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1921.

新薬が出ない世界で(1)(解説:岡村毅氏)-808

 現在アルツハイマー型認知症に使用される対症療法薬(アミロイドという疾患の本質には作用しないが臨床症状は改善する薬剤)であるコリンエステラーゼ阻害薬に対して、新薬idalopirdineを追加投与したものの、残念ながら効果はなかった。 20世紀末に文句なしのブロックバスターであったアリセプトが市場に出てから、21世紀も20年の節目が近づきつつあるが、いまだに新しいブロックバスターは出ない(2011年にメマリーというささやかな福音はあったが)。 最高の頭脳を持った神経病理・薬理学者が挑み続けているにもかかわらず、結果が出ないという事実を正面から見据えなければならない。 では、われわれ医療者は呆然と立ち尽くすしかないのだろうか? そんなことはないのである。東京都健康長寿医療センター研究所の粟田 主一研究部長によると、地域在住高齢者の悉皆調査(n=7,614)においては、専門家による認知機能検査、さらに専門医等による臨床診断を経て認知症と判断された方の3割しか、認知症の診断を受けていなかったという(日本公衆衛生学会総会 2017年)。診断すればすべてが解決というものではないが、正しい診断は正しい支援に至る必要条件ともいえる。地域には、新薬どころか、診断されることなく不安にさいなまれている高齢者や、周囲から変な人とされている若年者がいるはずである。地道にこういう方々のために汗をかくことも、われわれの使命ではないだろうか? 最後に、余計な一言。 本研究はSTARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT(いずれも「星の輝き」の意味を持つ)という3つの研究からなるが、なんともかっこいい名前だ、一体どうやって略されたのだろう? ジャーナル四天王をみても、COURAGE試験(勇気)やCALM試験(落ち着き)といったセンスの良いスタディ名が紹介されている。英語圏の「文学」ともいえ、米国東海岸ヒップホップの雄であるWu-Tang ClanにはC.R.E.A.M.というヒット曲があるが“Cash, Rules, Everything, Around, Me”の略である。英語を母語としないわれわれには、なかなか同じ土俵では戦えまい。 ちなみに私の同僚である東京都健康長寿医療センター研究所の宇良 千秋氏は、認知症を持つ人が稲作をすることで健康を回復するというRICE研究(Rice-farming Care for the Elderly people with dementia)をされている。スタディ名文学に明るい人(桑島 巖理事長?)がいたら、ぜひいろいろとご教示願いたいところである。

1922.

てんかん患者におけるMRIに共通する脳SPECT画像の解析

 SISCOMやSTATISCOMは、てんかんの局所発作のためのMRIを中心に、発作/発作間欠期SPECT(単一光子放射断層撮影)分析に効果的であると臨床的に証明されている。最近では、この分析のためにソフトウェアも利用可能となった。米国・メイヨー・クリニックのZaiyang Long氏らは、これら局所発作の分析方法について、その性能の調査と比較を行った。Journal of neuroimaging誌オンライン版2018年1月10日号の報告。 99mTc-ethyl cysteinate dimer SPECTスキャンを受けた378例の患者を対象に、レトロスペクティブレビューを行った。除外基準の適応後、28例が抽出された。これらのSPECTおよびMRI画像をSISCOM(zスコア:1.5および2)、STATISCOM、MIMneuroを用いて分析した結果、合計112の画像データセットが得られた。経験豊富な放射線科医2名が、カスタムツールを使用して盲検レビュープロセスに参加し、最大2つの過灌流および/または低灌流領域を指定することができた。JAFROC(Jackknife Free Response Receiver-Operating Characteristics)テストを用いてレビュー結果は分析され、各方法のJAFROC性能指数がまとめられた。また、カッパ係数テストを用いて、観察者間の合意を評価した。 主な結果は以下のとおり。・平均JAFROC性能指数は、STATISCOM 85.7%、MIMneuro 83.9%、SISCOM(zスコア2)66.1%、SISCOM(zスコア1.5)51.8%であった。・平均信頼度は、STATISCOM 2.5、MIMneuro 2.3、SISCOM(zスコア2)1.6、SISCOM(zスコア1.5)1.1であった。・カッパ係数は、STATISCOM 0.742、MIMneuro 0.816、SISCOM(zスコア2)0.517、SISCOM(zスコア1.5)0.441であった(すべてのp<0.001)。 著者らは「STATISCOMが、局所発作のための最も良い性能を示した。MIMneuroは、SISCOM(zスコア:1.5および2)よりも良い性能を示した」としている。■関連記事てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかにMRIで軽度認知障害からの進行を予測SPECT+統計解析でアルツハイマー病の診断精度改善:東北大

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ミトコンドリアATPシンターゼと加齢や認知症との関連

 アルツハイマー病などの認知症が増加する根本的な要因は、老化である。老化を治療戦略とする考え方は新しいものではないが、老化と加齢による疾患が分子レベルで、どれほど密接に関連しているかはよくわかっていない。米国・ソーク研究所のJoshua Goldberg氏らは、アルツハイマー病の候補薬J147の分子標的を同定し、老化と認知症との新規分子リンクを発見するための検討を行った。Aging cell誌オンライン版2018年1月7日号の報告。 J147は、脳の老化に関連する疾患毒性を模倣する一連のスクリーニングアッセイを用いて開発された。著者らはこれまで、アルツハイマー病モデルマウスにおけるJ147の治療効果を実証してきた。本検討では、ミトコンドリアα-F1-ATP合成酵素(ATP5A)をJ147 の標的として同定した。 主な結果は以下のとおり。・ATP合成酵素を標的とすることにより、J147は標準的な長寿メカニズムであるAMPK/mTOR経路のCAMKK2依存活性化の持続をもたらし、細胞内のカルシウム増加を引き起こした。・J147によるミトコンドリアプロセスの調整は、マウスの海馬トランスクリプトームおよび血漿メタボロームの年齢に関連した流動を抑制し、ショウジョウバエの寿命を延長した。 著者らは「老化と加齢に伴う認知症とがATP合成酵素により結び付けられた。J147は、老化と認知症の両方を抑制するために開発可能な分子標的治療薬である。このことから、新規アルツハイマー病候補薬のためのスクリーニングが、確立された老化経路に影響する化合物を同定することを示しており、両者の間に思ったより近い分子関係があることを示唆している」としている。■関連記事アルツハイマー病に関する臨床試験、その進行状況はアルツハイマーの早期発見が可能となるか日本のアルツハイマー病、30年の推移:九州大

1924.

軽度アルツハイマー病への抗Aβ抗体、第III相試験の結果/NEJM

 軽度アルツハイマー病患者に対するヒト化モノクローナル抗体solanezumabの投与(400mgを4週ごと)について、認知機能低下を遅らせる有意な効果は認められなかった。米国・コロンビア大学のLawrence S. Honig氏らが、2,129例を対象に行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。アルツハイマー病は、アミロイドβ(Aβ)斑と神経原線維変化を特徴とするが、solanezumabは、可溶性Aβ(原線維アミロイドとして沈着する前の段階で、シナプスで毒性を引き起こすとされるペプチド)が、脳から除去される量を増やすようデザインされた。solanezumab 400mgを4週ごと投与、80週の認知機能変化を評価 研究グループは、ミニメンタルステート検査(MMSE)のスコアが20~26の軽度アルツハイマー病患者で、フロルベタピルを用いたPET検査または脳脊髄液中のAβ1-42測定によりアミロイドの沈着が認められた2,129例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはsolanezumab 400mgを(1,057例)、もう一方の群にはプラセボを(1,072例)、それぞれ4週ごとに76週間静脈内投与した。 主要評価項目は、ベースラインから80週までの、アルツハイマー病評価尺度の14項目の認知機能下位尺度(ADAS-cog14)スコア(0~90、スコアが高いほど認知機能障害が重度であることを示す)の変化量だった。80週後のADAS-cog14・MMSEスコアともに変化量に有意差なし 80週後のADAS-cog14スコア変化量の平均値は、solanezumab群6.65に対し、プラセボ群7.44と、両群で有意差はなかった(群間差:-0.80、95%信頼区間[CI]:-1.73~0.14、p=0.10)。 事前規定の階層的解析において、主要評価項目に有意差は認められなかったため、副次評価項目については有意性の検定を行わなかった。副次評価項目の記述的結果としては、MMSEスコアのベースラインからの変化量は、solanezumab群が-3.17、プラセボ群が-3.66だった。 無作為化後のMRI上の異常所見としては、脳浮腫または髄液貯留が、solanezumab群1例、プラセボ群2例に認められた。

1925.

老人福祉施設の認知症、うつ病患者の睡眠に対する疼痛治療の影響

 老人ホームに入所している認知症やうつ病患者における疼痛治療が、睡眠にどのような影響を及ぼすかを、ノルウェー・ベルゲン大学のKjersti Marie Blytt氏らが検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年12月28日号の報告。 多施設2アーム二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床研究を2014年8月~2016年9月に実施した。対象は、ノルウェーの老人ホーム47施設に長期入所している、MMSE(ミニメンタルステート検査)、CSDD(コーネル認知症抑うつ尺度)により認知症およびうつ病と診断された患者106例。鎮痛剤を使用していなかった患者に対しては、経口アセトアミノフェン(3g/日)またはプラセボ経口投与のいずれかにランダム化し、段階的に疼痛治療を行った。すでに疼痛治療を実施していた患者に対しては、ブプレノルフィン貼付剤(最大量:10μg/時間を7日間)またはプラセボ貼付剤のいずれかにランダム化を行った。睡眠状態は、アクチグラフにより、1週間のベースライン測定および1週間の継続治療を含む14日間を連続して評価した。睡眠パラメーターは、総睡眠時間、睡眠効率、入眠潜時、中途覚醒、早朝覚醒、覚醒回数とした。 主な結果は以下のとおり。・両介入群(アセトアミノフェン群、ブプレノルフィン群)と対照群との比較では、睡眠効率(70~72% vs. 70~67%、p<0.01)、入眠潜時(32~24分 vs. 47~60分、p<0.05)、早朝覚醒(50~40分 vs. 31~35分、p<0.05)のパラメーターに、統計学的に有意な改善が認められた。 著者らは「疼痛治療は、プラセボと比較し、アクチグラフで測定した睡眠状態の改善が認められた。この結果は、老人ホーム入所者の睡眠状態、疼痛、うつ病をより評価すべきであることを示唆しており、疼痛治療は潜在的に有用な治療であると考えられる」としている。(鷹野敦夫)■関連記事不眠と腰痛、その因果関係は頭痛患者の認知症リスクは2倍検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

1926.

認知症者の自動車運転を停止するためのワークショップ

 認知症者にとって、自動車運転は大きな危険を伴う。カナダの医師は、不適切な運転手を報告する法的な責任を負っており、その決定を患者に明らかにする必要がある。医師は患者との健全な関係を維持したいと考えているものの、認知症者は洞察力が不足しており、運転免許の喪失に対して非常に強い感情を示す。これらが、正確な情報交換を妨げる可能性がある。カナダ・オタワ病院のAnna Byszewski氏らは、このような難しい通達を行う医療従事者のための戦略と支援を提供する目的で、マルチメディアモジュールの開発を試みた。Canadian geriatrics journal誌2017年12月22日号の報告。 自動車運転および認知症の利用可能なツール、運転停止に関するコミュニケーション戦略のためのオンラインツールのウェブサイトについて、Embase、Ovid MEDLINEの文献検索を行った。ワークショップモジュールは、背景資料、コミュニケーション戦略、リソースへのリンク、感情的な話し合いをマネジメントする「悪い」次に「良い」方法を示す2つのビデオにより開発された。 主な結果は以下のとおり。・モジュールを内科研修医とともにテストした結果、信頼が有意に増加し(p<0.001)、問題を話し合う際の快適さや意向が向上した。 著者らは「このプロジェクトは、保健専門家の姿勢を改善するモジュールの肯定的な影響を実証し、認知症者に自動車運転の停止を伝えることができる」としている。■関連記事認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか認知症ドライバーの運転停止を促すためには認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために

1927.

脳梗塞急性期患者に抗血小板薬の3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できない(解説:内山真一郎氏)-803

 TARDIS試験は、発症後48時間以内の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)において、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモールの3剤併用療法の有効性と安全性を、英国のガイドラインに基づくクロピドグレル単独療法かアスピリンとジピリダモールの2剤併用療法と比較する、国際共同研究による非盲検の無作為化比較試験であった。結果として、3剤併用療法は脳卒中やTIAの頻度や重症度を減少させず、重大な出血を増加させてしまった。 発症後24時間以内のTIAと軽症脳梗塞を対象にしたCHANCE試験では、アスピリンとクロピドグレルの併用療法はアスピリン単独療法に比べて、出血を増加させることなく脳卒中の再発を抑制した。TARDISでは中等症や重症の脳梗塞患者も含まれており、このような患者に対して3剤併用療法は出血を助長して危険なのかもしれない。また、TARDISでは24~48時間後の患者も含まれたため、血栓溶解療法施行患者が多く含まれた。CHANCEやSOCRATES試験では、血栓溶解療法施行例は除外された。実際、TARDISでは、血栓溶解療法が終了してから24時間以後に抗血小板療法が開始されたにもかかわらず、血栓溶解療法との相互作用は存在した。 今回用いられた3剤のうち、日本ではジピリダモールではなくシロスタゾールが用いられているが、発症後48時間以内のすべての脳梗塞・TIA患者に対する3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できないという結論になる。脳梗塞の重症度、発症からの時間、血栓溶解療法施行例以外に脳梗塞の病型も重要であり、急性期の強力な抗血小板療法はラクナ梗塞には危険であり、アテローム血栓性脳梗塞に限定すべきかもしれない。

1928.

軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例でidalopirdine併用の有効性を評価 研究グループは2013年10月~2017年1月に、STARSHINE試験、STARBEAM試験およびSTARBRIGHT試験を行った。対象は、50歳以上の軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例(各試験参加者は933例[119施設]、858例[158施設]、734例[126施設])であった。 STARSHINE試験およびSTARBEAM試験ではドネペジル(商品名:アリセプトほか)、STARBRIGHT試験ではドネペジル、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)またはガランタミン(同レミニール)に、idalopirdine(10mg、30mg、60mg)またはプラセボを24週間併用投与した(最終追跡調査は2017年1月12日)。 主要エンドポイントは、11項目の認知機能評価スコア(Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscale[ADAS-cog]:0~70点の範囲で得点が低いほど障害は少ないことを示す)。キー副次エンドポイントは、全般的臨床症状評価(AD Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change[ADCS-CGIC])の変化尺度と23項目評価の日常生活動作(ADCS-ADL:ADCS-Activities of Daily Living scale)のスコアであった。主要エンドポイントおよび1つ以上のキー副次エンドポイントについて、プラセボに対し有意差が認められた場合に、その投与群は有効であるとした。認知機能評価スコアの変化、idalopirdineとプラセボで有意差なし 2,525例(平均年齢74歳、ベースラインのADAS-Cogスコア平均26点、女性が62~65%)のうち、2,254例(89%)が試験を完遂した。 ADAS-Cogスコアの24週時におけるベースラインからの変化量は、STARSHINE試験でidalopirdine 60mg群0.37、同30mg群0.61に対し、プラセボ群0.41であった(プラセボ群との補正後平均差:60mg群0.05[95%信頼区間[CI]:-0.88~0.98]、30mg群0.33[95%CI:-0.59~1.26])。STARBEAM試験では、idalopirdine 30mg群1.01、同10mg群0.53に対し、プラセボ群0.56であった(対プラセボの補正後平均差:30mg群0.63[95%CI:-0.38~1.65])。STARBRIGHT試験では、idalopirdine 60mg群0.38に対し、プラセボ群0.82であった(補正後平均差:-0.55[95%CI:-1.45~0.36])。 治療下に発現した有害事象(TEAE)の発現率は、idalopirdine群で55.4%~69.7%、プラセボ群で56.7%~61.4%であった。

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日本人のビタミンD摂取量と脳卒中死亡が逆相関

 ビタミンDの心血管の健康に及ぼす重要性に関する報告が増えている。今回、JACC研究(The Japan Collaborative Cohort Study)で日本人集団における食事でのビタミンD摂取量と脳卒中・冠動脈疾患死亡リスクの関連を調べたところ、ビタミンD摂取量が脳卒中死亡と逆相関することが示唆された。Stroke誌オンライン版2018年1月8日号に掲載。 本研究は、40~79歳の健康成人5万8,646人(男性2万3,099人、女性3万5,547人)を対象とした前向き研究で、追跡期間中央値は19.3年(1989~2009年)。食事によるビタミンD摂取量を自記式食物摂取頻度調査で評価した。ビタミンD摂取量で分類し、死亡のハザード比および95%信頼区間を計算した。 主な結果は以下のとおり。・96万5,970人年の追跡期間中、脳卒中による死亡は1,514例、冠動脈疾患による死亡は702例報告された。・ビタミンD摂取量は、脳卒中全体、とくに脳実質内出血による死亡リスクとの間に逆相関が示されたが、冠動脈疾患による死亡リスクとは示されなかった。・ビタミンD摂取量が最低のカテゴリー(110IU/日未満)に対する、最高のカテゴリー(440IU/日以上)の多変量ハザード比(95%信頼区間)は、脳卒中全体で0.70(0.54~0.91、傾向のp=0.04)、脳実質内出血では0.66(0.46~0.96、傾向のp=0.04)であった。

1930.

勉強をすると認知症にならないって本当?(解説:岡村毅氏)-797

 メンデル無作為化試験により高い学歴が認知症発症の保護因子になることを示した論文である。かねてより認知予備能が高いと認知症になりにくいと言われていたので、遺伝子多型も含めた解析で改めて追認された形だ。 余談であるが、筆者の外来にも元大学教授などの患者さんが受診されることが多い。約束忘れや、時に迷子もみられるのに、「3つの言葉を覚えて、後で思い出す」(遅延再生)課題を何とかこなす方もいる。「えっ、できないと思っていた」という顔をすると、頼んでもいないのに「最初の文字を3つ唱えていたんですよ。計算している間もね。ボクは科学者だからそんなことは簡単なのさ」などと教えていただき、再びびっくりしたこともある。 テストは本能的にできるのである。でも生活能力は確実に、それなりに低下している。こういうとき、どのように評価すべきか、悩ましい。自分も将来若い医師に外来で嬉々として語っているのだろうな…とも思う。いずれにしても勉強(学問、研究)は、実社会では役に立たないなどとあまりバカにするべきではなくて、確実に私たちの脳を強靭化しているようだ! 水を差すようだが、本研究は詳細に読むと解析対象の全例がオートプシーで病理を確認されているわけではない。認知機能テストの影響を大きく受ける臨床診断では上記余談のごとく一筋縄ではいかないという臨床的限界を知ったうえで、本論文を堪能すべきであろう。 最後に、臨床家としては目の前の患者さん一人ひとりにとっての実存が重要だ。最高の学歴、頭脳の人でも、認知症になるときにはスパっとなるものだ。認知症になりたくないから、ドリルを嫌々する、その結果つまらない人生になる、という悪循環は避けるべきであろう。この論文の著者だってそういうことは一切言っていないはずなのだが、外来では、認知症を恐れてびくびくしながら生きている人、怪しげなマスコミ報道に踊らされているかわいそうな人が多いので、蛇足ながら書いた。「どうせ100年後には私もあなたもみんな死んでいるのである」(私の外来での決め台詞)、くらいに構えているほうが楽なのではないか。

1931.

貧血と認知症の関係:韓国国民健康スクリーニング研究

 貧血が高齢者における認知症発症と関連しているか、韓国・ソウル大学のSu-Min Jeong氏らが調査を行った。Alzheimer's research & therapy誌2017年12月6日号の報告。 認知症および脳卒中でない66歳の高齢者3万7,900例を、NHIS-HEALS(韓国国民健康保険サービス-国民健康スクリーニングコホート)のデータベースを用いて抽出した。貧血(ヘモグロビン濃度:女性12g/dL未満、男性13g/dL未満)および貧血の重症度(軽度、中等度、重度)は、WHO(世界保健機構)の基準で定義した。認知症の発症は、ICD-10(国際疾病分類 第10版)の認知症診断コード(F00、F01、F02、F03、G30)で確認され、抗認知症薬を処方された患者とした。貧血による認知症発症のハザード比(HR)は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・性別、ベースラインの認知機能状態、BMI、喫煙、世帯収入、障害、うつ病、高血圧、糖尿病、脂質異常症で調整した後、貧血と認知症との間に有意な関連が認められた(調整HR:1.24、95%CI:1.02~1.51)。・貧血の重症度に応じた認知症発症率の調整HRは、軽度の場合1.19(95%CI:0.98~1.45)、中等度の場合1.47(95%CI:0.97~2.21)、重度の場合5.72(95%CI:1.84~17.81)であり、有意なp for trendが認められた(p=0.003)。 著者らは「貧血は、認知症発症の独立したリスク因子であり、重度においては顕著なリスク増加を伴うと考えられる」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビューアルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

1932.

婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー

 既婚であることは、健康的な生活習慣と関連し、死亡率を低下させる。そして、ライフコースの因子によって認知症のリスクを低下させる可能性がある。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew Sommerlad氏らは、婚姻状況と認知症の発症リスクとの関連性について、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版2017年11月28日号の報告。 年齢および性別で調整した、婚姻状況と認知症との関連性を報告している当該研究について、医療データベースの検索と現場の専門家への連絡を行った。方法論の質を評価し、既婚と比較した、死別、離婚、終生の独身の相対リスクを集約するため、ランダム効果メタ解析を行った。メタ回帰を伴う2次層別解析では、臨床的および社会的状況や所見における研究方法論の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・15の研究より、81万2,047例を抽出した。・既婚者と比較し、終生の独身者(相対リスク:1.42、95%CI:1.07~1.90)および死別者(1.20、95%CI:1.02~1.41)では、認知症のリスクが高かった。・離婚者においては、関連が認められなかった。・さらなる分析では、教育の不足は、死別者におけるリスクを部分的に交絡させ、終生の独身者における身体的な健康を悪化させるリスクを高めていた。・認知症診断を確定するために臨床記録を使用した研究と比較して、すべての対象者を臨床的に検査した研究では未婚者の認知症リスクが高かった。 著者らは「既婚であることは、死別者や終生の独身者よりも認知症のリスク低下と関連しており、死別者や終生の独身者は通常の臨床現場において十分に診断されていない。未婚者における認知症予防は、教育と身体的健康に重点を置くべきであり、社会的な関与の影響が修正可能なリスク因子であると考えるべきである」としている。■関連記事認知症になりにくい性格は認知症にならず長生きするためになぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか

1933.

fremanezumabとerenumabは片頭痛の予防治療に有効(中川原譲二氏)-789

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)受容体を阻害するヒトモノクローナル抗体であるfremanezumabとerenumabは、ともに片頭痛の予防治療薬として研究されているが、両薬剤の第III相試験でその有効性が相次いで報告された。1)慢性片頭痛の予防治療としてのfremanezumab第III相試験fremanezumabを3ヵ月に1回、または毎月投与で有効性を検討 米国・トーマス・ジェファーソン大学のStephen D.Silberstein氏らの研究グループは、2016年3月~2017年1月の間、132施設において、慢性片頭痛患者(持続時間や重症度にかかわらず頭痛が月に15日以上あり、そのうち片頭痛が8日以上ある患者)1,130例を対象として、無作為に以下の3群に割り付けた。(1)fremanezumabを3ヵ月に1回投与(ベースライン時675mg、4、8週時はプラセボを投与、376例:3ヵ月ごと投与群)、(2)毎月投与(ベースライン675mg、4、8週時は225mg投与、379例:月1回投与群)、(3)プラセボ投与(375例)。薬剤、プラセボをそれぞれ皮下注した。 主要エンドポイントは、初回投与後12週時点における月平均頭痛日数のベースラインからの平均変化値とした。評価対象とした頭痛の定義は、連続4時間以上持続しピーク時重症度が中等度以上であった頭痛、または持続時間や重症度にかかわらず急性片頭痛薬(トリプタン系薬やエルゴタミン製剤)を使用した頭痛で、それらを呈した日数をカウントした。月平均頭痛日数が、fremanezumab群の2用量群とも約4割で半減 ベースライン時の被験者の月平均頭痛日数は、3ヵ月ごと投与群が13.2日、月1回投与群が12.8日、プラセボ群が13.3日だった。月平均頭痛日数の最小二乗平均値の減少幅は、3ヵ月ごと投与群4.3±0.3日、月1回投与群4.6±0.3日に対し、プラセボ群は2.5±0.3日であった(いずれもプラセボ群に対してp<0.001)。月平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、3ヵ月ごと投与群38%、月1回投与群41%に対し、プラセボ群は18%であった(いずれもプラセボ群に対してp<0.001)。試験薬に関連したものと考えられる肝機能異常は、実薬群でそれぞれ5例(1%)、プラセボ群で3例(<1%)と報告された。 本研究では、慢性片頭痛の予防薬としてのfremanezumabは、この12週試験において、プラセボよりも頭痛の頻度が低かった。副作用としては、薬物に対する注射部位の反応がよくみられ、長期の効果持続性と安全性については、さらなる研究が求められるとした。2)反復性片頭痛に対するerenumab第III相STRIVE試験約1,000例で、erenumab 70mgまたは140mgの有効性と安全性を検討 STRIVE(Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Erenumab in Migraine Prevention)試験では、2015年7月~2016年9月5日の期間に、121施設において、18~65歳の反復性片頭痛患者955例を対象として、erenumab 70mg、140mgまたはプラセボの3群に無作為に割り付け(それぞれ317例、319例、319例)、いずれも月1回皮下投与を6ヵ月間行った。 主要エンドポイントは、片頭痛を認めた日数(月平均)のベースラインから投与4~6ヵ月の変化。副次エンドポイントは、片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合、急性期片頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの変化、身体機能スコア(Migraine Physical Function Impact Diary[MPFID:0~100点、スコアが高いほど片頭痛が身体機能に与える影響が大きい])における機能障害・日常生活領域のスコアの変化などであった。70mgおよび140mgともに片頭痛の頻度が有意に減少 片頭痛月平均日数は、ベースライン時は全集団において8.3日であったが、投与4~6ヵ月時は、erenumab 70mg群で3.2日減少、同140mg群で3.7日減少したのに対し、プラセボ群では1.8日の減少であった(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)。片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合は、70mg群43.3%、140mg群50.0%に対し、プラセボ群は26.6%(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)、また、急性期片頭痛治療薬の使用日数の変化量はそれぞれ1.1日減少、1.6日減少に対し、0.2日減少であった(同p<0.001)。機能障害スコアは、70mg群4.2点、140mg群4.8点の改善であったのに対して、プラセボ群は2.4点の改善であった。同様に日常生活スコアもそれぞれ5.5点、5.9点、および3.3点の改善であった(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)。有害事象の発現率は、erenumab群とプラセボ群で同程度であった。 本研究では、erenumab 70mgまたは140mgの月1回皮下投与は、反復性片頭痛患者において、6ヵ月以上、片頭痛の頻度、片頭痛の日常生活への影響および急性片頭痛治療薬の使用を有意に減少させた。erenumabの長期的な安全性と効果の持続性に関しては、さらなる研究が必要であるとした。片頭痛のCGRP誘発機序と新たな先制予防治療薬の登場 片頭痛患者では、三叉神経末端が刺激され、そこからカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が分泌されて血管拡張を誘発し、急性片頭痛が起こるとされる(CGRP誘発機序)。このため片頭痛の発症予防治療薬として、CGRP受容体の拮抗薬が有効ではないかとする研究が行われてきた。今回報告された慢性の反復性片頭痛患者を対象としたCGRP受容体を阻害するヒトモノクローナル抗体であるfremanezumabまたはerenumabの第III相臨床試験の結果は、片頭痛のCGRP誘発機序の妥当性とCGRP受容体の拮抗薬の発症予防における有効性を証明するものであり、両薬剤は片頭痛に対する先制予防医療の突破口を開く治療薬として注目される。

1934.

アルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究

 フィンランド・東フィンランド大学のLaura Saarelainen氏らは、アルツハイマー病の全国コホートにおいて、新たなベンゾジアゼピンおよび関連薬剤(BZDR)の使用に伴う死亡リスクを調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年11月15日号の報告。 2005~11年にアルツハイマー病と診断されたすべてのフィンランド住民7万718例を含むレジスタベースのMEDALZコホートを用いた。アルツハイマーの臨床的診断は、特別償還記録(Special Reimbursement Register)より得た。薬剤使用期間は、処方記録(Prescription Register)より由来したBZDR購入からモデル化された。新規BZDR使用者を調査するため、アルツハイマー病診断の前年にBZDRを使用した患者は除外した。BZDR使用を開始した使用患者群(1万380例)について、年齢、性別、アルツハイマー病診断までの期間をマッチさせた各人2人の未使用患者群(2万760例)を選出した。多変量解析では、チャールソン併存疾患指数、社会的地位、股関節骨折、精神障害、薬物乱用、脳卒中、他の向精神薬使用で調整した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に、未使用患者群と比較し、使用患者群は100人年当たり5人の超過死亡がみられた。死亡率は、使用患者群13.4%(95%CI:12.2~14.5)、未使用患者群8.5%(95%CI:7.9~9.1)であった。・BZDRの使用は、死亡リスク増加と関連しており(調整ハザード比:1.4、95%CI:1.2~1.6)、その関連は使用開始から有意であった。・ベンゾジアゼピン使用は死亡リスクの増加と関連が認められたが、ベンゾジアゼピン関連薬剤の使用はそうではなかった。 著者らは「ベンゾジアゼピンおよび関連薬剤の使用は、アルツハイマー病患者の死亡リスク増加と関連が認められた。本結果より、アルツハイマー病の対症療法の第1選択治療は、治療ガイドラインで推奨される非薬理学的アプローチであることを支持する」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要かベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

1935.

治療抵抗性焦点性てんかんに対する第3世代抗てんかん薬補助療法の間接比較

 第3世代の新規抗てんかん薬として、eslicarbazepine、ラコサミド、ペランパネル、brivaracetamが、最近販売されている。中国・四川大学のZhu Li-Na氏らは、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性、忍容性を間接的に比較するためメタ解析を行った。Epilepsy research誌オンライン版2017年11月26日号の報告。 抗てんかん薬用量範囲にわたる治療効果を調査したすべての利用可能なプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を、Pubmed、Embase、Cochrane Online Library、Clinicaltrial.govのデータベースより検索を行った。続いて、Indirect Treatment Comparison ソフトウェアを用いて、新規抗てんかん薬間の有効性、忍容性の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・19件のRCTより7,245例の患者が抽出された。・用量にかかわらず第3世代抗てんかん薬間で、50%治療反応率および発作の無い割合のリスク差に有意な差は認められなかった。・治療中に発現した有害事象リスクは、すべての用量において、brivaracetamと比較し、eslicarbazepineおよびペランパネルで有意に高かった。・有害事象による治療中止率は、brivaracetamと比較し、ラコサミドおよびペランパネルの高用量治療を行った患者において有意に高かった。eslicarbazepineまたはラコサミドによる治療は、すべての用量を組み合わせたbrivaracetamよりも高い中止率と関連が認められた。 著者らは「本分析では、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性に有意な差は認められなかった。brivaracetamは、最も優れた忍容性を有する可能性がある。他の第3世代抗てんかん薬は、とくに高用量で投与した際、許容しがたい有害事象を高リスクで伴う。これらの間接的な比較結果は、さらなる検証が必要であり、今後よく設計された試験において検証するべきである」としている。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化難治性てんかん重積状態への有用な対処法てんかん重積状態に対するアプローチは

1936.

米国における認知症者のホスピスケアに関するコホート研究

 ホスピスケアを利用する認知症者の割合が増加している。しかし、認知症者をケアしているホスピスのタイプやホスピスの使用パターン、また認知症の有無にかかわらず、ホスピスを退所するタイミングについては、よくわかっていない。米国・マウントサイナイ医科大学のAline De Vleminck氏らは、認知症者をケアしているホスピスの特徴、認知症の有無によるホスピスの退所パターン比較、ホスピスの退所に関連する認知症者およびホスピスレベルの特徴を評価するため、検討を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2017年11月16日号の報告。 National Hospice Surveyのホスピス全国ランダム化サンプル(577件)に新規登録されたメディケア受給者(14万9,814人)の縦断コホート研究(2008~11年)のデータを用い、死亡まで追跡調査を行った(レスポンス率:84%)。 主な結果は以下のとおり。・認知症の一次診断を受けた人は7,328例(4.9%)であった。・認知症者をケアしているホスピスは、有償、大規模、5年以上のケアサービス提供、養護老人ホーム入所者の大部分(30%超)にサービス提供している可能性が高かった。・認知症者は、非認知症者と比較し、急性期病棟入院または救急受診によるホスピスの退所が少なく、長期入所後(165日以上)にホスピスを退所する可能性が高かった。・認知症の有無にかかわらず、短期入所後(165日未満)の退所に有意な差は認められなかった。・多変量解析では、小規模なホスピスや養護老人ホームの一部の入所者にサービスを提供しているホスピスの入所者では、165日後に退所する可能性が高かった。 著者らは「認知症者は、非認知症者と比較し、長期入所後にホスピスから退所する可能性が高かった。ホスピスケアを希望する認知症者が増加するにつれ、終末期に認知症者に対する質の高い緩和ケアを提供するための潜在的な障壁に対処することが重要である」としている。■関連記事認知症発症と関連する5つの精神症状どのくらい前から認知症発症は予測可能か認知症にならず長生きするために

1937.

学歴はアルツハイマー病リスクと関連/BMJ

 従来の観察研究では、教育歴はアルツハイマー病のリスクと関連することが示されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C Larsson氏らは、今回、修正可能なリスク因子の代替指標として遺伝学的変量を用いたメンデル無作為化試験を行い、学歴が高いとアルツハイマー病のリスクが低いことを明らかにした。研究の成果はBMJ誌2017年12月6日号に掲載された。アルツハイマー病との関連が示唆される修正可能なリスク因子のデータは、主に観察研究によるものであるため、交絡への脆弱性や逆因果バイアスの可能性があり、より頑健なエビデンスが求められている。アルツハイマー病とリスク因子の関連を検証する無作為化試験 研究グループは、社会経済的、生活習慣/食事、循環代謝、炎症に関する修正可能なリスク因子と、アルツハイマー病の関連を検証するメンデル無作為化試験を行った(欧州連合のホライズン2020などの助成による)。 解析には、4つのゲノムワイド関連研究のデータセット(ADGC、CHARGE、EADI、GERAD)から収集した欧州人家系のアルツハイマー病患者1万7,008例と対照3万7,154例からなるデータと24の修正可能なリスク因子が含まれた。Bonferroni法による閾値p=0.002を「有意差あり」とし、p<0.05の場合は「関連の可能性を示唆するエビデンス」と判定した。学歴が高いとアルツハイマー病のリスクが低減 学歴(終了した教育の期間、大学卒業)はアルツハイマー病と有意に関連することが、遺伝学的に予測された。教育年数のオッズ比(OR)は0.89(95%信頼区間[CI]:0.84~0.93、p=2.4×10-6)、大学卒業(college/university)のORは0.74(95%CI:0.63~0.86、p=8.0×10-5)であり、それぞれアルツハイマー病のリスクが11%、26%低減した。 知性(intelligence)が1標準偏差(SD)高い場合のORは0.73(95%CI:0.57~0.93、p=0.01)であり、知性が高いとアルツハイマー病のリスクが低い可能性を示唆するエビデンスが得られた。 また、喫煙量(1日喫煙本数10本増のOR:0.69、95%CI:0.49~0.99、p=0.04)および25-ヒドロキシビタミンD濃度(血中濃度20%高のOR:0.92、95%CI:0.85~0.98、p=0.01)はアルツハイマー病のリスクが低い可能性が示唆され、コーヒー飲用(1日1杯増のOR:1.26、95%CI:1.05~1.51、p=0.01)はアルツハイマー病のリスクが高い可能性が示唆されるエビデンスが得られた。 アルコール摂取、血清葉酸、血清ビタミンB12、ホモシステイン、循環代謝因子(血糖、インスリン、血圧、脂質など)、C反応性蛋白には、アルツハイマー病との関連は認められなかった。 著者は、「これらのメンデル無作為化による解析結果は、高い学歴はアルツハイマー病のリスクが低いことと関連するとの従来のエビデンスを支持するものである。喫煙とコーヒーは従来の解析とは逆の結果であった」とし、「これらの関連の基盤となる経路を理解するために、さらなる検討を要する」と指摘している。

1938.

認知症リスクとBMIとの関連

 中年期の高BMIは、認知症リスクを高めることが示唆されているが、認知症発症前の体重減少が、このような影響を隠している可能性がある。英国・ロンドン大学(UCL)のMika Kivimaki氏らは、BMIと認知症との関連について検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年11月20日号の報告。 39件のコホート研究より抽出された、認知症でない対象者134万9,857例で検討を行った。ベースライン時にBMIを評価した。フォローアップ時の認知症発症は、電子健康記録を用いて確認した(6,894例)。認知症発症の数十年前にBMIを評価した場合、BMIはほとんど影響を受けず、より認知症発症に近い時点の診断でBMIを評価した場合、多くの影響を受けると仮定した。 主な結果は以下のとおり。・認知症診断に対するBMIの5kg/m2増加あたりのハザード比は、10年前で0.71(95%CI:0.66~0.77)、10~20年前で0.94(95%CI:0.89~0.99)、20年超前で1.16(95%CI:1.05~1.27)であった。 著者らは「BMIと認知症との関連は、2つのプロセスに起因する可能性が高い。1つは、長期フォローアップで観察される高BMIの有害作用である。もう1つは、短期フォローアップ時に、高BMIを保護的に見せる因果の逆転効果である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症発症と関連する5つの精神症状どのくらい前から認知症発症は予測可能か

1939.

スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。 本研究は、プラバスタチンの脳卒中再発予防効果を検討する多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験であるJ-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke、主任研究者:松本 昌泰氏)研究のサブスタディ(J-STARS Echo)である。登録された864例のうち、ベースライン時に超音波検査がなかった71例を除外し、プラバスタチン(10mg/日)を投与する群(プラバスタチン群)に388例、スタチンを投与しない群(コントロール群)に405例を無作為に割り付けた。主要アウトカムは5年間の観察期間における総頸動脈IMTの変化で、反復測定のための混合効果モデル(mixed-effects models for repeated measures)を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの特性は、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(中央値、0[四分位範囲:0~2]vs.1[同:0~2]、p=0.019)を除いて、2群間に有意な差異はなかった。・ベースラインIMT(平均±SD)は、プラバスタチン群では0.887±0.155mmであり、コントロール群では0.887±0.152mmであった(p=0.99)。・プラバスタチン群での5年時のIMTの年次変化は、コントロール群と比較し有意に減少した(0.021±0.116 vs.0.040±0.118mm、p=0.010)。4年目までは有意な差はみられなかった。

1940.

てんかんとADHD合併の小児および青年における薬物療法の課題

 てんかんの小児および青年における罹病率は、3.2~5.5/1,000である。また、てんかん患者の約1/3は、ADHD症状を合併している。てんかんとADHDとの関連は、よくわかっていないが、不注意、多動、行動障害などのADHD症状は、しばしば抗てんかん薬の有害作用であると考えられる。イタリア・University of L'AquilaのAlberto Verrotti氏らは、行動に対する抗てんかん薬の影響に関するデータを検索した。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の誘発が最も報告されている薬剤は、フェノバルビタールであった。次いで、トピラマート、バルプロ酸であった。・フェニトインは、中程度の影響が認められるようだが、レベチラセタムは、対照的なデータが存在した。・ラコサミドは、行動に対し有益な影響をもたらし、カルバマゼピンおよびラモトリギンは、注意および行動に対し良好な影響を発揮する。・ガバペンチンおよびビガバトリンは、認知機能に対し有害作用を有する。・オクスカルバゼピン、ルフィナミド、eslicarbazepineは、ADHD症状の悪化や誘発が認められないようであるが、ペランパネルは、敵対的/攻撃的行動を高率でもたらす(これは高用量で増加する可能性がある)。・エトスクシミド、ゾニサミド、tiagabine、プレガバリン、スチリペントール、retigabineの行動への影響に関するデータは、まだ限られている。・ADHD症状は、てんかん患者のQOLに著しい影響を及ぼすため、この神経精神医学的な障害に対する臨床的管理は優先事項として取り扱うべきである。・データはまだ少数で、限られているものの、メチルフェニデートは、ADHD症状とてんかんを合併している小児や青年において、多くの場合、発作リスクを有意に増加させることなく有効である。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

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