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第20回 小児科クリニックからの セフカペンピボキシル の処方(後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1患児の保護者に確認することは?Q2疑義照会しますか?Q3 抗菌薬について説明することは?今は必要ないかもしれないが、必要になる可能性もあると説明 中堅薬剤師さん(薬局)提示された情報から、ウイルス性感冒(ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎など)の可能性は高いと思われますが、溶連菌感染症の可能性もあり、フロモックス®の必要性は否定できません。医師との関係性を壊したくない思いを尊重し、フロモックス®を服用するかどうかの選択も残したいと思います。「今は必要ないかもしれないが、今後、必要になる可能性もある」と説明し、調剤は受けてもらい、フロモックス®以外の対症療法薬で経過観察をするよう助言します。対症療法薬で軽快しないようであれば、溶連菌感染症の可能性があるので、耳鼻咽喉科に相談することを勧めます(小児科には行きにくいでしょうから・・・)。そして、フロモックス®は使わずに残してあることを伝えた上で、今後の対処を相談してもらいます。鑑別が難しいこと、重症化のリスク 奥村雪男さん(薬局)処方医と患児家族の関係を損なわぬよう、「ウイルスが原因となる初期の風邪だと思うが、患児は2歳未満であり、今後咳がひどくなって細気管支炎になると重症化するリスクがある。その場合、ウイルス性か細菌性か明確に鑑別するのが難しいので、効率は良くないが、慣行として抗菌薬をあらかじめ処方することがある」と説明します。低血糖の危険性 中西剛明さん(薬局)未熟児で生まれた子は、筋肉量が少ないことが多く、健常児より低血糖を起こしやすいと言われています。フロモックス®はピボキシル基を有する抗菌薬なので、低血糖の危険があります。出生時体重を参考に、未熟児であれば低血糖の危険について説明します。散剤の与薬の仕方 わらび餅さん(病院)小児病棟で、赤ちゃんへうまく薬を飲ませられない母親を何人も見てきました。理論通りではうまくいかない、赤ちゃんの機嫌に合わせた工夫も必要です。赤ちゃんが9カ月なら、母親の与薬経験が未熟な可能性があるので、薬を飲ませられるか聞いて、それに応じて散剤の与薬の仕方を説明します。フロモックス®は、マクロライドなどに比べるとひどい味ではないですが、飲み残しがないように食前に飲ませていいこと、たくさんの水で溶かないことなどです。鼻水や痰を除去すること JITHURYOUさん(病院)本人が苦しいばかりでなく、細菌の二次感染の引き金になる可能性があるので、鼻水や痰などはできるだけ取るように説明します。Q4 その他、気付いたことは?医療関係者でも知識に乏しいことがある ふな3さん(薬局)発熱(のおそれ)+咽頭炎ということで、溶連菌の疑いがあっての抗菌薬投与なのか、額面通り「二次感染予防」なのか微妙です。それ故、飲ませないという保護者の希望を後押しするかどうか悩ましいところです。「医療関係者」という言葉の範囲には、医師、看護師、薬剤師などの専門職から、受付事務まで非常に幅広く含む場合があります。たとえ医師でも、専門分野以外については知識が浅い場合もあります。こちらが「これくらいは知っているだろう。説明しなくてもいいな」と考えていても、実は相手は、説明を聞きたい、相談したい、と思っている可能性もあります。会話をしながらその辺りの「雰囲気」をくみ取ることは、さじ加減が難しいですが大切だと思います。また「医療関係者」である場合に、「薬歴管理料を算定するか?」という問題も同時に発生します。その医師と完全にツーカーの間柄で、飲み方の指示などを受けているようなら薬歴料は算定しませんし、前述のような「相談したい」というような雰囲気であれば、算定すると思います(今回のケースは患者負担はゼロなので、お会計には影響ないのですが・・・)。フォローアップがあるとすれば、さり気なく保護者に「どちらの病院にお勤めですか?」とか、医師との面会時に「○○さんとは、親しいんですね!」などと、お互いの関係性に"探り"を入れておくと、今後の展開が違うかも・・・と思います。薬剤師も同じ「医療関係者」です。「医師との信頼関係」と同時に、「薬剤師との信頼関係」が築けたらいいな、と思います。Von Harnack表を活用 奥村雪男さん(薬局)フロモックス®の1日量は9mg/kg、ムコダイン®の1日量は30mg/kgで、いずれも体重に比してやや少ないように思います。その他の薬剤は、Von Harnack表※より、6カ月で成人量の1/5、1歳で成人量の1/4なので、概ね妥当な用量だと思います。※成人量を1としたとき、それぞれの年齢での用量の目安。になっている。未熟児新生児6カ月1歳3歳7歳半12歳1/101/81/51/41/31/22/3VON HARNACK GA. Monatsschr Kinderheilkd 1956; 104(2): 55-56.ペリアクチンの副作用 柏木紀久さん(薬局)9カ月というとハイハイやつかまり立ちをする頃なので、ペリアクチンの傾眠によるケガなども心配です。痙攣の閾値も下がるので、鼻水や発赤疹がなければペリアクチンが疑義の対象になると思います。薬剤師も一般への啓発を 荒川隆之さん(病院)私は学校薬剤師として、何度か保護者に「風邪に抗菌薬は不要」という話をしております。北欧やオランダなど薬剤耐性菌の少ない国では、耐性菌に関する国民の知識がしっかりしていると聞きます。日本においても薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなど国がようやく動き出したところですから、我々薬剤師もそれぞれにできることを少しずつやっていくことが大切なのでは、と考えます。1回で飲ませきれない量では 中西剛明さん(薬局)ペリアクチンが処方されていることが気になります。抗ヒスタミン薬を使うと痙攣の閾値が下がるので、発熱している場合は熱性けいれんも含め、痙攣の危険が高まります。数ある抗ヒスタミン薬の中でペリアクチンを選んだ意図がわかりません。加えて、近隣の小児科医は「抗ヒスタミン薬で鼻水が固くなって、鼻づまりが解消しにくくなり困る」と言っていました。あと、7種類の薬剤は出しすぎでは?1回で飲ませ切れない「かさ」になってしまっています。症状に合わせて用量を調節 児玉暁人さん(病院)ムコダインDSの量が少ないですが、症状に合わせているのだろうと考え、これに関しては疑義照会しません。医師の処方意図を理解しておくべき JITHURYOUさん(病院)医師に処方意図の確認が必要だと感じます。抗菌薬が必要ならば薬剤の処方の必要性を患者家族にもきちんと説明しなければいけません。服用しないならば、症状が悪化するリスクもあります。さまざまな可能性のリスク回避をしておきたいという医師の考えがあるのかもしれません。なぜ抗菌薬処方をしたのか、その医師の処方傾向をできれば把握したいです。調剤するだけではなく患者さんと向き合うこと 中堅薬剤師さん(薬局)私は「医師の治療方針に同意していない患者さん」には調剤をしない方針です。ただ、簡単に「調剤をしない」としてしまうと、後で治療する機会を奪うことにもなるので、十分な説明の上、患者さんの意向を尊重して調剤するかどうか決定します。私の経験ですが、「喘息ではないのに吸入を強要された」と言う患者さんがいました。医師法第二十三条に基づいて考えると、処方医は患者が納得する十分な医学的指導をしていない可能性があり、その結果、治療に対して強い拒否を示していると推察しました。ただ、咳喘息の可能性は否定できないので、「使ってみて改善しなければ、呼吸器科以外の医師に相談することをお勧めしたい」と助言しました。治療前から否定するのではなく、治療をしてから継続の可否を判断する方がよいのではないか、と患者さんに話したのです。その後、患者さんから感謝の言葉をいただきました。「医師よりも私の治療に向き合ってくれた気がする」と。同時に、医師はどうして患者側に寄り添って治療を考えてくれないのか、という不満も打ち明けてくれました。ですから、今回の症例は薬剤師はただ調剤すればいいというものではないと、考えさせられる症例だと感じました。医師法第二十三条・・・医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。担当した薬剤師の対応フロモックス®の量が少ないことを疑義照会し、添付文書上の用量まで増量した。また、患児の保護者から、処方箋提出時に「抗菌薬だけ別包にしてほしい」と言われたので、別包にて調剤した。[PharmaTribune 2017年9月号掲載]

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心代謝特性はBMIと関連するか

 BMIは脂肪を非脂肪と区別せず、脂肪分布を無視し、健康への影響を検出する能力が不明とのことで批判されている。今回、英国・ブリストル大学のJoshua A. Bell氏らは、心代謝特性との関連においてBMIと二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による全身および局所の脂肪指数(fat index)を比較した。その結果から、腹部の肥満が心代謝障害の主因であり、その影響の検出にBMIが有用なツールであることが支持された。Journal of the American College of Cardiology誌2018年12月18日号に掲載。 著者らは、英国での親と子供の縦断研究Avon Longitudinal Study of Parents and Childrenの子供2,840人において、10歳時と18歳時にBMIおよびDXAによる全身・体幹・腕・脚の脂肪指数(kg/m2)を測定し、18歳時の230種類のメタボロミクスの項目との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・10歳時に全身脂肪指数およびBMIが高値であることが、18歳時に収縮期および拡張期血圧高値、高VLDLおよび高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセライド、高インスリンおよび高アセチル糖タンパク質といった心代謝特性と関連することが示された。・18歳時の全身脂肪指数とBMIの関連は強く、10歳から18歳までの各指標の増加も強く関連した(例 アセチル糖タンパク質の増加は、全身の脂肪指数のSD単位増加当たり0.45SD[95%信頼区間:0.38~0.53]vs. BMIのSD単位増加当たり0.38SD[同:0.27~0.48])。・心代謝特性との関連は、BMI・全身の脂肪指数・体幹の脂肪指数で類似していた。・非脂肪指数(lean mass index)高値は心代謝特性との関連は弱く、脂肪指数高値に防御的ではなかった。

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乾癬患者は甲状腺疾患のリスクが高い

 これまで、乾癬と甲状腺疾患との関連はよくわかっていなかった。乾癬患者では、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、バセドウ病および橋本病などの甲状腺疾患リスクの増加が認められると、台湾・輔仁大学のShu-Hui Wang氏らによるコホート研究で明らかになった。著者は、「乾癬患者が甲状腺疾患の症状を呈した場合は、内分泌科への紹介を考慮したほうがいいだろう」とまとめている。なお、研究の限界として乾癬患者の重症度のデータが不足していた点を挙げている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年12月5日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者における甲状腺疾患のリスクを検討する目的で、台湾の全民健康保険データベースを用い、乾癬および乾癬性関節炎に関連する甲状腺疾患発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・乾癬性関節炎患者1万3,266例(乾癬性関節炎群)、乾癬のみの患者14万9,576例(乾癬群)、非乾癬患者16万2,842例(対照群)が解析に組み込まれた。・対照群と比較した、乾癬性関節炎群および乾癬群の甲状腺機能亢進症発症に関する補正後ハザード比は、1.32(95%CI:1.07~1.65)、1.22(95%CI:1.11~1.33)。バセドウ病では、1.38(1.07~1.79)、1.26(1.13~1.41)と、それぞれで発症リスクは高かった。・同様に両群では、甲状腺機能低下症(補正後HR:1.74[95%CI:1.34~2.27]、同:1.38[95%CI:1.23~1.56])、橋本病(2.09[1.34~3.24]、1.47[1.18~1.82])のリスクも高かった。

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統合失調症治療の医療資源利用とコストにおける持効性注射剤と経口剤との比較

 抗精神病薬の使用において、長時間作用型持効性注射剤(LAI)は経口剤と比較し、アドヒアランスの改善や投薬回数の減少により、医療資源利用を減少させる可能性がある。米国・AlkermesのAnkit Shah氏らは、統合失調症と最近診断された患者におけるLAIと経口抗精神病薬の治療パターンについて調査を行った。Advances in Therapy誌2018年11月号の報告。 MarketScan Multi-state Medicaid databaseを用いて、2011~14年にLAIまたは経口抗精神病薬を投与された18歳以上の統合失調症患者を抽出した。主要アウトカムは、アドヒアランス(PDCの対象となる日数の割合として測定)、継続性、中止、切り替え、医療資源利用率、コストなどの治療パターンとした。コホート間のベースライン特性の違いは、傾向スコアマッチング(PSM)を用いて制御した。アウトカムは、登録後12ヵ月間にわたって評価し、治療コホート間で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・PSM後、LAIおよび経口抗精神病薬コホートのそれぞれに対象患者2,302例が含まれた。・両コホート間で、PDCまたは治療切り替えの差は認められなかった。・LAI治療患者は、経口抗精神病薬治療患者と比較し、中止率(46.1% vs.61.6%、p<0.001)、入院回数(0.5回 vs.0.9回、p<0.001)、受診日数(3.9日 vs.6.5日、p<0.001)、ER受診(2.4回 vs.2.9回、p=0.007)が低く、処方調合回数(29.5回 vs.25.3回、p<0.001)が多かった。・LAI治療患者は、登録後12ヵ月間にわたる経口抗精神病薬コホートとの比較で、毎月の入院コスト(4,007米ドル vs.8,769米ドル、p<0.001)およびER受診コスト(682米ドル vs.891米ドル、p<0.001)が低かったが、毎月の薬剤コスト(1万713米ドル vs.655米ドル、p<0.001)は高かった。・全体として、フォローアップ期間中の両コホートにおける類似総医療コストは、LAI抗精神病薬で2万4,988米ドル、経口抗精神病薬で2万3,887米ドルであった(p=0.354)。 著者らは「LAI治療は、経口抗精神病薬治療と比較し、薬物治療の継続率が高く入院回数を減少させる可能性がある。LAIによる薬剤コストの上昇は入院コストの削減と相殺され、経口抗精神病薬治療と比較し、総医療コストの増加を来さない」としている。■関連記事統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト統合失調症の再発、コスト増加はどの程度実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

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ゴルフが上手い診療科は/BMJ

 世界中で、医師の燃え尽き症候群(バーンアウト)の罹患率は高いことが報告されている。余暇活動は健康で安心して暮らせる環境をもたらすが、医師の余暇活動の現況はよくわかっていないという。米国・ハーバード大学医学大学院のGal Koplewitz氏らは、今回、ゴルフの普及状況を調査し、米国の男性医師は一般的にゴルフに興じており、とくに外科医が多いことを明らかにした。ゴルフは、多くの医師にとってステレオタイプの娯楽だが、これまで専門科別の普及率や腕前、男女差については検討されておらず不明であった。BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)掲載の報告。米国医師のゴルフパターンを調査 研究グループは、米国の医師がゴルフを行うパターンの調査を目的に観察研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国の医師の包括的なデータベースを、米国ゴルフ協会のアマチュアゴルファーのデータベースと関連付けた。2018年8月1日の時点で、米国ゴルフ協会のデータベースに、実際にゴルフのラウンドの記録があった医師を解析の対象とした。 主要評価項目は、ゴルフを行う医師の割合、技量(ゴルフハンディキャップ指数で評価、数値が低いほど技量が高い)、頻度(過去6ヵ月のゴルフのゲーム数)であった。 102万9,088人の医師のうち、米国ゴルフ協会のアマチュアゴルファーデータベースに、実際にゴルフのスコアの記載があったのは4万1,692人(4.1%)であった。女性は約1割、整形外科医が多く、血管外科医の技量が高い 医師ゴルファーの89.5%が男性で、女性医師は10.5%であった。全男性医師の5.5%(3万7,309/68万3,297人)がゴルフをしていたのに比べ、全女性医師に占めるゴルファーの割合は1.3%(4,383/34万5,489人)と少なかった。 医師ゴルファーは、61~70歳の男性(6.9%)が最も多く、31~35歳の女性(0.8%)が最も少なかった。男性医師ゴルファーの平均年齢は55.2歳(中央値56歳、IQR:46~64)だった。 専門科別のゴルフ普及率および技量にはばらつきがみられた。医師ゴルファーの割合が最も高かった専門科は整形外科(8.8%)で、次いで泌尿器科(8.1%)、形成外科(7.5%)、耳鼻咽喉科(7.1%)、血管外科(6.9%)、眼科(6.7%)の順であり、最も低かったのは内科(2.9%)および感染症科(2.9%)であった。 平均ハンディキャップは、全体では16.0であり、男性医師は15.0、女性医師は25.2であった。専門科別では、血管外科(14.7)が最も低く、技量が最も高いと判定された。次いで、胸部外科(14.8)、整形外科(14.9)、麻酔科(15.0)、救急医療科(15.0)の順であった。最も技量が低かった専門科は内分泌科(18.1)で、次いで皮膚科(17.2)および腫瘍科(17.2)であった。上位の3科は、下位3科に比べ約15%技量が優れた。 専門科別のゴルファーの割合とハンディキャップには負の相関が認められ、技量が高い専門科ほどゴルファーが多かった(p=0.002)。 2018年の前半6ヵ月で、男性医師ゴルファーは平均14.8回ゲームをしていた。女性医師ゴルファーは12.1回であった。医師レベルでは、ゲーム数とハンディキャップには負の相関がみられ、技量の高い医師ほど、頻回にゴルフをしていた(p=0.004)。 著者は、「今後、医師のゴルフと患者アウトカム、治療費、医師の安寧(wellbeing)との関連を検討する必要がある」としている。

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ビタミンD受容体作動薬、透析患者の心血管リスク改善示せず/JAMA

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を伴わない維持血液透析患者において、経口ビタミンD受容体作動薬(VDRA)アルファカルシドールは、心血管イベントのリスクを低減しないことが、大阪市立大学大学院医学研究科の庄司 哲雄氏らが行った「J-DAVID試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年12月11日号に掲載された。慢性腎臓病患者は、ビタミンD活性化が障害されるため心血管リスクが増大する。血液透析患者の観察研究では、活性型ビタミンDステロールは、副甲状腺ホルモン(PTH)値にかかわらず、全死因死亡のリスクを抑制することが報告されている。VDRAの有効性を評価する日本の無作為化試験 J-DAVIDは、維持血液透析を受けているSHPTを伴わない患者における、VDRAの心血管イベントおよび総死亡の改善効果の評価を目的とする日本の多施設共同非盲検エンドポイント盲検化無作為化試験である(日本腎臓財団の助成による)。 対象は、年齢20~80歳の維持血液透析を受けている患者であった。血清インタクトPTH値は180pg/mL以下とした。 被験者は、アルファカルシドール0.5μgを毎日経口投与する介入群または非投与(対照)群に無作為に割り付けられた。全例が、診療ガイドラインで推奨される標準的な薬物療法を受けた。 主要アウトカムは、48ヵ月のフォローアップ期間中に発生した、(1)致死的または非致死的心血管イベント(心筋梗塞、うっ血性心不全による入院、脳卒中、大動脈解離/破裂、虚血による下肢切断、心臓突然死)、(2)冠動脈血行再建(バルーン血管形成術、ステント留置)またはバイパス移植術、(3)下肢動脈血行再建(バルーン血管形成術、ステント留置)またはバイパス移植術の複合とした。副次アウトカムは全死因死亡であった。心血管イベント、全死因死亡とも有意差なし 2008年8月18日~2011年1月26日の期間に、全国の108の透析施設で976例が登録された。964例(年齢中央値65歳、女性386例[40.0%])がintention-to-treat解析に含まれ、944例(97.9%)が試験を完遂した。フォローアップ期間中央値は4.0年だった。 心血管イベントの主要複合アウトカムは、介入群では488例中103例(21.1%)に発生し、対照群の476例中85例(17.9%)に比べむしろ高率であったが、両群間に有意な差は認めなかった(絶対差:3.25%、95%信頼区間[CI]:-1.75~8.24%、ハザード比[HR]:1.25、95%CI:0.94~1.67、p=0.13)。 全死因死亡の発生率は、介入群が18.2%と、対照群の16.8%よりも高かったが、有意差はみられなかった(HR:1.12、95%CI:0.83~1.52、p=0.46)。 主要複合アウトカムのうち、心血管イベント(HR:1.26、95%CI:0.88~1.79)、冠動脈血行再建/バイパス移植術(1.20、0.64~2.25)、下肢動脈血行再建/バイパス移植術(1.40、0.64~3.05)のいずれにも有意な差はなかった。また、主要複合アウトカムのHRは、per-protocol解析では1.32(0.96~1.82、p=0.09)、修正per-protocol解析では1.34(0.97~1.83、0.07)に上昇したが、いずれも有意差はなかった。 重篤な有害事象は、介入群では心血管関連が199例(40.8%)、感染症関連が64例(13.1%)、悪性腫瘍関連が22例(4.5%)に、対照群ではそれぞれ191例(40.1%)、63例(13.2%)、21例(4.4%)に認められた。 著者は、「これらの知見は、SHPTを伴わない維持血液透析患者におけるVDRAの使用を支持しない」と結論したうえで、既報の観察研究と異なる結果となった理由の1つとして、副甲状腺機能や骨代謝回転がVDRAの心血管作用を修飾する可能性に言及し、「VDRAは副甲状腺機能亢進症や骨代謝回転が亢進した患者に処方されるのに対し、本研究ではインタクトPTH≦180pg/mLの患者を対象としていることから、VDRAは骨からのリン/カルシウムの動員を抑制することでSHPTの患者にのみ便益をもたらしている可能性がある」と指摘している。

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がんの静脈血栓予防は必要かな?(解説:後藤信哉氏)-982

 日本では静脈血栓症が欧米に比較して圧倒的に少ない。遺伝子型として活性化プロテインC抵抗性を示す血液凝固因子のLeiden型変異がいないことが理由の1つと想定されるが、その他の生活習慣も寄与しているかもしれない。静脈血栓症の圧倒的多数には血栓性素因がある。日本の高齢者に初発の静脈血栓症を認めた場合には、悪性腫瘍が隠れている可能性が高い。静脈血栓症例に対する悪性腫瘍スクリーニングは重要である。 悪性腫瘍一般に予防的抗凝固療法を考える必要はない。本研究ではKhorana scoreを用いて血栓リスクの高いがん、血小板数、白血球数、BMIなどから静脈血栓リスクの高い症例を選別してランダム化比較試験を行った。ランダム化比較試験による「標準治療転換」の前には「標準治療」が確立されている必要がある。がんの症例の静脈血栓予防における標準治療は確立されていない。そこでプラセボとの比較試験になった。アピキサバンはXa阻害薬なので当然重篤な出血イベントを増加させた。血栓イベントも低下した。科学的には「アピキサバンは血栓リスクのある悪性腫瘍の症例にて重篤な出血イベントを減少させ、血栓イベントを低減させた」との結果を得た。もともと確立されていなかった「標準治療」が本研究により確立されたわけではない。ランダム化比較試験を計画するのであれば「標準治療を確立する」、ないし「標準治療を転換」すべくデザインを考えるべきである。

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021)冬も侮れない? 湿布の光線過敏症【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第21回 冬も侮れない? 湿布の光線過敏症しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、冬も侮るべからず、湿布による「光アレルギー性接触皮膚炎」のお話です。とくにケトプロフェン外用薬による光接触皮膚炎は、光線過敏症としても有名です。湿布を貼っていた部位に日光が当たることで、赤み・かゆみなど湿疹の症状が出ます。原因となる湿布の貼付時期は、数週間~1ヵ月ほど前のこともあり、患者さん本人は湿布を貼っていたことを忘れてしまっている場合も多々あります。―皮膚科の診察室にて。露光部(足)に境界明瞭な四角い紅斑…。これは、湿布が原因に違いない。しかし、いざ聞いてみても、患者さんは「貼っていない」の一点張り。診察終了間際に、ようやく思い出したのか、貼っていたことを認めましたが、問診への返事がすべて事実とは限らないな~とあらためて思ったデルぽんでした。皮膚科で多いのは、「薬、ちゃんと塗っています!」と言うのに、実際は正しく外用できていない例。処方した外用薬の減り具合や、症状の改善度合いをみれば、きちんと塗れているかどうかは、ある程度推測できます。塗り方を理解できておらず「塗っているつもり」になってしまっているのか、指示どおり塗れていない自覚はあっても、気まずさから本当のことが言えないのか…。事情はさまざまでしょうが、患者さんの答えの裏側にある事実を意識することは大切だな~と思います!湿布かぶれで思った、問診の裏側についてのお話でした~。それでは、また~!

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顕微鏡的多発血管炎〔MPA:microscopic polyangiitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は、抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が陽性となる中小型血管炎である。欧米と比べ、わが国ではプロテイナーゼ3(proteinase3:PR3)ANCA陽性患者が少なく、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)陽性患者が多く、欧米よりも高齢患者が多いのが特徴である1,2)。多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA、旧ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、旧チャーグ・ストラウス症候群)とともに、ANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)に分類される。■ 疫学平成28年度の指定難病受給者は9,610人であった。Fujimotoらは、AAV発症の地理的な相違を明らかにするために、日本と英国でのAAV罹患率の比較を行った。AAVとしては、100万人当たりの年間罹患率は、日本22.6、英国21.8で同等であったが、日本ではAAVの約80%をMPAが占める一方で、英国では6.5%のみであり、GPAが最も多く約65%であった3)。男女比は1:1~1:1.2とされている。■ 病因1)遺伝的背景日本人のMPAでは、HLA-DRB1*09:01陽性例が50%にみられ、健康対照群に比べて有意に多いことが報告されている1,4)。このHLA-DRB1*09:01は日本人の29%に認められるなどアジア系集団で高頻度に認められるが、欧州系集団やアフリカ系集団にはほとんど存在しない1,4,5)。このことが、日本でMPAやMPO-ANCA陽性例が多い遺伝的背景の1つと考えられる。さらにその後、DRB1*09:01とDQB1*03:03の間に強い連鎖不平衡が認められ、この両者がMPAと関連すること、逆に、DRB1*13:02はMPAとMPO-ANCA陽性血管炎の発症に対し抵抗性に関与している(MPO-ANCA陽性血管炎群に有意に減少している)ことが明らかとなった5,6)。2)血管炎発症のメカニズムBrinkmannらは、phorbol myristate acetate(PMA)で刺激された好中球が細胞死に至る際に、DNAを網状の構造にし、MPOやPR3などの抗菌タンパクやヒストンとともに放出する現象を見出し、その構造物を好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と呼んだ7,8)。NETsは細菌などを殺し、自然免疫に関与しているが、その後ANCA関連血管炎患者の糸球体の半月体の部分に存在することが確認された8,9)。Nakazawaらは、プロピルチオウラシル(抗甲状腺剤)添加により生成されたNETsが、NETsの分解酵素であるDNase Iで分解されにくいこと、さらにこれを投与したラットがMPO-ANCA陽性の細胞増殖性糸球体腎炎を発症することを報告した8,10)。さらに、MPO-ANCAを有するMPA患者のIgGは、全身性エリテマトーデス患者や健常者よりも強くNETsを誘導すること、NETs誘導の強さは疾患活動性やMPO-ANCAのMPOへの結合性と相関していること、MPA患者血清のDNase I活性が低下していることが報告された8,11)。これらをまとめ、岩崎らは、MPA患者はDNase I活性低下などNETsを分解しにくい素因があり、感染や薬剤(プロピルチオウラシル、ミノサイクリン、ヒドラジンなど)1)が加わり、NETsの分解障害が起こり、NETsの構成成分であるMPOに対する抗体(MPO-ANCA)が産生されること、さらにANCAがサイトカインや補体第2経路によりプライミングされた好中球表面のMPOに強固に結合し、Fcγ受容体を介してさらに好中球を活性化させてNETsを放出し、血管壁を壊死させるメカニズムを提唱している8)。■ 分類腎型、肺腎型、全身型に分類されるが、わが国では、肺病変のみの症例も多数認められる。■ 症状発熱、食思不振などの全身症状、紫斑などの皮膚症状、関節痛、間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎などを来す。わが国では、欧米に比べ間質性肺炎の合併頻度が高い12)。EGPAほど頻度は高くないが、神経障害も認められる。■ 予後初回治療時の寛解率は90%以上で、24ヵ月時点での生存率も80%以上である。わが国では高齢患者が多いため、感染症死が多く、治療では免疫抑制をどこまで強くかけるかというのが常に問題になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査所見としては、炎症所見、血尿、蛋白尿、円柱尿、血清クレアチニン上昇、MPO-ANCA陽性などを認める。診断には、厚生労働省の診断基準(1998年)が使用される(表)。表 MPAの診断基準〈診断基準〉確実、疑い例を対象とする【主要項目】1) 主要症候(1)急速進行性糸球体腎炎(2)肺出血、もしくは間質性肺炎(3)腎・肺以外の臓器症状:紫斑、皮下出血、消化管出血、多発性単神経炎など2) 主要組織所見細動脈・毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死、血管周囲の炎症性細胞浸潤3) 主要検査所見(1)MPO-ANCA陽性(2)CRP陽性(3)蛋白尿・血尿、BUN、血清クレアチニン値の上昇(4)胸部X線所見:浸潤陰影(肺胞出血)、間質性肺炎4) 判定(1)確実(definite)(a)主要症候の2項目以上を満たし、組織所見が陽性の例(b)主要症候の(1)および(2)を含め2 項目以上を満たし、MPO-ANCAが陽性の例(2)疑い(probable)(a)主要症候の3項目以上を満たす例(b)主要症候の1項目とMPO-ANCA陽性の例5) 鑑別診断(1)結節性多発動脈炎(2)多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)(3)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:アレルギー性肉芽腫性血管炎/チャーグ・ストラウス症候群)(4)川崎動脈炎(5)膠原病(SLE、RAなど)(6)IgA血管炎(旧称:紫斑病血管炎)【参考事項】1)主要症候の出現する1~2週間前に先行感染(多くは上気道感染)を認める例が多い。2)主要症候(1)、(2)は約半数例で同時に、その他の例ではいずれか一方が先行する。3)多くの例でMPO-ANCAの力価は疾患活動性と平行して変動する。4)治療を早期に中止すると、再発する例がある。5)除外項目の諸疾患は壊死性血管炎を呈するが、特徴的な症候と検査所見から鑑別できる。(吉田雅治ほか. 中・小型血管炎の臨床に関する小委員会報告.厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班難治性血管炎分科会.平成10年度研究報告書.1999:239-246.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)わが国では厚生労働省の血管炎に関わる3研究班合同のAAV診療ガイドラインと13,14)、腎障害を伴うAAVについての厚生労働省難治性腎疾患研究班によるエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドがあり15)、欧米では、英国リウマチ学会(BSR)によるAAV診療ガイドラインがある16,17)。その後、3研究班合同のAAV診療ガイドライン18)が改訂された。■ 寛解導入療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでのMPAの治療アルゴリズムを図に示す。基本的には、ステロイド(GC)とシクロホスファミド(CY、[商品名:エンドキサン])の併用療法であるが、経口CYよりも静注CY(IVCY)が推奨されている。CYは年齢、腎機能などで減量を考慮する。欧米では、リツキシマブ(RTX、[同:リツキサン])がIVCYと同じポジションであるが、わが国では高齢患者が多いためにIVCYが推奨された。また、患者の状態によりメトトレキサート(MTX、[同:リウマトレックス])、ミコフェノール酸モフェチル(MMF、[同:セルセプト])、血漿交換なども推奨されている。GCの減量速度はAAVの再発に大きく関わっており、あまりに急速な減量は避けるべきである19)。図 MPA治療アルゴリズム(厚生労働省3班AAV診療ガイドライン)画像を拡大する*1GC+IVCYがGC+POCYよりも優先される。*2ANCA関連血管炎の治療に対して十分な知識・経験をもつ医師のもとで、RTXの使用が適切と判断される症例においては、GC+CYの代替として、GC+RTXを用いてもよい。*3GC+IVCY/POCYがGC+RTXよりも優先される。*4POCYではなくIVCYが用いられる場合がある。*5AZA以外の薬剤として、RTX、MTX*、MMF*が選択肢となりうる。*保険適用外■ 寛解維持療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでは、GC+アザチオプリン(AZA、[同:イムラン、アザニン])を推奨しており、そのほかの免疫抑制薬としてRTX、MTX、MMFが推奨されている。一方、難治性腎疾患研究班のRPGNガイドラインではRTXのかわりにミゾリビン(MZR、[同:ブレディニン])が推奨されている。やはりわが国のAAVは高齢者が多いこと、腎機能が低下するとMZRの血中濃度が上昇し、よい効果が得られることなどがその理由として考えられる。4 今後の展望2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインによる治療の変化(とくにアバコパンについて)補体活性化の最終段階で産生される C5aRを選択的に阻害する経口薬アバコパン(商品名:タブネオス)は、ADVOCATE試験20)によりAAVに対する有効性および安全性を確認し、「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を適応症として2022年6月に発売された。その後、2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインにおいて、MPA/GPAの寛解導入治療でCYまたはRTXを用いる場合、高用量GCよりもアバコパンの併用を提案することが明記された。その他の薬剤ではMPA/GPAの寛解導入治療として、GC単独よりもGC+IVCYまたは経口CYを、GC+経口CYよりもGC+IVCYを、GC+CYと同列にGC+RTXを、GC+CYまたはRTXを用いる場合はGCの通常レジメンよりも減量レジメンを提案することが明記された18)。なお、アバコパンの添付文書には重大な副作用として肝機能障害が記載されている。その多くは投与開始から3ヵ月以内の発現であるが、それ以降に発現しているケースも報告されていることから、定期的なモニタリングが必要である。5 主たる診療科膠原病内科、リウマチ科、腎臓内科、呼吸器内科、皮膚科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 顕微鏡的多発血管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本循環器学会. 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版). 2018;54-60.2)佐田憲映.ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎.日本リウマチ財団 教育研修委員会編. リウマチ病学テキスト 改訂第2版. 診断と治療社;2016.p.265-267.3)Fujimoto S, et al. Rheumatology. 2011;50:1916-1920.4)Tsuchiya N, et al. J Rheumatol. 2003;30:1534-1540.5)川崎 綾.顕微鏡的多発血管炎(1)疫学・遺伝疫学.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.215-219.6)Kawasaki A, et al. PLoS ONE. 2016;11:e0154393.7)Brinkmann V, et al. Science. 2004;303:1532-1535.8)岩崎沙理ほか.小型血管炎(2)顕微鏡的多発血管炎の病理・病態.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.220-225.9)Kessenbrock k, et al. Nat Med. 2009;15:623-625.10)Nakazawa D, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:3779-3787.11)Nakazawa D, et al. J Am Soc Nephrol. 2014;25:990-997.12)Sada KE, et al. Arthritis Res Ther. 2014;16:R101.13)有村義宏ほか 編. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017. 診断と治療社;2017.14)Nagasaka K, et al. Mod Rheumatol. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]15)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性腎疾患に関する調査研究班 編. エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2017. 東京医学社;2017.16)Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.17)駒形嘉紀.顕微鏡的多発血管炎(4)治療.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―.日本臨牀社;2018.p.232-237.18)針谷正祥、ほか. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社:2023.19)Hara A, et al. J Rheumatol. 2018;45:521-528.20)Jayne DRW, et al. N Eng J Med. 2021;384:599-609.公開履歴初回2018年12月25日更新2024年7月11日

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PPIがスイッチOTC化できない原因は薬剤師!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第15回

継続審議中だったプロトンポンプ阻害薬(PPI)のスイッチOTC化がまたもや議論に上り、そして今回も見送られました。厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は12月5日、第6回目の会合を開催。(中略)前回会合でスイッチ「否」と判断したPPI製剤については、パブリックコメントでは98件中84件で「賛成」となった点を踏まえ再度議論。しかし、現段階でのOTC薬化は見送られた。(2018年12月6日付 RISFAX)事前に募られていたパブリックコメントで85%の賛成を得たにもかかわらず、PPI 3成分(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール)のスイッチOTC化が見送られました。再三にわたって認められない原因は何なのでしょうか。議論の中では、PPIのスイッチOTC化見送りの理由として、薬剤師らによる薬局やドラッグストアなどでのOTC薬の不適切な販売実態が指摘されています。「不適切な販売実態」については、本コラムでも以前「不適切な一般薬の販売が増加傾向 スイッチOTC化の障害となる?」として取り上げていますので、簡単に振り返りたいと思います。名札を着けない、濫用のある医薬品を何も質問せず販売2018年8月に2017年度の「医薬品販売制度実態把握調査」結果が公表されました。それによって、OTC薬を販売する際に「名札を着けておらず、専門家かどうかわからない」、「濫用の恐れがあるエフェドリンなどが含まれる風邪薬を複数個購入しようとした人に、何も質問せず販売する」など、薬剤師らの不適切な販売実態が明らかになりました。この調査は毎年1回行われていますが、昨年度と比べて結果が改善されているとは言えず、むしろ悪化している項目もありました。調査期間はおおむね11~12月ですので、忙しい時期に調査なんてしないで! と言いたくもなりますが、不適切な対応をしてしまった言い訳にはなりません。なお、今回の議論において、これらの販売体制の改善が示されれば再度議論を行うとされていますので、まだPPIのスイッチOTC化の可能性は消えたわけではありません。PPIを医師の処方なしに手軽に服用できると、重篤な疾患の初期症状がマスクされる可能性があるといった懸念も当然あるでしょう。しかし、これまで何度も議論に上りながら先送りされている現状を見ると、大きな利権が複雑に絡んでいてPPIがなかなかスイッチOTC化されないのかなぁ、とも個人的には勘ぐってしまいます。ただ、薬局やドラッグストアでのOTC薬の販売体制が不適切であったため、セルフメディケーションの推進に水を差す理由を作っていることもまた事実です。安全性の懸念も解消して、パブリックコメントの85%が賛成しているのにスイッチOTC化が再三見送られる、という流れに終止符を打つため、もう一度OTC薬の販売体制が適切かどうか見直してみませんか? 日々の薬剤師らのOTC薬販売体制が今後のスイッチOTC化を左右するといっても過言ではありません。

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サン・アントニオ2018レポート

レポーター紹介2018年のサン・アントニオ乳シンポジウム(SABCS)は、12月4~8日の5日間で開催された。天候は連日曇りで肌寒く、後半は雨で、会場周辺の風も強かった。最近はどのがん種においても免疫チェックポイント阻害剤の話題が花盛りであるが、乳がん領域でも報告が目立ってきた。それに伴ってTIL(Tumor Infiltrating Lymphocyte)やPD-L1の免疫染色の報告も多くなったように思う。また、原発巣と転移巣の遺伝子変化の違いが徐々に明らかにされ、CTCs (Circulating Tumor Cells)とcfDNA(cell free DNA)を同時に測定してその違いをみるような報告もあり、遺伝子検索が当たり前のように、われわれの臨床に取り込まれつつある。また、私たちの臨床に有用な発表も多くあり、かなり充実した内容であったと思う。アナストロゾール5年終了後さらに5年の追加投与の有効性を検証する本邦の臨床試験(AERAS、N-SAS BC 05)なんと言っても最初に取り上げたい報告である。日本発の大規模無作為化比較試験である。広島市民病院の大谷 彰一郎先生が素晴らしいパフォーマンスで発表され、会場が笑いで包まれていた。もちろんその内容も充実したものであった。試験名はAERAS(Arimidex Extended adjuvant RAndomized Study)であり、その意味はギリシャ語で“風”である。アナストロゾール(ANA)を約5年使用した方が対象だが、タモキシフェン(TAM)からANAに切り替えて2年以上使用した方も許容している。主要評価項目はDFSで1,697例が2群に割り付けされた。ステージはT1が約50%、N0が約78%であった。TAM→ANAは約9%と少数であった。中央観察期間4.9年でDFSはコントロール群(84.4%)と比較しANA群(91.9%)で良好であった(HR=0.548、p=0.0004)。DDFS(HR=0.514、p=0.0077)も同様であった。OSには差はなかったが(HR=1.389、p=0.665)、症例数、患者背景、観察期間が影響しているものと思われる、会場でも質問があったが、第2がん(対側乳がんを除く)の発生がANA群で1.5%(コントロール群4.3%)と低かった理由は不明である。一般的に考えられることは、他がんの発生リスクに影響するような遺伝的、環境的因子までは層別化できないので、症例数が多いといえども若干の偏りが起こりうることは否定できず、ANAの効果とは通常は考えられないだろう。有害事象も少ないが、これはANAを5年完遂した方が対象であるためであろうと推測される。私自身はとくに臨床が変わることはなく、TAM延長と同様に高リスクに対してANAを含めたAI剤の延長を提案している。EBCTCGメタアナリシス − 内分泌療法5年終了後のアロマターゼ阻害剤追加効果EBCTCGメタアナリシスで、11の比較試験で2万2,192例の女性が対象となっている。これは3つに分類され、簡単にまとめると、a)TAM5年のみ:7,500例→全再発、遠隔転移、乳がん特異的死亡率に有意差ありb)TAMからAIへのスイッチで5~10年:12,600例→全再発のみに有意差ありc)AI5年のみ:4,800例→全再発のみに有意差ありであった。当然のことながら、リンパ節転移が多いほど絶対差が大きくなっていた。AIの延長により骨折率が有意に上昇していたが、再発以外の死亡率には差がなかった。今回の解析にはAERASのデータは残念ながら含まれていなかったが、今後さらに複数の結果が統合され再解析されるだろう。AERAS試験の解説で述べたように、やはり高リスク群でAI延長の価値があるものと考えられる。乳管内新生物の再発予防のための低用量タモキシフェンこれは私にとって驚くべき臨床試験であった。タモキシフェン(TAM)に対して副作用の強い患者は決して少なくなく、アドヒアランスの低下につながっていた。そのため、どうしても副作用をマネジメントしきれない患者に対しては、実臨床上本来20mg/日のところを10mg/日に下げて使用することもあった。もちろん治療効果の低下につながる可能性も否定できないことを伝えての話である。しかし、TAMは一定の血中濃度を保たないとまったく効果がなくなるというおそらく不適切な知識をどこかで得て、10mgの使用をやめた経緯がある。あらためて『乳のホルモン療法4 抗エストロゲン剤(SERM)』(医学図書出版、野村 雍夫著)をひもとくと、かなり古くから10mg/日以下の低用量TAMが有効で、有害事象も少ない可能性が指摘されていた。またKi67の低下は1mg、5mg、20mgでまったく異ならなかった(Decensi A, et al. J Natl Cancer Inst. 2003;95:779-790. )。そして高リスクDCISの再発は10mgでも十分に抑制していた(Guerreri Gonzaga et al.Int J Cancer.2016;139:2127-2134.)。研究デザインはADH、LCIS、ER+のDCISでイタリア14施設から500例を集積しTAM 5mgとプラセボを無作為化割り付けし、3年の治療と少なくともさらに2年の経過観察を行った。中央観察期間は5.1年であった。その結果、乳房の全イベント、対側乳がんの発生ともに十分な抑制効果が得られていた。重篤な有害事象はほとんど差がなく、むしろプラセボ群のほうが多かったくらいである。ホットフラッシュはTAMでやや頻度が高かった。膣乾燥、筋骨格系の痛み、関節痛は有意差を認めなかった。またアドヒアランスもまったく差がなかった。本研究によりDCIS等で局所再発および対側乳がん発症抑制のための術後内分泌療法を提案しやすくなった。また、これは本研究の内容とは話がずれてしまうが、20mgで副作用が強く生活に大きな支障を来している乳がん患者にとっても10mgというオプションを提案することができる。治療は1か0ではない。1ほどでなくても0より十分高い効果が得られるのであれば、それを使用する価値が私はあると考えている。オキシブチニンによるホットフラッシュ抑制効果をみる二重盲検プラセボ対象無作為化試験(ACCRU SC-1603)オキシブチニンは尿失禁・尿意切迫感・頻尿治療剤として古くから使われている抗コリン薬であり、汗を減少させるため多汗症に有効とされている。難治性のホットフラッシュに対しても後方視的、前方視的研究で有効性が示されていた。ただし、15mg/日では毒性も無視できないものであった。本試験はTAMまたはAIを内服していて、ホットフラッシュが1週間に28回以上で30日以上持続している女性を対象に、オキシブチニン2.5mg、5mg、プラセボの3群に分けて比較している。過去の試験とともに比較するとホットフラッシュの改善度は、クロニジン、フルオキセチン、シタロプラム、ハラヴェン、ベンラファキシン、プレガバリンよりも大きかった、オキシブチニンの用量による差を正式にはみていないが、5mgの方がホットフラッシュ改善度、QOL尺度の改善度ともに大きく、毒性も許容範囲であった。本研究でよくわからないのは、過去のどの研究を比較対象にしたのか記載がないことと、詳細な有害事象の記録がないことであった。いずれにしてもオキシブチニンは本邦でも安価で低用量から使えるので、尿失禁の病名が今後増えるかもしれない。HR陽性浸潤がんに対しては、まずTAMは20mgの標準量で開始し、ホットフラッシュが強ければオキシブチニンで対応してみる。他の副作用とともにコントロールが難しくアドヒアランスが保てない状況では、低用量TAMの提案も考慮する。一方DCISであれば、最初から低用量TAM3年予定で開始するのも許容されるだろう。EBCTCGメタアナリシス−領域リンパ節照射EBCTCGメタアナリシスで、14試験、1万3,500例の女性が対象となっている。領域照射は腋窩、内胸、鎖骨上が含まれる。実際の照射は領域だけでなく、乳房や胸壁への照射もほとんどが同時に行われていたと思われる。今回の解析では古い試験(1961~78年)と最近の試験(1989~2003年)に分けて解析されたが、その理由は照射の技術が大きく異なり心臓への影響が異なると予想されるからである。最近の試験では10年の乳がん特異的死亡率はN0~3個では差がなくN4個以上で有意差(7.9%の絶対差)が認められた。ただし、Forest plotでは照射の効果は転移個数によらず一定していることから、N1~3個では症例を選択して照射を考慮するのがよいだろう。すなわち悪性度の高いタイプでは、胸壁を含めた照射の候補となろう。術前化学療法を施行している場合は、悪性度の高い浸潤がんで効果が弱く、胸壁やリンパ節に残存している症例に対して有効であろう。センチネルリンパ節生検陽性に対し、腋窩郭清群と照射群を比較した試験-AMAROS試験の10年の結果5年の結果はASCO2013 乳がん会員聴講レポートにて既に報告しているので、研究の詳細はそちらを参照して欲しい。腋窩照射の範囲はlevel I+II+III+鎖骨上内側であり、全摘症例も約20%含まれている。今回10年という長期成績であるが、結論は変わらず腋窩再発は両群ともきわめてわずかであった(郭清群0.43%[5yrs]→0.93%[10yrs] vs.照射群1.19%→1.82%)。もちろんDFS、DDFS、OSとも差はなかった。リンパ浮腫は5年で24.5% vs.11.9%であり、照射群での出現率が半分以下である。リンパ浮腫治療を要する割合も18.2% vs.6.6%であり、照射群での程度の軽さをうかがわせる。肩の機能は両群で差はなかった。このことから全摘症例でセンチネルリンパ節生検陽性でも、もはや郭清は不要で、腋窩照射の適応となろう。考慮すべき問題はZ0011と合わせて、照射範囲をどこまで行うかである。むやみやたらと鎖骨上まで照射するのも考えものである。1つの目安として腋窩リンパ節転移4個以上を予測するKatzのノモグラムが参考になる。Validationもしっかり行われている。(Katz A,et al.J Clin Oncol. 2008;26:2093-2098.)。計算式は原発巣浸潤径 (cm) x 2.6 +(センチネルリンパ節転移陽性数 x 9.2)+11 リンパ管侵襲+のとき+11 i小葉がんのとき+11 iリンパ節節外浸潤+のとき+16 iリンパ節転移相の最大径> 2mmのとき-8.6 センチネルリンパ節1個以上のとき-58であり、合計0で4個以上の確率50%である。これくらいの確率があれば、胸壁と鎖骨上まで照射する価値が十分あるかもしれない(ここは意見の違いがあるだろう)。悪性度の高いサブタイプも考慮に入れるべきである。術前化学療法が行われた場合には、リンパ節転移残存、原発巣浸潤がん残存、悪性度の高いサブタイプ、となろうか。細胞診や針生検で腋窩転移があらかじめわかっている症例はどうするか。この場合は陽性リンパ節+αのlower axillary dissectionを行い、病理結果からKatzのノモグラムと合わせて照射の範囲を決定してはどうか。これらはあくまで1つの提案であり、各施設でよく議論して決めていくべきである。トリプルネガティブ乳がんに対する標準化学療法へのカペシタビンの上乗せ効果スペインからの報告である。標準化学療法を終えた後にカペシタビンを8サイクル行うか経過観察するかの第III相無作為化比較試験であり、主要評価項目はDFSである。スペインおよび中南米の8ヵ国から876例が無作為化され、N0が約55%であった。結果として5年DFSは79.6% vs.76.8%であり、有意差は認められなかった。サブセット解析ではBasalでは差がないものの、Non-basalで82.6% vs.72.9%(HR=0.53、p=0.02)と有意にカペシタビン群で良好であった。OSもNon-basalで89.5% vs.79.6%(p=0.007)と有意であった。サブセット解析のためあくまで参考データではあり、今後の研究が待たれる。CREATE-Xでは術前化学療法でnon-PCRに対してカペシタビンが追加され、その効果が証明された(Masuda N, et al.N Engl J Med.2017;376:2147-2159.)。サブセット解析ではTNBCで差が大きかった。こちらについてもBasal vs.Non-basalで比較してみると面白そうである。いずれにしてもTNBCではなるべく術前化学療法で効果判定をして、カペシタビンの使用を考えるのが賢明であろう。トリプルネガティブ乳がんに対して術後補助化学療法の遅れが与えるインパクト2004~2014年にトリプルネガティブ乳がん(TNBC)と診断され、術後補助化学療法を行った687例を対象に、手術から最初の化学療法開始までの期間を130日以内(189例、27.5%)、31~60日(329例、47.9%)、61~90日(115例、16.7%)、91日以上(54例、7.9%)の4グループに分類して予後をみた。年齢中央値は48歳、ステージはIIが60%、化学療法はAnthracycline-Taxaneが54.6%、Anthracycline41.5%であった。OS、DFSともに、30日以内が最も良好であった。多変量解析でも独立した因子であった。10年OSは30日以内とそれ以上で10%以上の絶対差があった。化学療法の遅れと予後に関する研究を一部紹介する。Zhan QH, et al. Oncotarget.2017;9:2739-2751.システマティックレビューとメタアナリシスであり、最終的に12研究(15の解析グループ)が選択され、12グループではOS、5グループではDFSが検討された。4週間遅れるごとに、OS、DFSともに予後不良と関連していた。総合解析では、2週から18週までの間で、1週間遅れるごとにOSが低下していく傾向がみられた。2つの研究ではサブタイプについても検討され、TNBCにおいて61日以上の遅れは、30日までと比較しOSが不良であった。HER2タイプで有意差が出なかったのは、トラスツズマブの使用にばらつきがあるかもしれないと考察している。Gallagher CM, et al. Breast Cancer Res Treat.2016;157:145-156.米国国務省健康保険請求データベースから抽出された2,749例のHER2陽性乳がん患者において、診断から術後トラスツズマブ使用までの間隔が6ヵ月を超える例(552例)では、6ヵ月以下(2,197例)と比較して、再発、OS、RFSとも不良であった。Riba LA, et al. Ann Surg Oncol. 2018;25:1904-1911.米国国立がんデータベースから抽出された16万6,681例の乳がん女性患者を対象に、術後90日以上の化学療法の遅れに関連した外科的因子を解析している。4.3%が90日を超えていて、関連する因子は術後の予期しない再入院、より小さな切除量、自家組織再建を伴う全摘、断端陽性であった。また90日以上の遅れは5年のOSの低下と関連していた。予後不良因子としては、より高齢、より高い併存疾患指数、より大きい腫瘍径、より多いリンパ節転移、HR-/HER2+、TNBCであった。これらの研究は当然のことながら、すべてnon-RCTである。しかし、いずれもほぼ一貫した結果となっており、より高悪性度の腫瘍、とくにTNBCやトラスツズマブ使用を前提としたHER2陽性(HR陰性)では、できるだけ早期に化学療法が行えるよう配慮していくことが求められる。化学療法の遅れは、手術からだけではなく、初診から、さらには異常発見時からの期間も関係している可能性がある。乳がんに限らず、これらすべての流れが円滑に行えるようなシステムの構築が、病院、地域、国単位で必要であろう。6ヵ月と12ヵ月のトラスツズマブ投与を比較するPHARE試験の最終結果非劣性試験で、マージンは1.15と設定されていて、3,384例の患者が無作為化割り付けされた。3.5年の観察期間での結果は以前に論文化されており、非劣性は証明されなかった。Pivot X, et al. Lancet Oncol. 2013;14:741-748.今回は7.5年の経過観察で最終解析であり、HR=1.08、95%CI 0.93~1.25、p=0.39であった。生存率曲線はほぼぴったりとくっついているものの、やはり非劣性は証明されなかったということである。演者が語っていたのは他試験との非劣性マージンの設定の違いである。PERSEPHONE試験ではマージンを1.25に設定していたために、非劣性を証明できた。結果はほぼ同様なのに、この違いで非劣性を証明できなかったことを結論で述べていた。確かにその通りである。結局は私たち臨床家がどの程度の非劣性マージンを許容するかにかかっている。心毒性は長期投与のほうが増えることは確実である。多くの試験結果が揃ってきたので、これらの結果に基づいて臨床的にどのように対応するべきか私たちはよく話し合う必要がある。私自身のスタンスは以前から変わっておらず、ASCO 2017乳がん会員聴講レポートのShort-HER試験のところで述べた。予後良好群ではタキサンとHERの同時併用3ヵ月で終了するが、より予後の悪い群では従来通り12ヵ月使用する。現時点で6ヵ月のオプションは提示していない。トラスツズマブを受けるHER2陽性乳がん患者の心毒性予防としてのアンジオテンシン変換酵素阻害薬(リシノプリル)とβブロッカー(カルベジロール)の無作為化地域密着型試験小規模の研究からACE阻害薬とβブロッカーの心毒性予防効果が示唆されていた。本研究は無作為化二重盲検プラセボ対照多施設地域密着型試験であり、主要評価項目は52週のトラスツズマブ使用中から終了後1年以内の心毒性率である。アントラサイクリンを含むレジメンではプラセボよりもリシノプリルとカルベジロール使用群で心毒性のない生存率が良好であった。それに対してアントラサイクリンを含まないレジメンでは差がなかった。リシノプリルとカルベジロールでは有意な差はなかったが、絶対差としてカルベジロールのほうが良好な傾向であった。心毒性以外の有害事象として、疲労、めまい、頭痛、咳、低血圧ともにカルベジロールのほうが低頻度であった。本結果からカルベジロールとリシノプリルはトラスツズマブによる心毒性を抑制できることがわかり、十分に使用する価値がある。トラスツズマブを含む術前化学療法にて浸潤がんが残存した乳がんに対する術後補助療法としてのトラスツズマブとT-DM1の比較-KATHERINE試験からの初回報告本試験は、HER2陽性乳がんでHER2標的薬を含む術前化学療法により、浸潤がんが残存した場合に、T-DM1またはトラスツズマブを無作為化割り付けし、いずれも14サイクル行った場合の生存率をみたもので、発表後すぐに論文化された(Von Minckwitz G, et al. N Engl J Med. 2018 Dec 5.)。主要評価項目はIDFSで、1,486例が無作為化割り付けされた。HR陽性が72%で、術前化学療法後のリンパ節転移陽性が46%であった。また術前に使われたHER2標的剤トラスツズマブ単独が80%であったが、残りはペルツズマブ等が併用されていた。中央観察期間は41ヵ月で、3年IDFSはT-DM1群が有意に良好であった(77.0% vs.88.3%、HR=0.50、p

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食事療法の見直しへ日本糖尿病学会が動き出す

 食の欧米化や糖質制限の流行、高齢者の低栄養が問題となる昨今、日本人における食事療法の見直しが迫られている。2018年11月5日、日本糖尿病学会が主催する「食事療法に関するシンポジウム」が、5年ぶりに開催された。講演には、座長に羽田 勝計氏(「糖尿病診療ガイドライン2016」策定に関する委員会委員長)と荒木 栄一氏(「糖尿病診療ガイドライン2019」策定に関する委員会委員長)を迎え、5名の糖尿病専門医らが登壇した。 また、パネルディスカッションには、さまざまな観点からの意見を求めるべく、5つの団体(日本老年医学会、日本腎臓学会、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本病態栄養学会、日本糖尿病協会)の代表が参加した。 本稿では講演の概要をお届けする。糖尿病食事療法でのBMI 22を基準としたエネルギー設定の問題点 宇都宮 一典氏(食事療法に関する委員会委員長)は「総エネルギー摂取量設定法をめぐる課題」をテーマに講演を行った。宇都宮氏は、食事療法の目的は、糖尿病の代謝異常の是正による合併症の抑制にあるとし「患者の条件を考慮した個別化の検討が必要」と述べた。なかでも、エネルギー設定が最も重要であることから、「これまで、標準体重を基に一律に総エネルギー摂取量を設定してきたが、エネルギー必要量には個人差が著しく、個々のさまざまなデータ(脂質、血圧など)の改善度を評価し、順守性もみながら設定すべき」と、改めて強調した。 また、死亡率の低いBMI 22を、標準体重としてエネルギー設定することの問題点として、海外と日本のデータを基にコメント。1)患者の死亡率が低いBMIは20~25の幅があり、また、75歳以上の後期高齢者の場合、そのBMIは25以上2)体重が増えるほど消費エネルギーは増加し、肥満者ほどエネルギー設定との乖離が増す3)国際的には実体重当たりで表記されており、比較することが難しいなどを挙げた。ただし、日本ではBMI 22を標準体重とすることが広く普及しており、十分なコンセンサスの形成が必要、と結んだ。糖尿病患者の食事療法におけるエネルギー必要量は? 勝川 史憲氏(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)は「糖尿病患者のエネルギー必要量:エビデンスと歴史的経緯について」を講演した。 糖尿病患者の体重当たりの総エネルギー必要量に対して、「根拠となるデータが公表されていない」と指摘する勝川氏は、エネルギー消費量の計算においてゴールデンスタンダードな二重標識水法について解説。この方法は、自由行動下のエネルギー消費量を精度高く測定する方法であるが、コストが高く多人数の測定が困難であるという。 同氏がこの方法を用いた海外を含む4つの文献データを基に、総エネルギー消費量とBMIをプロットしたところ、「糖尿病患者のエネルギー必要量は健康な人と差がない、もしくは5~6%程度高め」という結果となった。これを踏まえ、食事療法における過少なエネルギー処方が、減量の不良や高齢者の虚弱に繋がることを指摘した。また、種々の食事調査と二重標識水法による総エネルギー消費量を評価した研究結果を挙げ、「太った人の食事調査ほど当てにならない」とコメントした。 最後に、時代変遷と食品の変化について語った同氏は、「昭和から平成にかけて食事のポーションサイズが大きくなっている」と述べ、「戦後間もない時代はMサイズの卵が80kcal/個だったのが、現在は同サイズが100kcal/個へと大きくなっている」と現状に適したわかりやすいエネルギー単位の検討について訴えた。高齢者糖尿病の食事療法の目的にフレイル・サルコペニアの予防 荒木 厚氏(東京都健康長寿医療センター/日本老年医学会)は「健康寿命を目指した高齢者糖尿病の食事療法」について、J-EDIT試験を中心に講演を行った。 高齢者糖尿病の食事療法の目的は、過剰摂取だけではなく、合併症予防やQOLの維持・向上、そして、これからは老年症候群と言われる認知症やサルコペニア、フレイルなどの予防が重要となる。荒木氏はさまざまな国内外の文献を示しながら、糖尿病患者のフレイル・サルコペニアのリスクを提示し、筋肉量、筋力や歩行速度の低下を指摘。同氏は、「ビタミンD低下はサルコペニア、ビタミンB2やカロチン摂取低下は認知機能低下、タンパク質摂取低下は筋肉量および下肢機能低下などのフレイルに関連する」と述べ、「タンパク質1.0g~1.5g/kg体重の摂取がサルコペニアの予防に大切である」と解説した。このほか、ロイシンを考慮した食事療法も推奨した。 J-EDIT試験の結果を踏まえ同氏は、「後期高齢者はタンパク質摂取が低い群で死亡リスクが高くなる。さらに、「緑黄色野菜の摂取量がHbA1cや中性脂肪値にも影響する」と、栄養成分ごとのリスクについて訴えた。糖尿病の食事療法で肥満患者以外へのカロリー制限を中止 “現在の糖尿病診療ガイドラインの食事法は根拠がない”と訴える山田 悟氏(北里大学北里研究所病院糖尿病センター)は「エビデンスで考える(日本人)2型糖尿病の食事療法」をテーマに講演した。 かつて、同氏が所属する病院でも、カロリー制限や脂質制限を推奨してきた。しかし、2016年にカロリー食によるサルコペニアリスクを示す論文報告を受けたのを機に、肥満患者以外へのカロリー制限を中止したという。 そもそも、欧米の糖尿病患者は太っていることが多い。一方で、日本人の糖尿病患者はBMI 24前後の患者が多く、体重管理のためのエネルギー処方は不要と考えられる。同氏は、「現在の治療法は、高血糖ではなく肥満の治療法である。非肥満患者に肥満治療食が提供されていてナンセンスである」とコメント。また、カロリー制限では脂質・タンパク質摂取によるインクレチン分泌を利用できないため、血糖管理には向かない。「理論的意義も実際の有効性も安全性も担保されていない」と、指摘した。 現在、ハーバード大学におけるメタボリックドミノの新モデルでは、糖質の過剰摂取が最上流として着目されており、実際、日本国内外で糖質制限食のエビデンスはそろっている。今後の糖尿病診療ガイドライン改訂に向けて同氏は、「日本人の糖尿病食事療法にエビデンスのある、多様な食事法の導入を目指していくべき」と提言した。糖尿病食事療法のための食品交換表は食事の実態と乖離 綿田 裕孝氏(「食品交換表」編集委員会委員長)が「糖尿病食事療法の指導状況の調査ー食品交換表の使用実態を中心にー」をテーマに講演した。 2013年11月に改訂された「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」は、現在の食品成分を緻密に反映した内容となっており、患者が摂取した食品を正確に把握すれば食事療法の実践に有効である。一方で、「現代社会において簡単に使いやすい、いろいろな食習慣・環境の人が使えるという定義どおりのものになっているかどうかは疑問が残る」と同氏は指摘。 この食品交換表の活用における実態を把握するために、今年6月に日本糖尿病学会に所属する管理栄養士らを対象にアンケート調査が行われた。その結果、食品交換表をあまり使用しない、まったく使用しないと回答した人が約40%に上り、その理由として、食事療法の対象となる患者のうち、調理する習慣がない、調理ができなくなった、中食・外食・コンビニ利用者が約90%占めるなど、現代の患者背景を考えると、調理を基盤とした食品交換表を使用するのが困難である、といった問題が浮き彫りとなった。 この結果より、同氏は、「食品交換表が食事の実態や指導したい内容と乖離している点が問題である。一方、写真が多い表は好まれて使用されているので、これらの結果を踏まえて検討していきたい」と締めくくった。■関連記事糖尿病発症や最適な食事療法を個別提示糖尿病食事療法の選択肢を増やす「緩やかな糖質制限」ハンドブック

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1年で心筋梗塞のリスクが最も高い日/BMJ

 スウェーデンでは、クリスマスや夏至の祝日(夏至祭[夏至とその前日]と呼ばれ、クリスマスを除くとスウェーデンで最も盛況な休日、St John's Dayとしても知られる)は心筋梗塞のリスクが高く、とくにクリスマスイブが高リスク(37%増)であり、高齢患者や糖尿病を合併する患者など脆弱な状態にある集団では、これらの期間が心筋梗塞の外的な引き金の役割を担う可能性があることが、スウェーデン・スコーネ大学病院のMoman A. Mohammad氏らが行ったSWEDEHEART試験で示された。西欧諸国では、心筋梗塞による心臓死や入院は、クリスマスや新年の休日にピークに達することが観察されている。また、心筋梗塞のリスクは、フットボールの優勝決定戦やハリケーン、株式市場の暴落とも関連する。そのため、感情的なストレスや身体活動、生活様式の変化に関連する因子が、短期的な引き金として作用することで、心筋梗塞の発症に影響を及ぼす可能性があると推測されている。BMJ誌2018年12月12日号(クリスマス特集号)掲載の報告。休日やスポーツイベントとの関連を後ろ向きに解析 研究グループは、心筋梗塞の引き金としての国民の休日、主要なスポーツイベントについて検討する後ろ向き観察研究を実施した(スウェーデン心肺財団などの助成による)。 解析には、スウェーデンの全国冠動脈ケアユニットレジストリー(SWEDEHEART)のデータを用いた。1998~2013年の16年間に、28万3,014例が心筋梗塞で入院した。 クリスマス/新年、復活祭、夏至の祝日の期間中に発症した心筋梗塞を同定した。同様に、国際サッカー連盟(FIFA)世界選手権、欧州サッカー連盟(UEFA)優勝決定戦、夏期および冬期オリンピック大会中に発症した心筋梗塞を同定した。 休日は、その前後2週間をコントロール期間とし、スポーツイベントのコントロール期間は、競技会前後の1年の同じ時期とした。休日およびスポーツイベント期間中の発生率をコントロール期間と比較し、発生率比を算出した。午前8時、月曜日が最も高リスク、イブは午後10時がピーク 28万3,014例のうち9万5,176例がST上昇型心筋梗塞(STEMI)、18万7,838例は非ST上昇型MI(NSTEMI)であった。STEMI患者は非STEMI患者に比べ、平均年齢が4歳若く(69.1 vs.73.0歳)、男性が多く(66 vs.62%)、現喫煙者が多かった(26 vs.17%)。 クリスマス/新年(発生率比:1.15、95%信頼区間[CI]:1.12~1.19、p<0.001)および夏至の祝日(1.12、1.07~1.18、p<0.001)の期間中は、心筋梗塞のリスクが有意に高かった。最もリスクが高い日は、クリスマスイブだった(1.37、1.29~1.46、p<0.001)。 復活祭やスポーツイベントの期間中は、リスクの増加は認めなかった。夏期オリンピック期間中は、男性でリスクが増加する傾向がみられたが、多変量で補正すると有意な差はなかった。 日内変動の解析では早朝のリスクが高く、午前8時が心筋梗塞発症のピークであり、とくにNSTEMI患者で高かった。なお、クリスマスイブのピークは、午後10時だった。また、週内変動の解析では、STEMI、NSTEMI患者とも、月曜日のリスクが顕著に高かった。 クリスマス休暇および月曜日は、喫煙者を除くすべてのサブグループで心筋梗塞のリスクが高かった。また、糖尿病や冠動脈疾患の既往歴を有する75歳上の患者は、顕著にリスクが高かった。復活祭や夏至の祝日に、とくにリスクの高いサブグループは認めなかった。 著者は、「この研究は、われわれの知る限り、よく知られたレジストリーに登録された、心電図やバイオマーカーで確認された心筋梗塞患者のデータを活用した最大規模の調査であり、今回の結果は管理データを用いて行われた既報と一致する」としている。

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ペムブロリズマブのMSI-H固形がんが国内承認…臓器横断的がん治療が現実に/MSD

 MSD株式会社は、2018年2月12日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形(標準的な治療が困難な場合に限る)」の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。この適応拡大は医薬品の条件付き早期承認制度の適用を受けていた。 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。細胞は、DNA複製時に自然に起こる複製ミスを修復する機能をもっているが、この修復機能の低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼び、このMSIが高頻度に起きている現象を高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)と呼ぶ。 MSI-High固形がんは、大腸がん、胃がんや膵臓がんといった消化器系のがんのほか、子宮内膜がんや卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどでも報告されている。大腸がんの約6%、子宮内膜がんの約17%にMSI-High固形がんがみられたとの報告がある。 この適応拡大にあたっては、治療歴を有するMSI-High固形がんを対象とした2つの国際共同第II相試験において、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸がん患者61名を対象にしたKEYNOTE-164試験(コホートA)。この試験での奏効率(ORR)は27.9%(95%CI:17.1~40.8)であった。対象者の57.4%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、関節痛16.4%、悪心14.8%、下痢13.1%、無力症11.5%およびそう痒症11.5%であった。もう1つは、治療歴を有するMSI-Highの結腸・直腸以外の固形がん患者94名を対象にしたKEYNOTE-158試験。この試験でORRは37.2%(95%CI:27.5~47.8)であった。対象者の61.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は、疲労11.7%およびそう痒症11.7%であった 共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果(適応)を有するがん治療薬は、国内初となる。 なお、ペムブロリズマブの適応判定を目的としたMSI-Highを検出するためのコンパニオン診断薬として、株式会社ファルコバイオシステムズの「MSI検査キット(FALCO)」が承認されている。■関連記事ペムブロリズマブ、臓器横断的ながんの適応取得:FDA小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくかMSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/治療学会 いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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大気中のブラックカーボン、高齢者の眼圧上昇に影響?

 眼圧上昇は、世界的にも不可逆的失明の主因とされる、緑内障の大きなリスク因子である。眼圧上昇の潜在的な一因として大気汚染が示唆されているが、これまでその関連を示す研究はほとんどされていない。米国・ハーバード大学のJamaji C. Nwanaji-Enwerem氏らは、米国退役軍人省のNormative Aging Studyにおける高齢男性のデータを解析し、生物学的に酸化ストレスの影響を受けやすい人では、大気中のブラックカーボンが眼圧上昇の危険因子になりうることを明らかにした。著者は、「さらなる研究で今回の結果が確認された場合、大気中のブラックカーボンの曝露や生理的な酸化ストレスをモニタリングすることで、眼圧に影響を及ぼす疾患の発症、進行を防ぐことができるかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年11月8日号掲載の報告。 研究グループは、地域在住高齢者の眼圧と大気中のブラックカーボンへの長期曝露との関連を調査する目的で、2017年10月18日~2018年3月22日の期間のデータを分析した。対象者は、Normative Aging Studyのデータに含まれるニューイングランド州のすべての住民男性であった。 解析対象は高齢者男性419例で、2000年1月1日~2011年12月30日の間に追跡調査が計911回行われた。眼圧はゴールドマン圧平眼圧計で測定し、参加者の住所地における1年間のブラックカーボン曝露レベルについて、時空間モデルを用いて算出した。 ブラックカーボンの毒性と関連する3つの経路、すなわち内皮機能、酸化ストレスおよび金属曝露に関する対立遺伝子のリスクスコアを、独立して開発された遺伝子スコアアプローチを用いて算出し、ブラックカーボンへの曝露、対立遺伝子リスクスコア、そして眼圧との関連について線形混合モデルを用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は男性419例(平均[±SD]年齢:75.3±6.9歳)であった。・1年間のブラックカーボンによる平均[±SD]曝露量は0.51±0.18μg/m3だった。・平均[±SD]眼圧は左眼14.1±2.8mmHg、右眼14.1±3.0mmHgだった。・追跡調査911回中、それぞれの対立遺伝子リスクスコアは高く示され、内皮機能は520回(57.1%)、金属曝露は644回(70.7%)、酸化ストレスは623回(68.4%)であった。・補正後線形混合モデルによる解析の結果、酸化ストレスの対立遺伝子リスクスコアが高い人(β=0.36、95%信頼区間[CI]:0.003~0.73)は、低い人(β=-0.35、95%CI:-0.86~0.15)に比べ、ブラックカーボンと眼圧との関連が大きかった。

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第6回 腎症でシスタチンCの検査が査定/心不全の各種検査での査定/リーバクト配合顆粒処方での査定/ミカルディス錠処方での査定【レセプト査定の回避術 】

事例21 腎症でシスタチンCの検査が査定糖尿病性腎症でシスタチンCの検査を請求した。●査定点シスタチンCの検査が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の血液化学検査に、「シスタチンCは、『1』の尿素窒素又は『1』のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる」となっています。そのため確定病名で請求すると査定の対象となります。とくに確定病名にするかどうかの判断では、疑い病名から確定病名に変更する請求月の検査内容を確認してから変更するなどの注意が必要です。事例22 心不全の各種検査での査定心不全で同時に脳性Na利尿ペプチド(BNP)136点と脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)140点の検査を施行したため、点数の高い脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)で検査を請求した。●査定点脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」の内分泌学的検査に「『16』の脳性Na利尿ペプチド(BNP)、『18』の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)及び『43』の心房性Na利尿ペプチド(ANP)のうち2項目以上を実施した場合は、各々の検査の実施日を「摘要」欄に記載する」となっています。レセプトの摘要欄に必要な「検査実施日」が記載されていなかっため、査定となりました。事例23 リーバクト配合顆粒処方での査定低アルブミン血症で紹介された患者にイソロイシン・ロイシン・バリン(商品名:リーバクト配合顆粒)3包30日分を処方した。●査定点リーバクト配合顆粒3包30日が査定された。解説を見る●解説リーバクト配合顆粒の添付文書「効能又は効果」に「食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善」となっています。そのため「低アルブミン血症」と「肝硬変」の病名が求められています。事例24 ミカルディス錠処方での査定高血圧症、肝障害でテルミサルタン(商品名:ミカルディス錠)20mg 3Tを処方した。●査定点ミカルディス錠20mg 1Tが査定された。解説を見る●解説添付文書の「用法・用量」に「通常、成人にはテルミサルタンとして40㎎を1日1回経口投与する。ただし、1日20㎎から投与を開始し漸次増量する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日最大投与量は80㎎までとする」となっています。「用法・用量に関連する使用上の注意」として「肝障害のある患者に投与する場合、最大投与量は1日1回40㎎とする」となっています。適宜増減に対する症状詳記がなかったことと、肝障害の病名があるため1日1回40㎎の上限として査定されました。

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第19回 川添流もっと人生を楽しむ3つの方法 【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回は薬剤師に限らず、万人の人生を楽しくする3つの方法を紹介します。1つは明るい側面で会話をする「陽転志向」、2つ目は自分から心を開く「拍手の法則」、そして3つ目は「頼まれごとは試されごと」。患者さんや友人に何かお願いごとをされた時は、期待を上回る120%の成果で応えられるよう張り切ってみよう。これこそ川添流の人生の楽しみ方!

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クリスマスの体重増加は予防できるか/BMJ

 年々増える体重の大部分は、クリスマスなどの祝祭日の食べ過ぎに原因があるという。英国・バーミンガム大学のFrances Mason氏らWinter Weight Watch Studyの研究グループは、定期的な体重測定、体重管理に関する助言、お祝いの食事のカロリーの消費に要する身体活動量の情報から成る簡易行動介入により、クリスマス休暇中の体重増加を予防できることを示し、BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)で報告した。英国など多くの国では、お祝いの季節が国民の休日と重なり、長期の過剰な摂食や座位行動の機会をもたらしており、クリスマス1日の摂取熱量は6,000カロリーと推奨の約3倍にも達するとの報告もある。これによる体重増加は、その後、完全には解消されず、わずかな体重の増加が毎年積み重なって10年で5~10kg増えることで、将来の肥満につながるとされる。休暇中の体重増加の予防効果を評価する無作為化試験 本研究は、クリスマス休暇中の体重増加の予防における簡易行動介入の有効性を評価する二重盲検無作為化対照比較試験である(研究費の一部としてバーミンガム大学の助成を受けた)。 2016年および2017年のクリスマスの前に、職場やソーシャルメディアのプラットフォーム、学校で参加者の登録を行った。年齢18歳以上、BMI≧20の272例が登録され、簡易行動介入群に136例、介入を行わない対照群に136例が割り付けられた。ベースラインの評価は11~12月に行われ、4~8週間後の翌年1~2月の期間にフォローアップが実施された。 介入群は、(1)定期的に自己体重測定を行って記録し、その推移について考えることで食事や飲み物の制限を増やすよう努め、(2)クリスマス期間中の良好な体重管理戦略に関する情報と、(3)摂食したお祝いの食事について、身体活動量に相当するエネルギー消費量(PACE)に関する視覚的な情報が提供された。対照群には、健康な生活に関する小冊子が提供された。ベースラインの体重が、0.5kg以上増加しないことを目標とした。 主要アウトカムはフォローアップ時の体重とし、副次アウトカムは体重増加0.5kg以下、自己報告による体重測定の回数(週2回以上vs.2回未満)、体脂肪率、自発的食事制限、情動的摂食、自制不能な摂食であった。体重測定回数、食事制限も良好 全体の平均年齢は43.9(SD 11.7)歳、女性が78%で、白人が78%を占めた。平均BMIは28.8、平均試験期間は45.3(SD 5.7)日だった。 平均体重変化量は、介入群が-0.13kg(95%信頼区間[CI]:-0.4~0.15)、対照群は0.37 kg(0.12~0.62)であり、体重の補正平均差(介入群-対照群)は-0.49kg(-0.85~-0.13)と、介入群で有意に良好であった(p=0.008)。 体重増加0.5kg以内の達成のオッズは介入群のほうが高かったが、有意差は認めなかった(オッズ比[OR]:1.22、95%CI:0.74~2.00、p=0.44)。週2回以上の体重測定のオッズは、介入群が有意に高かった(55.93、22.15~141.24)。体脂肪率の低下には両群間に有意な差はなかった(補正後平均差:-0.02、95%CI:-0.51~0.48、p=0.95)。 自発的食事制限(補正後平均差:0.64、95%CI:0.08~1.20、p=0.03)は介入群で有意に良好であったが、情動的摂食(-0.06、-0.43~0.30、p=0.73)および自制不能な摂食(-0.49、-1.25~0.26、p=0.20)は両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「休暇などの高リスクな時期における体重増加を防止するために、医療政策立案者はこれらの結果を考慮すべきだろう」としている。

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アジア人でより良好な結果、ニボルマブ+イピリムマブによる高TMB肺がん1次治療(CheckMate-227)/日本肺学会

 第III相CheckMate-227試験(Part 1)の結果、高腫瘍遺伝子変異量(TMB)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブの併用療法が標準化学療法と比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。本試験のアジア人サブグループ解析結果を、がん研究会有明病院の西尾 誠人氏が11月29~12月1日に東京で開催された第59回日本肺学会学術集会で発表した。なお、本結果は、11月8~10日に中国・広州市で開催されたIASLC ASIAでのKeunchil Park氏による発表のアンコール演題。CheckMate-227試験Part 1: PD-L1発現1%以上および1%未満のStage IVまたは再発NSCLCの初回治療患者(EGFR /ALK不明、ECOG PS 0~1)対象に、ニボルマブ+イピリムマブ群、ニボルマブ群、ニボルマブ群+化学療法群と化学療法群を比較した第III相試験[主要評価項目]高TMB(≧10変異/メガベース)患者におけるPFS、PD-L1発現状況ごとの全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など ※今回は、上記2つの主要評価項目のうち高TMB患者におけるPFSのニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群の比較について、アジア人サブグループ解析結果が発表された。 主な結果は以下のとおり。・有効なTMBデータを有した153例のうち、高TMB患者は53例であった。・上記の53例のうち、21例(うち日本人:13例)がイピリムマブ+ニボルマブ群に、32例(同:16例)が化学療法群に割り付けられた(全集団ではイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例)。・高TMB患者における1年PFS率は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群43% vs.化学療法群13%、アジア人サブグループで64% vs.17%であった。・PFS中央値は、全集団で7.2ヵ月 vs.5.5ヵ月(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81)、アジア人サブグループでNR vs.5.5ヵ月(HR:0.34、95%CI:0.15~0.75)であった。日本人集団でも、ニボルマブ+イピリムマブ群で同様のPFSベネフィットが得られた(HR:0.44、95%CI:0.15~1.35)。・ORRは、全集団で45%(完全奏効[CR]:4%、部分奏効[PR]:42%)vs. 27%(CR:1%、PR:26%)、アジア人サブグループで76%(CR:14%、PR:62%)vs. 22%(CR:0%、PR:22%)であった。日本人集団でも、85% vs. 31%とニボルマブ+イピリムマブ群で高いORRが得られた。・Grade3/4の治療関連有害事象の発現は、全集団でニボルマブ+イピリムマブ群31% vs.化学療法群36%、アジア人サブグループでは40% vs. 37%。治療中止例はそれぞれ17%vs. 9%、22% vs. 12%であった。・全Gradeの治療関連有害事象発現状況は、アジア人で若干皮疹の発現が多かったが(50% vs. 34%)、全体として全集団における発現状況と同様の傾向がみられた。

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