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事例043 エドキサバン(リクシアナOD錠)の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例は他院から紹介を受けて3ヵ月ごとに当院で継続フォローしていた患者。紹介を受けた通りに処方を継続していたところ、9月再診時に処方したエドキサバン(商品名:リクシアナOD錠)60mg(以降「同剤」と言う)が、保険診療上で医学的に不適当を示すC事由(医学的理由による不適当)にて査定となりました。診療録を確認したところ、前回6月受診時にも同剤が処方されていました。そのときには査定はありませんでした。さらに査定の原因を調べるため、同剤の添付文書を参照したところ、対象疾病は「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症)」とありました。「静脈血栓症」のみでは認められなくなったのではないかと考えました。しかし、査定理由がC事由であったために他に原因があるのではないかと考え、さらに添付文書を確認してみました。すると「禁忌」の記述の中に、腎不全があり、同剤60mgは、「体重60kg超えに投与し、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する」と記載がありました。レセプトに「慎重投与」とコメントはありましたが体重の記載はありません。したがって、審査機関のコンピュータチェックの内容が添付文書に基づくように厳しくなり、かつコメント記入時に行われる目視審査でも投与要件の記載が不足しているという複合的な理由により、医学的に不適当とするC事由が適用されたものと考えました。同じ期間の同様の事例で「糖尿病性網膜症」の既往患者も査定対象となっていました。医師には事情を説明し、他院からの処方であっても添付文書に沿って処方をいただくこと、必要があれば検査結果などを添えて審査の判断をしてもらうことで承諾をいただきました。また、レセプトチェックシステムには、同剤60mgには適切な病名と体重コメントが必要であることがチェックできるように登録して査定対策としました。

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第6波での発症から悪化までの日数は/厚労省アドバイザリーボード

 第5波と比較して第6波では、発症から中等症II以上(中等症II、重症、死亡)への移行までの日数(最頻値)が4日短縮され、移行率は低いものの、移行例ではより短期間に悪化が進む可能性が示唆された。2月2日に開催された第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、広島県健康福祉局の木下 栄作氏が「広島県新型コロナウイルス感染症J-SPEEDデータからの知見~第6波データ分析(速報)」を報告した。 分析に使われたデータは広島県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者データで、第5波は2021年7月1日~10月31日公表患者について、第6波は2021年12月22日~2022年1月29日公表患者(デルタ株感染患者を含む)のデータを用いて分析している。広島県では1月上旬から急速な感染拡大がみられ、12月30日~1月4日での県内のスクリーニング検査では、オミクロン株の疑いのある割合が約8割と報告されている。第5波と比べ中等症II以上は顕著に減少、移行までの日数は短縮傾向 年代別に中等症II以上の割合をみると、第5波と比較して第6波ではすべての年代で顕著に減少。第5波で中等症II以上の割合が最も多かった60代以上(22.7%、234/1,031人)について第6波ではその割合が6.1%(225/3,678人)に、40~50代では第5波12.3%(361/2,936人)に対し第6波0.3%(20/5,904人)となっている。 発症(無症状や発症日不明の場合は陽性判明)から中等症II以上への移行までの日数を比較すると、第5波では最頻値が7日だったのに対し、第6波では3日と4日短縮している。中等症II以上に悪化した患者の8割は10日以内に悪化しており、50代以下ではより短く、8割が7日以内に悪化していた。 中等症II以上には高齢・性別・ワクチン接種(2回以上)が有意に関連 多変量解析により中等症II以上と関連するリスク因子をみた結果、第6波の解析対象データ(319例)では65歳以上(オッズ比[OR]:9.4、95%信頼区間[CI]:3.7~23.5、p<0.01)、男性(OR:2.2、95%CI:1.0~4.9、p=0.04)が有意に関連していた。また、ワクチン接種(2回以上)が中等症II以上に対する予防効果と有意に関連(OR:0.3、95%CI:0.1~0.7、p<0.01)していた。 65歳以上、男性、BMI25以上、高血圧・心疾患、糖尿病、認知症・精神疾患という6つのリスク因子についてその保有数と中等症II以上となるリスクの関連についてみると、リスク因子の数が多いほど中等症IIの割合が高く、全体の移行率は第6波で低いものの、その傾向は第5波と第6波で変わらなかった。第6波での60歳以上の重症化率は1.45%、致死率は0.96%(暫定値) そのほか、広島県のデータを使用し、2022年1月1日~1月14日の期間における新型コロナウイルス感染者7,542人を対象に、年齢階級別、ワクチン接種歴別に重症化率および致死率を暫定版として算出した結果も報告された。なお、人工呼吸器の使用、ECMOの使用、ICU等で治療のいずれかの条件に当てはまる患者を重症者と定義し、重症者には、経過中重症に至ったが、死亡とならなかった患者、重症化して死亡した患者、重症化せず死亡した患者が含まれる。また、ワクチン接種歴ありはワクチンを1回以上接種した者、ワクチン接種歴なしは未接種および接種歴不明の者が含まれる(1月26日時点でのステータスに基づき算出しており、重症者数や死亡者数は増加する可能性がある)。 全体として、60歳未満の重症化率は0.04%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は1.45%/致死率は0.96%と算定された。ワクチン接種状況別にみると、ワクチン接種歴あり(1回以上)では、60歳未満の重症化率は0.02%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は0.96%/致死率は0.55%。ワクチン接種歴なしでは、60歳未満の重症化率は0.09%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は5.05%/致死率は4.04%だった。

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家族性高コレステロール血症、世界的に診断遅れ/Lancet

 ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)患者について、38ヵ国を対象に調べたところ、世界的に診断年齢が高く、とくに非高所得国では、十分な治療がなされず初回の主要心血管有害イベントが20代で発生している現状が示された。オランダ・アムステルダム大学のTycho R. Tromp氏ら、HoFH患者の治療を行う医師らによるHoFH International Clinical Collaborators(HoFH国際臨床共同研究グループ)が明らかにし、Lancet誌オンライン版2022年1月28日号で発表した。38ヵ国、88ヵ所の医療機関で751例の患者を検証 研究グループは、38ヵ国、88ヵ所の医療機関を通じて、臨床または遺伝的にHoFHの診断を受けた751例の患者についてレジストリを作成し、後ろ向きコホート試験を行った。 HoFH患者の臨床・遺伝的特徴と、治療の現状、アウトカムへの影響を検証した。初回主要CV有害イベント発生、高所得国で中央値37.0歳、非高所得国では同24.5歳 被験者751例のうち565例(75%)で、両アレル病原性変異体が報告された。診断年齢中央値は12.0歳(IQR:5.5~27.0)だった。被験者751例のうち、女性は389例(52%)。人種が報告された527例のうち、白人は338例(64%)、アジア人は121例(23%)、黒人または混合人種は68例(13%)だった。 HoFH診断時点の65例(9%)で、すでにアテローム性心血管疾患(ASCVD)または大動脈弁狭窄の主な症状が認められた。 全体で、治療前のLDLコレステロール中央値は14.7mmol/L(IQR:11.6~18.4)だった。詳細な治療内容が得られた患者534例のうち、491例(92%)がスタチンを、342例(64%)がエゼチミブを、243例(39%)がリポ蛋白アフェレーシスをそれぞれ服用していた。 治療中のLDLコレステロール中央値は、非高所得国が9.3mmol/L(IQR:6.7~12.7)に対し、高所得国では3.93mmol/L(2.6~5.8)と低かった。3種以上の脂質低下療法(LLT)の実施率は、非高所得国より高所得国で高く(24% vs.66%)、その結果、ガイドライン推奨LDLコレステロール目標値の達成率も高所得国で高かった(3% vs.21%)。 初回主要心血管有害イベントの発生年齢は、非高所得国では中央値24.5歳(IQR:17.0~34.5)と、高所得国の中央値37.0歳(同:29.0~49.0)より10歳以上若い年齢で発生していた(補正後ハザード比:1.64、95%信頼区間:1.13~2.38)。 これらの結果を踏まえて著者は、「複数のLLTの実施率が高いほどLDLコレステロール値は低く、より良いアウトカムと関連する。治療レジメン、LDLコレステロール値のコントロール、および心血管イベントのない生存については、世界的に重大な格差が存在しており、こうした不平等を減らし、HoFHのすべての患者のアウトカムを改善するためには、世界的な健康政策の批判的な再評価が必要だ」としている。

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カレーライスの消費とうつ病、高血圧、糖尿病との関連

 韓国・順天大学校のHai Duc Nguyen氏らは、カレーライスの消費と心血管疾患(CVD)、2型糖尿病(T2DB)、関節炎、うつ病との関連について調査を行った。Diabetes & Metabolic Syndrome誌オンライン版2021年12月26日号の報告。カレーライスの消費が多かった人は高血圧やうつ病のリスクが有意に低い 18歳以上の1万7,625人を対象に、社会人口統計学的特性、ライフスタイル、病歴、現在使用している薬剤、家族歴、食物消費に関するデータを収集した。カレーライスの消費とCVD、T2DB、関節炎、うつ病との関連を調査するため、多変数調整分析を用いた。 カレーライスの消費と心血管疾患やうつ病との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・ロジスティックモデルでは、カレーライスの消費が多かった人は、少なかった人と比較し、トリグリセリドの上昇(OR:0.89、95%CI:0.82~0.97、p=0.006)、HbA1cの上昇(OR:0.81、95%CI:0.73~0.91、p<0.001)、グルコースの上昇(OR:0.86、95%CI:0.79~0.94、p<0.001)の割合が有意に低かった。・カレーライスの消費が多かった人は、少なかった人と比較し、高血圧(OR:0.88、95%CI:0.78~0.98、p=0.044)、T2DB(OR:0.82、95%CI:0.68~0.98、p<0.001)、うつ病(OR:0.82、95%CI:0.70~0.97、p=0.026)のリスクが有意に低かった。・これらの結果は、カレーライスの消費量を連続変数として扱った場合においても同様であった。 著者らは「通常の食事で、カレーライスを摂取することで得られる健康上のベネフィットとして、非感染性疾患の負担やメンタルヘルスを保護する可能性が示唆された。これらの疾患に対するカレーライスの役割を明らかにするためには、継続的な調査が必要である」としている。

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COVID-19入院時の患者に糖尿病の診断をする重要性/国立国際医療研究センター

 糖尿病は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクの1つであること、また入院中の血糖コントロールの悪化が予後不良と関連することが知られている。しかし、わが国では入院時点で新たに糖尿病と診断される患者の臨床的な特徴については、明らかになっていなかった。 国立国際医療研究センター病院の内原 正樹氏、坊内 良太郎氏(糖尿病内分泌代謝科)らのグループは、糖尿病を合併したCOVID-19患者の臨床的な特徴を分析し、その結果を発表した。この研究は2021年4月~8月に同院にCOVID-19と診断され入院した糖尿病患者62名を対象に実施された。 その結果、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19名で、糖尿病を合併した患者の約3割で、そのうち60歳未満の男性が12名(63.2%)と高い割合を占めた。また、この19名の患者では、糖尿病の既往や治療歴がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高く、入院初期の血糖コントロールが難しいことがわかった。重症化リスクの糖尿病を事前診療で察知することが重要【研究対象・方法】・2021年4月1日~8月18日までにCOVID-19と診断され、国立国際医療研究センター病院に入院した糖尿病患者62名・患者背景、重症度、血糖値の推移などのデータを集計・分析【研究結果】・62名の糖尿病患者のうち、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19名(30.6%)で、糖尿病の既往がある患者は43名(69.4%)。・新たに糖尿病と診断された患者のうち、60歳未満の男性は12名(63.2%)。・新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高い結果だった(52.6% vs. 20.9%、p=0.018)。・新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院後3日間の血糖値の平均が高く、糖尿病の初期の治療に難渋した。 今回の研究により診療グループは、「COVID-19の流行が続く状況でも、健康診断や人間ドックなどの受診を定期的に行い、糖尿病の早期発見や治療介入に繋げることが重要」と見過ごされていた点を指摘した。また、「『基礎疾患なし』と自己申告する患者の中に、一定数未診断の糖尿病患者が含まれていることが想定され、重症化リスクの高い患者の特定のため、今後はCOVID-19診断の段階で、可能な限り血糖値やHbA1cを評価することが望ましいと考える」と新規入院患者への対応にも言及している。

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ブレークスルー感染、女性・30歳以上で起こりやすい?

 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のJing Sun氏らが新型コロナワクチン接種後のブレークスルー感染*の発生率と発生率比(IRR)を特定することを目的とし、後ろ向きコホート研究を実施。その結果、患者の免疫状態に関係なく、完全ワクチン接種がブレークスルー感染のリスク低下と関連していることが示唆された。また、ブレークスルー感染が女性や30歳以上で起こりやすい可能性も明らかになった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年12月28日号掲載の報告。*本研究ではブレークスルー感染を、ワクチン接種の14日目以降に発症した新型コロナウイルス感染症と定義しており、2回目完了後の発症としていない。 本研究は、全米の新型コロナに関する臨床データを一元化しているNational COVID Cohort Collaborative(N3C)1)のデータに基づいて分析した。2020年12月10日~2021年9月16日の期間に新型コロナワクチンを1回以上接種した症例がサンプルに含まれた。また、ワクチン接種、新型コロナの診断、免疫機能障害の診断(HIV感染、多発性硬化症、関節リウマチ、固形臓器移植、骨髄移植)、そのほかの併存疾患、人口統計データを検証するにあたり、N3C Data Enclaveを介した。 この研究ではFDAが認可した3つの新型コロナワクチン(ファイザー製[BNT162b2]、モデルナ製[mRNA-1273]、J&J製[JNJ-784336725])と、そのほかのワクチン(アストラゼネカ製など)接種者が含まれた。また、完全ワクチン接種というのは、mRNAワクチンとそのほかのワクチン接種の場合は2回接種、J&J製の場合は1回接種と定義。部分ワクチン接種というのは、mRNAワクチンやそのほかのワクチンを1回のみ接種と定義付けた。2回接種または1回のみ接種後のリスクは、ポアソン回帰を使用して免疫機能障害の有無にかかわらず評価された。 主な結果は以下のとおり。・N3Cのサンプルには計66万4,722例が含まれていた。・患者の年齢中央値(IQR)は51歳(34~66)で、そのうち女性は37万8,307(56.9%)と半数以上を占めていた。・全体として、新型コロナのブレークスルー感染の発生率は、完全ワクチン接種者で1,000人月あたり5.0だった。しかし、デルタ変異株が主要株になった後は高かった(2021年6月20日以前と以降の1,000人月あたりの発生率は、2.2(95%信頼区間[CI]:2.2~2.2)vs. 7.3(95%CI:7.3~7.4)だった。・部分ワクチン接種者と比較し完全ワクチン接種者では、ブレークスルー感染のリスクが28%減少した(調整済みIRR [AIRR]:0.72、95%CI:0.68~0.76)。・完全ワクチン接種後にブレークスルー感染した人は、高齢者や女性が多かった。また、HIV感染者(AIRR:1.33、95%CI:1.18~1.49)、関節リウマチ(AIRR:1.20、95%CI:1.09~1.32)、および固形臓器移植を受けた者(AIRR:2.16、95%CI:1.96~2.38)では、ブレークスルー感染の発生率が高かった。・具体的には、ブレークスルー感染リスクは18〜29歳と比較して30歳以上で30〜40%増加した。・ブレークスルー感染リスクは併存疾患の数が増えるにつれて増加したが、このリスクは免疫機能障害の状態に関連しており、とりわけそれによってAIRRが弱められた。 免疫機能障害のある人は完全ワクチン接種しても、そのような状態ではない人よりもブレークスルー感染リスクはかなり高かったことを受け、研究者らは「免疫機能障害のある人は、ワクチン接種を完遂してもマスク着用やワクチンの代替となるような戦略(例:追加接種や免疫原性試験)が推奨される」としている。

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5年間のビタミンD補給により自己免疫疾患のリスク低減/BMJ

 5年間のビタミンD補給により、オメガ3脂肪酸の追加の有無を問わず、自己免疫疾患の発生が22%減少し、オメガ3脂肪酸の補給では、ビタミンD追加の有無にかかわらず、統計学的有意差はないものの同疾患が15%減少することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のJill Hahn氏らが行った「VITAL試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年1月26日号で報告された。米国のプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、ビタミンDと海産動物由来の長鎖オメガ3脂肪酸は自己免疫疾患のリスクを低減するかを検証する目的で、2×2ファクトリアルデザインを用いた二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 本試験には、2011年11月~2014年3月の期間に全米から2万5,871例(50歳以上の男性1万2,786例と55歳以上の女性1万3,085例)が登録され、2017年12月に5年間の介入が終了した。 参加者は、ビタミンD(コレカルシフェロール2,000 IU/日、1万2,927例)またはプラセボ(1万2,944例)、あるいはオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸460mgとドコサヘキサエン酸380mgを含む魚油カプセル1g/日、1万2,933例)またはプラセボ(1万2,938例)の補給を受ける群に無作為に割り付けられた。 追跡期間中央値は5.3年で、参加者はこの間に発生した新規の自己免疫疾患をすべて報告し、これらの疾患は医療記録の調査で確定された。 主要エンドポイントは、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、自己免疫性甲状腺疾患、乾癬を含むすべての自己免疫疾患の新規発生とされた。高度疑い例を加えると、オメガ3脂肪酸群でも有意にリスク低下 全体の平均年齢は67.1歳で、71%が非ヒスパニック系白人、20%が黒人で、9%はその他の人種/民族であった。4,555例(18%)が無作為化の前に1つ以上の自己免疫疾患を有していた。 ビタミンD群(ビタミンD+オメガ3脂肪酸とビタミンD単独)で123例、プラセボ群で155例が自己免疫疾患と確定され、ビタミンD群で自己免疫疾患のリスクが22%有意に低下した(補正後ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.61~0.99、p=0.05)。 また、オメガ3脂肪酸群(ビタミンD+オメガ3脂肪酸とオメガ3脂肪酸単独)で130例、プラセボ群で148例が自己免疫疾患と確定され、オメガ3脂肪酸群でリスクが15%低下したが、両群間に有意な差は認められなかった(補正後HR:0.85、95%CI:0.67~1.08、p=0.19)。 自己免疫疾患の確定例に高度疑い例を加えた解析では、自己免疫疾患の発生はビタミンD群で210例、プラセボ群で247例(補正後HR:0.85、95%CI:0.70~1.02、p=0.09)と有意差はなかったのに対し、オメガ3脂肪酸群は208例と、プラセボ群の249例(0.82、0.68~0.99、p=0.04)に比べリスクが有意に低下した。 参照群(ビタミンDのプラセボ+オメガ3脂肪酸のプラセボ)の自己免疫疾患確定88例と比較して、ビタミンD+オメガ3脂肪酸群では63例(補正後HR:0.69、95%CI:0.49~0.96、p=0.03)、ビタミンD単独群では60例(0.68、0.48~0.94、p=0.02)と、いずれもリスクが有意に低下したが、オメガ3脂肪酸単独群では67例(0.74、0.54~1.03、p=0.07)であり、わずかに有意差には達しなかった。 著者は、「ビタミンDとオメガ3脂肪酸は栄養補助食品として忍容性が高く、毒性もなく、ほかに自己免疫疾患の発生を抑制する効果的な治療法はないため、本試験の臨床的重要性は高いと考えられる」としている。

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トファシチニブ、心血管リスクの高いRA患者での安全性を検討/NEJM

 心血管リスクの高い関節リウマチ患者において、トファシチニブ5mgまたは10mgの1日2回投与は腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬と比較し、主要有害心血管イベント(MACE)および悪性腫瘍の発現率が高く、非劣性基準を満たさなかった。米国・メイヨー・クリニックのSteven R. Ytterberg氏らが30ヵ国323施設で実施した、無作為化非盲検非劣性第IIIb-IV相安全性評価試験「ORAL Surveillance試験」の結果、明らかとなった。日和見感染症、帯状疱疹および非黒色腫皮膚がんの発現率もトファシチニブ群が高率であることが示された。NEJM誌2022年1月27日号掲載の報告。トファシチニブ2用量の安全性をTNF阻害薬と比較 研究グループは、2014年3月~2020年7月に、メトトレキサート治療を受けているにもかかわらず活動性の関節リウマチであり、心血管リスク因子(現喫煙者、高血圧、HDLコレステロール値40mg/dL未満、糖尿病、早発性冠動脈疾患の家族歴、関節リウマチの関節外病変、冠動脈疾患の既往歴)を1つ以上有する50歳以上の患者を、トファシチニブ5mgの1日2回投与群、同10mgの1日2回投与群、TNF阻害薬投与群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。TNF阻害薬の投与は、米国、プエルトリコ、カナダを含む北米ではアダリムマブ40mgを2週間ごと、それ以外の地域ではエタネルセプト50mgを週1回とした。 主要評価項目は、外部委員会判定によるMACEおよび悪性腫瘍(非黒色腫皮膚がんを除く)。TNF阻害薬群と比較して、トファシチニブ2用量統合群のハザード比の両側95%信頼区間(CI)の上限が1.8未満の場合、トファシチニブの非劣性を示すものとした。MACE、悪性腫瘍のいずれもトファシチニブで発現リスクが高い 解析対象は、トファシチニブ5mg群1,455例、トファシチニブ10mg群1,456例、TNF阻害薬群1,451例であった。 追跡期間中央値4.0年において、MACEおよび悪性腫瘍の発現率は、トファシチニブ統合群でそれぞれ3.4%(98例)、4.2%(122例)、TNF阻害薬群で2.5%(37例)、2.9%(42例)であり、トファシチニブ統合群で高率だった。ハザード比は、MACEが1.33(95%CI:0.91~1.94)、悪性腫瘍が1.48(95%CI:1.04~2.09)で、いずれもトファシチニブの非劣性は示されなかった。 また、日和見感染症(帯状疱疹、結核を含む)、すべての帯状疱疹(非重篤および重篤)、および非黒色腫皮膚がんの発現率も、TNF阻害薬群よりトファシチニブ5mg群および10mg群で高かった。 有効性は3群で同等であり、2ヵ月目から認められた改善は試験終了まで持続した。

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糖尿病薬変更の意外すぎる理由【処方まる見えゼミナール(大橋ゼミ)】

処方まる見えゼミナール(大橋ゼミ)糖尿病薬変更の意外すぎる理由講師:大橋 博樹氏 / 多摩ファミリークリニック院長動画解説ある糖尿病患者さんに、ガイドライン通りの治療を行っていた大橋先生。しかし、全然血糖コントロールができません。一体何が問題だったのでしょうか。そして、次の選択は? 患者さんの生活スタイルや背景に合わせた薬剤選択、目標血糖値を紹介します。

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インスリン注射日が不規則 これっていいの?【処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)】

処方まる見えゼミナール(三澤ゼミ)インスリン注射日が不規則 これっていいの?講師:三澤 美和氏 / 大阪医科大学附属病院 総合診療科動画解説インスリンの投与日が不規則に設定された不思議な処方箋。そこには、現代社会が抱えるある問題が関係していました。今後、高齢者がインスリンを継続するために考えられる対策や、糖尿病治療の変化を紹介します。

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ACE阻害薬 副作用の説明に落とし穴【スーパー服薬指導(3)】

スーパー服薬指導(3)ACE阻害薬 副作用の説明に落とし穴講師:近藤 剛弘氏 / 元 ファイン総合研究所 専務取締役動画解説前回、ACE阻害薬が追加となった糖尿病の患者が再び薬局を訪れた。気になることがあるので相談したいと言われ、薬剤師は代表的な副作用を思い浮かべた後、話を聞き始めたが…

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「低血糖のほかに副作用はないのかい?」~薬理作用による副作用~【ダイナミック服薬指導(1)】

ダイナミック服薬指導(1)「低血糖のほかに副作用はないのかい?」~薬理作用による副作用~ 講師 佐藤 ユリ氏 / 株式会社プリスクリプション・エルムアンドパーム 企画統括部部長、特定非営利活動法人どんぐり未来塾代表理事麻生 敦子氏 / 株式会社オオノ薬局業務部教育課課長、特定非営利活動法人どんぐり未来塾副理事 動画解説新しい糖尿病の薬が追加になった患者さん。糖尿病薬には低血糖の副作用があることは理解しているが、ほかにどんな副作用があるのか知りたいという。副作用について説明するときには、どんぐり流の「副作用機序別分類」が役立ちます!

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新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。 2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。 主な結果は以下の通り。・計379例が適格となり、解析対象とされた。年齢中央値は59歳で、約33%が女性だった。・PCRテスト回数の中央値は2(1~26)回。複数回PCRテストを実施した患者の90%以上で、ウイルス量は1回目または2回目でその個人の最大値を示した。・約59%に基礎疾患があり、約21%に3つ以上の基礎疾患があった。・基礎疾患について詳細は、高血圧症が38.5%、糖尿病が21.6%、がんが18.7%、脂質異常症が18.5%、呼吸器疾患が10.8%、心疾患が9.0%、高尿酸血症が7.7%、慢性腎臓病が6.6%、脳卒中が5.0%、関節リウマチが2.1%だった。・1人を除きワクチンは未接種だった。・性別、年齢、喫煙状況について調整後の多変量回帰分析の結果、上記基礎疾患を3つ以上重複して有する患者では、基礎疾患のない患者と比較して、ウイルスコピー数が87.1倍(95%信頼区間[CI]:5.5~1380.1)高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・また、関節リウマチ患者では1659.6倍(95%CI:1.4~2041737.9)、脳卒中患者では234.4倍(95%CI:2.2~25704.0)倍、糖尿病患者では17.8倍(95%CI:1.4~ 223.9)ウイルスコピー数が高く、ウイルスコピー数の多さと有意に関連していた。・入院時の血液検査結果における血小板数とCRPレベルの低さも、ウイルスコピー数の多さと関連していた。 著者らは、軽症患者が解析に含まれていない点、変異株による影響が不明な点等の本研究の限界を挙げたうえで、基礎疾患の有無や検査値などの入院時に得られる情報に基づき、スーパースプレッダーとなる可能性の高い患者に対しては、とくに感染の初期において注意深い感染管理措置が必要なことが示されたとまとめている。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー  CONNECTED PAPERSの活用 その2【「実践的」臨床研究入門】第16回

見逃していたかもしれない関連研究を調べる前回は“CONNECTED PAPERS”の概要と使い方のはじめのステップについて解説しました。今回は、われわれのリサーチ・クエスチョンのトピックについて、見逃していたかもしれない関連研究を調べてみたいと思います。“CONNECTED PAPERS”を用いると「Key論文」1)を中心とした関連研究の関係性がリンクのように中央のウィンドウに図示されます。個々の論文のノード(連載第15回参照)にマウスオーバーすると、その論文のタイトルとAbstractがWebページの向かって右側のウィンドウに表示されます。そこにはその論文のDigital Object Identifier(DOI)(連載第15回参照)やPubMedへのリンクも貼られています。向かって左側のウィンドウには「Key論文」1)を筆頭に関連研究が列挙されています。こちらのウィンドウにある“Expand”というボタンをクリックすると、ウィンドウが拡大し、関連研究論文各々の「論文タイトル」、「著者」、「出版年」、「被引用数」、「引用論文数」、(「Key論文」1)からの)「類似性」という文献情報が列記されていることがわかります。デフォルトでは「類似性」順に並んでいますが、上記の文献情報項目毎にソート(並べ替え)することができます。ここでは、コクラン・フル・レビュー論文である「Key論文」1)以降の関連研究をまずは見てみたいので、「出版年」の降順でソートしてみましょう。すると、連載第16回執筆時点(2022年1月)では、「Key論文」1)が出版された2007年以降に以下の関連研究論文が出版されていることがわかります(臨床研究かつDOIが確認されたものに限定)。ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)1編2)システマティック・レビュー(SR: systematic review)8編3-10)総説1編11)なんと、RCTをメタ解析したSRが2008年以降に8編もヒットしました。そのうち連載第12回で取り上げた非糖尿病患者をP(対象)としたコクランSR1編4)、非糖尿病患者もPに組み入れている非コクランSR2編6,9)を除外し、Pを糖尿病性腎疾患患者にしぼった非コクランSR5編の一覧を下記の表にまとめました。「Key論文」1)でメタ解析されていた腎機能低下の指標である推定糸球体濾過量(eGFR)低下速度の変化(連載第14回参照)というO(アウトカム)について、点推定値と95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)を記述し整理してみました。表に示したとおり、非コクランSR3編3,7,8)ではコクランSRである「Key論文」1)の結果と同様、糖尿病性腎疾患に対する低たんぱく食の効果は認められなかった、と結論しています。一方、他の非コクランSR2編5,10)では、eGFR低下速度の変化の95%CIがゼロをまたいでおらず、低たんぱく食群は対照群と比較して統計学的有意に腎機能低下が緩やかであったことを示しています。1)Robertson L, et al. Cochrane Database Syst Rev.2007 Oct. 17:CD002181.DOI: 10.1002/14651858.CD002181.pub22)Koya D, et al. Diabetologia. 2009 Oct;52:2037-45.3)Pan Y, et al. Am J Clin Nutr. 2008 Sep;88:660-6.4)Fouque D, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2009 Jul 8; CD001892.5)Nezu U, et al. BMJ Open. 2013 May 28;3:e002934.6)Rughooputh MS, et al. PloS one. 2015;10:e0145505.7)Zhu HG, et al. Lipids Health Dis. 2018 Jun 19;17:141.8)Li XF, et al. Lipids Health Dis.2019 Apr 1;18:82.9)Yue H, et al. Clin Nutr.2020 Sep;39:2675-85.10)Li Q, et al. Diabetes Ther. 2021 Jan;12:21-36.11)Otoda T, et al. Curr Diab Rep. 2014;14:523.

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第93回 アムロジピンも足りない!?供給不足を「怪我の功名」にするには…

メディアにはいまもなお旧来的なヒエラルキーがある。まず、多くの人もご承知の通り、最近では「レガシー・メディア」とも揶揄される大手新聞社・NHK・民放キー局が頂点に位置し、その下に週刊誌・月刊誌、さらに最下層に現在では最もすそ野が広いインターネットメディアの3層構造となっている。私のようなフリーランスの主戦場は下の2層となる。そうした中でこれまでインターネットメディアは最下層ながらも速報性・拡散性でほかを圧倒してきたが、現在では上位2層もネットメディアを有するようになり、メディア業界は横並びの混戦となりつつある。とはいえレガシー・メディアが有する「伝統」と「信頼」はまだまだ牙城である。ここ最近、それを実感させられることに遭遇した。昨年来私が注目していた出来事がある。それはジェネリック医薬品企業の不祥事に端を発した「医薬品供給不足問題」である。当初、懸念をしつつも私自身が成り行きをやや甘く見ていたが、昨秋ある薬剤師と話をしていて「アムロジピンが手に入らないんですよ」とこぼされた際にはさすがに驚いた。表現はやや下衆だが、アムロジピンと言えば「馬に食わせても良い」ほどありふれた薬である。「冗談が過ぎるよ」と言い返した私は、この薬剤師に半ば逆上されてしまった。もちろんその後、良く調べて事実と分かり、この薬剤師に平謝りした。当然、私の職責としてはこれを捨ておくわけにはいかない。主戦場の雑誌やインターネットメディアの何社かに企画提案をしたが、反応は冷ややかだった。反応を大まかにまとめて言うと「もともとジェネリック医薬品なんかバッタもんでしょ。無くなっていいんじゃないですか?」というものだ。しかし、今や特許失効成分の流通量の約8割をジェネリック医薬品が占めている中で、「無くなっていい」はずもない。ある編集者は「ジェネリック医薬品を推進した厚生労働省を斬る方向なら考えても良いよ」とも返された。厚労省による診療報酬による政策誘導にはある種の嫌悪感はなくもないが、それも何かが違う。「お役人の代弁者」と皮肉られるかもしれないが、高齢化が進展する日本の社会保障制度を考えた場合にジェネリック医薬品の推進は不可欠とも考えるからだ。そんなこんなのうちにNHKが「医薬品不足取材班」なるものを立ち上げ、「薬がない!?」と題した特集を組み始めると、一気に風向きが変わった。以前冷淡な態度だった編集者が「先日話していた件ですけど…」と連絡を取ってきた。別に人が悪いわけでも何でもないが、私は「あいにく別のところでやることになって…」と返した。事実、そうだったからだ。ちなみにその「別のところ」の編集者に話した際も「なんか最近NHKでやってましたね」という反応だった。伝統ある大手メディアが取り上げると、読者がそれに注目するだろうと考えるわけである。「××がくしゃみをすると、○○が風邪をひく」の法則とも言える。実は私も最終的に「別のところ」に提案したのはNHKが取り上げたので「そろそろどこかが食いつく」と思ったからであり、さらに言えば以前提案した編集者に再提案するのも何かと面倒だからほかの編集者に持ち掛けたという次第だ(やっぱり人が悪いか…)。先ほどのヒエラルキーで言うと、さらに最下層あるいは完全に外側になるフリーランスの辛酸を20年以上味わってきた身の処世術でもある。さて前置きが長くなってしまったが、ここからが本論だ。今回の不祥事、ほとんどはジェネリック医薬品企業が製造手順や品質試験を悪く言えば「ごまかしていた」から起きたことで、決して許されるべきことではない。同時にこれまた悪く言えば、厚労省もジェネリック医薬品推進の旗印を掲げ、太鼓を打ち鳴らして現場を鼓舞してきたものの、後は企業に対して単なる性善説で臨んでいただけともいえる。ならばなぜ前述の厚労省批判の切り口で提案してきた編集者に組しなかったのかと問われれば、厚労省が「特定の悪者」ではないからだ。もっとも処方する医師、調剤する薬剤師は足りない医薬品を「打出の小槌」で出せるわけもないので少なくとも被害者であることは確かである。ただ、今回の件で薬剤師の中からは「どうしようもなくて医師に電話連絡して同種同効薬への変更をお願いしたら、『薬局に薬があるかどうかなんて知ったことじゃない。それは薬局の問題でしょ』と返答された」という話はよく耳にした。現在、出荷調整が続く医薬品の納入では、医薬品卸が各薬局の直近の納入実績に応じて事実上「配給」をしている状態。大規模病院の医師と話すと、中にはこの問題をあまり知らないこともあるが、それは納入実績や取引が元々巨額であるというビジネス上の理由から医薬品卸が大規模病院やその門前の調剤薬局チェーンを最優先しているだけで、市中の中小薬局に罪はない。そして医師と薬剤師でこうした些細な応酬(薬剤師側はそんなつもりはないだろうが)をしているのは不毛の極み。患者はいい迷惑である。この点についてはとくに医師と薬剤師の間ではノーサイドにしてもらいたい。とはいえ、「企業の問題だから医療現場は何もできない」も私からすると異論がある。数少ないながらも対応策はあると思うからだ。それはコロナ禍の影響のせいか、最近やや霞みつつある「多剤併用(ポリファーマシー)・残薬の解消」である。もっとも「またどっちつかずか」と言われそうだが、薬物療法の中で悪の権化のごとく語られるポリファーマシーについて、私は善意の結果だと思っている。医師側は患者の訴えに応じてそれを何とか解消しようと症状ごとに薬を処方する、症状が悪化したら患者が気の毒だから念のため併用療法をする。一方、患者は不安だからより多くの薬をもらおうとする。あるいは、患者自身は処方された薬を実際にはほとんど服用せず、症状改善しないと首をかしげる医師に怖くてそのことは言えないので、医師は何とかしようと作用機序の違う同効薬が重ねられるということもあるだろう。ポリファーマシーはこれらの総体というのが私見だ。ざっくり言えば誰も悪意がないゆえに、なかなか手を付けにくい。とはいえ残薬とポリファーマシー解消に向けて2016年の診療報酬改定で重複投薬・相互作用等防止加算の名称変更と算定要件の拡大が行われたことを契機に薬剤師が以前よりも積極的に取り組むようになってはいる。実際、日本薬剤師会学術大会では、この2016年の診療報酬改定直後から残薬調整などを通じた減薬の成果報告があふれていた。現在は当時ほどの盛り上がりはないが、これは徐々にこうした取り組みが定着しつつあるものと好意的に受け止めたい。もっとも問題そのものも依然として消えていないことは各所から耳にする。だからこそこの医薬品供給不足を機に今一度、「減薬」に一歩踏み込めないだろうか? 一部からは「薬が足りないから減薬をしろとは本末転倒」と言われるかもしれない。しかし、善意をベースに慣習的に続いているものを何のきっかけもなしに変化させることがいかに難しいかは、世の中のさまざまな事象でみられること。だからこそ医師にも薬剤師にも「災い転じて福となす」に向かってほしいと思うのは理想論だろうか?

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2型DM発症リスク、肥満でなくても腹囲が影響/BMJ

 体格指数(BMI)が高値ほど2型糖尿病を発症するリスクは高く、肥満であるか否かにかかわらず、腹囲の大きさと2型糖尿病リスクには強い正の線形の関連性が認められることが明らかにされた。イラン・Semnan University of Medical SciencesのAhmad Jayedi氏らが、200件超の試験を対象に行ったメタ解析の結果を報告した。BMJ誌2022年1月18日号掲載の報告。2型糖尿病患者230万例を対象にメタ解析 研究グループは、BMI、腹囲、肥満およびこれらの測定比の違いと2型糖尿病リスクとの関連を統合的レビューで明らかにするため、PubMed、Scopus、Web of Scienceを基に、2021年5月1日までに収載された試験を対象に、システマティックレビューと用量反応性メタ解析を行った。対象とした試験は、一般成人集団を対象に行われ、肥満・体脂肪含有量と2型糖尿病リスクに関して検討したコホート試験。 ランダム効果用量反応性メタ解析で関連の度合いを予測し、1段階重み付け混合効果メタ解析により、曲線関係モデルを構築し評価した。 検索により、216件のコホート試験(被験者総数2,600万人)に含まれる2型糖尿病患者230万例を特定した。中心性肥満の指数、肥満と独立したリスク因子 BMIの5単位増加による、2型糖尿病発症に関する相対リスクは1.72(95%信頼区間[CI]:1.65~1.81、182試験)だった。腹囲10cm増加による同相対リスクは1.61(1.52~1.70、78試験)、また、腹囲/臀囲比0.1単位増加による同相対リスクは1.63(1.50~1.78、34試験)、腹囲/身長比0.1単位増加による同相対リスクは1.73(1.51~1.98、25試験)だった。内臓肥満指数の1単位増加では、同相対リスクは1.42(1.27~1.58、9試験)、体脂肪率10%増加では、同相対リスクは2.05(1.41~2.98、6試験)、ボディシェイプ指数の0.005単位増加では、同相対リスクは1.09(1.05~1.13、5試験)、BAI(body adiposity index、臀囲を用いた肥満指数)の10%増加による同相対リスクは2.55(1.59~4.10、4試験)、臀囲10cm増加による同相対リスクは1.11(0.98~1.27、14試験)だった。 BMIと2型糖尿病リスクには、強い正の線形の相関が認められた。線形または単調な関連性は、特定のカットオフ値で顕著な逸脱を認めることなく、全地域・人種/民族を通じて認められた。 また、全般的な肥満とは独立して、中心性肥満の指数と2型糖尿病リスクには、正の線形または単調な関連性が認められた。総脂肪量・内臓脂肪量と同リスクについても正の線形または単調な関連性が認められたが、試験数は少なかった。

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コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡1)を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合 上記に該当する場合には、自治体の判断で、以下(1)~(3)の対応を行うことが可能。(1)発熱等の症状がある場合でも、重症化リスクが低いと考えられる方(※1)については、医療機関の受診前に、抗原定性検査キット(※2)等で自ら検査していただいた上で受診することを呼びかけること。この場合に、医師の判断で、受診時に再度の検査を行うことなく、本人が提示する検査結果を用いて確定診断を行って差し支えない。 ただし、本人が希望する場合には検査前でも医療機関への受診は可能であることや、症状が重い場合や急変時等には速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかけること。また、重症化リスクが高い方については、これまでどおり医療機関を受診していただき、適切な医療が受けられるようにすること。※1:たとえば、40歳未満で危険因子(基礎疾患・肥満等(注))を持たない、ワクチン2回接種済みの方を対象とすることが考えられる。臨床データ等を踏まえ、自治体において対象を変更することは差し支えない。(注)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.1版」において、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、基礎疾患等のある方として慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満のある方、喫煙、一部の妊娠後期の方があげられている。※2:抗原定性検査キットを用いる場合、検査結果が陰性であっても、症状が継続する場合等は医療機関を受診することや、検査結果が陽性の場合は、受診時に医師に提示できるよう、スマートフォン等を用いて画像として保存しておく等検査結果が分かるものを手元に残しておくことを併せて呼びかけるとともに、(2)の電話診療・オンライン診療をできるだけ活用すること。 抗原定性検査キットについては、有症状者が対象となりうることを踏まえ、下記を参考に自治体において対応をお願いする。なお、事業者等への委託を行う場合は、行政検査として、配布に当たって生じる委託料を感染症予防事業費負担金の対象とすることが可能である。・自治体等から有症状者に抗原定性検査キットを事前に配付する・医療機関で対象者に検査キットのみを配布する・事業者等に委託して「抗原定性検査キットセンター」等を設置して、当該センターで検査キットを配布する・自治体の庁舎等に検査キット配布窓口を設置して、検査キットを配布する この他、従前より、本人が薬局から購入し自宅に備え付けているものや自治体等から配布されたものがあれば、それを活用することが考えられるところ、地域の状況を踏まえた対応をしていただきたい。(2)地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療・オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用すること。 (3)同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること(※3)。 こうした場合でも、経口薬など治療薬の投与が必要となる場合等は、医師の判断で検査を行うことが可能であること。※3:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」)第12条第1項に基づく医師の届出に当たっては、疑似症患者として届け出ること。また、疑似症患者の場合には、入院を要すると認められる場合に限り当該届出を行うこととされているが、本対応を行う場合には、入院以外の場合であっても、届出をお願いすること。この場合、「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和3年11月30日付け(令和4年1月24日一部改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡2))Vの取扱いに従って届け出ること。外来医療のひっ迫が想定される場合 地域において外来医療のひっ迫が想定される場合には、自治体の判断で、以下の対応を行うことが可能。・症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる方について、自らが検査した結果を、行政が設置し医師を配置する健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関の受診を待つことなく健康観察(※)を受けること。※ITを活用した双方向による健康観察を行うことを想定(症状が悪化した場合、患者が入力した情報からその状況をシステム上で把握)。さらに、体調悪化時には必ず繋がる連絡先を伝えること。また、この場合、同センター等の医師が感染症法第12条第1項に基づく届出を行うこととなる。

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18歳未満の新型コロナ感染者、糖尿病発症率が増加/CDC

 米国・CDCの研究で、18歳未満のCOVID-19患者において、SARS-CoV-2感染後30日以降における糖尿病発症率が増加することが示唆された。CDCのCOVID-19 Emergency Response TeamのCatherine E. Barrett氏らが、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月14日号に報告した。 COVID-19は糖尿病患者において重症となるリスクが高い。また、欧州ではパンデミック中に小児における1型糖尿病診断の増加および糖尿病診断時の糖尿病ケトアシドーシスの頻度増加と重症度悪化が報告されている。さらに成人においては、SARS-CoV-2感染による長期的な影響として糖尿病が発症する可能性が示唆されている。 CDCでは、SARS-CoV-2感染後30日以降に糖尿病(1型、2型、その他)と新規に診断されるリスクを調べるため、2020年3月1日~2021年2月26日のIQVIAのヘルスケアデータを用いて構築した後ろ向きコホートから、18歳未満のCOVID-19患者の糖尿病発症率を推定し、パンデミック中にCOVID-19と診断されなかったかパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器感染症と診断された患者で年齢・性別が一致した患者の発症率と比較した。さらに、COVID-19に関連する可能性がある外来診察患者を含むデータソース(HealthVerity、2020年3月1日~2021年6月28日)で分析した。 その結果、糖尿病発症率は、COVID-19患者のほうがCOVID-19患者以外(IQVIAでのハザード比[HR]:2.66、95%信頼区間[CI]:1.98~3.56、HealthVerityでのHR:1.31、95%CI:1.20~1.44)およびパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器疾患と診断された患者(IQVIAでのHR:2.16、95%CI:1.64~2.86)より有意に高かった。

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