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キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。 本研究の対象は、調査開始時点で65歳以上であった宮城県大崎市の住民1万3,230 人。ベースライン時のアンケート調査により、キノコの摂取頻度で「1回未満/週」「1~2回/週」「3回以上/週」の3群に分け、「1回未満/週」群を基準として、認知症発症との関連を検討した。ハザード比は、性別、年齢、BMI、既往歴(脳卒中、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症)、教育、喫煙、飲酒、歩行時間、心理的ストレス、食物摂取量などの因子を調整し算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は5.7年間で、認知症発症率は8.7%であった。・キノコの摂取頻度が1回未満/週の群と比べた認知症発症の調整ハザード比(95%信頼区間)は、1~2回/週では0.95(0.81~1.10)、3回以上/週は 0.81(0.69~0.95)であった(傾向のp<0.01)。・この逆相関は、最初の2年間で認知症を発症した参加者と、ベースライン時に認知機能が低下していた参加者を除外した場合も同様であった。 なお、本研究の限界として、認知症の臨床診断データがなくアウトカムに誤分類が含まれていた可能性がある点、キノコ摂取頻度をベースライン調査のみで評価しているため頻度の変化が考慮されていない点、キノコの種類が不明である点などがある。

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白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大

 岡山大学の福井 裕介氏らは、4種類の抗認知症薬、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの臨床効果について、脳室周囲病変(PVH)の重症度に基づきサブグループ化を行ったアルツハイマー型認知症患者を対象に検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年3月9日号の報告。 アルツハイマー型認知症患者551例(男性:201例、女性:350例)を、PVHの重症度に基づき4群に分類した(Grade 0~III)。対象患者には、12ヵ月間の単独療法を行った。ベースライン時、治療開始3、6、12ヵ月後の臨床効果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の年齢によりPVH Gradeは高くなり、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改定長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、白質の重症度に依存して減少した。・PVH Grade 0では、すべての薬剤において12ヵ月間、安定した認知機能、情動機能、ADL機能を示した。・PVH Grade Iでは、ベースラインからのやる気スコア(Apathy Scale)の改善が、メマンチンで3、9ヵ月後(p<0.05)、ガランタミンで9ヵ月後(p<0.01)に認められた。・PVH Grade IIでは、ガランタミンにおいて、9ヵ月後のMMSE(p<0.05)と3ヵ月後のHDS-R(p<0.05)の有意な改善が認められた。・PVH Grade IIIでは、すべての薬剤において12ヵ月間、認知機能および情動機能が保持されたが、リバスチグミンでは、6、12ヵ月後にADLの悪化が認められた(p<0.05)。 著者らは「4種類の抗認知症薬は、白質の重症度に応じて、臨床的な認知機能、情動機能、ADLに影響を及ぼすことが示された」としている。関連医療ニュース アルツハイマー病、他のコリンエステラーゼ阻害薬への切り替え効果はどの程度:岡山大 米国の認知症有病率が低下、その要因は 65歳未満での抗うつ薬使用、認知症増加と関連

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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも

 睡眠時間と認知症や脳の老化のリスクとの関連について、米国・ボストン大学のAndrew J Westwood氏らが評価を行った。Neurology誌2017年3月号の報告。 フラミンガム心臓研究(2,457例、平均年齢:72±6歳、女性の比率57%)で自己報告された総睡眠時間より、6時間未満、6~9時間、9時間超の3段階の変数で層別化し、10年以上にわたる認知症リスク、横断的な全脳容積(total cerebral brain volume:TCBV)および認知機能と関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・10年以上のフォローアップにおいて、認知症患者234例を観察した。・多変量解析では、睡眠時間の延長は認知症リスクの増加と関連していた(HR:2.01、95%CI:1.24~3.26)。・これらの所見は、ベースライン時に軽度認知障害を有する患者(HR:2.83、95%CI:1.06~7.55)、高等学歴のない患者(HR:6.05、95%CI:3.00~12.18)で顕著であった。・ベースライン以前の平均期間13年間で睡眠時間が9時間以上に増加した患者では、全認知症(HR:2.43、95%CI:1.44~4.11)およびアルツハイマー病(HR:2.20、95%CI:1.17~4.13)の増加との関連が認められた。・6~9時間の睡眠時間と比較して、長い睡眠時間は、TCBVの小ささ(β±SE:-1.08±0.41、平均TCBV差)、実行機能の不足(β±SE:-0.41±0.13、Trail Making Test B-Aスコア差)と関連が認められた。 著者らは「長時間の睡眠期間は、早期の神経変性のマーカーであり、10年以内に認知症に進行するリスクが高い患者を同定するための有用な臨床的ツールであると考えられる」としている。関連医療ニュース 血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか 脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減 患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

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脳卒中発症AF患者の8割強、適切な抗凝固療法を受けず/JAMA

 抗血栓療法は心房細動患者の脳卒中を予防するが、地域診療では十分に活用されていないことも多いという。米国・デューク大学医療センターのYing Xian氏らPROSPER試験の研究グループは、急性虚血性脳卒中を発症した心房細動患者約9万5,000例を調査し、脳卒中発症前に適切な経口抗凝固療法を受けていたのは16%に過ぎず、30%は抗血栓療法をまったく受けていない実態を明らかにした。JAMA誌2017年3月14日号掲載の報告。抗血栓療法の有無別の脳卒中重症度を後ろ向きに評価 PROSPER試験は、心房細動の既往歴のある急性虚血性脳卒中患者において、脳卒中の発症前にガイドラインが推奨する抗血栓療法を受けていない患者と、各種抗血栓療法を受けた患者の脳卒中の重症度および院内アウトカムの評価を行うレトロスペクティブな観察研究である(米国患者中心アウトカム研究所[PCORI]の助成による)。 対象は、2012年10月~2015年3月に、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)によるGet With the Guidelines–Stroke(GWTG-Stroke)プログラムに参加した心房細動の既往歴のある急性虚血性脳卒中患者9万4,474例(平均年齢:79.9[SD 11.0]歳、女性:57.0%)であった。 主要評価項目は、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS、0~42点、点が高いほど重症度が重く、≧16点は中等度~重度を表す)による脳卒中の重症度および院内死亡率とした。高リスク例でさえ84%が適切な治療を受けていない 7万9,008例(83.6%)が脳卒中発症前に適切な抗凝固療法を受けておらず、脳卒中発症時に治療量(国際標準化比[INR]≧2)のワルファリンが投与されていたのは7,176例(7.6%)、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与を受けていたのは8,290例(8.8%)に過ぎなかった。 また、脳卒中発症時に1万2,751例(13.5%)が治療量に満たない(INR<2)ワルファリンの投与を受け、3万7,674例(39.9%)は抗血小板薬のみが投与されており、2万8,583例(30.3%)は抗血栓療法をまったく受けていなかった。 高リスク(脳卒中発症前のCHA2DS2-VASc≧2)の患者9万1,155例(96.5%)のうち、7万6,071例(83.5%)が脳卒中発症前に適切な抗凝固療法(治療量ワルファリンまたはNOAC)を受けていなかった。 中等度~重度脳卒中の未補正の発症率は、治療量ワルファリン(INR≧2)群が15.8%(95%信頼区間[CI]:14.8~16.7%)、NOAC群は17.5%(16.6~18.4%)であり、非投与群の27.1%(26.6~27.7%)、抗血小板薬単独群の24.8%(24.3~25.3%)、非治療量ワルファリン(INR<2)群の25.8%(25.0~26.6%)に比べて低かった(p<0.001)。 院内死亡の未補正発症率も、治療量ワルファリン群が6.4%(95%CI:5.8~7.0%)、NOAC群は6.3%(5.7~6.8%)と、非投与群の9.3%(8.9~9.6%)、抗血小板薬単独群の8.1%(7.8~8.3%)、非治療量ワルファリン群の8.8%(8.3~9.3%)に比し低かった(p<0.001)。 交絡因子で補正すると、非投与群に比べ、治療量ワルファリン群、NOAC群、抗血小板薬単独群は中等度~重度脳卒中のオッズが有意に低く(補正オッズ比:0.56[95%CI:0.51~0.60]、0.65[0.61~0.71]、0.88[0.84~0.92])、院内死亡率も有意に良好であった(同:0.75[0.67~0.85]、0.79[0.72~0.88]、0.83[0.78~0.88])。 著者は、「脳卒中発症前に何らかの経口抗凝固薬の投与を受けていたのは30%で、ワルファリン投与患者の64%は治療量に満たない用量(INR<2)であり、脳卒中発症前の血栓塞栓症リスクが高い患者でさえ、84%がガイドラインで推奨された抗凝固療法を受けていなかった」とまとめている。

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双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か

 躁病または混合エピソードの治療を開始する患者における、自殺企図の危険因子について、フランス・パリ・ディドゥロ大学のF Bellivier氏らが検討を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年2月12日号の報告。 欧州14ヵ国から募集された躁病または混合型の双極I型障害患者3,390例を対象に、2年間のプロスペクティブ観察研究を行った。新規自殺企図イベントに関連した患者および治療因子の特定には、ポアソン回帰モデルを用いた。2つの多変量モデルが構築され、過去の自殺企図の有無について層別化された。 主な結果は以下のとおり。・自殺企図は302件抽出された。ピーク発生率は、治療開始12週以内であった。・自殺企図歴を有する患者における、自殺企図の再燃リスクと関連する要因は以下のとおりであった。 ●初回躁病エピソード発現年齢の若さ(p=0.03) ●ラピッドサイクリング(p<0.001) ●アルコール使用障害、物質使用障害の病歴(p<0.001) ●向精神薬の処方数(p<0.001) ●試験開始時の抗けいれん薬の使用(p<0.001)・自殺企図歴のない患者における、自殺企図の発生リスクと関連する要因は以下のとおりであった。 ●ラピッドサイクリング(p=0.02) ●アルコール使用障害の病歴(p=0.02) ●試験開始時の抗けいれん薬の使用(p=0.002) 著者らは「発症して間もない躁病または混合エピソードを有する、双極性障害患者に対する抗けいれん薬の使用は、自殺企図リスクを増加させる可能性がある。これが原因であるかどうかを明確にするためにも、さらなる双極性障害の研究において検討する必要がある」としている。関連医療ニュース 双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント 自殺企図後も生き続けるためのプロセス 重度な精神疾患+物質使用障害、自殺リスクへの影響

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患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)における患者の発症前の性格特性とBPSD(behavioral and psychological symptoms in dementia:認知症の行動・心理症状)との関連について、旭川医科大学の田端 一基氏らが検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年2月8日号の報告。 対象は、DLB患者41例、AD患者98例。対象患者のBPSD評価には、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いた。各患者の中年期の性格特性は、NEO-FFI(NEO Five-Factor Inventory)を用いて、患者家族より評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・DLB患者の重回帰分析において、NPI総スコアおよび不安と病前の開放性、妄想と病前の協調性、興奮と病前の勤勉性が有意に関連していた。・AD患者のうつ症状と病前の情緒不安定性、興奮、無関心、過敏性と病前の協調性が有意に関連していた。 著者らは「病前性格は、DLBおよびADにおいて、BPSDに異なった影響を及ぼしていることが示された。BPSDに対する病前性格の影響差を考慮すると、これら症状を軽減するための介入を開発するには、さらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 統合失調症患者の性格で予後を予測

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VR(仮想現実)はパーキンソン病のリハビリに有効か【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第87回

VR(仮想現実)はパーキンソン病のリハビリに有効か 足成より使用 バーチャルリアリティ(VR)システムPlayStation VRが登場し、ハマっている医師も多いかもしれません。バイオハザード7が発売されたので、私もぜひとも欲しいところですが、子供が家にいるので、お父さんはなかなかゲームなんてできません。さて、医療にVRを利用しようという試みは、すでに複数の研究グループによって検証されていますが、とくに脳卒中や神経疾患のリハビリテーションの分野で盛んです。 Dockx K, et al.Virtual reality for rehabilitation in Parkinson's disease.Cochrane Database Syst Rev. 2016;12:CD010760.昨年末にコクランからパーキンソン病のリハビリテーションにVRが応用できるかどうかを検討したシステマティックレビューが発表されました。VRが歩行や平衡に有意な影響を与えるかどうかを調べたものです。そのほか、運動機能、ADL、QOL、認知機能など複数の項目を調べました。とはいっても、PlayStation VRのようなタイプのVRとは限りません。論文で「virtual reality」と記載されたランダム化比較試験すべてを対象にしています。8研究・263例のパーキンソン病の症例が対象となりました。いずれもサンプルサイズは小さい研究で、エビデンスの質も低いと言わざるを得ないものばかりでした。VRは主に理学療法と比較され、歩幅・重複歩長(step and stride length)に関して中等度の改善をもたらしました(標準化平均差[SMD]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.30~1.08[3試験106例])。また、歩行(gait)については理学療法と同様の効果をもたらしました(SMD:0.20、95%CI:-0.14~0.55[4試験129例])。平衡(SMD:0.34、95%CI:-0.04~0.71[5試験155例])、QOL(平均差:3.73単位、95%CI:-2.16~9.61[4試験106例])についても、VRは理学療法と同等の効果でした。VRを利用したことによる有害事象は報告されませんでした。エビデンスの質は低いものの、歩幅・重複歩長の改善が見込める可能性を残してはいます。ただ現時点で、通常の理学療法ではなくVRを用いなければならないほどの説得力はなさそうです。インデックスページへ戻る

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甘い飲料とアルツハイマー病の関連~フラミンガム研究

 動物モデルでは、糖分の過剰摂取とアルツハイマー病(AD)との関連が報告されている。今回、米国・ボストン大学のMatthew P. Pase氏らは、フラミンガム心臓研究において、糖分の多い飲料の摂取量とADの発症前段階(preclinical AD)のマーカーが関連することを報告した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年3月5日号に掲載。 フラミンガム心臓研究において、糖分の多い飲料の摂取量と、ADの発症前段階および血管脳損傷(vascular brain injury:VBI)の神経心理学的マーカー(n=4,276)および磁気共鳴画像マーカー(n=3,846)との横断的関連を調べた。糖分の多い飲料の摂取量は食事摂取頻度調査票を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・糖分の多い飲料の摂取量が1日1杯未満と比較し、摂取量が多いほど総脳容積が少なかった(1日1~2杯:β±標準誤差[SE]=-0.55±0.14 mean percent difference、p=0.0002、1日2杯:β±SE=-0.68±0.18、p<0.0001)。また、エピソード記憶の検査結果はより劣っていた(すべてp<0.01)。・毎日のフルーツジュースの摂取は、総脳容積および海馬容積の減少、エピソード記憶の低下と関連していた(すべてp<0.05)。・糖分の多い飲料の摂取量は、どのアウトカムにおいてもVBIに関連していなかった。

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硬膜下血腫例の約半数が抗血栓薬服用、高齢化社会では今後ますます増えることが予想される(解説:桑島 巖 氏)-652

 硬膜下血腫は、しばしば認知症と誤診されたり、見逃した場合には死に至ることもある重要疾患である。本研究は、その硬膜下血腫の実に47.3%が抗血栓薬を服用していたという衝撃的な成績を示し、高齢化がいっそう進み、今後さらに急増していくことを示唆している点で重要な論文である。 この研究は、2000年から2015年にデンマークでの国民登録研究からのケースコントロール試験による成果である。抗血栓薬の使用頻度は、2000年には一般住民1,000人当たり31人程度にすぎなかったが、5年後の2015年には76.9人に急増している。硬膜下血腫が、それと軌を一にして増加したかを明確に示している。とくに、75歳以上での硬膜下血腫の頻度は2000年では10万人当たり年間55.1人であったのが、2015年では99.7人とほぼ倍増している。また発症例では、ワルファリン使用率が非発症例に比べて3.69倍高く、ワルファリンと抗血栓薬との併用例はさらに高い。 本試験では、INRについての記載がなく、ワルファリンのコントロール状況との分析ができていないため、抗血栓薬併用例などで適切な用量設定ができていなかったことが一因として考えられる。しかし、2000~15年はまだ新規抗凝固薬(NOAC、DOAC)がそれほど普及していない時期にしてこの結果である。2015年以降、固定用量が処方される新規抗凝固薬が相次いで世の中に登場し、また冠動脈インターベンションの普及による2剤併用抗血小板療法(DAPT:dual antiplatelet therapy)の処方も増えている。さらに、人口の高齢化率も増えたことと相まって、今後、硬膜下血腫の頻度はいっそう増加の一途をたどることが予想される。 抗血栓薬と抗凝固薬併用症例では、抗凝固薬の用量を適正に調節することや血圧を厳格にコントロールすることが予防手段となろう。

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心房細動患者のCCrとイベントの関連、日本の実臨床では?

 心房細動(AF)患者における非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与量調節と禁忌患者の除外のために、クレアチニンクリアランス(CCr)が広く使用されているが、AF患者のCCrと有害な臨床転帰との関連をみたリアルワールドデータはほとんどない。今回、国立病院機構京都医療センターの阿部 充氏らは、日本のAF患者の大規模前向きコホートである「伏見心房細動患者登録研究」で、CCr 30mL/分未満の患者が脳卒中/全身塞栓症および大出血などのイベントと密接に関連していたことを報告した。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年1月25日号に掲載。 本研究では、伏見心房細動患者登録研究における患者3,080例を、CCr 30mL/分未満、30~49mL/分、50mL/分以上の3群に分け、追跡期間中央値(1,076日)後に臨床的特徴と有害事象を評価した。 主な結果は以下のとおり。・事前に指定された因子の調整後、CCr 30mL/分未満の患者は50mL/分以上の患者と比べて、脳卒中/全身塞栓症(ハザード比[HR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.04~2.65、p=0.04)および大出血(HR:2.08、95%CI:1.23~3.39、p=0.008)のリスクが高かった。・CCr 30mL/分未満の患者は、全死因死亡、心不全による入院、心筋梗塞、全死因死亡および脳卒中/全身塞栓症の複合アウトカムのリスクも高かった。・CCr 30~49mL/分の患者では、脳卒中/全身塞栓症(HR:1.10、95%CI:0.76~1.58、p=0.6)や大出血(HR:0.98、95%CI:0.63~1.48、p=0.9)の超過リスクは認められなかった。

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認知症リスクへの糖尿病・高血圧・脂質異常症の影響

 インスリン抵抗性に起因する高血圧症や脂質異常症の患者と、糖尿病ではない高血圧症や脂質異常症の患者では、認知症リスクが異なる可能性がある。今回、台北医学大学のYen-Chun Fan氏らによる全国的な集団コホート研究から、糖尿病の有無により高血圧症や脂質異常症による認知症リスクの増加に差があることがわかった。著者らは、「糖尿病発症に続く高血圧症や脂質異常症の発症は糖尿病発症の2次的なものでインスリン抵抗性を介在する可能性があり、認知症リスクをさらに高めることはない」と考察し、「糖尿病自体(高血糖の全身的な影響)が認知症リスク増加の主な原因かもしれない」としている。Alzheimer's research & therapy誌2017年2月6日号に掲載。 著者らは、台湾の国民健康保険研究データベースから、後ろ向きコホート研究を実施した。糖尿病コホートは、2000~02年に新たに糖尿病の診断を受けた1万316人を登録し、非糖尿病コホートは、同時期に糖尿病ではなかった4万1,264人を無作為に選択した(年齢および性別が一致した人を1:4の比率で登録)。両コホートをそれぞれ、高血圧症または脂質異常症の有無により4群に分けた。 主な結果は以下のとおり。・20~99歳の5万1,580人が登録された。・糖尿病コホートは非糖尿病コホートに比べて認知症リスクが高かった(調整ハザード比[HR]:1.47、95%CI:1.30~1.67、p<0.001)。・糖尿病コホートでは、高血圧症と脂質異常症の両方を有する群は、どちらもない群と比較して、認知症リスクの増加は有意ではなかった(p=0.529)。高血圧症のみ(p=0.341)または脂質異常症のみ(p=0.189)の群でも同様の結果がみられた。・非糖尿病コホートでは、高血圧症と脂質異常症の両方を有する群は、どちらもない群と比べて認知症リスクが高く(調整HR:1.33、95%CI:1.09~1.63、p=0.006)、高血圧症のみの群でも結果はほぼ変わらなかった(調整HR:1.22、95%CI:1.05~1.40、p=0.008)。脂質異常症のみの群では認知症リスクの増加は有意ではなかった(p=0.187)。

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日本の認知症者、在院期間短縮のために必要なのは

 多くの深刻なBPSD(認知症の周辺症状)を有する認知症者の治療は、自発性にかかわらず精神科病院で行われている。日本における認知症者の平均在院期間は約2年である。症状が安定すれば退院するのが理想的ではあるものの、わが国ではBPSDが落ち着いた後でも、入院を継続するケースがみられる。神戸学院大学の森川 孝子氏らは、認知症者の精神科病院在院期間を短縮する要因を特定するため検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2017年2月10日号の報告。 西日本の認知症治療病棟を有する精神科病院121施設に17項目のアンケートを郵送した。 主な結果は以下のとおり。・45施設より、アンケートの返信があった。・45施設すべての病院における2014年8月の月間新規入院患者は1,428例、そのうち認知症者は384例(26.9%)であった。・2014年8月の認知症治療病棟の平均在院期間は、482.7日であった。・著者らの知見では、認知症病棟における2ヵ月後の退院率は35.4%であった。・認知症者にリハビリ費用を請求または請求を計画している病院における平均在院期間は、リハビリ費用を請求していない病院よりも有意に短縮されていた。 著者らは「日本では、認知症治療病棟を有する精神科病院の新規入院患者の25%以上を認知症者が占めていた。また、平均在院期間は1年以上であった。認知症者の2ヵ月以内の退院は、ほかの病棟と比較し、認知症治療病棟の入院患者で非常にまれであった。医療機関が、リハビリに重点を置くことができれば、精神科病院における認知症者の在院期間を短縮することが可能であると考えられる」としている。関連医療ニュース 血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか 認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化 魚を食べると認知症は予防できるのか

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高齢2型糖尿病、低過ぎるHbA1cは認知症リスク?

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病患者のQOL維持のための血糖コントロール改善の重要な指標とされているが、高齢者には低過ぎるHbA1cが害を及ぼす恐れがある。今回、金沢医科大学の森田 卓朗氏らの調査により、地域在住の高齢2型糖尿病患者において、HbA1cと要支援/要介護認定のリスクがJ字型を示すことが報告された。また、高齢の2型糖尿病患者での低過ぎるHbA1cが、認知症による後年の障害リスクに関連する可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。 著者らは、血糖降下薬またはインスリンを投与されている65~94歳の糖尿病患者184例を調査した。エンドポイントは初回の要支援/要介護認定および/または死亡で、HbA1c(4区分)と要支援/要介護認定リスクおよび/または死亡との関係について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて判定した。 主な結果は以下のとおり。・5年間に42例が初回の要支援/要介護認定を受け、13例が死亡した。・HbA1cと要支援/要介護認定リスク(年齢、性別、交絡変数を調整)との関係は、HbA1cが6.5%以上7.0%未満で最低となるJ字型を示し、6.0%未満では要支援/要介護認定リスクが増加し、最低レベルに比べたハザード比(HR)は3.45(95%CI:1.02~11.6、p=0.046)であった。・HbA1cが6.0%未満の患者では、6.0%以上の患者と比較し、(関節痛/骨折や脳卒中など他の障害ではなく)認知症によって要支援/要介護を認定されるリスクが高かった(HR:12.5、95%CI:3.00~52.2、p=0.001)。

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増加する多発性硬化症の第1選択薬となるか!?

 2月15日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、都内において多発性硬化症治療薬フマル酸ジメル「テクフィデラ カプセル120/240mg」の発売に伴うプレスセミナーを開催した。セミナーでは、多発性硬化症診療の最新の知見のほか、テクフィデラの今後の治療での位置付けなどが講演された。40年で40倍以上患者が増えた多発性硬化症 セミナーでは、吉良 潤一氏(九州大学大学院医学研究院 脳研 神経内科学 教授)を講師に迎え、「さまざまな課題をかかえる多発性硬化症~テクフィデラ承認の意義~」をテーマに講演が行われた。 はじめに多発性硬化症(MS)の疫学として、わが国では約1万9,000人を超える患者(指定難病医療受給者証所有者数)がおり、その数も1970年代との比較で40倍を超える数になっていること、毎年患者数は増加していることが説明された。 また、MSの発症では、遺伝因子と環境因子(たとえば高緯度、EBウイルス、ビタミンD欠乏、喫煙、生活の欧米化など)の相互作用が判明しているものの、明確な機序はいまだ解明されていないという。障害部位により多様な症状が出現 MSは、中枢神経の髄鞘が障害される脱髄性疾患であり、最近の研究では、確実なエビデンスはないものの中枢神経髄鞘抗原を標的とする自己免疫性疾患であるともいわれている。そのため、発症するとその多くが再発と寛解を繰り返し、再発寛解型、2次性進行型、1次性進行型の3つの類型に分類される。 症状は、脊髄、視神経、大脳、小脳、脳幹の部位で、それぞれ運動機能、感覚機能、自律神経、高次脳機能が障害され症状として現れる。たとえば、大脳の運動機能が障害されれば片麻痺や単麻痺が、視神経の感覚機能が障害されれば視力低下、視野欠損、中心暗点などの症状が出現する。特徴的な前駆症状としては、急に疲れやすくなったり、新しいことが覚えられないなどが挙げられるという。 診断としては、現在、有用なバイオマーカーがないために、除外診断による診断がなされる。また、MRIや髄液検査、誘発電位検査による検査所見で確定診断を行う。とくにMSでは早い時期から2次進行期(現在2次進行期に有効な治療はない)が始まるケースが多いために、MRI検査で病期進行のモニターが望まれる。MS治療薬の現状と課題 現在MSの治療は、発症後の再発寛解期に主に行われている。痙縮、疼痛などへの対症療法をはじめ、急性期にはステロイドパルス療法が施行される。また、MSでは再発予防のために疾患修飾薬(DMD)を使用し、進行を抑える治療が行われている。 現在DMDの第1選択薬は、インターフェロンβとグラチラマーがあり、さらに第2選択薬としてフィンゴリモド、ナタリズマブ、アレムツズマブが病勢により適応される。しかし、実臨床の場ではDMDの使用は、薬剤の価格ゆえに40~50%未満にとどまるという。また、第1選択薬が注射薬ということもあり、アドヒアランスの観点からも使いづらく、第2選択薬でも長期の使用で進行性多巣性白質脳症(PML)の発生リスクがあるなど注意が必要とされている。 DMDでは、妊婦や小児への負担が少なく、長期安全性があり、就労・就学にも差し支えのない治療薬の導入が望まれているという。患者さんに使いやすいDMDの登場 今回発売されたテクフィデラは、経口薬という特徴を持ち、抗炎症作用と神経保護作用の両輪でMSの進行を抑制する。2013年には米国で、2014年には欧州で承認され、すでに全世界で21万人が使用している。 治療効果として、海外治験では投与開始後2年間でみた年間再発率がプラセボ群(n=771)の0.37と比較して、テクフィデラ群(n=769)では0.19と49%減少していた。また、国際共同治験では、投与開始後の12~24週を観察した新規Gd造影病巣の総数でプラセボ群(n=113)の4.3と比較して、テクフィデラ群(n=111)では1.1と84%減少していた。 安全性では、報告数の多い順に潮紅、下痢、悪心、腹痛などの有害事象があるが、重篤な事象は報告されておらず、投与された最初の1ヵ月間での報告が多かったという。 処方のポイントは、少量から徐々に増やしていくこと、3ヵ月に1回は病状進行の様子をモニターすること、また、視神経脊髄炎に使用すると重篤な再発を起こすことから使用前に鑑別診断をすることが重要だという。 最後に吉良氏は私見として「フィンゴリモドと同等の作用があり、将来的に第1選択薬として使用されると期待している。経口薬という最大の特徴は患者さんの負担を軽くする」と展望を述べ、レクチャーを終えた。

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血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか

 認知症における血圧変動の役割については、議論の余地がある。スウェーデン・ルンド大学のHannes Holm氏らは、長期フォローアップ研究において、安静時と体位変換時の血圧変化が、認知症とどのように関連しているかを分析した。European journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 集団ベースのMalmo Preventive Projectでは、1974~92年に1万8,240人(平均年齢:45±7歳、男性の割合:63%)を対象に安静時と体位変換時の血圧を測定し、2002~06年に平均年齢68±6歳の安静時血圧を再測定した。認知症リスクを有する安静時と体位変換時の血圧変化との関連は、リスク因子を制御する多変量調整Cox回帰モデルを用い検討した。 主な結果は以下のとおり。・2009年12月末までに、428例(2.3%)が認知症と診断された。・起立時の拡張期血圧の低下は、認知症リスクが高いことが示された(10mmHg当たりのHR:1.22、95%CI:1.01~1.44、p=0.036)。これは、主に正常血圧者におけるリスク増加によって引き起こされた。・再検査時の収縮期血圧(10mmHg当たりのHR:0.94、95%CI:0.89~0.99、p=0.011)、拡張期血圧(10mmHg当たりのHR:0.87、95%CI:0.78~0.96、p=0.006)の高さは、認知症リスク低下と関連していた。・ベースラインと再検査時における収縮期血圧、拡張期血圧の極端な低下(第4四分位収縮期血圧:-7±12mmHg、第4四分位拡張期血圧:-15±7mmHg)は、同期間に著しい血圧上昇を示した対照群(第1四分位収縮期血圧:+44±13mmHg、第1四分位拡張期血圧:+15±7mmHg)と比較して、認知症リスクが高いことが示された(収縮期血圧[HR:1.46、95%CI:1.11~1.93、p=0.008]、拡張期血圧[HR:1.54、95%CI:1.14~2.08、p=0.005])。・中年期の拡張期血圧低下、中高年期の血圧低下、高齢期の血圧低下は、認知症発症の独立した危険因子であることが示された。関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減 魚を食べると認知症は予防できるのか

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認知症発症予測に歩行速度や嗅覚テスト

 軽度認知障害(MCI)、認知症、死亡率における、老化に伴う危険因子の性質および共通性は、よくわかっていない。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のDarren M Lipnicki氏らは、認知機能が正常な多くの人々を含む6年間のシングルコホート研究で潜在的な危険因子を同時に調査した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2016年12月31日号の報告。 対象者は、Sydney Memory and Ageing研究の地域住民873例(70~90歳、ベースライン時に認知症なし)。ベースラインから6年後、認知機能正常、MCIまたは認知症を発症、死亡に分類した。ベースライン時の患者背景、ライフスタイル、健康状態、医学的要因、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型を調査した。対象には、ベースライン時MCIであったが2年以内に寛解した患者を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・83例(9.5%)が認知症を発症、114例(13%)が死亡した。・約33%はベースライン時MCIであったが、そのうち28%は2年以内に寛解した。・ベースライン要因のコアセットは、MCIおよび認知症と関連していた。 ●高齢(1年当たりのオッズ比[95%CI]):MCI(1.08[1.01~1.14])、認知症(1.19[1.09~1.31]) ●ベースライン時のMCI(1年当たりのオッズ比[95%CI]):MCI(5.75[3.49~9.49])、認知症(8.23[3.93~17.22]) ●嗅覚の低下(追加試験当たりのオッズ比[95%CI]):MCI(0.89[0.79~1.02])、認知症(0.80[0.68~0.94]) ●歩行速度の遅さ(1秒当たりのオッズ比[95%CI]):MCI(1.12[1.00~1.25])、認知症(1.21[1.05~1.39]) ●APOEε4キャリア(1年当たりのオッズ比[95%CI]):MCI(1.84[1.07~3.14])、認知症(3.63[1.68~7.82])・APOE遺伝子型を除くすべてが死亡率と関連していた(年齢:1.11[1.03~1.20]、MCI:3.87[1.97~7.59]、嗅覚:0.83[0.70~0.97]、歩行速度:1.18[1.03~1.34])。・2年以内にMCIから寛解した患者は、認知機能正常者と比較し、将来のMCIリスクが高かった(3.06[1.63~5.72])。・2年以内にMCIから寛解した患者は、MCI患者よりも、ベースライン時のリスク要因と6年後のアウトカムとの間に異なる関連性を示した。 著者らは「身体的および精神的な脆弱性を示す高齢リスク要因のコアグループは、6年後の認知症やMCI発症、死亡率のそれぞれと関連が認められた。歩行速度の遅さや嗅覚の低下に関する検査は、認知機能低下をスクリーニングするうえで役立つと考えられる。MCIの病歴を有する高齢者は、将来に認知機能障害リスクが高くなる」としている。関連医療ニュース 脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減 歩くのが遅いと認知症リスク大 魚を食べると認知症は予防できるのか

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脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減

 精神的な刺激となる活動への取り組みと、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病のオッズ低下との、横断的な関連が報告されている。しかし、70歳以上の高齢者による精神的な刺激となる活動がMCI発症を予測するかについての縦断的アウトカムは、ほとんど知られていない。米国・メイヨー・クリニックのJanina Krell-Roesch氏らは、高齢者における精神的な刺激となる活動とMCI発症リスクとの関連を仮説検証し、アポリポ蛋白E(APOE)ε4遺伝子型の影響を評価した。JAMA neurology誌オンライン版2017年1月30日号の報告。 ミネソタ州オルムステッド郡のメイヨー・クリニック加齢研究の参加者を対象に、コホート研究を行った。ベースライン時に認知機能が正常であった70歳以上の高齢者について、MCI発症アウトカムをフォローアップした。調査期間は、2006年4月~2016年6月とした。ベースライン時、参加者は研究参加1年以内の精神的な刺激となる活動に関する情報を提供した。認知神経学的評価は、ベースライン時に実施し、その後15ヵ月間隔で実施した。認知機能の診断は、公表されている基準に基づき、専門家コンセンサスパネルにより行った。性別、年齢、教育レベルで調整した後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、ハザード比(HR)および95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・最終的には、認知機能が正常であった1,929人(ベースライン時の年齢中央値:77歳[四分位範囲:74~82歳]、女性率:50.4%[973人])を対象に、MCI発症のアウトカムをフォローアップした。・フォローアップ期間の中央値は4.0年であった。・MCI発症リスク低下と関連していた項目は以下であった。 ●ゲームのプレイ(HR:0.78、95%CI:0.65~0.95) ●手工芸(HR:0.72、95%CI:0.57~0.90) ●コンピュータの使用(HR:0.70、95%CI:0.57~0.85) ●社会活動(HR:0.77、95%CI:0.63~0.94)・APOEε4キャリアステータスによる層別解析では、精神的な刺激となる活動を行ったAPOEε4ノンキャリアのMCI発症リスクが最も低く(例えば、コンピュータの使用あり[HR:0.73、95%CI:0.58~0.92])、精神的な刺激となる活動を行っていないAPOEε4キャリアのMCI発症リスクが最も高かった(例えば、コンピュータの使用なし[HR:1.74、95%CI:1.33~2.27])。 著者らは「精神的な刺激となる活動を行っている認知機能が正常な高齢者は、MCI発症リスクが低下することが示唆された。この関連は、APOEε4キャリアステータスにより異なる可能性がある」としている。関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 認知症予防へのビタミンDや日光曝露、さらなる研究が求められる 魚を食べると認知症は予防できるのか

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認知症予防へのビタミンDや日光曝露、さらなる研究が求められる

 日光曝露や高ビタミンD状態は、認知症発症を予防するといわれている。オーストリア・クレムス継続教育大学のIsolde Sommer氏らは、経時的な日光曝露の欠如やビタミンD欠乏症が認知症と関連しているかを検討した。BMC geriatrics誌オンライン版2017年1月13日号の報告。 MEDLINE(PubMed経由)、Cochrane Library、EMBASE、SCOPUS、Web of Science、ICONDAおよび1990~2015年10月までの適切なレビュー記事のリファレンスリストをシステマティックに検索した。認知症リスクのサロゲートマーカーとしての日光曝露またはビタミンDの影響を評価するために、パブリッシュおよびノンパブリッシュデータのランダム効果メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・日光曝露と認知症リスクとの関連性を調査した単一研究は特定できなかった。・認知症リスクに対する血清ビタミンD濃度の影響に関するデータには、6件のコホート研究があった。・5件の研究のメタ解析では、重篤なビタミンD欠乏症患者(25nmol/L未満または7~28nmol/L)は、十分なビタミンDの供給を有する者(50nmol/L以上または54~159nmol/L)と比較し認知症リスクが高いことが示された(ポイント推定:1.54、95%CI:1.19~1.99、I2=20%)。・重篤なビタミンD欠乏症は、認知症発症リスクが高いと考えられるが、研究に含まれた観察研究の性質と残存または重要な交絡因子調整の欠如(例えば、ApoEε4遺伝子型)、ならびに日光曝露の代わりとなるビタミンD濃度と認知症リスクとの間接的な関係が含まれる。 著者らは「本レビューから、低ビタミンD濃度が認知症発症に影響すると考えられる。日光曝露と認知症リスクとの直接的および間接的関係を調査するための、さらなる研究が必要である。このような研究には、ビタミンD濃度または日光曝露と認知症アウトカムの均質で反復的な評価を伴う大規模コホート研究が必要である」としている。関連医療ニュース 魚を食べると認知症は予防できるのか 歩くのが遅いと認知症リスク大 米国の認知症有病率が低下、その要因は

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