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COVID-19と関連?流行期に川崎病類似疾患の集団発生/Lancet

 イタリア・ロンバルディア州・ベルガモ県は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行の影響を広範囲に受けており、小児では川崎病類似疾患の集団発生が確認されている。同国パパ・ジョバンニ23世病院のLucio Verdoni氏らは、COVID-19流行期に診断を受けた川崎病類似疾患患者の発生状況と臨床的特徴を調査した。その結果、過去5年間と比較して、COVID-19流行期の2ヵ月間で月間発生率が30倍以上に増えており、患児は比較的年齢が高く、心臓の障害が多く、マクロファージ活性化症候群(MAS)の特徴を呈する患者が多く、重症川崎病の発生率が高いことが示された。川崎病は、急性の中型血管炎で、ほぼ小児のみが罹患する。急性期の患児は血行動態が不安定となる可能性があり、これは重症の病型である川崎病ショック症候群(Kawasaki disease shock syndrome:KDSS)として知られる。また、MASの判定基準を満たす場合があり、2次性の血球貪食性リンパ組織球症に類似の症状を呈する。原因は不明だが、感染性の病原体が、本症を引き起こすカスケードの引き金となることが示唆されている。Lancet誌オンライン版2020年5月13日号掲載の報告。流行の前後で発生状況を比較 研究グループは、COVID-19流行期の川崎病類似疾患の発生状況を評価する目的で後ろ向きコホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 過去5年間に、ベルガモ市のパパ・ジョバンニ23世病院の一般小児科で川崎病類似疾患と診断された患児を、COVID-19流行の開始前(I群)と後(II群)に分けて解析した。 川崎病類似症状を呈した患児は、米国心臓協会(AHA)の適応症に準じて川崎病として管理された。KDSSは、収縮期動脈低血圧、基礎収縮期血圧の20%以上の低下、または末梢循環不全の徴候を伴う川崎病と定義された。MASの診断は、小児リウマチ国際試験機関(PRINTO)の判定基準に準拠した。 鼻咽頭および口咽頭ぬぐい液を用いた定量的な逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)と、SARS-CoV-2のIgMとIgGを検出する血清学的定性検査により、現在と過去の感染の有無を調べた。 II群の患児は、全例が免疫グロブリン療法(2g/kg)を受け、RAISE試験(Kobayashiスコア)のリスク層別化に基づく治療を受けた。PCR陽性は2例のみ、IgG陽性8例、IgM陽性3例 2015年1月1日~2020年2月17日の期間に、川崎病類似疾患と診断されたI群の患者は19例(男児7例、女児12例、平均年齢3.0[SD 2.5]歳)であった。発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~11日)で、定型が13例(68%)、不全型川崎病が6例(31%)であった。低血圧や低灌流の徴候などはみられず、MASと診断された患児もいなかった。全例が、冠動脈瘤の残存もなく完全に回復した。 一方、2020年2月18日~4月20日の期間に診断されたII群の患児は10例(男児7例、女児3例、平均年齢7.5[SD 3.5]歳)であった。このうちPCR検査陽性は2例で、8例がIgG陽性、3例はIgMも陽性だった(血清学的検査が陰性の2例のうち1例は、大量免疫グロブリン療法後に検査を受けた)。 II群の10例の発熱から入院までの平均期間は6日(範囲4~8日)であった。5例(50%)は定型、残りの5例(50%)は不全型の川崎病であった。胸部X線検査は全例で行われ、5例(50%)で肺炎が認められた。このうち胸部CT検査を受けた2例では、両肺底部の肥厚が確認された。 II群の5例(50%)には、低血圧と低灌流の臨床徴候が認められ、KDSSの判定基準を満たした。また、5例(50%)がMASと診断された。II群の患者は全例が退院し、アスピリン治療を継続している。他の流行国でも、同様の集団発生が予測される I群に比べII群では、川崎病の月間発生率が30倍以上高かった(I群0.3例/月vs.II群10例/月、p<0.0001)。また、II群は、発症時の平均年齢が高く(3.0[SD 2.5]歳vs.7.5[3.5]歳、p=0.0003)、平均BMIも高値を示した(15.93[SD 1.72])vs.19.11[3.21]、p=0.0016)。II群の10例中5例(50%)に、COVID-19確定例との接触が認められた。 I群に比べII群は、白血球数(19.4[SD 6.4]×109/L vs.10.8[6.1]×109/L、p=0.0017)、リンパ球数(3.0[SD 1.8]×109/L vs.0.86[0.4]×109/L、p=0.0012)および血小板数(457[SD 96]×109/L vs.130[32]×109/L、p<0.00001)の値が低かった。 また、II群は、心エコー図の異常(2/19例[10%]6/10例[60%]、p=0.0089)の割合が高く、KDSS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)およびMAS(0/19例[0%]vs.5/10例[50%]、p=0.021)の頻度が高かった。 Kobayashiスコア≧5点の患児(2/19例[10%]vs.7/10例[70%]、p=0.0021)の割合はII群で高く、ステロイドによる補助治療の必要性(3/19例[16%]vs.8/10例[80%]、p=0.0045)も、II群の患児で高かった。 著者は、「SARS-CoV-2流行国では、同様の川崎病または類似症候群の集団発生が予測される」としている。

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コロナ患者への薬の配達費補助 宅配便なら全額でスタッフ持参だと300円の違和感【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第47回

緊急事態宣言が一部地域で解除され、新型コロナウイルス感染症の国内での流行は収束に向かいつつありますが、今もなお医療現場は大変な状況です。特例的ではあってもオンライン診療・服薬指導が進むことはありがたいのですが、緊急事態宣言前の3月あたりから患者さんの来局が減って処方箋単価も下がっている実感がある中で、この状況が続くと薬剤の配送費や手間がばかにならない…と思っている薬局経営者の方も少なくないのではないでしょうか。そんな薬局経営者の声が届いたのでしょうか。4月30日に国会で成立した新型コロナウイルス感染症に関する緊急経済対策の補正予算の中に、「薬局における薬剤交付支援事業」という項目があり、新型コロナウイルス感染症患者やオンライン服薬指導を受けた患者への薬剤配送料や薬局スタッフが薬剤を届けた場合の交通費および人件費が補助されるようになりました。予算成立と同日に、厚生労働省より「電話や情報通信機器を用いた服薬指導等の実施に伴う薬局における 薬剤交付支援事業について」という事務連絡が発出され、5月8日には日本薬剤師会から「薬局における薬剤交付支援事業の実施に当たっての留意点」が発出されました。厚生労働省からの事務連絡の内容は以下のとおりです。支援事業の実施団体は都道府県薬剤師会である。支援の対象は、4月30日以降に行った処方薬の配送料、配送に係る費用。薬局スタッフが直接届けることを基本とし、それが困難な場合に配送業者の利用を検討する。支援の申請時には、患者に配送料を請求していない分も含めてオンライン服薬指導を実施した内容を報告する。日本薬剤師会からの文書には、より具体的に薬局が行う対応が記されています。対象処方箋は、「CoV宿泊」「CoV自宅」のグループと「0410対応」の2種類に分けられる。処方箋の備考欄に「CoV宿泊」または「CoV自宅」と記載されている場合:薬局スタッフが宿泊施設や患者宅に届けた場合は、距離を問わず1件につき300円を薬剤師会に請求することができる。1施設で複数人分を届けた場合も1件のカウントとする。配送業者によって配送を行った場合は、配送料全額を請求できる。いずれの場合も患者負担はない。処方箋の備考欄に「0410対応」と記載されている場合:患者負担として200円を患者から徴収する。薬局スタッフが患者宅に届けた場合は100円を薬剤師会に請求でき、配送業者による配送を行った場合は患者負担の200円を差し引いた全額を請求できる。請求の手続きは、各都道府県の薬剤師会に従って、翌月15日までにデータを送信する。処方箋の写しや配送料の金額がわかる伝票などの資料は薬局に保存する。処方箋に「0410対応」と記載されていても、患者が来局して受け取った場合には請求できない。予算の上限に達した場合は、その時点で終了する。この対応で私が気になった点は、処方箋の備考欄に「CoV宿泊」または「CoV自宅」とあり、薬局スタッフがその施設や自宅まで薬を届けた場合は、距離に関係なく300円しか請求できない、という点です。もし、患者さんがコロナ陽性となりホテルで療養されている場合はかかりつけの薬剤師がオンライン服薬指導を行い、自ら足を運んで届けることも考えられますが、その場合でも一律300円です。配送業者に頼んだ場合は費用の全額を請求できるのに…と少し違和感を覚えますが、これらの対応によって、患者さんの負担が明確になり、薬局の運営でも助かる部分があると思います。なお、東京都薬剤師会からの通知には、予算利用上限金額は1薬局5,000円程度と記載されており、このほかにも地域の取り決めがある可能性がありますので、ぜひ各都道府県薬剤師会のホームページなどで詳細をご確認ください。オンライン服薬指導では薬をお届けする方法など確認することが多くて煩雑ですが、患者さんも慣れない状況や方法で大変だと思います。感染拡大を防止するためにオンライン診療を使用した意識の高さを褒めてみてはどうでしょうか。実際、私は電話で診察してもらった医師に「今後どうなるかわからないので、いつもより多く薬を出してほしい」と伝えたところ、危機管理の意識が高いと褒められてちょっとうれしくなりました。初診も可能となったオンライン診療の特例はもうしばらく続くと思いますので、患者さんのモチベーションを上げながら一緒にこのコロナ禍を乗り切りましょう。

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COVID-19関連の超過死亡算出するオンラインツール開発/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の医学的、社会的、経済的な影響は、総人口死亡率に未知の作用を及ぼしているといわれる。これまでの死亡率モデルは、高リスクの基礎疾患や、それらのより長期のベースライン(COVID-19流行以前)の死亡率は考慮されていないが、英国・University College LondonのAmitava Banerjee氏らは、さまざまな感染抑制レベルに基づくCOVID-19発生のシナリオと、基礎疾患の相対リスクに基づく死亡率の影響を考慮して、COVID-19の世界的流行から1年間の超過死亡者数を、年齢、性、基礎疾患別に推定するモデルを確立するとともに、これを算出するオンラインツールを開発し、プロトタイプを公開した(オンラインリスク計算機のプロトタイプ)。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月12日号に掲載された。電子健康記録データを用いて超過死亡を推定するコホート研究 研究グループは、英国のプライマリケアおよびセカンダリケアの電子健康記録(Health Data Research UKのCALIBER)にリンクされたデータを用いて人口ベースのコホート研究を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]University College London病院バイオメディカル研究センターなどの助成による)。  1997~2017年の期間に、医療機関に登録された30歳以上の個人を対象に、Public Health Englandのガイドラインで定義された基礎疾患の有病率(2020年3月16日以降)を調査した。  COVID-19の世界的流行の相対的影響を、COVID-19流行前のバックグラウンド死亡率と比較した相対リスク(RR)とし、RRを1.5、2.0、3.0と仮定した場合に、完全抑制(0.001%)、部分抑制(1%)、軽減(10%)、何も対策をしない(80%)などの異なる感染率のシナリオで、COVID-19関連の超過死亡の簡略なモデルと計算ツールを開発し、各疾患の1年間の死亡率を推定した。 また、超過死亡を推算するためのオンライン公開用のプロトタイプのリスク計算機を開発した。超過死亡に直接・間接に及ぼす全体の影響の評価が必要 386万2,012人(女性195万7,935人[50.7%]、男性190万4,077人[49.3%])を対象とした。対象の20%以上が高リスクであり、そのうち13.7%が70歳以上の高齢者で、6.3%は1つ以上の基礎疾患を有する70歳以下の高齢者と推定された。 高リスク集団の1年死亡率は4.46%(95%信頼区間[CI]:4.41~4.51)と推定された。年齢と基礎疾患が複合的にバックグラウンドリスクに影響を及ぼし、疾患によって死亡率に顕著なばらつきが認められた。 英国の集団における完全抑制のシナリオでは、超過死亡者数(COVID-19流行前のベースラインの死亡との比較)は、RRが1.5の場合は2人、RRが2.0で4人、RRが3.0では7人と推定された。 また、軽減シナリオでは、RRが1.5の超過死亡者数は1万8,374人、2.0で3万6,749人、3.0では7万3,498人と推定された。何も対策をしないシナリオの超過死亡者数は、RRが1.5の場合は14万6,996人、2.0で29万3,991人、3.0では58万7,982人であった。 著者は、「これらの結果は、持続的で厳格な抑制対策とともに、基礎疾患があるため最もリスクが高い集団を対象に、さまざまな予防介入による継続的な取り組みを行う必要性を示唆する。各国は、COVID-19の世界的流行が超過死亡に直接・間接に及ぼす全体的な影響を評価する必要がある」と指摘している。

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第8回 初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ

<先週の動き>1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれる1.初診のオンライン診療、継続的実施の検討へ19日に開催された国家戦略特区諮問会議において、新型コロナウイルスの影響により、全国で時限的・特例的措置として可能になっている「初診患者のオンライン診療」について議論された。そこでは、安倍 晋三首相より、コロナ収束後も初診のオンライン診療が引き続き活用できるよう、継続的実施に向けて規制や制度の改革を進める方針を表明した。厚生労働省によると、5月14日現在、オンライン診療などを実施しているのは全国で約1万4,500施設、うち初診からの実施は約6,000施設。今後、利点や課題を洗い出した上で、全国的に認めるのかどうかも含めて検討され、年内に取りまとめを急ぐ。(参考)第44回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料2.病院の医業収入は前年比10.5%減、コロナ受け入れ病院では12.7%減も21日、自民党の岸田 文雄政調会長が「令和2年度第2次補正予算の編成に向けて」の提言を安倍首相に提出した。新型コロナの影響で、受診控えなどにより収入が大きく減少し、経営危機に直面している医療機関や薬局が経営破綻しないように求めている。最近、医療機関における経営状態の悪化についてたびたび報道されているが、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の病院経営状況緊急調査(速報)によれば、前年の2019年4月と今年4月を比較した医業収入は、回答した病院で10.5%減少しており、コロナ患者入院受入病院では12.7%減となっている。日本医師会は、半年間で7兆5,000億円の予算措置などにより、医療機関や薬局などの経営支援を行うことを求めている。取り急ぎ、厚労省は5月分の診療報酬支払いについて、本来より1ヵ月繰り上げた6月に概算で給付する案を検討しており、医療従事者に支払うボーナスなどの原資を確保できるように動く見込み。(参考)第2次補正予算に向けた提言概要(自由民主党政務調査会)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(速報)(日本病院会)3.コロナの影響で先延ばしされた新たな社会保障制度改革22日に開催された第7回全世代型社会保障検討会議において、安倍首相が今夏に取りまとめる予定だった最終報告を半年ほど遅らせることを表明した。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、社会保障の新たな課題を取り上げたことなどによる影響。ウイルス感染リスクがある中、医療・介護に従事する労働者が安全に就労できるよう、マスクや消毒液などの衛生用品の確保などの支援や、感染リスクを恐れて受診抑制や介護サービス利用控えなどの動きに対して、オンライン診療や非接触サービスの活用についての言論を求めている。これを受け、75歳以上の患者の窓口負担を1割から2割に引き上げる法案の国会提出が2021年に先送りになるなど、今後の医療改革や健康保険財政などに影響が出る可能性もある。(参考)全世代型社会保障検討会議(第7回)配布資料(首相官邸)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題に関する基礎資料4.新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発が待たれるコロナ治療薬開発の進捗状況について、日々報道がなされているが、民間の医療機関が手にする段階は、現時点ではまだ先になりそうである。7日に承認された、新型コロナウイルス感染症に対する国内初の治療薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)は、重症患者が対象とされ、一般の患者に用いることは難しいと考えられる。今後、中等症患者を対象とした2本目の第III相試験の結果など、5月下旬に初期のデータが公表される見込み。また、政府が早期承認するとしていたファビピラビル(同:アビガン)については、動物実験で催奇形性(外表異常、内臓異常、骨格異常、骨格変異)が認められており、精液への移行もあるなど、内服投与に当たっては細心の管理が必要である。その上、17日に日本医師会の「COVID-19有識者会議」が発表した「新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言」によれば、承認を早める事務手続きの特例処置は理解できるとしているが、科学的根拠の不十分な候補薬を治療薬として承認すべきでないとしており、今後の治験結果の公表や承認申請を待つことになる。ワクチン製造を手掛ける大手製薬企業を中心として、開発治験が進んでいると発表されているが、安全性・有効性の確認中であり、正式な承認申請はまだである。第二波の襲来に備えるために、各国と協調体制を取りながら、迅速な開発、供給態勢の整備が進むことが待たれる。(参考)新型コロナウイルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言(日本医師会COVID-19有識者会議)新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(Answers News)

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禁煙をし続けるために本当に必要なこと(2)【新型タバコの基礎知識】第19回

第19回 禁煙をし続けるために本当に必要なこと(2)Key Points加熱式タバコも含めたすべてのタバコを止め続けることが禁煙ニコチン依存症から脱出するために必要なスキルは「知る」ということタバコ会社はわれわれが生まれる前から嘘をつき続けてきていることをしっかり認識するべき(タバコ会社に幻想を抱いてはいけない)禁煙することの重要性は、新型コロナ問題があろうがなかろうが大きくは変化しません。しかし、現在が禁煙するための一つの機会であることは間違いないでしょう。禁煙することにより、新型コロナウイルスに感染しても重症化や死亡を防げる可能性が高まると考えられます。そのため、欧米でも日本でも禁煙にチャレンジしている人が多くいるようです。そこで、改めて禁煙の定義を明確にしておきたいと思います。「加熱式タバコも含めたすべてのタバコを止め続けることが禁煙」です。少しでも多くの人が禁煙に成功することを願って、今回は禁煙し続けるために必要なことをお伝えしたいと思います。患者さんにぜひ伝えておきたい、「タバコから逃げる方法」とは?ニコチン依存だけでなく、アルコール依存や違法薬物依存等さまざまな依存症から脱出するために必要なスキルは、共通して「知る」「知ってもらう」ということです。自分から知ろうとしてもらうことが、回り道のようで、止め続けるための近道と言えるでしょう。タバコの場合には、「タバコの害」や「タバコを吸わないメリット(禁煙で人を喜ばせることができ、そして自分が幸せになること)」、「喫煙者はタバコ会社に搾取されていること(世界がタバコ会社によって歪められている現実)」、「タバコから逃げる方法(人に勧められたときの断り方など)」について知ってもらわなければなりません。たとえば、「タバコから逃げる方法」としては、吸いたくなる環境に行かないようにすることや、吸いたくなった場合の気の紛らわし方など具体的な手段をリストアップしておくと良いでしょう。より多くの知識を得てもらうことで、喫煙再開の危機から逃れることができるようになります。タバコを止め続けるためには、具体的に逃げるための手段等を知り、忘れないように繰り返し思い出し、知識として定着させる必要があります。医師など医療者も、患者に禁煙指導するためには、これらの知識を習得しておかなければならないでしょう。意外に知られていない、タバコ会社の2つの嘘タバコのことなんて十分に知っているよ、という声が聞こえてきそうですが、きっと意外と知らないことに驚くだろうと思います。私がいつも経験している展開です。タバコ会社はわれわれが生まれる前から嘘をつき続けてきました。社会はわれわれが生まれる前から大きく歪められているので、異常な状況が当たり前に感じられて、異常に気付かないようになってしまっています。日本ではタバコが原因で毎日300人以上が死亡していますが*1、メディアは新型コロナウイルス感染による死亡者数を伝えるとしても、タバコで死亡した人数は報道しません。これも、今に始まったことではなく、われわれが生まれる前からずっとそうなのです。当たり前を疑わなければ、現在の異常な状況は見えてきません。*1:健康日本21等でも引用された下記の論文では、日本の1年間の死亡者数83万4,000 件のうち、喫煙は12万9,000件、高血圧は10万4,000件の原因だったと示されています。年間約13万人は1日当たりにすると300人以上となります。Ikeda N,et al.PLoS Med.2012Jan;91:e1001160.加熱式タバコを販売しているのはすべてタバコ会社です。1950年代にタバコの有害性が実証されて以降、タバコ会社はずっと人々に嘘をつき続けてだまし続けてきたということが、タバコ会社の内部資料や内部告発などの多くの証拠により、明らかにされています。タバコ会社がまっとうな形で情報提供する会社に変わるなどと、幻想を抱いてはいけません(その期待はいつも、何度も裏切られてきた歴史を知るべきです)。その代表的な嘘について紹介します。タバコを吸う人の多くは、程度の差はあれニコチン依存症の状態になっています。しかし、タバコ産業はその事実を知りながら、「依存はない」とずっと嘘をついてきたことがタバコ会社の内部文書から明らかになっているのです(映画「インサイダー」ではタバコ会社による意図的な悪事が詳細に描写されています)。タバコ産業は添加物を加えてより依存症になりやすいタバコを開発するなどしていたにもかかわらず、「タバコに依存性はない」と繰り返し、主張してきたのです。タバコ会社は人々が誤解した状況(この場合にはタバコには依存はないと信じる人もいて、タバコに手を出しやすくなること)を少しでも長く維持することを意図して嘘をつき続けてきた歴史があります。現在は、タバコ会社もタバコの依存性を認めています。もう一つの嘘を紹介します。実はいまだに、JTは受動喫煙に害があることを認めていません。JTは「受動喫煙に害があるかどうかは科学的に証明されていない」など、世界的に研究者や専門家が導いた結論とは明らかに違うことを訴えています。都合のいい情報に群がる人がいると分かって、意図的に情報を操作してタバコを吸う人を囲い込んでいるのです。JTは受動喫煙について次のようにコメントしています1)。“受動喫煙については、周囲の方々、特にタバコを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあります。また、気密性が高く換気が不十分な場所では、環境中たばこ煙は、眼、鼻および喉への刺激や不快感などを生じさせることがあります。このため、私たちは、周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、タバコを吸われる方々にお願いしています。”“受動喫煙(環境中たばこ煙)は非喫煙者の疾病の原因であるという主張については、説得力のある形では示されていません。受動喫煙への曝露と非喫煙者の疾病発生率の上昇との統計的関連性は立証されていないものと私たちは考えています。”こういったコメントに対して、国立がん研究センターは反論をホームページ上に掲載しました2)。“受動喫煙は「迷惑」や「気配り、思いやり」の問題ではなく、「健康被害」「他者危害」の問題である。受動喫煙には健康被害・他者危害があるという科学的事実に基づいて、公共の場および職場での喫煙を法律で規制するなど、たばこ規制枠組み条約で推奨されている受動喫煙防止策を実施することが必要である。”このような指摘を受けてもなお、今もかわらずJTは受動喫煙の害を認めていません。もし認めると、その情報を知った喫煙者が他人に配慮してタバコを吸いづらくなって、タバコをやめてしまう人が増えると考えているからこそ、意図的に受動喫煙の害を認めていないのでしょう。空気を読む国民性の日本だからこその判断かもしれません。世界の他のタバコ会社(たとえばフィリップモリス社など)は、受動喫煙の害を認めています。日本ではタバコ会社がなりふり構わず、タバコを吸い続けてもらうように誘導しているのです。政府や一般市民をだますために、タバコ会社は嘘をつくことをこれまでずっと繰り返してきました。「タバコの新製品は、今までのタバコ製品と違ってクリーンで害が少ない」というのはタバコ会社がやってきた基本戦略と言えるでしょう。そして、あとになって振り返ってみると、そのタバコの新製品にはやはり従来のタバコと変わらない害があった、となっているのが現状です。第20回は、「すべての診療科に関わる! タバコ問題を自分事にするために知っておきたいこと(1)」です。1)JTホームページ,喫煙と健康に関するJTの考え方:環境中たばこ煙2)国立がん研究センター,情報提供:受動喫煙と肺がんに関するJTコメントへの見解, 2016年9月28日

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アルナイラム社とVir社、COVID-19 治療薬候補(VIR-2703)を特定

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ゲノムを標的とするRNAi治療薬研究の開発候補として、VIR-2703を選定したと発表した。両社は、近日中にFDAおよび他の規制当局と面会し、2020年末を目処にヒトにおける臨床試験を開始する見込みだとしている。 アルナイラム社は、SARS-CoV-2ゲノムの高度に保存された領域を標的とするRNAiを媒介するsiRNAを350種以上合成し、ウイルス複製を1/1000以下まで低減した有力なsiRNAを複数特定した。なかでも、VIR-2703は、SARS-CoV-2のウイルスモデルを使って感染性ビリオン(感染性を有するウイルス粒子)産生の抑制を測定する用量反応試験で、50%阻害濃度(EC50)が100ピコモル未満、EC95が1ナノモル未満であることを示した。さらに、VIR-2703は、4,300以上のSARS-CoV-2ゲノムのうち、99.9%以上に対して反応し、2003年のSARSアウトブレイクから発生したSARS-CoVゲノムに対しても反応すると予測されている。この結果を受け、両社は、VIR2703を開発候補薬に選定し、臨床試験に進めることとした。

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脊髄性筋萎縮症治療に新しい治療薬登場/ノバルティス ファーマ

 5月13日、中央社会保険医療協議会は、オンラインで総会を開催し、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療用製品としてノバルティス ファーマ株式会社が3月19日に製造販売承認取得したオナセムノゲン アベパルボベク(商品名:ゾルゲンスマ点滴静注)の薬価につき1億6,707万7,222円とすることを了承した。薬価収載は5月20日に行われ、同日に発売された。 ゾルゲンスマは、SMAの根本原因である遺伝子の機能欠損を補う遺伝子補充療法で、1回の点滴静注で治療が完了する。SMAの概要とゾルゲンスマの特性 対象疾患となるSMAとは、脊髄前角細胞の変性・消失によって進行性に筋力低下と筋萎縮を呈する下位運動ニューロン病。常染色体劣性遺伝性の希少疾病であり、発症年齢と最高到達運動機能によってI~IV型の4タイプに分類される。とくにI型(乳児型)SMAは、重症かつ高頻度にみられ、0~6ヵ月で発症し、患児の90%以上が20ヵ月前に死亡または人工呼吸器による永続的な呼吸管理が必要な状態となる。そのほかII、IIIまたはIV型においても、病状の進行により歩行機能の喪失および筋力低下により、社会生活が困難となり、QOLを著しく低下させる。 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は、平成30年度末、全国で858人(うち0~9歳は30人)と報告され、本症は遺伝性疾患による乳幼児の主な死亡原因となっている。 ゾルゲンスマは、SMAの原因遺伝子であるヒト運動神経細胞生存(Survival Motor Neuron: SMN)タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ、野生型のアデノ随伴ウイルス9型(AAV9)を利用した遺伝子治療用ベクター製品。静脈内に投与され、SMAの根本原因であるSMN1遺伝子の機能欠損を補い、運動ニューロンでSMNタンパク質を発現させ、運動ニューロンの変性・消失を防ぎ、神経および筋肉の機能を高め、筋萎縮を防ぐことで、SMA患者の生命予後および運動機能を改善することが期待されている。また、導入したSMN遺伝子は患者のゲノムDNAに組み込まれることなく、細胞の核内にエピソームとして留まり、運動ニューロンのような非分裂細胞に長期間安定して存在するように設計されている。ゾルゲンスマの概要一般名:オナセムノゲン アベパルボベク製品名:ゾルゲンスマ点滴静注効能・効果:脊髄性筋萎縮症(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査により脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む)ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る。用法・用量:通常、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)には、1.1×1014ベクターゲノム(vg)/kgを60分かけて静脈内に単回投与する。本品の再投与はしないこと。薬価:1億6,707万7,222円承認取得日:2020年3月19日薬価収載日:2020年5月20日発売日:2020年5月20日主な患者数:年間の投与対象患者数は15~20人程度

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COVID-19へのヒドロキシクロロキン、気管挿管・死亡リスク抑制せず/NEJM

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、ヒドロキシクロロキンが広く投与されているが、その使用を支持する頑健なエビデンスはなかったという。同国コロンビア大学のJoshua Geleris氏らは、ニューヨーク市の大規模医療センターでCOVID-19入院患者の調査を行い、本薬はこれらの患者において気管挿管や死亡のリスクを抑制しないと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年5月7日号に掲載された。ヒドロキシクロロキンは、マラリアやリウマチ性疾患の治療に広く使用されており、抗炎症作用と抗ウイルス作用を持つことから、COVID-19に有効な可能性が示唆されている。米国では、2020年3月30日、食品医薬品局(FDA)が緊急時使用許可(Emergency Use Authorization)を発出し、臨床試験に登録されていないCOVID-19患者への使用が認可された。ガイドラインでは、肺炎のエビデンスがある入院患者に本薬の投与が推奨されており、世界中の数千例の急性期COVID-19患者に使用されているという。米国の単施設のコホート研究 研究グループは、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキンの使用は、気管挿管および死亡のリスクを抑制するとの仮説を立て、これを検証する目的でコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 対象は、2020年3月7日~4月8日の期間に、ニューヨーク市のマンハッタン区北部に位置する急性期病院であるニューヨーク・プレスビテリアン病院(NYP)-コロンビア大学アービング医療センター(CUIMC)に入院し、鼻咽頭または口咽頭拭い液を検体として用いた検査でSARS-CoV-2陽性の成人患者であった。 救急診療部受診から24時間以内に、気管挿管、死亡、他の施設へ転送となった患者は除外された。フォローアップは4月25日まで継続した。ヒドロキシクロロキンは、1日目に負荷投与量600mgを2回投与後、400mgを1日1回、4日間投与するレジメンが推奨された。 主要エンドポイントは気管挿管および死亡の複合としtime-to-event解析を行った。傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量Coxモデルを使用して、ヒドロキシクロロキンの投与を受けた患者と非投与患者を比較した。有益性、有害性とも排除されない、推奨はすでに削除 1,376例が解析の対象となった。フォローアップ期間中央値22.5日の時点で、346例(25.1%)に主要エンドポイントのイベントが発生した(挿管されずに死亡166例、挿管180例)。データのカットオフ時(4月25日)には、232例が死亡(66例は挿管後)し、1,025例が生存退院しており、119例は入院中(挿管なしは24例のみ)だった。 1,376例中811例(58.9%)にヒドロキシクロロキンが投与され(投与期間中央値5日)、565例(45.7%)には投与されなかった。投与群の45.8%は救急診療部受診後24時間以内に、85.9%は48時間以内に投与が開始された。 傾向スコアでマッチさせていない患者では、ヒドロキシクロロキン投与量は、年齢層や性別、人種/民族、BMI、保険の有無、喫煙状況、他の薬剤の使用状況の違いで異なっていた。また、ベースラインの重症度は、投与群が非投与群に比べて高く、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入気酸素濃度(FIO2)比中央値は投与群が223、非投与群は360であった。 傾向スコアでマッチさせた患者は、投与群が811例、非投与群は274例だった。 未補正の粗解析では、ヒドロキシクロロキン投与群は非投与群に比べ、主要エンドポイントのイベント発生率が高かった(32.3%[262/811例]vs.14.9%[84/565例]、ハザード比[HR]:2.37、95%信頼区間[CI]:1.84~3.02)。 一方、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いた多変量解析では、ヒドロキシクロロキンとイベント発生率に有意な関連は認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.82~1.32)。 著者は、「この観察研究の結果は、デザインと95%CI値を考慮すると、ヒドロキシクロロキン治療の有益性と有害性のいずれをも排除しないが、現時点では、有効性を検証する無作為化臨床試験以外では、その使用を支持しない」としている。なお、NYP-CUIMCでは、すでにガイダンスを改訂し、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキン治療の推奨は削除されたという。

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医師目線と患者目線の確率は違う、新型コロナウイルスからの考察【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第23回

第23回 医師目線と患者目線の確率は違う、新型コロナウイルスからの考察この原稿を書いているのは、2020年5月初旬のゴールデンウィークです。新型コロナウイルス(COVID-19)対策として、緊急事態宣言がなされ、外出の自粛要請・施設の使用制限などの感染予防対策が行われています。これを遵守して、自宅でパソコンに向かって駄文を練っております。このコロナウイルスに感染しているかどうかを調べるPCR検査のあり方について議論が続いています。当初は、感染者との濃厚接触があり、発熱などの症状のある人に限定して PCR検査が行われてきました。もっと検査の対象をひろげ、検査数を増やすべきであるという議論です。PCR検査が陽性であれば間違いなく感染者で、検査が陰性であれば間違いなく感染者ではない、こうであれば理想的です。しかし、現実は異なります。本当は感染者なのにPCR検査が陰性になる場合や、検査結果が陽性でも実際には感染者ではない場合があります。この検査精度については、感度と特異度の2つの観点から評価されます。感度は感染者を陽性と判定できる確率で、特異度は非感染者を陰性と判定できる確率です。新型コロナウイルスへのPCR検査の感度は70%程度とされ、感染者の30%は検査で陰性と判定されることが問題です。テレビのワイドショーでは、識者と呼ばれる方々が賛成・反対の立場で熱く持論を展開しています。感度・特異度だけでなく検査前確率や陽性的中率などの統計的な専門用語を駆使して語る方もおられます。その意見は間違っている訳ではないのですが、正しくもないように思います。そもそも、確率や統計学的な論理を理解するには、一定の知的水準と数学的な素養が要求されます。理解できない人をバカにしている訳ではありません。収入も減少し、社会不安があり、何よりも先が見通せない状況においては、冷静な判断は難しいものです。政策や対応策を立案する部門では詳細な数値に基づいて考察すべきですが、実際に困難に直面している各個人に確率的なことを説明することの意味は難しいのです。これは、新型コロナウイルスにおいてだけではありません。ある患者さんに手術前の説明をする場面を考えてみます。「どのような手術でも100%安全という訳ではありません。100%安全と言い切ることはできないのです」このように説明します。「それはわかっています。どの程度の危険性があるのですか?」不安そうにたずねます。「そうですね。この手術で死亡する確率は0.1%ほどでしょうか」医師が答えます。患者さんと家族に表情に安堵が感じられます。なにより1,000人手術を受けても999人が生存するのです。どうみても上手くいく手術に思われます。ところが、その患者さんが手術合併症で命を落としたとします。1,000人に1人の死亡例に該当してしまったのです。その亡くなった本人にとっては、1,000分の999は生きていて、1,000分の1だけ死んでいるのではありません。0.1%の出来事ではなく、死亡したという事実は100%のできごとです。確率的な考察は、サンプル数や施行数が多い場合に意味を持ちます。人生において何千回も手術を行う医療提供者には死亡率0.1%は意味がありますが、手術を人生で1回しか受けない患者サイドでの死亡率0.1%の解釈は難しいです。「サイコロで6が出る確率は、出るか出ないかだから1/2だ」と言う人に、数学的にそれが1/6であることの説明・証明は可能でしょう。しかし、サイコロを何回も、何十回も、何百回もふってこそ1/6に近づいていくのです。1回しかサイコロをふるチャンスがなければ、当人とすれば、出るか出ないかの二者択一すなわち1/2の確率ともいえます。新型コロナウイルス騒動の収束と終息を願うばかりです。収束は、「収まる」「束ねる」ということから、状況が一定の状態に落ち着くとことを意味し、「終息」は完全に終わるという意味です。新型肺炎の状況が落ち着いてくるのが収束、完全に制圧された場合が終息となります。収束してから終息です。言葉遊びをしている場合ではなく、とにかくシュウソクしてほしいです。

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第7回 アビガン中間解析の怪、試験終了後に有効性は示せるか

Webニュースを見て「ああ、またか」とため息が出た。5月20日朝、共同通信が新型インフルエンザ治療薬アビガン(一般名・ファビピラビル)に関して、藤田医科大学で進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する臨床研究の中間解析で有効性が示されなかったという記事を公開した件だ。同社はメディア各社にニュースを配信する通信社でもあるため、これを機に他の報道機関各社もこのニュースを配信し始めた。藤田医科大学側は同日夕、反論の記者会見を開催し、あくまで中間解析は安全性の確認が主たる目的であり、現時点では有効性確認は行っていないとの見解を表明した。共同通信、藤田医科大、どっちが正しい?そもそもアビガンに関しては、冒頭の共同通信の記事でも言及しているように、安倍首相自らが5月4日の記者会見で有効性が確認されれば今月中の承認を目指す意向を表明しているほど政治側が迅速承認に前のめりである。首相が特定の薬剤名を口にすれば、当然メディアはそれを報じ、ちまたではその断片的なニュースが勝手に増幅して期待感が高まる。断片を増幅させる点では、今回一気に言葉だけは有名になってしまったPCR検査のようだが、PCR検査はあくまでAを増幅してもAだが、ニュースの場合はしばしばAが増幅してまったく違うBになってしまうのが厄介である。アビガンに関しては、まさにAがBになってしまった状態で、医療従事者の中には過度な期待が高まっていることに対して警戒感・嫌悪感を持っている人も少なくない。今回、共同通信にこのような記事が出たのも、そうした感情を持つ関係者によるリークの可能性がある。結局のところ藤田医科大学が中間解析は「試験継続の是非を検討するため主に安全性に重点を置いた」との主張はおおむねそうであろうが、参考値として算出したウイルス量低減効果は共同通信が報じたように現時点で有意差はなかったのが本当のところだろうと推察する。藤田医科大アビガン臨床研究に見える疑問点だが、そもそもこの藤田医科大学による臨床研究が真の意味でアビガンの有効性を示せる試験になるかそのものに私は大いに疑問がある。この臨床研究は無症状・軽症のCOVID-19患者でのアビガンのウイルス量低減効果の検討を目的とした多施設非盲検無作為化試験である。対象は86例で、試験開始日から10日目までアビガンを服用する群と試験開始6日目~15日目までアビガンを服用する群との比較試験である。今回報道されたのは、うち40例での中間報告らしい。主要評価項目であるウイルス消失率は、両群とも試験開始6日目に測定する。投与開始時期に差を設けることで事実上治療開始から5日までをアビガンvs.プラセボという立て付けにしているのだろう。これは致死性のあるウイルス感染症に対するプラセボ使用に倫理面から追求を受けることへのエクスキューズと見るのが順当だろう。さてここで私が考える疑問点を順次示したい。ご存じのようにCOVID-19患者の8割を占める無症候・軽症者は、大掛かりな医療的介入がなくとも回復することが知られている。だとするならば、プラセボ投与による事実上の無治療(厳格には対症療法のみ)も倫理的には許容されるはずである。この試験デザインで自然回復と薬効の違いを明確かつ厳格に見ることができるかはやや疑問である。また、無症候・軽症患者が対象となると、定量指標は体液・血液中のウイルス量の変動にならざるを得ないだろう。しかし、一部のウイルス感染症ではウイルス量が減っても、感染によって発生した炎症がその後、ウイルス量と無関係に独り歩きして症状の治癒まで時間を要することもある。COVID-19でも感染によって引き起こされた心血管炎が重症化につながるとの仮説もあり、ウイルス量の低減効果が必ずしもその後の良好な転帰につながらない可能性がある。一方、少なくとも報道を見る限り、共同通信が記事化した中間解析結果というのは、日本経済新聞の報道によると、第三者機関の勧告を意味しているらしい。結論から言えば、藤田医科大学が主張するように安全性には問題がないと第三者機関は結論付けたとは言えるだろう。ただ、第三者機関が有効性のデータをまったく目にしていないとは思えず、もし最初の5日間で両群に目を見張るウイルス量低減効果の差があれば、今後の臨床研究参加患者や他の臨床研究試験参加者の不利益を考え、試験の中止を勧告するはずである。「対象症例を増やせば、統計学的有意差が出るのでは?」という意見もあるだろう。これに対しては前回のレムデシビルの件でも触れたように、統計学的検討では症例数を増やせば微小な差も有意差として検出できる特性があることを考えれば、そのような意見、したがって出る統計学的有意差とは「その程度の小さな差」に過ぎないことになる。さらに無症候・軽症のCOVID-19患者が特段の医療的介入なしで回復すると言われている中、ご存じのように催奇形性の危険性を指摘され、かつ高価なアビガンを投与することはコスト・パフォーマンス、リスク・ベネフィットの点からも疑問符が付く。本来、COVID-19でのアビガンの効果を検証するならば、重症患者を対象に主要評価項目はハードエンドポイントである死亡率にすべきだろう。それで明確な効果が示せる薬剤ならば、COVID-19におびえる国民の期待にも沿えるというもの。やや辛い言い方になるが、そもそもこの試験のデザインそのものが、フルマラソンが怖いのでハーフマラソンにした的な腰が引けたものに映る。いずれにせよ今現在公開されているデータでアビガンがCOVID-19に有効といえるようなものは、ほとんどないのが実情である。衣類の防虫剤CMの「タンスにゴン」の合言葉のごとく「新型コロナにアビガン」という趣旨を声高に叫んでいる政治家とテレビに登場する魑魅魍魎的なコメンテーターの一部にはお黙りいただきたい。適切な情報を発信するための一里塚は、科学的に厳格なデザインの臨床研究結果が明らかになることである。

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新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?

 新型コロナウイルスのPCR検査の感度や特異度は十分に特定されておらず、偽陰性となる可能性が最も高い期間はよくわかっていない。今回、米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかった。著者らは、偽陰性の可能性を最小限にするために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしている。また、臨床的にCOVID-19が疑われる場合は、PCR陰性のみで除外診断すべきではなく、臨床的および疫学的状況を慎重に検討する必要があると述べている。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2020年5月13日号に掲載。PCR検査の偽陰性率は発症から3日目が20%と最低 本研究は、鼻咽頭または咽頭スワブを用いたPCR検査のデータを有する7つの研究のプール解析(入院または外来患者計1,330例)で、感染(曝露)後もしくは発症(症状発現)後の偽陰性率について、階層ベイズモデリングを用いて算出した。 PCR検査の偽陰性率について算出した主な結果は以下のとおり。・PCR検査の偽陰性率は感染1日目が100%(95%CI:100~100%)であり、4日目が67%(95%CI:27~94%)と5日目(COVID-19の典型的な発症日)まで減少した。 ・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%(95%CI:18〜65%)であった。・感染8日目(発症から3日目)の偽陰性率は20%(95%CI:12~30%)と最低となり、その後、9日目(21%、95%CI:13~31%)から再び増加し、21日目に66%(95%CI:54〜77%)となった。 なお、本研究の限界として、プール解析した基の研究のデザインの不均一性により、推定が不正確であることを挙げている。

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COVID-19、ヒドロキシクロロキンで院内死亡低下せず/JAMA

 ニューヨークの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン、抗菌薬アジスロマイシンまたはこれらの両薬を治療に用いた患者は、いずれも使用していない患者と比較して、院内死亡率に有意差はなかった。米国・ニューヨーク州立大学のEli S. Rosenberg氏らが、COVID-19入院患者の後ろ向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用は、COVID-19に対する治療法の候補と考えられているが、有効性や安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2020年5月11日号掲載の報告。無作為抽出したCOVID-19入院患者約1,400例を後ろ向きに解析 研究グループは、ニューヨーク都市圏の25施設に2020年3月15日~28日の間で24時間以上入院したCOVID-19患者7,914例(同期間でのニューヨーク都市圏におけるCOVID-19全入院患者の88.2%を占める)から、施設単位で無作為に抽出した1,438例について、治療薬、既往症、入院時臨床所見、転帰および有害事象に関するデータを解析した。最終追跡調査は2020年4月24日。 解析対象症例を入院期間中の治療に基づいて、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの両方を使用(併用群)、ヒドロキシクロロキンのみ、アジスロマイシンのみ、どちらも非投与の4群に分類し、院内死亡率(主要評価項目)、心停止および不整脈/QT延長の心電図異常所見など(副次評価項目)を評価した。ヒドロキシクロロキン服用群、非服用群と院内死亡率に有意差なし 解析対象の1,438例(男性858例[59.7%]、年齢中央値63歳)において、ヒドロキシクロロキン単独群(271例)、アジスロマイシン単独群(211例)および併用群(735例)は、非投与群よりも、糖尿病、呼吸数>22回/分、胸部画像の異常所見、酸素飽和度90%未満、AST>40U/Lの患者が多い傾向にあった。 院内死亡率は、全体で20.3%(95%信頼区間[CI]:18.2~22.4)であり、治療別では併用群25.7%(22.3~28.9)、ヒドロキシクロロキン単独群19.9%(15.2~24.7)、アジスロマイシン単独群10.0%(5.9~14.0)、非投与群12.7%(8.3~17.1)であった。 調整Cox比例ハザードモデルでは、非投与群と比較し、併用群(HR:1.35、95%CI:0.76~2.40)、ヒドロキシクロロキン単独群(1.08、0.63~1.85)およびアジスロマイシン単独群(0.56、0.26~1.21)で、院内死亡率に有意差は確認されなかった。 ロジスティック回帰モデルでは、非投与群と比較し、併用群(補正後オッズ比:2.13、95%CI:1.12~4.05)で心停止のリスクが有意に高かったが、ヒドロキシクロロキン単独群(1.91、0.96~3.81)とアジスロマイシン単独群(0.64、0.27~1.56)では有意差は確認されなかった。また、調整ロジスティック回帰モデルでは、心電図異常所見に相対的なリスクの差は認められなかった。

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第15回 治療編(1)薬物療法・その2【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第15回 治療編(1)薬物療法・その2前回は、主として末梢性疼痛に用いられる薬物療法について解説しましたが、今回は、末梢性神経障害性疼痛への除痛適応を持つ、新薬ミロガバリンとプレガバリン、そして比較的副作用の少ない鎮痛薬ノイロトロピンについて説明しましょう。表に神経障害性疼痛の原因になりうる疾患を示しております。この中でも、末梢性神経障害性疼痛の代表症例として、糖尿病性末梢神経障害性疼痛、帯状疱疹後神経痛、椎間板ヘルニアによる慢性疼痛が挙げられます。画像を拡大する(1)ミロガバリン<作用機序>神経前シナプスの電位依存性カルシウムイオン(Ca2+)チャネルから流入したCa2+により神経が興奮して、サブスタンスP、グルタミン酸、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)など、いわゆる神経伝達物質が放出されます。このCa2+チャネルにはいくつかのサブユニットで構成されておりますが、ミロガバリンはそのうちのでもα2δサブユニットに結合することによりCa2+チャネルの活動が抑制されることでCa2+の流入が低下します。その効果により、神経伝達物質の放出が抑制されて痛みが緩和されると考えられています。<投与上の注意>1日2回投与が基準です。2.5mg、5mg、10mg、15mg錠がありますが、基本的には5mgX2で開始しますが、患者さんが少しきついと感じられた時には2.5mgX2で開始し、副作用あるいは疼痛緩和効果が見られなければ、1~2週間ごとに10mgX2、15mgX2と漸増し、最終的には1日30mgまで投与します。副作用としては、傾眠、浮動性めまい、体重増加などがあります。高齢者では転倒・骨折の恐れがあるので、細心の注意が必要です。また、自動車運転などの機械操作は回避する必要があります。(2)プレガバリン<作用機序>前述のミロガバリンと同様の作用機序、鎮痛効果を発揮します。<投与上の注意>ミロガバリンと同様ですが、中枢性神経障害に対する適応も有しています。元はカプセル剤でしたが、和製でOD錠になりましたので、疼痛時にはそのまま服用できるのが魅力です。25、75、150mgOD錠があり、1日4回まで、最高600mgまで処方できます。副作用もミロガバリンと同様で、眠気には注意が必要です。眠前に服用するとよく眠れるようです。(3)ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤(商品名:ノイロトロピン)<作用機序>ノイロトロピンは、ワクシニアウイルスを摂取した家兎の炎症性皮膚組織から抽出した300種類以上非蛋白性生体活性物質を含んでおり、単一での効果成分は不明です。作用機序としては、下行性疼痛抑制系の活性化が考えられております。その他、抗炎症作用、興奮性神経ペプチドの放出の抑制、交感神経作用抑制、血流改善、神経保護作用などが推測されています。<投与上の注意>副作用には発疹、掻痒、悪心、眠気などが認められていますが、その発現頻度や重症度は極端に低いため、高齢者や長期療養者に対しても使いやすいことが特徴です。1日4錠(1錠4単位)を朝夕2回に分けて経口投与します。注射薬では1日1回1管を静脈内、筋肉内または皮下に注射します。以上、痛み治療の第1段階における薬物を取り上げ、その作用機序、投与における注意点などを述べさせていただきました。痛みの患者さんに接しておられる読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。1)花岡一雄. ペインクリニック. 2013; 34: 1227-12372)花岡一雄. ペインクリニック. 2011; 143: 441-4443)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S168

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COVID-19診療の手引きの改訂版を公開/厚生労働省

 5月18日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、全国の関係機関ならびに医療機関に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 2 版」を事務連絡として発出した。 同手引きの第1版は、3月17日に発出されているが、第2版となる改訂版では、国内外の最新知見を更新し、ページ数も約2倍となるなど、大幅に改訂されている。約3割の患者で嗅覚異常、味覚異常がある 追加された項目として「臨床像」では、「初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらとCOVID-19を区別することは困難である」とし、「嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきた。イタリアからの報告によると約3割の患者で嗅覚異常または味覚異常があり、特に若年者、女性に多い」など追加の症状が述べられている。 「合併症」では、「若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、これも血栓症との関連が示唆される。小児では、川崎病様の症状を呈する事例もあることが欧米から報告されている」と血栓に関する注意も追加された。 「重症化マーカー」では、(1)D ダイマーの上昇、(2)CRP の上昇、(3)LDH の上昇、(4)フェリチンの上昇、(5)リンパ球の低下、(6)クレアチニンの上昇などが挙げられるが、「全体的な臨床像を重視して、臨床判断の一部として活用する必要がある」としている。 「薬物療法」では、「日本国内で入手できる適応薬」としてRNA合成酵素阻害薬 レムデシビル(2020 年5 月7日に特定薬事承認)を示すとともに、「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」として「RNA合成酵素阻害薬 ファビピラビル」「吸入ステロイド薬 シクレソニド」「蛋白質分解酵素阻害剤 ナファモスタット」「ヒト化抗IL-6 受容体モノクローナル抗体 トシリズマブ」「同 サリルマブ」を紹介している。目次 第2版1 病原体・臨床像伝播様式/臨床像/重症化マーカー/画像所見2 症例定義・診断・届出症例定義/病原体診断/抗原検査/抗体検査/届出3 重症度分類とマネジメント重症度分類/軽症/中等症/重症4 薬物療法5 院内感染対策個人防護具/換気/環境整備/廃棄物/患者寝具類の洗濯/食器の取り扱い/死後のケア/職員の健康管理/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグルおよびフェイスシールドの例外的取扱い6 退院・生活指導退院等基準/生活指導引用・参考文献 診療の手引き検討委員会・作成班は「はじめに」で、「再流行のリスクもあり、予断を許しません。本手引きが広く医療現場で参考にされ、患者の予後改善と流行の制圧の一助となることを期待します」と活用を呼び掛けている。

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COVID-19治療薬「拙速な特例的承認」に懸念、日医有識者会議が緊急提言

 日本医師会COVID-19有識者会議は5月18日、「新型コロナウィルス感染パンデミック時における治療薬開発についての緊急提言」と題し、有事といえども科学的根拠の不十分な候補薬を、治療薬として承認すべきでないとする旨の声明を発表した1)。 声明では、特別承認制度により5月7日付で国内初のCOVID-19治療薬となったレムデシビル(商品名:ベクルリー)の承認過程に言及。米国立衛生研究所アレルギー感染症研究所(NIH/NIAID)が主導し、日本からも登録参加した国際共同臨床試験(ACTT1試験)において、「周到な研究デザインのもとにレムデシビルの効果を証明」しており、「高いエビデンス・レベルでCOVID-19に対する有効性が確認された初めての薬剤」であると強調している。 一方で、治療薬候補として現在複数の薬剤が検討されているが、「有事だからエビデンスが不十分でも良い、ということには断じてならない」と指摘。「COVID-19のように、重症化例の一方で自然軽快もある未知の疾患を対象とする場合には、症例数の規模がある程度大きな臨床試験が必要」と提言している。 これに加え、著名人が既存薬の服用によりCOVID-19の症状が改善したことを公表したり、“有効”とされる既存薬の使用を巡って扇動的に報じたりするマスコミの姿勢にも疑問を呈し、「エビデンスが十分でない候補薬、特に既存薬については拙速に特例的な承認を行うことなく、十分な科学的エビデンスが得られるまで、臨床試験や適用外使用の枠組みで安全性に留意した投与を継続すべき」との見解を示している。 COVID-19を巡っては、国内外で新規治療薬の研究・開発が進められる一方、国内では、新型・再興型インフルエンザ治療薬として2014年に承認されたファビピラビル(商品名:アビガン)を転用、COVID-19治療薬として月内にも早期承認を目指すことを政府が明言している。また、厚生労働省は5月12日付で、COVID-19に関する医薬品の承認審査の際、公的な研究事業により実施される研究の成果において医薬品等の一定の有効性および安全性が確認されている場合には、治験等の臨床試験成績の提出を承認後でも可とする旨の通知を出している2)。

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COVID-19軽~中等症、早期の3剤併用療法が有効/Lancet

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者に対し、早期に開始したインターフェロン(INF)-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用療法は、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法に比べ、SARS-CoV-2ウイルス陰性化までの期間および入院期間を有意に短縮し、安全性にも問題がないことが確認された。香港・Queen Mary HospitalのIvan Fan-Ngai Hung氏らが、127例の入院患者を対象に行った第II相の多施設共同前向き非盲検無作為化試験の結果を報告した。COVID-19パンデミックを制圧するため、効果的な抗ウイルス薬治療を見いだすことに1つの重点が置かれている。今回の結果について著者は、「さらなる臨床研究で、INF-β-1bをバックボーンとする2剤併用抗ウイルス薬療法の検討も行う必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年5月8日号掲載の報告。鼻咽頭スワブによるRT-PCR検査で陰性化までの期間を比較 研究グループは2020年2月10日~3月20日に、香港の6病院を通じて、ウイルス検査でCOVID-19が確認され入院した18歳以上の患者127例を対象に試験を行った。INF-β-1b+ロピナビル・リトナビル配合剤+リバビリンの3剤併用抗ウイルス薬療法と、ロピナビル・リトナビル配合剤単独療法を比較し、その有効性と安全性を評価した。被験者の症状の程度は、軽症~中等症だった。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはロピナビル400mg・リトナビル100mg、リバビリン400mgをいずれも12時間ごと14日間投与し、併せてINF-β-1b 800万IUを隔日3回投与した(3剤併用群、86例)。もう一方の群には、ロピナビル400mg・リトナビル100mgを12時間ごとに14日間投与した(対照群、41例)。 主要エンドポイントは、鼻咽頭スワブによる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査の結果でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間とし、ITT解析で評価した。陰性化に関する3剤併用群のハザード比は4.37 発症から治療開始までの期間中央値は、5日(IQR:3~7)だった。 鼻咽頭スワブ検査でSARS-CoV-2ウイルスが陰性化するまでの期間中央値は、対照群12日(IQR:8~15)に対し、3剤併用群は7日(同:5~11)と有意に短かった(ハザード比:4.37、95%信頼区間:1.86~10.24、p=0.0010)。 有害事象は吐き気や下痢などが認められたが、両群間で有意差はなかった。対照群の1例が、肝炎のため治療を中止した。試験期間中の死亡は報告されなかった。

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SARS-CoV-2 は便中に長く排泄される(解説:浦島充佳氏)-1230

 対象は2020年1月から3月の間、中国・浙江省にて痰ないし咽頭深くの粘液より採取した検体にてPCRを用いて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定診断を受け入院した連続症例96例(軽症:22例、重症:74例)である。SARS-Cov-2ウイルスRNA量を、呼吸器、便、血清、尿検体のウイルス量のCt値で定量解析している。 以下がポイントである。1. 検出場所  痰・唾液中検出割合:100% 研究対象定義  便中検出割合:59%  血清中検出割合:41%  尿中検出割合:1例のみ2. 検出期間  痰・唾液中:18日(13~29日)  便中検出割合:22日(17~31日)  血清中検出割合:16日(11~21日)3. 重症度  重症:21日(14~30日)発症後2~3週がピーク  軽症:14日(10~21日)発症後2週がピーク4. 他のウイルス量増多の因子  60歳以上  男性 SARS-CoV-2ウイルスが便中に最も長く検出されたことは注目に値する。呼吸器から検出されるウイルスは会話や咳などを介した飛沫で感染するが、便中では接触感染が考えられる。重症例では発症後2~3週間がウイルス排泄のピークとなることから、院内感染や高齢者施設では、排泄物の扱いやトイレの清掃には細心の注意を払うべきであろう。 中国・武漢の医師らが新型コロナウイルス肺炎で入院した138例についてまとめている1)。138例中57例(41.3%)が院内感染と思われた。17例(12.3%)は新型コロナウイルス肺炎以外の理由で入院していた患者、40例(29.0%)は医療スタッフであった。外科病棟に入院していた腹部症状を認めた1人の患者から10人以上に感染させたと思われる。患者間でも感染が広がった。少なくとも4人の患者が同じ病棟で感染を広げている。4人すべての患者は非定型の腹部症状を示していた。138例中、下痢は14例(10%)に認められる。院内で感染した患者は重症化しやすい傾向にあった。ICUに入院する重症化リスクは院外感染で入院した患者の2.4倍である。 また血清中でも想像以上の頻度でウイルスが検知されていた。無症状者では理論上ウイルス血症になりにくいとは思われるが、軽症でも25%にみられていることから、COVID-19流行地での献血は要注意かもしれない。1)Wang D, et al. JAMA. 2020;323:1061-1069.

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降圧薬の処方内容はCOVID-19予後に影響するか?(解説:冨山博史氏)-1231

はじめに COVID-19発生から半年近くが過ぎようとしている。しかし、まだまだ収束そして終息にも時間を要する。COVID-19では肺炎に加え、脳心血管疾患、血栓症など生命に影響する重大な合併症を発生する。そうした合併症は、高齢者や脳心血管疾患・悪性疾患など基礎疾患を有する症例で多い。ゆえに、そうした症例における合併症発生予防に細心の注意を払う必要がある。中国では高血圧症例でCOVID-19症例の予後が不良であることが報告された1)。SARS-CoV-2ウイルスの細胞内侵入にはangiotensin converting enzyme 2(ACE2)が重要な役割を果たす。このため、renin-angiotensin系に影響する降圧薬ACE inhibitor(ACEi)やangiotensin II receptor blocker(ARB)がACE2発現に影響し、ウイルス侵入を増悪させることが懸念されていた。しかし、懸念はあくまで仮説であり、3月13日発表の欧州高血圧学会Position Statement of the ESC Council on Hypertension on ACE-Inhibitors and Angiotensin Receptor Blockersでは、同危険性の十分な根拠がないため両降圧薬のむやみな中止・変更は控えるように推奨された。今回の知見 2019年12月から2020年3月の期間で、欧州、北米、アジアで計169の病院にCOVID-19で入院した8,910例を対象とした多施設共同登録研究が実施された2)。#COVID-19の診断:咽頭ぬぐい液のPCR検査で感染を診断#解析方法:入院後転帰の院内死亡例と生存例で降圧薬処方内容を含む臨床背景を比較#結果とコメント:生存例(8,395例、平均年齢49歳)、院内死亡例(515例、平均年齢56歳)であり、院内死亡例は高齢で男性が有意に多かった。また、これまでの報告と同様、院内死亡例で冠動脈疾患、心不全、不整脈(心疾患の院内死亡のODDS比は約2倍)、糖尿病、脂質異常症、慢性閉塞性肺疾患(院内死亡のODDS比は約3倍)、現在喫煙の合併比率が有意に高かった(脳卒中に関しては評価されていない)。本検討では、高血圧合併頻度は生存例(2,216/8,395例:26.4%)と院内死亡例(130/515例:25.2%)で有意な差を示さなかった。これは上述の中国の報告1)と異なる結果である。そしてACEiおよびARBの処方率は、生存例{ACEi(754/8,395例:9%)、ARB(518/8,395例:6.2%)}、院内死亡例{ACEi(16/515例:3.1%)、ARB(38/515例:7.4%)}であり、ARB処方頻度は両群に差はなく、ACEiはむしろ生存例での処方頻度が高かった。 本試験は、短期間の登録研究であり、すでにCOVID-19の症例である。ゆえに、COVID-19がすでに診断されている症例では、感染に関連する病態増悪を懸念してACEi・ARBの他の降圧薬への変更は必要ないことが支持される。同様の結果はイタリアからも報告されている3)。今回の研究では、ACEiおよびARBのCOVID-19の易感染性については検証されていない。しかし、同イタリアの研究では両降圧薬が易感染性にも影響しない可能性を報告している3)。 中国と欧米では蔓延するSARS-CoV-2ウイルスの亜型が異なる。この差異が高血圧合併の感染性への影響に関連した可能性は否定できない。ゆえに、今後、武漢株での感染例においても高血圧合併の有無および降圧薬の予後への影響について検証する必要がある。追記:ACE2について SARS-CoV-2ウイルスは細胞表面の受容体ACE2を介して細胞内に取り込まれる。ACE2は、膜内存在性蛋白で気管支、肺、心臓、腎臓、消化器等の多くの組織に発現している。ACE2はACE(angiotensin Iからangiotensin IIへ変換する酵素)と構造が類似しているが、別の作用を有し、angiotensin IIからangiotensin-(1-7)への変換を行う。このangiotensin 1-7は降圧や心血管保護作用を有すると考えられている。

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第7回 リモート出演で気になったタレントの“ナメクジ腫れ”

こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されました。残る宣言の対象区域は北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県ですが、政府は5月21日を目処に解除の可否を改めて判断するとのことです。そんな自粛解除の流れの中、最近気になったのが、テレビのバラエティ番組に出ている女性タレントの顔です。タレントが自宅からリモート出演するバラエティ番組が増えていますが、ある若手女性タレントの目の下、いわゆる「下眼瞼」と呼ばれる部分が、ナメクジが付いたように腫れているのです。気になり出すとそこばかり目が行くもので、ここ2週間ばかりの間にもう1人、“ナメクジ腫れ”が生じている女性タレントを見つけました。“ナメクジ腫れ”の正体はいったい何でしょう? 知人に聞いたところ、「うかつなことは言えないけれど、ヒアルロン酸注射か二重(ふたえ)手術の痕では」との見立てでした。つまり、彼女たちはつい最近、美容整形の手術を受けたのではないか、というわけです。「不要の医療ではないが、不急の医療」私自身は美容整形の現場を取材したことはほとんどないので、「タレントも仕事が暇になったので、美容整形を受けに行ったのかな」と思っていただけなのですが、先週、あるニュースを読んでコロナの影響はこんなところにまで、と驚きました。それは共同通信が配信し、日本経済新聞(5月12日)や地方紙に掲載された「美容整形『多くは不急、今は控えて』」というニュースです。そのニュースによれば、記者が複数の美容関係者に取材したところ、新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が続く中、美容整形を申し込む人が増えている、とのこと。記事は、「在宅勤務や休校、マスク着用で、手術後の顔の腫れや容姿の急変を他人に知られずに済むためではないか」と分析、「大学などが休みになり始める1月後半から予約が増えるのは例年通りだが、今年はとくに予約申し込みが多い」とのことでした。記事では、ある美容外科のケースも紹介、医療資材の不足から、消毒液の入手が困難な時期もあり、施術で通常10枚ほど用意するガーゼも2~5枚に制限、半分に切って使ったこともあった、としています。実際、外出自粛が続いた結果、今年の春の美容整形人気は本当のようです。日本美容外科学会はホームページで、一般の人に対して「美容医療をお受けになろうとお考えの方へ  新型コロナウィルス(COVID-19)感染予防に関するお願い」を掲示、「美容医療は不要の医療ではありませんが、多くの方にとって不急の医療と考えます」として「今お考えの美容医療は感染が収束するまでお待ちいただきたい」と訴えています。学会が「不急の医療」と言ってしまっている点が、なかなか興味深いです。一方、同学会は会員の医療機関にも、「美容外科診療の対応について」として、「待機可能な侵襲的美容外科治療を希望する患者に対しては、事態が収束に向かうまでは、実施内容の低侵襲化、あるいは実施の延期や中止を検討する」「新型コロナウィルス感染患者の治療に必要な医療資源(医療物資、輸液、抗生剤、ベンチレーター、医療スタッフ等)を感染症指定医療機関等へ供給することを最優先に考え、使用を最小限にすること」の2点を提言しています。国難と呼ばれる事態に不急の自由診療美容整形のプチブームに、私がとやかく言うことはありません。ただ、一つ気になったのは、美容整形外科の医師たちは、新型コロナウイルス感染症で医療リソース(モノもヒトも)が全国的に払底する時期にどう動いていたか、ということです。急性期病院勤務の医師は病院で新型コロナウイルスと戦い、都道府県医師会・郡市区医師会の医師は行政検査の委託を受け、PCR検査に携わるなどしています。たとえば、東京都医師会はPCR検査の体制を強化しようと、かかりつけ医の紹介で検査を受けられる「PCR検査センター」の設置を進めています。美容整形外科は自由診療がほとんどですから、地域の医師会に加入している医師も少ないでしょう。そうなると、ほとんどの美容整形外科医は、新型コロナウイルス感染症の診断・治療とは何の接点もないまま、自らの日常診療を続けていると思われます。先の日本美容外科学会の会員への呼びかけも「提言」となっており、会員に何らかのアクションを要請するものでもないからです。日本は自由標榜制なので、医師が自分の専門に美容整形外科を選ぶことは何の問題もありません。ただし、医師の教育・養成には相当の税金が投入されていることを考えると、“国難”と呼ばれる事態において、不急の自由診療だけに注力する医師の姿勢には、いささか疑問を覚えます。もっとも、新型コロナウイルス感染症の診断数がピークの頃、外来診療を止めてしまっていた、うちの近所の診療所(何科まではここでは書きません)も同類かもしれませんが…。

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COVID-19の流行による性生活の変化

 トルコ・Esenler Maternity and Children's HospitalのBahar Yuksel氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がトルコ人女性の性行動にどのように影響するのかを評価するため、COVID-19流行前に行われた研究データと流行中のデータを用いて観察研究を行った。その結果、性的欲求と性交頻度はCOVID-19流行中に大幅に増加したが、性生活の質は大幅に低下したことが明らかになった。さらに、COVID-19の流行は妊娠に対する欲求の減少、女性の避妊低下、および月経不順の増加に関連することが示された。International Journal of Gynecology & Obstetrics誌オンライン版5月11日号掲載の報告。 2020年5月13日時点、トルコの感染者数は14万1,475人、死者数は3,894人と感染者は世界で9番目に多い。 研究者らは性交の頻度、妊娠の欲求、女性の性機能指数(FSFI:Female Sexual Function Index)、避妊法、月経不順について、COVID-19流行中と流行6〜12ヵ月前とを比較した。 主な結果は以下のとおり。・性交の平均頻度について、流行中と流行前で比較したところ、流行中に大幅に増加した(2.4 vs.1.9、p=0.001)。・流行前は19人(32.7%)が妊娠を望んでいたが、流行中は3人(5.1%)に減少した(p=0.001)。・一方、流行前と比べ、流行中の避妊具などの使用は有意に減少した(24 vs.10、p=0.004)。・月経不順は流行前よりも流行中で多くみられた(27.6% vs.12.1%、p=0.008)。・FSFIを流行前と流行中とで比較したところ、 流行前のほうが有意に高かった(20.52 vs.17.56、p=0.001)。

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