子宮頸がん検出の最善のスクリーニングは?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/03/23

 



子宮頸がん検出を目的としたスクリーニングテストについて、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査は細胞診よりも有益なのか、オランダ・Erasmus MC大学メディカルセンターのInge M C M de Kok氏らによるシミュレーション研究が行われた。費用対効果に着目して、女性の生涯での適切なスクリーニング回数についても検証された。病変部検出にHPV検査は細胞診よりも感受性が高いが特異度は低い。HPVスクリーニングについての既存の報告では、費用対効果の結果は千差万別で、de Kokらは、オランダモデルを各種条件が異なる欧州各国と適合させて検討した。BMJ誌2012年3月10日号(オンライン版2012年3月5日号)掲載報告より。

プライマリHPVスクリーニングかプライマリ細胞診かをシナリオ戦略に基づき検証




研究グループは、欧州で1932~1992年に生まれたHPVワクチン非接種の女性を対象とし、オランダモデルに基づく費用対効果の解析を行った。ベース症例解析では、ミクロシミュレーションモデルで1,500通り以上のスクリーニング政策の費用対効果を調べた。その後、スクリーニング政策を異なる5つの想定シナリオ(子宮頸がんリスク、既往スクリーニング、検査特性関連の質、検査費用、HPV有病率について起こり得る可能性が異なるシナリオ)で比較した。

主要評価項目は、HPV検査の感度とコストについての増分費用効果比(寿命獲得に要する費用)に関する最善のスクリーニング戦略とした。
プライマリHPVスクリーニングが好ましいが、組織的に実施することが重要




結果、想定シナリオのほとんどで、HPVスクリーニングは30歳以上ではプライマリ検査として好ましいとする結果だった。

細胞診が好ましいとされたのは、低コストが好ましいとするシナリオの場合と、HPVの有病率が高く費用が高いHPV検査と合わせて行うとするシナリオの場合であった。

Kok氏は、「欧州の国の多くは、子宮頸がんに対してプライマリ細胞診からプライマリHPVスクリーニングに考え方の切り替えるべきである」と結論。シミュレーションの結果から、重要なことはプライマリHPVスクリーニングを組織的に実施することで、それが低コストに結びつくとし、「HPVスクリーニングは、スクリーニングがよりよくコントロールされている状況で実施されなければならない」と結論している。