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メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。 セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。EGPAの診断、喘息患者に神経症状が現れたら要注意 セミナーでは、石井 智徳氏(東北大学 血液免疫病学分野 特任教授)が、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について」をテーマにEGPAの最新の知見を講演した。 EGPAは、従来「チャーグ・ストラウス症候群」や「アレルギー性肉芽腫性血管炎」と呼ばれていたが、2012年より本症名で統一された。EGPAの病態は、気管支喘息というアレルギーの要素と種々の臓器障害という血管炎の要素を併せ持った疾患であり、自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)が出現することで著明な好酸球増多を起こし、血管に炎症を起こすとされている。わが国のEGPAの患者像として、推定患者は約2,000例、男女比では女性が多く、その平均発症年齢は55歳、気管支喘息の既往歴のある患者が多いという。 EGPAの全身症状としては、発現頻度順にしびれ、感覚障害などの「神経症状」(93%)、発熱、関節痛などの「全身症状」(76%)、肺炎などの「呼吸器症状」(60%)、紫斑などの「皮膚症状」(51%)、糸球体腎炎などの「腎障害」(39%)、副鼻腔炎などの「耳鼻咽喉症状」(23%)、不整脈などの「心血管系症状」(16%)、腹痛、下痢などの「消化器症状」(16%)、強膜炎などの「粘膜・目の症状」(10%)が報告されている。 診断では、先行症状の喘息、副鼻腔炎などからEGPAに結びつけることは難しく、ANCAでは臨床検査を行っても陽性率が30~50%とあまり高くなく、診断では見逃されている可能性が高いという。石井氏は「EGPAの診断では、患者教育と丁寧な問診、診察が求められ、患者が『最近、喘息発作が多い』『手足がしびれた感じがする』『足首に力が入らず上げられない』など訴えた場合は、本症を疑うべき」と診療のポイントを示した。また、EGPAでは、血管炎による心血管症状が最も予後に関わることから息切れ、心電図異常、MRI・心エコー検査の結果に注目する必要があるという。メポリズマブによるEGPA治療でステロイドを減量できた EGPAの治療では、現在第1選択薬としてステロイドが使用されている。ステロイドは、効果が確実に、早く、広く作用する反面、易感染症、骨粗鬆症、糖尿病の発症、脂質異常症、肥満など副作用も多いことが知られている。そこでステロイド抵抗性例やステロイドの減量を目的に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が治療で併用されている。効果はステロイドのように広くないものの、長期投与では副作用がでにくく、最初はステロイドで治療し、免疫抑制剤とともにステロイドを減量する治療も行われている。そして、今回登場した生物学的製剤メポリズマブは、好酸球を作るIL-5に結合することで、好酸球の増殖を阻止し、血管などでの炎症症状を抑える効果を持つ。副作用も注射部位反応はプラセボに比べて多いものの、重篤なものはないという。 最後に石井氏は、「本症のステロイド治療者で糖尿病を発症し、インスリン導入になった患者が、メポリズマブを使用したことでステロイドの減量が可能となり、インスリンを離脱、糖尿病のコントロールができるようになった」と具体的な症例を紹介するとともに、「メポリズマブは、好酸球浸潤のコントロールが難しかった症例への適用やステロイドが減量できなかった症例への効果が期待でき、さらに再燃を抑制し、寛解維持を目指すことができる」と希望を寄せ、講演を終えた。メポリズマブの製品概要 薬効分類名:ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体 製品名:ヌーカラ皮下注 100mg 効能・効果:(追加として)既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 用法・容量:通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する

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肝臓移植ができない患者にも希望の光

 2018年6月6日、ファイザー株式会社は、「世界ATTR啓発デー(6月10日)」を前に都内においてATTRアミロイドーシスに関するプレスカンファレンスを開催した。カンファレンスでは、ATTRアミロイドーシスの診療の概要、とくに抗体治療の知見や患者からの切実な疾患への思いが語られた。1,000例以上の患者が推定されるATTR-FAP はじめに安東 由喜雄氏(熊本大学大学院 生命科学研究部 神経内科学分野 教授/国際アミロイドーシス学会 理事長)を講師に迎え、「進歩目覚ましい神経難病、ATTRアミロイドーシス診療最前線」をテーマに、ATTRアミロイドーシスの概要が説明された。 アミロイドーシスは、たんぱく質が遺伝子変異や加齢などにより線維化し、臓器などに沈着することで、さまざまな障害を起こすとされ、全身性と限局性に大きく分類される。全身性は、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)や老人性全身性アミロイドーシス(SSA)が知られており、限局性ではアルツハイマー病やパーキンソン病が知られている。今回は、全身性アミロイドーシスのFAPについて主に説明がなされた。 全身性アミロイドーシスのFAPやSSAは、トランスサイレチン型アミロイドーシスと呼ばれ、FAPは遺伝型ATTRで変異型TTRがアミロイドを形成し、20代から発症、末梢神経障害、浮腫・失神、消化管症候、腎障害、眼症状などを引き起こす。SSAは、主に70代から発症し、非遺伝型ATTRと呼ばれ、野生型TTRがアミロイドを形成し、心症候、手根管症状などを引き起こす。 そして、FAPでは、最近の研究より国内で40種以上の変異型が、全世界では140種以上の変異型の報告がされ、国内患者数は1,000例以上と推定されているという。また、従来は熊本県、長野県だけでみられた変異型が全国に広がっていることも確認されていると報告した。疑ったら熊本大学へ紹介を! FAPの診断では、患者病歴(とくに家族歴)、身体所見(FAPのRed-flag[四肢の疼痛、体重減少、排尿障害、下痢・便秘、浮腫、心室壁の肥厚など])、組織病理学的検査、遺伝学的検査(TTR遺伝子変異の同定)などにより確定診断がなされる。なかでも遺伝学的検査について安東氏は「熊本大学ではアミロイドーシス診療体制構築事業を行っており、全国から診断の受付をしている。専門医師不在の病院、開業の先生も本症を疑ったら当学に紹介をしていただきたい」と早期診断、早期発見の重要性を強調した。FAP治療の新次元を開いたタファミジス FAPの治療については、以前から肝移植が推奨されているが、肝移植をしてもなお眼症候の進行や心肥大など予後不良の例もあるという。また、肝移植では、発症後5年以内という期間制限の問題、移植ドナーの待機問題もあり、条件は厳しいと指摘する。 そんな中、わが国で2013年に承認・販売されたタファミジス(商品名:ビンダケル)は、こうした問題の解決の一助になると同氏は期待を寄せる。タファミジスは、肝臓産生のTTRを安定化させることで、アミロイドの線維化を防ぐ働きを持ち、安全に末梢神経障害の進行を抑制する効果を持つ。実際、タファミジスの発売後、肝移植手術数は減少しており、ある症例では、車いすの患者が肝移植と同薬を併用することで、症状が改善し、独歩になるまで回復したと紹介した。 最近では、肝臓に着目しTTRの発現を抑えるアンチセンス核酸(ASO)などの遺伝子抑制、沈着したアミロイドを除去する抗体治療も世界的に盛んに研究されている。 おわりに同氏は、「FAPをはじめとするアミロイドーシスでは、早期に症候から本症を疑い、組織からアミロイド沈着を検出することが重要である。早期治療介入のためには、早期診断が大切であり、今後も医療者をはじめ、社会への疾患の浸透を図るために、患者とともに疾患と戦っていく」とレクチャーを終えた。 次に患者・家族の会「道しるべの会」からFAP患者が登壇し、会の活動を説明。その後、「FAPは家系での発症が多く、患者家族は発症におびえていること」「肝移植後も予後が悪く、今後の疾患の進行に不安を覚えていること」「患者の経済的格差や受診格差もあること」など疾患への苦労や悩みを語るとともに、「移植に頼らない新薬や眼病変への新薬の開発」「肝移植でも使える免疫抑制剤の保険適用の拡大」「FAPへの医療者も含めた社会の理解」など期待を述べた。■参考TTRFAP.jp(ファイザー提供)熊本大学 医学部附属病院 アミロイドーシス診療センター■関連記事希少疾病ライブラリ 家族性アミロイドポリニューロパチー

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主観的な睡眠の質は認知症と関連せず

 睡眠と認知症リスクは関連しているが、主観的な睡眠の質との関連ははっきりしない。今回、オランダ・エラスムス医療センターのThom S. Lysen氏らがロッテルダム研究で検討したところ、主観的な睡眠の質の低さと認知症リスクの関連は認められなかったという。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年5月31日号に掲載。 本研究は集団ベースの前向き研究で、2002~06年に4,835人(平均年齢72歳、女性58%)に対して、睡眠の質を評価するために自宅でピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を含むインタビューを行った。2015年まで、参加者自身のスクリーニングや医療記録の継続的モニタリングを通して、認知症の発症について追跡調査を行った。年齢、性別、教育、喫煙、雇用状況、コーヒー摂取、飲酒、日常生活動作、心血管リスク因子、不安、うつ症状、認知力、いびきについて調整し、Cox回帰モデルを用いて睡眠の質と認知症リスクの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・4万1,385人年(平均8.5年)の間に、420人が認知症を発症し、そのうち320人がアルツハイマー病であった。・より低い主観的な睡眠の質は、認知症全体のリスク(PSQIスコアのSD増加当たりのハザード比[HR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.82~1.02)およびアルツハイマー病のリスク(HR:0.92、95%CI:0.81~1.05)と関連していなかった。・PSQIの個々の要素についても、認知症と関連していなかった。

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認知症リスクが高い睡眠時間は?~久山町研究

 日本人高齢者において、「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告。1日睡眠期間と認知症および死亡リスクとの関連を判定 本研究は前向きコホート研究で、対象は認知症でない60歳以上の地域在住日本人。自己申告による1日睡眠期間を、5群(5.0時間未満、5.0~6.9時間、7.0~7.9時間、8.0~9.9時間、10.0時間以上)に分類し、Cox比例ハザードモデルを用いて、1日睡眠期間と認知症および死亡リスクとの関連を判定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、294人が認知症を発症し、282人が死亡した。・認知症発症率および全死因死亡率は、1日睡眠時間が5.0~6.9時間の参加者に比べ、5.0時間未満および10.0時間以上の参加者で有意に高かった。これらの関連は、潜在的な交絡因子調整後も維持された。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 睡眠時間5.0時間未満  認知症 HR:2.64、95%CI:1.38~5.05  死亡  HR:2.29、95%CI:1.15~4.56 睡眠時間10時間以上  認知症 HR:2.23、95%CI:1.42~3.49  死亡  HR:1.67、95%CI:1.07~2.60・アルツハイマー病および血管性認知症でも、同様のU字型の関連が認められた。・睡眠薬の使用が認知症や死亡リスクに及ぼす影響を調べたところ、睡眠薬を使用している参加者は、睡眠薬を使用しない1日睡眠時間5.0~6.9時間の参加者に比べ、認知症リスクが1.66倍、死亡リスクは1.83倍であった。

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日本における抗認知症薬の処方量に関する研究

 2015年時点で、世界で認知症を有する人は4,700万人いるといわれている。認知症の有病者数は、2050年には1億3,200万人に達すると予想されており、そのうちアジア諸国が51%を占めると予想されている。日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も認知症の有病率が高く、人口の2%(約500万人)が認知症に罹患している。 リアルワールドでの抗認知症薬の有効性に関しては、いまだ重要なアンメットニーズがある。抗認知症薬の臨床試験における参加者は、85歳以上が除外されているなど、実臨床と異なる。また、抗認知症薬使用によるベネフィットがリスクを上回るか否かについて、現在も議論がある。 このようなベネフィットとリスクに関する見解の相違は、診療ガイドライン間における、抗認知症薬処方に関する推奨度に影響している。米国や英国の診療ガイドラインでは、抗認知症薬処方に関する推奨度は弱い。一方で、日本の診療ガイドラインでは、アルツハイマー型認知症の治療において、臨床医に抗認知症薬の処方を強く推奨している。日本の診療ガイドラインによる推奨は、実臨床における抗認知症薬処方に影響を及ぼす可能性がある。そこで、医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、日本における抗認知症薬の処方状況を明らかにするため、検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2018年5月20日号の報告。 日本のほぼすべてのレセプト情報をカバーしているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて分析を行った。データベースには、処方などに関する情報が含まれている。2015年4月~2016年3月の期間における、抗認知症薬(ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン)の処方をすべて確認した。患者の識別番号を用いて、処方患者数を集計した。抗認知症薬の人口当たりの処方率は、1年間で1度でも処方された患者数を、人口で割ることにより算出した。抗認知症薬の年間総処方量は、世界保健機構により規定された1日維持用量(DDD:defined daily dose)を算出した。さらに、年間総処方量を人口当たりの1日維持用量(DID:defined daily dose per inhabitants)へ変換した。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬を処方された患者数は、173万3,916例(人口の1.4%)であった。・抗認知症薬の人口当たりの処方率は、65歳以上では5.1%、85歳以上では17.0%であり、年齢とともに増加していた。・抗認知症薬の総処方量の46.8%は、85歳以上が占めていた。・85歳以上の住民の13%に、毎日、抗認知症薬の維持用量が処方されていることに相当する処方量であった。 著者らは「本研究は、日本における抗認知症薬処方の現状を確認した、初めての研究である。ドイツで行われた研究と比較し、日本の85歳以上の高齢者に対する抗認知症薬の処方率はきわめて高い。しかし、抗認知症薬の臨床試験では、主に85歳未満の患者を対象としており、臨床試験と実臨床の間で大きなギャップがある」とし、「エビデンスの非直接性と、加齢に伴う有害事象発生リスクの増大を考慮すると、超高齢者を対象としたエビデンスが確立しない限り、診療ガイドラインにおける抗認知症薬の処方に関する推奨度は弱い推奨とする、あるいは強く推奨する年齢層を85歳未満に限定する必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状日本では認知症への抗精神病薬使用が増加抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究

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普遍性と独自性の調和を目指す精神医学

 2018年6月4日、日本精神神経学会は、「2018年度プレスセミナー」を都内で開催した。セミナーでは、本学会の活動と将来展望、6月21~23日に神戸市で行われる本学会学術総会の概要・注目トピックスをテーマに、2名の演者が講演を行った。ICD-11発表間近 初めに、本学会 理事長の神庭 重信氏(九州大学大学院 医学研究院精神病態医学 教授)が、学会の活動について説明を行った。注目点として、WHOが公表する国際統計分類 第11版(ICD-11)の暫定版が今月下旬に出ることについて、国内における新しい精神科病名の検討結果を発表されている。今月末日までは、学会のホームページ上でパブリックコメントの募集を行っているという。また、わが国を含めた世界13ヵ国による、ICD-11第6章「精神、行動及び神経発達の疾患」の診断ガイドラインの信頼性・有用性の研究についても紹介された。 神庭氏は、日本専門医機構による新しい精神科専門医制度への取り組みとして、2019年4月の研修開始に向けて準備を行っていると説明。同氏は、「患者全体における精神科患者の割合に対して、医師全体における精神科医師の割合が少ない現状である。本学会が開催するサマースクールなどをきっかけに、実際の現場を見て、(専門医を目指す方々に)興味を持ってほしい」と語った。自殺者の半数以上は精神疾患を患っていた? 次に、本学会学術総会 会長の米田 博氏(大阪医科大学医学部 総合医学講座 神経精神医学教室 教授)が、学術総会の概要について説明した。本総会のテーマは、「精神医学・医療の普遍性と独自性―医学・医療の変革の中でー」であり、精神医学・医療は医学医療全般の一分野として重要な役割を担っており、独自の特異的な広がりと深さを併せ持っている、といったメッセージが込められているという。 わが国において、精神疾患を有する患者数の推移は増加傾向が続いており、15年前と比較してほぼ倍に増え、とくにアルツハイマー型認知症と気分障害が大きく増加している1)。また、自殺率については、近年やや減少傾向だが、依然としてOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で高い位置にある2)。海外のデータにおいて、自殺と精神疾患の関係性を調査した結果、自殺した人のうち、気分障害を持つ患者が35.8%、統合失調症は10.6%存在したという報告もされている3)。米田氏は、「時代の変遷により、精神医学・医療の役割も変化している。患者さん個別の症状に合わせた治療をするためにも、われわれは重要な役割を担っている」と述べた。 6月21~23日に開催予定の学術総会では、会長講演、特別講演などに加え、26もの委員会シンポジウムが行われ、その内容は精神科臨床、多剤併用、認知症診療、措置入院、性同一性障害、ガイドラインについてなど多岐にわたる。とくに注目のトピックとして、「精神科一般外来での自殺予防について考える」をテーマとしたものが、会期中2日目の委員会シンポジウムで開催される。「外来通院中の精神疾患患者が自殺し、主治医の責任が問われた事件」の先ごろ出された控訴審判決で、主治医の責任を裁判所が認めたことから、今後の精神科医療において方向を見誤ることが危惧される。そのため、この事件を取り上げ、医師をはじめとする医療者と弁護士などの法律家が、「患者の自殺予防」について議論を行う。 学術総会への参加を通じて、 最新の精神神経学だけでなく、転換点にある精神医学・医療の方向性についても知見を深めることができる。■参考資料1)厚生労働省 第1回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 参考資料2)McDaid D, et al. OECD Health Working Papers. 2017;No.97.3)Bertolote JM, et al. World Psychiatry. 2002;1:181-185.■参考公益社団法人 日本精神神経学会第114回 日本精神神経学会学術総会

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「パーキンソン病診療ガイドライン」7年ぶりに改訂

 2011年以来の改訂版となる「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」が5月15日に発行された。今回のガイドライン改訂では、パーキンソン病診療における最も重要な臨床課題として「早期パーキンソン病治療」と「運動合併症治療」を設定し、GRADEシステムに基づいてエビデンスレベルと推奨レベルの2軸による治療の推奨度が示された。「Minds診療ガイドライン作成の手引き(2014年版)」に準拠して作成され、治療だけでなく診断基準や病因、画像所見などについても幅広く解説されていることから、「治療ガイドライン」から「診療ガイドライン」に名称を変更している。 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」は日本神経学会を中心に、日本神経治療学会、日本脳神経外科学会、日本定位・機能神経外科学会、日本リハビリテーション医学会の協力のもとで作成された。また、看護師や薬剤師、患者らが参加するパネル会議を開催し、多職種による議論を経たうえで、推奨文の内容が決定されている。パーキンソン病診療ガイドラインはGRADEシステムに基づく2つのCQと50のQ&Aで構成 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」は、各抗パーキンソン病薬、手術療法やリハビリテーションについてそれぞれ有効性と安全性をまとめた第I編、早期および進行期の2つのCQについて推奨度、治療アルゴリズムを示した第II編、診断・治療における50の臨床課題についてQ&A方式でまとめた第III編で構成される。 第I編では、ドパミンアゴニスト徐放剤、アポモルヒネ皮下注射、イストラデフィリン、L-ドパ持続経腸療法など、前版「パーキンソン病治療ガイドライン2011」発行後の新しい治療法について情報が追加された。第II編では、「CQ1:早期パーキンソン病の治療はどのように行うべきか」、「CQ2:運動合併症に対する治療について」の2つのCQを設定。CQに対する推奨文には、1(強い:確実に行うことが強く推奨される場合)もしくは2(弱い:条件を選べば推奨できる場合)の推奨レベル、およびA~Dの4段階(最も高いものがA)のエビデンスレベルが明記されている。 第III編は、「パーキンソン病治療ガイドライン2011」における第II編の内容を改訂したもの。重要ではあるが、エビデンスが少ない臨床課題として、GRADEシステムに基づくCQとは区別する意味で、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」ではQ&Aとしてまとめられている。パーキンソン病診療ガイドラインでは早期はL-ドパを中心にドパミンアゴニストもしくはMAOB阻害薬 以下、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」での大きな改訂点である、第II編の2つのCQの概要を紹介する。■早期パーキンソン病は、診断後できるだけ早期に薬物療法を開始すべきか[CQ1-1] 推奨:特別の理由のない限りにおいて、診断後できるだけ早期に治療開始することを 提案する(2C:弱い推奨/エビデンスの質「低」) 付帯事項:早期介入による不利益に関する十分なエビデンスがないことから、治療を 開始する際は効果と副作用、コストなどのバランスを十分考慮する。■早期パーキンソン病の治療はL-ドパとL-ドパ以外の薬物療法(ドパミンアゴニストおよびMAOB阻害薬)のどちらで開始すべきか[CQ1-2] 推奨:運動障害により生活に支障をきたす場合、早期パーキンソン病の治療はL-ドパで 開始することを提案する(2C) 付帯事項:運動合併症リスクが高いと推定される場合はドパミンアゴニストもしくは MAOB阻害薬を考慮する。抗コリン薬やアマンタジンも選択肢となりえるが十分な根拠 がない。パーキンソン病診療ガイドラインでは進行期にどの治療法をアドオンするか推奨度を明示 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」のCQ2では、ウェアリングオフ(L-ドパを1日3回投与しても、薬の内服時間に関連した効果減弱がある)を呈する進行期パーキンソン病患者に追加する治療法について、それぞれ推奨度が示された。各推奨度と、付帯事項の概要については以下の通り。■ドパミンアゴニスト[CQ2-1] 推奨度:2A 付帯事項:60代前半対象のエビデンスに基づくため、高齢者への使用には注意を要 する。L-ドパとの併用によるオフ時間の短縮効果、L-ドパ減量効果、UPDRS partIII スコアの改善効果があり、副作用の発現に注意しながら使用することを提案する。■ドパミン付随薬・COMT阻害薬[CQ2-2-1] 推奨度:2B 付帯事項:なし・MAOB阻害薬[CQ2-2-2] 推奨度:2C 付帯事項:セレギリンのRCTが少なく、ラサギリンについては現時点で本邦における エビデンスが公開されていない・イストラデフィリン[CQ2-2-3]、ゾニサミド[CQ2-2-4] 推奨度:2C 付帯事項:本邦のみでの承認薬剤のため、海外での評価が定まっていない点に注意が 必要■脳深部刺激療法 推奨度:2 C 付帯事項:オフ時の運動症状改善、L-ドパ換算用量の減量効果があるが、認知 機能への影響のほか、合併症も起こりうるため、慎重に適応を判断する なお、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」のCQ1およびCQ2では、それぞれ章末に資料として、推奨度をもとにした治療アルゴリズムがフロー図の形で示されている。

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脂肪摂取と認知症リスクに関するメタ解析

 疫学研究によると、食事による脂肪摂取は、アルツハイマー病(AD)や認知症リスクと関連しているが、この関連性は明確になっていない。中国・浙江大学のYue Ruan氏らは、脂肪摂取とADや認知症リスクとの関連をシステマティックに調査するため、メタ解析を行った。Current Alzheimer research誌オンライン版2018年4月27日号の報告。 PubMed、Embase、Cochrane Libraryより、2017年5月1日までの研究をシステマティックに検索した。脂肪摂取とADや認知症リスクとの関連について報告したプロスペクティブコホート研究を抽出した。最高と最低のカテゴリの多変量調整相対リスク(RR)は、ランダム効果モデルを用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・4件の独立したプロスペクティブコホート研究より、合計8,630人の参加者と633ケースをメタ解析に含めた。・飽和脂肪酸摂取量の増加は、ADリスク39%増加(RR:1.39、95%CI:1.00~1.94)、認知症リスク105%増加(RR:2.05、95%CI:1.06~3.98)と有意な関連が認められた。・用量反応分析では、飽和脂肪酸摂取量が4g/日増加するとADリスクが15%高まることが示唆された(RR:1.15、95%CI:1.01~1.31)。・食事の総摂取量、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸とADや認知症リスクとの間には、有意な関連が認められなかった。 著者らは「飽和脂肪酸摂取量と、ADや認知症リスクとの間には正の関連が認められる」としている。■関連記事魚を食べると認知症は予防できるのか日本食は認知症予防によい:東北大日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは

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糖尿病患者は日常的にしびれを感じている

 2018年5月24日から3日間、都内で第61回日本糖尿病学会年次学術集会「糖尿病におけるサイエンスとアートの探究」が開催された。5月25日のシンポジウム「神経障害の病態と治療―痛みを科学する」の概要を紹介する。半数の糖尿病患者は、外来でしびれや痛みを話さない 糖尿病性神経障害は、早期から発症する重大な合併症であり、なかでも糖尿病性多発神経障害(DPN)は、QOLを著しく低下させ、進行すると生命予後の短縮につながる疾患である。DPNは、罹病期間や血糖コントロールと関連し、5~10年単位で緩徐に進行するが、国際的に統一された診断基準はいまだ確立されていない。わが国では、「糖尿病性神経障害を考える会」の簡易診断基準とDPNの臨床病期分類(I~V期)などが用いられ、日常診療でのスクリーニングが行われている。また、ハンマーの金属部分や竹串の鋭端と鈍端を足に当てて、簡易的に神経(温痛覚)障害の初期症状をチェックする検査ができるという。 厚生労働省の「平成19年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病と診断された患者の中で、「神経障害(手足がしびれる、感覚がにぶくなるなど)がある」と答えた人は、11.8%だった。しかし、実際の外来では半分ほどの患者しか神経症状を訴えていない。糖尿病性神経障害は、糖尿病が発覚する前から発症しているケースもあるため、なるべく早期に発見し、適切な治療と良好なコントロールを行う必要がある。医療者が、しびれや痛みを感じている患者の訴えを積極的に拾い上げることが望まれる。HbA1cの下降幅が大きいほど、治療後の神経障害が大きい 出口 尚寿氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科糖尿病・内分泌内科学)は、「有痛性糖尿病性神経障害の臨床像」をテーマに発表を行った。 痛みを伴う糖尿病性神経障害は、感覚神経(温痛覚)と自律神経により構成される小径神経の障害(small fiber neuropathy:SFN)であり、DPNのような典型的病型のほか、主にメタボリックシンドロームに起因する耐糖能障害や、急性有痛性神経障害など、多様な病態・病型を含み、脂質異常症や高血圧症など、さまざまな因子の関与が示唆される。また、長期間HbA1cが高値だった患者の治療において、期間あたりのHbA1c下降幅が大きいほど、治療後に生じる神経障害の程度と障害の分布が大きい傾向にあるという。 神経障害による痛みの治療は、「神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン」に準じて行うが、病型に応じた疼痛へのアプローチが求められる。第1選択薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)を少量で開始し、効果と副作用をみながら漸増するが、急性で激しい疼痛がある病型では、速やかな増量や第2選択薬(トラマドールなど)の追加などが必要となる。出口氏は、「糖尿病患者にとって、疼痛は大きなストレスとなる。初期用量で効かないからと、薬を増量せずに中止するのではなく、副作用がクリアできれば、まず常用量をしっかり使うべき。患者さんの声を聞き、根気強く痛みと向き合いケアすることが大切だ」と強調した。痛みの緩和+運動習慣でQOLの低下を食い止める 住谷 昌彦氏(東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部/麻酔科・痛みセンター)は、「糖尿病関連疼痛の治療学」をテーマに発表を行った。 糖尿病性神経障害は、無髄神経線維(C線維)から有髄神経線維へと障害が進展していくが、簡易診断基準では有髄神経障害の症状しかスクリーニングできない可能性がある。しかし、C線維の障害だけでも疼痛は発症しうる。また、神経障害の初期には神経線維が保たれていても、痛みや知覚過敏などの徴候を示すことがあり、知覚鈍麻だけが糖尿病性神経障害の特徴ではない。神経障害に伴う症状は、寛解と増悪を繰り返して進行することが知られているが、病期が進むまで無症候な例もあるという。神経障害の重症度と疼痛の重症度が必ずしも相関しないため、とくに初期のしびれや違和感の把握が重要で、肥満があると、痛みやしびれが強く出る傾向にある。 神経障害性疼痛を持つ患者は、足の痛みなどが原因で、転倒に対する恐怖が付きまとうが、家にこもりがちになることに対して住谷氏は警鐘を鳴らした。運動量の減少が招く筋肉量の低下は、ロコモティブシンドロームの入り口となる危険性がある。同氏は、「痛みの治療だけではQOLは改善されない。QOLの改善には、適切な薬物治療を行って痛みをコントロールしたうえで、運動・食事療法も並行する必要がある。痛みを緩和して、運動習慣を定着させることが、QOL低下の悪循環を止めるために重要である」と語った。■参考厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査報告 第4部 生活習慣調査の結果」■関連記事神経障害性疼痛の実態をさぐる

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認知症を除外できない?高齢者の新運転免許制度

 多発する高齢ドライバーによる事故を防ぐため、2017年3月の道路交通法改正で75歳以上の運転免許更新の手続きが変更になったが、新制度でも認知症の高齢者を必ずしもスクリーニングできていない―。八千代病院認知症疾患医療センターの川畑信也氏は、5月25日~27日大阪で開催された日本抗加齢医学会の「自動車運転の現在と未来」と題したシンポジウムで、こうした問題提起を行った。 現行制度では、75歳以上の高齢者が自動車運転免許を更新する場合、認知機能検査の実施が義務付けられ、第1分類(認知症のおそれがある)、第2分類(認知機能が低下しているおそれがある)、第3分類(認知機能が低下しているおそれがない)に区分される。この検査で第1分類と判定された高齢者には、医師の診断書提出が求められる。また、75歳以上の高齢者が事故を起こした場合にも、この検査を受けなくてはならない。 2017年3月の法施行から12月末までに、この認知機能検査を受検した高齢者は、172万5,292人。うち4万6,911人(2.7%)が第1分類と判定された。ところが、実際に医師の診断を受けた高齢者は1万2,447人で、そのうち医師に認知症と診断され免許取り消しになったのは、1,351人(10.9%)に過ぎなかった。認知症のおそれは2.7%、認知症はその中のたった1割? この数字が制度の多くの問題を浮き彫りにしていると川畑氏は指摘する。 まず挙げられるのは、認知機能検査の妥当性。認知機能検査で第1分類とされた人の実に14.3%が再受験で第2分類、第3分類に判定変更になっている。川畑氏は、「受け直しただけで7人に1人判定が変わる検査では、科学的な再現性、信頼性を疑わざるを得ない」と断じる。道路交通法に基づく認知症の定義が、医学的な認知症の診断基準と異なっていることも混乱の原因となっている。 2つ目が、診断書を提出した医師の認知症に対する診断能力の問題。「第1分類と判定された人で認知症が10%というのは明らかに低すぎる」と川畑氏。実際、八千代病院認知症疾患医療センターで同じ期間に診断した51人は、72.5%がアルツハイマー型認知症、2%が血管性認知症だった。「認知症を診断できるスキルがない医師が多いと予想される」と川畑氏は言う。 さらに氏は、高齢者の免許の自主返納を促す警察庁の姿勢も問題だとする。事実、第1分類と判定された23.6%は免許を自主的に返納している(免許失効は5.5%)。これによって事故を起こす危険性の高いドライバーを抑制できたとはいえるものの、彼らは医師の診断を受ける必要がないため、多くの認知症患者を治療につなげられていない。認知症専門医の立場からすると、これは「けしからんこと」だという。 改正道路交通法が施行されて1年余りだが、高齢運転者対策には、まだまだ解決すべき課題がたくさんありそうだ。

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軽~中等度認知症への運動介入、進行遅延効果はなし?/BMJ

 軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示された。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかったという。認知症者の認知低下の遅延に果たす運動の役割について、これまで臨床に反映できる十分な規模と方法論に基づく無作為化試験は行われていなかった。BMJ誌2018年5月16日号掲載の報告。通常ケアと比較、12ヵ月時点の認知障害の進行について評価 研究グループは、研究者盲険下で多施設共同のプラグマティック無作為化対照試験で、中等度認知症者の認知障害およびその他のアウトカムに与える、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの影響を調べた。被験者は、イングランドの15地域から集めた、NHSプライマリケアの患者、大学のコミュニティ&メモリサービス利用者、認知症研究登録者、ボランティアであった。 494例が集まり、2対1の割合で329例が運動介入群に、165例が通常ケア群に無作為に割り付けられた。運動介入群は、通常ケアに加えて監督下で行う運動を4ヵ月間、その後は継続的に運動に関するサポートを受けた。運動の介入は、地域のジム施設およびNHSの施設で行われた。 主要アウトカムは、アルツハイマー病評価スケール下位項目(ADAS-cog)の12ヵ月時点のスコアであった。副次アウトカムは、ADL、神経学的症状、健康関連QOL、要介護度などであった。運動介入群では介入期間中に体力測定(6分間歩行テストなど)が行われた。差は小さいが、運動介入群のほうが認知障害が進行、体力は改善 被験者494例は、平均年齢77歳(SD 7.9)、男性301/494例(61%)であった。 12ヵ月時点のADAS-cogスコアは、運動介入群25.2(SD 12.3)、通常ケア群23.8(SD 10.4)であった(補正後群間差:-1.4、95%信頼区間[CI]:-2.6~-0.2、p=0.03)。平均差は小さく、臨床的意義は不明であったが、運動介入群のほうが、認知障害が進んでいることが示唆された。 副次アウトカムや、認知症のタイプ(アルツハイマー病、その他)、認知障害の程度、性別、疾患別による事前に計画されたサブグループ解析について、有意差は認められなかった。 運動介入群のコンプライアンスは良好で、スケジュールセッションの4分の3以上に参加した被験者は65%(214/329例)を占めた。運動介入群の6分間歩行テストの結果は、6週間にわたって改善が認められた(平均変化:18.1m、95%CI:11.6~24.6)。

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認知症に対する運動介入の息の根が止められたのか?(解説:岡村毅氏)-859

 非常に大規模に、そしてほかの要因が交絡しないように厳密に、運動介入が認知症の人の認知機能に及ぼす効果を調べたら、なんと効果がないどころか通常のケアに負けたという報告である。通常のケアより優位であったのは「一定時間内に歩く距離」というのも微妙だ。1年も激しく運動すれば足は鍛えられるだろう。 とはいえ、動機は美しい。個人的には、本研究のクリニカルクエスチョンは優しい、楽観的な臨床観察に基づくと思う。私の患者さんでも認知症と診断されてから運動を始め、とても楽しく活動し、友人も多く、認知機能の低下も目立たない人が何人かいる。尊敬すべき人々であり、常識人としての私は「運動は効果があるのだろう」と思う。一方で「もともと活動的で尊敬すべき人々が運動し、たまたま進行がゆっくりなだけだ」という解釈も成り立つ。nが1桁では何も言えないし、そもそも際立ったケースだけを述べても仕方ないと科学者としての私は思う。 本件は、ケースシリーズ研究が、大規模のRCTで否定された格好であろう。これは○○を食べると良い、○○を拝むと良い、というような言説にも当てはまるかもしれない。 一方で本研究から「運動は無意味だ」と結論してはならない。今言えるのは、 ・認知症の進行予防になると思って運動をする/させられる根拠はない(→認知症予防ファシズムは否定されたわけだ) ・運動をしたい人、楽しみたい人はどうぞしてください ・肥満や引きこもりは避けるべきで、やはり運動はしないよりはしたほうが良い あたりではないだろうか。 以下、本論文の主旨とは関係ないところで一言述べさせて頂きたい。この研究に異議を唱えているのではなく、一般論です。本研究では、専門家が本人の研究に対する理解度を評価し、理解しているなら本人同意、理解していないようなら代諾者が当人の過去の考え方などを勘案して同意するとされていた。高齢者を対象とした研究ではいつも課題になるのが同意能力の問題であるが、代諾者がいない人はどうなるのだろうか? あるいは貧困状態にある人や、孤立している人や、事情があって家族がいない人は、代諾者が立てられない可能性が高いであろう。特定の土俵・文脈で、方法と結果と解釈が妥当であれば1つの真実である。しかし研究なるもの、とりわけ疫学研究が、社会をあまねく記述し照らしていると思ったら大間違いだぞ! などと言うと私はアカデミアでは消されるだろうか(もちろん冗談です)。 科学を否定しているのではない。臨床医としては光の当たらない部分を見せられるので、もっと広く、深く、そして優しく照らすような研究をせねばと思う次第である。

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認知症発症リスクと身体測定値との関連

 これまで、認知症と特定の身体測定値との関連を調査した研究は、あまり行われていなかった。台湾・亜東技術学院のPei-Ju Liao氏らは、認知症発症リスクと身体測定値との関連について調査を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2018年5月4日号の報告。 2000~08年における台湾の医療センター健康診断部のデータより、6,831例の人体3D計測によるスキャニングデータ(38の身体測定値を含む)を収集した。そのうち236例が、10年のフォローアップ期間中に認知症を発症した。データ解析には、多重Cox回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・胸幅(ハザード比:0.90、95%CI:0.83~0.98)、右大腿中央囲(ハザード比:0.93、95%CI:0.90~0.96)は、認知症発症予防の予測因子であった。・腹囲(ハザード比:1.03、95%CI:1.02~1.05)は、認知症発症のリスク因子であった。・これらの組み合わせにおいて、腹囲の値が大きく、右大腿中央囲の値が小さい人の認知症発症リスクが最も高かった(ハザード比:2.49、95%CI:1.54~4.03)。 著者らは「身体測定は、臨床医学と予防医学の両方において、将来の応用や科学的なメリットの糸口となる」としている。■関連記事アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は認知症リスクとBMIとの関連歯の残存数と認知症リスクに関するメタ解析

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第2回 意識障害 その2 意識障害の具体的なアプローチ 10’s rule【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+意識障害のアプローチ意識障害は非常にコモンな症候であり、救急外来ではもちろんのこと、その他一般の外来であってもしばしば遭遇します。発熱や腹痛など他の症候で来院した患者であっても、意識障害を認める場合には必ずプロブレムリストに挙げて鑑別をする癖をもちましょう。意識はバイタルサインの中でも呼吸数と並んで非常に重要なバイタルサインであるばかりでなく、軽視されがちなバイタルサインの1つです。何となくおかしいというのも立派な意識障害でしたね。救急の現場では、人材や検査などの資源が限られるだけでなく、早期に判断することが必要です。じっくり考えている時間がないのです。そのため、意識障害、意識消失、ショックなどの頻度や緊急性が高い症候に関しては、症候ごとの軸となるアプローチ法を身に付けておく必要があります。もちろん、経験を重ね、最短距離でベストなアプローチをとることができれば良いですが、さまざまな制約がある場面では難しいものです。みなさんも意識障害患者を診る際に手順はあると思うのですが、まだアプローチ方法が確立していない、もしくは自身のアプローチ方法に自信がない方は参考にしてみてください。アプローチ方法の確立:10’s Rule1)私は表1の様な手順で意識障害患者に対応しています。坂本originalなものではありません。ごく当たり前のアプローチです。ですが、この当たり前のアプローチが意外と確立されておらず、しばしば診断が遅れてしまっている事例が少なくありません。「低血糖を否定する前に頭部CTを撮影」「髄膜炎を見逃してしまった」「飲酒患者の原因をアルコール中毒以外に考えなかった」などなど、みなさんも経験があるのではないでしょうか。画像を拡大する●Rule1 ABCの安定が最優先!意識障害であろうとなかろうと、バイタルサインの異常は早期に察知し、介入する必要があります。原因がわかっても救命できなければ意味がありません。バイタルサインでは、血圧や脈拍も重要ですが、呼吸数を意識する癖を持つと重症患者のトリアージに有効です。頻呼吸や徐呼吸、死戦期呼吸は要注意です。心停止患者に対するアプローチにおいても、反応を確認した後にさらに確認するバイタルサインは呼吸です。反応がなく、呼吸が正常でなければ胸骨圧迫開始でしたね。今後取り上げる予定の敗血症の診断基準に用いる「quick SOFA(qSOFA)」にも、意識、呼吸が含まれています。「意識障害患者ではまず『呼吸』に着目」、これを意識しておきましょう。気管挿管の適応血圧が低ければ輸液、場合によっては輸血、昇圧剤や止血処置が必要です。C(Circulation)の異常は、血圧や脈拍など、モニターに表示される数値で把握できるため、誰もが異変に気付き、対応することは難しくありません。それに対して、A(Airway)、B(Breathing)に対しては、SpO2のみで判断しがちですが、そうではありません。SpO2が95%と保たれていても、前述のとおり、呼吸回数が多い場合、換気が不十分な場合(CO2の貯留が認められる場合)、重度の意識障害を認める場合、ショックの場合には、確実な気道確保のために気管挿管が必要です。消化管出血に伴う出血性ショックでは、緊急上部内視鏡を行うこともありますが、その際にはCの改善に従事できるように、気管挿管を行い、AとBは安定させて内視鏡処置に専念する必要性を考える癖を持つようにしましょう。緊急内視鏡症例全例に気管挿管を行うわけではありませんが、SpO2が保たれているからといって内視鏡を行い、再吐血や不穏による誤嚥などによってAとBの異常が起こりうることは知っておきましょう。●Rule2 Vital signs、病歴、身体所見が超重要! 外傷検索、AMPLE聴取も忘れずに!症例の患者は、突然発症の右上下肢麻痺であり、誰もが脳卒中を考えるでしょう。それではvital signsは脳卒中に矛盾ないでしょうか。脳卒中に代表される頭蓋内疾患による意識障害では、通常血圧は高くなります(表2)2)。これは、脳卒中に伴う脳圧の亢進に対して、体血圧を上昇させ脳血流を維持しようとする生体の反応によるものです。つまり、脳卒中様症状を認めた場合に、血圧が高ければ「脳卒中らしい」ということです。さらに瞳孔の左右差や共同偏視を認めれば、より疑いは強くなります。画像を拡大する頸部の診察を忘れずに!意識障害患者は、「路上で倒れていた」「卒倒した」などの病歴から外傷を伴うことが少なくありません。その際、頭部外傷は気にすることはできても、頸部の病変を見逃してしまうことがあります。頸椎損傷など、頸の外傷は不用意な頸部の観察で症状を悪化させてしまうこともあるため、後頸部の圧痛は必ず確認すること、また意識障害のために評価が困難な場合には否定されるまで頸を保護するようにしましょう。画像を拡大する意識障害の鑑別では、既往歴や内服薬は大きく影響します。糖尿病治療中であれば低血糖や高血糖、心房細動の既往があれば心原性脳塞栓症、肝硬変を認めれば肝性脳症などなど。また、内服薬の影響は常に考え、お薬手帳を確認するだけでなく、漢方やサプリメント、家族や友人の薬を内服していないかまで確認しましょう3)。●Rule3 鑑別疾患の基本をmasterせよ!救急外来など初診時には、(1)緊急性、(2)簡便性、(3)検査前確率の3点に意識して鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因はAIUEOTIPS(表4)です。表4はCarpenterの分類に大動脈解離(Aortic Dissection)、ビタミン欠乏(Supplement)を追加しています。頭に入れておきましょう。画像を拡大する●Rule4 意識障害と意識消失を明確に区別せよ!意識障害ではなく意識消失(失神や痙攣)の場合には、鑑別診断が異なるためアプローチが異なります。これは、今後のシリーズで詳細を述べる予定です。ここでは1つだけおさえておきましょう。それは、意識状態は「普段と比較する」ということです。高齢者が多いわが国では、認知症や脳卒中後の影響で普段から意思疎通が困難な場合も少なくありません。必ず普段の意識状態を知る人からの情報を確認し、意識障害の有無を把握しましょう。前述の「Rule4つ」は順番というよりも同時に確認していきます。かかりつけの患者さんであれば、来院前に内服薬や既往を確認しつつ、病歴から◯◯らしいかを意識しておきましょう。ここで、実際に前掲の症例を考えてみましょう。突然発症の右上下肢麻痺であり、3/JCSと明らかな意識障害を認めます(普段は見当識障害など特記異常はないことを確認)。血圧が普段と比較し高く、脈拍も心房細動を示唆する不整を認めます。ここまでの情報がそろえば、この患者さんの診断は脳卒中、とくに左大脳半球領域の脳梗塞で間違いなしですね?!実際にこの症例では、頭部CT、MRIとMRAを撮影したところ左中大脳動脈領域の急性期心原性脳塞栓症でした。診断は容易に思えるかもしれませんが、迅速かつ正確な診断を限られた時間の中で行うことは決して簡単ではありません。次回は、10’s Ruleの後半を、陥りやすいpitfallsを交えながら解説します。お楽しみに!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中. 中外医学社;2015.2)Ikeda M, et al. BMJ. 2002;325:800.3)坂本壮ほか. 月刊薬事. 2017;59:148-156.コラム(2) 相談できるか否か、それが問題だ!「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」が大事! この単語はみなさん聞いたことがあると思います。何か困ったことやトラブルに巻き込まれそうになったときは、自身で抱え込まずに、上司や同僚などに声をかけ、対応するのが良いことは誰もが納得するところです。それでは、この3つのうち最も大切なのはどれでしょうか。すべて大事なのですが、とくに「相談」は大事です。報告や連絡は事後であることが多いのに対して、相談はまさに困っているときにできるからです。言われてみると当たり前ですが、学年が上がるにつれて、また忙しくなるにつれて相談せずに自己解決し、後で後悔してしまうことが多いのではないでしょうか。「こんなことで相談したら情けないか…」「まぁ大丈夫だろう」「あの先生に前に相談したときに怒られたし…」など理由は多々あるかもしれませんが、医師の役目は患者さんの症状の改善であって、自分の評価を上げることではありません。原因検索や対応に悩んだら相談すること、指導医など相談される立場の医師は、相談されやすい環境作り、振る舞いを意識しましょう(私もこの部分は実践できているとは言えず、書きながら反省しています)。(次回は6月27日の予定)

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軽度~中等度のアルツハイマー病患者における急速な認知機能低下の予測因子

 アルツハイマー病(AD)は、治療や予防手段がなく、進行を遅らせる方法が証明されていない疾患である。ADは、あまり知られていないさまざまな因子に起因する認知機能悪化と関連している。フランス・リモージュ大学のAchille E. Tchalla氏らは、高齢者のAD患者における急速な認知機能低下に関連する要因について検討を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2018年4月23日号の報告。 12ヵ月間のプロスペクティブマルチセンターコホート研究を実施した。対象は、軽度~中等度のADを有する65歳以上の地域住民。急速な認知機能低下は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア3点/年以上の減少と定義した。潜在的な個人レベルの予測因子をベースライン時に収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、521例であった。・平均年齢は、80.8±9.0歳、女性の割合は66.0%であった。・ベースライン時の平均MMSEスコアは、20.5±4.5点であった。・急速な認知機能低下の発現率は、40.9%(95%CI:36.7~45.1)であった。・急速な認知機能低下は、軽度AD(22.3%)よりも中等度AD(53.5%)で多く認められた。・急速な認知機能低下に関連する因子は以下のとおりであった。 ●親の認知症歴(オッズ比:2.32、95%CI:1.24~4.21、p=0.011) ●精神症状(オッズ比:2.06、95%CI:1.22~3.48、p=0.007) ●栄養不良(オッズ比:1.61、95%CI:1.06~2.63、p=0.028) ●女性(オッズ比:1.48、95%CI:1.03~2.15、p=0.036)・治療開始時のMMSEスコア20点未満も、急速な認知機能低下と関連が認められた(p<0.001)。 著者らは「これらの結果は、患者、その家族、医師と直接的に関連する可能性があり、困難な臨床経過や機能アウトカム不良の早期予測を可能にする」としている。■関連記事どのくらい前から認知症発症は予測可能かドネペジルの治療反応、投与前に予測可能か認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

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心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

 正常洞調律を取り戻し回復した状態(resolved)であると診断された心房細動(AF)患者について、非AF患者と比べると、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)のリスクは有意に高いままであることが、英国・バーミンガム大学のNicola J. Adderley氏らによる、同国の一般診療所(GP)で集められたデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。リスクの増大は、再発の記録がなかった患者でも認められたという。AFは明らかな回復後も再発の可能性があるが、そのような患者で脳卒中/TIAリスクの増大が認められるのかは明らかになっておらず、ガイドラインでも、同患者に関する治療は明示されていない。BMJ誌2018年5月9日号掲載の報告。英国GPデータベースを用いて分析 研究グループは、resolved AF患者の脳卒中/TIAの発生率、および全死因死亡率を調べるとともに、非resolved AFおよび非AF患者のアウトカムと比較した。 GPが関与したデータベース「The Health Improvement Network」の2000年1月1日~2016年5月15日のデータから、脳卒中/TIA既往のない18歳以上の成人患者で、resolved AF患者1万1,159例と、対照群としてAF患者1万5,059例、非AF患者2万2,266例を特定し分析した。 主要アウトカムは、脳卒中/TIAの発生で、副次アウトカムは、全死因死亡とした。抗凝固薬使用の継続を提言するようガイドラインを見直すべき resolved AF患者の補正後脳卒中/TIAの発生率比は、対AF患者が0.76(95%信頼区間[CI]:0.67~0.85、p<0.001)、対非AF患者は1.63(同:1.46~1.83、p<0.001)であった。 また、resolved AF患者の補正後死亡の発生率比は、対AF患者が0.60(同:0.56~0.65、p<0.001)、対非AF患者は1.13(同:1.06~1.21、p<0.001)であった。 さらに、再発のなかったresolved AF患者について、補正後の脳卒中/TIA発生率比は、対非AF患者で1.45(同:1.26~1.67、p<0.001)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「resolved AF患者について、抗凝固薬の使用継続を提言するよう、ガイドラインを改訂すべきである」とまとめている。

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8種類の抗てんかん薬における主要な先天性奇形リスク比較のコホート研究

 抗てんかん薬による催奇形リスクを比較したエビデンスは不十分であり、とくに投与量に関連したエビデンスが不足している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のTorbjorn Tomson氏らは、抗てんかん薬の先天性奇形の発症頻度を比較するため、単剤療法で最も一般的に使用される8種類の抗てんかん薬について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2018年4月18日号の報告。 EURAP国際レジストリに基づいた、縦断的プロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠時に抗てんかん薬の単剤療法を受けていた女性の妊娠データを、EURAPに参加している42ヵ国よりプロスペクティブに特定した。各妊娠期、出産時、出産1年後のフォローアップデータを収集した。主要な目的は、一般的に使用される8種類の抗てんかん薬(カルバマゼピン、ラモトリギン、レベチラセタム、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、トピラマート、バルプロ酸)のうち1剤を投与された妊婦の子における、出産1年後の主要な先天性奇形リスクの比較とした。また、用量依存性が特定された場合には、さまざまな用量の範囲でリスクを比較した。潜在的な交絡因子および予後因子で調整した後、ロジスティック回帰を用いて治療間の直接比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・1999年6月20日~2016年5月20日までに適格基準を満たした妊婦は、7,555例であった。・そのうち、8種類の抗てんかん薬のうち1剤を投与された妊婦は、7,355例であった。・薬剤ごとの主要な先天性奇形の有病率は以下のとおりであった。 ●バルプロ酸:1,381例中142例(10.3%) ●フェノバルビタール:294例中19例(6.5%) ●フェニトイン:125例中8例(6.4%) ●カルバマゼピン:1,957例中107例(5.5%) ●トピラマート:152例中6例(3.9%) ●オクスカルバゼピン:333例中10例(3.0%) ●ラモトリギン:2,514例中74例(2.9%) ●レベチラセタム:599例中17例(2.8%)・主要な先天性奇形の有病率は、カルバマゼピン(p=0.0140)、ラモトリギン(p=0.0145)、フェノバルビタール(p=0.0390)、バルプロ酸(p<0.0001)の妊娠時の用量に依存して増加した。・調整後の多変量解析では、ラモトリギン325mg/日以下よりも、カルバマゼピンの全用量、バルプロ酸の全用量、フェノバルビタール80mg/日超において、主要な先天性奇形の有病率が有意に高かった。・バルプロ酸650mg/日以下は、レベチラセタム250~4,000mg/日と比較し、主要な先天性奇形リスクの増加と関連が認められた(オッズ比:2.43、95%CI:1.30~4.55、p=0.0069)。・カルバマゼピン700mg/日超は、レベチラセタム250~4,000mg/日と比較し、主要な先天性奇形リスクの増加と関連が認められた(オッズ比:2.41、95%CI:1.33~4.38、p=0.0055)。・カルバマゼピン700mg/日超は、オクスカルバゼピン75~4,500mg/日と比較し、主要な先天性奇形リスクの増加と関連が認められた(オッズ比:2.37、95%CI:1.17~4.80、p=0.0169)。 著者らは「本検討より、催奇形リスクは、抗てんかん薬の種類や用量により異なることが示唆された。ラモトリギン、レベチラセタム、オクスカルバゼピンに関連する主要な先天性奇形リスクは、抗てんかん薬の使用がなかった妊婦の子について報告された結果と同程度であった。本知見より、治療選択肢に関連するリスクの比較を考慮した、抗てんかん薬の合理的な選択が可能となる。なお、本検討ではトピラマートとフェニトインの症例数が少ないため、慎重に考慮すべきである」としている。■関連記事スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は

1938.

認知症、かかりつけ医向け「適正処方の手引き」公開:日医

 日本医師会はこのほど、「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き 2.認知症」を公開した。2017年10月公開の同手引き「1.安全な薬物療法」に続く第2弾で、認知症の薬物療法に特化した内容となっている。 手引きでは、「認知症の治療は原因疾患の適切な鑑別診断のもとに行われることが重要」として、かかりつけ医と専門医療機関等との連携を重視。「高齢者はすでに他の身体疾患などを有していて、多剤が併用されている場合があるため、認知症に対する薬物療法は、その必要性を十分に検討し、必要性があると判断される場合にのみ開始する」と非薬物療法を中心に、必要に応じて薬物療法を組み合わせて治療することを推奨している。 そのうえで、・認知症の薬物療法フローチャート・中核症状の病期別治療薬剤選択のアルゴリズム・BPSD治療アルゴリズム・BPSDの治療方針に関するフローチャート・高齢の患者に認知機能障害を生じさせやすい特に慎重な投与を要する薬物のリスト等を「認知症疾患診療ガイドライン2017」、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」といった関連のガイドラインから引用しながら解説。かかりつけ医が処方を判断する際の考え方や服薬支援のポイントと併せて、全約10ページのコンパクトな形態にまとめている。■参考日本医師会「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」1.安全な薬物療法2.認知症

1939.

慢性疼痛治療ガイドラインが発刊

 2018年3月、痛みに関連する7学会のメンバーが結集し作り上げた「慢性疼痛治療ガイドライン」(監修:厚生労働行政推進調査事業費補助金慢性の痛み政策研究事業「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班、編集:慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ*)が発刊された。*ペインコンソーシアム(日本運動器疼痛学会、日本口腔顔面痛学会、日本疼痛学会、日本ペインクリニック学会、日本ペインリハビリテーション学会、日本慢性疼痛学会、日本腰痛学会)より選出された委員により構成慢性疼痛に対する施策はエアポケットとなっていた これまで、種々の疾患(がん、生活習慣病、感染症、精神疾患、難病など)への対策が日本政府により行われてきたが、慢性疼痛に対する施策は、エアポケットのように抜け落ちていた。しかし、最近、慢性疼痛に対する施策も国の事業として進められるようになり、前述の研究班とワーキンググループにより、All Japanの慢性疼痛治療ガイドラインが策定された。慢性疼痛治療ガイドラインは、全6章、51CQから成る 慢性疼痛治療ガイドラインは、全6章(総論、薬物療法、インターベンショナル治療、心理的アプローチ、リハビリテーション、集学的治療)から成り、全51個のクリニカルクエスチョン(CQ)が設定されている。慢性疼痛治療ガイドラインのエビデンスレベルは4段階で評価 慢性疼痛治療ガイドラインのCQに対するAnswerの部分には、推奨度およびエビデンスレベルが記されている。推奨度は、「1:する(しない)ことを強く推奨する」「2:する(しない)ことを弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示されている。エビデンスレベルは、「A(強):効果の推定値に強く確信がある」「B(中):効果の推定値に中程度の確信がある」「C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である」「D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない」と規定された。慢性疼痛とは 慢性疼痛は、国際疼痛学会(IASP)で「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」とされている。 慢性疼痛には「侵害受容性」「神経障害性」「心理社会的」などの要因があるが、これらは密接に関連している場合が多く、痛み以外に多彩な症状・徴候を伴っていることも多い。そのため、慢性疼痛治療ガイドラインでは、慢性疼痛の診断において最も重要なことは、正確な病態把握とされた。また、慢性疼痛の治療は、痛みの軽減が目標の1つであるが第一目標ではなく、作用をできるだけ少なくしながら痛みの管理を行い、QOLやADLを向上させることが重要であると記載されている。慢性疼痛治療ガイドラインには薬物療法の推奨度を詳細に記載 慢性疼痛治療ガイドラインでは、薬物療法の項に最も多くの紙面が割かれている。なお、本ガイドラインでは、「医療者は各項の推奨度のレベルのみを一読するのではなく、CQの本文、要約、解説を十分に読み込んだ上での試行・処方などを検討するようにお願いしたい」「一部、現在(平成30年3月現在)の保険診療上適応のない薬物や手技もあるが、薬物療法においては、添付文書などを熟読の上、治療に当たることが望ましい」と記載されている。 主な薬剤の推奨度、エビデンス総体の総括は以下のとおり。●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)運動器疼痛:1A(使用することを強く推奨する)神経障害性疼痛:2D(使用しないことを弱く推奨する)頭痛・口腔顔面痛:2B(使用することを弱く推奨する)線維筋痛症:2C(使用しないことを弱く推奨する)●アセトアミノフェン運動器疼痛:1A(使用することを強く推奨する)神経障害性疼痛:2D(使用しないことを弱く推奨する)頭痛・口腔顔面痛:1A(使用することを強く推奨する)線維筋痛症:2C(使用することを弱く推奨する)●プレガバリン運動器疼痛:2C(使用することを弱く推奨する)神経障害性疼痛:1A(使用することを強く推奨する)頭痛・口腔顔面痛:2C(使用することを弱く推奨する)線維筋痛症:1A(使用することを強く推奨する)●デュロキセチン運動器疼痛:1A(使用することを強く推奨する)神経障害性疼痛:1A(使用することを強く推奨する)頭痛・口腔顔面痛:2C(使用することを弱く推奨する)線維筋痛症:1A(使用することを強く推奨する)●抗不安薬(ベンゾジアゼピン系薬物)運動器疼痛:2C(使用することを弱く推奨する)(エチゾラム)神経障害性疼痛:2C(使用することを弱く推奨する)(クロナゼパム)頭痛・口腔顔面痛:2B(使用することを弱く推奨する)           (緊張型頭痛:エチゾラム、アルプラゾラム)           (口腔顔面痛:ジアゼパム、クロナゼパム)線維筋痛症:2C(使用することを弱く推奨する)●トラマドール運動器疼痛:1B(使用することを強く推奨する)神経障害性疼痛:1B(使用することを強く推奨する)頭痛・口腔顔面痛:推奨度なし線維筋痛症:2C(使用することを弱く推奨する)慢性疼痛治療ガイドラインには心理療法・集学的療法の推奨度も記載 心理療法として取り上げられた心理教育、行動療法、認知行動療法、マインドフルネス、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、慢性疼痛治療ガイドラインではいずれも推奨度1(行うことを強く推奨する)とされている。また、最近話題の集学的治療や集団認知行動療法(集団教育行動指導)も慢性疼痛治療ガイドラインでは推奨度1(施行することを強く推奨する)とされ、その重要性が示されている。

1940.

スタチンと認知症・軽度認知障害リスクに関するメタ解析

 すべての認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症や軽度認知障害のリスクとスタチン使用との関連について、台湾・Kaohsiung Veterans General HospitalのChe-Sheng Chu氏らが、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Scientific reports誌2018年4月11日号の報告。 2017年12月27日までの、成人におけるスタチンの使用と認知機能低下に関する研究を、主要な電子データベースより検索を行った。各研究の効果量を統合するため、相対リスク(RR)を算出するランダム効果メタ解析を実施した。スタチン使用はすべての認知症リスクの有意な低下と関連 成人におけるスタチンの使用と認知機能低下に関する研究の主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしていた研究は、25報であった。・スタチン使用と認知症リスクとの関連は以下のとおり。 ●すべての認知症リスクの有意な低下と関連(16報、調整RR:0.849、95%CI:0.787~0.916、p=0.000) ●アルツハイマー型認知症リスクの有意な低下と関連(14報、調整RR:0.719、95%CI:0.576~0.899、p=0.004) ●軽度認知障害リスクの有意な低下と関連(6報、調整RR:0.737、95%CI:0.556~0.976、p=0.033) ●血管性認知症と有意な関連は認められなかった(3報、調整RR:1.012、95%CI:0.620~1.652、p=0.961)・サブグループ解析では、水溶性スタチンは、すべての認知症リスク低下と関連が認められ(調整RR:0.877、95%CI:0.818~0.940、p=0.000)、アルツハイマー型認知症リスクが低くなる可能性が示唆された(調整RR:0.619、95%CI:0.383~1.000、p=0.050)。・脂溶性スタチンは、アルツハイマー型認知症リスク低下と関連が認められたが(調整RR:0.639、95%CI:0.449~0.908、p=0.013)、すべての認知症との関連は認められなかった(調整RR:0.738、95%CI:0.475~1.146、p=0.176)。 著者らは「本メタ解析では、スタチンの使用は、すべての認知症、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害のリスク低下と関連が認められたが、血管性認知症リスク低下との関連は認められなかった」としている。

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