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治療が変わる!希少疾病・難病特集 ~血友病~

かつて第VIII因子(FVIII)製剤投与が中心だった血友病治療だが、FVIII製剤には「短い半減期」、あるいは「インヒビターの出現」という問題の存在が明らかとなった。そのため、半減期を延長したFVIII製剤(アディノベイト)が登場すると同時に、FVIII補充ではなく、別機序でFVIII活性を補う、抗活性型第IX因子(FIXa)/第X因子(FX)バイスペシフィック抗体のエミシツマブ(ヘムライブラ)が開発され、今日、世界で頻用されている。これに続く新薬として現在、以下のように、単鎖干渉(si)RNA核酸医薬と抗TFPI抗体、遺伝子治療薬の3種類の開発が進んでいる。siRNA核酸医薬としては、肝臓におけるアンチトロンビンを標的とするフィツシラン(fitusiran)が、唯一、臨床応用に向けて開発が進んでいる。第II相試験における脳静脈洞血栓症による死亡1例を受け、2017年9月に試験中止となるも同年12月の再開を経て、現在は "ATLASプログラム"という複数の第III相試験が進んでおり、2021年上半期には終了予定だという [Sanofi Press Relase 2020 June 19 ] 。抗TFPI抗体は、アンチトロ ンビンと並ぶ主要な抗凝固因子であるTFPI(組織因子経路インヒビター)の阻害を介して止血を改善する。コンシズマブ(concizmab)が先頭を切って第III相試験に入ったが、2020年3月には3例で非致死性血栓塞栓症が報告されたため試験は中止。同年8月には再開されたものの、終了予定時期は明らかにされていない [Novo Nordisk Press Release 2020 Aug. 13] 。あとを追っていたBAY1093884は、第II相試験が血栓症増加のため中止となり [THSNA2020抄録]、2019年9月に安全性を理由とした開発中止が発表された [2019 Bayer Annual Report] 。一方、マルスタシマブ(marstacimab [PF-06741086])は第II相試験で血栓症を含む重篤有害事象が観察されなかったため、2020年11月、第III相試験が開始された。終了予定時期は不明である [Pfizer Press Rleasae 2020 Nov 23]。遺伝子治療の研究も進んでおり、血友病の原因である「血液凝固因子の異常」そのものへの介入を試みられている。 Fidanacogene elaparvovec(PF-06838435)は、血友病B患者に対する第IX因子遺伝子導入薬であり、2018年7月に第III相試験が始まっている [Pfizer Press Release 2018 Jul 16] 。血友病Aに対しては、第VIII因子遺伝子を導入するvaloctocogene roxaparvovec(BMN 270)が今年に入り、第III相試験の予備解析による有意な有用性を報告した [BioMarin Press Release 2021 Jan 10] 。追いかける形となったSPK-8011もすでに予備的第III相試験が走っており、2021年中には本格的な第III相試験が始まる予定である [Spark Therapeutics Press Release 2020 Jul 12] 。

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治療が変わる!希少疾病・難病特集 ~潰瘍性大腸炎~

潰瘍性大腸炎の治療は従来、5-ASA製剤と免疫抑制剤に不応であれば、TNFα抗体が用いられてきた。しかしTNFα抗体不応例も少なくないため、現在、TNF-α以外の経路に介入して炎症を抑制すべく、以下のような薬剤の開発が進められている。まず注射剤としては、IL-23p19モノクローム抗体のリサンキズマブである。中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象に、維持療法としての有用性を検討する第III相試験が、2013年末の終了を目指してわが国で進行中である [参考] 。同じくIL-23阻害剤のグセルクマブも、同様の第IIb/III相試験が国内で走っており、'24年夏の終了を見込んでいる。同様にミリキズマブでも第III相試験が進んでいるが、終了予定時期不明である[参考]。一方、IL-36モノクローム抗体のSpesolimabは、中等症以上の活動性潰瘍性大腸炎を対象とした第II/III相試験が2020年3月に終了している [NCT03482635]。新規免疫抑制剤の開発も進んでいる。TLR9アゴニストであるコビトリモド(cobitolimod)は治療抵抗性左側潰瘍性大腸炎を対象とした第IIb相試験で、プラセボに比べ、臨床的寛解が有意に多かった [Lancet GH 2020; 5: 1063]。経口薬では、JAK阻害薬と抗α4β7インテグリン抗体製剤が先頭を走っている。まずJAK阻害薬のウパダシチニブは、中等症以上例を対象とした第III相試験において、プラセボを上回る臨床的寛解が得られた [Abbvi Press Release 2020 Dec. 24] 。フィルゴチニブも現在、第III相試験が進んでいる[Gilead Press Release 2020 May 20]。一方抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブは、中等症以上の活動期潰瘍性大腸炎患者において、アダリアマブを上回る臨床的寛解率がすでに報告されている [NEJM 2019; 381:1215] 。なお、ベドリズマブと異なり、経口投与が可能なカロテグラストメチル(AJM300)は本年1月、第III相試験においてプラセボを上回る臨床的寛解率を達成したと公表された [Kissei Press Release 2021 Jan 13]。消化管へのリンパ球動員抑制を介した抗炎症作用が期待されるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P1)受容体1、5アゴニストは、オザニモド(RPC1063)による寛解率がプラセボを上回り [NEJM 2016; 374: 1754]、寛解例を延長介入した試験も昨年10月に終了したが、本年になり長期間の寛解維持作用が報告された [Sandborn WJ et al. J Crohns Colitis. 2021 Jan 13]。またIL-12や23情報系を下流でブロックするチロシンキナーゼ 2(TYK2)の阻害剤は現在、BMS-986165を用いた第II相試験が始まっており、2023年夏に終了予定である [NCT03934216] 。また、すでに注腸製剤として潰瘍性大腸炎に用いられているブデソニドは、経口投与による有用性も検討されており、メサラジンに対する非劣性を調べたわが国における第III相試験が、2020年5月に終了している [NCT03412682] 。

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治療が変わる!希少疾病・難病特集 ~パーキンソン病~

今日でも、パーキンソン病治療に対する薬物治療のメインは「ドパミン受容体の活性化」による運動症状の改善である。そのため基本的にドパミン前駆物質(レポドパ製剤)や直接的ドパミン受容体刺激薬、あるいはドパミン分解阻害薬が用いられてきた。これまでドパミン分解酵素であるMAO-Bの阻害薬としてはセレギリンとラサギリンが用いられてきたが、2019年11月、サフィナミド(エクフィナ)が新たに用いうるようになった。サフィナミドの特徴は、「脳内グルタミン酸放出抑制作用」という非ドパミン作用をあわせ持つ点である。このため、レポドパ製剤への併用により"wearing off" 現象の抑制が期待されている。一方、レポドパ製剤の代謝酵素であるCOMTを阻害する薬剤としては、2020年8月、オピカポン(オンジェンティス)が加わった。COMT阻害薬初の長時間作用型であり、1日1回服用を可能にした。ドパミンアゴニストとしては2種の新薬が登場した。一つは非麦角系ドパミンアゴニストである "KDT-3594" である。D 2 /D 3 受容体刺激のバランスを調節し、有効性を損なわず有害事象減少を目指していると思われる [参考] 。現在、第II相試験が走っている [KISSEI’s Company Profile 2020 Feb.] 。もう一つの新たなドパミンアゴニストは、ロピニロールの貼付剤ハルロピである。これまで唯一の貼付剤だったニュープロパッチよりも、作用時間が長い。一方、レポドパ製剤による"wearing off" 現象そのものの抑制を目的とする薬剤の開発も進んでいる。"PF-05251749"はその一つで、レポドパ製剤への併用により、中枢神経系透過性低分子カゼインキナーゼ1(CK1)阻害を介した、概日リズムの維持を目指す。すでに第Ia相試験は、2020年に終了している [Biogen Press Release] 。これら薬剤を用いた介入に加え近年、遺伝子導入による運動症状の改善を目指す試みも進んでいる。2011年3月には、2型アデノ随伴ウイルス(AVV -2)用いた、GAD(GABA合成酵素)の視床下核移植による運動症状改善が、ランダム化二重盲検試験の結果として報告された [Lancet Nerol 2021; 10: 309] 。また2019年には第 I 相試験だが、AADCコードDNAをAVV-2ベクターを用いて被殻に移植した結果、運動機能とQOLの改善が報告されている [Ann Neurol 2019; 85: 704] 。これら遺伝治療には安全性の懸念がつきまとうが、2014年に短期有用性が報告された [Lancet 2014, 383: 1138]、3種のドパミン合成酵素をコードしたProSavinベクター線条体移植は、4年間継続後も安全性と有効性が確認されている [Hum Gene Ther Clin Dev. 2018; 29: 148] 。なお、パーキンソン病に伴う日中の過度の眠気に対しては、モダフィニルとフレカイニド(抗不整脈薬)の配合剤である"THN102"、ヒスタミン3受容体拮抗剤 "Bavisant" を用いた第II相試験がそれぞれ[NCT03624920、NCT03194217]、すでに終了している。これ以外にも、運動症状以外のパーキンソン病随伴症状をターゲットとした創薬は進められている。

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一般住民におけるTIA患者の脳卒中長期リスクは依然として非常に高い(解説:内山真一郎氏)-1351

 本研究は、フラミンガム研究のコホートを用いて1万4,000例以上を1948年から2017年にわたって追跡したデータを解析した研究である。2000年から2017年におけるTIA患者における発症後90日以内の脳卒中リスクは、1948年から1985年と比べて有意に低下していたが、10年間の脳卒中リスクはTIAを起こしたことのない住民と比べて4倍以上高かった。本研究におけるTIA経験者の脳卒中発症率は高く、平均8.9年間の追跡期間中に30%のTIA患者が脳卒中を発症していた。 この発症率は、われわれが行った国際前向きコホート研究(TIAregistry.org)における5年間の脳卒中発症率9%よりはるかに高い(Amarenco P, et al. N Engl J Med. 2018;378:2182-2190.)。われわれの研究は脳卒中専門施設においてTIA発症直後から専門医がガイドラインを遵守して行った研究であったのに対し、本研究は一般住民のコホート研究なので、多くのTIA患者は専門施設にアクセスすることができず、専門医による2次予防管理を受けることができなかったことが、この差をもたらしたと考えられる。TIAはともすれば無視または軽視されたり、後回しにされたりしやすいが、本研究結果はTIAを正しく認識し、発症後早期から専門医の診療を受け、厳格な2次予防対策を講じることができるような啓発活動と医療体制の構築が必要なことを示している。

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【GET!ザ・トレンド】変わる多発性硬化症診療

多発性硬化症(MS)治療薬の開発が目覚ましい。2000年に再発抑制薬(疾患修飾薬:DMD)としてインターフェロンが登場し、病状・病態の進展抑制が注目されるようになった。その後もたくさんのDMDの開発が進み、近々B細胞除去薬の登場も期待されている。そこで神経内科以外の先生方が読まれることを念頭に、MS診断の要点と今後期待される治療について概説したい。診断のコツわが国におけるMS患者は増加の一途をたどっており、現在国内における推計患者数はおよそ1万8000人である。以前から発症リスクは女性の方が高いと言われてきたが、近年では男性1に対し女性3まで増えているという。若年成人,特に20~30代の発症が多く、つまり典型的な患者像は、「出産年齢の女性」となろう。MSを疑うべき症状は多様である。典型的な症状(障害部位)としては、視力障害(視神経)、複視(脳幹)、ふらつき(小脳)、手足の痺れや痛み、脱力(脳及び脊髄)などを挙げ得るが、排尿障害や認知機能障害も見逃したくない。初診時に注意深く聞き出したいのが、「神経症状の既往」である。数年前までさかのぼり、同様の症状がなかったか問診する。たとえ患者さんが「今回初めて」と言っても鵜呑みにはしない。また問診の結果、同じような症状はなかったことが明らかになった場合でも、他の神経症状の既往の有無を尋ねる。その際には、必ず具体的な症状を挙げながら問診するようにする。また「ウートフ現象」の有無も確認する。「ウートフ現象」とは、「体温上昇に伴う一過性の症状増悪」である。MS患者ではこの症候が認められることが多い。入浴後や外気温が高い時期の痺れや脱力、一過性の視力低下が多い。このような症状からMSを疑い、MRI撮像や髄液検査を行う。MSの分類MSは大別すると「再発寛解型」(増悪と寛解を繰り返す)と「1次性進行型」(はじめから症状は徐々に進行)、「2次性進行型」(後出)の3タイプに分けられる。うち、MS初期に分類されるのは「再発寛解型」と「1次性進行型」だが、日本では9割以上が「再発寛解型」である。なお「再発寛解型」の数割は「2次性進行型」(徐々に症状が増悪。ただし、途中、再発や進行が停止する時期があっても良い。)へ進展する。再発寛解型MSに対する治療には、現在6種類のDMD、すなわち、グラチラマー酢酸塩、インターフェロン(IFN)β-1b、IFNβ-1a、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド、ナタリズマブ、が使用可能である。また、最近、二次性進行型に対するDMD,シポニモドが承認された。これらの薬剤は併用することはないため、疾患活動性や患者のライフプラン等を考慮し、適切な薬剤を選択する必要がある。早期からの疾患活動性抑制が重要まず疾患活動性の高いMSでは、早期から再発抑制効果の高いDMD使用を考慮する。そのような例では、転帰が不良だからである [Leray E et al. Brain 2010; 133: 1900] 。早期治療開始の有用性を示すエビデンスとしては、EDSS 4.0に到達する期間が、診断1年以内にDMDを使用した群の方が、3年以上経過してから使用した群よりも有意に長かったとの報告がある[Kavaliunas et al., Mult Scler. 23: 1233-1240, 2017]。さらに、大規模な前向き観察研究において、早めにDMDを、特にグラチラマー酢酸塩やインターフェロンよりもより強力なフィンゴリモドやナタリズマブといったDMDを使用することで、その後の二次性進行型への移行を有意に抑えられたと報告されている[Brown et al., JAMA. 321: 175-187, 2019]。ただし有効性の高い薬剤は、有害事象リスクも高いことが多いので、症例ごとにリスク・ベネフィットをよく見極める必要がある。臨床所見だけで治療効果を評価しないさて再発寛解型に対するDMDの有効性評価には、臨床所見に加え、MRI所見も必須である。臨床上再発が抑制されているにもかかわらず、MRI上で病巣が増加・拡大している患者は決して珍しくない。そしてMS初期のMRI上病変増加や脳萎縮は、ボディーブローのようにMS患者の長期予後に悪影響を及ぼす。事実、MS初期のMRI上病変数は、約15年後の2次性進行型MSや身体障害のリスクであるとされる[Brownlee WJ et al. Brain. 2019; 142: 2276] 。したがってDMD使用下で臨床的な増悪を認めなくとも、半年に1回はMRIで評価すべきである。進行性多巣性白質脳症(PML)リスクのあるDMDを用いているならば、3~6カ月に1回が望ましい。加えて、患者の希望や疾患活動性がないとの判断によりDMDを使用しない患者においても、6カ月~1年に1回は必ずMRIで定期的に病巣を評価する。再発まで放置した結果、MRI上の病巣が著明に増加していたというケースも経験している。患者にMRI上の病巣を見せ、増加の可能性を説明し、目の前で次回MRIの予約を入れる。こうすれば薬剤処方の必要がない患者でも、次回来院の可能性は飛躍的に高くなる。なお、個人的には、認知機能の経時的評価も必要ではないかと考えている。タブレットを用いた簡便な検査方法が開発されているので、余裕があれば評価していただきたい。新しい治療薬「B細胞をターゲットとした治療薬」の可能性海外では現在、B細胞除去薬であるオクレリズマブが広く用いられている。しかし、わが国に導入の予定はない。同じくB細胞除去薬であるリツキシマブも、スウェーデンでは適用外使用だがMSに汎用されており、その有用性が報告されている[Granqvist M et al. JAMA Neurol. 2018; 75: 320] 。わが国では、現在、慢性リンパ性白血病に用いられているB細胞除去薬オファツムマブが、近々使用可能になると言われている。MS例におけるオクレリズマブの再発抑制作用はナタリズマブと差がないと報告されており[Lucchetta RC et al. CNS Drugs. 2018; 32: 813] 、同じB細胞除去薬であるオファツムマブの効果にも注目したい。ただしオクレリズマブ同様、オファツムマブも感染症リスクへの注意は必要であろう。なお、ナタリズマブは近時、投与間隔を標準的な4週間よりも長くとる "Extended Infusion Dosing" (EID)を用いると、PMLリスクが低減すると報告されており[Ryerson LZ et al. Neurology. 2019; 93: e1452]、抗JCウイルス抗体陽性患者へのナタリズマブ投与の際には、検討の価値はあると思われる。後遺症への薬剤も開発中現在、MSを完治し得る薬剤は、開発の糸口さえ見つかっていない。そのため上記のようにDMDの開発が盛んだが、それに加え、後遺症軽減を目指した薬剤の開発も進んでいる。その一つが、MSで障害された神経再生を介して後遺症の軽減を目指す薬剤である。先行していたLINGO-1(神経再生阻害因子)阻害剤であるオピシヌマブ(opicinumab)は、残念ながら、第二相試験で神経修復作用にプラセボと有意差を認めなかったが [Cadavid D et al. Lancet Neurol. 2017; 16: 189] 、LINGO-1以外に介入する神経再生薬の開発も進んでおり、今後の成果を待ちたい。最後にMSはすぐに生死に直結する疾患ではない。しかしながら若年発症が多いこともあり、患者さんの人生にとってはかなりの重荷である。したがって、診断・治療に難渋、あるいは迷った場合は、いたずらに経過観察することなく、遠慮せず専門医に相談、紹介していただければ幸いである。

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TIA発症後90日脳卒中リスク、時代とともに低下傾向/JAMA

 米国における1948~2017年の一過性脳虚血発作(TIA)の推定罹患率は1.19/1,000人年であり、脳卒中リスクは、TIA罹患者がTIA非発症者との比較において有意に高かった。一方でTIA後90日の脳卒中リスクは時代とともに低下しており、2000~17年では1948~85年に比べ有意に低下していた。TIAとその後の脳卒中リスクとの関連を正確に推定することは予防への取り組みを改善し、脳卒中の負荷を限定的なものとすることに役立つとして、米国・ハーバード大学医学大学院のVasileios-Arsenios Lioutas氏らが、フラミンガム心臓研究の参加者約1万4,000例のデータを解析し明らかにした。JAMA誌2021年1月26日号掲載の報告。TIA初発群と非発生対照群の脳卒中リスクを検証 研究グループは、住民ベースのTIA罹患率とTIA後の長期にわたる脳卒中リスクの傾向を明らかにするため、フラミンガム心臓研究の参加者データを解析評価した。 参加者のうち、ベースラインでTIAや脳卒中の既往がない1万4,059例のデータを、1948年~2017年12月31日まで前向きに追跡。TIA初発群と、年齢・性別で1対5の割合で適合したTIA非発生群を比較検証した。 主なアウトカムは、TIA罹患率、TIA後の短期(7日、30日、90日)・長期(1~10年超)の脳卒中発生割合、TIA後の脳卒中発生vs.適合対照群の脳卒中発生、3期間(1948~85年、1986~99年、2000~17年)を比べたTIA後90日時点の脳卒中リスクの時間的傾向だった。TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年 1万4,059例を対象とした66年(36万6,209人年)の追跡において、TIAを呈したのは435例だった。うち女性は229例(平均年齢73.47[SD 11.48]歳)、男性は206例(70.10[10.64]歳)。TIA非発生の適合対照群として2,175例を特定し比較検証した。 TIAの推定罹患率は1.19/1,000人年だった。TIA後の中央値8.86年の追跡期間中、130例(29.5%)の脳卒中が報告された。そのうちTIA後7日以内の発生は28件(21.5%)、30日以内は40件(30.8%)、90日以内は51件(39.2%)、1年以上は63件(48.5%)で、TIA後の脳卒中発生までの期間中央値は1.64年(四分位範囲:0.07~6.6)だった。 年齢・性別で補正後の脳卒中10年累積発生率は、TIA初発群は0.46(95%信頼区間[CI]:0.39~0.55、130件/435例)、適合対照群は0.09(0.08~0.11、165件/2,175例)で、完全補正後ハザード比(HR)は4.37(95%CI:3.30~5.71、p<0.001)だった。 1948~85年のTIA後90日脳卒中発生率は16.7%(26件/155例)、1986~99年の同発生率は11.1%(18件/162例)、2000~17年の同発生率は5.9%(7件/118例)だった。第1期(1948~85年)と比較した脳卒中発生の90日リスクに関するHRは、第2期(1986~99年)は0.60(95%CI:0.33~1.12)、第3期(2000~17年)は0.32(95%CI:0.14~0.75)で、時代とともに低下している傾向が認められた(傾向に関するp=0.005)。

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経頭蓋MRガイド下集束超音波視床下核破壊術のパーキンソン病運動症状改善に対する新たなエビデンス(解説:森本悟氏)-1350

 本邦において、2000年に視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS)がパーキンソン病症状に対して保険適用となり、薬物療法による症状のコントロールが難しいパーキンソン病患者に対しても、重要な治療選択肢の一つとなっている。ただし、パーキンソン病に対する脳神経外科手術療法の適応に関しては、現在厚生労働省から以下のような基準が定められている。L-dopa製剤による治療効果がある、薬物調整が困難な症状(日内変動やジスキネジア含む)がある、重度の精神症状や認知機能障害がない、全身麻酔等手術に耐えられる全身状態、など。また、脳内に刺激電極装置を埋め込む治療であり、手術による合併症も懸念される。したがって、運動症状が薬物療法でコントロール不良、あるいはDBSが適応とならない患者群において、新たな治療法が望まれている。 そんな中、2016年、2017年に振戦症状に対する集束超音波視床破壊術の有効性が報告され(Elias WJ, et al. N Engl J Med. 2016;375:730-739.、Bond AE, et al. JAMA Neurol. 2017;74:1412-1418.)、2018年にはパーキンソン病の運動症状に対する集束超音波視床下核/淡蒼球破壊術の有効性が示唆された(Martinez-Fernandez R, et al. Lancet Neurol. 2018;17:54-63.、Jung NY, et al. J Neurosurg. 2018;1-9.)。したがって、超音波を用いた比較的侵襲性の少ない本法は、パーキンソン病患者のアンメット・メディカル・ニーズを満たすことができる治療法として期待される。 今回Martinez-Fernandez氏らは、パーキンソン病の運動症状に対して集束超音波視床下核破壊術が有効か否かを検証するために、多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験を実施した。結果として、優位側の運動症状を評価するMDS-UPDRS III scoreの平均は、4ヵ月の時点において実治療群ではベースラインの19.9から9.9ポイントに低下、対照群では18.7から17.1ポイントに低下、群間差は8.1ポイントであった。 DBSによる治療では、抗パーキンソン病薬非服用下の術前と術後6~12ヵ月の刺激により、運動症状(UPDRS III score)が38~66%程度の改善が認められていることを鑑み(大島秀規ほか. 日大医誌. 2014;73:100-102.)、今回の報告において実治療群で約50%のスコア改善が得られた(4ヵ月間観察)という事実は、期待のもてる結果といえる。 有害事象については、顔面四肢の脱力や構音障害、歩行障害、およびジスキネジア等が認められ、中等度以上の有害事象も少なくはないため、治療法選択時のリスクに対する十分な説明が必要である。また、リクルートされた患者背景として、運動症状を表すMDS-UPDRS III scoreはほぼ同等となっているが、実治療群で罹病期間が短いこと(5.6±2.5年/実治療群、7.3±3.8年/対照群)、レボドパ換算投与量が少ないこと(729.7±328.3mg/実治療群、881.7±407.9mg/対照群)、が治療反応性に影響を与えている可能性には留意する必要がある。

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日本人高齢者の趣味の種類や数と認知症リスクとの関係

 認知症予防は、超高齢化社会を迎える現代社会において重要な問題である。これまでの研究では、趣味(とくにガーデニング、旅行、スポーツ)を有する高齢者では、認知症リスクが低いことが示唆されている。しかし、趣味の種類や数の違いが認知症予防に影響を及ぼすかは、よくわかっていない。千葉大学のLing Ling氏らは、趣味の種類および数と認知症発症との関連を調査した。日本公衆衛生雑誌2020年号の報告。 2010~16年に日本老年学的評価研究(JAGES)が実施したプロスペクティブコホート研究より、年齢、性別が明らかな65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者5万6,624人を調査した。趣味に関連する質問に回答した患者のうち、365日以上フォローアップできた4万9,705人について分析を行った。主要アウトカムは、認知症の発症とした。認知症の発症は、厚生労働省の推奨する全国的に標準化された認知症スケールにより評価した。説明変数は、実践者の割合が5%以上の趣味の種類(男性:14種類、女性:11種類)およびその数(0~5種類以上)とした。共変量は、基本属性、疾患、健康行動、社会的サポート、心理・認知機能、日常生活動作とした。合計22の変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、4,758人(9.6%)であった。・認知症発症リスクの低下と関連していた趣味は以下のとおりであった。【男女とも】●グラウンドゴルフ(HR:0.80[男性]、HR:0.80[女性])●旅行(HR:0.80[男性]、HR:0.76[女性])【男性のみ】●ゴルフ(HR:0.61)●パソコン(HR:0.65)●釣り(HR:0.81)●写真(HR:0.83)【女性のみ】●手工芸(HR:0.73)●ガーデニング(HR:0.85)・男女ともに、趣味の数が増加するほど認知症リスクが低下する有意な傾向が認められた(HR:0.84[男性]、HR:0.78[女性])。 著者らは「グラウンドゴルフや旅行を趣味とする高齢者は、男女ともに認知症リスクが低く、また趣味の数が増加するほどリスクが低下することが示唆された。高齢者がさまざまな趣味を実践できる環境づくりを行うことは、認知症予防を効果的に進めるうえで重要である」としている。

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「セルシン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第36回

第36回 「セルシン」の名称の由来は?販売名2mg セルシン®錠5mg セルシン®錠10mg セルシン®錠セルシン®散1%セルシン®シロップ0.1%※セルシン注射液はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください一般名(和名[命名法])ジアゼパム(JAN)効能又は効果○神経症における不安・緊張・抑うつ○うつ病における不安・緊張○心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ○下記疾患における筋緊張の軽減脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛○麻酔前投薬用法及び用量通常、成人には1回ジアゼパムとして2〜5mgを1日2〜4回経口投与する。ただし、外来患者は原則として1日量ジアゼパムとして15mg以内とする。また、小児に用いる場合には、3歳以下は1日量ジアゼパムとして1〜5mgを、4〜12歳は1日量ジアゼパムとして2〜10mgを、それぞれ1〜3回に分割経口投与する。筋痙攣患者に用いる場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして2〜10mgを1日3〜4回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。麻酔前投薬の場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして5〜10mgを就寝前または手術前に経口投与する。なお、年齢、症状、疾患により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(1)急性狭隅角緑内障のある患者[本剤の弱い抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。](2)重症筋無力症のある患者[本剤の筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。](3)リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者※本内容は2020年1月27日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2017年3月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「2mg セルシン®錠/5mg セルシン®錠/10mg セルシン®錠・セルシン®散1%・セルシン®シロップ0.1%」2)武田テバ DI-net:製品情報一覧

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日本における認知症への呼称変更による家族の感情変化への影響

 認知症に対する差別やスティグマを減らすことは、国際的な問題である。日本では、2004年に「痴呆」から神経認知障害に近い「認知症」へ呼称変更を行った。筑波大学の山中 克夫氏らは、認知症患者の家族の観点から、現在の用語がうまく機能しているかを横断的に調査し、感情に影響を及ぼす因子(認知症患者の周囲の人の気持ち、家族や患者の属性)を見つけるため、検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2020年12月21日号の報告。 3つの病院を受診した認知症患者に同行するその家族155人を対象に、認知症の呼称と患者の周囲の人の気持ちについて調査を行った。認知症の呼称に対する不快感の程度を分析した。探索的因子分析より抽出した感情の構成概念と属性との関係を分析するため、構造方程式モデリングを用いた。 主な結果は以下のとおり。・「認知症」は「痴呆」よりも不快感が少ないと回答した人は、71.6%であった。・「認知症」は差別的であると考えていた人は、13.2%であった。・しかし、対象者の約3分の1は、「認知症」でも不快感があると回答した。・構造方程式モデリング分析では、「認知症」に対するネガティブな感情に影響を及ぼす因子は若い家族、妻、夫、きょうだいが家族の認知症を周囲に開示することへのためらいであった。・認知症を周囲に開示することへのためらいを緩和する因子は、性別(女性)であった。 著者らは「厚生労働省が以前に調査した結果と比較し、今回の結果は全体として、認知症患者の家族における不快感の軽減がうまくいっていることが示唆されている。しかし、依然としてスティグマを感じている家族は存在する。そのため、影響する因子を考慮した新たな政策が求められる」としている。

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片頭痛に対する抗CGRP抗体ガルカネズマブの有効性~メタ解析

 片頭痛は、頭痛のいくつかのエピソードによりみられる神経学的症候群である。片頭痛の病態生理においてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、重要な役割を果たしているといわれている。ガルカネズマブは、CGRPに特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体である。サウジアラビア・Alfaisal UniversityのAhmed Abu-Zaid氏らは、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブ(120mgまたは240mg)の有効性を評価したすべてのランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Cureus誌2020年11月22日号の報告。 PubMed、SCOPUS、Embase、Cochrane Centralより、2020年10月10日までの文献をスクリーニングした。次の基準を満たす研究を選択した。(1)対象は片頭痛患者(2)ガルカネズマブ 120mgまたは240mgによる介入(3)対照薬プラセボ(4)事前に設定した有効性および安全性アウトカム(5)ランダム化プラセボ対照試験。有効性アウトカムには、片頭痛の日数(MHD)の変化、急性期薬物治療によるMHDの変化、患者による重症度改善度(PGI-S)スコア、migraine-specific quality of life role function-restrictive domain(MSQ RF-R)スコア、片頭痛障害評価尺度(MIDAS)スコアを含めた。安全性アウトカムには、注射部位の痛み、鼻咽頭炎、上気道感染症の頻度を含めた。研究のバイアスリスク評価には、Cochrane Collaboration's risk of bias toolを用いた。統計分析には、Review Manager Software ver. 5.4.1を用いた。平均差およびリスク比、95%信頼区間の分析には、それぞれ連続分析、2値分析を用いた。同種データと異種データの分析には、それぞれ固定効果モデルと変量効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・6研究4,023例が抽出された。・ガルカネズマブ 120mgおよび240mgは、プラセボと比較し、MHDの減少(p<0.001)、急性期薬物治療によるMHDの減少(p<0.001)、PGI-Sスコアの改善(p<0.001)に対し有意に高い効果が認められた。・MSQ RF-RスコアおよびMIDASスコアは、ガルカネズマブ 240mgでのみ有意な改善が認められた(p<0.001)。・副作用に関しては、注射部位の痛みおよび鼻咽頭炎の割合は、ガルカネズマブ 120mgおよび240mgとプラセボとの間に違いは認められなかった。・しかし、ガルカネズマブ 120mgは、プラセボと比較し、上気道感染症の頻度が高かった。この関係は、ガルカネズマブ 240mgでは認められなかった。 著者らは「ガルカネズマブは、片頭痛のマネジメントにおいて、臨床的に安全かつ効果的であり、高用量での使用によりその有効性はさらに高まる。今後の研究は、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブの最適な用量を検討することに向けられるべきである。また、ほかの抗CGRP受容体モノクローナル抗体との直接比較研究が求められる」としている。

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