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心血管・腎・代謝(CKM)症候群は、代謝異常、慢性腎臓病(CKD)、心血管疾患が連続的に進展する疾患概念として注目されている。微量元素の1つである亜鉛が欠乏することで心血管・腎アウトカムの悪化をもたらすことが報告されているものの、CKM症候群の進行との関連は十分に明らかでない。今回、台湾・Chi Mei HospitalのKuan-Chieh Tu氏らは、CKMステージ1または2の成人において、亜鉛欠乏はCKMステージ3~4への進行リスク上昇と有意に関連していたことを明らかにした。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2026年7月23日号に掲載された。本研究は、世界の医療機関172施設の匿名化電子健康記録を集積したTriNetX Global Collaborative Networkを用いた後ろ向きコホート研究である。2010年1月1日~2026年3月31日に、CKMステージ1または2に該当し、前年に血清亜鉛測定を受けた18歳以上を対象とした。血清亜鉛濃度70μg/dL未満を亜鉛欠乏群、70~120μg/dLを対照群とし、1:1の傾向スコアマッチング後に解析を行った。主要評価項目は、CKMステージ1~2からステージ3~4への進行に相当する心血管疾患または進行CKDの新規発症とした。副次評価項目は、主要心血管イベント(MACE)、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、心房細動、虚血性脳卒中、心不全、進行CKD、全死亡などであった。追跡期間は最大365日で、中央値はいずれの群も365日であった。主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしたCKMステージ1~2かつ血清亜鉛測定済みの患者は22万4,495例で、このうち亜鉛欠乏群9万168例、対照群13万4,327例であった。傾向スコアマッチング後は各群7万4,245例となり、平均年齢は亜鉛欠乏群49.5歳、対照群48.9歳、女性の割合はそれぞれ69.5%、71.2%であった。・主要評価項目であるCKMステージ3~4への進行は、亜鉛欠乏群4,864例(6.6%)、対照群3,752例(5.1%)に発生し、亜鉛欠乏はCKM進行リスク上昇と関連していた(ハザード比[HR]:1.36、95%信頼区間[CI]:1.30~1.41、p<0.001)。・副次評価項目はそれぞれ以下の結果となった。 ●MACEのHRは1.35(95%CI:1.30~1.41、p=0.001、亜鉛欠乏群5,434例[7.3%]、対照群4,204例[5.7%])で、亜鉛欠乏群でリスクが高かった。 ●冠動脈疾患のHRは1.33(95%CI:1.26~1.41、p<0.001、2,731例[3.7%]vs.2,131例[2.9%])。 ●末梢動脈疾患では1.17(95%CI:1.06~1.31、p=0.003、729例[1.0%]vs.646例[0.9%])。 ●心房細動では1.42(95%CI:1.29~1.56、p<0.001、1,024例[1.4%]vs.748例[1.0%])。 ●虚血性脳卒中では1.38(95%CI:1.22~1.55、p<0.001、638例[0.9%]vs.481例[0.6%])。 ●心不全では1.61(95%CI:1.48~1.74、p<0.001、1,501例[2.0%]vs.971例[1.3%])。 ●進行CKDでは1.31(95%CI:1.21~1.43、p<0.001、1,226例[1.7%]vs.955例[1.3%])。 ●全死亡では1.65(95%CI:1.55~1.75、p<0.001、2,906例[3.9%]vs.1,820例[2.5%])。・ランドマーク解析でも、亜鉛欠乏とCKM進行との関連は維持された。リスク上昇はインデックス日後3ヵ月以内でHR 1.57(95%CI:1.47~1.66)、3ヵ月~1年でHR 1.24(95%CI:1.18~1.31)、6ヵ月~1年でHR 1.21(95%CI:1.14~1.28)であり、1~3年の追跡に限定しても有意であった(HR:1.12、95%CI:1.07~1.16)。・3~12ヵ月後の再測定でも亜鉛欠乏を認める持続性亜鉛欠乏を曝露とした解析でも、CKM進行リスクは上昇していた(HR:1.58、95%CI:1.36~1.83、p<0.001)。また、感染症(HR:1.24、95%CI:1.21~1.26)、敗血症(HR:1.56、95%CI:1.47~1.65)、治癒不良創傷(HR:1.31、95%CI:1.23~1.40)、CRP高値(HR:1.27、95%CI:1.24~1.31)、動脈硬化性プラーク(HR:1.21、95%CI:1.09~1.34)、心拡大(HR:1.71、95%CI:1.58~1.85)、eGFR 45mL/分/1.73m2未満(HR:1.35、95%CI:1.31~1.40)のリスクも高かった。本研究結果について著者らは、「CKMステージ1~2患者において、亜鉛欠乏はCKMステージ3~4への進行、ならびに心血管、腎、死亡アウトカムの幅広い悪化と関連していた」とし、「亜鉛欠乏はCKM健康状態不良の重要なマーカーであり、CKM進行リスクが高い患者の同定に役立つ可能性がある」と結論付けた。