は1人のみで、5人は追加接種も完了していた。 主な結果は以下のとおり。・BNT162b2ワクチンの最初の2回の投与後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する疑似ウイルス中和抗体価の中央値はそれぞれ658、29、および24で、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれ23倍と27倍だった。・初回シリーズのワクチン接種から6ヵ月後、WA1/2020に対する中和抗体価の中央値は129に、BA.1とBA.2に対しては20未満に低下した。・BNT162b2ワクチンの3回目投与(追加接種)の2週間後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価の中央値はそれぞれ6,539、1,066、776に大幅に増加し、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれそれぞれ6.1倍と8.4倍だった。またBA.1に対する中和抗体価は、BA.2に対する抗体価と比べ1.4倍高かった。・感染者のうち7人で、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価が検出され、中央値はそれぞれ、4,046、3,249、2,448で、BA.1に対する中和抗体価はBA.2に対する抗体価の1.3倍高かった。・中和抗体価が検出されなかった1人はワクチン接種を受けておらず、SARS-CoV-2感染の診断から4日後に血清サンプルが採取されていた。 著者らは、「これらのデータはBA.2に対する中和抗体価がBA.1に対するものと類似しており、BA.2に対する中和抗体価の中央値がBA.1に対するものより1.3〜1.4倍低いことを示している。BA.1またはBA.2に対する一貫した中和抗体価の誘導には、BNT162b2ワクチンの3回目の投与が必要だった。BA.1に感染したと思われるワクチン接種者では、BA.2に対する強力な中和抗体価が発現した。このことは交差反応性の自然免疫応答を示唆している」とした。

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コロナワクチンの有効性、AZ製vs.ロシア製vs.中国製/Lancet

 アルゼンチンにおいて使用された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する3種類のワクチンは、いずれもSARS-CoV-2感染とCOVID-19による死亡を減少させ有効であることが認められた。アルゼンチン保健省のAnalia Rearte氏らが、60歳以上を対象とした診断陰性デザイン(test-negative design)による症例対照研究の結果を報告した。アルゼンチンでは、2021年1月よりrAd26-rAd5(Sputnik製)、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)およびBBIBP-CorV(Sinopharm製)を用いたCOVID-19ワクチン接種キャンペーンが開始されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月15日号掲載の報告。2021年1月~9月に報告された60歳以上のCOVID-19疑い約128万例を解析 研究グループは、2021年1月31日~9月14日にNational Surveillance System(SNVS 2.0)に報告された60歳以上のCOVID-19疑い例を登録し、RT-PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された患者を症例、確認されなかった患者を対照として、3種類のCOVID-19ワクチン(rAd26-rAd5、ChAdOx1 nCoV-19、BBIBP-CorV)の有効性を評価する診断陰性デザインを用いた症例対照研究を行った。ワクチン未接種者は登録可能とし、ワクチン接種プログラム開始前に発症したCOVID-19疑い例は除外した。 SARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)はロジスティック回帰モデルで評価し、RT-PCR検査でCOVID-19と確認された患者の死亡リスクは補正後の比例ハザード回帰モデルを用い、交絡因子(症状発現日の年齢、性別、居住地域、症状発現日の疫学週、COVID-19既往有無)を補正して評価した。また、感染および死亡の推定値を組み合わせ、COVID-19による死亡に対するワクチンの予防効果を間接的に評価した。さらに、ウイルスベクターワクチンの1回目接種の経時的な有効性も評価した。 解析対象は計128万2,928例で、そのうちrAd26-rAd5解析が68万7,167例(53.6%)、ChAdOx1 nCov-19解析が35万8,431例(27.6%)、BBIBP-CorV解析が23万7,330例(18.5%)であった。死亡への2回接種の有効率、ロシア製93.1%、AZ製93.7%、中国製85.0% 2回接種による感染予防効果は3種類のワクチンすべてで高く、補正後ORはrAd26-rAd5で0.36(95%信頼区間[CI]:0.35~0.37)、ChAdOx1 nCoV-19で0.32(0.31~0.33)、BBIBP-CorVで0.56(0.55~0.58)であった。 2回接種による死亡予防効果は、感染予防効果より高く、補正後ハザード比(HR)はrAd26-rAd5で0.19(95%CI:0.18~0.21)、ChAdOx1 nCoV-19で0.20(0.18~0.22)、BBIBP-CorVで0.27(0.25~0.29)であった。死亡に対する間接的なワクチン2回接種の有効率は、rAd26-rAd5で93.1%(95%CI:92.6~93.5)、ChAdOx1 nCoV-19で93.7%(93.2~94.3)、BBIBP-CorVで85.0%(84.0~86.0)であった。ウイルスベクターワクチンの1回目接種後の有効性は、経時的に安定していた。

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重症血友病A、アデノ随伴ウイルス用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 重症血友病A患者において、valoctocogene roxaparvovec治療により内因性第VIII因子の産生が増加し、第VIII因子製剤の予防投与時と比較して出血および第VIII因子製剤の使用が有意に減少した。ブラジル・カンピーナス大学のMargareth C. Ozelo氏らが、多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果を報告した。Valoctocogene roxaparvovec(AAV5-hFVIII-SQ)は、肝特異的プロモーターにBドメインを除いた第VIII因子遺伝子を配したアデノ随伴ウイルス5(AAV5)ベクターを用いる遺伝子治療薬で、重症血友病A男性患者を対象とした第I/II相用量漸増試験において有効性と安全性が示されていた。NEJM誌2022年3月17日号掲載の報告。重症血友病A患者134例にvaloctocogene roxaparvovecを単回注入 研究グループは、第VIII因子活性が1 IU/dL以下の重症血友病A男性患者で、抗AAV5抗体を保有しておらず第VIII因子インヒビターの発症歴のない、第VIII因子濃縮製剤の予防投与を受けている18歳以上の患者に、valoctocogene roxaparvovec(6×1013 vg/kg)を単回静脈内注入した。なお、20例を本試験に直接登録し、110例は標準的予防治療での出血と第VIII因子製剤の使用に関するヒストリカルデータおよび最低6ヵ月間の前向きデータを収集した270-902試験(非介入試験)から登録する予定であった。 主要評価項目は、投与後49~52週時における第VIII因子活性(合成基質法で測定)のベースラインからの変化量、副次評価項目は、投与後4週目以降の第VIII因子製剤年間使用量および年間の治療した出血回数のベースラインからの変化などであった。安全性は、有害事象と臨床検査値で評価した。 2017年12月19日~2019年11月15日の間に、世界13ヵ国48施設で144例が登録され、適格例134例がvaloctocogene roxaparvovecの投与を受け、51週以上の追跡調査を完了した。第VIII因子活性が増加し、第VIII因子製剤の使用や出血回数が低下 修正intention-to-treat集団であるヒト免疫不全ウイルス陰性例132例において、49~52週時の第VIII因子活性は平均41.9 IU/dL増加した(95%信頼区間[CI]:34.1~49.7、p<0.001、変化量中央値:22.9 IU/dL、四分位範囲:10.9~61.3)。132例のうち270-902試験のデータが6ヵ月以上ある112例においては、投与後4週目以降の第VIII因子製剤の年間使用量がベースラインから98.6%減少し、年間の治療した出血回数もベースラインから83.8%減少した(p<0.001)。 134例全例に有害事象が認められ、22例(16.4%)で重篤な有害事象が報告された。ALT増加は134例中115例(85.8%)に認められ、免疫抑制薬により治療された。その他の主な有害事象は、頭痛(38.1%)、悪心(37.3%)、AST増加(35.1%)であった。第VIII因子インヒビターや血栓症の発現は認められなかった。

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薬物性味覚障害マニュアルが11年ぶりに改定、注意すべき薬剤と治し方は?/厚労省

 『重篤副作用疾患別対応マニュアル』は77項目に細分化され、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページに掲載されているが、今回、「薬物性味覚障害」の項が11年ぶりに改定された。薬剤性味覚障害は味覚障害の原因の約20%を占めていること、多くの薬剤の添付文書の副作用に記載されていることから、以下に示すような薬剤を服用中の患者の訴えには十分注意が必要である。味覚障害が副作用に記載されている薬剤を服薬中の患者の訴えに注意<添付文書に口腔内苦味の記載がある薬剤の一例>・ニコチン(禁煙補助剤)・フルボキサミンマレイン酸塩(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI])・ラベプラゾールナトリウム(PPI)・レバミピド(胃炎・胃潰瘍治療薬) ・レボフロキサシン水和物(ニューキノロン系抗菌薬)・炭酸リチウム(躁病・躁状態治療薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚障害の記載がある薬剤の一例>・アロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害薬・高尿酸血症治療薬)・ジクロフェナクナトリウム(フェニル酢酸系消炎鎮痛薬)・レトロゾール(アロマターゼ阻害薬・閉経後乳癌治療薬)・ロサルタンカリウム(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚異常の記載がある薬剤の一例>・アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)・アプレピタント(選択的NK1受容体拮抗型制吐薬)・イリノテカン塩酸塩水和物(I型DNAトポイソメラーゼ阻害型抗悪性腫瘍薬)・インスリンデグルデク[遺伝子組換え]・リラグルチド[遺伝子組換え](持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ配合薬)・エルデカルシトール(活性型ビタミンD3)・オロパタジン塩酸塩(アレルギー性疾患治療薬)・チアマゾール(抗甲状腺薬)・テルビナフィン塩酸塩(アリルアミン系抗真菌薬)・バルサルタン(選択的AT1受容体遮断薬)・フェンタニル(経皮吸収型持続性疼痛治療薬)・ボリコナゾール(トリアゾール系抗真菌薬)・メトトレキサート(抗リウマチ薬/葉酸代謝拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照 上記のような薬剤を服用している患者が症状を訴えた場合、まずは(1)原因薬剤の中止・減量を行うが、原疾患の治療上、中止などの対応ができない場合、または味覚障害を起こす可能性のある薬剤を複数服用して特定が困難な場合もある。そのような場合でも(2)亜鉛剤の補給[低亜鉛血症がある場合、味蕾の再生促進を期待して補給]、(3)口腔乾燥の治療などで唾液分泌を促進させる、(4)口腔掃除とケアで対応することが必要で、とくに(1)(2)は重要度が高いと記載されている。薬物性味覚障害の初期症状を含めて患者がよく訴える症状<早期に認められる症状>薬物性味覚障害は高齢者に多く、複数の薬剤を服用しており、また発症までの時間や症状もまちまちで、初期の症状を捉えることは困難なことが多い。初期症状を含め、よく訴える症状に以下のようなものがある。 1:味(甘・塩・酸・苦)が感じにくい 2:食事が美味しくない3:食べ物の好みが変わった 4:金属味や渋味など、嫌な味がする 5:味のしないところがある 6:口が渇く<患者が訴えうる自覚症状>1:味覚減退:「味が薄くなった、味を感じにくい」2:味覚消失・無味症:「まったく味がしない」 3:解離性味覚障害:「甘みだけがわからない」4:異味症・錯味症:「しょう油が苦く感じる」 5:悪味症:「何を食べても嫌な味になる」6:味覚過敏:「味が濃く感じる」 7:自発性異常味覚:「口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる」 8:片側性味覚障害:一側のみの味覚障害 本マニュアルには医師、薬剤師などの医療関係者による副作用の早期発見・早期対応に資するため、ポイントになる薬物性味覚障害の初期症状や好発時期、医療関係者の対応などが記載されている。 また、患者が読みやすいように、患者やその家族に知っておいてもらいたい副作用の概要、薬物性味覚障害の初期症状、早期発見・早期対応のポイントをできるだけわかりやすい言葉で記載してもいるので、ぜひ参考にしていただきたい。

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オミクロンvs.デルタ、ワクチン接種・感染歴・年齢別の入院・死亡リスク/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の重症アウトカムのリスクについて、デルタ変異株(B.1.617.2)よりもオミクロン変異株(B.1.1.529)で大幅に低く、オミクロン変異株ではより重症度の高いエンドポイント発生が大きく低下しており、年齢間のばらつきは顕著であることなどが、英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らによる検討で示された。オミクロン変異株は部分的なワクチンエスケープと、高い感染性が示されているが、早期の試験でデルタ変異株よりも重症化リスクは低いことが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月16日号掲載の報告。オミクロン変異株vs.デルタ変異株の通院、入院、死亡リスクを検証 研究グループは、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の重症度をよりよく特徴付けるために、通院受診、入院、死亡の相対リスクを評価する大規模全国コホート試験を行った。 2021年11月29日~2022年1月9日に、検査でCOVID-19と確認された英国住民の個人レベルデータを、ワクチン接種状況、通院受診、入院、死亡に関するルーチンデータベースと結び付け、感染確認後の14日以内の通院または入院リスク、もしくは28日以内の死亡の相対リスクを、比例ハザード回帰法を用いて推算し評価した。 解析は、試験日、10歳年齢群単位、民族、居住地域、ワクチン接種状況で層別化し、さらに、性別、複数の剥奪指数、以前の感染の有無、各年齢群で補正して行われた。副次解析では、変異株特異的およびワクチン特異的なワクチン効果、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株固有の相対的重症度(ワクチン未接種例など)を推算した。オミクロン変異株の入院・死亡に、mRNAワクチンのブースターの有効性70%以上 デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の、通院(入院不要と診断)の補正後ハザード比(HR)は0.56(95%信頼区間[CI]:0.54~0.58)で、入院は同0.41(0.39~0.43)、死亡は0.31(0.26~0.37)であった。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、解析したすべてのエンドポイントで年齢によるばらつきが認められた。たとえば入院のHRは、10歳未満では1.10(95%CI:0.85~1.42)で、年齢が上がるに従って低下し60~69歳では0.25(0.21~0.30)だったが、それ以降の年齢群では増大し、80歳以上では0.47(0.40~0.56)であった。 両変異株について、以前の感染が、ワクチン接種群(HR:0.47[95%CI:0.32~0.68])とワクチン未接種群(0.18[0.06~0.57])の両症例において、死亡に対するある程度の保護効果をもたらしたことが認められた。一方で、以前の感染は、ワクチン接種によりもたらされる以上の入院に対する追加の保護効果をもたらしていなかった(ワクチン接種群のHR:0.96[0.88~1.04])。しかしながらワクチン未接種群では、以前の感染が中程度の保護効果をもたらしていた(HR:0.55[0.48~0.63])。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、ワクチン未接種群症例での入院(0.30[95%CI:0.28~0.32])が、主要解析のすべての症例の対応するHR推定値よりも低かった。 mRNAワクチンによるブースター接種は、オミクロン症例の入院および死亡に対して非常に高い保護効果を示した(ブースター接種後8~11週間の入院のHR(vs.ワクチン未接種):0.22[95%CI:0.20~0.24])。ブースターは、1回目と2回目に使用されるワクチンによる影響はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「観察されたリスクの根底には、ワクチン有効性の低下によって相殺された内因性重症度(ワクチン未接種者における)の大幅な低下がある。また、以前のSARS-CoV-2感染は、ワクチン未接種者の入院に対するある程度の保護効果と死亡に対する高い保護効果をもたらしたが、ワクチン接種者では死亡のエンドポイントについてのみ追加の保護効果をもたらしていた。mRNAワクチンのブースター接種は、新たに確認されたオミクロン変異株感染における入院および死亡について70%以上の有効性を維持することが示された」とまとめている。

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新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第46回

第46回 新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える新型コロナとの闘いが続きます。3回目のワクチン接種の普及が鍵といわれています。小生もワクチン接種会場の問診係として何度か協力しております。接種に当たり皆に配布されるワクチンについての説明用紙に、「接種に当たっては、リスクとベネフィットをご理解いただき、納得したうえで接種してください」と記載してあることに気づき驚きました。リスクとベネフィットに基づいて、ワクチンを接種するかしないかを選択することは難しいことだと感じたからです。これは、医師や医療関係者にも難しいことで、一般市民の方々には本当に困難なことに思えます。私たちは日々の生活をしていく中でも、毎日多くのことを選択しています。晩御飯はなににするか? 肉か魚か? 肉は高価だが国産にするか外国産にするか? 休日にはどこに行こう? ディズニーランドか田舎の温泉宿か? 自分の車で行くか電車で行くか? などなど…です。選択の結果、良い結果になることもあれば悪い結果になることもあります。しかし、この程度の選択では生命を左右するほどの差異に至ることはないので気楽です。人生に大きく関わる選択もあります、この人と結婚して良いのか? もっと良い次の出会いがあるかもしれない。この課題では、選択が正しかったのか間違っていたのかの評価が困難であることと、いったん解消してリセットすることも可能な社会システムも準備されています。しかし、医療における選択は命に関わるだけに重大です。なによりも、いったん失われた命はリセットして回復させることはできません。ワクチンの接種によって得られる利益つまりベネフィットと、副反応などのリスクを比較し判断するのは、なぜ難しいのでしょうか。ワクチンは、感染症の抗菌薬や対症療法薬ではありません。すでに感染し発熱や呼吸困難に苦しむ患者の治療薬であれば、その薬剤の効果を評価することは比較的容易です。ワクチンは予防薬ですから、すでに疾患をもつ患者への治療薬のような目に見える効果がありません。ワクチンを接種して健康な生活を続ける人々は、「俺はワクチンを打たなくても感染もしなかったし元気でいた」と思うのです。責めるわけではありません。それが人間です。健康な人は、感染症予防や感染症拡大の抑制といったワクチンの役割に気づくことはありません。ワクチンのベネフィットは、ワクチンを接種した人としなかった人での、感染率や死亡率の差異などの疫学的に正確に収集したデータに拠らなければ判明しません。こういったデータに基づく地味な情報を粛々と報じて、わかりやすく解説する成熟した報道機関が期待される由縁です。一方で、ワクチンの副反応などのリスクは可視化が容易です。ワクチン接種後の、心筋炎や心膜炎などの個々の症例の情報はソーシャルメディアなどを通して拡散しがちです。これにより、ワクチン接種を躊躇したり、懸念を示したり、あるいは接種に強く反対したりする人々が増える可能性があります。実際に、ワクチン後の心筋炎はゼロではありません。その点について、日本循環器学会は声明を発表しています。一部を紹介します(2022年3月12日日本循環器学会ホームページ確認)。新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率に比較して極めて低い。新型コロナウイルスワクチン接種後に発症する急性心筋炎と急性心膜炎の大半は軽症である。新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る。さらにワクチン接種のリスクとベネフィットを複雑にするのが集団免疫という概念です。ワクチンは集団免疫として働きますので、ワクチンの接種率も重要です。例えば、自分勝手な独裁者は、ワクチンを接種しなくとも自分以外の全員にワクチンを強制的に接種させればワクチンの利益を享受することができます。ワクチンは、背景因子によって医学的に接種できない人が一定数いますので、可能な人は受けていただきたい理由です。ワクチンを接種しないという意思決定は個人的な選択のように見えますが、集団免疫のため他者への影響を伴うものであることを認識すべきです。ワクチン接種は幅広い社会における義務の一部という考えの背景です。今回は、新型コロナのワクチンをめぐってのリスクとベネフィットを考えてみました。話を変えます。とっても変な夢を見ました。オリンピックの開会式などで鳩が一斉に放たれ競技場から飛び去る状況はイメージできると思います。自分の見た夢を紹介します。世の中の人すべてがマスクをはずし捨て去ると、そのマスクがあたかも鳩が離散するかのようにヒラヒラと天高く消え去っていくシーンです。これは、きっと正夢に違いありません。コロナ収束を願っております。

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関節型若年性特発性関節炎〔pJIA:Polyarticular Juvenile Idiopathic Arthritis〕

1 疾患概要■ 定義・分類若年性特発性関節炎(JIA)は16歳未満に発症し6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎の総称である。発症から6ヵ月までの臨床像から、(1)全身型、(2)少関節炎、(3)rheumatoid factor(RF)陰性多関節炎、(4)RF陽性多関節炎、(5)乾癬性関節炎、(6)腱付着部炎関連関節炎、(7)分類不能型の7病型に分類され1)、また治療の視点から、全身型、関節型、症候性の3つに整理されている(図1)。図1 JIAの病型分類と関節型JIAの位置付け画像を拡大する6歳未満に発症した原因不明の慢性関節炎は、発症から6ヵ月以内の臨床症状や検査所見から7病型に分類される。また、治療の観点から、全身型JIA、関節型JIA、症候性JIAの3つに分類するが、このうち関節型JIAとは、主に少関節炎JIA、RF陰性およびRF陽性多関節炎JIAを指し、全身型JIAで発症し、全身症状が消退しても関節炎が遷延するものも含まれる。関節型JIAとは、主に(2)少関節炎JIAと(3)RF陰性および(4)RF陽性多関節型JIAの3病型を指す。少関節炎JIAと多関節炎JIAは炎症関節の数で区分されており、前者は4関節以下、後者は5関節以上と定義されている。また、(1)全身型JIAの約20%は、その後、全身症状(発熱、皮疹など)を伴わず関節炎が遷延する経過をとるため(全身型発症多関節炎)、関節型JIAに含められている。■ 疫学わが国のJIAの有病率は小児10万人当たり8.8~11.6と報告され、推定患者数は2,893人である。また、JIAの病型の比率2)は、全身型41.2%、少関節炎20.2%、RF陰性多関節炎13.7%、RF陽性多関節炎18.2%であることから、関節型JIAの患者数は約1,700人程度と推定される。■ 病因関節型JIAの病因は不明であるが、抗核抗体陽性例が多い少関節炎JIAやRF陽性多関節炎JIAは自己免疫疾患の1つと考えられている。また、後述する生物学的製剤biologic disease modifying anti-rheumatic drugs(bDMARDs)の有効性から、関節型JIAの病態形成にTNFやIL-6などの炎症性サイトカインや、T細胞活性化が関与していることは明らかである。■ 症状1)関節症状関節は腫脹・発赤し、疼痛やこわばり、痛みによる可動域制限を伴う。関節炎は、少関節炎JIAでは大関節(膝、足、手)に好発し、多関節炎JIAではこれに小関節(指趾、頸椎など)が加わる。しかし、小児では本人からの関節症状の訴えは少ない。これは小児では痛みを具体的に説明できず、痛みを避ける動作や姿勢を無意識にとっているためと考えられる。そのため、起床時の様子や午前中の歩行容姿、乳児ではおむつ交換時の激しい啼泣などから、保護者が異常に気付くことが多い。2)関節外症状関節症状に倦怠感や易疲労感を伴う。関節症状と同様、倦怠感は起床時や午前中に強いが、午後には改善して元気になる。そのため、学校では午前中の様子をさぼりや無気力と誤解されることがある。微熱を伴うこともあるが高熱とはならず、皮疹もみられない。少関節炎JIAを中心に、JIAの5~15%に前部ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)がみられる。関節炎発症から6年以内に発症することが多く、発症リスクとして、4歳未満発症と抗核抗体陽性が挙げられている。また、発症早期には自覚症状(眼痛、羞明)に乏しい。そのため、早期診断には眼症状がなくても定期的な眼科検診が欠かせない。■ 予後適切な治療により長期寛解が得られれば、JIAの約半数は無治療寛解(off medication寛解)を達成する。ただその可能性は病型で異なり、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎では過半数が無治療寛解を達成するが、RF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAでは、その達成率は低い(図2)。完治困難例の関節予後は不良であり、不可逆的な関節破壊による機能障害が進行し、日常生活に支障を来す。しかし、わが国では2008年にJIAに対する最初のbDMARDsが認可され、今後は重篤な機能障害に至る例は減少することが期待されている。少関節炎JIAに好発するぶどう膜炎は治療抵抗性であり、ステロイド点眼で寛解しても減量や中止後に再燃を繰り返す。そのため、眼合併症(帯状角膜変性、白内障、緑内障など)が経過とともに顕在化し、視機能が障害される。ぶどう膜炎についても、2016年にbDMARDsの1つであるアダリムマブ(adalimumab:ADA)が非感染性ぶどう膜炎で認可され、予後の改善が期待されている。図2 JIAの病型別累積無治療寛解率画像を拡大する鹿児島大学小児科で治療した全身型89例および多関節型JIA196例、合計285例のうち、すべての治療を中止し、2年間寛解状態を維持したものを、無治療寛解と定義し、その累積達成率を病型毎に検討した。その結果、JIA285例全体の累積無治療寛解率は罹病期間5年で33.1%であったが、病型別の達成率では、RF陽性多関節炎JIAと全身型発症多関節型JIAで低値であった。* 全身型で発症し、全身症状消失後も関節炎が遷延する病型**全身型で発症し、疾患活動期には関節炎と全身症状を伴う病型2 診断 (検査・鑑別診断も含む)持続する原因不明の関節炎がJIAの必須要件であるが、特異的な所見に乏しいために診断基準は確立されていない。したがって、臨床症状や検査所見を参考にJIAの可能性を検討し、鑑別疾患を除外して初めて診断される。■ 臨床症状関節炎は固定性・持続性で、しばしば倦怠感や易疲労性を伴う。関節症状(関節痛、こわばり感)は起床時や朝に強く、時間とともに改善する。高熱や皮疹はみられない。■ 検査所見抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody :ACPA)が陽性であればRF陽性多関節炎JIAの可能性が高い。一方RFは、RF陽性多関節炎JIAでは必須であるが、他のJIA病型では陰性であり、むしろシェーグレン症候群や混合性結合組織病での陽性率が高い。したがって、ACPAやRFが陰性でもJIAを否定できず、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎JIAの可能性を検討する必要がある。MRIや関節エコー検査における肥厚した関節滑膜や炎症を示唆する所見は、関節型JIAの早期診断に有用であるが、JIAに特異的な所見ではない。一方、X線検査による関節裂隙の狭小化や骨糜爛などの破壊像はJIAに特異性が高いものの、早期診断には役立たない。MMP-3の増加は関節炎の存在や関節破壊の進行予知に有用である。しかし、健康幼児のMMP-3はほとんどが測定感度以下であるため、正常値であっても慎重に判断する。また、MMP-3の評価にはステロイドの影響を除外する必要がある。■ 鑑別疾患小児の関節痛に対する鑑別疾患を、疼痛部位や臨床経過、随伴症状、検査所見を含めて図3に示す。図3 疼痛部位や経過、臨床所見からみた小児の関節痛の鑑別疾患画像を拡大する年齢別には、乳幼児では悪性疾患(白血病)や自己炎症性疾患、年長児では他の膠原病やリウマチ性疾患、線維筋痛症、悪性疾患(骨肉腫)などを中心に鑑別する。一方、感染症や若年性皮膚筋炎との鑑別は全年齢にわたって必要である。関節炎に発熱や皮疹を伴う場合は、皮膚筋炎や全身性エリテマトーデスなどの膠原病疾患だけでなく、全身型JIAやブラウ症候群などの自己炎症性疾患を鑑別する。特に白血病や悪性疾患については、JIAとして治療を開始する前に除外しておくことは重要である。白血病を含む小児腫瘍性疾患1,275例を検討した報告では、発症時に関節炎を伴う例が102例(8%)存在し、これを関節型JIA 655例と比較したところ、「男児」、「単関節炎」、「股関節炎」、「全身症状」、「夜間痛や背部痛」が悪性疾患のリスク所見であった。特に白血病の初期は末梢血が正常であることが多く、骨髄検査で除外しておくことが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療目標関節型JIAの治療目標は関節炎病態に寛解を導入し、破壊性関節炎の発生や進行を抑止することである。一方、JIAの約半数は、治療寛解を長期維持した後に治療中止が可能で、その後も再燃せずに無治療寛解を維持する(図2)。そのため、関節型JIAにおいても、その最終的な治療目標は永続性のある無治療寛解(完治cure)であり、この点がRAとの最も大きな違いである。■ 治療評価1)診察時の評価関節痛や倦怠感、朝のこわばりの持続時間などで評価する。小児では訴えが不明確で評価が難しため、保護者からもたらされる日常生活の情報(歩行容姿や行動量などの変化)が参考になる。理学所見では、活動性関節炎(関節腫脹や圧痛)の数や、関節可動域の変化で評価する。検査では、炎症指標(CRP、赤沈、血清アミロイドA)やMMP-3、関節エコー所見などが参考になる。2)疾患活動性の総合評価27関節を評価するJuvenile Arthritis Disease Activity Score(JADAS)27が臨床評価に用いられている(図4)3)。RAで用いられるDAS28と異なり、少関節炎JIAで好発する足関節炎の評価が可能である。JADAS27の評価項目はVisual analog scale (VAS、0-10cm)による(1)医師および(2)患児(または保護者)の評価、(3)活動性関節炎数(0-27)、(4)標準化赤沈値([1時間値-20]/10、0-10)の4項目からなり、その合計スコア値(0-57)で評価する。なお、活動性関節炎とは、関節の腫脹または圧痛がある関節、圧痛がない場合は伸展屈曲負荷をかけた際に痛みがある関節と定義されている。また、JADAS27から標準化赤沈値を除いたスコア値を用いて、疾患活動性を寛解、低度、中等度、高度の4群にカテゴリー化するcut-off値も定義されている。3)寛解の種類と定義臨床寛解(clinical inactive disease)の定義は、(1)活動性関節炎、(2)活動性のぶどう膜炎、(3)赤沈値およびCRP値の異常、(4)発熱、皮疹、漿膜炎、脾腫、リンパ節腫脹がなく、(5)医師による総合評価が最小値で、(6)朝のこわばりが5分以下の6項目をすべて満たした状態である。また、この臨床寛解を治療により6ヵ月以上維持していれば治療(on medication)寛解、治療中止後も1年以上臨床寛解を維持していれば、無治療(off medication)寛解と分類される。図4 JADASを用いた関節型JIAの疾患活動性評価画像を拡大する医師および患児(または保護者)による総合評価、活動関節炎数、標準化赤沈値の集計したスコア値で疾患活動性を評価する。JADASには評価関節の数により、JADAS71、JADAS27、JADAS10の3つがあるが、臨床現場ではJADAS27が汎用されている。JADAS27では、DAS28で評価しない頸椎、両股関節、両足関節を評価する一方、DAS28で評価する両側の4-5MP関節、両肩関節は評価しない。疾患活動性を寛解、低活動性、中等度活動性、高度活動性の4群に分類する場合、標準化ESR値を除いた3項目の合計スコア値を用いる。その際のスコア値は、関節炎数が4関節以下の場合は、それぞれ0~1、0~1.5未満、1.5~8.5未満、8.5以上、関節炎数が5関節以上の場合は、それぞれ0~1、0~2.5未満、2.5~8.5未満、8.5以上と定義されている。■ 治療の実際(図5)4)関節型JIAの3病型のいずれも、以下の手順で治療を進める。また、治療開始後の臨床像の変化を、症状、理学所見、検査値、関節エコー、JADAS27などで評価し、治療の有効性と安全性を確認しながら治療を進める。図5 関節型JIAの治療手順画像を拡大する治療目標は無治療寛解である。予後不良因子のあるhigh risk群では、初期治療からNSAIDsにcsDMARDs(第1選択薬はMTX)を併用し、無効であれば生物学的製剤bDMARDsの追加併用を検討する。1)初期治療(1)1stステップ関節痛に対し、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を開始するとともに、予後不良因子(RF、ACPA、関節破壊像、日常生活に重要な頸椎・股・手関節などの関節炎)の有無を検討する。JIAに保険適用のあるNSAIDsは、イブプロフェン(30~40mg/kg/日、分3、最大2,400mg/日)とナプロキセン(10~20mg/kg/日、分2、最大1,000mg/日)に限られている。また、NSAIDsで疼痛コントロールが不十分でQOLが著しく低下している場合、少量ステロイド薬(glucocorticoid:GC)を併用することがある。ただ、GCはその強い抗炎症作用でCRP値や関節痛を改善させても、関節炎病態を寛解させない。そのためGCは2ndステップの治療効果が確認されるまでの橋渡し的な使用に限定すべきであり、漫然と継続してはならない。予後不良因子がある場合は、速やかに2ndステップの治療を開始する。予後不良因子がない場合はNSAIDsのみで経過を診るが、2週間経過しても改善が得られなければ、2ndステップの治療に移行する。(2)2nd ステップ従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(conventional synthetic disease modifying anti-rheumatic drugs:csDMARDs)をNSAIDsに追加併用する。第1選択薬はメトトレキサート(methotrexate:MTX)であり、globalな標準投与量は有効血中濃度(ピーク値5.8×10-7moles/L以上)が得られる10~15 mg/m2/週(分1、空腹時投与)である5)。しかし、わが国でのJIAでの承認投与量は4~10mg/m2/週であるため、MTX10mg/m2を週1回、空腹時に分1で投与するのが一般的な投与法である。また、副作用軽減を目的にフォリアミン5mgをMTX投与翌日に投与する。このMTXの投与量10mg/m2は、平均的な体格の小学生1年生で8mg、中学生1年生で15mgに相当する。RAでの上限投与量が16mgであることを考えれば、成人より相対的に高用量であるが、これは小児では、MTXの腎排泄が成人と比べて早いためである。そのため、小児では腎障害や骨髄抑制の発生は少ない。また、高齢者に多いMTXによる肺障害も極めてまれである。小児での主な副作用は嘔気や気分不良で、中学生以降の年長児ではほぼ必発である。そのため、訴えの強い小児では制吐剤の併用、就寝前の服用、剤型の変更などを検討する。なお、DMARDsには既感染の結核やB型肝炎ウイルス(HBV)を再活性化させる可能性がある。そのため、投与開始前に結核(T-spotや胸部Xp/CT)やHBV関連抗原/抗体(HBsAg、HBsAb、HBcAb)の検査を行って感染の有無を確認する。また、トキソプラズマやサイトメガロウイルス、ニューモシスチス肺炎や他の真菌感染症(β-D-glucan)の有無を検討しておくことも必要である。MTX開始後2ヵ月経過しても十分な効果が得られない場合、MTXを他のcsDMARDs (サラゾスルファピリジン[sulfasalazine]やイグラチモド[iguratimod/商品名:ケアラム]など)へ変更する選択肢もある。しかし、海外でその推奨度は低く、またcsDMARDsの効果発現までさらに数ヵ月を要すること、わが国ではJIAに保険適用のあるcsDMARDsはMTX以外にはないこともあり、他のcsDMARDsへの変更は現実的ではない。したがって、次の治療ステップである生物学的製剤(bDMARDs)の追加併用を検討する。(3)3rdステップ関節型JIAに保険適用のあるbDMARDsは、TNF阻害薬のエタネルセプト(Etanercept :ETA)とアダリムマブ(Adalimumab:ADA)、IL-6阻害薬のトシリズマブ(Tocilizumab :TCZ/同:アクテムラ)、T細胞選択的共刺激調整剤のアバタセプト(Abatacept:ABT/同:オレンシア)の4製剤のみである(表)。表 関節型JIAに保険適用のある生物学的製剤画像を拡大するa)TNF阻害薬ETNはTNF受容体(TNF-R2)とヒトIgG1Fcとの融合蛋白製剤であり、血中のTNFα/βと結合することで標的細胞表面上のTNF R2との結合を阻害し、TNFによる炎症誘導シグナルの伝達を抑制する。半減期が短く、0.4mg/kgを週2回皮下注で投与する。JIAで認可された剤形はETNを凍結乾燥させたバイアル製剤のみであり、家族が投与前に溶解液を調合する必要があった。その後、2019年にETN注射液を容れた目盛付きシリンジ製剤(同:エタネルセプトBS皮下注シリンジ「TY」が、また2022年にはエタネルセプトBS皮下注シリンジ「日医工」)がバイオシミラー製剤としてJIAで保険適用を取得し、利便性が向上した。ADAはTNF-αに対する完全ヒト型モノクローナル抗体で、中和抗体として標的細胞上のTNFα受容体へのTNF結合を阻害する。また、TNF産生を担う活性化細胞膜上に発現したTNFαとも結合し、補体を介した細胞傷害性(ADCC)によりTNF産生を抑制する。投与量は固定量で、体重30kg未満では20mgを、体重30kg以上では40mgを、2週毎に皮下注で投与する。わが国のJIA375例を対象とした市販後調査では、投与開始24週後のDAS寛解(DAS28-4/ESR<2.6)達成率は、治療開始時の21.7%から74.7%に増加し、また難治性のRF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAにおいても、それぞれ61.9%、80.0%まで増加した。この市販後調査は、前向きの全例調査であることから、臨床現場(real world)での治療成績と考えられる。b)IL-6阻害薬TCZはIL-6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体である。細胞膜上のIL-6受容体および流血中のsoluble IL-6受容体と結合し、IL-6のシグナル伝達を阻害し、炎症病態を制御する。4週ごとにTCZ 8mg/kgを点滴静注で投与する。RAに保険適用のある皮下注製剤や、TCZと同じ作用機序をもつサリルマブ(sarilumab/同:ケブザラ)はJIAでは未承認である。多関節型JIA132例を対象とした市販後調査(中間報告)では、投与開始28週後の医師による全般評価は、著効53%、有効42%であり、あわせて90%を超える例が有効と判断された。また、投与前と投与28週後の関節理学所見の変化を57例で検討すると、疼痛関節数(平均)は5.3から1.5へ、腫脹関節数(平均)は5.6から1.6へ減少し、赤沈値も32mm/時間から5mm/時間へと改善した。c)T細胞選択的阻害薬ABTはcytotoxic T lymphocyte associated antigen-4(CTLA-4)とヒトIgG1-Fcとの融合蛋白(CTLA-4-Ig)であり、抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)のCD80/86と強力に結合する。そのため、APCのCD80/86とT細胞のCD28との結合で得られる共刺激シグナルが競合的に遮断され、T細胞の過剰な活性化が抑制される。1回10mg/kgを4週ごとに点滴静注で投与する。皮下注製剤はJIAでは未承認である。1剤以上のcsDMARDに不応な関節型JIA190例を対象とした海外での臨床試験では、ACRpedi 50/70/90改善の達成率は投与4ヵ月時点でそれぞれ50/28/13%であった。また、引き続き行われた6ヵ月間のdouble blind期間においてABT群はプラセボ群と比較して有意な寛解維持率を示した。さらにその後の長期投与試験では、4年10ヵ月の時点でのACRpedi 50/70/90改善達成率はそれぞれ34/27/21%であり、有効性の長期継続が確認された。2)bDMARDs不応例の治療bDMARDs開始後は、その有効性と安全性を監視する。初めて導入したbDMARDsの投与開始3ヵ月後のDAS28が2.49以下であれば、2年以上の寛解が期待できるとした報告がある。しかし、臨床所見やJADASやDAS28スコアの改善が不十分で、bDMARDs不応と思われる場合は、治療変更が必要である。その際は、作用機序の異なる他のbDMARDsへのスイッチが推奨されている。Janus kinase(JAK)阻害薬は、分子標的合成(targeted synthetic:ts)DMARDsに分類され、bDMARDs不応例に対するスイッチ薬の候補である。JAKは、IL-2、 IFN-γ、IFN-αs、IL-12、IL-23、IL-6などの炎症性サイトカインの受容体に存在し、ATPと結合してそのシグナルを伝達する。JAK阻害薬はこのATP結合部位に競合的に結合し、炎症シグナル伝達を多面的に阻害することで抗炎症作用を発揮する。また、低分子化合物であるため内服で投与される。Rupertoらは、多関節炎JIA225例(関節型JIA184例、乾癬性関節炎20例、腱付着部炎関連関節炎21例)を対象にトファシニチブ(tofacitinib:TOF/同:ゼルヤンツ)の国際臨床試験を行った。まず18週にわたりTOF5mgを1日2回投与し、ACR30改善達成例を実薬群72例とプラセボ群70例の2群に分け、その後の再燃率を44週まで検討した。その結果、TOF群の再燃率は29%と低く、プラセボ群の53%と有意差を認めた(hazard比0.46、95%CI 0.27-0.79、p=0.0031)。現在、JIAに保険適用のあるJAK阻害薬はないが、バリシチニブ(baricitinib)の国際臨床試験がわが国でも進行中である。4 今後の展望疫学研究では、JIAを含む小児リウマチ性疾患の登録が進められている(PRICURE)。臨床研究では、前述のように関節型JIAに対するJAK阻害薬のバリシチニブの国際臨床試験が進行中である。5 主たる診療科小児科であるが、わが国の小児リウマチ専門医は約90名に過ぎず、また専門医のいる医療機関も特定の地域に偏在している。そのため、他の領域に専門性を持つ多くの小児科専門医が、小児リウマチ専門医と連携しながら関節型JIAの診療に携わっている。日本小児リウマチ学会ホームページの小児リウマチ診療支援MAPには、小児リウマチ診療に実績のある医療機関が掲載されている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本小児リウマチ学会 小児リウマチ診療支援MAP(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 若年性特発性関節炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児リウマチ性疾患国際研究組織(PRINTO)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報JIA家族会「あすなろ会」(患者とその家族および支援者の会)1)Petty RE, et al. J Rheumatol. 2004;31: 390-392.2)武井修治,ほか. 小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究, 平成19年度総括・分担研究報告書2008.2008.p.102-111.3)Consolaro A, et al. Arthritis Rheum. 2009;61:658-666.4)小児リウマチ調査検討小委員会. 全身型以外の関節炎に対する治療、若年性特発性関節炎初期診療の手引き2015. メディカルレビュー社;2015.p.59-66.5)Wallace CA, et al. Arthritis Rheum. 1989;32:677-681.公開履歴初回2022年3月23日

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第101回 私が見聞きした“アカン”医療機関(中編) オンライン診療、新しいタイプの“粗診粗療”が増える予感

18都道府県に出ていた「まん延防止等充填措置」がやっと解除こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月21日、18都道府県に出ていた「まん延防止等充填措置」が解除されました。全面解除は実に約2ヵ月半ぶりです。ただ、これからの時期、お花見、春休み、新学期、新年度などで宴会や移動が活発化します。「第7波」に備えた体制は怠りなく進めておく必要がありそうです。ところで、先週のこのコラムで、「鈴木 誠也選手はサンディエゴ・パドレス、菊池 雄星投手はトロント・ブルージェイズと合意したとの報道もありました」と書きましたが、鈴木選手の情報は一部スポーツ紙の勇み足による“誤報”でした。その後、鈴木選手は歴史あるシカゴ・カブスと合意、契約しました。契約金は5年総額8,500万ドル(約101億3,000万円)と伝えられており、日本人野手の渡米時の契約としては、4年総額4,800万ドルの福留 孝介(当時、カブス)を上回る史上最高額とのことです。カブスと言えば「ヤギの呪い(Curse of the Billy Goat)」で有名なチームです。鈴木選手が何らかの呪いに襲われることなく、大活躍することを願っています(「ヤギの呪い」自体は2016年のワールドシリーズ優勝で解けたと言われていますが…)。さて、今回も前回に引き続き、少し趣向を変え、最近私や知人が体験した“アカン”医療機関について、書いてみたいと思います。【その3】オンライン診療ゆえの“マイルド”処方に困った友人新型コロナウイルス感染症のオミクロン株に感染した友人の話です。症状は軽快し、PCR検査も陰性となって療養解除となったのですが、数週間経ってもひどい咳がなかなか止みません。とくに夜間がひどく、「これは『いつもの処方』が必要だ」と感じた彼は、時節柄、外来診療ではなく近所のクリニックでオンライン診療を受けることにしました。「いつもの処方」とはステロイド内服薬の服用です。これまでも風邪などで気管支がひどくやられると、炎症が治まらずひどい咳が遷延することがたびたびありました。そんなときだけ、知り合いの呼吸器内科医に頼んで、ステロイド(プレドニゾロンなど)を頓服で処方してもらっていたのです。ただ、その呼吸器内科医は最近、遠方の病院に異動してしまったため、今回は渋々、呼吸器内科も標榜し、オンライン診療にも対応している近所のクリニックをネットで見つけ、受診することにしたわけです。ステロイド内服薬を出せない、出さないオンライン診療医LINEを用いてのオンライン診療は、初めての体験でとても緊張したそうです。これまでの咳治療の経験も詳しく説明し、「スパッ」と咳が止まるステロイド内服薬の処方を頼んでみたのですが、願いは叶えられなかったそうです。「結局、吸入薬のサルタノールインヘラーとツムラ麦門冬湯エキス顆粒が出されただけだった。粘ってみたんだけど…」と友人。サルタノールインヘラーは、β2アドレナリン受容体刺激剤です。ステロイドも入っている吸入薬(ブデホルなど)もあるはずなのに、それも避け、漢方を気休めに上乗せするというのは、幾多のしつこい咳と戦ってきた彼にとっては、効き目があまり期待できない“マイルド”過ぎる処方でした。「オンラインで初診だと、マイルドで安全な処方をしたくなるのはわかるが、患者側の意見もきちんと聞いて欲しい。これで咳にまだ数週間悩まされると思うとウンザリだ。結局、次は外来に来てくれと言われたし…」と、オンライン診療に不満たらたらの友人でした。処方箋が届いたのは診療から5日後実はこの話、これだけで終わりませんでした。水曜日にオンライン診療を受診し、「処方箋は郵送します」と言われたのですが、2日後の金曜になっても処方箋が届かなかったのです。金曜夕刻に診療所に電話すると、夜8時過ぎに、クリニックの事務職員が薬(おそらく院内調剤)を持って自宅にやって来たそうです。「処方箋はちゃんと郵送したのですが」と弁明する職員でしたが、現物が届いたのは翌週月曜でした。これは全く“アカン”ですね。最終的に彼は、最初の処方では全く軽快しませんでした。翌週末に外来を訪れ、今度はステロイドも入ったブデホルを入手することができ、その後徐々に快方に向かったそうです。新しいタイプの“粗診粗療”が増えるのではオンライン診療については、処方箋のやり取りと、薬剤のデリバリーが障害になることがある、とも聞きます。クリニックから薬局にファクスやメールで処方箋を送るにしても、その薬局が患者の近所にあるか、宅配を行っていなければなりません。また、そうしたオンライン診療の処方箋に対応できる“かかりつけ”薬局を持っている人もまだ多くはありません。診療から薬剤入手までのインターバルの解消は、オンライン診療普及に向けた大きな課題の一つでしょう。オンライン診療については、「第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント」でも詳しく書きました。こうした新しい動きに対し、日本医師会の今村 聡副会長は3月2日の定例会見で、自由診療下でオンライン診療を活用し、GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での不適切処方が横行している状況について問題提起をしました。今村氏は、「本来の治療に用いる医薬品が不適切に流通して健康な方が使用してしまうというような状況は、国民の健康を守るという日本医師会の立場としては看過できない」と話したとのことです。オンライン診療のこうした“悪用”は確かに問題ですが、私自身は、逆に友人が経験したような、対面でないために慎重になり、治療効果が低い、“マイルド”過ぎる薬剤を処方してしまうという、新しいタイプの“粗診粗療”が増えることを危惧しています。ステロイドと同様、抗菌薬も初診からの投与を嫌う医師が多い印象があります。診断が適切なら問題はないのですが、結局、2回目からはリアルの対面受診を余儀なくされ、本来服用が必要な薬にたどり着くまでに通院回数が増えるとしたら、オンライン診療のメリットはほぼないに等しいと思うのですが、皆さんどうでしょう。次回も、引き続き“アカン”医療機関を紹介します(この項続く)。

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