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アリスミアのツボ Q24

Q24 抗凝固療法、抗血小板薬2剤の併用(triple therapy)は大丈夫? 「混ぜるな、危険」が基本ですが…… ヒトは太古の昔から出血と闘ってきました。今でこそ血栓症が死因の多くを占めますが、つい江戸時代までは斬る、斬られるで、大出血や感染症が死因の多くを占めていたと考えられます。 そして、この大出血を防ぐための生体のシステムが、血小板と凝固カスケードです。と考えれば、抗凝固療法で凝固カスケードをブロックし、抗血小板薬2剤併用で二方向から血小板機能をブロックすれば、大出血を防ぐためのシステムがなくなり……その結果すべての出血が大出血へと変化してしまいます。“The more, the better”は、そもそもこの領域には当てはまらないのです。 なので、抗血栓薬は「混ぜるな、危険」が基本です。ただ、人間の行動には慣性モーメントが働いています。これまで動脈血栓予防には抗血小板薬を、静脈血栓予防には抗凝固薬をと身に染みつくくらい習ってきたので、両方のリスクがあるなら抗血栓薬を重ねるという慣性モーメントが働いてしまいます。 まだ、この分野には十分なエビデンスがなく、最低限これだけで大丈夫とはいえないのですが(具体的な処方はまだ確定していません)、できるだけ抗血栓薬は少なくできないかを考える機会を持つことが重要でしょう。そのとき、 (1)ステントを用いていない場合は、抗凝固療法は抗血小板薬を兼ねる (2)ステントが入っている場合でも、ステントの改良で抗血小板薬2剤の併用が必要となる期間は短縮している という2つの知識が生かされると思います。長い間お楽しみいただいた「Dr山下のアリスミアのツボ」は、今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。

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83)ダンベルの正しい使い方の指導と運動のすすめ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師運動の方はいかがですか?患者それが、暑くて運動ができなくて……。医師なるほど。家にダンベルなど運動器具を持っていますか?患者はい。ダンベル体操が流行ったときに、すぐにダンベルを買って、持っています。医師なるほど。今は、どこにありますか?患者漬物石の代わりにしています。医師ダンベルは持っているだけではだめで、手に持たないといけませんよ。患者ハハハ。確かにそうですね。これからは手に持つようにします。(動機づけの言葉)●ポイントユーモアを交えて、ダンベルを用いた筋トレについて説明します

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心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet

 心房細動(AF)患者へのジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)治療は、全死因死亡、血管系による死亡、および突然死の有意な増大と関係していることが、Jeffrey B Washam氏らが行ったROCKET AF被験者データの後ろ向き分析で示された。関連は、他の予後因子とは独立しており、著者は「残余交絡の影響の可能性も示唆されたが、ジゴキシンの影響の可能性が示された。心不全あり・なしのAF患者で、ジゴキシン治療の無作為化試験を行う必要がある」と報告している。ジゴキシンは、無作為化試験のデータが不足しているにもかかわらずAF患者に広く使われている。Lancet誌オンライン版2015年3月5日号掲載の報告。ROCKET AF被験者データを後ろ向きに分析 ROCKET AF試験は、AF患者の脳卒中および血栓塞栓症の予防についてリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)vs. ビタミンK拮抗薬を検討した多施設共同無作為化試験であった。被験者は45ヵ国で登録され、AF歴およびそのリスク因子相当の中等度~重度の脳卒中リスクを有していた。心不全の有無は問わなかった。 研究グループは、ベースラインおよび試験中のジゴキシン使用状況で患者を包含・層別化し、ジゴキシン使用と有害心血管アウトカムの関連を調べた。 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、ベースライン特性、使用薬剤で補正後、ジゴキシンと全死因死亡、血管系による死亡、突然死との関連を調べた。使用患者は全死因死亡、血管系死亡、突然死が有意に増大 無作為化を受けた1万4,171例のうち、ベースラインでジゴキシン使用が認められたのは5,239例(37%)であった。 分析の結果、ジゴキシン使用患者は、女性が多く(42% vs. 38%)、また心不全(73% vs. 56%)、糖尿病(43% vs. 38%)、持続性AF(88% vs. 77%)既往者が多い傾向がみられた(それぞれ比較のp<0.0001)。 補正後、ジゴキシンと、全死因死亡の増大(100患者年当たり発生5.41例vs. 4.30例、ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:1.04~1.32、p=0.0093)、血管系による死亡の増大(同:3.55例vs. 2.69例、1.19、1.03~1.39、p=0.0201)、突然死の増大(同:1.68例vs. 1.12例、1.36、1.08~1.70、p=0.0076)が認められた。

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家族性高コレステロール血症患者は2型糖尿病の有病率が低い/JAMA

 家族性高コレステロール血症を有する患者のほうが、有さない患者よりも2型糖尿病の有病率が有意に低いことが、オランダ・アムステルダム大学メディカルセンター(AMC)のJoost Besseling氏らによる検討の結果、明らかにされた。同国6万3,320例を対象とした横断研究による結果で、遺伝子変異のタイプによっても有意に異なることが判明し、著者は、「今回の知見が縦断研究でも確認されれば、2型糖尿病発症の原因として、LDL受容体を介する膜内外コレステロール輸送が関連している可能性が高まるだろう」と指摘している。JAMA誌2015年3月10日号掲載の報告より。家族性高コレステロール血症と2型糖尿病発症の関連を断面研究 本検討は、家族性高コレステロール血症は、肝臓や膵臓など末梢細胞でのコレステロール取り込み障害によって特徴付けられること、対照的に、スタチン治療は細胞コレステロール取り込みを増大し、2型糖尿病発症リスクの増大と関連している知見が示されていたことを踏まえて行われた。これらの知見から研究グループは、膜内外コレステロール輸送が、2型糖尿病の発症に結び付くとの仮説を立て、2型糖尿病と家族性高コレステロール血症の関連を調べた。 検討は、断面研究にて、1994~2014年のオランダ全国スクリーニングプログラムに参加し、家族性高コレステロールのDNA検査を受けた6万3,320例を対象に行われた。 家族性高コレステロール血症遺伝子変異の有害性および非有害性は、文献や検査室機能検査に基づき評価した。また、LDL受容体(LDLR)遺伝子変異はアポリポ蛋白B(APOB)遺伝子変異よりも重大であるとみなし、LDLR変異型のうち受容体陰性タイプが受容体欠損タイプよりも重大であるとみなし、2型糖尿病の有病率を主要評価項目として各関連を評価した。家族性高コレステロール血症患者で2型糖尿病有病率が有意に低い 結果、2型糖尿病有病率は、家族性高コレステロール血症(FH)患者群は1.75%(440/2万5,137例)に対し、非FH患者群は2.93%(1,119/3万8,183例)で、FH患者群のほうが有意に低かった(オッズ比[OR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.55~0.69、p<0.001)。多変量回帰モデルを用いたFH群の補正後2型糖尿病有病率は1.44%で、両群差は1.49%、ORは0.49(95%CI:0.41~0.58)であった(p<0.001)。 また、APOB遺伝子変異群、LDLR遺伝子変異群の補正後2型糖尿病はそれぞれ1.91%、1.33%で、非FH群と比較したORは、それぞれ0.65、0.45(いずれもp<0.001)であった。 さらにLDLR変異型別にみた2型糖尿病有病率は、受容体欠損タイプ群1.44%、受容体陰性タイプ群1.12%で、非FH群と比較したORは、それぞれ0.49、0.38(いずれもp<0.001)であった。

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山中伸弥氏が語るiPS細胞研究の発展と課題

 2015年3月19日、日本再生医療学会にて、京都大学 iPS細胞研究所(Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University、以下CiRA)の山中 伸弥氏が「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」と題して講演した。進むiPS細胞再生医療 理化学研究所などのiPS細胞を使った加齢黄斑変性患者を対象とした臨床研究が承認され、iPS細胞研究の医療応用に向けて大きな一歩を踏み出した。CiRAでもいくつもの研究が進んでいる。パーキンソン病:ドパミン産生神経細胞の高純度の作製に成功し、現在サルのパーキンソン病モデルを用いて効果と安全性を検証中である。良好な結果であることから、年内に臨床研究の申請へと進める予定である。iPS細胞による輸血:血小板の元である巨核球、赤血球前駆細胞作製に成功。とくに血小板は大量培養のシステムを確立している。早い段階で臨床研究に入ると予想される。血小板も赤血球も放射線を当てることができ、増殖性の残っている細胞はすべて殺せるため安全性を確保できるという。本邦は急速な高齢化により今後10年以内に献血だけでは輸血が補えなくなると予想される。このように献血を補うアプローチは喫緊の課題だ。糖尿病:2次元カルチャーと3次元カルチャーでアプローチしている。2次元カルチャーでは、すでにiPS細胞からインスリン産生細胞の作製に成功している。マウスへの移植で血中のヒトC-ペプチドが増加することも確認されている。将来糖尿病の再生医療を実現。また3次元カルチャーでは、iPS細胞から膵臓を丸ごとつくることを目指す。現在、膵臓のオルガノイド作製に成功しており、今後の発展に期待がかかる。心筋再生治療:大阪大学では、すでに骨格筋芽細胞シートで重症心不全に対する良好な成績をあげているが、iPS細胞由来の心筋細胞シートについても大阪大学との共同研究で、作製に成功。動物での改善が示されている。さらに、心筋細胞シートに加え、心筋、内皮細胞、血管壁細胞で構成された心臓細胞シートの作製に成功。こちらも動物モデルで有意な心機能の改善が確認されている。心臓移植の待機中に亡くなる方も少なくない。そのような患者の延命につながると期待される。関節疾患:関節軟部疾患に対する再生医療アプローチを行っており、ヒトiPS細胞からの軟骨細胞作製に成功している。iPS細胞由来の軟骨細胞の移植により外傷等比較的欠損が小さい症例への治療に期待がかかる。筋ジストロフィー:筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞から骨格筋幹細胞を作製し、この細胞を筋ジストロフィーモデルの免疫不全マウスへ移植することで病態の再現に成功。今後臨床応用を目指す。iPS細胞によるがん免疫の若返り:T細胞などの免疫細胞はがん細胞を攻撃するが、加齢に伴い免疫細胞は疲弊し、がん細胞の増殖転移が進む。そこで、がん細胞を攻撃する特定のT細胞を採取し、その細胞からiPS細胞を誘導・増殖させ、攻撃特性を持ったT細胞を再び作製することに成功している。がんに対する将来の治療として期待される。再生医療用iPS細胞ストック 倫理問題、費用、時間など多くの面で自家移植には限界がある。iPS細胞による再生医療を実現するためには、他家移植が主流となる。CiRAではiPS細胞をストックする計画を進めている。京大病院のiPS外来では患者の診察とともにiPS細胞ドナー候補ボランティアから献血を行っている。採取した血液はCiRA内のCPCに持ち込まれ、iPS細胞の樹立を行っている。  しかしながら、拒絶反応を減らすためにはHLAの一致が必要。HLAは膨大なバリエーションがあり、一致する確率はきわめて低い。効率よく一致させるためには、HLAホモドナーからの細胞作製が必須だ。日本人で最頻度のHLAタイプのホモドナー1人からiPS細胞をつくると、日本人の20%をカバーできる。違うホモで作製すると80%、140人で95%がカバーできる。最初の目標は日本人の50%のカバーだという。とはいえ、数十人のホモドナーを見つけるには数十万人を調べる必要がある。そのため、臍帯血バンク、日本赤十字社、骨髄バンクといったHLAの情報を管理している外部との連携を進めている。医療応用に必要な人材の確保 iPS細胞の研究には研究者だけでなく、優秀な技術員、規制専門家、契約専門家、知財専門家、広報専門家、事務職員など多くの人材が必要である。一方、国立大学の定員ポストは研究員のみである。実際のCiRAでは300人以上が雇用されているが、無期雇用は1割で、残りの9割は有期雇用である。これは国立大学の研究機関に共通する課題であり、安定雇用に活用できる運営費交付金の割合を増やすよう要望している。 とはいえ、米国では州からの援助は予算の5%。残りの95%はトップがさまざまなスポンサーから集め、安定的な雇用を確保している。そのため、CiRAもiPS細胞基金を立ち上げ、山中氏自ら活動し、研究者の長期雇用、研究環境改善、若手研究者教育に資金を募っているという。iPS細胞研究基金HP

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アログリプチン、心不全リスク増大せず:EXAMINE試験の事後解析結果/Lancet

 2型糖尿病で直近に急性冠症候群(ACS)を発症した患者について、DPP-4阻害薬アログリプチン(商品名:ネシーナ)は心不全リスクを増大しないことが示された。フランス・ロレーヌ大学のFaiez Zannad氏らがEXAMINE試験の事後解析を行い明らかにした。同試験では、2型糖尿病で直近にACSを発症した患者の主要有害心血管イベント(MACE)について、アログリプチンがプラセボに対して非劣性であることが示された。しかし、他のDPP-4阻害薬試験で院内心不全の過剰な発生に対する懸念が報告され、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年3月9日号掲載の報告より。EXAMINE試験を事後解析して心不全リスクを評価 EXAMINEは、2009年10月~2013年3月に49ヵ国898施設から被験者を登録して行われた多施設共同無作為化二重盲検試験であった。被験者は、2型糖尿病と直近15~90日以内にACSイベントを経験した患者で、糖尿病と心血管疾患予防のためアログリプチンまたはプラセボ+標準治療に無作為に割り付けられた。 事前規定の探索的拡張MACEエンドポイントは、全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症による緊急血行再建術、および心不全による入院であった。 事後解析では、心血管死亡と心不全入院について、試験開始時の心不全歴および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値により評価した。また、試験開始~6ヵ月時のN末端プロBNP(NT-pro-BNP)値の変化についても評価した。アログリプチンの心血管死亡と心不全入院の複合イベント発生はプラセボと同等 5,380例の患者が、アログリプチン群(2,701例)またはプラセボ群(2,679例)に割り付けられた。追跡期間は中央値533日(IQR:280~751日)であった。 探索的拡張MACEエンドポイントの発生は、アログリプチン群433例(16.0%)、プラセボ群441例(16.5%)の患者に認められた(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.86~1.12)。 初発の心不全入院の発生は、アログリプチン群とプラセボ群それぞれ85例(3.1%)、79例(2.9%)であった(HR:1.07、95%CI:0.79~1.46)。 事後解析の結果、心血管死亡および心不全入院の複合イベントへのアログリプチンの影響は認められず(HR:1.00、95%CI:0.82~1.21)、結果についてベースライン時のBNP値による違いはみられなかった。NT-pro-BNP値の変化は、両群とも有意かつ同等に減少した。

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ガイドラインでは薬物相互作用を強調すべき(解説:桑島 巌 氏)-322

 わが国と同様、世界の先進国は超高齢化社会を迎えている。一方において、各国は主要な疾患に対してガイドラインを制定して、標準的治療の推進を呼びかけているという事実がある。実は、この2つは大きな矛盾も抱えているのである。すなわち超高齢化社会の最大の特徴は多様性であり、画一的な集団での研究から得られた臨床研究の結果であるガイドライン、あるいは標準的治療とは必ずしもそぐわないのである。 NICEガイドラインは、イギリスの国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence)によって策定された治療指針であり、治療法や臨床運用のみでなく、それぞれの医療技術の費用対効果も盛り込むなど、世界的に最も洗練された評価の高いガイドラインである。 超高齢者では腎機能障害を有する例が多いことと、多疾患であることも特徴であり、この点は高齢者で薬物治療を行うに当たって最大の注意を払うべきポイントである。 本論文は、NICEが策定した12のガイドラインのうち、高齢者に多い2型糖尿病、心不全、うつ病の3疾患と、11の一般的症状または併存疾患との関連について、薬剤誘発性疾患あるいは薬物間相互作用を詳細に分析した報告である。 その結果によると、重篤な薬物-疾患相互作用や薬物間作用についての記述は数多く認められてはいるものの、強調されているとはいえないとして、ガイドライン作成者は他疾患を併存する場合を想定した、薬物相互作用あるいは薬物誘発性疾患について系統的アプローチを考慮すべきと結論付けている。 翻ってわが国の、たとえば「高血圧治療ガイドライン2014」をみてみると、薬物相互作用についての記載はごくわずかであり、きわめて一般的なことに限定されており、腎機能障害などとの関連についての記載は非常に乏しい。 とくに最近登場した新規抗凝固薬(NOAC)や、新規糖尿病治療薬による有害事象が頻発しているが、ガイドラインでは、これらの新薬に関して腎機能との関連や薬物相互作用にはもっとページを割くべきであった。

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82)患者さんと考える薬の飲み残し撲滅作戦【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師薬の飲み忘れはありませんか?患者飲んでいるつもりなんですが、なぜか薬があまるんです。医師なるほど。患者さんの中には、タンスにためておられる人もいるようです。患者ハハハ。タンス預金ではなく、タンス預薬ですね。医師なぜか薬があまる理由は、何でしょうかねぇ(一緒に考える姿勢)。患者そうですね。うっかり忘れてしまうこともあるんですが……。外にでたときに持っていくのを忘れたり……あと、薬によっては、飲むタイミングが違うので、忘れてしまうのかも。医師なるほど。それでは、薬を飲むタイミングを一緒にしましょうか。患者よろしくお願いします。●ポイント飲み忘れの理由を確認し、飲み忘れが少なくなる対策を一緒に考えます●資料「飲み忘れ」の理由として、うっかり、持ち歩くのを忘れる、食事をとらないとき、服薬タイミングがバラバラだから、面倒、薬の種類が多い、効果が実感できない、など。(出典: 処方薬の飲み残しに関する意識・実態調査[ファイザー]. 2012年11月13日)

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臨床ガイドラインは複数疾患併存患者への考慮を/BMJ

 英国・ダンディー大学のSiobhan Dumbreck氏らは、英国立医療技術評価機構(NICE)の12の臨床ガイドラインにおける複数疾患を有する患者に関する潜在的に重篤な薬物-疾患(drug-disease)および薬物間(drug-drug)相互作用の記述について、システマティックレビューを行った。その結果、患者が慢性腎臓病(CKD)を併存している場合を除き薬物-疾患相互作用の記述はまれにしかみられない一方、薬物間相互作用については多くの記述がみられたこと、ただしいずれもガイドラインでは強調されていないことを明らかにした。臨床ガイドラインを、複数疾患を併存する患者についてより考慮したものにすべきとの認識が増している。しかし、研究グループは「多くのガイドラインで薬物療法を推奨しているが、そのような患者を設定した薬物-疾患および薬物間相互作用に関する勧告はあまりみられないと思われる」として本レビューを行った。BMJ誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。12のNICEガイドラインにおける薬物-疾患および薬物間相互作用をレビュー 研究グループは、臨床ガイドラインのうち、3つの典型的な疾患・症状に関するガイドライン(2型糖尿病、心不全、うつ病)と、複数の症状を対象としたと思われる9つのガイドラインを選択してレビューした。 これらのガイドラインで推奨される薬物について、2型糖尿病、心不全、うつ病(以上3つを評価指標と設定)と、11の併存疾患または症状(2型糖尿病、うつ病、心不全、心筋梗塞、CKD、心房細動、COPD、疼痛障害、リウマチ、認知症、高血圧症)について、重篤な可能性のある薬物-疾患および薬物間相互作用の記述をシステマティックに特定し、定量化と層別化を行った。薬物-疾患相互作用については、CKD併存以外はほとんどない レビューの結果、12のガイドラインで推奨される処方について、潜在的に重篤な薬物作用に至ると思われる記述があった。 具体的に、2型糖尿病に関連したガイドラインでは32件の潜在的に重篤な薬物-疾患相互作用の記述が認められた一方で、うつ病に関連したガイドラインでは6件、心不全に関連したガイドラインでは10件であった。このうち2型糖尿病ガイドラインにおける27件(84%)とうつ病・心不全ガイドラインのすべてが、推奨薬物とCKDとの間の相互作用に関するものであった。 重篤な薬物間作用についての記述は、2型糖尿病ガイドラインでは133件、うつ病ガイドラインでは89件、心不全ガイドラインでは111件が特定された。 しかし、2型糖尿病、心不全、うつ病の3つの評価指標に関するガイドラインで、薬物-疾患または薬物間相互作用に関する強調はほとんどみられなかった。 以上を踏まえて著者は薬物-疾患相互作用について、「患者がCKDを併存していた場合の相互作用の記述以外はほとんどみられなかった。ガイドライン開発者は、そのガイドラインが注視する疾患を有する人々の併存疾患の疫学知見に基づき、より系統的アプローチを考慮すべきである」と述べている。また、薬物間作用について「対照的に、推奨薬とさまざまな疾患・症状との相互作用の記述はよくみられた。臨床医や複数疾患を有する患者が、十分な情報に基づく薬物選択ができるように、ガイドラインの策定と普及が求められ、そのための革新的な双方向性のアプローチが必要である」と述べている。

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FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅 氏)-321

 認知症リスクを持つ1,260人の高齢者を、食事療法・運動療法・認知トレーニング・血管リスクのモニタリングという、多領域にわたる介入群と対照群に無作為に振り分けたところ、介入群では認知機能低下を予防したというフィンランドからの報告である。実に当たり前の結果であるが、一流の論文とは当たり前のことをきちんと示すものだと認識しているので、まさに一流の論文だと思う。 医学の発展、国家の興隆は、人々に健康と長寿をもたらした。その結果、多くの病気は治るものとなった。となると、治療法がまだない高齢期に好発する疾患、つまり「認知症」が激増することは当たり前の現象である。エビデンスのある予防法が求められて久しい。 話は変わるが、私は地域の一般の方向けの講演などを頼まれることがある。人間関係などもあり、年に数回はしないといけなくなる。さて、多くの場合、どうやったら認知症を予防できるか話してほしいと求められる。そこで「説明いたしましたように、血管性認知症は、脳梗塞によって起きます。であれば、高血圧、糖尿病、肥満、運動不足、病気のコントロール不良などが危険因子であり、脳梗塞と同じなのです。認知症を予防したければ、真面目に生活習慣病と戦うことです。きちんとお医者さんに通い、出された薬は飲みましょう。食べ過ぎ、飲み過ぎはやめて、運動しましょう。月並みですね(笑)。それにね、どんなに頑張ってもなるときはなります。でも、小さな積み重ねは確率を下げてくれますよ」などと話すわけである。だが、質問コーナーでは大体が「あのー先生、○○を食べると認知症にならないって聞いたんですが、本当ですか?」などと聞かれて盛り上がる。ココナッツオイル、銀杏、米ぬかなどがよく登場し、生活習慣病の話は忘れ去られる。認知症にならない魔法のような方法はまだ需要が大きいようだ・・・・・・。講師としても、人々の夢を壊すことを求められていないことは承知のうえで対応するが、微妙な気持ちにもなる。 本論文にあるように、それぞれの効果は弱くても、これらの方法を組み合わせることが効果を出すし、それぞれの方法は安全で受け入れやすいものである。繰り返しになるが、本論文は私が講演のたびに微妙な気持ちになるテーマに、一定のエビデンスを付与したものであり、当たり前のことをきちんと示したわけである。 なお、誤解のないように付記しておくと、講演の例では血管性認知症の予防を話題にしているが、本論文は特定の疾患(血管性認知症)に限定したものではない。アルツハイマー型認知症でも生活習慣病が危険因子であることがすでに示されており、本論文においても、リスクを持つ地域住民において多領域介入が(疾患の種類は問題にせず)認知機能低下を予防したという話である。

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アリスミアのツボ Q23

Q23心房細動に対するアブレーションの適応は?発作性心房細動、とくに若年者では積極的に……もちろんインフォームドコンセントが重要ですが。発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションは、もうすでに円熟期に入っていると感じています。2回行うという前提で考えれば、80~90%が心房細動フリーになるといってよい時代です。症状のある発作性心房細動が紹介されると、一度は抗不整脈薬を試すのですが、それでもカテーテルアブレーションという方法があることを伝え、とくに若年者ではむしろ積極的に勧めています。日本における多施設での経験も、J-CARAF研究として報告されています(3,373例)1)。合併症は、穿刺部の出血などもすべて含めて4.5%で、ドレナージを要する心嚢液貯留が1.3%、TIA、症候性・無症候性脳梗塞を合算して0.3%、死亡例は0%という数字です。しかし、慢性心房細動になれば、この成功率は確保できず、まだ発展途上の治療方法という位置付けです。だから、心房細動に対するカテーテルアブレーションは、心房細動が発作性のうちに行う……若年者では、(1)抗不整脈薬ではやがていつの日か慢性化してしまう2)、(2)合併症発現率も許容範囲であること、を考えれば、積極的に勧めていいと思っています。ちなみに日本循環器学会のガイドラインでは次のような推奨がなされています。クラス I高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず、かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性で有症候性の発作性心房細動に、年間 50 例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合。クラス IIa 薬物治療抵抗性で有症候性の発作性および持続性心房細動。パイロットや公共交通機関の運転手など、職業上制限となる場合。薬物治療が有効であるが、心房細動アブレーション治療を希望する場合。1)Inoue K, et al. Circ J. 2014; 78: 1112-1120. Epub 2014 Mar 17.2)Kato T, et al. Circ J. 2004; 68: 568–572.

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81)身近な道具で患者説明に一工夫【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、血管の太さってどのくらいですか?医師財布の中から500円玉をだしてもらえますか。心臓からでる大動脈の太さが、このくらいの大きさです。患者結構、太いんですね。医師そして、脳の血管が50円玉の穴の太さくらいになります。患者だいぶ違うんですね。医師糖尿病の3大合併症は細い血管が障害されますが、細動脈はシャープペンシルの芯くらいの太さになります。患者そんなに細いんですか!医師糖尿病は「全身の血管の病気」といわれています。これらの血管に動脈硬化や障害が起こるわけです。患者なるほど、わかりました。●ポイント硬貨など身近なものを用い、視覚的に説明することで理解度が高まります●資料大動脈 500円玉内頸動脈 50円玉の穴細動脈 シャープペンの芯毛細血管 顕微鏡でないとみえない

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80)簡単にできるアルコール依存症テストで生活指導【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者尿酸値が高いといわれて、ビールから焼酎に変えてみたんですけど……。医師なるほど。アルコールの種類も大切ですが、アルコールに飲まれていないかどうかも大切ですね。ちょっと、チェックしてみましょう。まず、飲酒量を減らさなければならないと思ったことがありますか?(Cut down=減酒)患者いいえ。楽しく飲んでますが、ちょっと尿酸値は気になります。医師次は、他人から飲酒を非難され、気に障ったことがありましたか?(Annoyed=他者からの批判への煩わしさ)患者それはしょっちゅうですね。女房がうるさくて……。医師次は、飲酒について罪悪感を感じたことがありますか?(Guilty=飲酒への罪悪感)患者それはありません。医師最後に迎え酒をして、神経を鎮めたり、二日酔いを治そうとしたことがありますか?(Eye-opener=朝の迎え酒)患者それもありません。医師わかりました。アルコール依存症の可能性は低いようです。アルコール依存の方は禁酒、それ以外の方は節酒が基本となります。●ポイントアルコール依存症の人は禁酒、それ以外の人は節酒であると伝える!●資料【CAGEの質問】 アルコール依存症のスクリーニング検査1、2)。4項目のうち2項目以上当てはまればアルコール依存症の可能性が高い(敏感度77.8%、特異度92.6%)3)。 他に、KAST(男性版、女性版)やAUDITがある。 参考文献 1) McCusker MT, et al. QJM. 2002; 95: 591-595. 2) Burns E, et al. Addiction. 2010; 105: 601-614. 3) 廣尚典. 日本臨床. 1997; 55: 589-593.

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