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子宮頸がん予防ワクチンCervarix、6年以上の長期にわたり、予防効果を示す

グラクソ・スミスクラインは、子宮頸がん予防ワクチンCervarixが、現在報告されている中では最長のほぼ6年半にわたり、子宮頸がん発症の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、最も検出頻度の高い4つのタイプの感染を顕著に予防することが新しいデータで明らかになったと発表した。この子宮頸がん予防ワクチンでは、がん原性HPVである16型と18型により起こる前がん病変に対して、6年半近くの間、100%の予防効果を示したばかりか、HPV31型及び45型という他のがん原性HPVに対しても十分な予防効果を示す。また、試験に参加した15~25歳の女性のほぼ100%で、6年半近くのすべての期間においてHPV16型と18型に対して高い抗体価を示したことが認められた。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_01/P1000467.html

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麻薬メトカチノン常用者に特徴的なパーキンソン様症候群はマンガンの作用

東ヨーロッパとロシアでは、違法合成麻薬メトカチノン(エフェドロン、ロシアでは通称cat等で知られる)の静注常用者に特徴的な錐体外路症候群が観察されている。ラトビアにあるリガ・ストラディン大学のAinars Stepens氏らのグループは、平均(±SD)6.7(±5.1)年にわたってメトカチノンを常用、錐体外路症状を呈していたラトビア成人23例について調査を行った。対象者が用いていたメトカチノンは、エフェドリンまたは偽エフェドリンの過マンガン酸カリウム酸化作用を用いて、家内製造されたものだった。NEJM誌2008年3月6日号より。常用4~5年で全例が歩行障害、高率で発声不全を発症対象全員がC型肝炎ウイルス陽性で、さらに20例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)が陽性だった。聞き取り調査によって神経症状(歩行障害20例と発声不全3例)が最初に発症したのは、メトカチノン使用開始から平均5.8±4.5年。神経学的評価を行ったところ、23例全例で歩行障害と後ろ向き歩行困難を呈し、11例は毎日転倒、そのうち1例は車椅子を使用していた。21例は歩行障害に加えて発声不全があり、そのうち1例は口がきけなかった。認知機能の低下が報告された例はなかった。神経障害に溶液中のマンガンが関与と結論MRI検査では、現在もメトカチノンを常用している全10例に、T1強調画像で淡蒼球、黒質、無名質に対称性の高信号域が認められた。元常用者13例(最後に使用して2~6年経過)では、信号変化のレベルはより小さかった。全血マンガン濃度(正常値<209nmol/L)は、現在もメトカチノンを常用している者は平均831nmol/L(範囲201~2,102)、元常用者が平均346nmol/L(範囲114~727)だった。なおメトカチノン使用を中止した後も神経障害は回復しなかった。これらから研究グループは、メトカチノン溶液中のマンガンが持続的な神経障害を引き起こしているのではないかと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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むしろ死亡率が上昇、重症急性膵炎に対するプロバイオティクス予防投与

 急性膵炎の感染合併症に対する予防治療としてのプロバイオティクス腸内投与はむしろ死亡率を高めることが、オランダUtrecht大学医療センター外科のMarc G H Besselink氏らDutch Acute Pancreatitis Study Groupの研究によって明らかとなった。急性膵炎では感染合併症とその関連死が大きな問題となるが、プロバイオティクスは細菌の過増殖を抑制することで感染合併症を予防し、消化管のバリア機能を修復して免疫系を調整する可能性が指摘され、期待を集めていた。Lancet誌2008年2月23日号(オンライン版2008年2月14日付け)掲載の報告。多菌種混合プロバイオティクス製剤腸内投与の感染合併症予防効果を評価 本研究は、重症急性膵炎に対するプロバイオティクス予防投与の効果を評価する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。対象は、急性膵炎と診断され、重症化が予測される[Acute Physiology and Chronic Health Evaluation (APACHE II)スコア≧8、Imrie/modified Glasgowスコア≧3、C反応性蛋白>150mg/L]症例とした。 症例は発症72時間以内に、多菌種混合プロバイオティクス製剤(153例)あるいはプラセボ(145例)に無作為に割り付けられ、28日間にわたり1日2回腸内投与された。主要評価項目は、入院期間およびフォローアップ期間(90日)における複合感染合併症(感染性膵壊死、菌血症、肺炎、尿路性敗血症、感染性腹水)の発現とした。プロバイオティクス群で感染合併症が低下せず、死亡率は有意に上昇 プロバイオティクス群152例、プラセボ群144例が解析の対象となった。両群間でベースライン時の患者背景および疾患重症度に差は見られなかった。 感染合併症の発症率はプロバイオティクス群が30%(46例)、プラセボ群が28%(41例)であった(相対リスク:1.06、95%信頼区間:0.75~1.51)。死亡率はそれぞれ16%(24例)、6%(9例)とプロバイオティクス群で有意に高かった(2.53、1.22~5.25)。プロバイオティクス群の9例が腸虚血をきたし、そのうち8例が死亡したのに対し、プラセボ群では腸虚血は認めなかった(p=0.004)。 Besselink氏は、「今回用いた菌種の組み合わせによるプロバイオティクス製剤の予防投与は重症急性膵炎の感染合併症のリスクを低減させず、死亡リスクはむしろ上昇した」と結論し、「他の菌種を用いた場合は異なる結果が得られる可能性があるが、基礎的メカニズムが明らかとなるまでは使用すべきでない。最も重要な点は、もはやプロバイオティクスは経腸栄養の補助療法として無害とはいえないことだ」と考察している。

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手洗い、マスクは、呼吸器系ウイルス感染の拡大防止に有効

 鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)などのウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に対する社会的な関心が高まっている。Cochrane Vaccines Field所属の研究者である Tom Jefferson氏(イタリア、アレッサンドリア)らは、呼吸器系ウイルスの拡大を防止する物理的介入法の効果に関するエビデンスを系統的にレビューし、パンデミックへの備えとしての手洗いやマスクの着用など簡便で低コストの方法の有用性を明らかにした。BMJ誌2008年1月12日号(オンライン版2007年11月27日号)掲載の報告。呼吸器系ウイルス伝搬の予防法に関する49論文をレビュー データベースの検索により、呼吸器系ウイルス伝搬の予防法[発病者の隔離(isolation)、曝露者の隔離(quarantine)、社会的接触の低減化(social distancing)、防御法、個人的防護、衛生管理]に関する無作為化試験、コホート試験、症例対照試験などの文献を抽出した。 51試験に関する49の論文についてレビューを行った。試験の質は、3つの無作為化試験およびほとんどのクラスター無作為化対照比較試験で低く、観察試験にはばらつきがみられた。低コストの物理的な防御法が有効、優先度を上げるべき もっとも質の高いクラスター無作為化試験では、低年齢の小児を対象とした衛生処置による介入が呼吸器系ウイルスの伝搬を予防することが示唆された。また、6つの症例対照試験のメタ解析により、SARSの拡大の予防には次の6つの物理的対策が高い効果を示した。 1日10回以上の手洗い[オッズ比(OR):0.45、1感染の予防に要する治療例数(NNT):4]、マスクの着用(0.32、6)、微粒子用N95マスクの着用(0.09、3)、手袋の着用(0.43、5)、防護用ガウンの着用(0.23、5)、手洗い・マスク・手袋・ガウンの併用(0.09、3)。 通常の手洗いに抗ウイルス薬、抗菌薬を併用した場合の相加的効果は不明であり、スクリーニングや社会的接触の低減化(学校閉鎖、公共の場への集合禁止)などの総合対策については適切な評価法がないため確固たる結論には至っていない。Jefferson氏は、「呼吸器系ウイルス感染の拡大を防止するには、とくに手洗い、マスク着用などの低コストの物理的な防御法が有効と考えられる」と結論し、「これらの方法はパンデミックへの備えとしてもっと高く評価すべきであり、優先度を上げる必要がある」と指摘している。

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細菌性髄膜炎患者へのデキサメタゾン効果

 細菌性髄膜炎に対するデキサメタゾンの補助的投与が、成人に対して有効であるかどうかは明らかとなっていない。ベトナム・ホーチミン市にある国立熱帯病研究所病院Nguyen Thi Hoang Mai氏らの研究グループは、細菌性髄膜炎が疑われる14歳以上の患者435例を対象に、デキサメタゾンの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。NEJM誌12月13日号より。死亡・障害リスクの低下はデキサメタゾンと無関係 研究はデキサメタゾンの投与によって、1ヵ月後の死亡リスク、6ヵ月後の死亡リスクまたは障害リスクが低下するかどうかを目的に行われた。 試験は、217例をデキサメタゾン投与群に、218例をプラセボ投与群に割り付けられ行われた。そのうち細菌性髄膜炎が確定できたのは300例(69.0%)で、123例(28.3%)が髄膜炎の可能性が高いと診断され、12例(2.8%)には他の診断が下された。 全例解析による結果、1ヵ月後の死亡リスク(相対リスク0.79、95%信頼区間:0.45~1.39)、6ヵ月後の死亡または障害リスク(同0.74、0.47~1.17)の有意な低下とデキサメタゾン投与とは関連していないことが示された。効果は微生物学的診断が確定した患者に限定される? しかし、細菌性髄膜炎確定群では、1ヵ月後の死亡リスク(同0.43、0.20~0.94)、6ヵ月後の死亡または障害リスク(同0.56、0.32~0.98)で有意な低下がみられた。これらの効果は、細菌性髄膜炎の可能性が高いと診断された群ではみられなかった。 多変量解析の結果、細菌性髄膜炎の可能性が高いとされた例におけるデキサメタゾン投与が、1ヵ月後の死亡リスク増加と有意に関連していることが示された。しかしこの所見について研究グループは、「投与群に結核性髄膜炎のケースが存在していた可能性も否定できない」としている。 以上から、デキサメタゾンが細菌性髄膜炎の疑われる少年以上全年齢層の予後を改善するわけではなく、有益効果は、事前に抗生物質投与を受けた患者を含め、微生物学的検査を経て診断が確定した患者に限定されるのではないかと結論づけている。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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イタリア北東部におけるチクングニアウイルス集団感染報告

チクングニアウイルスはヤブ蚊類(Aedes spp)の媒介によってヒトに感染する。1953年、タンザニアで単離されたのち、散発的な感染例や集団感染がアフリカ諸国、インド亜大陸、東南アジアから報告されている。数年前に西インド洋域のアフリカの島々など広範な地域で流行して以来、温帯地域の先進諸国からの旅行者が感染して帰国する例が多発している。日本では、昨年12月、一時帰国中のスリランカ在住の30歳代の日本人女性の感染が判明、国内で確認された初めての感染例とされる。 イタリア高等厚生研究所のG. Rezza氏らは、イタリア北東部地域で発生したヒトスジシマカ(Aedes Albopictus)の媒介によると思われる集団感染について報告した。Lancet誌12月1日号から。原因不明の発熱性疾患が集団発生イタリア北東部の隣接する2つの村で原因不明の発熱性疾患が集団発生したため、感染源および伝搬様式を確定するための調査が行われ、積極的疫学調査(active surveillance system)が実施された。症状の定義は発熱および関節痛の発現とした。血液サンプルはPCR法で解析し、病原体を同定するための血清学的検査を実施した。現地で捕獲された蚊もPCRで検査し、チクングニアウイルスの系統発生解析を行った。病態はほぼ全例がごく軽度ヒトおよび蚊のサンプルの解析から、チクングニアウイルスの集団感染が判明した。2007年7月4日~9月27日までに205例を確認した。感染源は村のひとつに在住する親戚を訪問中に症状の発現をみたインド人男性と推定された。系統発生解析では、イタリアでみつかったウイルス株とインド洋の島々での集団発生時に同定された株が類似することが示された。病態はほぼ全例がごく軽度で、死亡例は1例のみであった。研究グループは、「今回の非熱帯地域におけるチクングニアウイルスの集団感染は予測不能な面がある」としたうえで、「グローバリゼーションの時代においては、未経験の感染症の脅威に対する備えと対応策が重要」と警告している。(菅野 守:医学ライター)

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C型肝炎肝硬変の血小板減少症に対するeltrombopagの寄与を確認

血小板新生を促進する新しい経口活性型トロンボポエチン受容体作用薬であるeltrombopagは、がん化学療法やC型肝炎ウイルスに関連した血小板減少症の治療薬として期待され、臨床試験が進められている。本論はデューク大学(イギリス)のJohn G. McHutchison氏ら研究グループによるもので、同剤の、HCV関連肝硬変に伴う血小板減少症患者の抗ウイルス治療に対する寄与を評価したもの。NEJM誌2007年11月29日号より。eltrombopag投与群は用量依存的に血小板が増加血小板数が20,000以上70,000未満(単位:立方ミリメートル;/mm3)のHCV関連肝硬変患者74例を、eltrombopag(1日30、50または75mg)投与群とプラセボ群にランダムに割り付け4週間にわたって連日投与された。主要評価項目は、4週目の血小板数が100,000/mm3以上であることとした。試験ではさらにその後12週間、eltrombopagあるいはプラセボを継続投与しながら、ペグインターフェロンとリバビリンによる抗ウイルス治療を開始した。4週目にデータが有効だった例では、血小板数は用量依存的に100,000/mm3以上に増加した。内訳は、プラセボ投与群が18例中0例、30mg投与群12例中9例(75%)、50mg投与群19例中15例(79%)、75mg投与群21例中20例(95%)だった(P

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ロタウイルス性胃腸炎のワクチン予防効果は87%

毎年、世界で約61万1,000人の子どもがロタウイルスが原因で死亡していると推定されるが、その多くは低所得国である。EUでは5歳未満の子どものロタウイルスによる死亡は200人以上、入院は8万7,000回以上、医療機関の受診は約70万回と推定されている。 T. Vesikari氏(フィンランド、タンペレ大学ワクチン研究センター)らは、EUにおける生後2年までの乳幼児のロタウイルスによる胃腸炎に対するロタウイルスワクチン(RIX4414)の有効性を評価した。11月24日付Lancet誌掲載の報告。ワクチンは2回経口投与、フォローアップは2シーズン6ヵ国から3,994人が登録され、ワクチン群(2,646人)あるいはプラセボ群(1,348人)に無作為に割り付けられた。ワクチン群には定期接種の乳幼児用ワクチンとの併用でRIX4414を2回経口投与し、胃腸炎のフォローアップはウイルス流行の2シーズンにわたって行った。胃腸炎の症状がみられた患児の便を採取し、ELISA法でロタウイルスの検査を行い、RT-PCR法で株型を判別した。胃腸炎の重症度の判定には20ポイントVesikariスケールを用い、症状スコアが11ポイント以上を重症と判定した。予防効果の有効性を確認初回効果フォローアップ期間(平均5.7ヵ月)において、プラセボ群では評価可能な1,302人中94人にロタウイルス性胃腸炎がみられたのに対し、ワクチン群では2,572人中24人であり、ワクチンによるロタウイルス性胃腸炎の予防効果は87.1%であった(p<0.0001)。複合効果フォローアップ期間(平均17ヵ月)における重症ロタウイルス性胃腸炎の予防効果は90.4%(p<0.0001)であり、ロタウイルス性胃腸炎による入院の予防効果は96.0%(p<0.0001)、ロタウイルス関連の医療機関受診の予防効果は83.8%(p<0.0001)であった。有害事象はワクチン群の11%、プラセボ群の13%にみられた。1人がワクチン投与後8日目に腸重積を発症したが、手術により軽快した。Vesikari氏は、「RIX4414の2回投与は、5つの株型(G1、G2、G3、G4、G9)のロタウイルスによるあらゆる重症度のロタウイルス性胃腸炎および重症ロタウイルス性胃腸炎に対し、有意な予防効果を示した」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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ワクチン接種は疾患発現減少に功を奏したか?

アメリカにおける全国的なワクチン接種プログラムの勧告は、対象疾患発現の減少、排除または根絶を目標に行われている。その目標は果たされているのか。CDC(疾病予防管理センター)のSandra W. Roush氏らワクチン予防接種専門調査委員会(Vaccine-Preventable Disease Table Working Group)は、2005年までに行われてきた13疾患対象の予防的なワクチン接種について、勧告・実行前後の罹患率および死亡率の比較を行った。JAMA誌11月14日号掲載の報告から。ワクチン対象13疾患の死亡率、罹患率を過去と現在で比較検証された13ワクチン対象疾患は、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、はしか、耳下腺炎、風疹(先天性風疹症候群を含む)、侵襲性のインフルエンザ桿菌b型(Hib)、急性B型肝炎、A型肝炎、水痘、肺炎球菌性肺炎と天然痘。ワクチン勧告前の基線データは、主要なデータソースからの代表的・歴史的に有名なデータとし、それらと直近の罹患率(2006年)、死亡率(2004年)とを比較した。主要評価項目は、疾患発現の症例数、死亡数と疾患による入院数。症例数は最低を記録するに至っているジフテリア、耳下腺炎、百日咳、破傷風は、1980年以前の状況よりも、ワクチン接種の勧告・実行によって、症例数は92%以上減少、死亡数は99%以上減少していた。地域流行性のポリオウイルス、はしか、風疹の伝染は、米国内では排除された。天然痘は、世界的に根絶に至っている。A型肝炎、急性B型肝炎、インフルエンザ桿菌b型、水痘を含む1980年以降にターゲットとされてきた大半のワクチン接種対象疾患については、症例数、死因数とも80%以上減少していた。侵襲性の肺炎球菌性肺炎は症例数は34%、死因数は25%減少していた。委員会は、「大部分のワクチン接種で予防可能とされる疾患の症例数は、最低を記録するに至っている。入院および死亡についても、減少は著しい」と述べ、ワクチンはバイオメディカルおよび公衆衛生の最も偉大な業績の1つであり、今後もワクチン開発・資金調達・調査・評価・配布に努力していくべきと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減

混合型経口避妊薬は、国際がん研究機関(IARC)により子宮頸癌の原因とされている。この関連性の公衆衛生学的な意義は、子宮頸癌は加齢とともに増加することから、経口避妊薬使用中止後における作用の持続性の影響を強く受ける。 「子宮頸癌の疫学に関する国際共同研究」の研究グループは、世界各国で実施された試験のデータをプールし、子宮頸癌と経口避妊薬の使用パターンの関連について検討した。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。24試験の子宮頸癌、非子宮頸癌女性の経口避妊薬の使用状況を解析解析の対象となった24試験には26ヵ国が参加しており、その約半数は開発途上国であった。子宮頸癌16,573例[浸潤癌11,170例、子宮頸部上皮内腫瘍grade 3(CIN3)5,403例]および非子宮頸癌女性35,509名(対照)のデータを集積して再解析した。子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。一方、使用中止後はリスクが低下し、10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻った。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。長期使用により、累積発症率は開発途上国、先進国ともに上昇研究グループは、「子宮頸癌の相対リスクは経口避妊薬の使用により増加するが、中止後は低下する」と結論している。さらに、「20歳代の10年間、経口避妊薬を使用すると、50歳までの浸潤性子宮頸癌の累積発症率が開発途上国では1,000人当たり7.3人から8.3人へ、先進国では3.8人から4.5人へ上昇する」と解析している。(菅野 守:医学ライター)

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ザンビアでのエイズ罹患小児への抗レトロウイルス療法

ザンビア保健省はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した小児への抗レトロウイルス療法(ART)を首都ルサカにある初期医療施設で提供しているが、同国では周産期予防の規模拡充にもかかわらず小児の多くが感染している状況にある。治療を受けた小児の臨床および免疫学的予後に関する調査報告がJAMA誌2007年10月24日号に掲載された。3剤併用ART療法を受けた小児の転帰データを分析ザンビア感染症研究センターのCarolyn Bolton-Mooreらによる本調査は、ルサカにある18の国立の初期医療施設でARTを受けた小児の転帰データを使ったオープンコホート研究。対象は2004年5月1日から2007年6月29日の間にHIV治療を受けた15歳以下の小児で、治療は主に看護師と、米国の医師助手に類似した医師補によって行われていた。3剤併用ART療法(zidovudineあるいはstavudine+ラミブジン+nevirapineあるいはefavirenz)を受けたのは、国内の治療判定基準を満たした小児。主要評価項目は生存、体重増加、CD4細胞数とヘモグロビン値とされた。登録された4,975例中、2,938例(59.1%)でARTが開始された。ART開始の対象年齢中央値は81ヵ月(四分位範囲36-125)、1,531例(52.1%)が女子であり、WHO定義に基づく病期は2,087例(72.4%)がIII期またはIV期だった。予後、CD4値とも有意に改善2,398例中198例(8.3%)が死亡、これはフォローアップした3,018人年死亡率で換算すると6.6/100人年(95%信頼区間5.7-7.5)に当たることが明らかとなった。また死亡例のうち112例(56.6%)は治療開始から90日以内で転帰に至っており、早期死亡率は17.4/100人年、90日死亡率は2.9/100人年となる。死亡率は、CD4細胞減少、低体重、低年齢、貧血と関連していた。一方で、1回以上の測定を行った1,561例の、ART開始時の平均CD4細胞パーセンテージは12.9%(95%信頼区間12.5%-13.3%)だったが、6ヵ月後には23.7%(同23.1%-24.3%)まで増え、12ヵ月後は27.0%(同26.3%-27.6%)、18ヵ月後は28.0%(同27.2%-28.8%)、そして24ヵ月後には28.4%(同27.4%-29.4%)に増加していた。これを受け、「看護師や医師補のような臨床家が提供するケアでも、HIV感染児のためのプライマリ・ケアは、南部アフリカという環境下で良好な治療成績を上げることができた」と報告。治療導入初期90日の死亡率が高いことについては、早期介入の必要性を示しているものだと結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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「タミフル」の2007-2008年シーズンの供給計画

中外製薬株式会社(東京都中央区)は、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」(一般名:リン酸オセルタミビル)の2007-2008年シーズンの供給計画を発表した。昨シーズン複数報告された10代患者の転落死との関係は調査中としながらも、3月20日に出された緊急安全性情報等も考慮し、今シーズンは、従来の最大流行規模を想定した1,200万人相当分の供給体制から処方患者数の半減を考慮、600万人相当分の供給体制にする。なお、これを上回る需要に備え、追加供給体制についても検討していくという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp?documentId=doc_10210&lang=ja

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ベル麻痺患者の早期治療で抗ウイルス剤治療は「?」

コルチコステロイドと抗ウイルス剤は特発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)の早期治療に広く使われている。しかしその効果は明確ではない。 ダンディ大学(英国)プライマリケア・スコットランド校のFrank M. Sullivan氏らは、症状発現後72時間以内に集められたベル麻痺患者を対照とする二重盲検プラセボ対照無作為化要因試験を実施した。NEJM誌10月18日号掲載報告から。プレドニゾロン、acyclovir、両剤、プラセボ10日間投与で比較対象患者は、プレドニゾロン(コルチコステロイド)、acyclovir(抗ウイルス剤)、これら両剤またはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた。期間は10日間。主要転帰は顔面機能の回復とし、House-Brackmanスケールで評価された。副次転帰には、クオリティオブライフ(QOL)と、顔の様相、疼痛が含まれた。最終転帰が評価されたのは、551例のうち496例だった。プレドニゾロン投与群は有意に顔面機能を改善3ヵ月時点で顔面機能が回復した患者の比率は、プレドニゾロン投与群vs非投与群で83.0% vs 63.6%(P

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HPV+Pap検査は過剰診断ではない

女性の主要な死因である子宮頸癌の主な原因にヒトパピローマウイルス(HPV)がある。HPV検査に基づく子宮頸癌スクリーニングは、グレード2や3といった高度の頸部上皮内異常増殖の検出感度を高めるが、それは過剰診断なのか、あるいはグレードが高い頸部上皮異常増殖および子宮頸癌の予防に寄与するものなのか、明らかとはなっていない。 ランド大学(スウェーデン)Malmo大学病院のPontus Naucler氏らは、縦断的なコホート研究では、HPV検査と細胞学的検査であるパパニコロー(Pap)検査とを合わせて行うほうがより検出感度が高いと報告されていること、米国ではHPV検査はPap検査の補助的手段と位置付けられているといったことを踏まえ、HPV検査+Pap検査群とPap検査単独群との比較を行った。NEJM誌10月18日号より。HPV+Pap検査とPap検査単独を比較対象は、スウェーデンのスクリーニングプログラム対象である32~38歳の女性12,527例。HPV+Pap検査群とPap検査単独群(対照群)に1:1となるようランダムに割り付けられた。HPV検査でポジティブだがPap検査は正常だった女性は、少なくとも1年以上後に2回目のHPV検査が実施された。そして、同じハイリスク型HPVが持続感染していることが判明した場合は、コルポスコピーと頸部生検が行われた。同等数を対照群からランダムに選び、パパニコラウスミアとコルポスコピーの生検を二重盲検にて行った。追跡調査期間は平均4.1年。登録時とその後のスクリーニング検査で発見された、グレード2または3の頸部上皮内癌の相対的割合が評価された。早期の癌発見に結びつく登録時に、HPV+Pap検査群でグレード2または3の頸部上皮内癌の病変が認められたのは51%で、対照群での割合より高かった。しかしその後のスクリーニング検査時に、グレード2または3の病変または癌を有するとわかったHPV+Pap検査群の女性の比率は42%、グレード3の病変または癌がわかった比率は47%、いずれの値も対照群の割合より低かった。HPV持続感染が認められた女性は、コルポスコピー生検後もグレード2または3の病変または癌のリスクは高いままだった。以上のことからNaucler氏らは、30代半ばの女性へのHPV+Pap検査は、過剰診断ではなく高リスクの病変や癌予防に寄与するものだと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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小児喘息リスクは新生児期の細菌定着で増加する

小児喘息では一般に先行して、繰り返す喘息様症状=喘鳴(recurrent wheeze)がみられる。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らは、重度の繰り返す喘鳴を呈する幼児の気道に病理学的にみられる細菌定着と、喘息の起因との関連を示唆してきた。その関連を明らかにするスタディを実施。NEJM誌10月11日号に結果が報告された。無症候の新生児下咽頭からの吸引液を培養し5歳児までモニタリング検証が行われたのは、無症候の新生児の下咽頭の細菌定着と、5歳時までの喘鳴・喘息・アレルギー発現との関連。喘息の母親から生まれ、コペンハーゲン小児喘息前向き研究(CPSAC:Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood)に登録された小児が対象となった。無症候の新生児(生後1ヵ月の乳児)の下咽頭部位から吸引液を採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌、Moraxella catarrhalisと黄色ブドウ球菌を培養。5歳児まで喘鳴の評価が前向きにモニタリングされ、日記に記録。4歳時に血中好酸球算定と総IgE、特異的IgE測定を行い、5歳時に肺機能の評価および喘息の診断が行われた。肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がリスク増加培養されたサンプル数は321例。乳児の21%が、肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌、あるいは複数の細菌が定着していた。黄色ブドウ球菌の定着はみられなかった。細菌定着(黄色ブドウ球菌を除く1つ以上の)と持続的な喘鳴とのハザード比は2.40、喘鳴の急性かつ重度の増悪とのハザード比は2.99、喘鳴による入院は3.85で、有意に関連していることが明らかとなった。またこれら細菌定着がみられた小児には、4歳時の好酸球数、総IgE値に有意な増加がみられた。特異的IgE値には有意な影響がみられていない。β2作動薬投与後5歳時の、喘息有病率と気道抵抗性の可逆性は、新生児期に細菌の定着がみられた小児 vs みられなかった小児でそれぞれ33% vs 10%、23% vs 18%と、いずれも細菌定着がみられた小児で有意に高いことが判明した。Bisgaard氏らは、「肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がある新生児は、幼児期に繰り返す喘鳴と喘息のリスクが増加する」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

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大衆薬では国内初のヘルペス薬が発売

グラクソ・スミスクライン社(東京都渋谷区)と大正製薬(東京都豊島区)は大衆薬では国内初となるヘルペス薬を10月9日に発売する。発売されるのは抗ヘルペスウイルス外用剤「アシクロビル軟膏」のスイッチOTC薬で、対象は口唇ヘルペスの再発で、過去に医師の診断や治療を受けたことがある人に限定している。グラクソ・スミスクライン社は「アクチビア軟膏」、大正は「ヘルペシア軟膏」の製品名で販売する。

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民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風-ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。格差の原因は資金調達システムにその結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。(武藤まき:医療ライター)

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特定のプロバイオティクスが小児の急性下痢の期間と排便回数を改善

急性下痢は、グルコース電解質を含む水分補給用飲料の経口投与により失われた水分を補うことで管理されるが、この方法では下痢の重症度や持続期間は改善されない。プロバイオティクス(ヒトの健康に良好な作用を及ぼす細菌)はヨーロッパの多くの国で小児の急性下痢の補助的治療法として用いられており、いくつかの製品は重症度や持続期間の改善効果が認められている。 イタリア・ナポリ大学Federico II小児科のRoberto Berni Canani氏らは、5つのプロバイオティクス製品の急性下痢の改善効果を比較する無作為化対照比較試験を実施した。BMJ誌8月9日付オンライン版、8 月18日付本誌に掲載された報告から。患児の親が特定製品の購入説明文書に無作為に割り付けられた対象は、急性下痢で6つの家庭小児科を受診した生後3~36ヵ月の小児とした。患児の親が、以下の特定のプロバイオティクス製品の購入に関する説明文書を受け取る群に無作為に割り付けられた。水分補給用飲料(対照群)、Lactobacillus rhamnosus strain GG、Saccharomyces boulardii、Bacillus clausii、L delbrueckii var bulgaricus/Streptococcus thermophilus/ L acidophilus/ Bifidobacterium bifidumの混合製品、Enterococcus faecium F68。5つの介入群のうち2つのプロバイオティクスで有効性を確認1999年10月~2000年9月の1年間に571例の患児が登録され、対照群と5つの介入群に割り付けられた。下痢の持続期間(中央値)は、対照群(115.0時間)に比べL. rhamnosus strain GG群(78.5時間)および4種の混合群(70.0時間)で有意に短縮していた(p<0.001)。初回プロバイオティクス投与後1日目の排便回数は、L. rhamnosus strain GG群および4種の混合群が他の群に比べ有意に少なかった(p<0.001)。残りの3つの介入群は下痢の持続期間および排便回数に影響を及ぼさなかった。また、嘔吐および発熱の持続期間、入院率についてはいずれの介入群も対照群と同等であった。Canani 氏は、「市販のプロバイオティクス製品の中には小児の急性下痢に有効なものがあるが、すべての製品が効果的なわけではない」とし、「プロバイオティクスは薬剤とみなすべきであり、医師は個々の臨床的病態における各製品の有効性に関するエビデンスに基づいて選択すべきである」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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新たなアジュバントによる抗原節減法が鳥インフルエンザワクチンの免疫原性を増強

次なるヒトインフルエンザの汎流行(爆発的大流行、パンデミック)の原因となる可能性が高いウイルスとしてH5N1型鳥インフルエンザが考えられているが、その対策としてのインフルエンザワクチンの生産能には世界的に限界がある。抗原節減法は1接種に要する抗原量を少なくできるため、パンデミックワクチンの開発において重要なアプローチと考えられており、アジュバント(免疫増強法)は抗原節減の重要な戦略である。 ベルギー・ヘント大学病院ワクチンセンターのIsabel Leroux-Roels氏らは、独自に開発した新たなアジュバント法で調整した遺伝子組み換えH5N1スプリットウイルス粒子ワクチンの安全性および免疫原性を評価し、交差反応性免疫の誘導能について検証を行った。8月18日付Lancet誌掲載の報告から。4種類の抗体量とアジュバントの有無で8群に分け、2回ずつ接種試験には、不活化されたスプリットA/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14[逆遺伝学(reverse genetics)の手法で作製された遺伝子組み換えH5N1]ワクチンが用いられた。2006年3月27日~6月15日の間に18~60歳の健常ボランティア400人が登録された。これらの対象は、4種類の抗体量(ヘマグルチニンH5抗体3.8、7.5、15、30μg)とアジュバントの有無によって分けられた8つのワクチン群に無作為に割り付けられ、それぞれ2回ずつワクチン接種が行われた(1回目の21日後に2回目を接種)。液性免疫応答の解析のために血液サンプルを採取し、有害事象は51日目(2回目の接種後30日)まで記録した。安全性が高く、少ない抗原量で十分な免疫応答が得られた8つの群すべてにおいて良好な安全性プロフィールが示され、重篤な有害事象は認めなかった。アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンに比べ接種部位の症状および一般症状の頻度が高かったが、ほとんどが軽度~中等度であり、本質的に一過性であった。全抗原量において、アジュバントワクチンは非アジュバントワクチンよりも免疫原性が優れた。抗原量が最も少ない群(3.8μg)においても、アジュバントワクチンの遺伝子組み換え同種ワクチン株(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14、clade 1)に対する免疫応答は、アメリカおよびEUの基準を十分に満たした。また、3.8μgアジュバントワクチン接種者の77%において、H5N1の分離株(A/Indonesia/5/2005、 clade 2)に対する中和抗体が陽性化した。Leroux-Roels氏は、「独自の新アジュバントは抗原の節減法としてきわめて有用であり、パンデミックインフルエンザワクチンの生産能を高めると考えられる」と結論、「cross-clade中和抗体反応からは、パンデミック前の予防接種に本ワクチンが使用可能なことが示唆される」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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