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心房細動の有病率4倍に、転帰は改善~フラミンガム研究50年/Lancet

 欧米では、人口の高齢化に伴い心房細動の増加が予測されているが、その傾向に関する包括的な長期データは十分でないという。米国国立心肺血液研究所(NHLBI)のRenate B Schnabel氏らは、フラミンガム心臓研究の50年の心房細動に関するデータを解析した。その結果、この50年間で心房細動の有病率は4倍以上に、罹患率は3倍以上に増加したが、発症後の脳卒中の発生率や死亡率は大きく改善していたという。Lancet誌オンライン版2015年5月7日掲載の報告。罹患率はルーチンの心電図検査では増加せず 研究グループは、1958~2007年にフラミンガム心臓研究に登録された9,511例を対象に、心房細動の罹患率、有病率、リスク因子を調査し、発症後の脳卒中や死亡との関連について解析した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 10年単位で5つの時期に分け(1958~67年、1968~77年、1978~87年、1988~97年、1998~2007年)、男女別の傾向を解析した。50年間(20万2,417人年)の観察期間中に、1,544例が新規に心房細動を発症した。このうち723例(47%)が女性であった。 心房細動の年齢調整有病率は、男性が1958~67年の20.4/1,000人年から、1998~2007年には96.2/1,000人年へ、女性は13.7/1,000人年から49.4/1,000人年へと、全体で約4倍にまで増加した(いずれも傾向のp<0.0001)。また、同時期の1,000人年当たりの年齢調整罹患率は、男性が3.7から13.4へ、女性は2.5から8.6へと有意に増加した(いずれも傾向のp<0.0001)。 一方、フラミンガム研究のルーチンの心電図検査に限定すると、心房細動の1,000人年当たりの年齢調整有病率は、男性が1958~67年の12.6から1998~2007年には25.7(傾向p=0.0007)へ、女性は8.1から11.8(傾向p=0.009)へと有意に増加した。これに対し、年齢調整罹患率は、男性が1.83から3.75(傾向p=0.06)、女性は1.31から1.58(p=0.13)と上昇したものの、有意な変化は認めなかった。 これらのデータからは、臨床症状がみられなくても、生命を脅かす疾患としての心房細動に対する認識の向上が影響している可能性が示唆される。50年で発症後の脳卒中が74%、死亡は25%減少 多くの心房細動のリスク因子(加齢、喫煙、アルコール摂取、BMI、収縮期血圧、高血圧治療、糖尿病など)の保有率は経時的に変動していたが、心房細動への影響はほとんどなかった。 また、多変量で補正後の比例ハザードモデルによる解析では、心房細動発症から20年後までの脳卒中の発症率は、1958~67年に比べ1998~2007年には74%減少した(1958~67年の1998~2007年に対するハザード比[HR]:3.77、95%信頼区間[CI]:1.98~7.20、傾向p=0.0001)。同様に、心房細動発症20年後の死亡率は25%低下した(1.34、0.97~1.86、傾向p=0.003)。 このような心房細動発症後の転帰の改善には、治療法の進歩のほか、認識の向上およびサーベイランスの強化に基づく続発症の早期発見が寄与している可能性がある。 著者は、「男女双方の有病率の増加は、発症後の生存期間の延長で説明可能であろう。これに対し、罹患率の増加には、過去50年間における心房細動に対する認識の向上や画一的な診断法の改善などの影響もあると考えられる」とし、「有病率を抑制するには、より効果的なスクリーニング法の研究を促進し、心房細動とその有害な転帰への予防的介入が必要である」と結論している。

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長期血圧変動性とCKD発症リスク~日本人5万人の調査

 非糖尿病者における長期血圧変動性が、他の血圧パラメータ(平均血圧、血圧への累積曝露など)と代謝プロファイルの変化に関係なく、慢性腎臓病(CKD)の新規発症リスクと関連しているかどうかは、いまだ不明である。今回、米国・ノースウェスタン大学の矢野裕一朗氏らは、糖尿病およびCKDではない中高年の日本人約5万人の調査データから、3年間の長期血圧変動性が、追跡期間中の血圧の曝露(平均もしくは累積)や代謝プロファイルの変化に関係なく、CKDの新規発症リスクと関連していたことを報告した。Hypertension誌オンライン版2015年5月18日号に掲載。 対象は、ベースライン時に糖尿病およびCKD(eGFR 60mL/分/1.73m2未満または尿試験紙で蛋白尿)ではなかった日本人4万8,587人。年齢は40~74歳(平均61.7歳)、男性の割合は39%であった。血圧測定は、ベースライン時ならびに年1回(3年間)の計4回実施した。この4回の血圧の標準偏差(SD)と平均変動幅を血圧変動性と定義した。 主な結果は以下のとおり。・3年目の血圧測定時に、全体の6.3%がCKDを発症していた。・多変量調整ロジスティック回帰モデルでは、臨床的特徴の調整後、収縮期血圧のSD(5mmHgごと)、拡張期血圧のSD(3mmHgごと)、収縮期血圧の平均変動幅(6mmHgごと)、拡張期血圧の平均変動幅(4mmHgごと)における1SDの増加が、CKDの新規発症と関連していた(それぞれのオッズ比[95%CI]は順に、1.15[1.11~1.20]、1.08[1.04~1.12]、1.13[1.09~1.17]、1.06[1.02~1.10]、すべてp<0.01)。また、測定した4回の血圧の平均とも関連していた。・血圧のSDおよび平均変動幅とCKDとの関連は、追跡期間中の代謝パラメータの変化について追加調整後も有意であった(各オッズ比:1.06~1.15、すべてp<0.01)。・性別、降圧薬の使用、高血圧の存在による感度分析でも、同様の結論を示した。

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低血糖を医師に言わない患者は43.9%

 5月15日、都内においてサノフィ株式会社は、「インスリン-ライフ・バランス調査」と題してメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、講師に寺内 康夫氏(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授)を迎え、糖尿病の現状、治療におけるインスリンの位置付けのほか、同社が行ったWEB調査「インスリン-ライフ・バランス」について説明を行った。糖尿病治療は個別的な時代へ 現在の糖尿病治療は、患者の年齢、合併症の状況、生活環境を見据え、個別に治療を実施している。また、治療戦略として、定期的に治療を見直すことで、血糖コントロールが悪い期間をできる限り短くする取り組みがなされている。そのため、早い段階から基礎インスリンと経口血糖降下薬を併用した治療が行われるようになってきている。新しい治療薬の開発や非専門医の糖尿病診療への取り組みもあり、糖尿病登録患者では平均HbA1cは7.46%(2002年)から7.00%(2013年)へと改善している。 一方で、インスリンを処方する医師が懸念することとして、体重増加のほかに、低血糖のリスク(専門医:43.0%、一般内科医:62.1%)があり、血糖コントロールと低血糖の発生防止のバランスをいかにとるか、今後も模索が続くと思われる。低血糖の予防は「とくにしていない:80.5%」 「インスリン-ライフ・バランス調査」は、全国20歳以上のインスリン投与患者707名(1型:76名、2型:631名)を対象として、とくに「低血糖」に着目し、その発症実態を調査、低血糖の状況と日常生活への影響、さらにインスリン療法に対するアンメットニーズを把握する目的で行われたものである(インターネット調査、調査期間:2015年1月10日~1月19日)。 その結果、インスリン使用患者の47.0%が「日中に低血糖を経験したことがある」と回答した。また、そうした場合、「必ずしも医師に話さない」患者が43.9%に上ることが判明した。 「低血糖による不便さや制限について」は、半数の患者が「不便を感じていない」と答える反面、日常の食生活(24.9%)、外食(22.5%)、運動/スポーツ(16.5%)、旅行(14.7%)など日々の活動に支障を感じていることがわかった(重複回答)。 直近3ヵ月間で低血糖を経験した患者に「自身による低血糖予防法」を聞いた問いでは、「とくに対処していない」が80.5%と多く、以下「補食」(46.6%)、「何か飲む」(37.3%)と続いた(複数回答)。また、「自己判断でインスリン減量」(20.3%)や「自己判断でインスリン使用中断」(5.9%)という回答も見られた。インスリン治療に望まれること 「今後のインスリン製剤に期待すること」という問いでは、「血糖コントロールが改善される」、「安全性が確認されている」、「低血糖を起こしにくい」の順で回答が多かった。 寺内氏は、最後に「将来のインスリン治療に望まれるアンメットメディカルニーズ」として、 ・良好な血糖コントロール ・1日を通じて低血糖のリスクがより少ないこと ・体重増加の影響が少ないこと ・長期における有効性/安全性を挙げ、レクチャーを終了した。●調査の詳細は、サノフィ株式会社まで。

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91)あなたの夕食時間は何時?【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師夕食の時間は何時くらいですか? 患者仕事の関係で、遅い時は22時くらいになります。 医師お仕事、大変ですね。夕食を摂られてから、その後は? 患者お風呂に入って、寝るのは0時頃です。 医師早く食べることができる場合はありますか? 患者休日や水曜日はノー残業デーなので、早めの夕食ができて、午後7時頃です。 医師なるほど。1日で摂る食事が同じでも、遅い夕食のときは、エネルギー消費が少なく、夕食後の血糖も上がりやすいそうです。 患者そうなんですか。遅い夕食のときには量を減らします(驚きの顔)。●ポイント夕食の時間とその後の生活を確認し、遅い夕食の問題点について患者さんと話し合います 1) Yokoyama R, et al. 28th Annual Scientific Meeting of TOS 201. San Diego.

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妊娠中の抗精神病薬、母親や胎児への影響は?/BMJ

 妊娠中の抗精神病薬の使用が、妊婦や胎児の転帰に及ぼす影響は小さいことが、カナダ・トロント大学のSimone N Vigod氏らによる調査で明らかとなった。その一方で、一般人口に比べると妊娠高血圧や早産などの頻度が高いことから、妊娠中や周産期には注意深い健康評価を要することも示された。抗精神病薬は、妊婦の代謝性合併症(妊娠糖尿病など)や、その結果としての胎児の発育異常などの原因となる可能性が示唆されている。近年、妊婦の抗精神病薬の使用が増加しているが、評価が行われているのは、現在ではあまり使用されていない古い定型抗精神病薬がほとんどだという。BMJ誌オンライン版2015年5月13日掲載の報告より。曝露群と非曝露群を高次元傾向スコアマッチング法で比較 研究グループは、妊娠中の抗精神病薬の使用が妊婦および胎児に及ぼす影響を評価するコホート試験を行った。対象は、2003~2012年にオンタリオ州で単胎児(生児、死産児)を出産し、受胎から分娩までの間に抗精神病薬を2回以上処方され、そのうち少なくとも1回は妊娠27週以前の女性であった。 データの収集には、トロント市のInstitute for Clinical Evaluative Sciences(ICES)に集約された公衆衛生管理関連の複数のデータベースが用いられた。高次元傾向スコア(HDPS)によるマッチング法を用いて、妊娠中に抗精神病薬に曝露した妊婦と非曝露妊婦のベースラインの背景因子をマッチさせ、転帰の比較を行った。  母親の主な医学的転帰は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、静脈血栓塞栓症、主な周産期転帰は早産(<妊娠37週)および不良な出生児体重とし、性別・妊娠期間別の出生時体重が<3パーセンタイルに相当する場合に不当軽量体重(small for gestational age)、>97パーセンタイルの場合に不当重量体重(large for gestational age)と定義した。非定型抗精神病薬に限定しても差はない 背景因子をマッチさせたコホートとして、両群に1,021例ずつが登録された。両群とも、平均年齢は28.8歳、経産回数中央値は1回であった。妊娠前の精神医学的診断名は、精神病性障害が曝露群31.2%、非曝露群15.7%、双極性障害/大うつ病がそれぞれ74.2%、65.9%、アルコール/薬物性障害(喫煙を含む)が44.9%、40.7%、パーソナリティ障害が28.9%、22.6%であった。 妊娠糖尿病の発生率は、曝露群が7.0%、非曝露群は6.1%であった。未補正の相対リスク(RR)は1.15(95%信頼区間[CI]:0.82~1.61)、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、非SSRI、気分安定薬、ベンゾジアゼピンの処方で補正後のRRは1.10(95%CI:0.77~1.57)であり、いずれも有意な差を認めなかった。また、非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン)に限定した解析でも、結果は変わらなかった。 妊娠高血圧(4.7 vs. 4.1%、未補正RR:1.14、95%CI:0.76~1.73、補正RR:1.12、95%CI:0.70~1.78)および静脈血栓塞栓症(1.2 vs. 1.3%、0.92、0.42~2.02、0.95、0.40~2.27)の発生率も同様の結果であり、非定型抗精神病薬のみの結果にも変化はなかった。また、これらの疾患はいずれも一般人口に比べると頻度が高い傾向がみられた。 早産(14.5 vs. 14.3%、未補正RR:1.01、95%CI:0.81~1.27、補正RR:0.99、95%CI:0.78~1.26)の発生率は両群とも一般人口の約2倍に達したが、群間にリスクの差はみられなかった。不当軽量体重(6.1 vs. 5.1%、1.22、0.84~1.77、1.21、0.81~1.82)および不当重量体重(3.6 vs. 2.3%、1.64、0.96~2.78、1.26、0.69~2.29)についても、両群間にリスクの差はなかった。さらに、非定型抗精神病薬のみの解析でも同様の結果であった。

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握力検査で心血管疾患リスクを予測/Lancet

 握力検査は、全死因死亡や心血管死、心血管疾患の簡便で安価なリスク層別化法であることが、カナダ・マクマスター大学のDarryl P Leong氏らPURE試験の研究グループの検討で示された。握力検査による筋力低下と死亡リスク増大の関連が多くの研究で示唆され、そのメカニズムは不明であるものの、死亡リスクの層別化の迅速で安価な方法として注目を集めている。一方、筋力測定の予後因子としての意義に関する既存のエビデンスは高所得国に限られ、全死因や原因別の死亡に焦点が絞られているという。Lancet誌オンライン版2015年5月12日号掲載の報告より。中~低所得国を含め、死亡以外のアウトカムも評価 PURE試験は、さまざまな社会文化的、経済的環境において、独立の予後因子としての握力の意義を評価する前向きコホート研究。対象は、17の高~低所得国の地域住民で、構成員の1人以上が35~70歳、今後4年間は現住所に居住する意思のある世帯とした。  被験者には、ジャマー握力計(Jamar dynamometer)による握力の測定が行われた。フォローアップでは、全死因死亡、心血管死、非心血管死、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、がん、肺炎、肺炎または慢性閉塞性肺疾患(COPD)による入院、すべての呼吸器疾患(COPD、喘息、結核、肺炎など)による入院、転倒による負傷、骨折の評価が行われた。  これらのアウトカムの評価は、個々の担当医が標準化された判定基準に則って行い、事前に規定された定義や判定基準により中央判定で確証された。収縮期血圧よりも強力に死亡を予測 2003年1月~2009年12月に14万2,861人が登録され、13万9,691例(女性:8万1,039例、男性:5万8,652例)が解析の対象となった。全体の年齢中央値は50歳(四分位範囲:42~58歳)、平均握力は30.6kgであった。  年齢と身長で補正した握力は、国や民族によってばらつきが認められた。男性の平均握力は、低所得国が30.2kg、中所得国が37.3kg、高所得国は38.1kgであり、女性はそれぞれ24.3kg、27.9kg、26.6kgだった。フォローアップ期間中央値は4.0年(四分位範囲:2.9~5.1年)であり、この間に2.4%(3,379人)が死亡した。  握力が5kg低下するごとに、全死因死亡(ハザード比[HR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.13~1.20、p<0.0001)、心血管死(1.17、1.11~1.24、p<0.0001)、非心血管死(1.17、1.12~1.21、p<0.0001)、心筋梗塞(1.07、1.02~1.11、p=0.0024)、脳卒中(1.09、1.05~1.15、p<0.0001)の発症率が有意に上昇した。 一方、握力と糖尿病、肺炎、肺炎またはCOPDによる入院、転倒による負傷、骨折との間には有意な関連はみられなかった。また、がんおよび呼吸器疾患による入院を除き、補正後の握力と各アウトカムの間に、高~低所得国を通じて類似の関連が認められた。  高所得国では、がんのリスクと握力に正の相関が認められた(HR:0.916、95%CI:0.880~0.953、p<0.0001)が、中および低所得国ではこのような関連はみられなかった。  全死因死亡に関して、補正後の握力(HR:1.37、95%CI:1.28~1.47、p<0·0001)は収縮期血圧(1.15、1.10~1.21、p<0.0001)よりも強力な予測因子であり、心血管死についても、握力(1.45、1.30~1.63、p<0.0001)は収縮期血圧(1.43、1.32~1.57、p<0.0001)に匹敵する予測因子であった。一方、心血管疾患の予測では、握力(1.21、1.13~1.29、p<0.0001)よりも収縮期血圧(1.39、1.32~1.47、p<0.0001)のほうが強力であった。  さらに、握力が強いほど、心筋梗塞、脳卒中、がん、肺炎、肺炎またはCOPDによる入院、転倒による負傷、骨折による死亡のリスクが低かった。  著者は、「握力には個々の国やその所得の違いで異質性があり、握力は死亡リスクだけでなく心血管疾患のリスクとも逆相関することが示された」とし、「低筋力は疾患発症の感受性のバイオマーカーであり、心血管疾患と非心血管疾患のいずれのリスクが高いかを同定する指標となる可能性がある」と指摘している。

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呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学

 わが国では2002年、統合失調症に対するスティグマを軽減するため、精神分裂病から統合失調症へと呼称変更が行われた。しかし、その長期的な影響はあまり知られていない。東京大学の小池 進介氏らは、呼称変更から12年でどのような影響があったかを調査した。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2015年5月7日号の報告。 20大学、計259人の学生に匿名の自己記入式アンケートを実施した。調査項目は、自身のメンタルヘルス関連の経験、統合失調症、精神分裂病、うつ病、糖尿病の4疾患に対する認識(feasible knowledge)を含むスティグマスケールとネガティブな固定概念であった。また、統合失調症、認知症、10種類の精神または身体的な疾患および状態の新旧名称を選択させた。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、精神分裂病よりも統合失調症に対してのほうが、認識がより高くネガティブな固定概念がより少なかった。しかし、これらはうつ病や糖尿病と比較すると有意に悪いものであった(p<0.01)。・精神衛生上の問題を抱えている人と直接関わった経験を持つ人では、ネガティブな固定概念ではなく、統合失調症の認識との関連が認められた(β=0.13、p=0.020)。・統合失調症の新旧名称の正解率は、認知症よりも有意に低かった(41 vs. 87%、p<0.001)。・メディアによるメンタルヘルス関連の経験が、呼称変更の認識と関連していたが(p=0.008)、このことは新名称である統合失調症のより低い認識と関連していた。 結果を踏まえ、著者らは「呼称変更から12年経過し、統合失調症に対するスティグマは軽減された。より効果的なキャンペーンや教育カリキュラム、政策決定が統合失調症へのスティグマを軽減させるために必要とされている」とまとめている。関連医療ニュース 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大  担当者へのご意見箱はこちら

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敏腕シェフと医師がコラボ “ホルモンバランス快膳”とは?

2015年4月23日、東京・ホテルニューオータニで開催された第88回日本内分泌学会学術総会にて、美味しいのに体にいい、“ホルモンバランス快膳”というお弁当が紹介された。体にいいお弁当とはどのようなものなのか、またホルモンバランス改善のためにどのような工夫がされているのか、紹介していく。“ホルモンバランス快膳” ──その内容とは今回発表された“ホルモンバランス快膳”は全4種類。これらは医学的観点からみた食事メニュー開発の第一人者、東京ミッドタウンメディカルセンター(東京都港区)の渡邉 美和子氏らによって開発された。「美味しいのに体に良い」をコンセプトに4人の敏腕シェフの協力によって実現した。人形町今半 横田昌之師範流 すきやき版 & しゃぶしゃぶ版懐石青山 田中敏和 料理長流ホテルニューオータニ西口章二 西洋料理料理長流ケアリングフード EPICURE 藤春幸治 オーナーシェフ流会場でお弁当を食した参加者からは、カロリーや塩分・糖分が制限されていると感じさせない味の良さと、食べごたえだったという声が相次いだ。この満足感はどのようにして実現されたのだろうか。「美味しく食べて健康になれる」ための工夫“ホルモンバランス快膳”は、次の3つの観点から開発された。1)「低糖質・良質脂質」例)砂糖の代わりにみりんや黒酢を使う。お米は雑穀米を取り入れる。油はω3脂肪酸を含む植物由来エゴマ油を使用。2)「腸内環境改善」例)食物繊維を多く含む野菜・きのこ・海藻を添える。3)「旨みで減塩」例)こだわりの“だし”や野菜の旨みをギュッと詰めたブイヨンを塩代わりに使用。この3つをポイントとして栄養バランスの良いメニューに仕上がっている。バランスの良い食事はホルモンバランスを整える基本である。また雑穀米を用いて噛む回数を増やす工夫もあり、何度も噛むことでホルモン分泌が活発になる。ホルモンの働きは、呼吸、循環、消化吸収、免疫、代謝など、体の機能がスムーズに働くための潤滑油となる。ホルモンのバランスを整える食事は、全身の健康にアプローチする食事といえるだろう。お弁当の盛りつけ方は、食べ始めてから急に血糖値が上がらないよう、一般的に多い右利きの人が手を付けやすい右下側から反時計回りに食べれば良い料理配置にするなど、お弁当ならではの工夫もあった。「症状なし期にちょっとした工夫」を意識することが大切「世の中にはどうしても予防できない悲しい病気がたくさんある。だからこそ予防できる病気は予防すべきだ」と渡邉氏は指摘する。患者さんの中には病にかかっていても、症状がないと病気を治療しようと思わず「そんなに長生きしたくない、太く短く、ぴんぴんコロリでいい」と考えてしまう患者もいる。しかし、多くの人がこの「ぴんぴんコロリ」を誤って解釈している。糖尿病は症状を感じない時期に何もせず悪化させると、重度の腎障害を発症し、透析が必要となる。また、糖尿病の方は認知症のリスクが高まるといわれている。高血圧も放置して悪化すると脳卒中を起こし、寝たきりになるリスクが高まる。このように、合併症で体が不自由になるまで何もせず放置しておくと、好きなものを食べたり飲んだりすることも、自由に外出することも制限され、苦しい治療だけが続くことになるだろう。つまり「ぴんぴんコロリ」どころか「ぴんボケダラリ」の生活が待っているのだ。一方、症状を感じない時期から健康に気を付けちょっとした工夫をすれば、元気老人となり、苦しい治療で毎日の生活が不自由になることもなく、楽しい老後の後、しかるべき時に亡くなる……、という本来の意味での「ぴんぴんコロリ」も可能となるだろう。たとえば運動をする、お酒・タバコを減らす……そして食生活も同様だ。今回の“ホルモンバランス快膳”で実践したような塩分・糖質・脂質を減らす調理法、食材の選び方など、健康のための簡単な方法を知るだけで将来の病気を予防することが可能になる。渡邉氏は「こうした健康につながるちょっとした工夫の知識を広めていきたい」と強く語った。今回の“ホルモンバランス快膳”は東京ミッドタウンメディカルセンターにおける「安心でおいしい食の医療プロジェクト」の一環で行われた。現在このプロジェクトでは、「食べたほうが体に良いお菓子」を和菓子やバームクーヘンで有名な菓子舗「たねや」と開発中である。渡邉氏による“行動変容を促す食生活習慣指導”の豊富なアイデアに、今後も注目だ。

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乾癬の生物学的製剤、各製剤の重篤な感染症発生率は?

 乾癬患者において、高齢、糖尿病、喫煙、感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していたことが、Robert E. Kalb氏らによって明らかにされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月13日号の掲載報告。 Kalb氏らは乾癬患者において、重篤な感染症リスクが治療に及ぼす影響について調査を行った。 調査には皮膚科における多施設、縦断的、疾患レジストリのPSOLAR(Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry)が使用された。被験者は成人乾癬患者で、従来の全身的療法または生物学的製剤を投与中/投与可能な患者であった。レジストリは2007年7月20日に運用が開始され、すべてのデータは2013年8月23日まで収集された。 被験者らは標準療法として規定の乾癬治療薬を投与され、最大8年間追跡を受けた。データ収集と重篤な有害事象(重篤な感染症を含む)は定期的に評価された。 コホートの分析はレジストリ開始時の評価に基づいて実施された。重篤な感染症の累積発生率の調査は、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非生物学的製剤の治療コホートごとに行われた。なお、メソトレキサートの併用有無は問わなかった。 非メソトレキサート/非生物学的製剤群を対照として、最初の重篤な感染症が発現する時期の予測因子を特定するため、コックス比例ハザード回帰モデルを用いた多変量回帰分析が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・乾癬患者1万1,466例から分析された(2万2,311患者年)。・生物学的製剤使用群と非メソトレキサート/非生物学的製剤群では、年齢、性別、BMI、疾患特性など、患者特性に違いがみられた。・インフリキシマブ群では乾癬性関節炎の有病率が高いなど、各生物学的製剤群の間でも患者特性に違いがみられた。・重篤な感染症の累積発生率は100患者年当たり1.45であった(計323例)。・生物学的製剤ごとの重篤な感染症の累積発生率は、ウステキヌマブ0.83、エタネルセプト1.47、アダリムマブ1.97、インフリキシマブ2.49であった。・対照群の重篤な感染症の累積発生率は、非メソトレキサート/非生物学的製剤群1.05、メソトレキサート使用/非生物学的製剤群1.28であった。・最も多く報告された重篤な感染症は、肺炎と蜂窩織炎であった。・高齢、糖尿病、喫煙、重大な感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していた。

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90)腎臓を守る5つの習慣【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者腎臓が悪くなると、尿にたんぱくがおりるんですよね。 医師そうですね。血糖や血圧が高い状態が続くと、腎機能が落ちてきて、たんぱく尿が出てきます。それが腎臓が悪くなったサインです。 患者どうやったら腎臓を守ることができますか? 医師5つのポイントがあります(前置き)。 患者それは何ですか?(興味津々)。 医師1つ目は禁煙。これはできていますね。2つ目が体重管理になります。 患者やっぱり、痩せないといけませんね(気づきの言葉)。 医師3つ目が節酒。これはお酒が飲めないので、できていますね。4つ目が運動です。 患者運動ですね。5つ目は何ですか? 医師夕食後に間食をしないことです。 患者それが原因ですね。今後は気をつけます。●ポイント5つの健康習慣を患者さんと確認しながら、わかりやすく説明●資料1)禁煙、2)体重管理(BMI25未満)、3)節酒(日本酒換算で1日1合未満)、4)運動(1回30分以上の軽い汗をかく運動を週2回以上,1年以上実施。日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施)、5)健康的な食事(夕食後に間食[3食以外の夜食]を摂ることを週に3回以上しない、朝食を抜くことを週に3回以上しない)の5つの健康習慣スコアの点数が高ければ高いほど、1年後の健診で、尿蛋白の陽性者が少ない。 1) Wakasugi M, et al. Hypertens Res. 2013; 36: 328-333.

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糖尿病 眼科受診しない患者の言い分は?

 2015年4月23日、都内にて「糖尿病網膜症による失明予防」をテーマにプレスセミナー(主催:バイエル薬品株式会社・参天製薬株式会社)が開催された。 糖尿病の真の恐ろしさは合併症にある。なかでも、糖尿病網膜症は視力に異変が現れるまで放置される傾向にあり、発見されたときには難治性となっていることも少なくない。糖尿病と診断された際は、少なくとも年1回以上眼科を受診することが推奨されているが1)、必ずしも守られていない。糖尿病網膜症の意識調査概要 糖尿病網膜症を予防していくためには、どうすればよいのだろうか? バイエル薬品株式会社と参天製薬株式会社は、2015年3月26日~27日にインターネット調査「糖尿病網膜症の予防に関する糖尿病患者さんの実態・意識調査」を実施した2)。調査対象は過去に2型糖尿病と診断されたことがあり、現在糖尿病治療のために通院中の20~79歳の男女1,000人であった。 主な調査結果は、以下のとおり。(1)糖尿病と診断されても約2割の患者は眼科を受診していない。(2)眼科を受診していない理由の第1位は「糖尿病治療医から眼科を受診するように言われなかったから」(48.5%)。(3)眼科受診しても、約2割の患者は現在中断している。(4)現在中断中の理由は「眼科医や糖尿病の治療医から眼科の受診を続けるようにと言われなかったから」が最多(28.7%)。(5)眼科受診の動機は「かかりつけ医から定期的な受診を勧められること」が最多(76.8%)。患者の言い分は「医者に言われなかったから」 今回の調査結果より、医師に眼科の定期的な受診を促されなかったため受診は不要と自己判断している患者の存在が明らかになった。現在、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をはじめとする新規の眼科領域の治療薬は出ているが、早期治療・定期的な投与を行わないと十分な効果は期待できない。 演者の北野 滋彦氏(東京女子医科大学病院 糖尿病センター眼科 教授)は、「今回の調査結果より、患者に定期的な受診を促すことの必要性が示唆された。医師だけでなく、看護師・薬剤師・カウンセラーなども巻き込んだ包括的な疾患啓発が求められる。患者に受診の意義を十分に理解してもらったうえで、早期受診・受診継続を促すことが、視力予後の延長につながる。医療スタッフが連携し、継続した患者支援を行っていくべきだ」と力説し、講演を結んだ。

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1型糖尿病への強化療法、眼科手術リスク抑制/NEJM

 1型糖尿病患者に対する早期の強化療法は、眼科手術を受けるリスクを長期にわたり著明に抑制することが、米国ハーバード・メディカル・スクールのLloyd Paul Aiello氏らDCCT/EDIC研究グループの最新の検討で示された。DCCT試験(Diabetes Control and Complications Trial)では6.5年間の強化療法により網膜症の発症が従来療法に比べ76%減少し、引き続き行われたEDIC試験(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)では、血糖値がほぼ同等であるにもかかわらずDCCT試験の強化療法例において細小血管および大血管の合併症の進展が持続的に抑制されたことが報告されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告より。最長27年の追跡データで眼科手術施行状況を評価 研究グループは、今回、北米で行われたDCCT試験の参加者の最長27年に及ぶ追跡データを解析し、眼科手術の施行状況を評価した。 DCCT試験では、1983~1989年に年齢13~39歳の1型糖尿病患者1,441例が、血糖値を可能な限り非糖尿病の範囲に近づける強化療法を行う群(711例)または高血糖症状の予防を目的とする従来療法を行う群(730例)に無作為に割り付けられ、1993年まで追跡が行われた。 その後、DCCT試験の従来療法群を強化療法群に移行し、1994年から観察研究であるEDIC試験(1,375例)で追跡を継続した。  患者の自己申告による眼科手術歴の調査を年1回実施した。これら2つの試験期間中の眼科手術の施行状況および費用を2群間で比較した。眼科手術:8.9 vs. 13.4%、メタボリック・メモリーの概念を裏付ける知見 DCCT試験のベースラインの平均年齢は27歳、罹病期間は6年、HbA1cは9.1%であり、患者の80%以上が正常視力(20/20以上、日本の視力1.0以上に相当)であった。追跡期間中央値は23年であり、この間に161例が319件の眼科手術を受けた(DCCT試験の期間中は6件のみ)。 眼科手術の施行率は、強化療法群が8.9%(63/711例、130件)であり、従来療法群の13.4%(98/730例、189件)に比べ有意に低かった(p<0.001)。 また、DCCT試験のベースラインの背景因子で補正すると、強化療法群は従来療法群に比し糖尿病関連の眼科手術を1回以上受けるリスクが48%減少し(p<0.001)、眼科手術全体のリスクは37%低下した(p=0.01)。 白内障手術を受けた患者は、強化療法群が42例、従来療法群は61例であり、補正後の強化療法群のリスク減少率は48%(p=0.002)であった。 硝子体手術または網膜剝離術、あるいはその両方を受けた患者は、それぞれ29例、50例であり、補正後の強化療法群のリスク減少率は45%(p=0.01)であった。 一方、手術の費用は強化療法群が32%低かった(42万9,469 vs. 63万4,925ドル)。また、補正後のCox比例ハザードモデルや多変量モデルによる解析では、糖尿病関連の眼科手術のベースラインのリスク因子として、女性、加齢、罹病期間の長さ、HbA1c高値、正常より低い視力などが挙げられた。 著者は、「眼科手術の長期リスクにおける早期の強化療法による血糖コントロールの重要性が浮き彫りとなった」とし、「これらの知見は、早期の強化療法導入が腎症のリスクにもたらす長期的なベネフィットの報告と類似しており、過去の高血糖の程度やその曝露期間が、その後の糖尿病関連合併症の進展に影響を及ぼすとするメタボリック・メモリーの概念を支持するもの」と指摘している。

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89)空腹感は脂肪が燃え始めた証拠【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、お腹が空いて、どうしようもないんです。 医師なるほど。頑張ってダイエットされていますからね。 患者そんなときは、どうしたらいいですか? 医師こんな風に考えるといいですよ。ダイエットすると、以前よりお腹が空きます。そのときが運命の分かれ道です。 患者運命の分かれ道? 医師そうです。そのときに何か食べると、その瞬間は満足するのですが、後で後悔してしまいます。 患者そうなんです。お腹が空いているから、食べすぎたりして……。 医師そこで少し我慢すると、お腹についている脂肪を使い始めます。 患者だから、分かれ道なんですね。これからはお腹をつまんで、少し我慢してみます。●ポイント減量に対してプラスに考えられる人が、上手に痩せられることを説明します

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味噌汁・漬物を減らせば減塩できるか

 日本人一般集団において、味噌汁・漬物の摂取を控えることは、減塩のアプローチとして効果的だが、これは80~90代には当てはまらないことが、新潟大学の若杉 三奈子氏らによる研究で明らかになった。Internal medicine誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 食事の食塩摂取量を減少させるために、味噌汁と漬物の摂取を減らすことが推奨されている。しかし現在、日本人の食生活は欧米化しており、味噌汁や漬物をかつてほど頻繁に消費していない。よって、味噌汁・漬物のナトリウム摂取による影響を、あらためて検証した。 本研究では、新潟県佐渡市で2013年に健康診断を実施した8,821人(男性3,956人、女性4,865人;19~97歳)の結果データを用いて、味噌汁・漬物の摂取頻度と、推定24時間尿中ナトリウム排泄量との関連を検討する断面研究を行った。毎日の食塩摂取量のレベルは、スポット尿中のナトリウムおよびクレアチニン測定値に基づいて推定した。味噌汁と漬物の摂取頻度は自己申告のアンケートを用いて決定した。関連性は、多重線形回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1日あたりの平均塩分摂取量は9.4gであった。・味噌汁と漬物の摂取頻度は年齢とともに増加し、1日の食塩摂取量のレベルと関連する傾向が認められた(傾向のp<0.0001)。・年齢、性別、BMI、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、慢性腎臓病で調整した線形回帰モデル分析の結果、80歳以上を除く全年齢層における1日の食塩摂取量は、味噌汁(p<0.0001)および漬物(p<0.0001)の摂取頻度と関連が認められた。・以上のことから、味噌汁・漬物の摂取頻度の減少は、一般的な日本人集団における食塩摂取量を減少させるためのアプローチとして効果的であるが、80歳以上の人には効果的ではないことが示唆された。

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事例51 外来栄養食事指導料の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高度肥満に対する栄養指導を目的に内科外来を受診、外来医師も高度肥満の状態から「症候性肥満」であり、特別食による食事療法から始めることが必要と診断された。患者に栄養食事指導の必要性を説明したのち、管理栄養士に対して外来にて栄養指導の実施を指示していた。B001「9」外来食事栄養指導料の算定要件を満たしていると判断したので同指導料を算定したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。診療報酬点数表の留意事項には、「同指導料対象の特別食には肥満症に対する治療食が含まれる」とあり、その治療食は「高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食が該当する」とあった。レセプトを見直すと傷病名が「症候性肥満」であり、肥満度に対する記述はなかった。そのため特別食を必要とする状態が審査側に伝わらない状態であった。したがって、「症候性肥満」は「高度肥満症」とは異なる疾患として、不適当の査定となったものであろう。医学上の傷病名と診療報酬上の傷病名が異なる場合は、診療報酬で認められた傷病名もしくは数値を満たしていることをレセプトに記載することが、査定対策では必要なことである。

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日本型臨床研究を探る…日本循環器学会

 本年(2015年)4月、第79回日本循環器学会学術集会において、プレナリーセッション「世界の潮流を見据えた日本型臨床研究のあり方を探る」が行われ、日本型の臨床研究がいかにあるべきか、循環器領域の臨床試験の取り組みについて議論が交わされた。心不全患者のレジストリ 当セッションの中で東北大学 循環器内科学 坂田 泰彦氏は、心不全登録研究であるCHART-2(The Chronic Heart Failure Analysis and Registry in the Tohoku District-2)試験の結果を示した。心不全は高齢になるほど発症頻度が増加する。日本はすでに超高齢化社会に突入しているが、今後はヨーロッパ、アジアの多くの国も高齢化社会となり、心不全の増加は今後の世界的問題となる。 そのようななか、同科では2006年から東北6県24施設から冠動脈疾患患者、心不全患者、心不全の前段階であるステージB症例患者を登録したCHART-2試験を開始している。このCHART-2試験を2000年当時のデータと比較すると、心不全患者の基礎疾患に冠動脈疾患、高血圧、糖尿病が増加していること、エビデンスに沿った治療が浸透していることが明らかになった。CHART-2試験からは、心不全の予後や発症予防についての規定因子が示された。75歳以上では収縮期血圧が高いほうが心不全発症後の予後が不良であること、拡張期血圧70mmHg未満では収縮期血圧のいかんにかかわらず心不全発症リスクが高いことなどが明らかになっている。 坂田氏は、わが国は超高齢化国として、心不全の治療・発症予防に関するエビデンス発信をすることで、世界の心不全の急増に対して大きなメッセージを送るべきであると述べた。2型糖尿病を合併した冠動脈疾患のレジストリ 琉球大学 臨床薬理学の植田 真一郎氏は、佐賀大学と共同で取り組んでいる2型糖尿病を合併した冠動脈疾患のレジストリを紹介した。 ハイリスクな糖尿病疾患の研究には、年齢・性別など患者の背景因子、心血管インターベンション、降圧薬、脂質低下薬、糖尿病薬などの各種介入の影響など、多くの因子分析が必要である。結果を出すためには多面的な評価が必要となり、一つひとつRCTを組んでいくことは現実的ではない。そのため、まずはコホート研究を実施すべく、上記患者のレジストリを構築した。現在、2005年から6,400例以上が登録されている。 このコホート試験の結果から、総死亡、心筋梗塞、脳卒中などハードエンドポイントの発症は年間6~7%発症と高いこと、血圧と積極的降圧の関係などが明らかになっている。現在は、レジストリをベースに積極的降圧と標準治療の比較、DPP-4阻害薬の比較などRCTに適切な患者を登録する取り組みを行っている。 臨床研究は治験だけでは成り立たない。実際、新薬登場後も多くのコホート研究、ケースコントロール研究、現実的なRCTが行われた後、有効性・安全性や患者の予後改善のデータがそろう。患者レジストリには課題はあるものの、それ自体大規模なコホート研究となる。植田氏は、レジストリは、今後多くの臨床研究のプラットホームとなるであろうと述べた。

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梅雨の季節。原因不明の咳は真菌のせい!?

 4月21日、東京都内において「梅雨から要注意!カビが引き起こす感染症・アレルギー  -最新の研究成果から導く“梅雨カビ”の対策ポイント-」(主催:株式会社衛生微生物研究センター、協力:ライオン株式会社)と題し、メディアセミナーが開催された。 これから梅雨の季節を迎え、家中のさまざまなところで発生するカビについて、その性質と健康に及ぼす影響を概説し、具体的にどのような疾患を生じさせるかをテーマに講演が行われた。カビを吸い込むことで喘息やアレルギー性疾患を誘発 はじめに「カビ」の研究者である李 憲俊氏(衛生微生物研究センター所長)が、「身の回りのカビと、人体への影響」と題して、家カビの発生とその影響について解説を行った。 カビは、水の溜まるシンク周りや浴室に多く繁殖し、また、湿気のこもる下駄箱、押し入れ、結露する北側の壁、窓枠、浴室天井などに多く発生する。とくに天井のカビは、思いのほか気が付きにくく、掃除も難しい。また、胞子が舞い落ちることで人が吸い込む可能性もある。そして、カビを吸い込むことで、喘息、アレルギー性疾患を誘発、悪化させるほか、肺炎などの感染症の原因ともなる。李氏は「現在のように密封性の高い家屋では、カビの増殖が容易なため、いかにカビを発生させないか対策が大事」とまとめた。原因不明の咳はカビによるアレルギー性疾患の疑い 続いて、「カビが引き起こす感染症・アレルギー」と題して、亀井 克彦氏(千葉大学真菌医学研究センター 臨床感染症分野 教授)が、カビ(真菌)が原因となる呼吸器疾患のレクチャーを行った。 真菌が原因となる病気は、水虫が広く知られているが、その他にも感染症、アレルギー、(食物摂取による)中毒症などがある。そして、私たちは1日に1万個以上の真菌を吸い込んでおり、真菌が原因の疾患で亡くなる方も現在増加中だという。 原因不明の咳などの診療でのポイントとしては、「古い木造一戸建てに引っ越した」「梅雨ごろから症状が始まった」「しつこい乾いた咳」「家の外だと軽快」「次第に息切れする」「中年女性」といったファクターがあった場合、「夏型過敏性肺臓炎」や「カビによるアレルギー性疾患」などが疑われ、早期の検査と治療が必要となる。とくに「夏型過敏性肺臓炎」は、わが国独特の疾患であり、風邪などと区別がつきにくいために見過ごされ、治療が遅れることも散見されるので、注意が肝要とのことである。 また、頻度は少ないが、喫煙者や糖尿病などの慢性疾患を持つ人が罹りやすい「慢性壊死性肺アスペスギルス症」などは治療薬も効果が弱く、進行すると予後不良となるため、定期健診での早期発見が大切だという。 真菌感染症は、容易に感染しないものが多いが、一度感染すると難治性となり、治療薬も効果が弱く副作用も強い。また、再発しやすく、アレルギーなどのさまざまな疾患の原因ともなるので、原因不明の咳などで「前述の疾患を疑ったら呼吸器科の中でもアレルギー疾患領域に明るい専門医の受診が必要」とのことだった。 最後に、患者に指導できる予防策として、肺の老化予防のために「禁煙の実施」、住宅内の「カビの排除」(とくにエアコン、水まわりなど)、原因不明のしつこい咳や息苦しさがあれば「専門医師への受診」を患者に伝えることが重要だと亀井氏は述べ、「カビについて過度に神経質になる必要はないが、適度な心配はしてほしいと患者に指導をお願いしたい」とレクチャーを終えた。

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88)日常生活でできる簡単な運動を指導する【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者なかなか運動する時間がとれなくて……。 医師確かに忙しい人は、運動する時間をまとめてとるのは大変ですよね(共感)。 患者そうなんです。 医師そういう人にもいい方法がありますよ(前置き)。 患者それは何ですか?(興味津々) 医師エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使うことです。 患者今まではエレベーターを使っていました。これからは階段を使うようにします(気づきの言葉)。 医師階段を上がるのは、座っているのに比べると8倍のエネルギーを消費しますし、筋トレにもなりますしね。 患者それなら、頑張ってやってみます(うれしそうな顔)。●ポイント普段から階段を使う習慣が、筋力トレーニングになることをわかりやすく説明●資料椅子に座る 1.0メッツ階段を下りる 3.0メッツ階段を上がる 8.0メッツ上の階へ荷物を運ぶ 9.0メッツ

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