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GLP-1受容体作動薬、物質使用障害の予防や治療に有効か/BMJ

 GLP-1受容体作動薬の使用は、さまざまな物質使用障害(SUD)の発症リスク低下と一貫して関連し、複数の物質タイプにわたる幅広い予防効果があること、また、SUD既往患者においても有害な臨床アウトカムのリスク低下に関連していることが、米国退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのMiao Cai氏らによる観察研究の結果で示された。GLP-1受容体作動薬の使用がアルコール、タバコ、大麻使用障害の発症および再発リスクを低下させることが示されていたが、他の物質に関するエビデンスや、SUD既往患者の臨床アウトカムの改善に有効かどうかを評価する大規模研究は不足していた。著者は、「今回のデータは、GLP-1受容体作動薬がさまざまなSUDの予防と治療の両方において潜在的な役割を果たす可能性を示唆しており、さらなる評価が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年3月4日号掲載の報告。退役軍人の医療記録を用いて8件の実薬対照比較試験をエミュレーション 研究グループは、米国退役軍人省の電子医療記録を用いて新規投与開始者に関する8件の実薬対照標的試験エミュレーション(target trial emulation)を行った。内訳は、SUD既往のない患者における新規SUD発症に関する7試験(プロトコール1)と、SUD既往患者における有害アウトカムに関する1試験(プロトコール2)であった。 2型糖尿病を有する米国退役軍人60万6,434例をベース集団とし、患者を2つのプロトコールのいずれかに割り付け、最大3年間追跡した。 プロトコール1(主要試験)では、GLP-1受容体作動薬新規投与開始者12万4,001例およびSGLT2阻害薬新規投与開始者40万816例の計52万4,817例が、プロトコール2では、それぞれ1万6,768例および6万4,849例の計8万1,617例が対象となった。 主要アウトカムは、アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイドの使用障害、その他のSUD発症、およびこれらの複合アウトカムとした。SUD既往患者における有害アウトカムには、SUD関連の救急外来受診、SUD関連入院、SUD関連死、薬物過剰摂取、自殺念慮または自殺企図などが含まれた。 ハザード比(HR)および3年間の純リスク差(NRD、1,000人当たり)を、逆確率重み付けを用いた原因特異的Cox生存モデルに基づいて報告した。アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイド、他のSUD発症リスクの低下と関連 SGLT2阻害薬の開始と比較し、GLP-1受容体作動薬の開始は以下の使用障害のリスク低下と関連していた。・アルコール(HR:0.82[95%信頼区間[CI]:0.78~0.85]、NRD:-5.57[95%CI:-6.61~-4.53])・大麻(0.86[0.81~0.90]、-2.25[-3.00~-1.50])・コカイン(0.80[0.72~0.88]、-0.97[-1.37~-0.57])・ニコチン(0.80[0.74~0.87]、-1.64[-2.19~-1.09])・オピオイド(0.75[0.67~0.85]、-0.86[-1.19~-0.52]) また、主要アウトカムとした、その他のSUD発症(0.87[0.81~0.94]、-1.12[-1.68~-0.55])、複合アウトカム(0.86[0.83~0.88]、-6.61[-7.95~-5.26])のリスク低下も認められた。 SUD既往患者では、GLP-1受容体作動薬の投与開始は、次のリスク低下と関連していた。・SUD関連救急外来受診(HR:0.69[95%CI:0.61~0.78]、NRD:-8.92[-11.59~-6.25])・SUD関連入院(0.74[0.65~0.85]、-6.23[-8.73~-3.74])・SUD関連死(0.50[0.32~0.79]、-1.52[-2.32~-0.72])・薬物過剰摂取(0.61[0.42~0.88]、-1.49[-2.43~-0.55])・自殺念慮または自殺企図(0.75[0.67~0.83]、-9.95[-13.14~-6.77]) 治療アドヒアランスに基づく解析でも、新規SUD発症およびSUD既往患者における有害アウトカムの両方について、治療開始に基づく解析と一貫した結果が示された。

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エクソーム解析で家族性高コレステロール血症の遺伝子変異保有者を特定可能

 エクソーム解析により、家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)の遺伝子変異保有者を特定できるという研究結果が、「Circulation: Genomic and Precision Medicine」に11月12日掲載された。 米メイヨー・クリニックのN. Jewel Samadder氏らは、地理的にも人種的にも多様な米国内の3地域から参加者を募集し、エクソーム解析を用いた生殖細胞系列遺伝子検査によってFH遺伝子変異保有者を特定できるかを検討した。研究には、計8万4,413人が参加した。 解析の結果、FH関連遺伝子の病的バリアントおよび病的である可能性の高いバリアントを有する対象者が419人特定され(有病率0.50%)、内訳はAPOBが116人、LDLRが298人、PCSK9が5人であった。対象者の66%が女性で、平均BMIは27.3kg/m2、12.3%が糖尿病の既往を報告した。39.5%が高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)を、56.7%がHDLコレステロール低値(50mg/dL未満)を呈していた。コレステロール低下薬を服用していなかったのは27.5%で、FHキャリアのうちLDLコレステロールの目標値を達成していたのは10%にとどまった。さらに、コホートの22.4%が冠動脈疾患の既往を報告していた。遺伝学的に新規にFHキャリアと診断された人が約90%を占め、そのうち現行の臨床診断基準を満たしていたのは30.8%にとどまった。 Samadder氏は、「現行のガイドラインでは血中コレステロール値や家族歴に基づいて遺伝学的検査の対象者を判定しているが、今回の研究結果はそのアプローチに盲点があることを示している」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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脳外傷後の迅速な神経リハがアルツハイマー病のリスクを抑制する

 外傷性脳損傷(TBI)がアルツハイマー病(AD)や認知症のリスク上昇と関連していることが疫学研究から示されている。一方、TBI後の神経リハビリテーション(神経リハ)がそのリスクを抑制し得ることを示唆する、複数の研究結果が報告されている。ただし、神経リハ開始のタイミングによってAD等のリスクが異なるのかは明らかでない。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAustin A. Kennemer氏らはこの点について、リアルワールドの医療情報データベースであるTriNetXを用いて、米国内の大規模医療機関69施設の患者データを解析し検証した。結果の詳細は「Journal of Alzheimer's Disease」に10月9日掲載された。 2000~2019年に中等度または重度のTBIと診断され6カ月以内に神経リハを受けていた50~90歳の患者から、TBI前にAD、認知症、軽度認知障害(MCI)の診断またはAD関連薬剤の処方記録がある患者を除外した3万7,081人を抽出。このうち2万8,157人は神経リハがTBI後1週間以内に開始され、8,924人は1週間以上経過してから開始されていた。 人口統計学的因子(年齢、性別、人種/民族)、社会経済的因子(教育歴、雇用状況、居住環境など)、およびTBIや認知症のリスクに影響を及ぼし得る疾患等の既往歴(糖尿病、肥満、心血管疾患、COPD、薬物乱用など)について傾向スコアマッチングを行い、各群8,818人からなるコホートを作成。3年後および5年後の追跡調査時点のAD発症を主要アウトカム、MCI、認知症、およびAD関連薬剤の処方を副次的アウトカムとしてリスクを比較した。なお、神経リハ早期開始群は平均年齢64.0±9.09歳、女性41.1%、後期開始群は同順に63.9±9.05歳、40.9%だった。 Cox比例ハザードモデルでの検討の結果、神経リハ早期開始群の後期開始群に対するADリスクは、3年後(ハザード比〔HR〕0.59〔95%信頼区間0.41~0.86〕)および5年後(HR0.70〔同0.52~0.94〕)ともに有意に低いことが示された。同様に、認知症(3年後がHR0.77〔0.68~0.88〕、5年後が0.88〔0.79~0.98〕)、MCI(同順に0.71〔0.60~0.84〕、0.72〔0.62~0.84〕)、AD関連薬剤の処方(0.69〔0.56~0.84〕、0.79〔0.66~0.93〕)のいずれも、早期開始群の方が有意に低リスクだった。 Kennemer氏は、「われわれの研究結果は、TBI後の迅速な神経リハ開始が、長期予後にとり重要であることを示している」と述べている。

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第52回 たった一度の注射で、コレステロールの悩みから一生解放される日が来るかもしれない

これまで「コレステロール治療」といえば、食事を切りつめて、薬を毎日飲んで、それでも健康診断のたびにドキドキして…そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。とくに遺伝的にコレステロールが高い方にとって、治療は文字どおり一生の付き合いです。しかしこのたび、そんな常識が根本から変わるかもしれない研究成果1)が報告されました。家族性高コレステロール血症という病気があります。遺伝的にLDL(悪玉)コレステロールが高くなる体質で、実は約300人に1人が該当するといわれています。決してまれではないのです。この病気の方は若いうちから動脈硬化が進みやすく、50歳前に心筋梗塞を起こすリスクが高いことも知られています。現在の治療には、スタチンやエゼチミブといった飲み薬に加え、PCSK9阻害薬という注射剤があります。このPCSK9というのは、肝臓でLDL受容体(悪玉の受け皿)を分解するタンパク質で、これを抑えると体が自力で悪玉コレステロールを処理する力を取り戻せます。しかし、これらはすべて生涯続けなければならないので大変です。実際、PCSK9阻害薬の処方を受けた患者さんの約4割が1年以内に治療を中断することが知られています。費用や注射への抵抗感など理由はさまざまですが、「一生続ける」ハードルは想像以上に高いのです。「修正液」で遺伝子を1文字だけ書き換えるそんな中、Nature Medicine誌に画期的な論文が掲載されました。「YOLT-101」という遺伝子編集治療の、初めてのヒト臨床試験の中間報告です。脂質ナノ粒子という微小カプセルに「塩基編集ツール」を詰めこんで、静脈注射で一度だけ投与して、肝臓の細胞内でPCSK9遺伝子をスイッチオフにするという代物です。この塩基編集というのは、DNAの特定の1文字だけをピンポイントで書き換える技術です。従来用いられてきた遺伝子治療の技術がDNAを「ハサミで切る」のに対し、塩基編集は「修正液で1文字だけ直す」ようなもの。切断しないぶん、意図しない変異が起きにくいとされています。この研究では、家族性高コレステロール血症の患者が6人参加し、「塩基編集ツール」の投与を1回だけ受けています。その後24週間でPCSK9の血中濃度が平均74%低下し、LDLコレステロールは最大52%減少しました。既存の注射薬と同等の効果を、たった一度の治療で得られたのです。「一度きり」だからこその慎重さただし、手放しでは喜べません。まず6人中5人に発熱や筋肉痛などの副反応が見られました。カプセル成分に対する免疫反応と推測されていますが、詳細はこれからです。また、PCSK9の抑制が74%にとどまった点も課題です。まだまだ改善の余地があります。編集が均一に行き届かない可能性や、編集されていない幹細胞から新たな肝臓の細胞が生まれてくる可能性が指摘されています。さらに重要なのが、24週間という追跡期間の短さです。肝臓の細胞は通常ゆっくり入れ替わりますが、長期的には効果が薄れる可能性も否定できません。そして塩基編集はRNA治療と違い、一度書き換えたDNAを元に戻せません。想定外の長期的副作用が生じた場合に「やり直し」がきかないという点は、患者さんへの説明においてきわめて重要です。それでも、この研究には大きな希望を感じます。毎日の服薬、定期的な注射。そうした負担から解放される未来が、少しずつ現実味を帯びてきました。もちろん塩基編集が既存の治療をすべて置き換えるわけではないでしょう。PCSK9を抑えるだけでは、重症の患者さんが目標値に到達できないケースも多いからです。しかし、コレステロール対策が「食事と薬を一生続ける」から「一度の治療で遺伝子から変える」へ。その転換点に、私たちは今、立ち会おうとしているのかもしれません。 1)Wan P, et al. In vivo base editing gene therapy for heterozygous familial hypercholesterolemia: a phase 1 trial. Nat Med. 2026 Mar 3. [Epub ahead of print]

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2型糖尿病、1日1回経口のorforglipron vs.セマグルチド/Lancet

 メトホルミンでコントロール不十分な2型糖尿病患者において、経口orforglipron 12mgおよび36mgは、経口セマグルチド7mgおよび14mgに対して、ベースラインから52週時のHbA1c値の平均変化量に関して非劣性および優越性を示した。米国・テキサス大学のJulio Rosenstock氏らACHIEVE-3 Investigatorsが行った国際共同第III相多施設非劣性非盲検無作為化試験「ACHIEVE-3試験」の結果で示された。安全性プロファイルは、両薬ともにGLP-1受容体作動薬の既知のプロファイルと一致していたが、消化器系イベント、有害事象による試験中止の頻度、平均脈拍数上昇が、経口orforglipron群のほうが経口セマグルチド群よりも高かったことも示された。orforglipronは、食品および飲水の制限を必要とせず1日1回の服用で済むようデザインされた新規の経口GLP-1受容体作動薬である。Lancet誌オンライン版2026年2月26日号掲載の報告。orforglipron(12mg/36mg)vs.セマグルチド(7mg/14mg)、52週時点の非劣性を評価 ACHIEVE-3試験は、アルゼンチン、中国、日本、メキシコ、米国の131の医学研究センターおよび病院にて、メトホルミン(1,500mg/日以上)でコントロール不十分(HbA1c値7.0~10.5%[53~91mmol/mol])な2型糖尿病かつBMI値25以上の成人(18歳以上)を登録して行われた。 被験者は、orforglipron(12mgまたは36mg)またはセマグルチド(7mgまたは14mg)の投与群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。全投与群に、最長4週間の導入期間と52週間の治療期間が設定され、試験薬は1日1回経口投与された。 主要評価項目はHbA1c値のベースラインから52週時の平均変化量で、orforglipron 36mg群のセマグルチド14mg群に対する非劣性、およびorforglipron 12mg群のセマグルチド7mg群に対する非劣性を評価した(ITT集団、非劣性マージン0.3%)。非劣性が示された場合、優越性に関する階層的解析を行うことが事前に規定された。 治療レジメン推定値は、試験中の有害事象発現の有無にかかわらず無作為化された全被験者から得られたデータに基づき、これを主要推定値とした。有効性の推定値は、補助的推定値と見なした。 安全性は、試験薬を少なくとも1回投与された被験者のデータを用いて評価した。orforglipron(12mg/36mg)のセマグルチド(7mg/14mg)に対する非劣性、優越性を検証 2023年9月22日~2025年8月22日に、1,698例が登録され、orforglipron群(12mg群424例、36mg群423例)またはセマグルチド群(7mg群426例、14mg群425例)に無作為化された(アジア人は各群12%)。 治療レジメン推定値について、ベースラインのHbA1c値8.3%からの52週時の平均変化量は、orforglipron 12mg群-1.71%(SE 0.07)、orforglipron 36mg群-1.91%(0.08)、セマグルチド7mg群-1.23%(0.05)、14mg群-1.47%(0.06)であった。 推定治療群間差は、orforglipron 12mg群vs.セマグルチド7mg群で-0.48%(95%信頼区間[CI]:-0.65~-0.31、p<0.0001)、orforglipron 36mg群vs.セマグルチド14mg群で-0.44%(95%CI:-0.62~-0.26、p<0.0001)、orforglipron 12mg群vs.セマグルチド14mg群で-0.24%(-0.41~-0.07、p=0.0050)、orforglipron 36mg群vs.セマグルチド7mg群で-0.68%(-0.85~-0.50、p<0.0001)であり、主要評価項目に関する非劣性が示され、orforglipron両用量のセマグルチド両用量に対する優越性も示された(orforglipron 12mg群vs.セマグルチド14mg群も含む)。orforglipron群は消化器系イベントや投与中止が多く、脈拍数上昇も大きい 最も多くみられた有害事象は消化器系イベントで、orforglipron 12mg群249/424例(59%)、36mg群245/423例(58%)、セマグルチド7mg群157/426例(37%)、14mg群193/425例(45%)であり、大半が軽度~中等度であった。 有害事象による試験薬投与中止は、orforglipron群(12mg群37例[9%]、36mg群41例[10%])のほうがセマグルチド群(7mg群19例[4%]、14mg群21例[5%])より多かった。 また、平均脈拍数の上昇は、orforglipron群(12mg群3.7bpm、36mg群4.7bpm)のほうが、セマグルチド群(7mg群1.0bpm、14mg群1.5bpm)よりも大きかった。 試験中に4例の死亡が報告された(orforglipron 12mg群1例、36mg群1例、セマグルチド7mg群2例)。

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4週ごとのFGF21アナログ製剤efimosfermin alfa皮下注射24週治療はMASH(F2/F3)の活動性および線維化ステージを改善する(解説:相澤良夫氏)

 FGF21アナログ製剤はMASHの治療薬として高い期待が寄せられている。すでにefruxiferminやpegozaferminは第III相試験で良好な治療効果と安全性が確認され、MASH代償性肝硬変に対しても線維化ステージの改善効果も示されている。わが国でも最近FGF21アナログ製剤の臨床治験が申請され、開始されている。 FGF21は多様な生理作用を有し、心臓代謝性疾患の危険因子である脂質異常症や糖尿病の改善効果が示され、FGF21アナログ製剤は単にMASHを改善するだけでなくMASHに合併して、その予後に影響を及ぼす代謝異常に対しても有用性が示されている。 efimosferminはFGF21のN端にIgGのFcを強固に結合し、さらに蛋白分解酵素の作用点に変異を導入して安定化させることにより血中半減期を著しく延長させたアナログで、月1回(4週ごと)の皮下投与で十分な薬理効果を発揮する薬剤である。従来製剤の週1回投与に比べて煩雑さが軽減されるという利点があり、他のFGF21アナログ製剤と同等以上のMASH治療効果を発揮する可能性がある。副作用は従来のFGF21アナログ製剤と同等で軽度から中等度の消化器症状が主体であり、安全性、忍容性が高い。 今回の第II相試験は短期間で症例数が少なく、より長期の安全性や代償性肝硬変に対する治療効果は確認されていない。efimosferminはefruxiferminなどの先行FGF21アナログ製剤に臨床試験で後れを取っているものの、注射回数が少なくて済み、先行薬よりも強力な治療効果を発揮する可能性がある薬剤と思われる。今後の臨床試験結果が大いに期待される。

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HFpEF診療で期待のフィネレノン、適格患者と注意点とは/バイエル

 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、これまで2型糖尿病かつ慢性腎臓病患者の心不全発生予防に対し有効性が示されていたが、2025年12月22日、新たに「慢性心不全」の適応を取得した。 これを受け、バイエル薬品は2月19日にプレセミナーを開催。昨年の第89回日本循環器学会学術集会で本剤の研究結果や日本人サブ解析データを発表した絹川 弘一郎氏(富山大学第二内科 教授/日本心不全学会理事長)と佐藤 直樹氏(かわぐち心臓呼吸器病院 副院長/循環器内科)が登壇し、心不全治療の課題やフィネレノン処方時の注意点などについて解説した。HFpEFに投与を考慮すべき、異例のスピードでガイドライン推奨 2025年3月発刊の『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』において、フィネレノンの位置付けは大きく変貌を遂げた。従来の適応に加え、左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)や左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)における薬物治療の推奨とエビデンスが加わった(症候性のHFpEFに対して、心血管死または心不全増悪イベントの抑制を目的としてMRA(フィネレノン)の投与を考慮する[推奨クラスIIa・エビデンスレベルB-R])。この適応拡大に至った背景について、絹川氏は「FINEARTS-HF試験で予後改善効果が示された」と説明し、適応取得前にガイドラインに掲載された異例のスピード感について、「それだけ現場の期待が大きかったことの表れ」と述べた。非ステロイド骨格による炎症/線維化抑制への期待 上記を踏まえ、絹川氏は「心不全診療の現状と課題:左室駆出率の保たれた心不全とは?」と題し、HFpEF診療におけるフィネレノンの可能性を解説。これまで心不全診療の中心はHFrEFであり、心不全~全身臓器の機能低下や各種ホルモンの上昇といった多臓器連関をブロックするため、近年ではARNI(ACE阻害薬/ARB)、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬の4剤を併用するファンタスティック・フォーが基本治療とされてきた。その一方で、この20年で増加傾向にあるHFpEFには、HFrEFに準じた治療で有効性が見いだせていなかった。 また以前より、HFpEFの背景にある生活習慣病などのリスク因子を有する患者では、ミネラルコルチコイド受容体(MR)が過剰活性化を起こし、これが心不全の増悪・進行の原因であることは示されていたため、これまで、MRAの1つでステロイド骨格を有するスピロノラクトンでHFpEFに対する有効性が試験されるも、予後改善のエビデンスを得るには至らなかった。これに対して、非ステロイド骨格のフィネレノンは、FINEARTS-HF試験で有効性を示したのである。その理由について同氏は「ステロイド骨格の有無による効果の違いは現時点では明らかではないが、非ステロイド骨格のMRAは、炎症/線維化遺伝子発現を誘導するcofactor(共役因子)と結合しない点が大きいのではないか」と見解を示した。1年予後改善のため、安易な中止は逆効果に 続いて佐藤氏は、「心不全治療はケレンディアによってどう変わるのか?―ケレンディアの対象となる患者像は?―」と題し、フィネレノンのガイドラインでの推奨根拠となったFINEARTS-HF試験に基づき、日本人の適格患者を以下のように示した。<適格患者>―――――――――――――・年齢≧40歳・NYHA心機能分類 II~IV・左室駆出率≧40%・eGFR≧25mL/min/1.73m2・血清カリウム値≦5.5(5.0mmol/L)・SGLT2阻害薬併用可――――――――――――――――――― フィネレノンは、上述のようにガイドラインにおいて“投与を推奨すべき”という位置付けが示されたものの、腎機能やカリウム値のモニタリングが不可欠である。同氏は「除外基準としてeGFR、血清カリウム値について考慮する必要がある」と前置きし、「非ステロイド性MRAを開始できない、あるいはすぐに中止してしまうといった処方医の過度な慎重さが逆に患者の不利益につながりかねない」と注意喚起し、処方医らの不安を払拭する材料として、AHA2024で発表された知見に触れ、血清カリウム値が一時的に5.5mmol/Lを超えた症例においても、フィネレノンの臨床的効果が維持されていたデータを示した。また、FINEARTS-HF試験サブグループ解析結果から、フィネレノンをSGLT2阻害薬服用患者にアドオンすることによる利点、有効性・安全性についても言及した。 最後に同氏は「予後改善目的でフィネレノンを投与することを常に念頭に置いて処方検討を行うことが重要」とし、「フィネレノンは血清カリウム5.5mmol/Lまでは投与可能だが、フィネレノン、RAS阻害薬、SGLT2阻害薬で血清クレアチニン値の急な上昇がみられることがある。ただし、これは必ずしも腎機能悪化を示すものではなく、これらの治療は腎機能改善と関連している。そして、心不全診療において、安易な反射的中止が課題になっており、診療ガイドラインに基づく薬物療法(GDMT)の中止が心不全の転帰悪化に影響する」と患者の利益を最優先した基準の順守ならびにモニタリングの実施をHFpEF診断にあたる医師に向けて訴えた。 

8.

地中海食が女性の脳卒中予防に有効か

 地中海食の実践は、脳卒中リスクの低下と関係している可能性があるようだ。新たな研究で、食生活が地中海食に最も近い女性では、あらゆる種類の脳卒中のリスクが18%低いことが示された。米City of Hope総合がんセンターのSophia Wang氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology Open Access」に2月4日掲載された。Wang氏は、「今回の結果は、健康的な食生活が脳卒中予防に極めて重要であるという、増え続けているエビデンスを支持するものだ」と話している。 地中海食は、新鮮な果物や野菜、全粒穀物、種子類、ナッツ類、豆類、オリーブオイルを中心に摂取する食生活である。魚介類は週に2回以上、乳製品や赤身以外のタンパク質は少量を毎日摂取する一方で、赤肉や加工食品の摂取は最小限に抑え、砂糖入り飲料は摂取しないことが推奨される。 この研究では、カリフォルニア州の女性教職員13万3,477人を対象とした長期追跡研究のデータを用いて、地中海食と脳卒中との関連が検討された。対象者は1995〜1996年に試験に登録されていた。カリフォルニア州の入院記録と死亡記録を用いて1996年から2020年までの間の脳卒中の発症について調べるとともに、ベースライン時の食事調査の結果に基づき地中海食遵守スコアを算出した。地中海食遵守スコアは0〜9点の範囲で採点され、点数が高いほど遵守度が高いことを意味する。 最終的に10万5,614人(平均年齢52.5±13.8歳)が解析対象とされた。地中海食の遵守度が最も高かった(6〜9点)のは全体の30%(3万1,638人)、最も低かった(0〜2点)は12.5%(1万3,204人)であった。平均20.5年の追跡期間中に4,083件(虚血性3,358件、出血性725件)の脳卒中が発生した。解析の結果、地中海食の遵守度が最も高い群では最も低い群に比べて、あらゆる脳卒中のリスクが18%(ハザード比0.82、95%信頼区間0.74〜0.92)、虚血性脳卒中リスクが16%(同0.84、0.75〜0.95)、出血性脳卒中リスクが25%(同0.75、0.58〜0.97)、有意に低いことが示された。 Wang氏は、「特に出血性脳卒中について、この結果が当てはまることは興味深かった。大規模研究でこのタイプの脳卒中を対象にしたものは少ないからだ」とニュースリリースで述べている。 さらにWang氏は、「脳卒中は、死亡と障害の主な原因であるため、食生活を改善することで、この深刻な病気のリスクを減らせる可能性があると考えると、大きな希望を感じる。今回の結果を確認し、背後にあるメカニズムを理解するために、さらなる研究が必要だ。それにより、新たな脳卒中予防法を見つけられる可能性がある」と述べている。

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第309回 臨床医が扱い慣れたGLP-1薬なら依存症治療の敷居を低くできそう

セマグルチドやチルゼパチドなどのGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)の使用が、アルコールやその他の薬物乱用を生じ難くするらしいことを示す大規模観察試験結果がまた1つ報告されました1-4)。BMJ誌に今回報告されたのは、米国の2型糖尿病の退役軍人の解析結果です。言わずもがなGLP-1薬は膵臓の受容体に働いてインスリン分泌を促します。しかしそれだけでなく、脳でも作用することが知られ、薬物乱用やアルコール依存を促す脳の報酬回路へのGLP-1薬の働きが盛んに検討されています4)。試験ではそのように脳でも働くGLP-1薬か、腎臓でもっぱら働くエンパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬を使い始めた60万例超の経過が調べられました。3年間追跡したところ、薬物依存症の既往がない人のGLP-1薬使用は大麻、アルコール、コカイン、ニコチン、オピオイドの依存症の発生率がSGLT2阻害薬使用に比べて14%低いことと関連しました。すでに依存症の人の薬物乱用と関連した救急科受診、入院、オーバードーズの割合の比較でもGLP-1薬使用に分があり、SGLT2阻害薬に比べてそれぞれ約30%、25%、40%低いことが示されました。薬物乱用と関連する死亡や自殺念慮/自殺企図もGLP-1薬使用群がより少なく、SGLT2阻害薬群に比べてそれぞれ50%と25%低い割合で済んでいました。依存症へのGLP-1薬の効果は無作為化試験でも示されつつあります。昨年2月にはアルコール依存患者の飲酒量を減らすセマグルチド週1回注射の効果を裏付けた無作為化試験が報告されています5)。進行中の試験もあり、GLP-1薬の類いのmazdutideのアルコール依存治療を調べているプラセボ対照無作為化第II相試験がLillyの手によって実施されています。結果は今夏8月に判明するようです6)。セマグルチドの別の無作為化試験も米国立薬物乱用研究所(NIDA)医師のLorenzo Leggio氏の主導で進行中です7)。Leggio氏は、たいていが治療されないままのアルコール依存症の治療にGLP-1薬の類いが光明をもたらしうると考えています4)。日本もおよそ似たような状況と思われますが、Leggio氏によるとアルコール依存症患者のほぼ全員の98%は米国で承認されているアルコール依存治療薬を手にしていません。その原因の一端は臨床医のほとんどが依存症治療薬に精通していないことにあるとLeggio氏は言っています。アルコール依存症とは対照的に、糖尿病患者のほとんどの85%超は米国で承認された治療を受けており、臨床医はGLP-1薬を含む糖尿病薬の扱いに手慣れています。GLP-1薬が誰にでも効くというわけにはいかないでしょうが、もし効果の裏付けが済んでGLP-1薬による依存症治療が承認されたら専門医限定という垣根を超えて普及するだろうとLeggio氏は示唆しています。それに、糖尿病治療として社会的により受け入れられているGLP-1薬なら依存症の薬物治療への偏見も減らせるかもしれません4)。米国などでは承認されているnaltrexoneなどのめぼしい依存症治療薬が未承認の日本では、あくまでも有効性が確立して承認されればの話ですが、臨床医が扱いに慣れたGLP-1薬による依存症治療はとくに重宝されそうです。参考1)Cai M, et al. BMJ. 2026;392:e086886.2)GLP-1 diabetes drugs linked to reduced risk of addiction and substance-related death / Eurekalert3)GLP-1 medications get at the heart of addiction: study / Eurekalert4)GLP-1 drugs linked to lower addiction rates in large study of veterans / Science5)Hendershot CS, et al. JAMA Psychiatry. 2025;82:395-405.6)ClinicalTrials.gov(NCT06817356)7)ClinicalTrials.gov(STAR)

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未破裂脳動脈瘤のある健康な人、全死亡リスクが5倍に

 MRIの普及に伴い、症状のない未破裂脳動脈瘤(UIA)が偶然発見される機会が増加している。しかし、偶然発見されたUIAを持つ人の長期的な死亡率や死因については、これまで十分に解明されていなかった。佐賀大学の緒方 敦之氏らが実施した、脳ドック受診者を対象とした前向きコホート研究「The Kashima Scan Study」の結果、偶然UIAが発見された健康な人は、UIAがない人と比較して全死亡リスクが約5倍高く、その主な死因は動脈瘤の破裂ではなく悪性腫瘍であることが判明した。Stroke and Vascular Neurology誌オンライン版2026年2月24日号に掲載。 本研究では、2005年12月~2011年11月に脳ドックを自費で受診した神経学的に健康な成人1,670例(平均年齢57.7歳[範囲23~84]、男性47.5%)を対象とした。平均追跡期間8.7年(SD 2.3)において、MRIおよびMRAで診断されたUIAの有無と死亡率の関連性を、年齢、性別、高血圧、糖尿病、喫煙習慣などの要因を調整したCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者1,670例のうち90例にUIAが認められた。UIA群90例(5.4%)、非UIA群1,580例(94.6%)。・追跡期間中に36例が死亡した。全死因死亡は、UIA群で7例(死亡率:7.8%)、非UIA群で29例(同:1.8%)であり、UIA群で死亡率が有意に高かった(p=0.002)。・多変量解析の結果、UIAの存在は死亡リスクの有意な上昇と独立して関連していた(調整ハザード比[HR]:4.95、95%信頼区間[CI]:2.14~11.4)。・全死因のうち、最も多かったのは悪性腫瘍(15例)であった。悪性腫瘍による死亡は、UIA群の死亡例の57%(4/7例)、非UIA群の38%(11/29例)を占めた。・UIA群の死亡例(7例)のうち、動脈瘤破裂による死亡は1例のみであった。 本研究の結果、偶然見つかったUIAを持つ神経学的に健康な人は死亡リスクが著しく高いことが示された。著者らはこの原因として、動脈瘤形成に関与する「全身性の炎症状態」が、心血管疾患やがんの発症・進行という共通の病理学的経路を介している可能性を指摘している。UIAが発見された人に対しては、従来の動脈瘤の経過観察だけでなく、より集中的な健康モニタリングや総合的なリスク因子管理が有益である可能性を示唆している。

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膵臓内脂肪沈着に予防効果があるのは食事かリラグルチドか

 肥満症について、カロリー制限食(CRD)の食事療法とリラグルチドによる薬物療法では、脂肪関連指標の変化に違いはあるのだろうか。このテーマに対し中国の南京医科大学附属無錫人民病院内分泌科のHaiyan Cheng氏らの研究グループは、肥満者におけるCRDとリラグルチドの膵内脂肪沈着への影響を比較し、脂肪関連指標と血糖関連パラメータの変化との関連性を探った。その結果、両療法ともに膵脂肪率(PFF)を改善することが判明した。この結果はObesity誌2026年オンライン版2月24日号で公開された。食事療法でもリラグルチドでもPFFを改善 研究グループは、肥満患者46例について24週間の前向き非無作為化試験を行った。患者はCRDによる食事療法またはリラグルチド治療を受けた。主要評価項目はPFFの変化とした。また、副次的評価項目には、体重、肝脂肪率(LFF)、内臓脂肪面積(VFA)、および血糖関連パラメータの変化が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・CRD群(n=23)とリラグルチド群(n=23)のいずれも、PFFの有意かつ同等の減少を示した(時間効果:p<0.001、交互作用効果:p=0.560)。・体重、LFF、VFA、HbA1c、インスリン抵抗性指標(HOMA2-IR)、Insulin Sensitivity Index Matsuda(ISIM)においても、有意かつ同程度の改善が認められた(全時間効果:p<0.001、全交互作用効果:p>0.05)。・回帰分析では、ΔHOMA2-IRはΔ体重およびΔLFFと正の相関、ΔPFFと負の相関を示した一方で、ΔISIMはΔVFAと負の相関、ΔPFFと正の相関を示した。 この結果から研究グループは「CRDとリラグルチドはいずれも、肥満患者において膵脂肪、肝脂肪、内臓脂肪を有意かつ同程度に減少させると同時に、血糖関連パラメータを改善した。予備的な知見によれば、インスリン抵抗性の改善は主に肝脂肪および内臓脂肪の減少によって生じる一方、膵脂肪の減少はより微妙なインスリン動態の変化に関連している可能性があり、さらなる調査が必要」と結論付けている。

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第285回 診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省

<先週の動き> 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省厚生労働省は、医道審議会医道分科会の専門部会で、医療機関が看板や広告で掲げる診療科名に「睡眠障害」を追加することを了承した。診療科名の見直しは2008年以来で、政令改正を経て、今春にも施行される見通し。医療機関は「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」など、既存の基本診療科名と組み合わせた形で標榜できるようになる。診療科名は医療法に基づき規制されており、医療機関が自由に名乗ることはできない。現在は「内科」「外科」「小児科」など約20の基本診療科名に加え、「糖尿病」「腫瘍」など疾患名や臓器名を組み合わせる形で標榜が認められている。今回の見直しで「睡眠障害」もこの組み合わせ名称の1つとして追加される。背景には、睡眠に関する医療ニーズの拡大がある。不眠症や睡眠時無呼吸症候群、過眠症など睡眠障害は多様で、成人の約5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えるとされる。その一方で、どの診療科を受診すればよいか、わかりにくいことから受診が遅れるケースも多いとされ、日本睡眠学会が診療科名の追加を要望していた。睡眠障害の診療は内科、精神科、耳鼻咽喉科など複数の領域にまたがる。精神科受診への心理的抵抗から適切な診療につながるまで時間を要する例もあり、診療科名として明示することで受診先の選択が容易になり、早期診断や治療につながることが期待されている。一方、制度上は専門資格がなくても「睡眠障害科」を標榜できるため、専門性を伴わない医療機関が患者集めを目的に掲げる可能性も指摘されている。睡眠障害治療では、睡眠薬の長期使用による依存や離脱症状の問題もあり、専門的な診断や治療体制の整備が課題とされる。日本睡眠学会の専門医は約660人にとどまり、地域偏在も大きい。診療科名の追加を契機に、専門医育成や診療体制整備をどう進めるかが今後の課題となる。 参考 1) 第8回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会(厚労省) 2) 病院の診療科名に「睡眠障害」追加 厚労省部会が了承(日経新聞) 3) 「睡眠障害」の診療科名追加を了承、今春にも導入…通院先選びの利便性向上期待(読売新聞) 4) 「睡眠障害」診療科名に追加へ、受診の目印に 08年以来の見直し(朝日新聞) 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省厚生労働省は3月2日に開かれた薬事審議会医薬品第二部会で、麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹を防ぐ3種混合ワクチン(MMRワクチン)の製造販売承認を了承した。開発した第一三共の製品「ミムリット皮下注用」が正式に承認されれば、わが国で使用可能なMMRワクチンは約30年ぶりとなる。今後、定期接種に組み込むかどうかの検討が進められる。わが国では1989年にMMRワクチンが導入されたが、おたふく風邪成分に関連した無菌性髄膜炎の報告が相次ぎ、1993年に使用が中止された経緯がある。今回のワクチンは、無菌性髄膜炎の発生頻度が極めて低い株を使用しており、臨床試験でも重大な副作用は確認されていないとされる。海外では100以上の国・地域でMMRワクチンが定期接種として導入されており、わが国でも接種回数の減少など接種体制の効率化が期待される。その一方で、麻疹の感染は国内外で拡大の兆しを見せている。国内では愛知県で高校を中心に感染が広がり、2026年に入ってすでに20例以上の感染が確認された。東京都や埼玉県、神奈川県、岐阜県、鹿児島県などでも散発的な患者が報告され、医療機関や商業施設で不特定多数と接触した可能性のある事例も相次いでいる。海外渡航歴のない患者も複数確認されており、地域内感染の可能性も指摘されている。麻疹は、空気感染で感染する極めて感染力の強いウイルス感染症で、発熱や咳、結膜充血などの症状の後に高熱と発疹が出現する。肺炎や脳炎を合併すると重症化することがあり、ワクチン接種が最も有効な予防策とされる。海外でも流行は深刻化している。米国では、今年に入り約2ヵ月で1,100例以上の感染が報告され、前年の年間患者数を上回る可能性が指摘されている。患者の大半はMMRワクチン未接種、または2回接種を完了していない人だった。米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種を改めて呼びかけている。国内でのMMRワクチン承認は、麻疹対策の強化に向けた制度的転換となる可能性がある。麻疹排除状態の維持には、2回接種率の向上とともに、集団免疫を維持するためのワクチン政策の整備が重要となりそうだ。 参考 1) 新薬等15製品が承認へ 第一三共のMMRワクチン・ミムリットなど 薬事審・第二部会が了承(ミクスオンライン) 2) 麻疹・おたふく・風疹の3種混合ワクチン承認へ…かつて報告された無菌性髄膜炎の発生頻度、極めて少なく(読売新聞) 3) はしか感染の20歳代男性、2月21日に日本医科大付属病院で不特定多数と接触か…東京都が注意呼びかけ(同) 4) 愛知県内で新たに2人が「はしか」に感染(NHK) 5) 米はしか感染 2カ月で1、100人 高水準だった去年の年間2,300人を上回る見通し(東日本放送) 6) 米CDC所長代理、はしかワクチン接種呼びかけ(ロイター) 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省令和8(2026)年度の診療報酬改定の詳細が明らかになってきた。今回の改定では、急性期入院医療の評価軸が「病棟単位」から「病院全体の急性期機能」へと変更され、実質的に急性期の担い手は急性期A、看護・多職種協働加算を組み合わせた急性期B、急性期1、同様の急性期4に集約される流れが強まった。厚生労働省は、3月5日に「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」として通知を発出し、その中で急性期病院Bの実績要件として救急搬送1,500件以上、または500件以上+全麻手術500件以上などを示し、さらに急性期総合体制加算では、総合性と高い手術実績を備えた拠点病院を評価する仕組みに再編した。中央社会保険医療協議会(中医協)でも、人口の少ない地域では救急搬送の受入件数に加え、外来・在宅診療体制の確保を支援する拠点病院を評価する方向性が示されている。その一方で、人口減少地域への影響は大きい。地域の急性期病床を持つ病院が同時に高度急性期を目指せば、看護師やリハビリスタッフ、症例数が分散し、どこも基準を満たせず、かえって経営不振や医療の質の低下を招きかねない。仮に50床の病棟で多職種7対1を実現するには看護師24人に加え、多職種約10人が必要で、人材が少ない地域の病院にはハードルが高くなる。結果として、急性期機能は一部病院へ集約され、周辺病院は包括期医療や在宅医療へ役割転換を迫られる可能性が高い。住民にとっては、高度急性期病院へのアクセスが遠のく一方で、地域内での「救急受け止め→早期転院→在宅復帰」の流れが整えばメリットもある。ただし、その前提は地域のかかりつけ医や在宅医療機関や介護施設の協力医療機関が軽症の救急患者の受け入れ、退院後のフォロー、看取りの支援を担えることだ。今回、介護施設の入所者の救急搬送は、協力医療機関で対応可能な例を原則として急性期A・Bの実績に算入しない方針も示され、急性期病院と地域密着病院で役割分担する発想がより鮮明になった。過疎地では、病院再編だけでなく、クリニックや訪問看護ステーションとの連携強化、訪問診療、余剰病床の介護施設への転換を含めた検討が不可欠になる。 参考 1) 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(厚労省) 2) 急性期入院医療の提供主体は「急性期A、多職種7対1の急性期B、急性期1、多職種7対1の急性期4」に集約されるのでは(Gem Med) 3) 急性期総合体制加算の施設基準詳細、「総合的かつ高度な体制を整え、小児・周産期含めた十分な手術実績」持つ病院が加算1を取得(同) 4) 救急患者応需係数で底上げ、地ケア病棟は対象外 看護必要度 C項目に腰椎穿刺など追加(CB news) 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省厚生労働省は、3月3日に「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を開き、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」についてガイドラインを取りまとめた。また、医師の偏在について「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」での検討を重ねてきていた第8次「医師確保計画」の見直し方針をとりまとめ、公開した。今回の2つの検討会の取りまとめは、病床数の議論だけでなく、医師偏在対策や医師養成過程の見直しまで一体で進める点にある。人口減少と高齢化、医療人材不足を前提に、地域ごとに「どの病院が急性期を担い、どこが高齢者救急や在宅を支えるか」を再設計する考えだ。まず、新たな地域医療構想では、人口減少と高齢化を前提とした医療提供体制の再編を進めるため、2040年の必要病床数を最新のNDBデータで推計し、高度急性期79%、急性期84%、包括期89%、慢性期92.5%の病床稼働率で換算する。急性期は少なめ、包括期は厚めに見積もる方向で、厚労省はこの数値を「必要病床数を算定するための換算値」であって、各病院が目標とすべき経営指標ではないと明示した。また、2028年度までに全病院・有床診療所が将来担う医療機関機能を整理し、地域で協議する枠組みを示している。医師確保計画の見直しでは、従来の「目標医師数」だけでなく、「地域で不足する診療科」などの定量指標を導入する。さらに、医師数は極端に少なくなくても、へき地尺度(RIJ)が高くアクセスに課題のある地域を新たに支援対象とする。小児科や産科に加え、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科なども、人口減少地域では常勤確保が難しい診療科として位置付けられ、遠隔医療の活用も検討対象となる。医師にとって重要なのは、外来医師過多区域への新規開業で、地域に不足する医療機能の提供を要請する仕組みが本格化する。その一方で、医療資源が乏しい地域では、承継支援や医師派遣、代替医師確保への支援が行われる。また、国は都道府県任せにせず、運用状況を毎年度把握し、必要なフォローを行う方針も示している。今後は、病院の再編だけでなく、診療所が休日夜間対応、在宅医療、退院後フォロー、遠隔診療をどう担うかが、地域医療構想の実効性を左右しそうだ。医師養成では、医学部の地域枠、臨床研修、専門研修、総合的な診療能力を持つ医師の育成を組み合わせる方向性が整理された。政府は、2040年の医療提供体制を「病床再編」と「医師配置」、さらに「医師の育て方」まで連動させて作り直そうとしている。2040年に向けた医療体制は、急性期医療の集約、高齢者救急への対応、在宅医療との連携、医師偏在是正を一体で進める形となる。病院にとっては、自院が地域で担う医療機能を明確にすることが求められ、外来患者数減少に直面する開業医は、医師会や地域の病院と連携して、地域で何を担うかがこれまで以上に問われる局面に入った。今後は限られた医療人材の中で、どう医療提供体制を維持するか重要な課題となりそうだ。 参考 1) 第12回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(厚労省) 2) 「医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程における取組のとりまとめ」(同) 3) 急性期病床2040年の必要数、稼働率84%で推計 高度急性期79%、包括期89%、慢性期92.5%(CB news) 4) 2040年の必要病床数、病床利用実態・業務効率化等加味し「急性期は少なめ・包括期は多め」に推計-地域医療構想・医療計画検討会(Gem Med) 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府政府が進める医療保険制度改革により、公的医療保険の加入者1人当たりの社会保険料が年間約2,200円減少する見通しであることがわかった。上野 賢一郎厚生労働大臣が3月6日の閣議後の会見で明らかにした。改革の柱は、高額療養費制度の見直しと、市販薬と成分や効能が類似する「OTC類似薬」の保険給付の見直しなどで、医療費の抑制を通じて保険料負担の軽減を図る狙いがある。高額療養費制度では、医療費が高額になった場合の患者自己負担の月額上限を段階的に引き上げる。2026年8月と2027年8月の2段階で実施され、最終的には現行より最大38%引き上げられるケースも想定される。厚生労働省は、この見直しにより医療費を年間約2,450億円削減できると試算しており、保険料は加入者1人当たり年間約1,400円程度の軽減効果が見込まれるとしている。薬剤費の見直しも改革の柱となる。市販薬と成分や効能が近い「OTC類似薬」については、保険給付を受ける場合でも薬剤費の4分の1を患者が「特別の料金」として負担する制度を新設する。対象は鼻炎、胃痛、解熱鎮痛薬など77成分、約1,100品目とされ、2027年3月の施行を予定している。これにより社会保険料は年間約400円の減少が見込まれる。また、後発医薬品(ジェネリック)があるにもかかわらず先発薬を選択した場合の追加負担も拡大する。現在は差額の4分の1を患者が負担しているが、これを差額の2分の1まで引き上げる方針だ。こうした薬剤関連の見直し全体では年間約800円の保険料軽減効果が見込まれている。その一方で、高額療養費の上限引き上げに対しては、患者団体や野党から「重症患者の負担増につながる」との批判も出ている。国会審議では、保険料軽減が月額150円程度にとどまるとの指摘もあり、受診控えが生じる可能性への懸念も示された。政府は制度の持続可能性確保のための改革と説明するが、患者負担と保険財政のバランスをどう取るかが引き続き議論となりそうだ。 参考 1) 医療保険制度改革で保険料1人当たり年2,200円減、高額療養費制度やOTC類似薬の負担見直し(読売新聞) 2) 高額療養費見直しなどで社会保険料年2,200円減 厚労相が見通し(毎日新聞) 3) OTC類似薬の負担見直し、保険料減は月額33円程度 高額療養費は117円減 上野厚労相(CB news) 4) 「ペットボトル1本分の社会保険料負担軽減のために、高額療養費の負担増やすのか」共産議員が見直し迫る 衆院予算委で質疑(ABEMA TIMES) 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に美容医療を巡る訴訟が相次いでいる。焦点となっているのは、顔のしわやたるみ改善をうたう「プレミアムPRP皮膚再生療法」を受けた後に、頬や目の下にしこりや隆起が残ったとする事案だ。2026年2月には女性3人が東京都内のクリニックを東京地裁に提訴し、施術費用の返還、原状回復のための治療費、慰謝料など計約1,850万円を求めた。原告側は、施術前に重い合併症や除去の困難さ、使用成分の実態について十分な説明がなく、安全性を強調する宣伝の下で同意が取られたと主張している。被害相談の増加を受け、医療問題弁護団は3月1日にプレミアムPRP皮膚再生療法の被害者救済を目的に無料ホットラインも開設し、同種事案の掘り起こしを進めている。この訴訟で争点となるのは、単なる仕上がり不満ではなく、説明義務違反と再生医療法令への適合性だ。報道では、「bFGFを加えたPRP療法は未承認の再生医療に当たり、患者への説明事項は省令で定められているのに、同意書や説明内容が不十分だった可能性」が指摘されている。実際、2025年1月には同種の美容目的再生医療を巡る別件で、東京地裁が医療法人の責任を認める決定が確定した。そこでは、「施術の有効性に十分な科学的根拠が乏しいこと」、「bFGFによる長期のしこりや隆起が起こりうることを説明すべき義務があったのに尽くされなかった」と判断され、解決金支払いと再発防止が求められた。今回の3人提訴は、この先行事例を踏まえ、同種施術の説明体制や広告表示を改めて司法の場で問う意味合いが大きい。美容医療トラブルが急増する背景として、過度な広告、一括払いの勧誘、十分な訓練を経ない医師の参入が挙げられる。消費者保護の視点から患者側は施術を受ける前に「専門医かどうか」「リスク説明が十分か」を見極める必要性がある。今回の訴訟は、その問題が個人の後悔ではなく、説明不足を伴う構造的な消費者被害として司法判断の対象になり始めたことを示している。美容医療では、適応外使用や未承認技術を含む施術ほど、インフォームド・コンセントの質そのものが法的責任の核心になる。 参考 1) 「鏡向くたびに絶望」顔にしこりなど副作用…美容医療受けた女性ら、都内のクリニック提訴(産経新聞) 2) 「成功してるじゃん」美容医療で“しこり”も医師が失敗認めず…被害者が施術費用の返還など求めクリニックを提訴(弁護士JPニュース) 3) 3月1日(日)プレミアムPRP皮膚再生療法被害ホットラインを実施しました(医療問題弁護団) 4) 「美容目的の再生医療で合併症」 医療法人の責任認定、訴訟が終結(朝日新聞) 5) トラブル急増・美容医療の見極め方 消費者保護に取り組む医師・大塚篤司(TBS)【動画】 6) プレミアムPRP皮膚再生療法で被害相談ホットライン開設 医療問題弁護団が3月1日に電話受付 2026年2月には3人の女性が美容クリニックを提訴

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新規配合錠、高齢HIV-1感染者の新たな選択肢の可能性/Lancet

 HIV-1感染症の治療において、1日1回1錠で完結する単一の配合錠(STR)の登場は、服薬アドヒアランスと臨床アウトカムを劇的に改善させた。しかし、長期治療や多剤耐性の患者、副作用や薬物相互作用の問題のある患者の中には、既存のSTRを使用できず、依然として1日に複数の薬剤を服用する複雑な多剤併用療法を受けざるを得ない例が少なくない。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のChloe Orkin氏らは「ARTISTRY-1試験」において、高い耐性障壁を持つインテグラーゼ阻害薬(INSTI)ビクテグラビルと、新規作用機序を有するカプシド阻害薬レナカパビルを組み合わせた新しいSTRは、これらの患者の新たな治療選択肢として期待できることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年2月25日号で報告された。新規STR切り替えと継続投与を比較 ARTISTRY-1試験は、複雑な多剤併用療法を受けているHIV-1感染者における、新たなSTRへの切り替え効果の評価を目的に、日本を含む15ヵ国と地域の90施設で実施した非盲検無作為化実薬対照非劣性第III相試験(Gilead Sciencesの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、血漿中のHIV-1 RNA量が<50コピー/mLの状態が少なくとも6ヵ月間持続し、既存のSTRの抗レトロウイルス薬への耐性、不耐性、禁忌のため少なくとも6ヵ月間の複雑な多剤併用療法を受けているHIV感染者を対象とした。 被験者を、経口STR(ビクテグラビル75mg・レナカパビル50mg配合錠)の1日1回投与に切り替える群(371例)、または複雑な多剤併用療法を継続投与する群(186例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、48週の時点におけるHIV-1 RNA量≧50コピー/mLの患者の割合であった。2つ以上の合併症54%、治療期間28年、耐性81% 2024年1~9月に参加者557例(年齢中央値60歳[範囲:22~84]、年齢55歳以上427例[77%]、女性100例[18%])を登録した。 ベースラインにおいて、377例(68%)が脂質異常症、280例(50%)が高血圧、133例(24%)が高血糖/糖尿病、78例(14%)が慢性腎臓病であり、298例(54%)がこれらの合併症のうち2つ以上を有していた。 HIV治療期間中央値は28年(四分位範囲[IQR]:22~32)、複雑な多剤併用療法の1日の抗レトロウイルス薬数の中央値は3剤(範囲:2~11)で、218例(39%)が1日2回の抗レトロウイルス薬の投与を受けていた。 複雑な多剤併用療法を受ける理由は、薬剤耐性(450例[81%])が最も多く、次いで現時点で使用可能なSTRの成分に対する不耐性(128例[23%])、STRが禁忌(33例[6%])の順であった。HIV-1 RNA量≧50は非劣性、治療満足度が改善 48週の時点におけるHIV-1 RNA量≧50コピー/mLの患者は、新規STR切り替え群が3例(1%)、継続群は2例(1%)であった(群間差:-0.3%[95.002%信頼区間[CI]:-2.3~1.8])。非劣性マージン(両側95.002%CIの上限値<4%)を満たしたため、新規STR切り替え群の継続群に対する非劣性が示された。 CD4細胞数のベースラインから48週までの変化の中央値は、新規STR切り替え群が+18/μL(IQR:-72~98)、継続群は-12/μL(-82~93)であり(変化の群間差:+19.0、95%CI:-11.6~49.5)、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.22)。 HIV治療満足度質問票(HIVTSQ)の平均総スコアは、ベースラインから48週までに新規STR切り替え群で+7(SD 10.6)の改善を達成したのに対し、継続群では変化を認めなかった(0[SD 9.6])。有害事象の頻度は同程度 有害事象の頻度は両群で同程度であった(新規STR切り替え群82%、継続群84%)。上気道感染症(9%、13%)、鼻咽頭炎(7%、9%)、下痢(6%、6%)、頭痛(8%、2%)の頻度が高かった。Grade3以上の有害事象(14%、14%)、および重篤な有害事象(14%、12%)の頻度にも両群間で差はなかった。 新規STR切り替え群で、試験薬関連のGrade3以上の有害事象が2例(1%)、試験薬関連の重篤な有害事象が1例(<1%)で発現した。試験薬の投与中止の原因となった有害事象は、新規STR切り替え群で6例(2%)、継続群で1例(1%)にみられた。新規STR切り替え群で5例が死亡したが、これらの中に試験薬関連死はなかった。至適な長期治療選択肢の可能性 著者は、「これらの知見は、抗レトロウイルス薬耐性などの理由により既存のSTRの恩恵を受けられず、複雑な多剤併用療法によりウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者(とくに、併存疾患を有し、多剤併用のリスクが高い高齢患者)において、新規の至適な長期治療の選択肢としてのビクテグラビル・レナカパビルの使用を支持するものである」としている。 また、「年齢中央値は60歳と、これまでにHIV治療の登録プログラムに登録された研究対象集団としては史上最高齢であった。抗レトロウイルス療法の進歩によりHIV感染者の平均余命がほぼ正常の水準に達し、医療資源が豊富な国ではほとんどの患者が50歳以上となっている現状を踏まえると、これはとくに重要な点である」と考察を加えている。

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入れたてのお茶には多くの健康サポート効果がある可能性

 緑茶を毎日摂取する習慣のある人は、気付かないうちに健康増進効果を得ている可能性のあることが報告された。中国農業科学院茶葉研究所のMingchuan Yang氏らの研究によるもので、詳細は「Beverage Plant Research」2025年発行号に掲載された。これまでの研究報告を総括した分析の結果、お茶、特に緑茶が肥満や糖尿病、心臓病、および一部のがんのリスクを抑制することが示唆されたという。さらに、脳の機能を保護したり高齢者の筋肉の減少を遅らせたり、炎症を抑制する作用もあると考えられるとのことだ。 お茶はカメリア・シネンシスという植物の葉(ハーブティーについてはミントやカモミールなど他の植物)から作られ、古くは何世紀にもわたって薬として用いられていた。やがて日常的な飲料として、お茶が摂取されるようになった。お茶にはポリフェノールと呼ばれる植物化合物、特にカテキンが豊富に含まれており、これらがお茶の健康効果の根底にあると考えられている。 Yang氏らは、お茶の健康効果を検討したこれまでの研究報告のレビューを実施。実験室内での研究とヒトを対象とした臨床研究の双方からのエビデンスを総括した。全体として、緑茶についての研究が最も豊富であり、一方で紅茶やウーロン茶、白茶(主に中国を中心に流通しているお茶)については、研究報告数が限られていた。 緑茶に関しては、心臓の健康に良い影響を与えるとする研究結果が多数報告されていた。例えば血圧降下作用やコレステロール改善作用の報告があり、また実際に大規模な疫学研究からも、習慣的にお茶を摂取している人は心血管疾患の罹患率が低く、あらゆる原因による早期死亡のリスクが低いことが示唆されていた。さらに、体重管理や糖尿病にも効果がある可能性が指摘されていた。それらの研究では、緑茶カテキンが肥満者の減量をサポートし、代謝を改善するという機序も示されていた。 お茶が、健康的な老化をサポートする可能性も見いだされた。例えば、習慣的にお茶を飲んでいる高齢者は認知機能の低下速度が緩やかで、アルツハイマー病に関連するバイオマーカーの異常が少ない傾向のあることが報告されていた。また、お茶に含まれる一部の成分には加齢による筋肉量の減少を抑える働きがあり、高齢者の筋力と運動能力を維持・向上させる可能性も示唆されていた。 このように、茶葉を使い自分で入れたお茶にはさまざまな効果を期待できる。一方、ボトル入りのお茶やタピオカティーなどには、注意すべき点も見つかった。それらには、お茶本来の効能を打ち消してしまいかねない添加糖や人工甘味料、防腐剤が含まれていることが多いと、研究者らは指摘している。さらに、お茶には微量の農薬や重金属、マイクロプラスチックが含まれている可能性についても懸念を表明している。もっとも、一般的な摂取量であれば、これらの汚染物質が健康上の大きなリスクとなるとは考えられていない。とはいえ、毎日大量かつ長年にわたってお茶を飲む場合は影響が生じる可能性も、完全には否定できないようだ。 このほかに、鉄分やカルシウムの吸収をお茶が抑制してしまうこともあるため、ベジタリアンやそれらの栄養素が不足している人では、この点に留意すべきと研究者らは付け加えている。

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身体活動や座位時間の小さな変化による死亡に対する効果を検討(解説:名郷 直樹 氏)-2088

 中等度から激しい強度の運動を5分、10分増やし、座位での活動を30分、60分減らしたときの死亡に対する効果を、活動度の低い下位20%の集団(ハイリスクアプローチ)と、活動度の高い上位20%を除いた80%の集団(ポピュレーションアプローチ)で、米国、スウェーデン、ノルウェー、英国のコホート研究のメタ分析により検討した論文である。またこのメタ分析は、各研究の結果を統合するのではなく、個々のデータを統合し解析している点で、メタ分析というより1つの巨大なコホート研究という側面がある。 結果は、追加された英国のコホートとそれを除く7つのコホートで別々に解析されている。後者では、中等度から強度の強い活動を1日5分増やすと、死亡リスクがハイリスクアプローチで6%(95%信頼区間:4.3~7.4)、ポピュレーションアプローチで10%(6.3~13.4)低下し、10分の増加ではそれぞれ8.8%、14.9%低下している。また座位での活動を1日30分減らすと、死亡リスクがハイリスクアプローチで3%(2.0~4.1)、ポピュレーションアプローチで7.3%(4.8~9.6)低下、60分の減少ではそれぞれ5.5%、12.6%低下と報告されている。追加された英国のコホートでも、効果量は小さいものの同様な結果である。 ここで示されたのは、活動度の低い20%を対象にしたハイリスクアプローチと活動度の高い20%を除く80%を対象にしたポピュレーションアプローチの比較であるが、少数のハイリスクアプローチよりも多数を対象にしたポピュレーションアプローチのほうが全体としては大きな効果を持つということである。これはポピュレーションアプローチにハイリスク者が含まれているので当然の結果ではあるが、「1日5分でも10分でも中等度から強度の運動をやってみましょう」とか、「座位の時間を1日30分でも1時間でもいいから減らしましょう」という介入をするなら、わざわざハイリスク者を同定せず、リスクが高くない人も含めて行うほうが効率的だということでもある。さらにこの研究ではすでに中等度から強度の強い活動を十分行っている集団を除いているが、一定以上の強度の活動が死亡リスクを高めるのでなければ除外の必要はなく、全住民を対象に介入するのが最も多くの死亡リスクを下げることになる。 絶対的な効果量で見た場合、ハイリスクアプローチよりポピュレーションアプローチのほうが大きな効果をもたらすということは、あまり意識されていない場合が多いのではないだろうか。血圧を測るまでもなく、1日1gの減塩を、コレステロールの値にかかわらず、週に2~3回はバターをマーガリンに、獣の肉食を魚にというアプローチも、同様に大きな効果をもたらすということである。 またこうした観察研究で問題になるのは、不健康のために活動度が落ち、座位時間が長くなっているという因果の逆転であるが、この研究では追跡開始後2年の死亡を除くことで対処している。ただ、個々の疾患治療が進歩し、この2年が因果の逆転の問題を解消するに十分な期間かどうかは怪しいかもしれない。観察研究における他の交絡因子のコントロールが不十分になる可能性とともに、ここにも効果の過大評価の可能性があることは知っておいたほうがよいだろう。

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葛根湯~随症治療と病名治療~【Dr.伊東のストーリーで語る漢方薬】第2回

葛根湯~随症治療と病名治療~葛根湯といえば、感冒初期につかう漢方薬として皆さんにも馴染みがあるかと思います。結構使いやすい薬で、古典落語には「葛根湯医者」という言葉もあります。どんな病気にも葛根湯を勧めるやぶ医者がいたという話ですね。「頭が痛い? 葛根湯を用意しますよ。お次は胃が痛い? 葛根湯をどうぞ。お次の患者さんは…」「先生、私は単なる付き添いですが」「付き添い? 退屈しているでしょう、あなたも葛根湯を飲んでいきなさいな」……とまぁ、そんな感じです。では、葛根湯医者が本当にやぶ医者だったのかと言われると、必ずしもそうとは言い切れません。江戸時代や明治時代は病気といえば、感染症か脳卒中です。参考までに、1900年の死因は、1位が肺炎と気管支炎、2位が結核、3位が脳卒中、4位が胃腸炎、5位が老衰です(図1)1)。図1 1900年の死因順位画像を拡大するそれに、江戸時代の平均寿命は30~40歳だと推定されているのです。医者にかかる時は急性期の感染症、とくに感冒が多くなることが容易に想像できるわけです。そうすると、葛根湯で正解という場面も多くなるので、葛根湯医者はあながち間違ったことをしていなかったのではと考えられます。感冒初期に使う漢方薬ここで、感冒初期につかう漢方薬を皆さんには3つ覚えていただきましょう。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯の3つです。たぶん皆さんも聞いたことがあるかと思います。かなり大雑把に言えば、麻黄湯は体が頑丈な方向け、桂枝湯は虚弱な方向けで、葛根湯はその間です(図2)。図2 葛根湯、麻黄湯、桂枝湯が適応となる患者像画像を拡大する頑丈や虚弱がどういうことかは、今後詳しく説明しますが、ここで葛根湯の構成生薬をみてみましょう。葛根湯には葛根、麻黄、大棗(たいそう)、桂皮、生姜(しょうきょう)、芍薬(しゃくやく)、甘草の7つの生薬が含まれています。まだ生薬は覚えなくてもいいですが、7種類ということで、前回紹介した桔梗湯や芍薬甘草湯よりも効きが遅いことは想像できるかと思います。ちょっと遅いのですが、早ければ15分くらいで効いてくるのでよくできた漢方薬です。これらの生薬は、麻黄湯や桂枝湯とオーバーラップしているところが多く、だからこそ体が頑丈な人にも虚弱な人にも幅広く使える薬になっているとご理解ください(図3)。図3 葛根湯の構成生薬画像を拡大する随証治療ところで、葛根湯には葛根が含まれています。マメ科植物のクズの根っこの部分なのですが、これは麻黄湯や桂枝湯には含まれていません。じつは、この葛根が筋肉の凝りに効いてきます。「葛根湯が肩こりに効く」という話を聞いたことのある先生方もいるかと思います。ただし、この「肩こりに効く」というのは誤解が入っています。ちょっとここで、皆さんと一緒に古典を紐解いてみましょう。『傷寒論』という、後漢末期、つまり三国志時代の古典です。太陽病、項背強ばること几几、汗無く悪風するは、葛根湯之を主る。これを意訳すると、感冒初期でうなじが強ばって固くなっていて、汗が出ず寒気を感じている人には葛根湯が第1選択薬だと言っているんですね。そう「肩こり」ではなくて「首のこり」といった方が正確なのです。このように、古典の条文に載っているような症状や所見に準拠して漢方治療を行うことを「随証治療」といいます。一方で、市販のマニュアルは、こういった条文を現代語訳したり、一部を抜粋したりして作られていますが、その結果として「普通感冒の初期には葛根湯を使う」と西洋医学の病名に基づいた治療が行われるようになります。このやり方を「病名治療」といいます。漢方医学をものにしたい場合は、「病名治療」ではなく「随証治療」を学ぶ必要があります。最初は「病名治療」で勉強してもいいとは思いますが、最終的には「随証治療」も学ばないと、うまく効く漢方治療はできません。クイズでは、ここで1つクイズを出してみます。大いに渇し、舌上乾燥して煩し、水数升を飲まんと欲する者は、白虎加人参湯之を主る。これは「のどがカラカラで、水をガブガブ飲みたい人は白虎加人参湯が第1選択薬である」という意味の条文です。この条文には、前置きがあって割愛している箇所があるのですが、そこはご容赦ください。さて、この白虎加人参湯は、西洋医学で言うと何に使えそうか、考えてみてください。解答・解説はこちらたとえば、糖尿病はひどくなると喉が渇きますよね。また、シェーグレン病や熱中症も喉が渇きそうです。実際に、こういった状態を「体の芯に熱を持った状態」と漢方の世界では解釈していて、白虎加人参湯を処方することがあります。詳しい話を知りたい方には、症例報告が出ているのでそちらを見ていただくとして、このエクササイズを通じて「随証治療」と「病名治療」の関係性が何となく見えてきたのではないかなと思います(図4)。図4 随証治療と病名治療の例画像を拡大するまとめ葛根湯は、感冒初期に使える漢方薬で、体が頑丈な方から虚弱な方まで幅広く使えます。ただし、感冒初期に限るため、処方は2~3日分にとどめ、漫然と長期間処方しないほうがいいでしょう。漢方医学では古典の解釈が結構大事で、これをすっ飛ばすと「肩こりに葛根湯」のような誤解につながります。古典に基づいた「随証治療」を行うことが大切で「病名治療」はそのとっかかりに過ぎないことを認識していただくことが、漢方を上達させるコツです。次回は、麻黄湯のお話です。お楽しみに!1)厚生労働省. 心疾患-脳血管疾患死亡統計の概況 人口動態統計特殊報告 年次別にみた死因順位(第1~10位) 総数

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「肥満症のただしいミカタ川柳」入選作発表/リリー・田辺

 日本イーライリリーと田辺ファーマは、「肥満と肥満症の見方を変え、味方になろう!」を合言葉にマイナビとのコラボレーションで2025年に募集を開始した「肥満症のただしいミカタ川柳」について、3月4日の「世界肥満デー」を前に入選した8作品を発表した。 わが国の肥満人口は2,800万人と推定されている。その中でも「肥満症」は、肥満(BMI25以上)があり、かつ肥満に起因ないし関連する健康障害(合併症)を1つ以上有するか、あるいは内臓脂肪蓄積がある場合など関連健康障害の合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されている。治療では、食事療法、運動療法、薬物療法が行われている。その目的は、減量そのものではなく、減量により肥満に関連する健康障害を改善することにあり、合併症の予防や改善を目的としている。 肥満症の発症には、個人の生活習慣のみならず、遺伝やストレス、仕事・生活環境など、さまざまな要因が複合的に関与する。しかし、自分の努力だけでは解決が難しいと言われている中で、本人の努力や生活習慣のみに焦点が当てられ、「自己管理の問題」という誤解や偏見(オベシティ・スティグマ)が存在し、近年、社会的課題となっている。 こうした中、日本イーライリリーと田辺ファーマは、肥満症の正しい理解を促進するため、「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトを立ち上げ、肥満症のある人やその周囲の人の肥満症に関する正しい理解を促し、肥満症に対する思い込みや偏見など、さまざまな先入観をなくしていくことで、誰もが生き生きと活躍できる健康的な社会の創造に貢献することを目指し、啓発活動を行っている。肥満症をポジティブな治療へ向かわせる8作【最優秀賞】・肥満症 ミカタ次第で 光差す(増田 正二さん)【優秀賞】・見方変え 味方と治す 肥満症(たけのこキノコさん)・その肥満 「症」がついたら 要治療(もりこさん)【特別賞】・肥満症 知って広がる 理解の輪(Kazuさん)・「治したい」 痩せたいよりも 重みある(あおによしおさん)・脱肥満 コツは恥じずに まず相談(紫月さん)・肥満症 「病」と知って 救われる(風じんさん)・「痩せよう」が 「治そう」になる 診察日(増田 正二さん) 川柳の審査委員長の宮崎 滋 氏(一般社団法人日本肥満症予防協会 理事長)は、「この企画を通して、当事者を含む社会の肥満症に対する理解の輪が広がり、肥満症のある方々が必要な治療にたどりつける環境の構築へとつながることを願っている」と希望を語っている。

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お酢の摂取が多いと肥満予防につながる可能性/藤田医科大

 「酢」の摂取は一般的に健康に良いとされているが、摂取の効果について年齢や性別などでタンパク質やビタミンとどのように関連するのだろうか。このテーマについて、藤田医科大学医学部臨床栄養学の和田 理紗子氏らの研究グループは、酢酸摂取量と年齢・性別との関連を検証した。その結果、酢酸摂取量が多い人は炭水化物と飽和脂肪酸の摂取量が少ない傾向だったことが示唆された。この研究結果はNutrients誌2026年1月19日号に掲載された。お酢の摂取は男性と高齢者で多い傾向 研究グループは、食事記録アプリ「あすけん」で20~69歳の日本人1万2,074人の食事データを収集・分析した。二要因分散分析により、酢酸摂取量に対する年齢、性別、およびそれらの交互作用の影響を評価した。また、多重線形回帰分析により、酢酸摂取量と栄養素摂取量との関連性を検討した。モデル1では年齢と性別を調整し、モデル2ではさらに総エネルギー摂取量を調整した。 主な結果は以下のとおり。・対象は男性3,038人(47.8±11.9歳)、女性9,036人(42.4±11.8歳)だった。・酢酸摂取量は男性および高齢者層で高値を示した(性別:F=11.0、p<0.001/年齢:F=9.1、p<0.001)。・モデル1では、酢酸摂取量はほとんどの栄養素と正の相関を示した。・モデル2では、炭水化物、糖類、でんぷん質、飽和脂肪酸、酪酸と負の関連が認められた(すべてp<0.05)。 この結果から研究グループは、「酢酸摂取量が多い人は、そうでない人と比べ同等のエネルギー摂取量であっても、炭水化物と飽和脂肪酸の摂取量が少ない傾向にあった。これらの結果は、酢酸を含む食事がでんぷん質と飽和脂肪酸の摂取を減少させ、肥満予防に寄与する可能性を示唆している」と結論付けている。

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脂肪性肝疾患の診断基準、心代謝系・女性の飲酒量について決定/日本消化器病学会・日本肝臓学会

 日本消化器病学会と日本肝臓学会は、今年4月発刊予定の「MASLD診療ガイドライン」に先行し、国内で利用する脂肪性肝疾患(SLD)の診断基準を各会員に向けて公表した(2026年2月2日付)。 2023年9月、欧米3学会*が合同で、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)へ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)へと病名と分類法を変更。これを受け、両学会は2024年8月にNAFLD/NASHに代わる新たな分類法での日本語病名を公表していた。ただしこの時点では、心代謝系危険因子(cardiometabolic risk factor:CMRF)の基準と女性の飲酒量に関しては、わが国におけるメタボリック症候群ないしアルコール性肝障害の基準とは異なる部分があったため、CMRFの基準と女性の飲酒量に関する診断基準は明らかにされていなかった。*欧州肝臓学会(EASL)、米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH) MASLDなどのSLDに関する診断基準は以下のとおり。<心代謝系基準(cardiometabolic risk criteria)>1.肥満:BMI≧23kg/m2 or 腹囲>94cm(男)、>80cm(女)2.血糖:空腹時≧100mg/dL or 食後2時間≧140mg/dL or HbA1c≧5.7% or 2型糖尿病 or その治療3.血圧:収縮期≧130mmHg or 拡張期≧85mmHg or 降圧薬内服4.中性脂肪≧150mg/dL or 脂質異常症治療薬内服5.HDL≦40mg/dL(男)、≦50mg/dL(女)or 脂質異常症治療薬内服<MetALDの飲酒量(エタノール換算)>男:30~60g/日(210~420g/週)女:20~50g/日(140~350g/週) なお、MASLD診療ガイドラインの改訂点は、2026年4月16~18日に福井県と石川県で開催される第112回日本消化器病学会総会のパネルディスカッション16「MASLD診療ガイドライン」で11の演題が用意され、ガイドライン改訂の経緯、治療フローチャートの概念・定義、診断などが具体的に紹介される予定だ。

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高血圧管理・治療ガイドライン2025(3):起立性高血圧【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q161

高血圧管理・治療ガイドライン2025(3):起立性高血圧Q161近年注目され始めており、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』でも取り上げられた高血圧の新しい表現型である起立性高血圧。その定義は?

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